【発明の詳細な説明】
4,4−(二置換)シクロヘキサン−1−カルボキシレート単量体
および関連する化合物
発明の分野
本発明は新規な4,4−(二置換)シクロヘキサン−1−カルボキシレート単
量体および関連する化合物、これらの化合物を含有する医薬組成物、ならびにア
レルギー性および炎症性疾患の治療および腫瘍壊死因子(TNF)の産生の阻害
におけるそれらの使用に関する。
発明の背景
気管支喘息は、気道の可逆的狭窄および外的刺激に対する気道の反応亢進を特
徴とする複雑な多因性疾患である。
複数のメディエイタが喘息の発達に関与しているという事実により、喘息用の
新規治療剤の同定は困難となっている。かくして、一のメディエイタの作用を除
去することで、慢性喘息の3種すべての要因に対する実質的な効果は得られない
であろうと考えられる。「メディエイタ解決法」と別の方法が、この病気の病態
生理学に関与している細胞の活性を調節することである。
そのような方法の一つが、cAMP(アデノシン・サイクリック3',5'−モ
ノホスフェート)のレベルを上昇させることによるものである。サイクリックA
MPは広範囲のホルモン、神経伝達物質および薬剤に対する生物学的応答を媒介
する第二メッセンジャーであることが示されている[Krebs Endocrinology Proc
eedings of the 4th International Congress Excerpta Medica,17-29,1973]
。適当な作用物質が特異的細胞表面受容体に結合すると、アデニル酸シクラーゼ
が活性化され、それはMg+2−ATPをcAMPに速い速度で変換する。
サイクリックAMPは、外因性(アレルギー性)喘息の病態生理学に関連する
細胞の、全てではないとしても、大部分の活性を調節する。cAMPの増加は、
それ自体、以下:1)気道平滑筋の弛緩、2)肥満細胞メディエイタの放出の阻
害、3)好中球脱顆粒の抑制、4)好塩基球脱顆粒の阻害、および5)単球およ
びマクロファージ活性化の阻害を含む有益な効果をもたらすであろう。したがっ
て、アデニル酸シクラーゼを活性化するか、ホスホジエステラーゼを阻害する化
合物は、気道平滑筋の不適当な活性化および多種の炎症細胞を抑制するのに有効
である。cAMP不活化の主な細胞機構は、環状ヌクレオチドホスホジエステラ
ーゼ(PDE)と称される1またはそれ以上の一連のイソ酵素による3'−ホス
ホジエステル結合の加水分解にある。
独特な環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)イソ酵素であるPD
E IVが、気道平滑筋および炎症細胞におけるcAMP分解の原因であることが
明らかにされている[Torphy、「ホスホジエステラーゼ・アイソザイムズ:ポテ
ンシャル・ターゲッツ・フォア・ノベル・アンチアゼマティック・エージェンツ
」(“Phosphodiesterase Isozymes:Potential Targets for Novel Anti-asthma
tic Agents”in New Drugs for Asthma,Barnes,ed.IBC Technical Services L
td., 1989)]。研究は、この酵素の阻害が、気道平滑筋の弛緩をもたらすだけ
でなく、単球および好中球の活性化を阻害すると共に、肥大細胞、好塩基球およ
び好中球の脱顆粒を抑制することを指摘する。その上、PDE IV阻害剤の有益
な効果は、in vivoの場合のように、標的細胞のアデニル酸シクラーゼ活性が適
当なホルモンまたはオータコイドにより上昇した場合、著しく増強される。この
ようなPDE IV阻害剤は、プロスタグランジンE2およびプロスタサイクリン(
アデニル酸シクラーゼの活性化物質)のレベルが高い、喘息性肺において有効で
ある。このような化合物は、気管支喘息の薬物療法に対して独特な解決方法を提
供し、現在市販されている医薬よりも優れた著しい治療効果を有する。
本発明の化合物はまた、腫瘍壊死因子(TNF)、血清糖タンパク質の産生を
阻害する。過度または未調整のTNF産生は、多発性硬化症、自己免疫糖尿病お
よび全身エリテマトーデスなどの多数の自己免疫疾患に加えて、慢性関節リウマ
チ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、痛風性関節炎および他の関節炎;敗血症
、敗血性ショック、内毒素ショック、グラム陰性敗血症、毒性ショック症候群、
成人呼吸窮迫症候群、脳性マラリア、慢性肺炎、珪肺症、肺サルコイドーシス、
骨
吸収疾患、再潅流傷害、対宿主性移植片反応、同種移植片拒絶反応、インフルエ
ンザなどの感染症による発熱および筋肉痛、感染または悪性疾患に派生的なカヘ
キシー、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)に派生的なカヘキシー、AID
S、ARC(AIDS関連症候群)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病
、潰瘍性大腸炎、または熱病を含む多数の疾患の媒介または再燃に関連がある。
AIDSは、Tリンパ球のヒト免疫不全ウイルス(HIV)での感染の結果起
こる。少なくとも3種のHIV、すなわち、HIV−1、HIV−2およびHI
V−3が同定されている。HIV感染の結果、T細胞介在免疫が損なわれ、感染
個体は重度の日和見感染症および/または異常な腫瘍を発病する。HIVがTリ
ンパ球に侵入するにはTリンパ球の活性化が必要とされる。HIV−1またはH
IV−2などのウイルスは、T細胞の活性化後にTリンパ球に感染し、このよう
なウイルスタンパク質の発現および/または複製は、このようなT細胞活性化に
より媒介または維持される。活性化されたTリンパ球が一旦HIVに感染すると
、HIV遺伝子の発現および/またはHIV複製を可能にするためにTリンパ球
は活性化状態に維持され続けなければならない。
サイトカイン、特にTNFは、Tリンパ球活性化の維持にて役割を果たすこと
により活性化されたT細胞介在HIVタンパク質発現および/またはウイルス複
製に関連する。従って、HIVに感染した個体にて、サイトカイン、特にTNF
産生を阻害することによるようなサイトカイン活性の干渉は、T細胞活性化の維
持を制限する手助けをし、これにより、未感染細胞に対するHIV感染性の進行
を軽減し、HIV感染により誘起される免疫機能不全の進行の遅れまたは除去を
もたらす。単球、マクロファージ、および関連する細胞、例えば星細胞およびグ
リア細胞も、HIV感染の維持に関連する。T細胞などのこれらの細胞は、ウイ
ルス複製の標的であり、ウイルス複製のレベルは、細胞の活性化状態に依存する
。[Rosenbergら、ジ・イムノパソジェニシス・オブ・エイチアイブイ・インフ
ェクション、アドバンセス・イン・イムノロジー(The Immunopathogenesis of H
IV Infection,Advances in Immunology)、第57巻(1989)を参照のこと]。T
NFなどのモノカインは、単球および/またはマクロファージにおいてHIV複
製
を活性化することが明らかにされており[Poliら、プロシーディングズ・オブ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシス(Proc.Natl.Acad.Sci.)87:782
-784(1990)を参照のこと]、従って、モノカイン産生または活性の阻害は、T
細胞に関して前記したように、HIV進行を制限する手助けとなる。
TNFはまた、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエンザウイルス、
アデノウイルスおよびヘルペスウイルスなどの他のウイルス感染症で、前記と同
様の理由から種々の役割に関連している。
