JPH10503711A - 窒素酸化物還元用触媒及び排ガス中の窒素酸化物の還元方法 - Google Patents
窒素酸化物還元用触媒及び排ガス中の窒素酸化物の還元方法Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、Co/Al比が0.2乃至0.6となるようにCoでイオン交換されており、さらにCa、Sr、Ba、La、Mn、Ag、InおよびNiの中から選ばれる少なくとも一つの金属が担持されているBEA型ゼオライトからなる、NOx還元触媒を提供する。本発明はまた、本発明の触媒を使用することからなるNOx還元方法を提供する。本発明による触媒は、水蒸気や他の触媒活性妨害物質を含有する実排ガスにおいて、低温でも、特に低温に加え、低NOx濃度、低炭化水素濃度の条件でも高い活性、高いNOx還元選択性と耐久性が得られる。
Description
【発明の詳細な説明】
窒素酸化物還元用触媒及び排ガス中の窒素酸化物の還元方法
技術分野
本発明は、排ガス中の窒素酸化物還元用触媒、より詳しくは酸素リッチな排ガ
ス中における炭化水素による窒素酸化物の還元用触媒、及び、排ガス中、より詳
しくは炭化水素および過剰の酸素を含む排ガス中の窒素酸化物の還元方法に関す
る。
技術背景
酸素を過剰に含む排ガス中の窒素酸化物(以下、NOxという)を浄化する方
法としては、アンモニア脱硝法が実用化されている。しかし、この方法は、第1
にアンモニア源を保有しなければならないこと、第2に過剰のアンモニアはスリ
ップして新たな公害の発生源になってしまうという2つの理由から、小型の燃焼
機器には適用できないのが現状である。これに対して、最近、例えば、特開昭6
3−100919号等に開示されているように、銅などの金属でイオン交換した
ゼオライト触媒上で炭化水素により選択的にNOxを還元できる事が見いだされ
ている。
しかし、この触媒は、炭素数が4以下の炭化水素を還元剤とした場合、一般の
排ガスには必ず含まれている水蒸気の共存下では選択性(消費された炭化水素の
うち、NOxの還元に使われた炭化水素のモル比)が低く、NOxの転化率は低
いものであった。
一方、Armorらは、Coをイオン交換したZSM−5(MFI型ゼオライト)
上で、メタンによりNOxが選択的に還元されることを報告している(「Applied
Catalysis B:Environmental」1巻、L31頁)。しかし、この触媒上でも、水蒸
気が存在すると活性が低下し、実用的には十分な活性を有しないことが知られて
いる。従来の触媒がこのような問題を有しているために水蒸気の存在下でも活性
な触媒に改良する研究が行われている。上記問題を解決できる触媒として、イ
タリア国特願MI93A2337号には、Coでイオン交換したBEA型ゼオラ
イト(Co−BEA)を触媒として用いるNOx還元法が提案されている。
Co−BEAにより、水蒸気等を含む実排ガス条件での低温での活性、耐久性
は実質的に改良されている。しかし、この触媒でさえ、排ガス温度が350℃程
度と低い場合、排ガス中のNOx濃度が約100ppmより低い場合や、NOx
還元に有効な炭化水素が排ガス中にきわめて少量しか存在しない場合には、高い
NOx転化率が得られない。そのため、低温で、低NOx濃度でもより高い活性
・より高い選択性を有する触媒が求められている。
本発明は、上記のニーズを満たすためになされたもので、天然ガスの燃焼排ガ
スのように比較的低級な炭化水素を僅かしか含まない排ガス中のNOxを還元す
るのに使用され、水蒸気や硫黄酸化物(以下、SOxという)等を含む排ガス中
でも十分な低温活性、耐久性があり、なおかつNOx濃度や炭化水素濃度が低い
場合でも高いNOx転化率が得られるNOx還元用触媒を提供することを目的と
する。
本発明はさらに該触媒を使用したNOx還元方法を提供することを目的とする
。
図面の簡単な説明
