JPH10512439A - 新規ポリペプチド - Google Patents

新規ポリペプチド

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JPH10512439A
JPH10512439A JP8516759A JP51675996A JPH10512439A JP H10512439 A JPH10512439 A JP H10512439A JP 8516759 A JP8516759 A JP 8516759A JP 51675996 A JP51675996 A JP 51675996A JP H10512439 A JPH10512439 A JP H10512439A
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pbp
penicillin
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protein
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バルガネツシユ,タンジヨール・サウンダララージヤン
タウン,クリステイーン・メアリー
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アストラ・アクチエボラーグ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、細菌のペプチドグリカン生合成に関与するタンパク質であるペニシリン結合タンパク質(PBP)の変異体に関する。上記PBP変異体をコードするDNA分子、ならびにこのようなDNA分子が導入されたベクターおよび細胞も開示されている。本発明はまた、PBPに高い親和性を有する治療的に有用な化合物を検定および設計する方法において、上記PBP変異体を利用する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 新規ポリペプチド 技術分野 本発明は、細菌のペプチドグリカン生合成に関与するタンパク質であるペニシ リン結合タンパク質(PBP)の変異体に関する。上記PBP変異体をコードするDNA 分子、ならびにこのようなDNA分子が導入されたベクターおよび細胞も開示され る。本発明はまた、上記PBP変異体を利用してPBPに高い親和性を有する治療的に 有用な化合物を検定および設計する方法に関する。 背景技術 細菌および大部分の他の単細胞生物は、ペプチドグリカンと呼ばれる架橋され た多糖−ペプチド複合体からなる細胞壁を有する。ペプチドグリカンの生合成は (1)サイトゾル内での前駆体(糖ヌクレオチド)の合成、(2)膜を横切る前駆体 の輸送および多糖鎖の形成、ならびに(3)細胞壁内における個々のペプチドグリ カン鎖の架橋の3段階から構成される。 ペプチドグリカン生合成の最終段階においては、発生したグリカン鎖と既存の ペプチドグリカンの間に新たな結合が形成されなければならない。新たに合成さ れた鎖は約10二糖長であり、トランスグリコシラーゼ酵素によって約100〜150二 糖単位の最終グリカン鎖に伸長される。ペプチドグリカンは、1つのグリカン鎖 の末端D-Alaを隣接領域におけるジアミノピメリン酸残基上の遊離ε−アミノ基 に連結させるトランスペプチダーゼの作用によって架橋される。 多くの抗生物質は、ペプチドグリカン層の形成を妨害することによって細菌の 増殖を阻害する。架橋反応は、2つの重要なクラスのこのよう な抗生物質、ペニシリンおよびセファロスポリン類の作用の標的である。ペニシ リンは架橋を触媒するトランスペプチダーゼと不可逆的に反応すると考えられる 。 ペニシリン相互作用タンパク質は、3つのグループに分類される。すなわち、 β−ラクタマーゼ、主としてカルボキシペプチダーゼを含む低分子量−ペニシリ ン結合タンパク質(PBP)および高分子量−ペニシリン結合タンパク質である。ペ ニシリン結合タンパク質は放射標識ペニシリンGと結合することが明らかにされ たそれらの酵素である。Escherichia coli(大腸菌)では、このようなタンパク 質は、たとえばPBP 1AおよびPBP 1Bと呼ばれて、いずれも高分子量−PBPクラス に属する。膜結合タンパク質であることが知られているPBP 1AおよびPBP 1Bは細 胞の統合性を維持し、増殖時におけるペプチドグリカン側の壁部の伸長を制御す る。PBP 1AまたはPBP 1Bのいずれかを不活性化しても細菌は耐容性を示すが、一 方、ponAおよびponBと命名されている両遺伝子の欠失は致死的である(Yousifら ,1985)。 PBP 1Bはトランスペプチダーゼおよびトランスグリコシラーゼ両活性をもつ二 機能性酵素であることが知られている(Ishinoら,1980)。PBP 1Aは、PBP 1Bを 代用できることから、二機能性であると考えられる。β−ラクタム抗生物質たと えばペニシリンは、これらのタンパク質のトランスペプチダーゼ活性のみを阻害 する。 トランスグリコシラーゼ反応は、たとえば、動物の栄養飼料中に成長促進物質 として用いられるリン糖脂質であって、広範なスペクトルの殺菌活性を有するこ とが明らかにされているモエノマイシンによって阻害される。酵素トランスグリ コシラーゼは、大腸菌、Staphylococcusaureus(黄色ブドウ球菌)、Bacillus m egaterium(変敗菌)および Bacillus subtilis(枯草菌)に存在することが明らかにされている。これは、 トランスグリコシラーゼの阻害によるペプチドグリカン生合成の妨害が臨床的に 重要なすべての病原菌において致死的である可能性を示唆するものである。 PBP 1Bのトランスグリコシラーゼドメインの候補としては、N末端の478アミ ノ酸がアサインされている(Nakagawaら,1987)。この領域は、PBP 1AおよびPBP 1B両方のN末端ハーフ間で保存されている3つのアミノ酸連鎖を包含し、これら はトランスグリコシラーゼ活性に関与する残基である可能性が考えられる。 黄色ブドウ球菌からペニシリン結合タンパク質2Aの調製は EP-A-0505151に 開示されている。 発明の開示 抗生物質に抵抗性を示す細菌の報告数が増加している。したがって、ペニシリ ン結合タンパク質に結合することによって細菌の増殖を阻害する新規化合物の要 求がある。本発明は、PBPに高い親和性を有する治療的に有用な化合物の検定お よび設計方法を容易にするPBP変異体を提供する。 すなわち、本発明の目的は、細菌の二機能性ペニシリン結合タンパク質の水溶 性の活性誘導体であるポリペプチドを提供することにある。この場合、上記ペニ シリン結合タンパク質は、細菌細胞内で発現されたときその細胞膜に結合し、ト ランスグリコシラーゼおよびトランスペプチダーゼ両活性を発揮することが可能 であり、上記誘導体は、膜結合配列を欠くが上記酵素活性の一方もしくは両方を 発揮する能力は維持している。上述の「細菌細胞」は好ましくは大腸菌細胞または Streptococcuspneumoniae(肺炎連鎖球菌)細胞である。 本発明の可溶性PBP変異体はトランスグリコシラーゼ活性を維持し、可溶性PBP 変異体は膜結合配列を欠いても、脂質連結基質を認識し、二糖を反復単位に重合 できることを示している。したがって、膜への付着に関与する残基を欠く他のPB P類縁体も酵素機能を有するものと想定できる。 可溶性PBP変異体のペニシリン相互作用領域と相互作用する分子は、野生型PBP に同様に相互作用できるものと考えられる。したがって、本発明の可溶性PBP変 異体は、野生型ペニシリン結合タンパク質と相互作用する化合物の同定に使用す ることができる。 さらに、膜結合タンパク質は結晶化が極めて困難なこともよく知られている。 可溶性の酵素的に活性なPBP変異体は結晶化に使用することが可能で、したがっ て、高分子量−PBPを阻害する治療用化合物の、X−線結晶解析に基づく理論的 設計を容易にするものである。 本発明の他の目的は細菌の二機能性ペニシリン結合タンパク質の部分的に切断 された水溶性誘導体であるポリペプチドを提供することにある。この場合、上記 ペニシリン結合タンパク質は細菌細胞内で発現されたときその細胞膜に結合し、 トランスグリコシラーゼおよびトランスペプチダーゼ両活性を発揮することが可 能であり、上記誘導体は膜結合配列を欠くがトランスグリコシラーゼ活性を発揮 する能力は維持する。上述の「細菌細胞」は好ましくは大腸菌細胞である。 高分子量−ペニシリン結合タンパク質のアミノ酸配列のアラインメントならび にβ−ラクタマーゼおよびカルボキシペプチダーゼのペニシリン結合に関与する モチーフのコンピレーションにより、PBP 1AおよびPBP 1BのC末端ハーフはトラ ンスペプチダーゼ活性の機能性ドメインであり、ペニシリン結合ドメインを包含 することが示唆された。これに加 え、Nakagawaら(1987)はPBP 1BのN末端478アミノ酸をコードするトランケィテ ッドponB遺伝子にトランスグリコシラーゼ反応の能力があることを示した。 これらの所見に基づき、高分子量PBP 1Aおよび1Bタンパク質は2ドメインタン パク質であり、そのN末端ハーフはトランスグリコシラーゼドメインを形成し、 C末端ハーフはトランスペプチダーゼドメインを形成することが示唆された。こ れら2つのドメインは、コンピューター解析によりそのタンパク質の機能には構 造的にもまた酵素的にも寄与しないリンカーもしくはヒンジ領域によって連結さ れていると予想された。大腸菌PBP 1Bのリンカー領域は位置545〜559からであり 、大腸菌PBP 1Aでは位置501付近であると予想されている。 本発明によるPBPの一機能性トランケィテッド変異体は、X−線結晶解析に用 いた場合、ペニシリン結合タンパク質のトランスグリコシラーゼドメインの構造 情報の取得を容易にする。さらに、一機能性変異体におけるサイズの低下は結晶 化を容易にするものである。 好ましい形態では、本発明の水溶性ポリペプチドは配列表における配列番号: 2、4、6、12または13と同一のアミノ酸配列を有する。 ponAおよびponB両遺伝子の欠失が致死的であるとの観察(Yousifら,1985)は 、その欠失がトランスグリコシレーションおよびトランスペプチデーション活性 の両方を喪失させるので、コードされたPBP 1Aタンパク質のトランスグリコシラ ーゼ活性の本体に関する疑問を解決しない。さらに、この実験ではPBP 1Aまたは PBP 1B以外の他のペニシリン結合タンパク質がトランスグリコシラーゼ酵素活性 に寄与できる可能性を解決するものでもない。トランスグリコシラーゼ活性に寄 与するこれまで報告されていないペニシリン結合タンパク質および/または他の タンパク 質が存在する可能性もある。 ミノ酸のアラインメントにより、これらの2つのタンパク質のN末端ハーフ内で 12中9(領域1)、9/10(領域2)および8/10(領域3)が同一アミノ酸の3つの 連鎖が明らかにされた(Broome-Smithら,1985)(図14)。この同一の3つの領域は 、最近報告された他の2つのタンパク質配列、すなわち肺炎連鎖球菌PBP 1A(Ma rtinら,1992)およびHaemophilusinfluenzae(インフルエンザ菌)からの94 kDa タンパク質(Tombら,1991)中でも同様に保存されている。このように多様な種に おけるこれらの残基の保存は、そのタンパク質の構造面の維持またはトランスグ リコシレーション反応自体におけるそれらの決定的な要求を示唆するものである 。 PBP 1Aおよび1Bの重複した機能性トランスグリコシラーゼおよびトランスペプ チダーゼ活性はまた触媒中心の保存ならびにPBP 1Aの触媒中心と相互作用するよ うに設計された分子がPBP 1Bとも反応する可能性を示唆する。 発現されたタンパク質の機能性トランスグリコシラーゼ活性は、適当な基質を 用いる直接的インビトロアッセイ、またはそのタンパク質が染色体中の相当する 遺伝子の欠失を相補する能力を測定するアッセイにより検討することができる。 野生型生成物(PBP 1AまたはPBP 1B)をコードする遺伝子をもつプラスミドが大 腸菌細胞の生存能を維持できることが明らかにされている(Yousifら,1985)。 このトランス相補方法は、一方の酵素(トランスグリコシレーションまたはトラ ンスペプチデーション)機能が不活性化された突然変異を有するPBPをコードす る突然変異遺伝子の機能的性質を評価するために使用できる。