TNFはまた、酵母および真菌感染症にも関連している。特にカンジダ・アル
ビカンス(Candida albicans)は、ヒト単球およびナチュラルキラー細胞にて、
in vitroにおけるTNF産生を誘発することが明らかにされている。[Riipiら
、インフェクション・アンド・イミュニティー(Infection and Immunity)、58
(9):2750-54(1990);およびJafariら、ジャーナル・オブ・インフェクシャ
ス・ディジージズ(Journal of Infectious Diseases)、164:389-95(1991)
を参照のこと。さらに、Wasanら、アンチミクロバイアル・アージェンツ・アン
ド・ケモセラピー(Antimicrobial Agents and Chemotherapy)、35(10):204
6-48(1991);およびLukeら、ジャーナル・オブ・インフェクシャス・ディジー
ジズ、162:211-214(1990)を参照のこと]。
TNFの悪影響を制御する能力は、このような使用を必要とする哺乳動物にて
TNFを阻害する化合物を使用することで促進される。TNFを過度および/ま
たは未調整で産生することにより悪化または誘起されるTNF介在疾患の治療に
おいて有用な化合物に対する要求が依然としてある。
発明の要約
第1の態様において、本発明は、式(I)または(Ib):
[式中、
R1は−(CR4R5)nC(O)O(CR4R5)mR6、−(CR4R5)nC(O)NR4(C
R4R5)mR6、−(CR4R5)nO(CR4R5)mR6または−(CR4R5)rR6(ここに
、アルキル部分は、置換されていないか、または1またはそれ以上のハロゲンで
置換されている)から選択され;
mは0ないし2であり;
nは0ないし4であり;
rは0ないし6であり;
R4およびR5は、独立して、水素またはC1-2アルキルから選択され;
R6は水素、メチル、ヒドロキシル、アリール、ハロ置換アリール、アリール
オキシC1-3アルキル、ハロ置換アリールオキシC1-3アルキル、インダニル、イ
ンデニル、C7-11ポリシクロアルキル、テトラヒドロフラニル、フラニル、テト
ラヒドロピラニル、ピラニル、テトラヒドロチエニル、チエニル、テトラヒドロ
チオピラニル、チオピラニル、C3-6シクロアルキルまたは1もしくは2個の不
飽和結合を含有するC4-6シクロアルキル(ここに、シクロアルキルまたは複素
環部分は置換されていないか、または1ないし3個のメチル基、1個のエチル基
または1個のヒドロキシル基で置換されている)である;
ただし、
a)R6がヒドロキシルである場合、mは2であるか;または
b)R6がヒドロキシルである場合、rは2ないし6であるか;または
c)R6が2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチオピラニル、2−
テトラヒドロフラニルまたは2−テトラヒドロチエニルである場合、mは1また
は2であるか;または
d)R6が2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチオピラニル、2−
テトラヒドロフラニルまたは2−テトラヒドロチエニルである場合、rは1ない
し6であり;
e)nが1であり、mが0である場合、−(CR4R5)nO(CR4R5)mR6にお
けるR6はH以外の基であり;
XはYR2、フッ素、NR4R5またはホルミルアミンであり;
YはOまたはS(O)m'であり;
m'は0、1または2であり;
X2はOまたはNR8であり;
X3は水素またはXであり;
X4はH、R9、OR8、CN、C(O)R8、C(O)OR8、C(O)NR8R8また
はNR8R8であり;
R2は、独立して、1またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい−C
H3または−CH2CH3から選択され;
sは0ないし4であり;
Wは炭素数2〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニルまたは炭素数2〜6
のアルキニルであり;
R3はCOOR14、C(O)NR4R14またはR7であり;
ZはC(Y')R14、C(O)OR14、C(Y')NR10R14、C(NR10)NR10R14
、CN、C(NOR8)R14、C(O)NR8NR8C(O)R8、C(O)NR8NR10R1 4
、C(NOR14)R8、C(NR8)NR10R14、C(NR14)NR8R8、C(NCN)
NR10R14、C(NCN)SR9、(2−、4−または5−イミダゾリル)、(3
−、4−または5−ピラゾリル)、(4−または5−トリアゾリル[1,2,3]
)、(3−または5−トリアゾリル[1,2,4])、(5−テトラゾリル)、(2
−、4−または5−オキサゾリル)、(3−、4−または5−イソキサゾリル)
、(3−または5−オキサジアゾリル[1,2,4])、(2−オキサジアゾリル[
1,3,4])、(2−チアジアゾリル[1,3,4])、(2−、4−または5−
チアゾリル)、(2−、4−または5−オキサゾリジニル)、(2−、4−また
は5−チアゾリジニル)または(2−、4−または5−イミダゾリジニル)であ
り、ここに複素環系はすべて置換されていないか、または1回またはそれ以上の
回数、R14により置換されており;
Y'はOまたはSであり;
R7は−(CR4R5)qR12またはC1-6アルキル(ここに、R12またはC1-6アル
キル基は、置換されていないか、あるいは置換されていないかまたは1ないし3
個のフッ素で置換されているメチルまたはエチルで1回またはそれ以上置換され
ている)、−F、−Br、−Cl、−NO2、−NR10R11、−C(O)R8、−CO2
R8、−O(CH2)qR8、−CN、−C(O)NR10R11、−O(CH2)qC(O)N
R10R11、−O(CH2)qC(O)R9、−NR10C(O)NR10R11、−NR10C(O
)R11、−NR10C(O)OR9、−NR10C(O)R13、−C(NR10)NR10R11、
−C(NCN)NR10R11、−C(NCN)SR9、−NR10C(NCN)SR9、−N
R10C(NCN)NR10R11、−NR10S(O)2R9、−S(O)m'R9、-NR10C(
O)C(O)NR10R11、−NR10C(O)C(O)R10またはR13であり;
qは0、1または2であり;
R12はR13、C3-7シクロアルキル、または(2−、3−または4−ピリジル)
、ピリミジル、ピラゾリル、(1−または2−イミダゾリル)、ピロリル、ピペ
ラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、フラニル、(2−または3−チエニル
)、キノリニル、ナフチルおよびフェニルからなる群より選択される非置換また
は置換アリールまたはヘテロアリール基であり;
R8は水素またはR9であり;
R9は1ないし3個のフッ素で置換されていてもよいC1-4アルキルであり;
R10はOR8またはR11であり;
R11は水素または非置換もしくは1ないし3個のフッ素で置換されているC1- 4
アルキルであるか、またはR10およびR11が−NR10R11である場合、これら
は窒素と一緒になって炭素または炭素とO、NまたはSから選択される1または
それ以上の別のヘテロ原子を含有してなる5ないし7員環を形成し;
R13はオキサゾリジニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾ
リル、テトラゾリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、イソ
キサゾリル、オキサジアゾリルまたはチアジアゾリルからなる群より選択される
置換または非置換ヘテロアリール基であり、R13がR12またはR13で置換されて