図1はNi−Co−BEA(1)に対する評価結果を示す。
図2はNi−Co−BEA(6)に対する耐久性試験結果を示す。
発明の開示
本発明者らは、上記した問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、次のよ
うな事実を見いだした:BEAゼオライトに、Co/Al比(モル比、以下同じ
)が0.2乃至0.6となるようにCoでイオン交換し、さらにCa、Sr、B
a、La、Mn、AgおよびInの中から選ばれる少なくとも一つの金属を担持
すると、その触媒はNOx還元の選択性が低下することなく低温での触媒の酸化
活性が適度に向上し、350℃付近での活性が向上する。
発明者らは、さらに、担持金属をCa、Sr、BaおよびMnの中から選ぶと
、NOxの触媒上への吸着が促進され、低NOx濃度でもNOx転化率が大幅に
向上することを見いだした。
さらに発明者らは、BEAゼオライトをCoでイオン交換し、Niを担持する
ことにより、炭化水素の酸素による酸化反応が抑制され、NOx還元の選択性が
大幅に向上することを見いだした。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたもので、本発明の触媒は、BEA型
ゼオライトに、Co/Al比が0.2乃至0.6となるようにCoでイオン交換
担持し、さらにCa、Sr、Ba、La、Mn、Ag、In、Niの中から選ば
れる少なくとも一つの金属を担持してなる。本発明のNOx還元方法は、上記の
触媒を用いることよりなる。
本発明ではBEA型ゼオライトを用いるが、そのBEA型のゼオライトは、テ
ンプレートを用いた常套的な水熱合成法で製造されたものであってもよい。例え
ば、その合成方法が米国特許3308069号公報に開示されている。結晶の安
定性やCoのイオン交換容量を確保するため、BEAゼオライトのSiO2/A
l2O3比(モル比、以下同じ)は10乃至100が好ましい。その比が100よ
り高いと、最終的な触媒はCo含量が不足し、十分なNOx選択還元活性が得ら
れない。その比が10より低いと、純度の高い結晶を得にくい。また、イオン交
換担持したCoが凝集して、触媒の耐久性が低下する。十分な量のCoでイオン
交換担持でき、さらにCo分散を長時間維持できるという意味で、より好ましい
SiO2/Al2O3比は、15乃至50である。
最終的なSiO2/Al2O3比がこの好ましい範囲に入っている限り、BEA
型ゼオライトの骨格を形成するSiやAlの一部は、それぞれTiやBで置換さ
れていてもよい。
本発明による触媒では、BEA型ゼオライトに、Co/Al比が0.2乃至0
.6となるようにCoでイオン交換し、さらに、Ca、Sr、Ba、La、Mn
、Ag、InおよびNiの中から選ばれる少なくとも一つの金属を担持する。C
oのイオン交換担持と第2の金属の担持の順序はどちらが先であってもよい。両
者を同時に行ってもよい。
第2の金属は、イオン交換法、含浸法、他のいかなる方法で担持してもよいが
、Coイオンの定着後、含浸を行うことが好ましい。
Coのイオン交換は常套的な方法で行ってよい。例えば、プロトン型、Na型
またはアンモニウム型BEAゼオライトを、酢酸コバルトまたは硝酸コバルト等
のCoの水溶性塩をイオン交換当量かもしくは若干過剰量溶解する水溶液に懸濁
させる。そのゼオライトを常温から約80℃で水溶液中に保ち、1時間乃至3日
間程度イオン交換を行う。得られた生成物を、水洗、乾燥の後、400℃乃至7
50℃で焼成する。BEA型ゼオライト上では、イオン交換は比較的容易に行え
るので、なるべく低い温度で、なるべく低濃度の水溶液を用いることが好ましい
:このような条件下で金属が凝集したりせずに確実にイオン交換サイトに担持さ
れる。Coの担持量が少ない場合などは、必要に応じてイオン交換操作を繰り返
せばよい。
第2の金属の担持は、例えば、Coでイオン交換する前または後に、第2の金
