JPH1054116A - 金属製野地板 - Google Patents

金属製野地板

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JPH1054116A
JPH1054116A JP22615896A JP22615896A JPH1054116A JP H1054116 A JPH1054116 A JP H1054116A JP 22615896 A JP22615896 A JP 22615896A JP 22615896 A JP22615896 A JP 22615896A JP H1054116 A JPH1054116 A JP H1054116A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 漏水,結露水,すが漏れ等によって屋根面を
構成している屋根材の裏面側に存在する水が野地板を腐
食させたり野地板を通って屋根裏に浸入したりすること
を確実に防止することのできる金属製野地板を提供す
る。 【解決手段】 耐食性を有する金属板より成り山部と谷
部とがそれぞれ平行に複数形成されている野地板本体1
に、表面側では山部の頂部に水勾配方向及び水勾配方向
に直交する方向にそれぞれ所定の間隔を隔てて固定用ボ
ルト2を溶接により突出固定し、また裏面側では所定の
位置に取付用ボルト3を溶接により突出固定する。好ま
しくは裏面側に断熱材が貼り付けたり、端縁部であって
施工時に隣接して配置される連結相手側の野地板本体1
と重ね合わされる部分の表面又は裏面にシーラント4を
貼り付けたり、更に野地板本体1上に固定用ボルト2を
介して固定した屋根材固定部材5に屋根材6である瓦を
略全面に亘って固定しておく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、漏水,結露水,す
が漏れ等によって屋根面を構成している屋根材の裏面側
に存在する水が野地板を腐食させたり野地板を通って屋
根裏に浸入したりすることを確実に防止することのでき
る金属製野地板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】野地板を使用して屋根が葺かれている建
築物の屋根は、従来垂木や母屋材に木製の野地板を固定
し、この野地板に必要に応じて屋根材固定部材を介して
瓦や段葺き用の屋根材等を固定して施工されていた。上
記屋根を葺くに際し、先ず木製の野地板を垂木や母屋材
に固定するには、野地板を所定の位置に配置して釘やタ
ッピンビス等を上面側より野地板に貫通させて垂木や母
屋材に打ち込みやネジ込みにより固定する。
【0003】そして、野地板の上面に通常防水紙を敷設
して後、この野地板上に屋根材を固定するのである。こ
のとき、例えば屋根材として瓦を使用する場合には、水
勾配方向と直交する方向にその長手方向を配した屋根材
固定部材を前記した釘やタッピンビス等により野地板に
固定し、瓦に予め貫通穿設されている孔を貫通して打ち
込んだ釘によりこの屋根材固定部材に瓦を固定し、この
固定された瓦の側方に次に固定すべき瓦を配置し側縁部
同士を重ね合わせて同様に釘を打ち込んで固定する作業
と固定された瓦の水勾配方向の上流側に次に固定すべき
瓦を配置し既固定の瓦の上縁部にその下縁部を重ね合わ
せて同様に釘を打ち込んで固定する作業とを側方及び水
勾配方向上流側に順次繰返し行って屋根面全面に瓦を固
定して瓦葺き屋根を施工していた。
【0004】また、段葺き用の屋根材は、下縁部に立上
り部と係合部とが形成されていると共に上縁部には連結
相手側の屋根材の下縁部に形成されている係合部と係合
せしめられる係合部が形成されており、また一方の側縁
部には表面側に折り返された係合部がまた他方の側縁部
には裏面側に折り返された係合部がそれぞれ形成されて
