【発明の詳細な説明】
繊維製のウェブを洗浄する方法及び対応の全幅洗浄機
本発明は請求項1の上位概念に基づく繊維製のウェブを洗浄する方法及び請求
項2の上位概念に基づく全幅洗浄機に関する。
繊維製のウェブ用の全幅洗浄機は種々の実施において知られている。重要な問
題は、多くの場合に、通常の前処理及び湿式仕上げ(糊抜き、製剤の洗出し、染
色、プリント、仕上げ)を経たウェブの内部に、対応の種類の残存物質が残って
いることにある。特に、非常に重量があるか、目の詰んだウェブでは、公知の洗
浄方法におけるエネルギ及び洗浄水のコストは、残存物質の十分な除去を得るべ
きときに非常に大きくなる。
DE2059308A1からは、上位概念に記載されかつ洗浄液を繊維製品か
ら洗い出す方法及びその装置が公知であり、この場合には、上方の洗浄ユニット
の、ウェブの幅に亘って横方向に延びるスリットノズルから、飛沫同伴される水
と混入して蒸気が、スクリーンベルト(Siebbaender)の間を水平方向に案内され
るウェブに吹き掛けられる。吸入口を具備する受け装置が下方のスクリーンベル
トの下側で幾らか間隔をあけて備えられ、受け装置ではウェブを通り抜け、かつ
洗い流された残存物質を含んだ液体が大気圧のもとで受けられて、洗浄ユニット
にポンプで戻される。
実験は、こうした装置によって得られる洗浄効果が従来の洗浄ユニットのそれ
を然程上回らないことを示した。
上位概念の方法及びこうした全幅洗浄機において改善された洗浄作用を達成す
るという課題が本発明の基礎になっている。
この課題は、その方法の観点では、請求項1に記載された発明によって解決さ
れる。
本発明の重要な点は、蒸気がウェブの一方の側に噴射され、他方の側の噴射領
域の近傍で、強い低圧の作用下でウェブに残った残存物質と共に、再度吸収され
ることにある。まず著しい超過圧の下での蒸気の吹掛けと同時に、少なくとも0
.2バールの低圧下での他方の側からの吸引によって、洗浄作用の著しい高まり
が生じるとことが明らかになった。低圧は、ウェブを通り抜けた媒体を運び出す
ことができるために十分であるばかりでなく、ウェブの強い流れを引き起こすの
で、吹き掛けられた蒸気を正に当てられた残存物質がこの状態でほぼウェブから
引き出される。これによって、比較的容易な方法で、有効な洗浄が可能である(
場合によっては、通常の洗浄工程に加えて)。エネルギ消費は制限されている。
何故ならば、蒸気詳しくは該蒸気の凝縮物がほぼ完全に取り除かれ、循環の中に
留まることがあるからである。蒸気の調節に応じて、湿ったウェブはわずかに湿
気をもって全幅洗浄機を出て、乾燥したウェブはわずかに高められた湿気をもっ
て全幅洗浄機を出ることができるので、ウェブの熱含量はほぼ変わらず、いずれ
にせよこの方法(Weg)では、工程から多くの
熱量が運び出されることはない。
排出口と吸入口の相互の位置に対する「近傍に」という表現は、ウェブの一方
の側での蒸気の吹掛けと、搬送方向において相互の大きな間隔及び対応の時間的
な間隔をあけず、他方の側からの一息の吸引が行われることを意味する。排出口
及び吸入口が互いに正確に対向していること、及び両者の境界部が圧力下でウェ
ブと接触していること(これが好適な実施例であっても)が必須という訳ではな
いとしても、ウェブの搬送方向及びウェブ表面に対し垂直方向に生じる口同士詳
しくは口の境界部の間隔が、搬送方向における口の面積(Ausdehnungen)の範囲に
あり、従って実際には夫々ミリメートル又は精々数センチメートルの寸法になけ
ればならない。この狭い「近傍」によって、洗浄作用の達成に必要な圧力が圧力
側及び吸引側で維持することができて、大き過ぎる圧力・吸引ポンプを取り付け
る必要がない。
蒸気の吹掛けによって、ウェブ詳しくは該ウェブ上にある残存物質に、熱的・
機械的エネルギが供給される。残存物質は、多くの場合、有機的処理剤又は補助
剤からなるか、あるいはかなりの分子の大きさを有するこうした薬剤を含有する
。この考えは、こうした大きな分子が分解又は分裂するまでにエネルギ供給によ
って活発化され、分子が集まって再度より大きくかつ余り可動しない群(Einheit
