JP5388170B2 - タマネギ中に含まれるlfs及びprencsoの分離方法 - Google Patents
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10(v/v)%以上70(v/v)%未満の水溶性有機溶媒を含有する水溶液にタマネギを浸漬することにより、タマネギに含まれるアリイナーゼを失活させる浸漬工程、
浸漬工程後の前記水溶液とともに前記タマネギを粉砕して、LFS及びPRENCSOを前記水溶液中に抽出する抽出工程、
抽出工程後の前記水溶液を陰イオン交換樹脂に接触させることにより陰イオン交換樹脂にLFSを吸着させ、次いで吸着されたLFSを分離するLFS分離工程、並びに
LFS分離工程において陰イオン交換樹脂に吸着されない画分を陽イオン交換樹脂に接触させることにより陽イオン交換樹脂にPRENCSOを吸着させ、次いで吸着されたPRENCSOを分離するPRENCSO分離工程、
を含むことを特徴とする前記方法。
(3) 水溶性有機溶媒がアルコールであることを特徴とする、(1)又は(2)記載の方法。
(4) 浸漬工程においてタマネギの浸漬を24時間以上かけて行うことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(6) 浸漬工程において予め凍結されたタマネギの浸漬を1時間以上かけて行うことを特徴とする、(5)記載の方法。
(7) LFS分離工程で分離されたLFSをアリイナーゼと共に乾燥するLFS安定化工程を更に含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(9) PRENCSOを酸性水溶液中で保持することを特徴とする、PRENCSOの保存方法。
原材料として使用されるタマネギとしては、タマネギの鱗茎(バルブまたは、球)および鱗茎から伸びる鞘葉の部分を用いることが好ましい。食品加工業ではタマネギ加工残査として、鱗茎の底盤部(盤茎)と底盤部に隣接する鱗葉の一部(厚み0.5〜3センチ)、および鱗茎の先端部(ノーズ)に隣接する鱗葉の一部(厚み0.5〜3センチ)が多く排出される(以降これらの部分を「ヘタ」と呼ぶ)。このヘタの部分も本発明の方法において好適に使用することができる。数センチ程度の寸法に切ったタマネギの試料を浸漬工程に使用することが好ましい。タマネギを粉砕するなどして小さくし過ぎると酵素の作用によりPRENCSOが消費されてしまうため好ましくない。タマネギの試料の寸法を大きくしすぎると浸漬工程においてアリイナーゼの失活が進行しにくくなる。
浸漬工程は、10(v/v)%以上70(v/v)%未満、好ましくは40〜60(v/v)%の水溶性有機溶媒を含有する水溶液にタマネギを浸漬することにより、タマネギに含まれるアリイナーゼを失活させる工程である。ただし、水溶性有機溶媒としてプロパノール、アセトンを用いる場合は、10(v/v)%以上50(v/v)%未満であることが好ましい。
抽出工程は、浸漬工程後の前記水溶液とともに浸漬されたタマネギを粉砕して、LFS及びPRENCSOを前記水溶液中に抽出する工程である。浸漬工程においてアリイナーゼの活性が失われているため、粉砕してもPRENCSOは分解されない。
LFS分離工程は、抽出工程後の水溶液を陰イオン交換樹脂に接触させることにより陰イオン交換樹脂にLFSを吸着させ、次いで吸着されたLFSを分離する工程である。
PRENCSO分離工程は、LFS分離工程において陰イオン交換樹脂に吸着されない画分を陽イオン交換樹脂に接触させることにより陽イオン交換樹脂にPRENCSOを吸着させ、次いで吸着されたPRENCSOを分離する工程である。
LFS安定化工程は、LFS分離工程で分離されたLFSをアリイナーゼと共に乾燥状態とする工程である。
PRENCSO安定化工程は、PRENCSO分離工程で分離されたPRENCSOを酸性水溶液中に保持する工程である。