おり、下縁部に前記立上り部が形成されているので上方
からの荷重に対して強い強度を有している。
【0005】この段葺き用の屋根材を使用する場合に
は、野地板上の所定の位置にこの屋根材を配置して通常
上縁部の係合部に係合させた吊子を釘打ちによって野地
板に固定し、この固定された屋根材の側縁部の係合部に
次に固定すべき屋根材の側縁部の係合部を係合させて吊
子を釘打ちによって野地板に固定する作業を側方に順次
繰返し行うと共に、固定された屋根材の水勾配方向の上
流側に次に固定すべき屋根材の下縁部の係合部を既固定
の屋根材の上縁部の係合部に係合させて吊子を釘打ちに
よって野地板に固定する作業を水勾配方向上流側に順次
繰返し行って屋根面全面に上記屋根材を固定して段葺き
屋根を施工していた。
【0006】しかしながら、上記した如き垂木や母屋材
に釘やタッピンビスによって固定された野地板に屋根材
を固定した従来の屋根は、漏水,結露水,すが漏れ等に
よって屋根材の裏面側に存在する水が野地板を腐食させ
たり野地板を通って屋根裏に浸入したりするという欠点
があった。即ち、上記した屋根材は側方及び水勾配方向
に順次固定して葺かれるものであるので隣接して固定さ
れている屋根材の重ね合わせられている部分や係合部分
等から水が侵入したり、気温の低下によって野地板と屋
根材との間で屋根材の裏面に結露水が生じて滴下した
り、すが漏れが発生したりすることによって野地板上に
水が存在する現象が発生すると、野地板は前記した如く
釘やタッピンビス等を貫通されて建築物の垂木や母屋材
に固定されているばかりか、屋根材固定部材や吊子が釘
等で固定されているので、野地板上に存在する水が野こ
う配によって軒先側に流下する過程において前記釘やタ
ッピンビス等が貫通されている部分より浸入して野地板
が腐食したり屋根裏に漏水したりするという欠点があっ
たのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の欠点を解消し、漏水,結露水,すが漏れ等によって
屋根面を構成している屋根材の裏面側に存在する水が野
地板を腐食させたり野地板を通って屋根裏に浸入したり
することを確実に防止することのできる金属製野地板を
提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる課題を
解決すべく鋭意検討した結果、屋根材の裏面側に存在す
る水が野地板を腐食させたり野地板を通って屋根裏に浸
入したりするのは、野地板が木製でありしかも屋根材を
固定するための屋根材固定部材や吊子等を野地板に固定
する釘等や野地板を建築物の垂木や母屋材に固定するた
めの釘やタッピンビス等が野地板に打ち込まれているの
で、これらの部分から水が野地板内に浸入し更には屋根
裏へと浸入するからであり、野地板を水を通過させるこ
とがない材料で構成しこの野地板の上部に屋根材を固定
するための釘等を打ち込むことができる屋根材固定部材
を野地板に穴が穿設されない状態で固定し且つ野地板に
穴が穿設されない状態で建築物の垂木や母屋材に固定で
きるようにすれば良いことに着目し、野地板を、耐食性
を有する金属板より成り山部と谷部とがそれぞれ平行に
複数形成されている野地板本体に表面側には山部の頂部
に水勾配方向及び水勾配方向に直交する方向にそれぞれ
所定の間隔を隔てて固定用ボルトが溶接により突出固定
されており、また裏面側には所定の位置に取付用ボルト
が溶接により突出固定されている構成とすれば、前記課
題を解決して耐漏水性に非常に優れた屋根を葺くことが
できることを究明して本発明を完成したのである。
【0009】また、この金属製野地板の裏面側に断熱材
が貼り付けられていると建築物の断熱性能が向上すると
共に雨音などの遮音性能も向上し、野地板本体の端縁部
であって施工時に隣接して配置される連結相手側の金属