en)を形成しないうちに、前記分子が「近傍において」このより移動し易い状態
で吸引によって除去することである。
直接に対向するようにウェブの両側に配置された圧力・吸
引装置はDE3103359C2から公知であるが、ウェブを通り抜ける媒体が
そこでは蒸気でなく泡であり、上記公報は洗浄ではなく、ウェブへの処理液の塗
布に関する。
本発明は、その装置の観点では、請求項2に記載されている。
蒸気噴射の側の超過圧及び/又は吸引側の低圧が少なくとも夫々0.5バール
である(請求項3)とき、洗浄作用が一層改善されることが明らかになった。
請求項4乃至11では、排出口及び吸入口の、本発明の枠内で可能な種々の構
造が記載されている。
重要な特徴は請求項12に記載のように口が調節可能であることである。何故
ならば、これによって、種々の製品への適合が可能だからである。最適の洗浄作
用を達成するために、口の構成及び配置が、例えば目の詰んでいない薄い製品、
密に打撃された堅い製品、パイル製品及び絨毬の場合に異なっていなければなら
ないことは当然である。
請求項13に記載され、かつ洗浄工程を製品に特有のパラメータに応じて制御
すること、すなわち自動的に構成することができる制御・調整装置との協働にお
ける調整可能性が特に好適となる。
制御・調整装置は、機械の個々の構成要素に関連して設けられた複数の制御装
置を有するが、中央制御・調整ユニット内での主な、または一切の制御器の統合
が好ましい(請求項15)。
これは、請求項15によれば、特に流量及び/又は流れ圧
力に関するものであり、搬送方向における口の面積すなわちスリットノズルの幅
に関しては、請求項16に記載した方法で実現される。
洗浄工程にとっての重要な独立変数(Einflussgroesse)は請求項17では制御
に含められるウェブの搬送速度である。
洗浄効果に特徴的である特別な独立変数は、吸引された媒体の中の、ウェブか
ら洗い出された残存物質の濃度である。該濃度は請求項18では制御に含まれる
。
他に、ウェブに残っている残存物質の濃度が測定され、対応の濃度値が制御に
用いられる(請求項19)。
洗い出された残存物質及び当該のウェブの特性に応じて、蒸気以外に加えて気
体、例えば空気及び/又は液体、例えば水をウェブに噴射し、蒸気と共に他方の
側で再度吸引することは目的に適っている(請求項20)。
図面には本発明の実施例が略示されている。
図1乃至3は排出口及び吸入口の考えられる配置を示す。
図4は本発明の全幅洗浄機の特殊な実施例の回路図を示す。
図1乃至3には繊維製のウェブ1が示されており、該ウェブ1は広げられた状
態で水平方向に搬送され、一定の透過性を有するので、ウェブ1に吹き掛けられ
た蒸気はウェブ1を通過することができる。
図1に示された実施例では、ウェブ1の上方には噴射装置
10がウェブの幅に亘って横方向に、すなわち図平面に対し直角方向に延びる排
出口10′を具備している。該排出口10′はスリットノズル40によって限定
されており、ウェブ1の搬送方向1′におけるスリットノズル40の面積すなわ
ちウェブ1のスリット幅41に関して調節可能である。スリット幅41において
考慮されるべき範囲は約1乃至2mmである。
図1に示した実施例では、ウェブ1の下方には吸引装置20が吸入口20′を
具備しており、該吸入口20′は調節可能なスリット幅51を有するスリットノ
ズル50によって形成されている。ウェブの幅方向においてスリットノズル40
,50での排出口の面積はウェブ1の幅に適合可能なので、蒸気又は吸引力の損
失が生じない。
実施例では、スリット幅41及び51は同じであり、スリットノズル40,5
0は互いに正に対向している。スリットノズル40,50での排出縁部は、両側
からのわずかな圧力の下でウェブ1に接触している。
噴射装置10では、蒸気は少なくとも0.2バール、より好ましくは幾らか高
く、例えば0.5バールの超過圧の下でウェブ1の上側に吹き掛けられ、かつウ
ェブ1の中へ吹き込まれる。これは矢印Iによって示されている。対向側すなわ
ち図1における下側では、ウェブ1を通過した媒体すなわち蒸気と、水と、ウェ