このような突然変 異生成物が染色体ponAおよびponB遺伝子の欠失をトランスに相補する能 力によれば、各酵素機能に必須の要求が同定できる。 したがって、ペニシリン結合タンパク質のトランスグリコシラーゼ活性の特異 的な不活性化の影響の検討を可能にする研究手段が必要である。 したがって、本発明の他の態様は細菌の二機能性ペニシリン結合タンパク質の トランスグリコシラーゼ活性欠損誘導体であるポリペプチドであり、この場合、 上記ペニシリン結合タンパク質は、細菌細胞内で発現されたときその細胞膜に結 合し、トランスグリコシラーゼおよびトランスペプチダーゼ両活性を発揮するこ とが可能であり、上記誘導体はトランスグリコシラーゼ活性を発揮する能力は欠 くがトランスペプチダーゼ活性を発揮する能力は維持している。上述の「細菌細 胞」は好ましくは大腸菌細胞である。 トランスグリコシラーゼ欠損PBP変異体は、PBPの活性部位の構造的情報の取得 の目的でのX−線結晶解析に有利に使用することができる。可溶性のトランスグ リコシラーゼ欠損PBP変異体の結晶型の構造解析によれば、触媒領域の描写が可 能になり、トランスグリコシラーゼ活性を特異的に阻害できる分子の設計が容易 になる。 好ましい形態においては、本発明のトランスグリコシラーゼ欠損ポリペプチド は、上記ポリペプチドをコードする遺伝子の第二の保存領域における突然変異ま たは欠失により、トランスグリコシラーゼ活性を欠くポリペプチドである。 さらに好ましい形態では、本発明のトランスグリコシラーゼ欠損ポリペプチド は配列表の配列番号:7、8、9または10と同一のアミノ酸配列を有する。 ペニシリン結合タンパク質の濃縮に用いられる慣用の精製操作では 「ペニシリン」親和性が使用されてきた。タンパク質のペニシリンへの結合は共 有結合であり、結合したタンパク質を溶出するためには過酷な条件が要求される 。これがタンパク質の酵素活性のある程度の不活性化を招くことがある。したが って、タンパク質の効率的な精製には別の親和性マトリックスが必要である。 したがって、本発明は、(a)本発明のPBP変異体である第一のポリペプチドと( b)親和性マトリックスへの結合を可能にする付加的ポリペプチドからなり、上 記両ポリペプチドの間に切断部位が存在するポリペプチドを包含する。 上述の「付加的ポリペプチド」は、好ましくはグルタチオン−S−トランスフ ェラーゼまたはグルタチオン−S−トランスフェラーゼと実質的に類似のポリペ プチドである。このような付加的ポリペプチドは、Glutathione Sepharose(登 録商標)親和性マトリックスを用いるタンパク質の迅速な精製を可能にする。他 の好ましい形態では、付加的ポリペプチドはヒスチジン残基に富むポリペプチド であり、この残基はタンパク質にNi親和性カラムへの結合能を付与する。付加的 ポリペプチドは可溶性/膜結合PBPのN末端またはC末端のいずれかに融合させ ることができる。 親和性マトリックスへの融合タンパク質の結合能はタンパク質の固定化を可能 にする。このような固定化タンパク質は、結合活性タンパク質への様々なリガン ドの競合的結合の解析に、すなわち、興味ある酵素ドメインに結合する化合物の スクリーニングに使用することができる。 本発明のポリペプチドは配列表に示すいずれかの配列に厳密に限定されるもの ではない。そうではなく本発明は、置換、小部分の欠失、挿入または逆位のよう な修飾を有するが、配列表に開示されたアミノ酸配列 のPBP変異体の生化学的活性を実質的に有するポリペプチドを包含する。したが って本発明は、本発明のPBP変異体のいずれかのアミノ酸配列と少なくとも90% 、好ましくは少なくとも95%のホモロジーを示すアミノ酸配列を有するポリペプ チドを包含する。 本発明の他の目的は、本発明のPBP変異体のいずれかをコードするヌクレオチ ド配列を有する単離および精製DNA分子を提供することにある。 本発明の好ましい形態においては、上記DNA分子は配列表の配列番号:1、3 または5と同一のヌクレオチド配列を有する。しかしながら、本発明のDNA分子 は配列表に示すいずれかの配列に厳密に限定されるものではない。そうではなく 本発明は、置換、小部分の欠失、挿入または逆位のような修飾を有するが、本発 明によるPBP変異体の生化学的活性を実質的に有するタンパク質をコードするDNA 分子を包含する。 本発明はまた、本発明によるPBP変異体をコードする上記ヌクレオチド配列と 遺伝子暗号が縮重するヌクレオチド配列を有するDNA分子を包含する。遺伝子暗 号の天然の縮重は本技術分野において周知である。すなわち、配列表に示すDNA 配列は配列表に示すアミノ酸配列のPBP変異体をコードする多くの、ただし特定 のグループのDNA配列中の例にすぎないことを理解すべきである。 本発明のさらに他の態様は、本発明のDNA分子を有し、その発現を誘導できる 複製可能な発現ベクターである。この場合、「複製可能」の語は、ベクターが導 入された与えられた種類の宿主細胞内において複製できることを意味する。ベク ターの例はウイルス、たとえばバクテリオファージ、コスミド、プラスミドおよ び他の組換えベクターである。核酸分子は本技術分野において周知の方法により ベクターゲノム中に挿入さ れる。本発明のベクターは、好ましくは以下の表1に掲げるプラスミドの一つと することができる。 本発明はまた、本発明によるベクターが導入された宿主細胞を包含する。この ような宿主細胞は、原核細胞、単細胞真核細胞または多細胞生物体から誘導され る細胞とすることができる。すなわち、宿主細胞はたとえば、細菌、酵母または 哺乳動物細胞とすることができる。宿主細胞へのベクターの導入を行うために用 いられる方法は組換えDNA技術の熟練者には周知の通りである。 本発明のさらに他の態様は、ペニシリン結合タンパク質の誘導体であるポリペ プチドの製造方法において、本発明の宿主細胞をポリペプチドの発現のための培 養培地中または培養培地上で増殖させ、所望によりそのポリペプチドを回収する ことからなる方法である。適当な宿主細胞は上述の任意の細胞型とすることがで き、細胞の増殖に用いられる培地はその目的に適した任意の慣用培地とすること ができる。 高分子量−ペニシリン結合タンパク質は膜に結合することが示されているが、 タンパク質の大部分は、細胞の細胞周辺腔内に存在する(Edelmanら,1987)。 したがって、膜シグナル/結合配列を欠くPBP誘導体は異種環境すなわちサイト ゾル内ではそれらのネイティブな状態へのフォールディングを強いられる。これ はミスフォールディングを生じることが多く、発現したタンパク質の大部分は封 入体と呼ばれる不活性型に凝集する。 上記PBP変異体をコードする遺伝子の調節された転写によれば、驚くべきこと に、高収率の活性な水溶性PBP変異体が得られることが見出された。このような 調節された転写は、(i)至適以下の濃度のインデューサー、イソプロピルチオガ ラクトシド(IPTG)の使用、および(ii)PBP 変異体を発現する細胞の低温における培養を包含する。これらの因子の累積効果 が活性な可溶性タンパク質の総回収率に寄与する。その結果、(i)プロモーター 系の至適以下の脱抑制および(ii)培養温度の低下による世代時間の延長の上述の 組合せによって達成される発現速度の低下が、膜結合セグメントを欠くタンパク 質の溶解度を上昇させることになる。 本発明のさらに他の重要な態様は、本発明による水溶性ポリペプチドの製造方 法において、上記ポリペプチドのDNAコード配列をイソプロピルチオガラクトシ ド(IPTG)誘導性プロモーターの制御下に有する発現ベクターが導入された大腸 菌細胞を培養することからなり、この培養を上記プロモーターの誘導に至適以下 の濃度のIPTGの存在下、20〜24℃の範囲の温度、好ましくは22℃で行う方法であ る。IPTGの濃度は約0.01mMとすることが好ましい。 本発明のPBP変異体をコードする遺伝子、ponA del 23の発現の場合、(i)至適 以下濃度のインデューサー、IPTGの使用によるT7プロモーターの制御された脱 抑制および(ii)22℃における培養による増殖速度の低下によって調節された転写 によれば誘導された総タンパク質のほぼ50%に達する活性タンパク質収率が得ら れる。この増殖および誘導条件は、より高い温度での増殖またはより高いIPTG濃 度での誘導では大部分のタンパク質が不活性化し封入体を形成することから、可 溶性タンパク質の効率的な回収に必須であった。 制御された発現のためのこの方法は、他の誘導性プロモーター系、たとえばイ ンデューサーがIPTGで宿主がlacY陰性宿主の場合のtac系にも適用可能であると 考えられる。 酵素の活性部位コンフィギュレーションに関する関連構造情報を得る経路は、 酵素反応を阻害できるモノクローナル抗体の産生と特性解析で ある。活性を阻害する抗体は、基質の活性部位ポケットへの進入を遮断するかも しくはそれと競合する分子であるか、または触媒活性に必要な構造転位を妨害で きる分子である。いずれの場合も、これらの抗体は、阻害抗体の親和性が既知で あれば、相互作用の親和性を判断すべき放射標識阻害化合物の結合と標的酵素の 相互作用の定量手段として使用できる。さらに、阻害抗体によって認識されるエ ピトープのマッピングに使用すれば、活性部位を形成する残基の描出が可能であ る。 したがって、本発明のさらに他の態様は、細菌の二機能性ペニシリン結合タン パク質を結合できる抗体の同定方法において、本発明によるポリペプチドを抗体 結合アッセイに使用し、ポリペプチドに結合する抗体を選択する工程を包含する 方法である。 本発明はまた本発明のPBP変異体に対するモノクローナル抗体を包含する。こ のようなモノクローナル抗体は、免疫処置動物からの抗体産生B細胞を骨髄腫細 胞と融合し、所望の抗体を産生する得られた融合腫細胞系を選択することにより 、既知の融合腫技術を用いて調製することができる。 本発明の他の態様は、ペニシリン結合タンパク質に結合する化合物の検定方法 において、(a)本発明のPBP変異体であるポリペプチドを検討すべき化合物と接 触させ、ついで(b)上記化合物が上記PBP変異体に結合するかどうかを検出する ことからなる方法である。 たとえば、ペニシリン結合タンパク質に結合する化合物の検定方法は、(a)本 発明の宿主細胞を培養し、(b)上記細胞を溶解させて粗製の細胞抽出物を単離し 、(c)上記細胞抽出物をペニシリン結合タンパク質の潜在的インヒビターに暴露 し、(d)ペニシリン結合タンパク質に結合することが既知の物質を上記細胞抽出 物に導入し、(e)上記物質の非結合分 画を除去し、ついで(f)細胞抽出物中に残存する上記物質の存在をアッセイする ことからなる方法とすることができる。 ペニシリン結合タンパク質に結合する化合物の他の検定方法は、(a)本発明の PBP変異体であるポリペプチドを固体支持体上に固定化してペニシリン結合タン パク質の潜在的インヒビターに暴露し、(b)固定化したポリペプチドにペニシリ ン結合タンパク質に結合することが既知の物質を暴露し、(c)上記物質の非結合 分画を除去し、ついで(d)固定化したポリペプチドに結合した上記物質の存在を アッセイすることからなる方法とすることができる。 好ましい形態においては、上記方法は、ペニシリン結合タンパク質のトランス グリコシラーゼドメインに結合する化合物の検定方法であり、(a)本発明のポリ ペプチドのトランスグリコシラーゼドメインを、そのポリペプチドがトランスグ リコシラーゼ欠損PBP変異体ではないことを条件に、固体支持体上に固定化して ペニシリン結合タンパク質のトランスグリコシラーゼ活性の潜在的インヒビター に暴露し、(b)ペニシリン結合タンパク質のトランスグリコシラーゼドメインに 結合することが既知の物質を固定化したポリペプチドに暴露し、(c)上記物質の 非結合分画を除去し、ついで(d)固定化したポリペプチドに結合した上記物質の 存在をアッセイすることからなる方法である。 トランスペプチダーゼに特異的な抗体は、BIAcoreセンサーチップ表面に固定 化することができる。BIAcore(BIAは”Biospecific Interaction Analysis”の 略である)システムはPharmacia Biosensor,Swedenから入手できる。固定化され た抗体へのタンパク質の結合は放出RU−シグナルにより検出される。