試験1
エタノール水溶液の濃度と抽出PRENCSO量、LFSの活性量の関係(図2)
230ml容の蓋付き容器5個に、包丁で4センチ角程度の大きさに切った市販のタマネギを50gずつ量り取った。次に各容器にエタノール濃度が10〜90(v/v)% であるエタノール水溶液50mlを加え、タマネギが浸った状態で10℃の低温実験庫内で48時間の浸漬を行った。浸漬物をミキサーで粉砕した後、遠心分離 (4℃、12000rpm、10分間) し、得られた上澄みを抽出溶液として回収した。各抽出溶液中のPRENCSO量、LFSの活性量の比較を行った。結果を図2に示す。10〜60(v/v)%エタノールでタマネギを浸漬した場合、PRENCSOとLFSを効率良く抽出できるが、70(v/v)%を超えるとLFSの活性量がなくなってしまうことも併せて確認された。
(1)PRENCSO量と、LFS活性量の測定方法
陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂でのLFS、PRENCSOの精製効率は一定であるため、PRENCSO及びLFSの最終的な収量は、これらの樹脂による処理を行う前の抽出溶液中に含まれるPRENCSO量、LFSの活性量と相関する。そこで本試験の試験1、2、3では、粉砕後遠心分離により得た抽出溶液中に含まれるPRENCSO量、LFSの活性量の比較検討を行った。
PRENCSOはHPLCで定量した。分析条件は次の通り、カラム:Pegasil ODS 4.6mmΦ×25cm (センシュウ科学) , 移動相:酸性水pH3.3 , 温度:35℃ , 検出波長:230nm , 流速:0.6ml/min,注入量:PRENCSO溶液 1μl。保持時間9分に検出されたピークの面積から、PRENCSOを定量した。
LFSの活性量は、酵素反応で発生した催涙成分(LF)のピーク面積に基づいて定量した。アルコール濃度が16(v/v)%となるように調整した抽出溶液10μlに対し、250 Unit/ml の精製Aliinase溶液を40μl添加し、さらに20mg/ml の精製PRENCSO溶液20μlを添加して、酵素基質反応を開始させた。3分後に反応液1μlをHPLCへ注入し、LF発生量を測定した。HPLC条件はカラム:Pegasil ODS 4.6mmΦ×25cm (センシュウ科学) , 移動相:酸性水pH3.3とメタノールを7対3で混合したもの , 温度:35℃ , 検出波長:254nm , 流速:0.6ml/minで行った。LFのピークは、保持時間9.6分に検出された。
(2−1)ニンニクを粉砕・酸沈
まず、ミキサーのジョッキを冷蔵庫に入れて冷やしておく。また、低温遠心機にローターをセットし、温度を4℃にセットして冷却しておく。ニンニク片(100g)に等量のバッファー A(後述)を加えて、ミキサーで粉砕する。氷上に置いたジョッキの口に二重にしたガーゼを輪ゴムでとめる。粉砕物をそのガーゼの上に流して、濾す。ろ液がある程度得られた後で、ガーゼ上の粉砕物をガーゼで包んで絞る。得られたろ液を12000rpmで10 分間 4℃で遠心分離する。遠心上清を回収する。回収した遠心上清を氷上に置いた状態で攪拌しつつ、pHをモニターしながら、酢酸を加えていき、pHを4.0にする。pHが4.0になったら、そのまま5min静置する。沈殿の出てきたサンプルを12000rpm×10min、4℃で遠心分離する。遠心ペレットを回収する(バッファー Aを使う)。
上記アリイナーゼ粗抽出液(遠心上清)をバッファー Aで平衡化したハイドロキシアパタイトカラムにアプライする。ハイドロキシアパタイトカラムに黄色のバンドとなって吸着される。サンプルをアプライしたハイドロキシアパタイトカラムを300mlのバッファーAで洗浄する。洗浄の終了したハイドロキシアパタイトカラムに300mlのバッファーC(後述)を流して、溶出させる。溶出液はフラクションコレクターを使って10 mlずつ分画し、黄色の溶出液が分画されているフラクションを集める。