ブ1から溶け出た残存物質(Reststoffe)との混合物は、少なくとも0.2バール
、より好ましくは0.5バールの低圧によって吸引される。これは矢印Aによ
って示されている。
図2に示された実施例では、スリットノズル40は図1に示したそれと対応し
ている。ウェブ1はノズル縁部と接触している。しかし、吸引装置20のスリッ
トノズル50′はスリットノズル40の約倍の幅51′を有し、スリットノズル
50′の後方の境界部は搬送方向1′に区間52′だけずれている。該区間52
′はスリットノズル40の幅41より狭いので、スリットノズル50′は領域5
4′では部分的にスリットノズル40の下方に位置しているが、スリットノズル
50′の面積は搬送方向1においてスリットノズル40を越えて延びているので
、領域53では、ウェブに留っている蒸気、そこに形成された凝縮物及び除去さ
れるべき残存物質以外にも、外部空間から空気がウェブ1を通って吸引される。
領域52′ではどのノズルも排出口10′と対向していないが、ここでウェブ1
を通って外部空間に排出される蒸気の量は比較的少ない。何故ならば、特に第1
段階では、吹き掛けられた蒸気は即座にウェブの表面及び中で凝縮して、大部分
はスリットノズル50′に達するまでにはウェブに留まっているからである。
図3に示した実施例では、吸引装置20のスリットノズル50″は噴射装置1
0のスリットノズル40の約3倍の幅があり、スリットノズル50″の後方の縁
部は噴射装置10に対し搬送方向1′において区間54″だけずれており、該区
間54″はスリットノズル40の幅41よりも大きい。従って、スリットノズル
40と50″の重なり合いはない。
更に、図3の実施例が、前述の2つの実施例と異なっているのは、スリットノ
ズル40の縁部はウェブのほぼ上方に位置しており、すなわち、ウェブ1からの
、ウェブ1の表面に対して、垂直方向に一定の間隔を保っている点である。矢印
Iの方向に吹き掛けられる蒸気の一部は横方向にウェブに対し平行に流出して、
部分的にウェブ上で凝縮するか、あるいは蒸気の一部がスリットノズル50″の
上を横切る限りは、そこにおいて支配的な低圧によって矢印Aにウェブ1の中へ
引き入れられ、ウェブ1を引き通される。しかし、スリットノズル50,50′
,50″の縁部にはウェブ1が常に接触している。何故ならば、ウェブ1はそこ
に支配的な低圧によって吸引されるからである。
しかし、排出口10′及び吸入口20′は、常時互いに隣接していなければな
らない。このことは、両者がスリットノズルの幅の寸法以上に互いに離隔しては
ならないことを意味する。ずれの数値54′及び54″並びに間隔の数値42は
数ミリか又は数センチとする。蒸気をある箇所で矢印Iの方向に噴射し、例えば
上記箇所の1メートル後方の箇所で矢印Aの方向に吸引することは定められてい
ない。むしろ蒸気が吹き掛けられ、ウェブ1へ噴射され、即座にすなわち実際に
即座に再度吸引される。
図4の実施例は、排出口10′及び吸入口20′の構成及び配列に関して、図
1の実施例に対応している。ウェブ1は、案内ロール2乃至5(このうち少くと
も案内ロール5が駆動モータ6によって駆動される)によって、噴射装置10と
吸
引装置20との間を通される。噴射装置10及び吸引装置20は夫々噴射スリッ
トノズル11と吸引スリットノズル21を有し、両者はウェブ1を挟んで押圧装
置12及び22によって互いに押圧される。これによって、噴射装置10の内部
空間は、ウェブ1によって隔てられてはいても、吸引装置20の内部空間と連通
している。この実施例では、内部空間は外部へほぼ気密に閉じられている。
噴射スリットノズル11及び吸引スリットノズル21は夫々調節スライダ13
と23を有し、両者は夫々調整モータ14と24によって調節可能である。この
場合に調節がなされるのは、搬送方向1′におけるスリットノズル11,21の
面積、すなわちスリットノズル11及びスリットノズル21の縁部の間で締め付
けられるウェブ1の長さLであり、必要な場合には適合されるように調整される