TPインヒビ ターのスクリーニングは、可溶性タンパク質を試験化合物と予めインキュベート する競合アッセイ により可能である。試験化合物のタンパク質への結合はTP特異的抗体へのタンパ ク質の結合の低下を生じることになる。同様に、トランスグリコシラーゼに特異 的なモノクローナル抗体はTGインヒビターのスクリーニングに使用できる。 同様の方法で、アンピシリンまたは改良モエノマイシンを表面にカップリング させ、BIAcoreへの導入に先立ちタンパク質を試験リガンドとプレインキュベー トする間接競合アッセイに使用することができる。 したがって、ペニシリン結合タンパク質に結合する化合物のさらに他の検定方 法は、(a)本発明のPBP変異体であるポリペプチドをペニシリン結合タンパク質 の潜在的インヒビターに暴露し、(b)ペニシリン結合タンパク質に結合すること が既知の物質を固体支持体上に固定化して上記ポリペプチドを暴露し、ついで( c)固定化した物質に結合したポリペプチドの存在をアッセイすることからなる 方法とすることができる。 好ましい形態においては、上記方法は、ペニシリン結合タンパク質のトランス グリコシラーゼドメインに結合する化合物の検定方法であり、(a)本発明のポリ ペプチドのトランスグリコシラーゼドメインを、そのポリペプチドがトランスグ リコシラーゼ欠損PBP変異体ではないことを条件に、ペニシリン結合タンパク質 の潜在的インヒビターに暴露し、(b)ペニシリン結合タンパク質のトランスグリ コシラーゼドメインに結合することが既知の物質を固体支持体上に固定化して、 上記ポリペプチドを暴露し、ついで(c)固定化した物質に結合したポリペプチド の存在をアッセイすることからなる方法である。 上述の「ペニシリン結合タンパク質に結合することが既知の物質」とは、たと えば、モノクローナル抗体もしくは標識抗生物質化合物たとえば[3H]アンピシリ ンとすることができる。 本発明の他の態様は、本発明のPBP変異体であるポリペプチドをX−線結晶解 析に利用することを特徴とする、ペニシリン結合タンパク質のタンパク構造の決 定方法である。 本発明の好ましいPBP変異体の一部の特徴を以下の表1にまとめる。表に掲げ たプラスミドはブタペスト条約により、the National Collections of Industri al and Marine Bacteria Limited(NCIMB),Aberdeen,Scotland,UKに寄託さ れた。寄託日は1994年6月28日である。 発明の実施例 以下の実施例において、「標準プロトコール」ならびに「標準操作」の用語は 、通常の実験マニュアル、たとえばSambrook,Fritsch & Maniatisのマニュアル (1989)にみられるプロトコールおよび操作と理解すべきである。 実施例 1 1.1.大腸菌PBP 1Aの可溶型をコードする遺伝子の構築 PBP 1Aの膜結合領域に包含される可能性のあるアミノ酸の残基をKyte & Dolit tle(1982)により報告されたコンピュータープログラムに従い推定した。N末端6 0アミノ酸の予想される疎水性を図1に示す。この疎水性プロフィルに基づき、 そのタンパク質の膜結合ドメインにはN末端23アミノ酸の寄与が深く関わってい ることが予想されたが、膜結合ドメインを必ずしも包含するとは考えられない。 したがって、この領域を推定的に「膜結合」関連領域と命名した。 ネイティブなponA遺伝子(野生型PBP 1Aをコードする)が導入されているプラス ミドpBS98はUniversity of Sussex,Brighton,UKのSchool of Biological Scie nces,Microbial Genetics GroupのB.S.Spratt教授から恵与された。pBS98の構 築についてはBroome-Smithら(1985)に記載されている。pBS98が導入された細胞 からのプラスミドDNAは、以下の標準プロトコールに従って調製された。 ポリメラーゼチェーン反応(PCR)に用いたオリゴヌクレオチドプライマーはApp lied Biosystems 380A型で合成した。使用した5′−オリゴヌクレオチドプライ マーはTG-82: とした。 TG-82は以下の特性を導入する。(1)それは発現された突然変異タンパク質の 2番目のアミノ酸として野生型PBP 1Aの24番目のアミノ酸(グリシン)をもつ生 成物をコードする突然変異ponA遺伝子の構築を可能にする。(2)それは制限酵素 NcoIによって認識されるDNA配列を導入する。これは適当なシステム内で発現さ れた場合、突然変異PBP 1Aの最初のアミノ酸に相当するコドンATGを導入する。 使用した3′−オリゴヌクレオチドプライマーはTG-64: とした。 TG-64は以下の特性を有する。(1)それは、PBP 1Aの構造タンパク質の850番目 のアミノ酸に続いて終結コドンを導入する。(2)それは、制限酵素BamH I部位を 導入し、適当な発現ベクターへのクローニングを容易にする。 これらのプライマーを使用し、鋳型としてpBS98DNAを用いて標準プロトコール に従いPCRを行った。約2.5 kbのDNAフラグメントが増幅された。フラグメントを 制限酵素NcoIで消化し、ついでBamHIにより消化した。この2.5 kb NcoI−Bam HI DNAフラグメントをついで、予めNcoIおよびBamHIで切断したベクターpBR3 29(Covarrubiasら,1982)にライゲートした。2つのDNAフラグメントのライゲー ションは標準プロトコールを用いて行い、ライゲーション混合物を大腸菌DH5α にトランスフォー ムした。トランスフォームされた細胞を、50μg/mlのアンピシリンを含むLBア ガールプレート上にて平板培養した。37℃で一夜インキュベートしたのち、Nco I−BamHI領域への挿入によりプラスミドをクロラムフェニコールおよびテトラ サイクリン感受性にして、個々のアンピシリン抵抗性コロニーについて、それら のテトラサイクリン感受性を試験した。2.5 kb挿入体を有する組換えプラスミド はpARC 0488と命名した。 NcoI−BamHI 2.5 kb DNAフラグメントをpARC 0488から放出させ、NcoI−Ba mHI切断、精製pARC 038(図2)にライゲートした。プラスミドpARC 038は、pET 11d(Studierら,1990)の誘導体であり、そのEcoRIおよびPstI部位はT4エキ ソヌクレアーゼによりブラント末端化され、EcoRI−PstI 0.75 kb DNAフラグ メントはブラント末端化カナマイシン抵抗性カートリッジ(Pharmacia Biochemi cals)で置換されている。ライゲーション混合物を大腸菌BL26(DE3)のコンピー テント細胞にトランスフォームした。トランスフォーメーション混合物を、50μ g/mlのカナマイシンを含むLBアガール上で平板培養した。ミニプレッププラス ミドDNAを数個のカナマイシン抵抗性コロニーから調製して、標準操作を用いて 制限エンドヌクレアーゼマッピングによりスクリーニングした。 期待された構造を有するプラスミド(図3)が導入されたコロニーの1つを、 pARC 0558と命名した(NCIMB 40666)。ponA del 23と表示した突然変異ponA遺 伝子のDNA配列を、配列番号:1として示す。可溶性PBP 1A del 23のアミノ酸配 列を配列番号:2として示す。 1.2.ponA del 23の発現 大腸菌BL26(DE3)細胞(Brookhaven National Lab.,Long Island,NY,USA のBiology Dept.:J.J.Dunn博士から入手)にpARC 0558を導入 し、50μg/ml のカナマイシンを含むLB上で600nmにおけるO.D.が0.6に達する まで増殖させ、0.01mMイソプロピルチオガラクトシド(IPTG)で6時間誘導した 。 6時間誘導後、細胞を収穫し、フレンチプレスを通過させて破壊した。低速で 遠心分離して破壊されていない細胞および細胞屑を除去したのち、サイトゾル( 可溶性)分画を以下の2つの方法のいずれかで得た。すなわち、(1)ペレット、 膜および可溶性タンパク質をスクロース勾配遠心分離により分離する Pageら(19 82)によって報告された操作、または(2)得られた上清を200,000×gで90分遠心 し、ついで得られた上清をサイトゾル/可溶性タンパク質分画として採取する操 作による方法である。 1.3.発現したPBP 1A del 23のペニシリン結合 得られたサイトゾル分画について、Rojoら(1984)の方法により、突然変異PB P 1Aの存在を試験した。この操作は標識ペニシリンとしてPBP 1Aに特異的な[12 5 I]セフラジンの使用を包含する。標識セフラジンを結合できる突然変異PBP 1A del 23はサイトゾル分画中に証明することができた。発現した突然変異タンパ ク質の約50%は可溶性タンパク質として分画化され、一方、残りの50%は封入体 および/または膜関連分画中に分画化された。すなわち、細胞は至適以下の濃度 のIPTGで誘導され、培養体は22℃で増殖させたことから、活性な突然変異PBP 1A del 23のレベルの上昇が達成された。可溶性PBP 1A del 23のペニシリン結合プ ロフィルを図4に示す。 1.4.可溶性PBP 1A del 23の精製 22℃における6時間の誘導後得られた大腸菌BL26(DE3)/pARC 0558の細胞ペ レットを緩衝液A(30mMトリス−Cl,pH 8.0;10mM EDTA; 10μg/mlロイペプチン;10μg/mlアプロチニン;5mM DTT)で2回洗浄し、同 一の緩衝液に再懸濁した。細胞懸濁液を1200psiでフレンチプレスを通過させた 。溶解物を10,000rpmで10分間遠心し、得られた上清を 200,000×gで45分間遠 心分離した。得られた上清をついで硫酸アンモニウムで30%飽和に調整した。混 合物を12,000rpmで10分間遠心し、ペレットを1M NaClを含む緩衝液Aに再懸濁 した。溶解したペレットをついでセフラジン−Affigel 10マトリックスで処理し た。セフラジンは製造業者(Biorad Laboratories,USA)の説明書に従いAffige l 10に接合させた。可溶性PBP 1A del 23含有分画を1M NaCl含有緩衝液Aに溶 解し、セフラジン−Affigel 10ビーズと4℃で16時間インキュベートした。つい でビーズを1M NaCl含有緩衝液Aにより280nmにおける吸収がほぼ0になるまで 洗浄した。PBP 1A del 23の溶出は洗浄液中のペニシリン結合活性のアッセイに よってモニターした。この活性は、Rojoら(1984)の記載に従い調製した[125I ]セフラジンを用いて測定した。結合したPBP 1A del 23をビーズから1Mヒド ロキシルアミン(pH 8.5)を用いて25℃で120分間溶出した。この分画を、0.25 M NaCl含有緩衝液A中YM30フィルター(Amicon,USA)を用い、限外ろ過によって 濃縮した。この限外ろ過によりヒドロキシルアミンも除去された。PBP 1A del 2 3に相当するタンパク種の>85%を含む精製分画は、ペニシリン結合活性および トランスグリコシラーゼ酵素活性の両方を示した。精製の様々な段階で得られた 異なる分画のクーマッシーブリリアントブルー染色によって観察されたタンパク 質プロフィルならびに[125I]セフラジン/ペニシリン結合プロフィルを図5に示 す。可溶性PBP 1A del 23のN末端アミノ酸配列は精製タンパク質の配列決定で 確認された。 1.5.可溶性PBP 1A del 23のトランスグリコシラーゼ活性 可溶性PBP 1A del 23タンパク質のトランスグリコシラーゼ活性は、ほぼIshin oら(1980)によって記載された方法を用いて測定した。酵素活性の検出のため の基質は、Heijenoortら(1992)によって記載されたプロトコールにほぼ従って 調製し、精製した。形成されたペプチドグリカンの量として測定したPBP 1A del 23の濃度依存性トランスグリコシラーゼ活性は、様々な濃度の膜結合型ネイテ ィブPBP 1Aにより形成されるペプチドグリカンの量に匹敵した。図6に示すよう に、突然変異可溶性PBP 1A del 23のペプチドグリカン重合効率は膜結合型タン パク質の酵素活性とほぼ同一であった。 