集めたフラクション(20ml)の1/20倍volの20mM塩化カルシウム,塩化マグネシウム溶液を加えて、サンプル溶液のカルシウムイオン,マグネシウムイオン濃度を上げる。そうした上で、再生し、startingバッファー(ConA Sepharose 4Bのマニュアルに記載されている推奨バッファー)で平衡化したConAカラムにアプライする。サンプルをアプライした後のConAカラムを50mlのstartingバッファーで洗浄する。洗浄の終了したConAカラムに50mlのConA溶出バッファー(ConA Sepharose 4Bのマニュアルに記載されている推奨バッファー)を流して、溶出させる。溶出液はフラクションコレクターを使って2mlずつ分画し、黄色の溶出液が分画されているフラクションを集める。
ConAカラム精製によって得られた黄色い溶出液(アリイナーゼ溶液)10mlをCENTRIPLUS CONCENTRATORS(up to 15ml,No.4421)(ミリポア社製)に入れる。CENTRIPLUS CONCENTRATORSを、4℃に冷却した遠心機にセットし、3000rpmで30分遠心する。中身を一度確認した後、もう一度、3000rpmで30分間遠心する。濃縮が完了したアリイナーゼ溶液の活性を下に示す方法に従って測定し、必要な濃度になっていることを確認する。
(3−1)加熱タマネギからPRENCSOの抽出
生タマネギ3玉(1000g)の外皮をはがし、ラップをして電子レンジで12分間加熱する。加熱したタマネギをミキサーに入れ、等量の蒸留水を加えてから粗砕し、粗砕液を8000rpmで10分間遠心分離する。上清を回収し、陽イオン交換樹脂IR120Bを加えて攪拌したのち、吸引濾過により、樹脂を回収する。回収した樹脂に蒸留水1Lを加え、これに濃アンモニア水を加えてpH8.5に調製する。吸引濾過により、上清を回収し、残った樹脂に再度pH8.5のアンモニア水を加える。再度、吸引濾過により、上清を回収する。得られた溶液に1N塩酸を加えてpH7.0に中和する。エバポレーターを用いて溶液を濃縮乾固する。
残留物に蒸留水50mlを加えて溶解させる。得られた粗PRENCSO溶液を中圧逆相クロマトグラフィーによって精製する。必要に応じて、さらにHPLC(カラム:ODS,移動相:酸性水pH3.3,温度:35℃,UV:230nm)によって精製する。カラムから得られた溶出液をエバポレーターおよび凍結乾燥機を用いて乾固し、精製PRENCSO粉末(約100mg)を得る。
エタノール水溶液での浸漬時間と抽出PRENCSO量、LFSの活性量の関係(図3)
230ml容の蓋付き容器5個に、包丁で4センチ角程度の大きさに切った市販のタマネギを50gずつ量り取った。次に各容器に50mlの50(v/v)%のエタノール水溶液を加え、タマネギ試料が浸った状態で、10℃の低温実験庫内でそれぞれ3, 6, 24, 48, 72時間の浸漬を行った。浸漬物をミキサーで粉砕した後、遠心分離 (4℃、12000rpm、10分間) し、得られた上澄みを抽出溶液として回収した。各抽出溶液中のPRENCSO量、LFSの活性量の比較を行い、浸漬時間と抽出PRENCSO量、LFSの活性量の関係を検討した。PRENCSO量と、LFSの活性量は試験1記載の手順で測定した。
結果を図3に示す。
その結果、エタノール水溶液での浸漬時間は48時間程度が好ましいことが確認された。
凍結処理による浸漬時間の短縮効果(図4)
市販のタマネギのヘタ部分を用いて実験を行った。本実験は、剥ぎタマネギの工業的な作製工程で生じるタマネギ加工残査からPRENCSO、LFSを抽出することを想定したモデル実験である。