製野地板の野地板本体と重ね合わされる部分の表面又は
裏面にシーラントが貼り付けられていると、金属製野地
板を側方及び水勾配方向上流側にその端縁部同士を重ね
合わせて順次固定したときに端縁部同士の重ね合わせ部
分から屋根裏への水の浸入を防止することができること
も究明したのである。
【0010】更に、野地板本体の表面側に突出固定され
ている固定用ボルトの水勾配方向に直交する方向の間隔
に対応する間隔でボルト穴が穿設されている屋根材固定
部材が、該ボルト穴に該固定用ボルトを挿通させてナッ
トにより野地板本体に固定されており、屋根材である瓦
が、一方の側縁側に固定される瓦の側縁を野地板本体の
側縁より中央側に位置させた状態にまた他方の側縁側に
固定される瓦の側縁を野地板本体の側縁より外方に突出
させた状態に、また上縁側に固定される瓦の上縁を野地
板本体の上縁より下流側に位置させた状態にまた下縁側
に固定される瓦の下縁を野地板本体の下縁より外方に突
出させた状態に、更に最も下縁側に固定される瓦はその
略中央部も支持又は固定された状態に、それぞれ所定の
傾斜状態が維持された状態に該屋根材固定部材に野地板
本体の略全面に亘って固定されていると、従来高所で行
われていた屋根材及び屋根材固定部材の野地板への固定
を予め工場で精度良く行うことができるので現場での屋
根葺き施工を短期間に簡単且つ安全に行うことができる
ことも究明したのである。
【0011】そして屋根材である瓦が野地板本体の略全
面に亘って固定されている態様において、この野地板本
体の裏面側に突出されている取付用ボルトが山部の頂部
の裏面に溶接により固定されており且つ谷部の裏面より
裏側に突出しない高さであると、金属製野地板を積み重
ねた際に裏面側に取付用ボルトが突出されているにも拘
らずスペースを取らずに運搬することができて運搬効率
が向上することも究明したのである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明に係る金
属製野地板について詳細に説明する。図1は本発明に係
る金属製野地板の1実施例を示す斜視図、図2は図1に
示す金属製野地板の正面図、図3は本発明に係る金属製
野地板の他の実施例の図1に相当する正面図、図4は本
発明に係る金属製野地板の更に他の実施例の構成を示す
説明用斜視図、図5は図4に示す金属製野地板の構成を
示す側面図、図6は本発明に係る金属製野地板を使用し
て葺かれた屋根を示す断面説明図、図7は本発明に係る
金属製野地板を建築物の垂木又は母屋材に取り付けるた
めの取付手段の1例を示す説明用斜視図である。
【0013】図面中、1は亜鉛メッキ鋼板,ステンレス
鋼板等の耐食性を有する金属板より成型されて成り水勾
配方向に直交する方向に山部1aと谷部1bとがそれぞれ平
行に複数形成されている野地板本体であり、通常定尺材
が使用される。そしてこの野地板本体1の裏面側には発
泡スチレン樹脂等の断熱材が貼り付けられていることが
好ましい。
【0014】2は野地板本体1の表面側に山部1aの頂部
に施工状態における水勾配方向及び水勾配方向に直交す
る方向にそれぞれ所定の間隔を隔てて溶接により突出固
定されている固定用ボルトである。ここで水勾配方向に
直交する方向の所定の間隔とは、後述する屋根材固定部
材5に屋根材6が固定された状態で風圧等による吹き上
げ荷重に対して十分な耐風圧強度を有するように屋根材
固定部材5を固定できる間隔である。また水勾配方向の
所定の間隔とは、この方向における野地板本体1上に固
定すべき屋根材固定部材5のピッチであり、このピッチ
は通常屋根材固定部材5を介して固定される屋根材6の
水勾配方向の長さに対応する間隔であって、屋根材6が
瓦の場合に最も下縁側に固定される瓦6の略中央部を支
持又は固定せしめる屋根材固定部材5の固定位置にも対
応している。
【0015】3は野地板本体1の裏面側に水勾配方向及