したがって、この23アミノ酸残基の連鎖の除去はタンパク質の能力を妨害しな いことが見出され、そのネイティブな構造は、両酵素活性すなわちトランスグリ コシラーゼおよびトランスペプチダーゼ活性を発揮できることが推定される。 実施例 2 2.1.可溶型大腸菌PBP 1Bをコードする遺伝子の構築 PBP 1BをコードするponB遺伝子はプラスミドpBS96に導入された形でUniversit y of Sussex,Brighton,UKのSchool of Biological Sciences,Microbial Gene tics Group: B.S.Spratt教授から恵与された。 pBS96の構築ならびに野生型ponB遺伝子のヌクレオチド配列およびそれに由来す るアミノ酸配列はBroome-Smithら(1985)に記載されている。 Kyte & Doolittle(1982)の方法を用いて誘導されるN末端約150アミノ酸のハ イドロパシープロットを図7に示す。ハイドロパシープロットの解析により、PB P 1B配列の位置65〜87におけるアミノ酸がN末端の疎水性に大きく寄与すること およびタンパク質の膜結合ドメイン候補としてアサインできることが示された。 さらに、Edelmanら(1987)のβ−ラ クタマーゼの研究により、アミノ酸位置87に対してC末端のアミノ酸は大腸菌細 胞の細胞周辺腔に存在すること、およびPBP 1Bの位置65に対してN末端のアミノ 酸は細胞のサイトプラズマ内にあることが示されていた。 可溶型PBP 1Bをコードする突然変異ponB遺伝子の構築に用いられた戦略を図8 に示す。最初に、ponB遺伝子の5′−末端約200 bpのDNAフラグメントを、プラス ミドpBS96上のponB遺伝子(Broome-Smithら,1985)からPCRにより増幅した。用い たオリゴヌクレオチドプライマーは、その配列のATG開始コドンと一致してNcoI 制限酵素部位を含有する5′−プライマー、TG-77(5′-GAA AAA CCA TGG CCG GG A ATG ACC-3′)、および制限酵素NruI部位を包含し、PBP 1B配列の位置64に相 当するアミノ酸をコードする3′−プライマーTG-84(5′-AAG TCG CGA GCC GCG TTT GCC AC-3′)とした。 工程1:酵素NcoIおよびNruIにより制限後のPCR増幅フラグメントをクロー ニングベクターpBR329(Covarrubiasら,1982)のNcoI−NruI部位にクローン化 した。ライゲーション、トランスフォーメーションおよびスクリーニングは標準 プロトコールを用いて実施し、期待された構造をもつ組換えプラスミドを得て、 pARC 0547と命名した(図8)。 約1.2 kbの他のDNAフラグメントは、アミノ酸87〜480に相当するプライマー配 列を使用して、PCRにより増幅した。このDNAフラグメントはPBP 1BのTGドメイン のC末端ハーフをコードする。使用したプライマーは、制限酵素EcoRVの切断部 位のヌクレオチド配列を含む5′−プライマー、TG-79(5′-CGG ATA TCG ATC AA A AAA TTC GTA GCC G-3′)、およびBamHI切断配列を包含する3′−プライマー 、TG-80(5′-GCG GAT CCT TAG TCG ACG ACC ACA ATC GCA G-3′)とした。 工程2:このフラグメントのPCR増幅は鋳型としてpBS96上ponB遺伝子(Broome- Smithら,1985)DNAを用いて行った。増幅されたフラグメントはpBR329(Covarrub iasら,1982)のEcoRV−BamHI部位に標準プロトコールを用いてクローン化した 。得られた組換えプラスミドはpARC 0534と命名した(図8)。 工程3:pARC 0547にクローン化した200 bpのNcoI−NruIフラグメントをNco I−NruIフラグメントとして切り出し、NcoI−EcoRV切断pARC 0534中にクロ ーン化してpARC 0551を得た(図8)。 pARC 0551上の突然変異ponB遺伝子は、PBP 1BのN末端64アミノ酸をコードす るDNA配列がアミノ酸88〜480をコードするヌクレオチド配列に融合したDNA配列 を有する。pBS96の1.3 kb PstI−BamHI DNAフラグメントを、ついでPstI−Ba mHI切断pARC 0551にライゲートし、ライゲーション混合物を標準操作を用いて 大腸菌DH5αにトランスフォームした。ついで個々のトランスフォーマントをス クリーニングして、期待された構造をもつ組換えプラスミドが導入されたコロニ ーを同定した。このプラスミドは、pARC 0552と命名された。ついで、突然変異p onBの完全遺伝子を包含するpARC 0552からNcoI−BamHIフラグメントを切り出 し、T7発現ベクターpARC 038にライゲートしてpARC 0559を得た(NCIMB40667, 図9)。 工程1のクローン化フラグメントの3′末端はヌクレオチド配列TCG(部分NruI 部位配列)を有し、一方、工程2にてクローン化されたフラグメントの5′末端は 配列ATC(部分EcoRV切断配列)を有する。TCGとATCの融合の結果である接合ヌク レオチド配列により、セリンおよびイソロイシンのコドンが導入される。すなわ ち、この突然変異ponB遺伝子は野生型PBP 1Bに相当するアミノ酸配列1〜64が配 列87〜844に融合したPBP 1B をコードする。2つの連鎖はアミノ酸セリンおよびイソロイシンで連結される。 この突然変異ponB遺伝子のヌクレオチド配列を配列番号:3として、それから 誘導されるアミノ酸配列を配列番号:4として示す。 2.2.可溶性PBP 1Bの発現 pARC 0559のプラスミドDNAをT7発現宿主、大腸菌BL26(DE3)にトランスフォー ムし、トランスフォームされたプラスミドの制限地図プロフィルを標準操作を用 いて確認した。大腸菌BL26(DE3)/pARC 0559を22℃で増殖させ、0.01mM IPTG で誘導し、細胞を6時間増殖させた。ついで細胞を収穫し、フレンチプレスを通 過させて破壊した。溶解物を10,000rpmで10分間遠心分離し、得られた上清をBec kman超遠心分離器により200,000×gで45分間遠心分離した。 2.3.発現した可溶性PBP 1Bの特性解析 得られた上清、すなわちサイトゾル/可溶性分画について、突然変異PBP 1Bの 存在を、放射性リガンドとして[125I]アンピシリンを用いて試験した。[125I ]アンピシリンは[125I]セフラジンの調製についてのRojoら(1984)の記載と 同様にして調製した。突然変異PBP 1Bは可溶性分画に検出され、放射性アンピシ リンに結合した。 可溶性PBP 1Bはまた、アンピシリン−Affigelビーズを用い、項1.4に記載の 操作と同様の操作によっても精製することができた。クーマッシーブルー染色に よって観察された様々の分画のタンパク質プロフィルおよびPBP 1B濃縮分画の[125 I]アンピシリンの結合を図10に示す。 精製されたタンパク質はペプチドグリカン・トランスグリコシラーゼアッセイ (Heijenoortら,1992)において酵素的に活性であり、膜結合性のネイティブな PBP 1Bの場合に匹敵する親和性でペニシリンに結合し た。 実施例3 3.1.肺炎連鎖球菌PBP 1Aの可溶型をコードする遺伝子の構築 肺炎連鎖球菌PBP 1Aの分子構造はそのタンパク質がN末端膜結合配列を介して 膜に結合する事実から、大腸菌のPBP 1AおよびPBP 1Bの場合と類似することが推 定される。ネイティブな膜結合肺炎連鎖球菌PBP 1Aをコードする遺伝子のヌクレ オチド配列およびそれから誘導されるアミノ酸配列は Martinら(1992)によって 記載されている。Kyte & Doolittleプロットによって誘導されるN末端の100ア ミノ酸のハイドロパシシティープロフィルを図11に示す。38アミノ酸の連鎖がこ の領域の疎水性に有意に寄与し、膜相互作用ドメインであることが推測された。 肺炎連鎖球菌PBP 1Aの突然変異遺伝子は肺炎連鎖球菌PBP 1AのN末端38アミノ酸 をコードするヌクレオチド配列を欠失させることによって構築された。 標準PCRプロトコールによって、野生型の肺炎連鎖球菌PBP 1A遺伝子をコード する配列を、Martinら(1992)により報告された配列に基づき設計されたプライ マーを用い、肺炎連鎖球菌株PM1(Brookhaven National Laboratory,Upton,N ew York,USAのBiology Department:S.A.Lacksから入手)(Lacks,1968)の染 色体からの2.5 kb DNAフラグメントとして増幅し、増幅されたフラグメントを肺 炎球菌のベクターpLS 101(Balganesh & Lacks,1984)中にクローン化した。 肺炎連鎖球菌PBP 1Aの可溶型をコードする突然変異遺伝子は、野生型遺伝子が 導入されたプラスミドDNAを鋳型として用い、標準操作でのPCRにより2.3 kb DNA フラグメントを増幅することによって構築された。使用したプライマーの配列は 、5′−プライマーTG-24(5′-TAC GTT ACC ATG GCT CCT AGC CTA TCC-3′)お よび3′−プライマーTG-25(5′-GAC AGG ATC CTG AGA AGA TGT CTT CTC A-3′)とした。 5′−プライマーTG-24は制限酵素NcoIの認識配列を包含し、一方、3′−プラ イマーTG-25は制限酵素BamHIの認識部位を包含する。NcoIおよびBamHIで消化 したPCR増幅DNAフラグメントをNcoI−BamHI切断pARC 039にライゲートした。 プラスミドpARC 039 はpET8cの誘導体であり(Studierら,1990)、β−ラクタマ ーゼをコードする遺伝子がカナマイシン抵抗性カートリッジによって置換されて いる。 標準プロトコールを用いたライゲーションおよびスクリーニング後、組換えプ ラスミドの構造は詳細な制限地図の作成によって確認し、T7発現宿主、大腸菌BL 21(DE3)(Studierら,1990)にトランスフォームした。この組換えプラスミドは pARC 0512(NCIMB 40665)と命名し、模式的に図12に示す。 突然変異肺炎連鎖球菌PBP 1A遺伝子のヌクレオチド配列を配列番号:5として 、それから誘導されるアミノ酸配列を配列番号:6として示す。 3.2.可溶型肺炎連鎖球菌PBP 1Aの発現および特性解析 可溶性肺炎連鎖球菌PBP 1Aをコードする遺伝子は項1.2の記載と同様に操作 して発現させた。大腸菌BL21(DE3)/pARC 0512のサイトゾル分画を単離し、可 溶型肺炎連鎖球菌PBP 1A del 38の存在を試験した。結合試験に用いた放射性リ ガンドは前に記載されたようにして調製した[3H]ベンジルペニシリン(Amersham) とした。培養菌を、22℃、0.01mM IPTGにおいて増殖させ誘導した場合、突然変 異遺伝子からの発現タンパク質の約50%は可溶性分画中にあり、[125I]ペニシリ ン(Rojoら,1984)もしくは[3H]ペニシリン(Amersham)と結合することが見出 された。この増殖および誘導条件は可溶性タンパク質の効率的な回収に必須であ って、より高い温度での増殖またはより高いIPTG濃度における誘導では大部分の タンパク質が不活性化し、封入体を形成した。可溶性の活性タンパク質の至適レ ベルは6〜8時間の誘導後に認められた(図13)。 可溶性肺炎連鎖球菌PBP 1A del 38タンパク質も可溶性大腸菌PBP 1Bタンパク 質の精製に用いたプロトコールにほぼ従い、効率的に精製することができた。 可溶性PBP 1A del 38のペニシリン結合効率はネイティブな膜結合肺炎連鎖球 菌PBP 1Aの場合に匹敵するものであった。 実施例 4 4.1.トランスグリコシラーゼ欠損大腸菌PBP 1B 領域2内の保存されたアミノ酸(図14)を部位特異的突然変異誘発のために選 択した。10アミノ酸のこの連鎖内に3つの異なる突然変異を構築した。 (a) PBP 1B配列の位置270および271におけるグルタミンをアラニンに変化させ た。 (b) PBP 1B配列の位置270および271におけるグルタミンをロイシンに変化させ た。 (c) 位置264〜271のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列の欠失。 