浸漬する水溶性有機溶媒の種類と抽出PRENCSO量、LFSの活性量の関係
エタノール以外の水溶性有機溶媒によるPRENCSOとLFSの回収の可能性について確認した。
LFSの活性量の測定は、抽出溶液10μlに、250Unit/ml 精製アリイナーゼ溶液を40μl添加し、さらに20mg/ml 精製PRENCSO溶液20μlを添加して、酵素基質反応を開始させた。3分後に反応液1μlをHPLCへ注入し、催涙成分のピーク面積を測定した。HPLC条件はカラム:Pegasil ODS 4.6mmΦ×25cm (センシュウ科学) , 移動相:酸性水pH3.3とメタノールを7対3で混合したもの , 温度:35℃ , 検出波長:254nm , 流速:0.6ml/minで行った。保持時間は9.6分に検出された。
浸漬する水溶性有機溶媒の濃度と抽出PRENCSO量、LFSの活性量の関係(図5)
試験4の結果を受けて、50(v/v)%に各水溶性有機溶媒の濃度を上げた場合のPRENCSO及びLFSの回収率を確認した。
PRENCSO量の測定は試験1記載の方法で行った。
その後、本試験では浸漬溶媒が異なり試験1の方法ではLFSの活性量の測定ができないため、溶媒の影響を受けないレベルまで精製することにした。具体的には、各抽出溶液に陰イオン交換樹脂(DEAE-650M)を前記抽出溶液の液量の1/5倍vol加え、LFSの吸着を行った。吸着操作後に陰イオン交換樹脂と、陰イオン交換樹脂に吸着されない溶液画分とを分離し、分離後の樹脂を5倍volの水で洗浄した後、樹脂の5倍volの500mMリン酸バッファー(pH5.0)を加えバッチ式で溶出させ、その上澄みを回収した。このようにして得た上澄みをLFS溶液とした。
LFS溶液中のLFSの活性量の比較を行い、浸漬溶媒と抽出LFSの活性量の関係を検討した。
LFSの活性量の測定は、LFS溶液を10〜100倍希釈したもの10μlに、250Unit/ml 精製アリイナーゼ溶液を40μl添加し、さらに20mg/ml 精製PRENCSO溶液20μlを添加して、酵素基質反応を開始させた。3分後に反応液1μlをHPLCへ注入し、催涙成分のピーク面積を測定した。HPLC条件はカラム:Pegasil ODS 4.6mmΦ×25cm (センシュウ科学) , 移動相:酸性水pH3.3とメタノールを7対3で混合したもの , 温度:35℃ , 検出波長:254nm , 流速:0.6ml/minで行った。保持時間は9.6分に検出された。
プロパノール、アセトンを浸漬溶媒として用いる場合の濃度と抽出効率の関係(図6)
50%濃度のプロパノールとアセトンの場合はLFSの回収率が著しく低下することが確認された。そこで、プロパノールとアセトンの濃度とPRENCSO及びLFSの回収率の関係について検討した。
PRENCSO量の測定は試験1記載の方法で行った。
その後、試験5と同様の理由で、溶媒の影響を受けないレベルまで精製することにした。具体的には、各抽出溶液に陰イオン交換樹脂(DEAE-650M)を前記抽出溶液の液量の1/5倍vol加え、LFSの吸着を行った。吸着操作後に陰イオン交換樹脂と、陰イオン交換樹脂に吸着されない溶液画分とを分離し、分離後の樹脂を5倍volの水で洗浄した後、樹脂の5倍volの500mMリン酸バッファー(pH5.0)を加えバッチ式で溶出させ、その上澄みを回収した。このようにして得た上澄みをLFS溶液とした。
LFS溶液中のLFSの活性量の比較を行い、浸漬溶媒の濃度と抽出LFSの活性量の関係を検討した。
LFSの活性量の測定は、LFS溶液を10〜100倍希釈したもの10μlに、250Unit/ml 精製アリイナーゼ溶液を40μl添加し、さらに20mg/ml 精製PRENCSO溶液20μlを添加して、酵素基質反応を開始させた。3分後に反応液1μlをHPLCへ注入し、催涙成分のピーク面積を測定した。HPLC条件はカラム:Pegasil ODS 4.6mmΦ×25cm (センシュウ科学) , 移動相:酸性水pH3.3とメタノールを7対3で混合したもの , 温度:35℃ , 検出波長:254nm , 流速:0.6ml/minで行った。保持時間は9.6分に検出された。