いる場合、各環は炭素原子を介して連結し、第2のR13環は、各々、置換されて
いないか、またはメチルが1ないし3個のフルオロ原子で置換されていてもよい
1または2個のC1-2アルキルで置換されており;
R14は水素またはR7であるか;またはR8およびR14がNR8R14である場合
、これらは窒素と一緒になって、炭素または炭素とO、NまたはSから選択され
る1またはそれ以上の別のヘテロ原子を有してなる5ないし7員環を形成する;
ただし、
f)R7は1ないし3個のフッ素で置換されていてもよいC1-4アルキル以外の
基である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
本発明はまた、式(Ia)または(Ib)の化合物と、医薬上許容される担体
または希釈剤とからなる医薬組成物に関する。
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるPDE IVの酵素活性(または触
媒活性)の媒介または阻害法であって、以下に示すように、有効量の式(Ia)
または(Ib)の化合物を、これを必要とする哺乳動物に投与することからなる
方法に関する。
本発明はさらに、ヒトを含む哺乳動物に有効量の式(Ia)または(Ib)の
化合物を投与することからなる、アレルギー性および炎症性疾患の治療法を提供
する。
本発明はまた、有効量の式(Ia)または(Ib)の化合物を、これを必要と
するヒトを含む哺乳動物に投与することからなる、喘息の治療法も提供する。
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるTNF産生の阻害法であって、か
かる治療を必要とする哺乳動物に有効なTNF阻害量の式(Ia)または(Ib
)の化合物を投与することからなる方法に関する。この方法は、その治療に敏感
に反応するある種のTNF介在疾患の状態の予防的治療または予防に用いられる
。
本発明はまた、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したヒトの治療法であ
って、このようなヒトにTNF阻害に有効な量の式(Ia)または(Ib)の化
合物を投与することからなる方法に関する。
式(I)の化合物は、別のウイルス感染症の治療において有用であり、このよ
うなウイルスはTNFによるアップレギュレーションに対して感受性であるかま
たはin vivoにてTNF産生を惹起する。
加えて、式(Ia)または(Ib)の化合物はまた、酵母および真菌感染症の
治療においても有用であり、このような酵母および真菌はTNFによるアップレ
ギュレーションに対して感受性であるかまたはin vivoでTNF産生を惹起する
。
発明の詳細な記載
本発明はまたこれを必要とする哺乳動物においてPDE IVの酵素活性(また
は触媒活性)を媒介または阻害する方法およびこれを必要とする哺乳動物におい
てTNF産生を阻害する方法であって、前記哺乳動物に有効量の式(Ia)また
は(Ib)の化合物を投与することからなる方法に関する。
ホスホジエステラーゼIV阻害剤は、喘息、慢性気管支炎、アトピー性皮膚炎、
蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、好酸球性肉芽腫
、乾癬、慢性関節リウマチ、敗血性ショック、潰瘍性大腸炎、クローン病、心筋
または脳の再潅流損傷、慢性糸球体腎炎、内毒素ショックおよび成人呼吸窮迫症
候群を含む、種々のアレルギー性および炎症性疾患の治療において有用である。
加えて、PDE IV阻害剤は尿崩症ならびに鬱病および多梗塞痴呆等の中枢神経
系障害の治療においても有用である。
本発明の治療に関連するウイルスは、感染の結果としてTNFを産生するもの
であるか、または式(I)のTNF阻害剤により、直接または間接的に複製が減
少する等、阻害に対して感受性のものである。このようなウイルスは、HIV−
1、HIV−2およびHIV−3、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエ
ンザ、アデノウイルスおよびヘルペス種のウイルス、例えば、限定されるもので
はないが、帯状ヘルペスおよび単純ヘルペスを包含するが、これらに限定されな
い。
本発明は、さらに詳しくは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に罹患した哺乳
動物の治療法であって、このような哺乳動物に有効なTNF抑制量の式(Ia)
または(Ib)の化合物を投与することからなる方法に関する。
本発明の化合物は、TNF産生の抑制を必要とするヒト以外の動物の獣医学的
処置に関連しても用いられる。動物における治療的または予防的処置を受けるT
NF介在疾患は、前記のような症状、特にウイルス性感染症を包含する。このよ
うなウイルスの例は、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)または例えばウマ感染性
貧血ウイルス、ヤギ関節炎ウイルス、ビスナウイルス、マエディウイルスおよび
他のレンチウイルスなどを含むレトロウイルス感染症を包含するが、これに限定
されない。
本発明の化合物はまた、酵母および真菌が、TNFによるアップレギュレーシ
ョンに対して感受性であるか、またはin vivoにおけるTNF産生を惹起する場
合、かかる酵母および真菌感染症の治療においても有用である。治療に関して好
ましい病状は、真菌性髄膜炎である。加えて、式(Ia)または(Ib)の化合
物は、全身性酵母および真菌感染症について用いる他の医薬と組み合せて投与し
てもよい。真菌感染症について選択される医薬は、ポリマイシンBなどのポリミ
キシンと称される化合物種、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾールお
よびケトコナゾールなどのイミダゾールと称される化合物種;フルコナゾールお
よびイトラナゾールなどのトリアゾールと称される化合物種;アンホテリシン、
特にアンホテリシンBおよびリポソーム性アンホテリシンBと称される化合物種
を包含するが、これに限定されない。
式(Ia)または(Ib)の化合物はまた、抗真菌剤、抗菌剤または抗ウイル
ス剤での治療を必要とする哺乳動物に有効量の式(Ia)または(Ib)の化合
物を投与することによって、その毒性を阻害および/または軽減するために用い
られる。好ましくは、式(Ia)または(Ib)の化合物はアンホテリシン種の
化合物、特にアンホテリシンBの毒性を阻害または軽減するために投与される。
本明細書において用いる「C1-3アルキル」、「C1-4アルキル」、「C1-6ア
ルキル」または「アルキル」基なる語は、1ないし10個の直鎖または分枝鎖の
両方の基を包含することを意味し、特に鎖長を限定しない限り、メチル、エチル
、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert
−などを包含するが、これに限定されない。
「アルケニル」は、鎖長が限定されない限り、1ないし6個の炭素長の直鎖ま
たは分枝鎖の両方を意味し、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−プ
ロピニルまたは3−メチル−2−プロペニルを包含するが、これに限定されない
。
「シクロアルキル」または「シクロアルキルアルキル」なる語は、シクロプロ
ピル、シクロプロピルメチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどの3な
いし7個の炭素原子の基を意味する。
「アリール」または「アラルキル」は、特記しない限り、フェニル、ベンジル
、フェネチルまたはナフチルなどの6ないし10個の炭素原子の芳香族環または
環系を意味する。好ましくは、アリールは単環、すなわち、フェニルである。ア