ponB遺伝子の突然変異体はKunkelら(1985)の操作にほぼ従って構築した。プ ラスミドpBS96のponB遺伝子の1.5 kb EcoRI−SalIフラグメントを切り出し、E coRI−SalIで切断したM13mp 19中に標準プロトコールによってクローン化し た。 (a) グルタミン残基270および271をコードするヌクレオチド配列をアラニン 残基をコードする配列に突然変異させるために使用したプライマーはTG-21: であった。 (b) グルタミン残基270および271をコードするヌクレオチド配列をロイシン 残基に突然変異させるために使用したプライマーはTG-23: であった。 (c) すべて保存領域2内にある位置264〜271のアミノ酸をコードするヌクレ オチドの欠失を作成するために使用したプライマーはTG-22: であった。 突然変異後、突然変異したEcoRI−SalIフラグメントのヌクレオチド配列をS angerら(1977)のプロトコールに従って決定した。配列決定によってヌクレオ チドの変化を確認し、無関係な変化を除外した。この突然変異1.5 kb DNAフラグ メントをEcoRI−SalIで切断したpBS96にライゲートして戻し、ライゲートした DNAを標準プロトコールによって大腸菌DH5α細胞にトランスフォームした。カ ナマイシン抵抗性トランスフォーマントについてそれらのプラスミドプロフィル を解析し、TG-21突然変異(a)を有するプラスミドをpARC 0438と命名した(NCIMB 40661)。突然変異タンパク質は、PBP 1B QQ-AAと呼ぶ(配列番号:7)。 TG-23によって導入された突然変異(b)を有するプラスミドは、pARC 0468と命 名した(NCIMB 40662)。この突然変異タンパク質は、PBP 1BQQ-LLと呼ぶ(配列 番号:8)。 TG-22 を用いて得られた欠失(c)を有するプラスミドは、pARC 0469 と命名した(NCIMB 40663)。突然変異タンパク質は、PBP 1B del8と呼ぶ(配列 番号:9)。 pBS96、pARC 0438、pARC 0468およびpARC 0469の4種のプラスミドDNAをそれ ぞれ、欠失したponB遺伝子がスペクチノマイシン抵抗性マーカーで標識された大 腸菌ponB:spcr細胞(Broome-Smithら,1985)にトランスフォームした。 プラスミドpBS96、pARC 0438またはpARC 0469をそれぞれ有する大腸菌ponB:s pcr細胞を増殖させ、Spratt(1977)により記載された操作に従い膜プレパレー ションを作成し、ペニシリン結合タンパク質のプロフィルを放射性ペニシリンで 標識後8%SDS-PAGE上で解析した。突然変異タンパク質は最初に精製した膜結合 ネイティブPBP 1Bに対して産生させた抗−PBP 1B血清を用いて、インビボ安定性 および膜への局在を解析した(図15)。 突然変異タンパク質は膜に局在することが見出され、抗体と反応する分解タン パク質フラグメントは検出できず、肉眼的な不安定性は認められなかった。さら に、突然変異タンパク質は野生型PBP 1Bの場合に匹敵する親和性でペニシリンに 結合した(図15)。 トランスグリコシラーゼ活性をHeijenoortら(1978)の記載に従いアッセイし たが、活性は突然変異タンパク質を発現する膜中には検出できず、一方野生型PB P 1Bを有する膜にはトランスグリコシラーゼ活性が認められた。これからアミノ 酸263〜271はトランスグリコシラーゼ活性に必須なことが確認される。 突然変異タンパク質が野生型の場合に匹敵する親和性でペニシリンを結合でき ることは、突然変異タンパク質のトランスペプチダーゼ活性も野生型の場合に匹 敵することを示唆するものである。プラスミド上で発 現された二機能性タンパク質PBP 1BがponAおよびponB両方の欠失をトランスに相 補できることがわかっている(Yousifら,1985)ので、トランスグリコシラーゼ 陰性/トランスペプチダーゼ陽性タンパク質PBP 1B QQ-AAおよびPBP 1B del8が 染色体によりコードされるPBP 1AおよびPBP 1Bの不存在を相補する能力について 試験した。 野生型ponBおよび突然変異ponB遺伝子を、低コピーベクターpMAK 705(Hamilto n,1989)にクローン化した。得られたプラスミドはpARC 0462(野生型ponB,図1 6)、pARC 0463(ponB del8,図17)、およびpARC 0470(ponB QQ-AA,図18)と命 名した。これらのプラスミドをそれぞれ、大腸菌del ponA(ponA遺伝子の欠失し た大腸菌)にトランスフォームした。 大腸菌del ponA/pARC 0462、大腸菌del ponA/pARC 0463および大腸菌del po nA/pARC 0470をponB:spcrマーカーの形質導入のためのP1ファージのレシピエ ントとして用いた。形質導入は Miller(1972)の記載に従い行った。ファージP1 溶解物は大腸菌ponB:spcr株について作成した(Yousifら,1985)。感染後、感 染細胞をスペクチノマイシン上で平板培養した。レシピエントに形質導入された ponB:spcrを含有するDNAフラグメントの組込みは、染色体ponB遺伝子の不活性 化を生じ、染色体をponA-およびponB-する。この遺伝子型は細胞に致死的で、大 腸菌のスペクチノマイシン抵抗性トランスダクタントはponBまたはponB突然変異 体をコードするプラスミドがその機能をトランスに相補可能である場合にのみ生 存を維持できる。 以下の大腸菌株をトランス−相補のファージP1形質導入解析に付した。すな わち、(1)染色体に野生型ponAおよびponBがコードされている大腸菌AMA 1004; (2)染色体のponBは不活性化され、突然変異ponB遺伝 子をコードするプラスミドの宿主である大腸菌AMA 1004;(3)野生型ponB遺伝子 をコードするプラスミドpARC 0462を保持する大腸菌AMA 1004宿主;(4)PBP 1B del8をコードするプラスミドpARC 0463を有する大腸菌AMA 1004宿主;および( 5)PBP 1B QQ-AAをコードするプラスミドpARC 0470を有する大腸菌AMA 1004であ る。 結果 Kmr導入体数/ml (1) 大腸菌 AMA 1004 3.0×104 (2) 大腸菌 AMA 1004,ponB:spcr <1 (3) 大腸菌 AMA 1004,ponB:spcr(PBP 1B wt) 1.1×104 (4) 大腸菌 AMA 1004,ponB:spcr(PBP 1B del 8) <1 (5) 大腸菌 AMA 1004,ponB:spcr(PBP 1B QQ-AA) <1 同じP1ファージ溶解物を用い、内部マーカー:trp形質導入についても、匹敵 する数のトランスダクタントが得られた。 上述の結果は、生存可能なトランスダクタントは野生型PBP 1Bでのみ得られ、 ponB QQ-AAもしくはponB del8によってコードされるTG-TP+生成物はPBP 1Aおよ び1Bをコードする染色体の喪失を相補できなかったことを指示している。しかし ながら、これらの突然変異タンパク質はペニシリンに結合し、トランスペプチダ ーゼ活性をもつと推定できることから、相補不能はトランスグリコシラーゼ酵素 活性がないことによるものと思われる。これらの結果から、大腸菌細胞の生存能 には、PBP 1Aまたは1Bのトランスグリコシラーゼ活性は必須の性質であることが 確認される。 記述した突然変異体により、領域2はタンパク質のトランスグリコシラーゼ活 性に関与することが明らかである。アミノ酸のこの連鎖は4種 の高分子量ペニシリン結合タンパク質、すなわち、大腸菌PBP 1A、1Bならびに肺 炎連鎖球菌1Aおよびインフルエンザ菌の94 kDaタンパク質内に保存されている( 図14)ことから、大腸菌のPBP 1Aおよび1Bによって用いられる基質と類似の基質 を利用するすべてのトランスグリコシラーゼ酵素において、この領域の類似の触 媒的または構造的関与を推測することは理にかなっている。 4.2.トランスグリコシラーゼ欠損大腸菌PBP 1A 保存された領域2を部位特異的突然変異誘発のために選択して、大腸菌PBP 1A の位置123および124のグルタミンをコードするヌクレオチド配列を、以下のよう に、PCR突然変異誘発によってアラニンをコードする配列に変化させた。ponA遺 伝子の5′側ハーフを2つのフラグメント、アミノ酸1〜123に相当する5′フラ グメント(フラグメントA)およびアミノ酸124〜434に相当する3′フラグメント (フラグメントB)として増幅させた。 フラグメントAの増幅に用いた5′−プライマーの配列はTG-93(5′-GCG CGG ACC ATG GTG AAG TTC GTA AAG TAT-3′)とし、一方、フラグメントAの増幅に 用いた3′−プライマーはTG-106(5′-CAG TGC TGC AGT AAT GGT ACT TGC CCC T TG-3′)とした。 フラグメントAの増幅のための3′−プライマーは位置123および124のグルタ ミン残基をコードする配列のアラニン残基をコードするヌクレオチド配列への変 換を可能にする制限酵素PstIの配列を包含する。 フラグメントBは5′−プライマーTG-107(5′-ATT ACT GCA GCA CTG GCG AGA AAC TTC TTC-3′)および3′−プライマーTG-108(5′-TCG CGA GAT ATC TGG CG GATT GAT CGA CAC-3′)を用いて増幅した。 フラグメントBの増幅のための5′−プライマーは、フラグメントAを 増幅するための3′−プライマーの配列と重複する制限酵素PstIの配列を包含す る。フラグメントAの3′−末端をフラグメントBの5′−末端にライゲーション すると、PstI部位が再生され、グルタミン123および124をコードするヌクレオ チド配列のアラニン123および124への変化が生じる。増幅されたフラグメントA およびBをそれぞれpBR329にクローン化して、相当するクローンpARC 0565 およ びpARC 0566 を得た。 pARC 0565およびpARC 0566から得られたフラグメントAおよびBをライゲート してpARC 0567を得た。pARC 0567にpARC 0489[これは、さらにLacIおよびLacオ ペレーター配列をもつ以外はpARC 0558(図3)と同一である]のXhoI−BamHIフ ラグメントを導入することによりponA配列を完成させてpARC 0568を得た。つい でQ123-Q124のA123-A124への突然変異領域を包含するpARC 0568のMluI−BglII フラグメントを用いて、他の点では同一のpBS98のMluI−BglIIフラグメントを 置換してプラスミドpARC 0571(図19;NCIMB 40668)を得た。突然変異タンパク 質は、PBP 1A QQ-AAと命名した(配列番号:10)。 突然変異体発現試験により、突然変異タンパク質は膜に局在し(抗PBP 1A抗体 により検出)、ネイティブなPBP 1Aの場合に匹敵する親和性でペニシリンを結合 することが明らかにされた(図20)。 前項の記述と同様のインビボ相補アッセイを突然変異PBP 1Aタンパク質のトラ ンスに相補する能力をチェックすることによって実施した。インビボ相補はファ ージP1形質導入を用い、突然変異タンパク質PBP 1A QQ-AAをコードするプラスミ ドを含有する宿主、大腸菌(レシピエント)del ponAにponB:spcrを形質導入し て行った。 相補解析を実施するためには、野生型のponA遺伝子を、低コピーベクターpMAK 705(Hamiltonら,1989)にクローン化してpARC 0583を得、PBP 1A QQ-AAをコ ードする突然変異ponA遺伝子をpMAK705にクローン化してpARC 0582を得た。 以下の大腸菌株をトランス−相補のファージP1形質導入解析に付した。すなわ ち、(1)染色体にponAおよびponBがコードされている大腸菌AMA 1004;(2)染色 体のponAは不活性化されているが、突然変異ponA遺伝子をコードするプラスミド の宿主である大腸菌AMA 1004 ponA;(3)野生型ponA遺伝子をコードするプラス ミドpARC 0583を保持する宿主;および(4)PBP 1A QQ-AAをコードするプラスミ ドpARC 0582を保持する宿主である。 