結果を図6に示す。図6の結果、浸漬溶媒としてプロパノール、アセトンを用いる場合、好ましい溶媒濃度は10(v/v)%以上50(v/v)%未満であることが確認された。
浸漬に好ましい濃度の各浸漬溶媒と抽出PRENCSO量、LFSの活性量の関係(図7)
試験6までに、各浸漬溶媒のPRENCSO、LFSを抽出するのに好ましい濃度範囲が確認された。そこで、各溶媒の好ましい濃度で浸漬した場合に抽出されるPRENCSO量、及びLFSの活性量を比較し、浸漬に好ましい溶媒を決定することとした。
まず、-20℃で凍結していたタマネギのヘタ部分を、金づちで4センチ角程度の大きさになるように粉砕し、230ml容の蓋付き容器4個に30gずつ量り取った。
PRENCSO量の測定は試験1記載の方法で行った。
その後、各抽出溶液に陰イオン交換樹脂(DEAE-650M)を前記抽出溶液の液量の1/5倍vol加え、LFSの吸着を行った。吸着操作後に陰イオン交換樹脂と、陰イオン交換樹脂に吸着されない溶液画分とを分離し、分離後の樹脂を5倍volの水で洗浄した後、樹脂の5倍volの500mMリン酸バッファー(pH5.0)を加えバッチ式で溶出させ、その上澄みを回収した。このようにして得た上澄みをLFS溶液とした。
LFS溶液中のLFSの活性量の比較を行い、浸漬溶媒と抽出LFSの活性量の関係を検討した。
LFSの活性量の測定は、LFS溶液を10〜100倍希釈したもの10μlに、250Unit/ml 精製アリイナーゼ溶液を40μl添加し、さらに20mg/ml 精製PRENCSO溶液20μlを添加して、酵素基質反応を開始させた。3分後に反応液1μlをHPLCへ注入し、催涙成分のピーク面積を測定した。HPLC条件はカラム:Pegasil ODS 4.6mmΦ×25cm (センシュウ科学) , 移動相:酸性水pH3.3とメタノールを7対3で混合したもの , 温度:35℃ , 検出波長:254nm , 流速:0.6ml/minで行った。保持時間は9.6分に検出された。
室温でもPRENCSO溶液が安定な条件(図8)
市販のタマネギ3個のヘタ部分を厚みが0.5〜0.8センチになるように包丁で切った。切ったヘタ部分を適当なビニール袋に入れ、-80℃で30分間凍結処理を行った。凍結後、金づちで4センチ角程度の大きさになるように粉砕し、230ml容の蓋付き容器に30g量り取った。次に容器に30mlの50(v/v)%のエタノール水溶液を加え、タマネギ試料が浸った状態で、10℃の低温実験庫内で5時間の浸漬を行った。浸漬物をミキサーで粉砕した後、遠心分離 (4℃、12000rpm、10分間) し、得られた上澄みを抽出溶液として回収した。
(i) PRENCSO溶液に何の処理も行わない。
(ii) PRENCSO溶液をクリーンベンチ内で0.2μmの無菌フィルターで無菌濾過し、その後、PRENCSO溶液150μlに対して0.1N塩酸を10μlの割合で加えて溶液を酸性状態(pH3.0)にした。
(iii) PRENCSO溶液をクリーンベンチ内で0.2μmの無菌フィルターで無菌濾過した。
(iv) PRENCSO溶液150μlに対して0.1N塩酸を10μlの割合で加えて溶液を酸性状態(pH3.0)にした。
その結果、PRENCSO溶液は酸性状態で保存することで室温でも安定に保存できることが確認された。
LFS溶液の室温での保存安定性(図9)
試験8で得られたLFS溶液を用いて、LFS溶液の室温での保存安定性の検討を行った。これまでに本発明者らは、LFSをアリイナーゼと混合して凍結乾燥することで、室温でも安定に保存できることを確認している。そこで、本実験でもLFSとアリイナーゼを混合して凍結乾燥する方法を試みた。