ルキル鎖は炭素数1ないし4の直鎖または分枝鎖基の両方を包含することを意図
とする。
「ヘテロアリール」は1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する芳香族環系
、例えば、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、ピリジル、ピリミジル
、ピラゾリル、ピロリル、フラニルまたはチエニルを意味する。
「ハロ」はすべてのハロゲン、すなわち、クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨ
ードを意味する。
「IL−1の産生の阻害」または「TNFの産生の阻害」は:
a)単球またはマクロファージを含む(これに限定されない)全細胞による、
in vivoでのIL−1の放出を阻害することによる、ヒトにおける、in vivoでの
それぞれのIL−1またはTNFの過剰レベルを正常レベル以下に減少させるこ
と;
b)ヒトにおける、in vivoでのそれぞれのIL−1またはTNFレベルの翻
訳または転写レベルを正常レベル以下にダウンレギュレーションすること;
または
c)翻訳後の事象としてのIL−1またはTNFレベルの直接合成を抑制する
ことでダウンレギュレーションすること
を意味する。
「TNF介在疾患または病状」なる語は、TNFが、TNFそれ自体を産生す
るか、または限定されるものではないが、IL−1またはIL−6などの他のサ
イトカインの放出を誘起するかのいずれかによって作用する、いずれの病状をも
意味する。したがって、例えば、IL−1が主要素であり、その産生および作用
がTNFに対する応答として惹起または分泌される病状は、TNFを介在する症
状と考えられる。TNF−β(また、リンホトキシンとして知られている)は、
TNF−α(カヘクチンとしても知られている)と構造的に近似しており、それ
ぞれが同様な生物学的応答を誘発し、同一の細胞受容体に結合するので、TNF
−αおよびTNF−βは共に本発明の化合物により阻害される。従って、本明細
書において、特記しないかぎり、それらを包括的に「TNF」という。好ましく
は、TNF−αが阻害される。
「サイトカイン」は、細胞の機能に影響し、免疫、炎症または造血応答におい
て細胞間の相互作用を調節する分子である、いずれの分泌ポリペプチドをも意味
する。サイトカインは、どの細胞が産生するかにかかわらず、モノカインおよび
リンホカインを包含するが、これに限定されない。HIVに感染したヒトの治療
において用いるために本発明により阻害されるサイトカインは、(a)T細胞活
性化および/または活性化T細胞介在HIV遺伝子発現および/または複製の開
始および/または維持、および/または(b)カヘキシーまたは筋肉衰退などの
サイトカイン介在疾患に伴ういずれの問題にも関連するサイトカインでなければ
ならない。好ましくは、このサイトカインはTNF−αである。
式(Ia)または(Ib)のすべての化合物は、TNF産生の阻害を必要とす
るヒトを含めた哺乳動物において、好ましくは、マクロファージ、単球またはマ
クロファージと単球によるTNFの産生を阻害する方法において有用である。式
(Ia)または(Ib)のすべての化合物は、PDE IVの酵素または触媒活性
の阻害または媒介法、およびこれにより媒介される症状の治療において有用であ
る。
好ましい化合物は以下のとおりである:
R1が1またはそれ以上のハロゲンで置換されたアルキルである場合、ハロゲ
ンは好ましくはフッ素および塩素であり、より好ましくは1またはそれ以上のフ
ッ素で置換されたC1-4アルキルである。好ましいハロ置換アルキル鎖長は、1
または2個の炭素であり、最も好ましいのは−CF3、−CH2F、−CHF2、
−
CF2CHF2、−CH2CF3および−CH2CHF2である。好ましいR1置換基
は、CH2−シクロプロピル、CH2−C5-6シクロアルキル、OH基を有するま
たは有しないC4-6シクロアルキル、C7-11ポリシクロアルキル、(3−または
4−シクロペンテニル)、フェニル、テトラヒドロフラン−3−イル、1または
それ以上のフッ素で置換されていてもよいベンジルもしくはC1-2アルキル、−(
CH2)1-3C(O)O(CH2)0-2CH3、−(CH2)1-3O(CH2)0-2CH3および−(
CH2)2-4OHである。
R1基が(CR4R5)である場合、R4およびR5基は、独立して、水素またはア
ルキルである。これは、(CR4R5)nまたは(CR4R5)mのような個々のメチレン
単位が分枝することを可能とし、メチレン繰り返し単位が、各々、互いに独立し
、例えば、nが2である(CR4R5)nは、例えば−CH2CH(CH3)−でありう
る。メチレン繰り返し単位または分枝状炭化水素の個々の水素原子は、置換され
ていなくても、または互いに独立してフッ素で置換されていてもよく、例えば、
前記した好ましいR1置換を得ることができる。
R1がC7-11のポリシクロアルキルである場合、例としては、ビシクロ[2.2
.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチ
ル、トリシクロ[5.2.1.02'6]デシル等が挙げられ、別の例は、サッカマノ
(Saccamano)ら、WO87/06576(1987年11月5日公開)に記載
されている。その全開示を出典明示により本明細書の一部とする。
Wは、好ましくは、炭素数3ないし5のアルキル、アルケニルまたはアルキニ
ルであり、アルケニルまたはアルキニルである場合、1または2個の二重または
三重結合が存在する。Wがエチニルまたは1.3−ブタジイニルであるものが最
も好ましい。
Zは、好ましくは、C(O)R14、C(O)OR14、C(O)NR10R14、C(NR1 0
)NR10R14、CN、C(NOR8)R8、C(O)NR8NR8C(O)R8、C(NR8)
NR10R14、C(NCN)NR10R14、C(NCN)SR9、(1−、4−または5
−{R8}−2−イミダゾリル)、(1−、4−または5−{R8}−3−ピラゾ
リル)、(1−、2−または5−{R8}−4−トリアゾリル[1,2,
3])、(1−、2−、4−または5−{R8}−3−トリアゾリル[1,2,4])
、(1−または2−{R8}−5−テトラゾリル)、(4−または5−{R8}−
2−オキサゾリル)、(3−または4−{R8}−5−イソキサゾリル)、(3
−{R8}−5−オキサジアゾリル[1,2,4])、(5−{R8}−3−オキサ
ジアゾリル[1,2,4])、(5−{R8}−2−オキサジアゾリル[1,3,4])
、(5−{R8}−2−チアジアゾリル[1,3,4])、(4−または5−{R8
}−2−チアゾリル)、(4−または5−{R8}−2−オキサゾリジニル)、
(4−または5−{R8}−2−チアゾリジニル)、(1−、4−または5−{
R8}−2−イミダゾリジニル)である;ZのR8基がR4である化合物が最も好
ましい。Zは、好ましくは、C(O)R14、C(O)OR14またはC(O)NR10R14
である。
好ましいX基は、XがYR2、Yが酸素のものである。好ましいX2基はX2が
酸素のものである。好ましいX3基はX3が水素のものである。好ましいR2基は
、可能ならば、置換されていないかあるいは1またはそれ以上のハロゲンで置換
されているC1-2アルキルである。ハロゲン原子は、好ましくは、フッ素および
塩素、より好ましくはフッ素である。より好ましいR2基は、R2がメチル、また
はフルオロ置換アルキル、特にC1-2アルキル、例えば−CF3、−CHF2また
は−CH2CHF2基のものである。CHF2およびCH3基が最も好ましい。
好ましいR7基は、非置換または置換の−(CH2)0-2(2−、3−または4−ピ
リジル)、(CH2)1-2(2−イミダゾリル)、(CH2)2(4−モルホリニル)、(CH2