び水勾配方向に直交する方向にそれぞれ所定の位置に溶
接により突出固定されている取付用ボルトであり、水勾
配方向に直交する方向の所定の位置とは野地板本体1を
建築物の垂木又は母屋材8に後述する取付手段7によっ
て固定した状態で野地板本体1の風圧等の吹き上げ荷重
に十分対抗し得る所定の耐風圧強度を有することのでき
る位置であり、また水勾配方向の所定の位置とは野地板
本体1を建築物の垂木又は母屋材8に後述する取付手段
7によって固定した状態で野地板本体1の風圧等の吹き
上げ荷重に十分対抗し得る所定の耐風圧強度を有するこ
とのできる位置であって野地板本体1を取付手段7によ
って建築物の母屋材8に取り付けられる場合には建築物
の母屋材8のピッチに対応する位置である。尚、この取
付用ボルト3は、野地板本体1の裏面側の上記所定の位
置であれば山部1a,谷部1bのいずれの位置に突出固定さ
れていても良いが、野地板本体1の山部1aの頂部の裏面
に溶接により固定されており且つ谷部1bの裏面より裏側
に突出しない高さであると、後述する屋根材6である瓦
が野地板本体1の略全面に亘って固定されている態様に
おける金属製野地板を積み重ねた際に裏面側に取付用ボ
ルトが突出されているにも拘らずスペースを取らずに運
搬することができて運搬効率が向上するので好ましい。
【0016】前記野地板本体1の表面側と裏面側とに溶
接により固定されるボルト2及び3としては、例えば日
本スタッドウェルディング社製のネジスタッドのように
被溶着物である野地板本体1にその先端部をアーク溶接
によって溶融させて野地板本体1に貫通穴を形成するこ
と無く溶着できるものが好ましく使用できる。
【0017】4は野地板本体1の端縁部であって施工時
に隣接して配置される連結相手側の金属製野地板の野地
板本体1と重ね合わされる部分の表面又は裏面に貼り付
けられていることが好ましいシーラントである。このシ
ーラント4が野地板本体1の端縁部に貼り付けられてい
て、野地板本体1の裏面に断熱材が貼り付けられている
場合には、断熱材とシーラント4とが接触しないように
シーラント4が貼り付けられている部分には断熱材が存
在しないように配慮することが好ましい。
【0018】5は野地板本体1の表面側に突出固定され
た固定用ボルト2の水勾配方向に直交する方向の間隔に
対応する間隔でボルト穴が穿設されておりこのボルト穴
に前記固定用ボルト2が挿通されてナットにより野地板
本体1上に締結固定され後述する屋根材6が固定される
屋根材固定部材であり、通常防腐処理した木製の横桟が
使用される。この屋根材固定部材5として使用される防
腐処理した木製の横桟には、必要に応じてそのボルト穴
に前記ナットが収納される座ぐり5aが形成されている。
これは、屋根材6として段葺き用屋根材を使用する場合
にはこの屋根材6の上縁部及び下縁部が水勾配方向に直
交する方向の全幅に亘って屋根材固定部材5の上面で支
持されるので屋根材6の固定の邪魔になる固定用ボルト
2及びナットを屋根材固定部材5の上面に突出させない
ためであり、屋根材6として瓦を使用する場合にも同様
に形成されていることが好ましい。
【0019】6は野地板本体1上に屋根材固定部材5を
介して固定される屋根材であり、水勾配方向における屋
根材固定部材5間では裏面に何ら当接しているものが無
く野地板本体1から浮いた状態で固定されるので、上方
からの荷重に対して比較的強い強度を有している瓦や段
葺き用屋根材や折板が使用できる。この屋根材6は、野
地板本体1上には固定されていない態様と、屋根材6が
瓦である場合には予め屋根材固定部材5を介して固定さ
れている態様とがある。即ち、後者の態様においては、
野地板本体1の表面側に突出固定されている固定用ボル
ト2の水勾配方向に直交する方向の間隔に対応する間隔
でボルト穴が穿設されている屋根材固定部材5がそのボ