まず、ミキサーのジョッキを冷蔵庫に入れて冷やしておく。また、低温遠心機にローターをセットし、温度を4℃にセットして冷却しておく。ニンニク片(100g)に等量のバッファー Aを加えて、ミキサーで粉砕する。氷上に置いたジョッキの口に二重にしたガーゼを輪ゴムでとめる。粉砕物をそのガーゼの上に流して、濾す。ろ液がある程度得られた後で、ガーゼ上の粉砕物をガーゼで包んで絞る。得られたろ液を12000rpmで10 分間 4℃で遠心分離する。遠心上清を回収する。回収した遠心上清を氷上に置いた状態で攪拌しつつ、pHをモニターしながら、酢酸を加えていき、pHを4.0にする。pHが4.0になったら、そのまま5min静置する。沈殿の出てきたサンプルを12000rpm×10min、4℃で遠心分離する。遠心ペレットを回収する(バッファー Aを使う)。
実施例(図10)
880ml容の蓋付き容器に、包丁で4センチ角程度の大きさに切った市販のタマネギを200g量り取った。次に容器に200mlの50(v/v)%のエタノール水溶液を加え、タマネギ試料が浸った状態で、10℃の低温実験庫内で60時間浸漬を行った。浸漬物をミキサーで粉砕した後、遠心分離(4℃、12000rpm、10分間)し、得られた上澄みを抽出溶液として回収した。回収した抽出溶液に液量の1/4倍volの100mMリン酸バッファー(pH6.5)を加え、塩濃度の調整を行った。
Claims (7)
- タマネギからLFS(催涙成分生成酵素)及びPRENCSO(S-1-プロペニル-システインスルフォキシド)を分離する方法であって、
10(v/v)%以上70(v/v)%未満のアルコール、又は10(v/v)%以上50(v/v)%未満の水溶性有機溶媒(ただし、アルコールを除く)を含有する水溶液にタマネギを浸漬することにより、タマネギに含まれるアリイナーゼを失活させる浸漬工程、
浸漬工程後の前記水溶液とともに前記タマネギを粉砕して、LFS及びPRENCSOを前記水溶液中に抽出する抽出工程、
抽出工程後の前記水溶液を陰イオン交換樹脂に接触させることにより陰イオン交換樹脂にLFSを吸着させ、次いで吸着されたLFSを分離するLFS分離工程、並びに
LFS分離工程において陰イオン交換樹脂に吸着されない画分を陽イオン交換樹脂に接触させることにより陽イオン交換樹脂にPRENCSOを吸着させ、次いで吸着されたPRENCSOを分離するPRENCSO分離工程、を含むことを特徴とする前記方法。 - 浸漬工程に用いる水溶液が40〜60(v/v)%のアルコール、又は10(v/v)%以上50(v/v)%未満のアセトンを含有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
- 浸漬工程においてタマネギの浸漬を24時間以上かけて行うことを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
- 浸漬工程に用いられるタマネギが予め凍結されたものであることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
- 浸漬工程において予め凍結されたタマネギの浸漬を1時間以上かけて行うことを特徴とする、請求項4記載の方法。
- LFS分離工程で分離されたLFSをアリイナーゼと共に乾燥するLFS安定化工程を更に含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
- PRENCSO分離工程で分離されたPRENCSOを酸性水溶液中に保持するPRENCSO安定化工程を更に含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
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