結果 Spcr導入体数/ml (1) 大腸菌 AMA 1004 2.1×103 (2) 大腸菌 AMA 1004,ponA <1 (3) 大腸菌 AMA 1004,ponA(PBP 1A wt) 1.64×103 (4) 大腸菌 AMA 1004,ponA(PBP 1A QQ-AA) <1 同じP1ファージ溶解物を用い、内部マーカー:trp形質導入についても、匹敵 する数のトランスダクタントが得られた。 上に示したように、レシピエントとして大腸菌del ponA/pARC 0582を用いた 場合には、生存可能なトランスダクタントを得られず、突然変異PBP 1A QQ-AAは PBP 1A/1Bをコードする染色体の不存在を相補できなかったことを指示している 。これは、相補機能の喪失がトランスグリコシラーゼ活性の喪失の反映に違いな いことから、PBP 1Aの領域2のQ123およびQ124もタンパク質のトランスグリコシ ラーゼ活性に影響すること を指示している。タンパク質のトランスペプチダーゼ活性は、そのペニシリン結 合親和性により試験して、影響されていない。 これらの結果は領域2がトランスグリコシラーゼ酵素機能に関与するアミノ酸 の重要な連鎖であることを支持するものであり、このアミノ酸連鎖の進化の過程 における強力な保存に対する説明であろうと考えられる。 実施例 5 5.1.トランケィテッド大腸菌PBP 1B N末端553アミノ酸から構成されるトランケィテッドPBP 1Bをコードする突然 変異遺伝子は、5′−プライマーTG-77(5′-GAA AAA CCA TGG CCG GGA ATG ACC- 3′)と3′−プライマーTG-116(5′-ATG GGA TCC TTA ATC ATT CTG CGG TGA-3 ′)を用い、PCR増幅によって構築された。 プライマーの5′−末端は野生型におけるアミノ酸553相当し、続いて停止コド ンおよび制限酵素BamHI部位を設けた。鋳型としてpBS96 DNAを使用し、1.7 kb のフラグメントを増幅した。PCRにより増幅されたフラグメントをPstIおよびBa mHIで切断し、PstI−BamHI制限pARC 0555(pARC 0555は発現ベクターpET 11d にNcoI−BamHIフラグメントとしてクローン化された完全長ponB遺伝子を有す る。NcoI部位は開始コドンATGを包含する)にクローン化して、pARC 0592(NCIM B40669;図21)を得た。発現タンパク質(配列番号:11)はトランスグリコシラ ーゼ活性をもつことが示され、したがって、このドメインは機能に無関係である ことが確認された。 可溶性のトランケィテッドPBP 1BすなわちN末端553アミノ酸を有するが65〜8 7の膜結合疎水性ドメインを欠くPBP 1BはpARC 0592のPstI−BamHIフラグメン トでpARC 0559(図9)のPstI−BamHIフラグメント を置換することにより構築し、pARC 0593(NCIMB 40670;図22)として得られた 。突然変異ponB遺伝子は可溶型のPBP 1Bをコードし、発現タンパク質(配列番号 :12)はトランスグリコシラーゼ活性をもつことが見出された。 5.2.トランケィテッド大腸菌PBP 1Bの最小基質結合ドメイン PBP 1Bの推定TGドメイン(aa 1〜553)の構造についての詳細なコンピューター 解析により、脂質連結基質の結合およびトランスグリコシラーゼ反応には多分aa 210〜368で十分であることが指示された。アミノ酸のこの連鎖は3つの保存さ れたドメイン、領域I、IIおよびIIIを包含する。トランケィテッドタンパク質 連鎖210〜368をコードする突然変異遺伝子は以下のようにして構築された。 配列TG-154(5′-CAA TCC ATG GGT GAG CAG CGT CTG TTT G-3′)を有し、開始 コドンATGの直後にPBP 1Bの210番目のアミノ酸をコードする配列が続く5′−プ ライマーを用い、基質としてのpBS96からサイズ約480 bpのフラグメントを増幅 した。 配列TG-155(5′-T CCA GAA TTC CAG TTT TGG GTT ACG-3′)に相当する3′−プ ライマーは、PBP 1Bのアミノ酸368をコードする配列に続いて、エンテロキナー ゼ認識部位ならびにヒスチジン連鎖をコードする配列への融合を可能にするEcoR I制限部位を与えるヌクレオチド配列を有し、これによりタンパク質はNi親和性 カラム上で迅速に精製することができる(以下の項6.2参照)。 NcoI−EcoRIフラグメントをNcoI−EcoRIで制限されたプラスミドpARC 040 0にクローン化して組換えプラスミドpARC 0392(NCIMB 40659;図23)を得た。こ の組換えプラスミドを大腸菌BL26(DE3)にトランスフォームすると、IPTGによ る誘導後、約17 kDaのタンパク質は大部分が可 溶性分画中に検出された。 同様に、PBP 1Aの最小基質結合領域は野生型タンパク質の連鎖 62〜220を包含 することが推定できた。このタンパク質のヒスチジン連鎖との融合体としての製 造は発現生成物のNi2+カラムを用いる高効率の親和性精製を可能にする。結果は トランケィテッドPBP 1Bで得られた結果と同様であろうことが推測できる。 実施例 6 6.1.可溶性大腸菌PBP 1Aのグルタチオン−S−トランスフェラーゼへのN 末端融合 ponA del 23遺伝子のその5′−末端におけるグルタチオン−S−トランスフェ ラーゼコード配列へのインフレーム融合は次項に記載する方法で行った。 融合遺伝子の構築に選択されたベクターは Pharmacia Biochemicalsから入手 したpGEX-3Xであった。ponA del 23の5′−開始コドンATGをグルタチオン−S− トランスフェラーゼをコードする遺伝子とインフレームに融合させるためには、 制限酵素EcoRIの認識配列を包含するPCRプライマーを用いてBamHI部位を導入 した。用いた5′−プライマーはTG-115: とした。 3′−プライマーとしては、項4.2に記載のTG-106を使用した。PCR増幅DNAフ ラグメントAをBamHIおよびPstIで消化して、標準クローニングベクターpUC8 のBamHI−PstI部位にクローン化し、pARC 0496を得た。このフラグメントAは PBP 1A del 23タンパク質のN末端102アミノ 酸を包含する。フラグメントAから得られたBamHI−MluI(部位はフラグメント A内に存在)270 bpフラグメント、pARC 0490[pARC 0490は低コピーベクターpWK S29(Fu Wangら,1991)のXbaI−BamHI部位にクローン化された野生型ponA遺 伝子を有し、ponA del 23遺伝子の3′−末端のEcoRIフラグメントとしての切断 を容易にする]から得られたponA遺伝子の残りの部分を含む2.2 kb MluIフラグ メント、およびEcoRI−BamHI切断pGEX-3Xを一緒にライゲートし、コンピーテ ントな大腸菌細胞にトランスフォームした。個々のトランスフォーマントについ て組換えプラスミドをスクリーニングし、期待された構造を有するプラスミドを pARC 0499と命名した(NCIMB 40664;図24)。pARC 0499上にコードされる融合生 成物は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ配列がそのC末端で、Xa因子切 断認識配列を介してPBP 1A del 23配列に連結している。 1mM IPTGで誘導後、期待されたサイズの融合タンパク質の誘導が認められた 。このタンパク質はペニシリンを結合し、トランスグリコシラーゼアッセイにお いて活性であった。懸濁液をフレンチプレスに通して細胞を溶解させたのち、PB P 1A del 23の精製について項1.4に詳述したようにして細胞を含まない上清分 画を調製した。上清分画をGlutathione Sepharose(登録商標)マトリックス(P harmacia Bio-chemicals)に通して、結合したGST-PBP 1A del 23をグルタチオ ンで溶出した。溶出したタンパク質は80%の均一性を示した。遊離のグルタチオ ンを透析によって除去し、GST-PBP 1A del 23をXa因子で切断した。 このようにして精製されたPBP 1A del 23はペニシリン結合およびトランスグ リコシラーゼ反応の両方において活性であることが認められた。 6.2.可溶性大腸菌PBP 1Aのヒスチジン連鎖へのC末端融合 ponA del 23遺伝子のその3′−末端における6個のヒスチジン連鎖コード配列 へのインフレーム融合は以下の記載のように実施した。 最初の工程においてはponA del 23遺伝子を、鋳型としてpBS98DNAを使用し、5 ′−プライマーTG-115(5′-TCG AGG ATC CCC ATG GGC CTA TAC CGC TAC ATC G-3 ′)および3′−プライマーTTG-121(5′-GTT AGA ATT CGA ACA ATT CCT GTG-3′) を用いて増幅した。 3′−プライマーはponA del 23遺伝子の3′−末端にEcoRI部位を導入し、一 方、翻訳停止コドンを除去した。PCRによって増幅された修飾ponA del 23遺伝子 フラグメントをPstIとEcoRIで消化して930 bp5′−末端フラグメントを遊離さ せ、PstI−EcoRI消化pBR 329にライゲートして組換えプラスミドpARC 0467を 得た。 次工程においては、6個のヒスチジンをコードする配列を有する二本鎖合成オ リゴヌクレオチドおよびエンテロキナーゼ切断部位として認識されるアミノ酸を コードするDNA配列を合成し、新たにpARC 0467上のponA del 23遺伝子の3′−末 端に作成されたEcoRI部位にライゲートした。用いた合成オリゴヌクレオチドは TG-122: ならびにTG-123(5′-GAT CCT TAT CAG TGG TGG TGG TGG TGG TGC TTG TCG TCG TCG TCG-3′)とした。 プラスミドpARC 0467をEcoRIで線状化し、合成二本鎖オリゴヌクレオチドを ライゲートした。ライゲーション後PstI−BamHI部位(フラグメントA)をライ ゲーション混合物から遊離させ、pARC 0558(図3)の PstI−BamHI部位にクローン化してpARC 0400(NCIMB 40660;図25)を得た。突 然変異ponA del 23融合遺伝子はしたがってPBP 1A del 23配列を有するタンパク 質がそのC末端において、His-His-His-His-His-Hisに融合したアミノ酸配列Asp -Asp-Asp-Asp-Lysに融合した配列をコードする。Asp-Asp-Asp-Asp-Lys配列はプ ロテアーゼであるエンテロキナーゼによって認識されて、リジン残基の後で切断 される。6個のヒスチジン残基はタンパク質に金属ニッケルへの結合能を付与す る。 組換えプラスミドpARC 0400は、大腸菌BL26(DE3)細胞にトランスフォームし 、PBP 1A del 23の精製に用いた条件と同一の培養および温度条件下に誘導した 。細胞をフレンチプレスを通して溶解した。溶解物は、10,000rpmで10分間遠心 分離した。低速遠心分離後に得られた上清を200,000×gで45分間遠心分離し、 得られた上清をサイトゾル分画とした。この分画は、融合遺伝子によってコード されるタンパク質を含有し、組換え融合タンパク質はPBP 1A del 23EHと命名さ れた。このタンパク質PBP 1A del 23EHは[125I]セフラジンを結合し、トラン スグリコシラーゼアッセイにおいて活性を示した。可溶性分画をNi親和性カラム に通して、結合したタンパク質をQIAGEN Inc.,9259 Eton Avenue,Chateworth ,CA 91311,USAから入手した“The Qia Expressionist”に記載の操作にほぼ従 い、イミダゾールの濃度を上昇させていくバッチ法で溶出させた。PBP 1A del 2 3EHの大部分は250mMイミダゾールで溶出し、ほぼ85%の均質性を示した。カラム から溶出したのはセフラジン結合タンパク質のみであった。