ルト穴に固定用ボルト2を挿通させてナットにより野地
板本体1上に固定されており、屋根材である瓦6が、一
方の側縁側に固定される瓦6の側縁を野地板本体1の側
縁より中央側に位置させた状態にまた他方の側縁側に固
定される瓦6の側縁を野地板本体1の側縁より外方に突
出させた状態に、また上縁側に固定される瓦6の上縁を
野地板本体1の上縁より下流側に位置させた状態にまた
下縁側に固定される瓦6の下縁を野地板本体1の下縁よ
り外方に突出させた状態に、更に最も下縁側に固定され
る瓦6の略中央部も支持又は固定された状態に、それぞ
れ所定の傾斜状態が維持された状態に前記屋根材固定部
材5上に、野地板本体1上の略全面に亘って固定されて
いる。
【0020】7は野地板本体1を建築物の垂木又は母屋
材8に固定するための取付手段であり、野地板本体1の
裏面側には取付用ボルト3が突出固定されているので、
この取付用ボルト3により垂木又は母屋材8に係合,保
持等によって固定し得るものであれば良く、例えば図7
に示す如く垂木又は母屋材8を保持せしめる断面L状等
に形成された保持部7aaと、この保持部7aaの端縁から直
角に屈曲されており取付用ボルト3が挿通されるボルト
穴7acが穿設されている固定部7abとが形成されている断
面Z状等の取付部材7aを保持部7aaで垂木又は母屋材8
を保持させ、固定部7abのボルト穴7acに取付用ボルト3
を挿通させてナット7bにより締結することによって野地
板本体1を垂木又は母屋材8に取り付ける構成を示すこ
とができる。尚、この態様において、取付用ボルト3が
野地板本体1の山部1aの頂部の裏面に溶接により固定さ
れている場合には固定部7abが野地板本体1の山部1aの
頂部の裏面に当接するように保持部7aaの上部の長さを
長く突出させた形状のものとすれば良い。
【0021】このような本発明に係る金属製野地板を使
用して屋根を葺くには、建築物の垂木又は母屋材8に野
地板本体1を取り付ける作業を行う。この作業は、先ず
施工すべき屋根面の軒先側の側端部位置に野地板本体1
を配置し、取付手段7によって建築物の垂木又は母屋材
8に取り付ける。即ち、野地板本体1の裏面側には取付
用ボルト3が溶接により突出固定されているので、図6
及び図7に示した実施例の如く取付手段7として断面Z
状の取付部材7aを使用する場合にはこの取付部材7aの保
持部7aaで建築物の垂木又は母屋材8を保持させると共
に固定部7abのボルト穴7acに取付用ボルト3を挿通させ
ナット7bにより取付部材7aを野地板本体1に締結させて
取り付ける。次に、その取り付けられた野地板本体1の
側縁部に隣接して取り付けられる野地板本体1の側縁部
を重ね合わせて取付手段7によって建築物の垂木又は母
屋材8に取り付ける作業を側方に順次繰返し行うと共
に、既に取り付けられた野地板本体1の上縁部に次に固
定される野地板本体1の下縁部を重ね合わせて取付手段
7によって建築物の垂木又は母屋材8に取り付ける作業
を水勾配方向上流側に順次繰返し行えば良い。
【0022】また、野地板本体1上に屋根材固定部材5
を介して屋根材6が固定されていない場合には、前記作
業の後に、先ず屋根材固定部材5を野地板本体1の水勾
配方向と直交する方向にその長手方向を配して野地板本
体1の表面側に突出固定されている固定用ボルト2の間
隔に対応した位置に穿設されているボルト穴に野地板本
体1の固定用ボルト2を挿通させてナット2bにより締結
固定する。
【0023】そして、次に野地板本体1に締結固定され
た屋根材固定部材5に屋根材6を固定するのである。こ
の屋根材6の固定は、瓦,段葺き及び折板の固定にそれ
ぞれ行われていた従来方法と同様に、釘,タッピンビ
ス,吊子等の固定具6aを使用して行われる。
【0024】即ち、屋根材6として瓦を使用する場合に
は、瓦6が屋根材固定部材5により支持されるように、