。スリットノズル11,21の長手従ってウェブ1の搬送方向1′に対し垂直方
向(すなわち図平面に対し直角方向)における面積はウェブ1の幅に適合してい
る。このために、スリットノズル11,21は、入れ子式に嵌め込まれかつ互い
に移動可能な要素よりなる。
吸引装置20の内部空間は吸引ポンプ25の吸引側と結合しており、該吸引ポ
ンプ25はウェブ1を通り抜けた混合物を吸引し、圧縮し、それを熱交換器/凝
縮器26に供給する。熱交換器26から冷却されて送られた凝縮物であって、ウ
ェブ1から除去された残存物を含有する凝縮物は、凝縮ポンプ27によって弁2
8を介して洗浄媒体供給導管33に供給さ
れる。供給導管33内の洗浄媒体の流量は流量センサ32によって読み取られ、
流量センサ32の出力信号は制御装置7に供給される。
更に、凝縮ポンプ27の圧力側の出力端は試験流量弁(Teststromventil)29
を介して試験装置30と接続されており、該試験装置30は凝縮物の不純状態及
び吸収された残存物質における凝縮物の濃度を再現する出力信号を生起する。検
査された凝縮物は、ここに示された実施例では、再度供給導管に供給されるが、
検査に必要な液量がわずかなので、遮断されることもある。戻り弁28及び試験
流れ弁29は中央制御・調整ユニット7によって制御される。
供給導管33は中央制御・調整ユニット7によって制御された清水弁31を介
して清水供給部と接続されており、熱交換器26を通って延びているので、戻さ
れた凝縮物は清水と混合されて熱交換器26で加熱される。
熱交換器26から送られる予め加熱された液体は蒸気発生器19に供給され、
該蒸気発生器19は中央制御・調整ユニット7によって制御される加熱器18に
よって加熱される。蒸気発生器19は排水導管9を具備しており、蒸気発生器1
9から出て排水導管9を通る排水は中央制御・調整ユニット7によって制御され
る弁17によって排出される。これによって、戻された凝縮物を蒸気発生器19
内で蒸発して凝縮し、蒸気発生器19内の凝縮物を残存物質におけると同様に高
い濃度に保つことができるので、排出された排水量がわずかであるか、あるいは
ウェブ1から除去された残存物質が高い濃
度で排水中に生じる。
蒸気発生器19は蒸気を中央制御・調整ユニット7によって制御される蒸気制
御弁16を介して噴射装置10に送る。更に、中央制御・調整ユニット7によっ
て制御されるポンプ8が具備されている。それは、戻された凝縮物を蒸気発生器
19を通さないで弁の後方で直接に蒸気に混合するためである。場合によっては
、ここで、他の洗浄液又は清水を混合することもできる。かくして、蒸気の飽和
度が影響を受ける。ここでも又、混合は中央制御・調整ユニット7によって制御
される。更に、蒸気に気体、特に空気を混合することが定められている。これが
特に利点であるのは、与えられた状況に基づいて、単位時間当たりの多い流量が
ウェブ1に必要な場合である。
中央制御.調整ユニット7はここでは以下のように、すなわち全体の洗浄工程
がウェブに特有でありかつ入力器34を介して入力可能なデータ及び例えば搬送
速度のような処理に特有のデータに応じて調整かつ制御されるように作動する。
試験装置30の出力信号に応じての洗浄工程のモニタが表示器35を介してなさ
れる。搬送速度と、戻された凝縮物の流量とを流量センサ32及び試験装置30
によって常にモニタすることによって、洗浄工程の実際の制御を行なうことがで
き、統括する(uebergeordnet)制御回路は試験装置30をも有する。中央制御・
調整ユニット7を介して、蒸気の流量のみならず、「処理区間」の長さL及び場
合によっては(図2及び3に示した実施例では)ずれの区間54′,54″の長
さも又、最適な洗浄結果が得られるように調節される。重要な点は、洗浄作用が
追加の化学薬品の塗布なしに蒸気の作用のみによって引き起こされることにある
。
吸引された媒体中の残存物質濃度を測定することなく(あるいは測定に追加し
て)、吸引後にウェブ1に残った残存物質の濃度も、残存化学薬品測定装置36
において定めることができ、残存化学薬品測定装置36は吸引装置20の、搬送