すなわち、融合タン パク質がNiカラムに結合する能力は活性タンパク質の効率的な精製ならびに固定 化の両方に容易に活用することができる。 実施例 7 7.1.細胞抽出物の酵素アッセイおよびスクリーニングにおける使用 実施例6によって調製された粗細胞抽出物は、Hackenbeck(1983)に従って調 製された[3H]アンピシリンと反応させて、ペニシリン結合能を解析することが できる。操作を大規模なスクリーニングに適合させるためには、反応液の容器に 96ウエル付きマイクロタイタープレートを用い、アッセイはBeckman Biomek ロ ボットを使用して行った。粗細胞抽出物を[3H]アンピシリンと37℃で15分間混 合した。反応液中のタンパク質をTCAで沈殿させ、ガラスフィルター上に集めて 、非結合アンピシリンを洗い流し、フィルターをシンチレーションカウンター内 でカウントした。別法として、アンピシリンの結合の程度のアッセイにオートラ ジオグラフィーを使用することができる。 上述の方法に基づき、競合アッセイを、PBP変異体のトランスペプチダーゼ部 位に結合する試験化合物の能力の評価に使用することができる。このアッセイに おいては、アンピシリンの添加前に、試験化合物を粗細胞抽出物に15分間暴露す る。陽性の結果は、ガラスフィルター上に存在する放射能の量の低下によって指 示される。 7.2.可溶性固定化タンパク質のスクリーニングにおける使用 上述のようにして精製したヒスチジンペプチド含有タンパク質は、トランスペ プチダーゼ活性またはトランスグリコシラーゼ活性を阻害する化合物のスクリー ニングに使用することができる。精製した完全長またはトランケィテッドタンパ ク質を、予めNi(II)をカップリングさせたアガロースゲル上に固定化する。つ いで、固定化したタンパク質を含有するビーズのアリコートをマイクロタイター プレートのウエルに移し、プレートに試験化合物を加えてインキュベートしたの ち、非結合試験物 質を洗い流す。二機能性タンパク質のトランスペプチダーゼ部位に結合する化合 物は反応容器に[3H]アンピシリンを添加し、以下ほぼ上述のようにして検出す ることができる。別法として、トランスペプチダーゼ領域に結合することが既知 のモノクローナル抗体を用いることもできる。トランスグリコシラーゼ部位に結 合する化合物は、タンパク質のトランスグリコシラーゼ領域に結合するモノクロ ーナル抗体の使用により競合アッセイで評価することができる。 実施例 8 8.1.PBP 1Aに対するモノクローナル抗体の産生 モノクローナル抗体(mAb)の産生のためのプロトコールは“Anti-bodies-A L aboratory Manual”(Harlow David Lane編,Cold Spring Harbor,USA)の記載に ほぼ従った。精製した膜結合PBP 1Aを免疫原として用いた。6〜8週齢のBalb− Cマウスを、フロインドの完全アジュバント中精製したネイティブなPBP 1A 50 μgで免疫した。フロインドの不完全アジュバント中、PBP 1A 20μgのブースタ ー注射を腹腔内に行った。2週後に、コーティング抗原としてPBP 1Aを用いるEL ISAによって血清抗体の存在をチェックした。循環抗体を有するマウスを、4日 間毎日食塩水中PBP 1A 20μgで腹腔内に免疫処置し、マウスを屠殺して融合体を 発生させるために脾細胞を単離した。 融合実験に使用した骨髄腫細胞系はSp2/0-Ag14とし、これらの細胞を免疫マ ウスからの脾細胞と10:1の比で融合させた。融合は標準プロトコールを用いて 行い、クローンからの抗体の産生は細胞が>90%コンフルーエントに達したとき PBP 1Aに対するELISAによりモニターした。 抗体産生能の高い72のクローンを24ウエルのプレートに展開し、分泌抗体を以 下の篩分けにより特性を解析した。すなわち(1)PBP 1Aの膜結 合型に対するELISA;(2)PBP 1A del 23の可溶型に対するELISA;(3)精製時の コンフィギュレーションの変化のみにより界面活性剤可溶化精製PBP 1Aと反応す るモノクローナル抗体を除外するための膜結合PBP 1Aに対するドットブロット解 析;ならびに(4)PBP 1Bの膜結合型に対するELISAである。 これらの篩分けに基づき5つの分泌クローンのパネルを選択し、単クローン性 を確実にするために2回サブクローニングした。標準操作に従い、これらの融合 腫クローンで腹水を誘導させ、これらの腹水液からProtein-G-Sepharose(登録商 標)親和性クロマトグラフィーをProtein-G-Sepharose(登録商標)(Pharmacia Biochemicals製)を用いてIgGを精製した。 これらの精製抗体は膜結合型および可溶型の両PBP 1Aと、ELISA、ドットブロ ットおよびウエスタンブロッティングで特異的に反応する。クローンは3細胞/ ウエルを用いるクローニング操作によって取得した。単クローン性を確実にする ため、これらのクローンを1細胞/ウエルでの限外希釈により、96ウエル付きマ イクロタイタープレート中にサブクローニングした。ウエルに1個の細胞が存在 することを顕微鏡下に注意深く確認し、単一の融合細胞からの子孫細胞が得られ るように、マクロファージフィーダー層で増殖させた。サブクローニング後、完 全長PBP 1Aを用いELISAによりPBP 1Aに対するmAbの分泌を再度アッセイした。最 後にそれぞれの親ハイブリドーマ腫から2個のクローンを選択し、それらの1個 をプリスチン初回抗原刺激Balb/cマウスの腹水中で増殖させた。5個のクロー ンすべてが腹腔内の増殖に適合し、腹水mAbを産生した。 腹水mAbを精製PBP 1Aに対しELISAで滴定した。腹水mAbはすべてELISA で>5×105の力価を示し、ウエスタンイムノブロットにおいて完全長タンパク 質を認識した。腹水mAbはプロテイン−G親和性カラムによって精製した。 mAbの免疫グロブリンアイソタイプは、Sigma Chemicals USAから入手したキッ トを用いELISAで、マウスIg−アイソタイプによって決定した。4つのモノクロ ーナル抗体はIgG1に、1つはIgG 2a免疫グロブリンアイソタイプに属した。 mAbの特徴の更なる解析には、完全長膜結合PBP 1A/1Bを用いてウエスタンブ ロットを実施した。さらにmAbのトランスグリコシラーゼ(TG)およびトランス ペプチダーゼ(TP)ドメイン特異性を、膜結合性PBP 1AのN末端、PBP 1BのN末 端およびPBP 1BのC末端の各種トランケィテッド型を用いてウエスタンイムノブ ロットにより測定した。多様な完全長およびトランケィテッド膜結合PBPを発現 させ、調製された膜分画をSDS-PAGE上で分画した。タンパク質をニトロセルロー ス膜に移送し、ポリクローナル大腸菌PBP 1A抗体およびモノクローナル抗体を用 いてウエスタンブロット解析に付した。 mAbのペニシリン結合阻害能力の評価はBlaauwenら(1990)によって報告された プロトコールにほぼ従って実施した。プロテイン−G親和性により精製したmAb をPBP 1Aとプレインキュベートしたのち、[3H]ベンジルペニシリンまたは[125I] セフラジンを添加した。2つのmAbがPBP 1Aへの放射標識ペニシリンの結合を競 合的に阻害した。 PBP 1AのTGドメインに特異的なモノクローナル抗体は、最初のハイブリドーマ クローンの分泌抗体を、PBP 1AのN末端434アミノ酸に相当するタンパク質との 反応性についてウエスタンブロットでスクリーニングすることにより得られた。 クローンTG-2からの抗体は、PBP 1AのN末端 トランケィテッド434アミノ酸類縁体と反応し、またPBP 1Aのトランスグリコシ ラーゼ活性を阻害した(>80%阻害)。 これは、抗体が(a)基質の結合、(b)酵素の触媒作用、または(c)タンパク質 のコンフォーメーションのアロステリックな変化に関与するタンパク質中の配列 を認識することを示している。3つの可能性のいずれにおいてもTG-2のPBP 1Aへ の結合に競合する化合物の同定はPBP 1A上の同一配列と相互作用する分子を示す 。すなわち、競合結合アッセイは、TG阻害化合物の同定のためのスクリーニング アッセイとして使用できるものと考えられる。 図面の簡単な説明 図1 大腸菌PBP 1Aのヒドロパシシティープロフィル。図はPBP 1AのN末端55アミノ 酸のヒドロパシシティーパターンを拡大した形で示す。 図2 T7翻訳融合発現ベクターpARC 038の模式的表示。 をコードする遺伝子(lacIq)、複製の起源(ori)、T7lacオ ペレータープロモーター、T7ファージターミネーター 様々な遺伝子の転写方向を矢印で示す。関連制限酵素部位を示す。制限部位の 隣の数字は上部の12時の位置を0としてヌクレオチドの位置を表している。 図3 大腸菌の可溶性PBP 1A del 23をコードするベクターpARC 0558の模式的表示。 性Kmr、ラクトースリプレッサー(lacIq)および複製の起源 ori 図4 可溶性PBP 1A del 23の発現。パネルAは、pARC 0558が導入された大腸菌BL26 (DE3)の非誘導および誘導培養液の[125I]セフラジン結合プロフィルのオート ラジオグラムを示す。パネルBは、同一の非誘導および誘導細胞のクーマッシー ブリリアントブルー染色タンパク質プロフィルを示す。 レーン(1):非誘導サイトゾル分画;(2)非誘導膜分画;(3)誘導サイトゾル 分画;(4)誘導膜分画;(M)分子量マーカー 図5 精製PBP 1A del 23のSDS-PAGEパターン。パネルA:クーマッシーブルー染色 。パネルB:[125I]セフラジン結合タンパク質プロフィル。レーン(1):大腸 菌BL26(DE3)/pARC 0558サイトゾル分画(200,000g上清);(2)30%硫酸アン モニウムの上清分画;(3)30%硫酸アンモニウムペレット分画;(4)セフラジン affigel通過分画;(5)分子量マーカー;(6〜8)セフラジンaffigel溶出液 図6 精製タンパク質を用いた野生型PBP 1Aおよび突然変異PBP 1A del 23のトラン スグリコシラーゼ活性プロフィル (▲−▲)は可溶性PBP 1A del 23の活性を示す。 (●−●)はオクチル−β−グルコシドで可溶化した膜結合PBP 1Aの活性を示 す。 X軸は用いたタンパク質の濃度をμgで示す。Y軸は形成されたペプチドグリ カン量を示す。 図7 大腸菌PBP 1Bのハイドロパシシティープロフィル。 本図は大腸菌PBP 1BのN末端150アミノ酸の拡大ハイドロパシシティープロフ ィルを示す。 図8 大腸菌PBP 1Bの可溶性トランスグリコシラーゼドメインのクローニングの模式 的表示。 配列 PBP 1BのN末端64アミノ酸をコードするNcoI−NruIフラグメントをpARC 053 4のNcoI−EcoRV部位にクローン化し、プラスミドpARC 0551を得た。この組換 えプラスミドにはPBP 1Bのアミノ酸65〜87が内部欠失したPBP 1Bのアミノ酸1〜 480をコードする遺伝子が導入されている。 図9 可溶性PBP 1BをコードするpARC 0559の模式的表示。 ラクトースリプレッサー(lacIq)、カナマイシン抵抗性(Kmr) および複製の起源(ori)の配列 図10 可溶性PBP 1Bの精製。パネルA:各種分画のSDS-PAGE、クーマッシーブルー染 色。パネルB:同じ分画の[125I]アンピシリン結合プロフィ ル。レーン(1)および(2):大腸菌BL26(DE3)/pARC 0559誘導細胞のサイトゾ ル分画;(3)アンピシリン−Affigelカラム通過分画;(4)分子量マーカー;(5 )および(6)アンピシリン−Affigelカラムからの溶出分画 図11 肺炎連鎖球菌PBP 1Aのハイドロパシシティープロフィル。 図は肺炎連鎖球菌PBP 1AのN末端100アミノ酸のハイドロパシシティープロフ ィルの拡大プロフィルを示す。 図12 肺炎連鎖球菌PBP 1Aの可溶型をコードするプラスミドpARC 0512の模式的表示 。 カナマイシン抵抗性Kmrおよび複製の起源(ori)の配列を示す。 図13 可溶性肺炎連鎖球菌PBP 1Aのペニシリン結合プロフィル。 宿主:大腸菌BL21(DE3)/pARC 0512。パネルA:クーマッシーブルー染色。 パネルB:[3H]ベンジルペニシリンによるインビボ標識ついでSDS-PAGE。