水勾配方向と直交する方向については先に固定された瓦
6の側縁部に次に固定すべき瓦6の側縁部を単に重ね合
わせて瓦6に予め貫通穿設されている貫通孔を貫通して
釘を屋根材固定部材5に打ち込んで固定する作業を側方
に順次繰返し行えば良く、また水勾配方向については先
に固定された瓦6の上縁部に次に固定すべき瓦6の下縁
部を単に重ね合わせて瓦6に予め貫通穿設されている貫
通孔を貫通して釘を屋根材固定部材5に打ち込んで屋根
材固定部材5に固定する作業を水勾配方向上流側に順次
繰返し行えば良い。
【0025】また、屋根材6として段葺き用の屋根材を
使用する場合には、水勾配方向と直交する方向について
は先に固定された段葺き用の屋根材6の側縁部に次に固
定すべき段葺き用の屋根材6の側縁部を係合させてその
上縁部と下縁部とを屋根材固定部材5上に支持させると
共に上縁部の係合部に係合させた吊子を屋根材固定部材
5に釘打ちにより固定する作業を側方に順次繰返し行え
ば良く、また水勾配方向については先に固定された段葺
き用の屋根材6の上縁部に次に固定すべき段葺き用の屋
根材6の下縁部を係合させてその上縁部と下縁部とを屋
根材固定部材5上に支持させると共に上縁部の係合部に
係合させた吊子を屋根材固定部材5に釘打ちにより固定
する作業を水勾配方向上流側に順次繰返し行えば良い。
【0026】また、屋根材6として折板屋根材を使用す
る場合には、屋根材固定部材5上に水勾配方向と直交す
る方向に耐食性を有する金属板から成るタイトフレーム
を固定し、このタイトフレームに吊子を介して折板屋根
材6をその側縁部同士が係合するように固定する作業を
水勾配方向と直交する方向に順次繰返し行えば良い。
【0027】尚、屋根材6として瓦を使用する場合に
は、瓦6が屋根材固定部材5上に固定されていれば前述
した如くいずれの方向についても既固定の瓦6の縁部に
次に固定される瓦6の縁部を重ね合わせるだけで良いの
で、水勾配方向と直交する方向及び水勾配方向について
連結相手側の瓦を固定された野地板本体1の互いに対応
する各縁部を重ね合わせることができるように、水勾配
方向と直交する方向については一方の側縁側では平面で
見て野地板本体1の側縁部が現われる状態とすべく固定
される瓦6の側縁を野地板本体1の側縁より中央側に位
置させた状態に、他方の側縁側では固定される瓦6の側
縁を野地板本体1の側縁より外方に突出させた状態に、
また水勾配方向については上縁側では平面で見て野地板
本体1の上縁部が現われる状態とすべく固定される瓦6
の上縁を野地板本体1の上縁より下流側に位置させた状
態に、下縁側では固定される瓦6の下縁を野地板本体1
の下縁より外方に突出させた状態に、更に最も下縁側に
固定される瓦6はその略中央部も支持又は固定された状
態に、それぞれ所定の傾斜状態が維持された状態に前記
屋根材固定部材5上に、予め工場等で野地板本体1上の
略全面に瓦6を固定した状態としておくと、先に建築物
の垂木又は母屋材8に取り付けられている瓦6を固定さ
れた野地板本体1の側縁部及び瓦6の側縁部に次に建築
物の垂木又は母屋材8に取り付けるべき瓦6を固定され
た野地板本体1のそれぞれ対応する野地板本体1の側縁
部及び瓦6の側縁部を重ね合わせる作業を側方に順次繰
返し行うと共に、既に建築物の垂木又は母屋材8に取り
付けられた瓦6を固定された野地板本体1の上縁部及び
瓦6の上縁部に次に建築物の垂木又は母屋材8に取り付
けるべき瓦6を固定された野地板本体1のそれぞれ対応
する野地板本体1の下縁部及び瓦6の下縁部を重ね合わ
せる作業を水勾配方向上流側に順次繰返し行うだけで、
全面に瓦6が葺かれた屋根面を短期間に簡単に施工する
ことができる。
【0028】また野地板本体1の端縁部であって施工時
に隣接して配置される連結相手側の金属製野地板の野地
板本体1と重ね合わされる部分の表面又は裏面に、シー