属の溶解性塩の水溶液中でイオン交換担持してもよい。また、ゼオライトはCo
と第2の金属の水溶液中で同時にイオン交換してもよい。しかしながら、いずれ
の方法にしても、ゼオライト上にイオン交換により担持されたCoイオンは再び
溶出するので、Coのイオン交換量を制御し難い。それ故、最も好ましくはCo
でイオン交換した後一旦焼成し、BEAゼオライト中にCoイオンを分散、定着
させ、Co−BEAに、第2の金属を含浸担持する。第2の金属の含浸は常套的
な方法でよい。例えば、イオン交換されたCo−BEAゼオライトを、所定量の
第2の金属の酢酸塩または硝酸塩等の水溶性塩が溶解された水溶液に浸漬し、そ
して水を蒸発させる。Co−BEAゼオライトを後述するように特定の形に成型
したのち、第2の金属を含浸させてもよい。第2の金属を担持したCo−BEA
ゼオライトを、400℃乃至750℃で焼成することにより、最終的な触媒が得
られる。
製造された触媒のCo/Al比は0.2乃至0.6となるようにする必要があ
る。その比が0.2より低いと触媒活性が不十分となる。その比が0.6より高
いとCoイオンがゼオライト中の細孔を埋めて活性が低下する。さらに、Coが
凝集しやすいので触媒の耐久性が低下する。
第2の金属の含有量は、バインダー等を含まない触媒重量に対して、好ましく
は0.2乃至5重量%、より好ましくは0.4乃至2重量%の範囲内である。第
2の金属の担持が0.2重量%未満では第2の金属の添加効果が現れず、5重量
%を越えると、第2の金属イオンが凝集し、ゼオライト中の細孔を閉塞するので
、触媒活性が低下する。
本発明の触媒は、促進剤やバインダーを加えてもよい。触媒は、ペレット状、
ハニカム状に成型されていてもよく、また、耐火性ハニカム担体上にウォシュコ
ートされた形態であってもよい。本発明の触媒は、Co−BEAゼオライトの特
性により、水蒸気を含有する実際の排ガス雰囲気下での高い低温活性や耐久性を
有する。さらに、第2の金属成分がCa、Sr、Ba、La、Mn、Agおよび
Inの中から選ばれると、NOx還元の選択性を低下させない程度の適度な酸化
活性の向上が図られているので、さらに低い温度で高いNOx転化率が得られる
。さらに、第2の金属がCa、Sr、Ba、Mnの中から選ばれると、NOxの
触媒表面への吸着が促進されるため、NOx濃度が低い場合でも効果的に触媒反
応をさせることができる。そのため、低温で低NOx濃度の条件でも高いNOx
転化率が得られる。また、第2の金属成分としてNiを用いた場合には、ゼオラ
イトに添加されたNiにより触媒の酸化活性が抑制され、炭化水素の酸素による
単純な燃焼反応速度が低下する。結果として触媒のNOx還元の選択性が向上し
、それ故、少量の炭化水素しか含まない排ガス中でも高いNOx転化率が得られ
る。
本発明の触媒はこれら第2の金属成分のうち、2種類以上の金属を担持しても
よく、そのような場合は、異種の第2の金属成分による複合的な効果が現れる。
ただし、この場合でも、担持する第2の金属成分の含有量は、それぞれについて
0.2重量%以上であることが好ましいが、凝集した第2の金属成分が細孔を閉
塞したりすることがないよう、担持する第2の金属の合計量が5重量%以下であ
ることが好ましい。
本発明のNOxの還元方法によると、炭化水素と過剰な酸素含む排ガス中のN
Oxを、上記した触媒上で炭化水素を使用して、選択的に還元する。すなわち、
その方法は Co/Al比が0.2乃至0.6となるようにCoでイオン交換さ
れ、さらにCa、Sr、Ba、La、Mn、Ag、InおよびNiの中から選ば
れる少なくとも一つの金属を担持して得たBEAゼオライトからなる触媒を用い
る。
本発明の方法によると、NOx、炭化水素並びに過剰酸素、炭化水素を含む排
ガスを上記の触媒に接触させることにより行われる。その反応条件は、BEA型
ゼオライトに、Co/Al比が0.2乃至0.6となるようにCoでイオン交換