)2(4−ピペラジニル)、(CH2)1-2(2−チエニル)、(CH2)1-2(4−チアゾリ
ル)、非置換または置換のピリミジニル、および置換または非置換の(CH2)0-2
フェニルを包含する。
−NR10R11部のR10およびR11が、それらが結合している窒素と一緒になっ
て、置換されていないか、またはO、NまたはSから選択される少なくとも1個
の別のヘテロ原子を含有してなる5ないし7員環を形成する場合、好ましい環は
、1−イミダゾリル、2−(R8)−1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、3−(R8
)−1−ピラゾリル、1−トリアゾリル、2−トリアゾリル、5−(R8)−1−
ト
リアゾリル、5−(R8)−2−トリアゾリル、5−(R8)−1−テトラゾリル、5
−(R8)−2−テトラゾリル、1−テトラゾリル、2−テトラゾリル、モルホリ
ニル、ピペラジニル、4−(R8)−1−ピペラジニルまたはピロリル環を包含す
るが、これに限定されない。
−NR8R14部のR8およびR14がそれらが結合している窒素と一緒になって、
置換されていないか、またはO、NまたはSから選択される少なくとも1個の別
のヘテロ原子を含有する5ないし7員環を形成する場合、好ましい環は、1−イ
ミダゾリル、1−ピラゾリル、1−トリアゾリル、2−トリアゾリル、1−テト
ラゾリル、2−テトラゾリル、モルホリニル、ピペラジニルおよびピロリル環を
包含するが、これに限定されない。各環は、できるならば、可能な窒素または炭
素上で式(I)について本明細書中に記載のR7基で置換されていてもよい。こ
のような炭素置換の例は、2−(R7)−1−イミダゾリル、4−(R7)−1−イミ
ダゾリル、5−(R7)−1−イミダゾリル、3−(R7)−1−ピラゾリル、4−(
R7)−1−ピラゾリル、5−(R7)−1−ピラゾリル、4−(R7)−2−トリアゾ
リル、5−(R7)−2−トリアゾリル、4−(R7)−1−トリアゾリル、5−(R7
)−1−トリアゾリル、5−(R7)−1−テトラゾリル、および5−(R7)−2−
テトラゾリルを包含するが、これに限定されない。R7による可能な窒素置換は
、1−(R7)−2−テトラゾリル、2−(R7)−1−テトラゾリル、4−(R7)−
1−ピペラジニルを包含するが、これらに限定されない。可能ならば、該環はR7
で1回またはそれ以上の回数置換されてもよい。
複素環式環を含むNR8R14についての好ましい基は、5−(R14)−1−テト
ラゾリル、2−(R14)−1−イミダゾリル、5−(R14)−2−テトラゾリルまた
は4−(R14)−1−ピペラジニルである。
R13についての好ましい環は、(2−、4−または5−イミダゾリル)、(3−
、4−または5−ピラゾリル)、(4−または5−トリアゾリル[1,2,3])、(
3−または5−トリアゾリル[1,2,4])、(5−テトラゾリル)、(2−、4−
または5−オキサゾリル)、(3−、4−または5−イソキサゾリル)、(3−また
は5−オキサジアゾリル[1,2,4])、(2−オキサジアゾリル[1,3,4])
、
(2−チアジアゾリル[1,3,4])、(2−、4−または5−チアゾリル)、(2
−、4−または5−オキサゾリジニル)、(2−、4−または5−チアゾリジニル
)または(2−、4−または5−イミダゾリジニル)を包含する。
R7基が、置換されていないか、またはイミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾ
リル、テトラゾリルまたはチアゾリルなどの複素環式環で置換されている場合、
複素環式環それ自体が、1−(R8)−2−イミダゾリル、1−(R8)−4−イミダ
ゾリル、1−(R8)−5−イミダゾリル、1−(R8)−3−ピラゾリル、1−(R8
)−4−ピラゾリル、1−(R8)−5−ピラゾリル、1−(R8)−4−トリアゾリ
ルまたは1−(R8)−5−トリアゾリルなど、可能な窒素または炭素原子上でR8
により置換されていてもよい。可能ならば、環は1回またはそれ以上R8により
置換されていてもよい。
R1が−CH2−シクロプロピル、−CH2C5-6シクロアルキル、非置換または
OHで置換されている−C4-6シクロアルキル、テトラヒドロフラン−3−イル
、(3−または4−シクロペンテニル)、非置換または1またはそれ以上のフッ素
で置換されているベンジルまたはC1-2アルキルあるいは−(CH2)2-4OHであ
り;R2がメチルまたはフルオロ置換アルキルであり;Wがエチニルまたは1,3
−ブタジイニルであり;R3がR7(ここに、R7は非置換または置換アリールま
たはヘテロアリール環)であり;XがYR2であり;ZがOR14、OR15、NR1 0
R14またはNR14C(O)R9である式(I)の化合物が好ましい。
最も好ましいのは、R1が−CH2−シクロプロピル、シクロペンチル、3−ヒ
ドロキシシクロペンチル、メチルまたはCF2Hであり;XがYR2であり;Yが
酸素であり;X2が酸素であり;X3が水素であり;R2がCF2Hまたはメチルで
あり;Wがエチニルまたは1,3−ブタジイニルであり;R3が置換または非置換
ピリミジニル環である化合物である。
本発明の化合物の医薬上許容される塩もまた、それらが調製できる場合、本発
明に包含されるものである。これらの塩は、その医薬用途への適用において許容
できるものである。その塩は親化合物の生物学的活性を保持し、疾患の治療にお
ける適用および使用において有害または有毒な作用を有しないことを意味する。
医薬上許容される塩は標準的方法で調製される。適当な溶媒中に溶解させた親
化合物を、塩基の酸付加塩の場合には過剰の有機または無機酸で処理し、また分
子が例えばCOOHを有する場合には過剰の有機または無機塩基で処理する。
本発明の医薬組成物は、医薬担体または希釈剤と、一定量の本発明の化合物と
からなる。該化合物は、生理学的応答を起こす量で存在するか、または意図する
治療を行うために使用者が2またはそれ以上の単位を摂取する必要があるような
より少ない量で存在しうる。これらの組成物は、固体、液体または気体の形態と
して形成しうる。あるいはこれら3種の形態のうちの一つを投与時、例えば固体
をエアロゾル手段でデリバーする場合、または液体をスプレーまたはエアロゾル
でデリバーする場合のように別の形態に変換してもよい。
組成物および医薬担体または希釈剤の性質は、もちろん、例えば、非経口、局
所、経口または吸入によるか意図する投与経路に依存するであろう。
局所投与の場合、医薬組成物は、皮膚、眼、耳または鼻への適用に適したクリ
ーム、軟膏、リニメント、ローション、ペースト、エアロゾルおよび滴剤の形態
である。
非経口投与の場合、医薬組成物は、アンプルなどの滅菌注射液あるいは水性ま
たは非水性液体懸濁液の形態である。
経口投与の場合、医薬組成物は、錠剤、カプセル、散剤、ペレット、トローチ
、ロゼンジ、シロップ、液体またはエマルジョンの形態である。
医薬組成物を溶液または懸濁液の形態で用いる場合、適当な医薬担体または希
釈剤の例は、例えば、水性系の場合、水;非水性系の場合、エタノール、グリセ
リン、プロピレングリコール、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油
、流動パラフィンおよびその水との混合物;固体系の場合、ラクトース、カオリ
ンおよびマンニトール;エアロゾル系の場合、ジクロロジフルオロメタン、クロ
ロトリフルオロエタンおよび圧縮二酸化炭素を包含する。また、医薬担体または
希釈剤に加えて、本発明の組成物は、他の成分、例えば安定化剤、酸化防止剤、
保存料、滑沢剤、沈殿防止剤、粘度調整剤などを含んでもよい;ただし、添加成
分は本発明の組成物の治療作用に致命的影響を及ぼさないものとする。
このように記載されている医薬製剤は、薬剤師の通常の技術に従って、適宜、
所望の最終製品にされる。