ラント4が貼り付けられていると、側方又は水勾配方向
に連結された野地板本体1の重ね合わせられている部分
から毛細管現象や屋根裏との圧力差や水圧等に起因する
屋根裏側への水の浸入を完全に防止することができて好
ましい。
【0029】
【発明の効果】このように構成されている本発明に係る
金属製野地板を使用して屋根を葺くと、野地板本体は山
部と谷部とがそれぞれ平行に複数形成されているので、
曲げ剛性が大きく強度を有しているので豪雪地帯でも充
分の耐久性を有しているばかりか、屋根材を固定するた
めの屋根材固定部材が野地板本体の谷部に存在していな
いので、施工状態において漏水,結露水,すが漏れ等に
よって屋根面を構成している屋根材の裏面側に存在する
水を谷部に沿って水勾配方向下流側に確実に流下させる
ことができる。
【0030】また、野地板本体は耐食性を有する金属板
より形成されているので、施工状態において漏水,結露
水,すが漏れ等によって屋根面を構成している屋根材の
裏面側に存在する水によって腐食し難く、長年に亘って
耐漏水性に優れた状態を維持することができる。
【0031】また、野地板本体の表面側に屋根材固定部
材を固定するために突出固定されている固定用ボルト
と、裏面側に建築物の垂木又は母屋材に取り付けるため
に突出固定されている取付用ボルトとは、野地板本体に
貫通穴を形成されることなく溶接により固定されている
ので、施工状態において漏水,結露水,すが漏れ等に起
因する屋根材の裏面側に存在する水が野地板本体を通っ
て屋根裏側に浸入することが無い。
【0032】また、この金属製野地板の裏面側に断熱材
が貼り付けられていると建築物の断熱性能が向上すると
共に雨音などの遮音性能も向上するのである。
【0033】更に、野地板本体の端縁部であって施工時
に隣接して配置される連結相手側の金属製野地板の野地
板本体と重ね合わされる部分の表面又は裏面にシーラン
トが貼り付けられていると、隣接する野地板本体がその
端縁部同士をシーラントを介して重ね合わせられて取り
付けられるので、水勾配方向及び水勾配方向と直交する
方向に連結された野地板本体の重ね合わせられている部
分から毛細管現象や屋根裏との圧力差や水圧等に起因す
る屋根裏側への水の浸入を完全に防止することができ、
耐漏水性に優れた状態に屋根を葺くことができる。
【0034】そして、屋根材として瓦を使用する場合に
は、野地板本体に突出固定されている固定用ボルトの幅
方向の間隔に対応する間隔でボルト穴が穿設されている
屋根材固定部材が、該ボルト穴に固定用ボルトを挿通さ
せてナットにより野地板本体に固定されており、該屋根
材固定部材に屋根材である瓦が、一方の側縁側に固定さ
れる瓦の側縁を野地板本体の側縁より中央側に位置させ
た状態にまた他方の側縁側に固定される瓦の側縁を野地
板本体の側縁より外方に突出させた状態に、また上縁側
に固定される瓦の上縁を野地板本体の上縁より下流側に
位置させた状態にまた下縁側に固定される瓦の下縁を野
地板本体の下縁より外方に突出させた状態に、更に最も
下縁側に固定される瓦が略中央部を野地板本体に固定さ
れた屋根材固定部材に支持又は固定され所定の傾斜状態
が維持された状態に、屋根材である瓦が野地板本体の略
全面に亘って屋根材固定部材を介して固定されている
と、高所での作業が少なくしかも簡単な作業のみで屋根
を葺くことができ、安全性に優れていると共に作業効率
に非常に優れており、屋根葺き作業を短期間で行うこと
ができる。
【0035】そして屋根材である瓦が野地板本体の略全
面に亘って固定されている態様において、この野地板本
体の裏面側に突出されている取付用ボルトが山部の頂部
の裏面に溶接により固定されており且つ谷部の裏面より
裏側に突出しない高さであると、金属製野地板を積み重
ねた際に裏面側に取付用ボルトが突出されているにも拘
らずスペースを取らずに運搬することができて運搬効率