し、さらにCa、Sr、Ba、La、Mn、Ag、In、Niの中から選ばれる
少なくとも一つの金属を担持して得た触媒を用いる限り特に制約はない。使用さ
れる温度としては、300℃乃至600℃、好ましくは350℃乃至500℃、
ガスの毎時空間速度(GHSV)が2000乃至100000、好ましくは50
00乃至30000で使用される。操作温度が300℃より低いと触媒の活性が
不十分となり、600℃より高いと劣化を早める原因になる。また、GHSVが
2000未満であると圧損が大きくなり、100000を越えると脱硝率が低下
する。
本発明でいう炭化水素としては、エチレンなどのオレフィンやプロパンなどの
パラフィンなど、幅広い炭化水素をさす。好ましくは、炭素数2乃至5の脂肪族
炭化水素である。芳香族炭化水素は、本発明の触媒の炭化水素の酸化活性が低い
ため好ましくない。炭素数が6程度以上の脂肪族炭化水素は、ゼオライトの細孔
の奥に存在している活性点に到達しにくいので、やはり好ましくない。また、メ
タンは400℃より低い温度では反応性が乏しく、十分なNOx転化率が得られ
にくい。
本発明のNOx還元方法は排ガス中のNOx濃度に制限されない。NOxの還
元に必要な炭化水素濃度は、メタン換算(THC)にして、普通NOx濃度の1
/2乃至10倍の濃度である。換言すれば、例えば、10ppm乃至5000p
pmNOxの還元には、5ppm乃至5%の炭化水素が必要である。排ガス中に
存在する炭化水素が十分でない場合、所望の還元率を確保するため、適量の炭化
水素を排ガスに添加してもよい。
本発明によるNOx還元方法では、反応物の高い拡散性を可能にするBEA型
ゼオライトを基本とする触媒を使用する。このCo−BEAゼオライト触媒は第
2の金属成分がCa、Sr、Ba、La、Mn、AgおよびInから選ばれると
きには、NOx還元の選択性を低下させない程度にまで、触媒の酸化活性を向上
させる第2の金属が担持される。従って、本発明の方法を使用すると、350℃
程度の低い温度で高いNOx転化率が得られる。Ca、Sr、BaおよびMnの
中から選ばれる第2の金属を担持したCo−BEA触媒を用いた場合には、NO
xの触媒表面への吸着が促進されるため、NOx濃度が低い場合でも効果的に触
媒反応が起こる。そのため低温でNOx濃度が低い場合でも高いNOx転化率が
得られる。また、第2の金属成分としてNiを用いた場合には、Niの作用によ
りNOx還元の選択性が向上しているので、有効な炭化水素濃度が低い場合でも
高いNOx転化率が得られる。
排ガス中の酸素濃度は、極端に少ないと反応の第一段階である一酸化窒素の酸
化反応が起こらない。酸素濃度は好ましくは0.5%以上、より好ましくは3%
以上である。酸素濃度の上限は特にない。しかし酸素濃度が空気より濃い濃度で
は、予期せぬ爆発的な燃焼が起こる可能性があるので好ましくない。
また、排ガス中には、H2O、CO2、CO、H2、SOx等の他の成分を含ん
でいてもよい。本発明のNOx還元方法は、水およびSOx等、炭化水素による
選択的触媒還元反応の反応阻害の原因になっていると一般に言われている物質を
含む排ガスに特に適している。本発明による方法では、炭化水素として、炭素数
4以下の炭化水素が、メタン換算で全体の炭化水素の90%以上を占めるような
、天然ガスの燃焼排ガス中のNOxの還元にも適している。本発明によるNOx
還元方法では、NOxの還元に炭化水素が用いられるために、炭化水素も浄化さ
れるが、COは浄化されない。必要に応じて、本発明触媒後流側に酸化触媒を設
置して残存するCOや炭化水素などを酸化してもよい。
実施例
以下、実施例に基づき、本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は本発
明も範囲を制限することを意図したものではない。
比較例1
SiO2/Al2O3比22.3のBEA型ゼオライトを、米国特許33080