方向1の後方側に設置され、図4では一点鎖線で示されている。測定信号は信号
ライン37を介して中央制御・調整ユニット7に送られ、制御に用いられる。
図3に示された配列による測定実験(orientierende Ver-suche)では、100
%木綿製の白地のタオル製品を、25g/リットルの青い液状のインダンスレン
RSによって青色に染色した。実験の構成は以下の分量を有する。
噴射スリットノズル40の幅41: 1mm
蒸気圧: 0.5バール
吸引スリットノズル50″の幅51″: 4mm
圧力:15インチHg(従って約0.5バールの低圧)
搬送方向1′におけるスリットノズル40及び50″の中央と中央との間の間
隔: 4cm
ウェブ1の上方の噴射スリットノズル40の間隔42: 1cm
このような実験の構成によって、以下の比較実験を行なって、夫々に記載の結
果を得た。
a)蒸気を吹き掛けるのみ−効果は少ない
b)0.5バールの蒸気を吹き掛けて、水を注ぎ掛ける−効果は少ない
c)わずかな蒸気を吹き掛け、15インチのHgで吸引する−効果は少ない
d)0.5バールの蒸気を吹き掛け、15インチのHgで吸引する−効果はか
なりであり、著しい脱色(ほぼ白色)がなされる。
明らかに、著しい圧力で蒸気が吹き掛けると同時に、かなりの低圧で吸引され
ることが重要である。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1994年5月24日
【補正内容】
熱量が運び出されることはない。
排出口と吸入口の相互の位置に対する「近傍に」という表現は、ウェブの一方
の側での蒸気の吹掛けと、搬送方向において相互の大きな間隔及び対応の時間的
な間隔をあけず、他方の側からの一息の吸引が行われることを意味する。排出口
及び吸入口が互いに正確に対向していること、及び両者の境界部が圧力下でウェ
ブと接触していること(これが好適な実施例であっても)が必須という訳ではな
いとしても、ウェブの搬送方向及びウェブ表面に対し垂直方向に生じる口同士詳
しくは口の境界部の間隔が、搬送方向における口の面積(Ausdehnungen)の範囲に
あり、従って実際には夫々ミリメートル又は精々数センチメートルの寸法になけ
ればならない。この狭い「近傍」によって、洗浄作用の達成に必要な圧力が圧力
側及び吸引側で維持することができて、大き過ぎる圧力・吸引ポンプを取り付け
る必要がない。
蒸気の吹掛けによって、ウェブ詳しくは該ウェブ上にある残存物質に、熱的・
機械的エネルギが供給される。残存物質は、多くの場合、有機的処理剤又は補助
剤からなるか、あるいはかなりの分子の大きさを有するこうした薬剤を含有する
。この考えは、こうした大きな分子が分解又は分裂するまでにエネルギ供給によ
って活発化され、分子が集まって再度より大きくかつ余り可動しない群(Einhelt
en)を形成しないうちに、前記分子が「近傍において」このより移動し易い状態
で吸引によって除去することである。
DE3103359A1からは、泡状の少量の処理剤を均
等に塗布する装置が公知であり、該装置では、泡がまず泡塗布手段から、ウェブ
の上方で伴走するスクリーンベルトに塗布される。次に、スクリーンベルトはウ
ェブと出会い、スクリーンベルト内に保たれた泡の一部が接触しただけでウェブ
に移る。次にウェブ及びスクリーンベルトは共にニップロールを貫通する。移し
を支持するために、ウェブの裏側では吸引ノズルがニップロールに後置されてお
り、吸引ノズルの作用は、幾つかの場合に、ウェブの上方で吸引ノズルに対向配
置された吹出しノズルによって支持される。従って、DE3103359A1で
は、作用を及ぼすことになるので、分解又は分裂させずにウェブから除去される
べきである薬剤をウェブに塗布し、かつ均等に分配するのである。
蒸気の、洗浄を支持する作用は、蒸気をノズルから例えば絨毬又はクッション
椅子に吹き掛ける通常の蒸気洗浄機から公知である。しかし、ここでは、強い低
圧での他方の側からの一息の吸引はない。
本発明は、その装置の観点では、請求項2に記載されている。
蒸気噴射の側の超過圧及び/又は吸引側の低圧が少なくとも夫々0.5バール