が向上するのである。
【0036】このように種々の効果を奏する本発明に係
る金属製野地板は、その工業的価値の非常に大きなもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属製野地板の1実施例を示す斜
視図である。
【図2】図1に示す金属製野地板の正面図である。
【図3】本発明に係る金属製野地板の他の実施例の図1
に相当する正面図である。
【図4】本発明に係る金属製野地板の更に他の実施例の
構成を示す説明用斜視図である。
【図5】図4に示す金属製野地板の構成を側面図であ
る。
【図6】本発明に係る金属製野地板を使用して葺かれた
屋根を示す断面説明図である。
【図7】本発明に係る金属製野地板を建築物の垂木又は
母屋材に取り付けるための取付手段の1例を示す説明用
斜視図である。
【符号の説明】
1 野地板本体 1a 山部 1b 谷部 2 固定用ボルト 3 取付用ボルト 4 シーラント 5 屋根材固定部材 5a 座ぐり 6 屋根材 6a 固定具 7 取付手段 7a 保持部材 7aa 保持部 7ab 固定部 7ac ボルト穴 7b ナット 8 垂木又は母屋材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐食性を有する金属板より成り山部(1a)
    と谷部(1b)とがそれぞれ平行に複数形成されている野地
    板本体(1)に、表面側では山部(1a)の頂部に水勾配方向
    及び水勾配方向に直交する方向にそれぞれ所定の間隔を
    隔てて固定用ボルト(2)が溶接により突出固定されてお
    り、また裏面側では所定の位置に取付用ボルト(3)が溶
    接により突出固定されていることを特徴とする金属製野
    地板。
  2. 【請求項2】 裏面側に断熱材が貼り付けられている請
    求項1に記載の金属製野地板。
  3. 【請求項3】 野地板本体(1)の端縁部であって施工時
    に隣接して配置される連結相手側の金属製野地板の野地
    板本体(1)と重ね合わされる部分の表面又は裏面に、シ
    ーラント(4)が貼り付けられている請求項1又は2に記
    載の金属製野地板。
  4. 【請求項4】 野地板本体(1)の表面側に突出固定され
    ている固定用ボルト(2)の水勾配方向に直交する方向の
    間隔に対応する間隔でボルト穴が穿設されている屋根材
    固定部材(5)が該ボルト穴に該固定用ボルト(2)を挿通
    させてナットにより野地板本体(1)上に固定されてお
    り、屋根材である瓦(6)が、一方の側縁側に固定される
    瓦(6)の側縁を野地板本体(1)の側縁より中央側に位置
    させた状態にまた他方の側縁側に固定される瓦(6)の側
    縁を野地板本体(1)の側縁より外方に突出させた状態
    に、また上縁側に固定される瓦(6)の上縁を野地板本体
    (1)の上縁より下流側に位置させた状態にまた下縁側に
    固定される瓦(6)の下縁を野地板本体(1)の下縁より外
    方に突出させた状態に、更に最も下縁側に固定される瓦
    (6)はその略中央部も支持又は固定された状態に、それ
    ぞれ所定の傾斜状態が維持された状態に前記屋根材固定
    部材(5)上に、野地板本体(1)上の略全面に亘って固定
    されている請求項1から3までのいずれか1項に記載の
    金属製野地板。
  5. 【請求項5】 裏面側に突出されている取付用ボルト
    (3)が山部(1a)の頂部の裏面に溶接により固定されてお
    り且つ谷部(1b)の裏面より裏側に突出しない高さである
    請求項4に記載の金属製野地板。
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