これらの組成物中、担体または希釈剤の量は変わるが、好ましくは活性成分の
懸濁液または溶液の大部分である。希釈剤が固体である場合、これは固体活性成
分より少ないか、または同量、あるいはより多い量で存在しうる。
通常、本発明の化合物は、非毒性量の、ロイコトリエンが要因である疾患の徴
候を阻害するのに十分な量を含有してなる組成物にて対象に投与される。局所処
方剤は、約0.01ないし5.0重量%の活性成分を含み、必要に応じて患部に予
防または治療剤として塗布する。経口、または他の摂取または注射処方として用
いる場合、組成物の投与量は、各投与について50mgないし1000mgの範
囲の活性成分から選択される。簡便のために、等用量を1日に1ないし5回投与
し、日用量を約50mgないし約5000mgから選択する。
これらの化合物を本発明に従って投与した場合、許容できない毒物学的作用は
考えられない。
製法
原文記載による合成スキーム
式(Ia)または(Ib)の化合物は、ZおよびX4が前記したようなZおよ
びX4であるかまたはZおよびX4に変換可能な基である末端アセチレン、例えば
化合物1−スキーム1を、適当なハライドR3X(ここに、R3は前記したような
R3であるかまたはR3に変換可能な基である)と、適当な触媒、例えばトリフェ
ニルホスフィンの存在下でのハロゲン化銅(I)および二価または0価パラジウ
ム化合物の存在下、アミンなどの適当な溶媒中、ブランズマ(Brandsma)らの
方法[シンセシス・コミュニケイションズ(Syn.Comm.)、1990、20、1889]に
あるように反応させることからなる本明細書に開示の方法により調製され、式2 −スキーム1
の化合物を得る。式1−スキーム1の化合物は、同時係属の米国特
許出願番号07/862030(1992年4月2日出願)およびその関連出願
USSN07/968762(1992年10月30日出願)およびPCT出願
PCT/US93/01991(継続出願として米国を指定国とし、1993年
3月5日に出願する)に記載したとの類似する方法により調製できる。
a)Pd(PPh3)4、PPh3、CuI、R3X、ピペリジン
別法として、Z、X4およびR3が前記したようなZ、X4およびR3であるかま
たはZ、X4またはR3に変換可能な基である本発明の化合物は、例えば化合物1 −スキーム2
などの対応するケトンから、前記の米国特許出願07/86203
0(1992年4月2日出願)などに記載の合成方法により製造できる;このよ
うなケトン出発物質の合成は同時係属の米国特許出願番号07/862083お
よび07/968753およびPCT出願PCT/US93/02045(19
93年3月5日に出願され、現在公開されている)(継続出願として米国を指定
国とする)に記載されている。
別法として、適当な金属塩、例えば銅塩と触媒量のパラジウム塩を用い、酸捕
獲剤としての適当な塩基、例えば酢酸ナトリウムの存在下、適当なアルコール、
例えばメタノール中、ツジ(Tsuji)らの方法[テトラヘドロン・レターズ(T
et.Lett.)、1980、21、849]に記載されているように、末端アセチレン、例え
ば化合物1−スキーム3を酸化的カルボニル化に付し、式2−スキーム3の化合
物を得る;ついで、かかる化合物を前記のようなケトンの操作および標準的エス
テル交換またはアミド化条件を用いるカルボン酸エステル基の独立した操作によ
り式(I)の他の化合物に変換してもよい。このようなケトン出発物質の合成は
前記した米国特許出願、すなわち、USSN07/862083およびその関連
出願に記載されている。
a)PdCl2、CuCl2、NaO2CCH3、CO、CH3OH;スキーム2と同様
同様に、例えば、化合物1−スキーム4(ZおよびX4は式(I)に関して定
義されているZおよびX4であるか、またはZまたはX4に変換可能な基である)
のような末端アセチレンを、銅塩などの適当な金属塩を触媒量のパラジウム塩と
一緒に用い、酸捕獲剤として酢酸ナトリウムなどの適当な塩基の存在下、メタノ
ールのような適当なアルコール中、ツジ(Tsuji)らの方法[テトラヘドロン・
レターズ(Tet.Lett.)、1980、21、849]に記載されているように酸化的カル
ボニル化に付し、式2−スキーム4の化合物を得る;ついで、かかる化合物を標
準的エステル交換またはアミド化条件を用いるカルボン酸エステル基の操作によ
り式(I)の他の化合物に変換してもよい。
a)PdCl2、CuCl2、NaO2CCH3、CO、CH3OH
式(I)の残りの化合物の調製は、前記方法および以下の実施例に記載の方法
と類似の方法により達成できる。
式(I)の化合物のうちいくつかは異なる物理的および生物学的性質を有する
異なるジアステレオマー形で存在してもよく、このような異性体は標準的クロマ
トグラフィー法により分離できる。
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、それは何ら本発明を限定すること
を意図とするものではない。請求の範囲において発明者らが保持する事項に言及
する。
合成例
実施例1
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−
(4−ピリジルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]の調製 1a)シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4 −ホルミルシクロヘキサン−1−カルボン酸]
アルゴン雰囲気下、0℃の、シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−
メトキシフェニル)−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸](1.002g、
2.91ミリモル、同時係属の米国出願07/862030(1992年4月2
日出願および関連出願USSN07/968762(1992年10月30日出
願)およびPCT出願PCT/US93/01991(継続出願として米国を指
定国とし、1993年3月5日出願)の記載にしたがって製造)のトルエン(3
0ml)中懸濁液に、水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン中1.0M溶
液(6.00ml、6.00ミリモル)を15分間にわたって滴下した。該溶液を
室温で2時間撹拌し、ついで0℃で飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エ
チルおよび10%塩酸(50ml)で希釈し、酢酸エチルで2回抽出した。抽出
液を乾燥(硫酸マグネシウム)し、蒸発させた。メタノール/ジクロロメタン(
5:95)で溶出する、フラッシュクロマトグラフィーに付して精製し、シス−
[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−ホルミルシ
クロヘキサン−1−カルボン酸]を白色固体として得た:融点137−139℃
。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 9.31(s,1H)、6.85(m,
2H)、6.77(m,1H)、4.75(m,1H)、3.83(s,3H)、2.
58(brd,J=12Hz,2H)、2.35(m,1H)、2.09(m,2H)、1.
8−2.0(m,6H)、1.5−1.8(m,6H)。1b)トランス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル) −4−エチニルシクロヘキサン−1−カルボン酸]
−78℃での乾燥テトラヒドロフラン(2ml)に溶かした(ジアゾメチル)
ホスホン酸ジメチル(0.30g、2.0ミリモル、Seyferth,D.;Marmor,R.