である(請求項3)とき、洗浄作用が一層改善されることが明らかになった。
請求項4乃至11では、排出口及び吸入口の、本発明の枠内で可能な種々の構
造が記載されている。
重要な特徴は請求項12に記載のように口が調節可能であることである。何故
ならば、これによって、種々の製品への
適合が可能だからである。最適の洗浄作用を達成するために、口の構成及び配置
が、例えば目の詰んでいない薄い製品、密に打撃された堅い製品、パイル製品及
び絨毬の場合に異なっていなければならないことは当然である。
請求項13に記載され、かつ洗浄工程を製品に特有のパラメータに応じて制御
すること、すなわち自動的に構成することができる制御・調整装置との協働にお
ける調整可能性が特に好適となる。
制御・調整装置は、機械の個々の構成要素に関連して設けられた複数の制御装
置を有するが、中央制御・調整ユニット内での主な、または一切の制御器の統合
が好ましい(請求項15)。
これは、請求項15によれば、特に流量及び/又は流れ圧
請求の範囲
1.広げた状態で連続的に搬送され、蒸気を透過する繊維のウェブ(1)を洗
浄する方法であって、一方の側から蒸気を低圧で前記ウェブ(1)に吹き掛け、
該ウェブ(1)を通り抜けかつ蒸気と、液体と、前記ウェブ(1)から除去され
た残存物質とからなる混合物を前記ウェブ(1)の他方の側で受ける方法におい
て、
少なくとも0.5バールの超過圧で蒸気を吹き掛け、少なくとも0.2バール
の強い低圧を用いて、吹掛けと同時に、吹掛け箇所の近傍で他方の側で受けを行
ない、詳しくは、ウェブにあって除去されるべき大きな有機分子を分解又は分裂
に至るまで蒸気のエネルギ供給によって活発化し、このような移動し易い状態で
前記ウェブ(1)から除去すること、を特徴とする方法。
2.蒸気を透過する繊維のウェブ(1)のために用いられ、
一方の側から前記ウェブ(1)に向けられかつ該ウェブ(1)の幅に亘って延
びている排出口(10′)を具備する噴射装置(10)と、
ポンプと接続された受け装置であって、他方の側から前記ウェブ(1)に向け
られ、該ウェブ(1)の幅に亘って延びかつ近傍で前記排出口(10′)に対向
している吸入口(20′)を具備する受け装置と、
前記ウェブ(1)を、前記噴射装置(10)の前記排出口(10′)と前記受
け装置の前記吸入口(20′)との間に搬送させることができる搬送装置と、を
具備する全幅洗浄機
において、
前記受け装置は前記ウェブ(1)に作用する吸引装置(20)として形成され
ていること、及び
前記噴射装置(10)で支配的な少なくとも0.2バールの超過圧で蒸気を前
記ウェブ(1)に噴射し、該ウェブ(1)を通して前記吸引装置(20)で支配
的な少なくとも0.2バールの低圧で前記ウェブ(1)から抜き出し、詳しくは
、前記ウェブにあって除去されるべき大きな有機分子を分解又は分裂に至るまで
蒸気のエネルギ供給によって活発化し、このような移動し易い状態で前記ウェブ
(1)から除去されるように、前記噴射装置(10)の前記排出口(10′)と
、前記吸引装置(20)の前記吸入口(20′)とは向かい合ってかつ前記ウェ
ブ(1)に対して配置されており、上記のように前記噴射装置(10)及び前記
吸引装置(20)は形成されていること、を特徴とする全幅洗浄機。
3.低圧は少なくとも0.5バールであること、を特徴とする請求項1に記載
の方法又は請求項2に記載の全幅洗浄機。
4.前記排出口(10′)及び前記吸入口(20′)は前記ウェブ(1)の平
面に対し互いに覆うように対向していること、を特徴とする請求項2又は3に記
載の全幅洗浄機。
5.前記排出口(10′)及び前記吸入口(20′)は前記ウェブ(1)の搬
送方向(1′)において互いにずれていること、を特徴とする請求項2又は3に
記載の全幅洗浄機。
6.前記排出口(10′)及び前記吸入口(20′)の面
積(41,51)は前記ウェブ(1)の搬送方向(1′)において同一であるこ
と、を特徴とする請求項2乃至5のいずれか1に記載の全幅洗浄機。
7.前記吸入口(20′)の面積(51′,51″)は、前記ウェブ(1)の