69号公報に開示される方法で調製した。このBEAゼオライト(Na型)25
0.14gを0.2M酢酸コバルト水溶液2リットルに懸濁し、60℃で5時間
イオン交換を行った。濾別、水洗の後、再度同様にしてイオン交換を繰り返した
。得られたCoイオン交換ゼオライトは、水洗、乾燥の後、空気中、550℃で
12時間焼成し、Co−BEA(1)触媒を得た。得られた触媒のCo含有量は
3.0重量%であり、Co/Al比は0.40であった。
比較例2
SiO2/Al2O3比16.3のBEAゼオライト(Na型)を米国特許33
08069号公報に開示される方法で調製した。ゼオライト15gを70mlの
0.2M酢酸コバルト水溶液に懸濁し、焼成時間を5時間とする以外は比較例1
と同様にして、上記方法で調製したゼオライトからCo−BEA(2)触媒を得
た。得られた触媒のCo含有量は4.61重量%であり、Co/Al比は0.4
9であった。
実施例1
313mgの硝酸ランタン(La(NO3)3・6H2O)を溶解する水溶液1
8mlに、比較例1で得られた10gのCo−BEA(1)を加えた。時々撹は
んしながら、120℃で18時間乾燥し、さらに、空気中、550℃で5時間焼
成してLa−Co−BEA触媒を得た。得られた触媒中のLa含有量は、0.9
3重量%、Co/Al比は0.41であった。
実施例2
158mgの硝酸銀(AgNO3)を溶解する水溶液18mlに、10gのC
o−BEA(1)触媒を加える以外は実施例1と同様にしてAg−Co−BEA
触媒を得た。得られた触媒中のAg含有量は0.87重量%、Co/Al比は0
.41であった。
実施例3
355.7mgの硝酸インジウム(In(NO3)3)を溶解する水溶液18m
lに、10gのCo−BEA(1)を加える以外は実施例1と同様にしてIn−
Co−BEA触媒を得た。得られた触媒中のIn含有量は1.39重量%、Co
/Al比は0.40であった。
実施例4
612mgの硝酸カルシウム(Ca(NO3)2・4H2O)を溶解する水溶液
18mlに、10gのCo−BEA(1)を加える以外は実施例1と同様にして
Ca−Co−BEA触媒を得た。得られた触媒中のCa含有量は1.01重量%
、Co/Al比は0.40であった。
実施例5
253mgの硝酸ストロンチウム(Sr(NO3)2)を溶解する水溶液18m
lに、10gのCo−BEA(1)触媒を加える以外は実施例1と同様にしてS
r−Co−BEA(1)触媒を得た。得られた触媒中のSr含有量は0.96重
量%、Co/Al比は0.40であった。
実施例6
196.7mgの硝酸バリウム(Ba(NO3)2)を溶解する水溶液18ml
に、10gのCo−BEA(1)触媒を加える以外は実施例1と同様にしてBa
−Co−BEA触媒を得た。得られた触媒中のBa含有量は0.99重量%、C
o/Al比は0.40であった。
実施例7
461.1mgの酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2・4H2O)を溶解す
る水溶液18mlに、10gのCo−BEA(1)を加える以外は実施例1と同
様にしてMn−Co−BEA触媒を得た。得られた触媒中のMn含有量は0.9
8重量%、Co/Al比は0.39であった。
実施例8
比較例1で得られたCo−BEA(1)触媒(10.4674g)を、369
.3mgの硝酸ストロンチウム(Sr(NO3)2)を溶解する水溶液400ml
に加え、50℃で4時間撹はんし、Srでイオン交換した。得られた固体を濾別
、水洗、乾燥の後、空気中550℃で焼成し、Sr−Co−BEA(2)触媒を
得た。この触媒中のSr含有量は0.98重量%、Co/Al比は0.3であっ
た。
実施例9
389.7mgの硝酸ニッケル(Ni(NO3)2・6H2O)を溶解する水溶
液18mlに、10gのCo−BEA(1)を加える以外は実施例1と同様にし
てNi−Co−BEA(1)触媒を得た。得られた触媒中のNi含有量は、0.