レー ン(1)および(2):22℃でそれぞれ2時間および20時間誘導した細胞のサイトゾ ル分画;(3)30℃で2時間誘導した細胞のサイトゾル分画;(4)37℃で2時間誘 導した細胞のサイトゾル分画;(5)分子量マーカー 図14 高分子量ペニシリン結合タンパク質のトランスグリコシラーゼドメインの保存 領域のアミノ酸アラインメント。 本図はE.1A(大腸菌PBP 1A)、E.1B(大腸菌PBP 1B)、S.1A(肺炎連鎖球菌PB P 1A)およびH.inf(インフルエンザ菌PBP 1A)の間の領域1、2および3にお ける保存残基を比較する。(*)は同一アミノ酸残基を指示する。 図15 突然変異PBP 1Bをコードする遺伝子をもつプラスミドが導入された大腸菌細胞 の膜タンパク質の解析。パネルA:[3H]ベンジルペニシリンの結合プロフィル 。パネルB:抗−PBP 1B血清によるウエスタンブロッティング。 レーン(1)分子量マーカー;(2)大腸菌JM 101/pBS96細胞の膜分画;(3)大 腸菌900521 ponB:spcr細胞の膜分画(この宿主は染色体コードPBP 1Bを欠く) ;(4)大腸菌900521 ponB:spc/pARC 0438細胞の膜分画;(5)大腸菌900521 po nB:spc/pARC 0469の膜分画;および(6)大腸菌900521 ponB:spc/pARC 0468 の膜分画 図16 野生型PBP 1BをコードするプラスミドpARC 0462の模式的表示。 ルトランスフェラーゼ(cmr)およびlacZ多重クローニング部位 の部分の配列 図17 突然変異ponB遺伝子をコードするプラスミドpARC 0463の模式的表示。 の起源(ori)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラ ーゼ(cmr)およびlacZ多重クローニング部位の部分の配列 図18 突然変異ponB遺伝子をコードするプラスミドpARC 0470の模式的表示。 複製の起源(ori)、クロラムフェニコールアセチルトランスフ ェラーゼ(cmr)およびlacZ多重クローニング部位の部分の配列 図19 突然変異ponA遺伝子が導入されたpARC 0571の模式的表示。 および複製の起源(ori)の配列 図20 野生型および突然変異大腸菌PBP 1Aの[125I]ペニシリン結合タンパク質プロ フィル。レーン(1)大腸菌AMA 1004 ponB:spcr/pBS98(w.t.ponA);(2)大腸 菌BL21(DE3)ponB:spcr/pARC 0570(w.t.ponA);(3)大腸菌AMA 1004 del p onA/pARC 057(QQ-AA ponA);(4)大腸菌AMA 1004 del ponA/pBS98(w.t.pon A);(5)分子量マーカー 図21 プラスミドpARC 0592の模式的表示。 ケイテッドponB遺伝子、カナマイシン抵抗性(Kmr)、ならび に複製の起源(ori)の配列 図22 プラスミドpARC 0593の模式的表示。 ンジ1B)をコードする突然変異トランケィテッドponB遺伝子、 カナマイシン抵抗性(Kmr)および複製の起源(ori)の配列 図23 プラスミドpARC 0392の模式的表示。 ロキナーゼ部位ついで6個のヒスチジンの連鎖をコードする配 列とインフレームに融合したPBP 1Bタンパク質のトランケィテ ッドフラグメントをコードする突然変異遺伝子、カナマイシン 抵抗性Kmr、ならびに複製の起源(ori)の配列 図24 プラスミドpARC 0499の模式的表示。 S−トランスフェラーゼをコードする配列とインフレームに融 合した突然変異ponA del 23遺伝子をコードする配列、β−ラ クタマーゼamprおよび複製の起源(ori)の配列 図25 プラスミドpARC 0400の模式的表示。 部位ついで6個のヒスチジンの連鎖をコードする配列とインフ レームに融合した突然変異ponA del 23配列、カナマイシン抵 抗性Kmrおよび複製の起源(ori)の配列
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/53 G01N 33/53 D 33/569 33/569 B //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:01) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:19) (C12N 9/24 C12R 1:19) (C12N 9/52 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT, UA,UG,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.細菌の二機能性ペニシリン結合タンパク質の水溶性の活性誘導体であるポリ ペプチドであって、上記ペニシリン結合タンパク質は、細菌細胞内で発現された 場合には細胞膜に結合し、またトランスグリコシラーゼおよびトランスペプチダ ーゼ両活性を発揮することが可能であり、上記誘導体は、膜結合配列を欠くが上 記酵素活性の一方または両方を発揮する能力を維持しているポリペプチド。 2.アミノ酸配列が配列表の配列番号:2、4、6、12または13と同一であるか またはそれと実質的に類似する、請求項1記載のポリペプチド。 3.細菌の二機能性ペニシリン結合タンパク質のトランスグリコシラーゼ欠損誘 導体であるポリペプチドであって、上記ペニシリン結合タンパク質は、細菌細胞 内で発現された場合には細胞膜に結合し、またトランスグリコシラーゼおよびト ランスペプチダーゼ両活性を発揮することが可能であり、上記誘導体は、トラン スグリコシラーゼ活性を発揮する能力を欠くがトランスペプチダーゼ活性を発揮 する能力は保持しているポリペプチド。 4.誘導体が、ポリペプチドをコードする遺伝子の第二の保存領域における突然 変異または欠失によりトランスグリコシラーゼ活性を欠く、請求項3記載のポリ ペプチド。 5.アミノ酸配列が配列表の配列番号:7、8、9または10と同一であるかまた はそれと実質的に類似する請求項3記載のポリペプチド。 6.細菌細胞は大腸菌細胞あるいは肺炎連鎖球菌細胞である、請求項1または3 記載のポリペプチド。 7.(a)請求項1または3記載の第一のポリペプチドおよび(b)親和性 マトリックスへの結合を可能にする付加的ポリペプチドからなり、上記両ポリペ プチドの間には切断部位を設けたポリペプチド。 8.付加的ポリペプチドがグルタチオン−S−トランスフェラーゼまたはグルタ チオン−S−トランスフェラーゼに実質的に類似したポリペプチドである、請求 項7記載のポリペプチド。 9.付加的ポリペプチドがヒスチジン残基に富むポリペプチドである、請求項7 記載のポリペプチド。 10.請求項1、3または7記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を 有する単離および精製DNA分子。 11.ヌクレオチド配列が配列表の配列番号:1、3または5と同一であるかまた はそれと実質的に類似する、請求項10記載のDNA分子。 12.請求項10記載のDNA分子を有し、その発現を仲介することができる複製可能 な発現ベクター。 13.ベクターが、 pARC 0558(NCIMB 40666号)、 pARC 0559(NCIMB 40667号)、 pARC 0512(NCIMB 40665号)、 pARC 0438(NCIMB 40661号)、 pARC 0468(NCIMB 40662号)、 pARC 0469(NCIMB 40663号)、 pARC 0571(NCIMB 40668号)、 pARC 0593(NCIMB 40670号)、 pARC 0392(NCIMB 40659号)、 pARC 0499(NCIMB 40664号)または pARC 0400(NCIMB 40660号) である、請求項12記載のベクター。 14.請求項12記載のベクターが導入された細胞。 15.ペニシリン結合タンパク質の誘導体であるポリペプチドの製造方法において 、請求項14記載の細胞をポリペプチドの発現のための培養培地中または培養培地 上で増殖させ、所望によりポリペプチドを回収することからなる方法。 16.請求項1記載の水溶性ポリペプチドの製造方法において、上記ポリペプチド のDNAコード配列がイソプロピルチオガラクトシド(IPTG)誘導性プロモーターの 制御下にある発現ベクターを導入した大腸菌細胞を培養することからなり、この 培養は上記プロモーターの誘導に至適下限濃度のIPTGの存在下に20〜24℃の範囲 の温度で行う方法。 17.細菌の二機能性ペニシリン結合タンパク質を結合できる抗体の同定方法にお いて、請求項1または3記載のポリペプチドを抗体結合アッセイに用い、そのポ リペプチドに結合する抗体を選択する工程を包含する方法。 18.ペニシリン結合タンパク質に結合する化合物の検定方法において、(a)請求 項1、3または7記載のポリペプチドを調査対象の化合物と接触させ、ついで( b)上記化合物がペニシリン結合タンパク質に結合するかどうかを検出すること からなる方法。 19.ペニシリン結合タンパク質に結合する化合物の検定方法において、(a)請求 項14記載の細胞を培養し、(b)上記細胞を溶解させて粗製の細胞抽出物を単離し 、(c)上記細胞抽出物をペニシリン結合タンパク質の潜在的インヒビターに暴露 し、(d)ペニシリン結合タンパク質を結合することが知られている物質を上記細 胞抽出物に導入し、(e)上記物質の非結合分画を除去し、そして(f)細胞抽出物 中に残存する上 記物質の存在をアッセイすることからなる方法。 20.ペニシリン結合タンパク質に結合する化合物の検定方法において、(a)請求 項1、3または7記載のポリペプチドを固体支持体上に固定化してペニシリン結 合タンパク質の潜在的インヒビターに暴露し、(b)ペニシリン結合タンパク質を 結合することが知られている物質を上記の固定化したポリペプチドに暴露し、( c)上記物質の非結合分画を除去し、そして(d)固定化したポリペプチドに結合 した上記物質の存在をアッセイすることからなる方法。 21.ペニシリン結合タンパク質に結合する化合物の検定方法において、(a)請求 項1、3または7記載のポリペプチドをペニシリン結合タンパク質の潜在的イン ヒビターに暴露し、(b)ペニシリン結合タンパク質を結合することが知られてい る物質を固体支持体上に固定化し、これに上記ポリペプチドを暴露し、(c)固定 化物質に結合したポリペプチドの存在をアッセイすることからなる方法。 22.ペニシリン結合タンパク質のトランスグリコシラーゼドメインに結合する化 合物の検定方法において、(a)請求項1もしくは7記載のポリペプチドを固体支 持体上に固定化させて、該ポリペプチドのトランスグリコシラーゼドメインをペ ニシリン結合タンパク質のトランスグリコシラーゼ活性の潜在的インヒビターに 暴露し、(b)ペニシリン結合タンパク質のトランスグリコシラーゼドメインを結 合することが知られている物質を固定化した上記ポリペプチドに暴露し、(c)上 記物質の非結合分画を除去し、そして(d)固定化されたポリペプチドに結合した 上記物質の存在をアッセイすることからなる方法。 23.ペニシリン結合タンパク質のトランスグリコシラーゼドメインに結合する化 合物の検定方法において、(a)請求項1または7記載のポリ ペプチドのトランスグリコシラーゼドメインを、ペニシリン結合タンパク質の潜 在的インヒビターに暴露し、(b)ペニシリン結合タンパク質のトランスグリコシ ラーゼドメインに結合することが知られている物質を固体支持体上に固定化して 、それに上記ポリペプチドを暴露し、(c)固定化された物質に結合したポリペプ チドの存在をアッセイすることからなる方法。 24.ペニシリン結合タンパク質を結合することが知られている物質がモノクロー ナル抗体である、請求項19〜23のいずれかに記載の方法。 25.ペニシリン結合タンパク質を結合することが知られている物質が標識した抗 生物質化合物である、請求項19〜23のいずれかに記載の方法。 26.ペニシリン結合タンパク質のタンパク構造を決定する方法において、請求項 1または3記載のポリペプチドをX−線結晶解析に利用することを特徴とする方 法。
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