S.;Hilbert,P.J.Org.Chem.1971,36(10),1379-1386に記載されている
ように製造)の溶液を、カニューレを介して、アルゴン雰囲気下、−78℃での
乾燥テトラヒドロフラン(2ml)に溶かしたカリウムt−ブトキシド(0.1
69g、1.50ミリモル)の溶液に加えた。15分後、−78℃でのシス−[
4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−ホルミルシク
ロヘキサン−1−カルボン酸](0.173g、0.5ミリモル)の乾燥テトラヒ
ドロフラン(2ml)中溶液を速やかに加えた。反応物を徐々に室温まで1時間
にわたって加温し、ついでさらに1時間撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニ
ウムでクエンチし、10%塩酸で酸性化し、ジクロロメタンで3回抽出し、抽出
液を乾燥(硫酸マグネシウム)し、蒸発させた。酢酸エチル/ヘキサン(3:1
)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、トランス−[4−(
3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−エチニルシクロヘキ
サン−1−カルボン酸]を白色固体として得た;融点152−153℃。1H N
MR(400MHz,CDCl3)δ 7.15(d,J=2.2Hz,1H)、7.04
(dd,J=8.5,2.2Hz,1H)、6.83(d,J=8.5Hz1H)、4.8
0(m,1H)、3.84(s,3H)、2.46(s,3H)、2.37(m,1H)
、2.07(m,6H)、1.8−2.0(m,6H)、1.73(m,2H)、1.62
(m,2H)。1c)シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4 −(4−ピリジルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]
アルゴン雰囲気下、トランス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メト
キシフェニル)−4−エチニルシクロヘキサン−1−カルボン酸](0.20g
、0.57ミリモル)および4−ブロモピリジン(0.91g、4.3ミリモル)
のピペリジン(2ml)中溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラ
ジウム(0)(0.027g、4%)、ヨウ化銅(I)(0.007g、6%)お
よび小さな結晶のトリフェニルホスフィンを加え、その混合物を80−85℃で
0.5時間加熱した。塩化アンモニウムを加え、混合物をジクロロメタンで3回
抽出し、その抽出液を乾燥(硫酸マグネシウム)し、蒸発させた。ますメタノー
ル/ジクロロメタン(7:93)で、ついで5:95で溶出する連続的フラッシ
ュクロマトグラフィーに付して精製し、シス−[4−(3−シクロペンチルオキ
シ−4−メトキシフェニル)−4−(4−ピリジルエチニル)シクロヘキサン−
1−カルボン酸]を灰白色固体として得た;融点183−184℃。
元素分析:C26H29NO4・0.35H2Oとして、計算値(%):C,73.34;
H,7.03;N,3.29、測定値(%):C,73.21;H,6.84;N,3.50
実施例2
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−
(4−ピリジルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸メチル]の調製 2a)シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4 −ホルミルシクロヘキサン−1−カルボン酸メチル]
アルゴン雰囲気下、室温での80%水素化ナトリウム/鉱油(0.029g、
0.96ミリモル)のヘキサメチルホスホルアミド(1ml)中懸濁液に、シス
−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−ホルミル
シクロヘキサン−1−カルボン酸](0.30g、0.87ミリモル)のヘキサメ
チルホスホルアミド(1ml)中溶液を滴下した。0.5時間後、硫酸ジメチル
(0.090ml、0.96ミリモル)を加え、撹拌をさらに1時間続けた。反応
物を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を
水で3回、ブラインで1回洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、蒸発させた。
酢酸エチル/ヘキサン(2:8)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付
して精製し、シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル
)−4−ホルミルシクロヘキサン−1−カルボン酸メチル]を無色油として得た
。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 9.31(s,1H)、6.84(m,
2H)、6.76(m,1H)、4.75(m,1H)、3.97(s,3H)、3.
68(s,3H)、2.56(brd,J=12.5Hz,2H)、2.30(m,1H
)、1.8−2.0(m,10H)、1.5−1.7(m,4H)。2b)トランス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル) −4−エチニルシクロヘキサン−1−カルボン酸メチル]
−78℃での乾燥テトラヒドロフラン(4ml)に溶かした(ジアゾメチル)
ホスホン酸ジメチル(0.407g、2.71ミリモル、Seyferth,D.;Marmor
,R.S.;Hilbert,P.J.Org.Chem.1971,36(10),1379-1386に記載されて
いるように製造)の溶液を、カニューレを介して、アルゴン雰囲気下、−78℃
での乾燥テトラヒドロフラン(4ml)に溶かしたカリウムt−ブトキシド(0
.
344g、3.06ミリモル)の溶液に加えた。15分後、−78℃でのシス−
[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−ホルミルシ
クロヘキサン−1−カルボン酸メチル](0.552g、1.53ミリモル)の乾
燥テトラヒドロフラン(4ml)中溶液を速やかに加えた。反応物を徐々に室温
まで1時間にわたって加温し、さらに1時間撹拌した。反応物を飽和塩化アンモ
ニウムでクエンチし、ジクロロメタンで3回抽出し、抽出液を乾燥(硫酸マグネ
シウム)し、蒸発させた。酢酸エチル/ヘキサン(1:9)で溶出するフラッシ
ュクロマトグラフィーにより精製し、トランス−[4−(3−シクロペンチルオ
キシ−4−メトキシフェニル)−4−エチニルシクロヘキサン−1−カルボン酸
メチル]を無色油として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.1
4(d,J=2.1Hz,1H)、7.04(dd,J=8.4,2.1Hz,1H)、6.
83(d,J=8.4Hz,1H)、4.80(m,1H)、3.84(s,3H)、3
.71(s,3H)、2.45(s,1H)、2.33(m,1H)、1.8−2.1(
m,12H)、1.70(m,2H)、1.56(m,2H)。2c)シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4 −(4−ピリジルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸メチル]
アルゴン雰囲気下、トランス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メト
キシフェニル)−4−エチニルシクロヘキサンカルボン酸メチル](0.13g
、0.37ミリモル)および4−ブロモピリジン(0.59g、3.7ミリモル)
のピペリジン(2ml)中溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラ
ジウム(0)(0.017g、4%)、ヨウ化銅(I)(0.004g、6%)お
よび小さな結晶のトリフェニルホスフィンを加え、その混合物を80−85℃で
0.5時間加熱した。塩化アンモニウムを加え、混合物をジクロロメタンで3回
抽出し、その抽出液を乾燥(硫酸マグネシウム)し、蒸発させた。酢酸エチル/
ヘキサン(1:3)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製し、
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(4
−ピリジルエチニル)シクロヘキサンカルボン酸メチル]を無色油として得た。
元素分析:C27H31NO4・0.25H2Oとして、計算値(%):C,74.03;
H,7.25;N,3.20、測定値(%):C,73.78;H,7.14;N,3.20
。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.6(br,2H)、7.4(m,2H)
、7.05(d,J=2Hz,1H)、7.04(dd,J=8,2Hz,1H)、6.8
5(d,J=8Hz,1H)、4.8(m,1H)、3.85(s,3H)、3.72(
s,3H)、2.4(m,1H)、2.1(m,6H)、1.8−2.0(m,8H)、1
.6(m,2H)。
実施例3
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−
4−(フェニルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸メチル]の調製
アルゴン雰囲気下、トランス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メト
キシフェニル)−4−エチニルシクロヘキサン−1−カルボン酸メチル](0.
19g、0.54ミリモル)およびヨードベンゼン(0.61ml、5.4ミリモ
ル)のピペリジン(3ml)中溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)
パラジウム(0)(0.026g、4%)、ヨウ化銅(I)(0.007g、6%
)および小さな結晶のトリフェニルホスフィンを加え、混合物を80−85℃で
1時間加熱した。反応物をジクロロメタンで希釈し、1N塩酸で洗浄し、乾燥(
硫酸マグネシウム)し、蒸発させた。酢酸エチル/ヘキサン(1:9)で溶出す
るフラッシュクロマトグラフィーで精製し、シス−[4−(3−シクロペンチル
オキシ−4−メトキシフェニル)−4−(フェニルエチニル)シクロヘキサン−
1−カルボン酸メチル]を暗橙色油として得た。1H NMR(400MHz,C
DCl3)δ 7.46(m,2H)、7.30(m,3H)、7.22(d,J=2.2
Hz,1H)、7.09(d,J=8.4Hz,1H)、6.85(d,J=8.4Hz,1
H)、4.81(m,1H)、3.84(s,3H)、3.71(m,3H)、2.3
8(m,1H)、2.0−2.2(m,6H)、1.93(m,4H)、1.7−1.9(
m,4H)、1.6(m,2H)。
実施例4
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−
4−(フェニルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]の調製
密封した試験管中のシス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ
フェニル)−4−(フェニルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸メチル
](0.160g、0.37ミリモル)および水酸化リチウム・一水和物(0.0
44g、1.11ミリモル)のメタノール(2.5ml)中溶液を80−85℃で
8時間加熱した。反応物を10%塩酸で酸性化し、ついでジクロロメタンで3回
抽出した。抽出液を乾燥(硫酸マグネシウム)し、蒸発させた。メタノール/ジ
クロロメタン(3:97)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製
し、シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−
(フェニルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]を白色固体として得た
;融点133−134℃。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.47(m
,2H)、7.30(m,3H)、7.23(s,1H)、7.10(d,J=8.5H
z,1H)、6.85(d,J=8.5Hz,1H)、4.83(m,1H)、3.85(
s,3H)、2.42(m,1H)、2.0−2.2(m,8H)、1.7−2.0(m
,6H)、1.6(m,2H)。元素分析:C27H30O4として、計算値(%):C,
77.48;H,7.23、測定値(%):C,77.09;H,7.22。
実施例5
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−
(2−ピリジルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸メチル]の調製
アルゴン雰囲気下、トランス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メト
キシフェニル)−4−エチニルシクロヘキサン−1−カルボン酸メチル](0.