搬送方向(1′)において見ると、前記排出口(10′)の対応する面積(41
)より大きいこと、を特徴とする請求項2乃至5のいずれか1に記載の全幅洗浄
機。
8.前記排出口(10′)及び/又は前記吸入口(20′)はスリット状に形
成されていること、を特徴とする請求項2乃至7のいずれか1に記載の全幅洗浄
機。
9.前記排出口(10′)及び/又は前記吸入口(20′)はスリットノズル
(40,50;40′,50′;40″,50″;11,21)によって区画さ
れていること、を特徴とする請求項8に記載の全幅洗浄機。
10.前記スリットノズル(40,50;11,21)は前記ウェブ(1)を
挟んで弾性的に互いに押圧していること、を特徴とする請求項9に記載の全幅洗
浄機。
11.前記スリットノズルのうち少なくとも1(40)は前記ウェブ(1)か
らの、該ウェブ(1)の表面に対し垂直方向のわずかな間隔(42)をあけてい
ること、を特徴とする請求項9又は10に記載の全幅洗浄機。
12.前記排出口(10′)及び/又は前記吸入口(20′)の位置は、前記
ウェブ(1)の搬送方向(1′)及び前記ウェブ(1)に対し垂直方向に、及び
/又は口の面
積(41,51,51′,51″)は前記ウェブ(1)の搬送方向(1′)に制
御可能に調節可能であること、を特徴とする請求項2乃至11のいずれか1に記
載の全幅洗浄機。
13.前記噴射装置(10)と、前記吸引装置(20)と、蒸気発生装置(1
9)及び/又は吸引ポンプ(25)とは接続されており、噴射・抜出し工程が前
記ウェブ(1)のパラメータに応じて調整可能であるように形成されている制御
・調整装置を具備すること、を特徴とする請求項12に記載の全幅洗浄機。
14.前記制御・調整装置は中央制御・調整ユニット(7)として形成されて
いること、を特徴とする請求項13に記載の全幅洗浄機。
15.噴射力及び/又は抜出し力、特に流量及び/又は流れ圧力は前記ウェブ
(1)のパラメータに応じて調整可能であること、を特徴とする請求項13又は
14に記載の全幅洗浄機。
16.前記排出口(10′)の前記面積(41)及び/又は前記吸入口(20
′)の前記面積(51,51′,51″)を調節するために、前記スリットノズ
ル(40,50,50′,50″,11,21)に作用し、かつ前記制御・調整
装置によって調整可能である調整装置(13,14;23,24)が具備されて
いること、を特徴とする請求項13乃至15のいずれか1に記載の全幅洗浄機。
17.前記制御・調整装置は、噴射・抜出し工程が前記ウェブ(1)のパラメ
ータに応じて調整可能であるように形成
されていること、を特徴とする請求項13乃至16のいずれか1に記載の全幅洗
浄機。
18.抜き出された洗浄媒体が供給される先であり、前記ウェブ(1)から洗
い出された残存物質の濃度に対応する出力信号を前記制御・調整装置に伝達する
試験装置(30)が具備されていること、及び前記制御・調整装置が前記噴射・
抜出し工程を前記試験装置(30)からの出力信号に応じて調節すること、を特
徴とする請求項13乃至17のいずれか1に記載の全幅洗浄機。
19.吸引後に前記ウェブ(1)の表面又は中に残っている残存物質の濃度を
測定するための装置(36)が具備されており、該装置(36)はそこからの出
力信号に応じて噴射・抜出し工程を調節する前記制御・調整装置と信号ライン(
37)を介して接続されていること、を特徴とする請求項13乃至18のいずれ
か1に記載の全幅洗浄機。
20.蒸気に加えて前記噴射装置(10)に気体、特に空気及び/又は液体、
特に水を供給するために、装置(8)が具備されていること、を特徴とする請求
項2乃至19のいずれか1に記載の全幅洗浄機。
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(72)発明者 ボルス、ハンス
スイス国、ツェーハー ― 8117 フェー
ランデルン/チューリッヒ、イム・ブライ
テリ 10
(72)発明者 ブレンデル、ベルンハルト
ドイツ連邦共和国、ベー ― 4155 グレ
フラト 1 ― ミュールハウゼン、グラ
スハイダー・シュトラーセ 31