12g、0.35ミリモル)および2−ブロモピリジン(0.335ml、3.5
ミリモル)のピペリジン(1.5ml)中溶液に、テトラキス(トリフェニルホ
スフィン)パラジウム(0)(0.017g、4%)、ヨウ化銅(I)(0.00
4g、6%)および小さな結晶のトリフェニルホスフィンを加え、混合物を80
−85℃で0.5時間加熱した。塩化アンモニウムを加え、混合物をジクロロメ
タンで3回抽出し、抽出液を乾燥(硫酸マグネシウム)し、蒸発させた。酢酸エ
チル/ヘキサン(3:7)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製し、
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(2
−ピリジルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸メチル]を黄色油として
得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.58(d,J=4.8Hz,1
H)、7.65(m,1H)、7.45(d,J=7.9Hz,1H)、7.22(m,
1H)、7.18(d,J=2.1Hz,1H)、7.13(dd,J=8.5,2.3H
z,1H)、6.84(d,J=8.4Hz,1H)、4.81(m,1H)、3.84(
s,3H)、3.70(s,3H)、2.40(m,1H)、2.0−2.2(m,6H)
、1.7−2.0(m,8H)、1.6(m,2H)。
実施例6
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−
(2−ピリジルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]の調製
密封した試験管中のシス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ
フェニル)−4−(2−ピリジルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸メ
チル](0.126g、0.29ミリモル)および水酸化リチウム・一水和物(0
.035g、0.87ミリモル)のメタノール(2.5ml)中溶液を80−85
℃で20時間加熱した。反応物を1N塩酸で酸性化し、ついでジクロロメタンで
3回抽出した。抽出液を乾燥(硫酸マグネシウム)し、蒸発させた。メタノール
/ジクロロメタン(7:93)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより
精製し、シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−
4−(2−ピリジルエチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]を白色固体と
して得た;融点169−170℃。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8
.69(d,J=5Hz,1H)、7.70(t,J=8Hz,1H)、7.40(d,J
=7.9Hz,1H)、7.26(m,1H)、7.17(d,J=2Hz,1H)、7.
12(dd,J=8.4Hz,1H)、6.85(d,J=8.5Hz,1H)、4.81
(m,1H)、3.85(s,3H)、2.38(m,1H)、2.21(m,6H)、
1.92(m,4H)、1.82(m,4H)、1.59(m,2H)。
実施例7
前記した実施例に挙げられる方法、試薬などを用い、適当な基体または中間体
を置き換え、以下に示す化合物を調製する:
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(
2−[3−(5−メチル[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)フェニル]
エチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]、
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(
2−[3−(3−メチル[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)フェニル]
エチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]、
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(
2−[3−(5−メチル[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)フェニル]
エチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]、
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(
2−[3−(5−メチル[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)フェニル]エ
チニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]、
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(
2−[3−(5−トリフルオロメチル[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル
)フェニル]エチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]、
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(
2−[3−(3−トリフルオロメチル[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル
)フェニル]エチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]、
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(
2−[3−(5−トリフルオロメチル[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル
)フェニル]エチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]、
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(
2
−[3−(5−トリフルオロメチル[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)フ
ェニル]エチニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]、
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(
2−[2−アミノピリミジン−5−イル]エチニル)シクロヘキサン−1−カル
ボン酸]、
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(
2−[2−アセトアミドピリミジン−5−イル]エチニル)シクロヘキサン−1
−カルボン酸]、
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(
2−[2,6−ジメチルピリジン−4−イル]エチニル)シクロヘキサン−1−
カルボン酸]、および
シス−[4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−4−(
2−[2,6−ジメチルピリジン−3−イル]エチニル)シクロヘキサン−1−
カルボン酸]。
医薬上許容される塩は、前記したように、周知の塩形成化学操作を用いてこれ
らの酸から調製できる。
実用例
実施例A
ヒト単球によるin vitro TNF産生に対する
式(Ia)または(Ib)の化合物の阻害効果
ヒト単球によるin vitro TNF産生に対する式(Ia)または(Ib)の化
合物の阻害効果は、バッジャー(Badger)ら、EPO公開出願番号041175
4A2(1991年2月6日)およびハンナ(Hanna)、WO90/15534
(1990年12月27日)に記載されている方法により測定できる。
実施例B
内毒素ショックの2種の実験モデルを用いて、式(Ia)または(Ib)の化
合物についてのin vivo TNF活性を測定した。これらの実験モデルにおいて用
いたプロトコル方法は、バッジャー(Badger)ら、EPO公開出願番号0411
754A2(1991年2月6日)およびハンナ(Hanna)、WO90/155
34(1990年12月27日)に記載されている。
本発明の実施例1の化合物は内毒素の注入により誘起されるTNFの血清レベ
ルの低下において正のin vivo応答を示した。
実施例C
PDEイソ酵素の単離
式(Ia)または(Ib)の化合物のホスホジエステラーゼ阻害活性および選
択性は、5種の異なるPDEイソ酵素を用いて決定できる。異なるイソ酵素の供
給源として用いられる組織は以下のとおりである:1)PDE Ib、ブタ大動
脈;2)PDE Ic、モルモット心臓;3)PDE III、モルモット心臓;4
)PDE IV、ヒト単球;および5)PDE V(「Ia」とも称される)、イヌ
気管。PDE Ia、Ib、IcおよびIIIを標準的クロマトグラフィー技術を用
いて一部精製する[トーフィー(Torphy)およびシースリンスキー(Cieslinski
)、モレキュラ・ファーマコロジー(Mol.Pharmacol.)、37:206-214、1990]
。PDE IVをアニオン交換と、つづいてヘパリン−セファロースクロマトグラ
フィーを連続的に使用し、速度論的同一について精製する[トーフィー(Torphy
)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、26
7:1798-1804、1992]。
ホスホジエステラーゼ活性を、トーフィー(Torphy)およびシースリンスキー
(Cieslinski)の方法[モレキュラ・ファーマコロジー(Mol.Pharmacol.)、37
:206-214、1990]に記載されているように分析する。式(I)に関して本明細
書に記載した実施例の化合物ではナノモルないしμMの範囲の正のIC50が測定
されている。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C07D 213/57 C07D 213/57
239/42 239/42 Z
285/12 285/12 A
(72)発明者 カーピンスキー,ジョゼフ・エム
アメリカ合衆国19464ペンシルベニア州
ポッツタウン、ノース・シャーロット・ス
トリート 308番
(72)発明者 ライアン,エム・ドミニク
アメリカ合衆国19464ペンシルベニア州
ポッツタウン、フォックステイル・ドライ
ブ 2146番
(72)発明者 ベンダー,ポール・イー
アメリカ合衆国08003ニュージャージー州
チェリー・ヒル、ライラック・レイン
504番