68重量%、Co/Al比は0.41であった。
実施例10
333.3mgの硝酸ニッケルを溶解する水溶液10mlに、6gのCo−B
EA(2)触媒を加える以外は実施例1と同様にしてNi−Co−BEA(2)
触媒を得た。得られた触媒中のNi含有量は1.20重量%、Co/Al比は0
.49であった。
比較例3
SiO2/Al2O3比50のMFI(ZSM−5)型ゼオライト(アンモニウ
ム型)を英国特許1402981号公報に開示される方法で調製した。このゼオ
ライト30gを0.00582M酢酸コバルト水溶液3リットルに懸濁し、90
℃で10時間撹はんすることによりイオン交換を行った。濾別、水洗した後、3
回イオン交換を繰り返した。得られたCoイオン交換ゼオライトを、水洗、乾燥
の後、空気中500℃で5時間焼成して、Co−MFI触媒を得た。
92.8mgの酢酸銀(CH3COOAg)を溶解する水溶液10mlにゼオ
ライトを加え80℃で水を蒸発させる以外は、上記で調製した6gのCo−MF
Iから、実施例2と同様にしてAg−Co−MFI触媒を得た。得られた触媒中
のAg含有量は0.99重量%、Co/Al比は0.53であった。
比較例4
比較例3で得られたCo−MFI触媒6gを、147mgの酢酸ストロンチウ
ム(Sr(CH3COO)2・0.5H2O)を溶解する水溶液10mlに加える
以外は比較例3と同様にして、Sr−Co−MFI触媒を得た。得られた触媒中
のSr含有量は1.01重量%、Co/Al比は0.53であった。
比較例5
比較例3で得られたCo−MFI触媒6gを、267.7mgの酢酸マンガン
(Mn(CH3COO)2・4H2O)を溶解する水溶液10mlに加える以外は
比較例3と同様にしてMn−Co−MFI触媒を得た。得られた触媒中のMn含
有量は1.05重量%、Co/Al比は0.53であった。
比較例6
比較例3で得られたCo−MFI触媒6gを、185.4mgの硝酸インジウ
ム(In(NO3)3・3H2O)を溶解する水溶液10mlに加える以外は比較
例3と同様にしてIn−Co−MFI触媒を得た。得られた触媒中のIn含有量
は1.03重量%、Co/Al比は0.53であった。
比較例7
比較例3で得られたCo−MFI触媒6gを、254.4mgの酢酸ニッケル
(Ni(CH3COO)2・4H2O)を溶解する水溶液10mlに加える以外は
比較例3と同様にして、Ni−Co−MFI触媒を得た。得られた触媒中のNi
含有量は1.05重量%、Co含有量は1.9重量%、Co/Al比は0.53
であった。
実施例11
上記実施例1から10及び比較例1から7で得られた触媒を錠剤に成型した後
破砕してふるいで1−2mmに整粒した。次に粒子を空気中、500℃で9時間
焼成した。得られた試料4mlをステンレススチール反応管(内径14mm)に
充填した。表1に示す組成の試験ガス(条件1)を毎分1リットル(GHSV=
15000)でこの反応管に流通させ、反応管出口のガス組成を化学発光式NO
x計及びガスクロマトグラフで測定した。NO=150ppm、C3H8=500
ppmとする以外は表1と同じ組成の試験ガス(条件2)、および、NO=15
0ppm、C3H8=250PPmとする以外は表1と同じ組成の試験ガス(条件
3)を使用して同様の実験を行った。
このときの触媒活性(NOx転化率及びプロパン転化率)を表2に示す。なお
、ここで、NOx転化率およびプロパン転化率は、反応管入口及び出口の濃度か
ら、以下の式によって計算されたものである。
表2に示されているように、本発明に基づくLa−、Ag−、In−Co−B
EA触媒は、対応するCo−BEA(1)よりも350℃〜400℃の低温で高
いNOx転化率を示している。また、本表に示されているように本発明に基づく
Ca−、Sr−、Ba−、Mn−Co−BEAは、NOx濃度の低い条件2で、
350℃〜450℃の範囲で高いNOx転化率を示してる。これらの触媒を使用
すると、NOxの触媒表面への吸着が促進され、低NOx濃度でも高い転化率が
得られる。さらに、本発明に基づくNi−Co−BEA(1)、Ni−Co−B
EA(2)触媒は、対応するCo−BEA(1)、Co−BEA(2)よりも3
50℃〜400℃の低温で高いNOx転化率を示している。
さらにNOx濃度もC3H8濃度も低い条件2では、Ni添加によりC3H8転化
率は低下する一方、NOx転化率は上昇している;Niは、低温でのNOx還元
の選択性を高める。
一方、Co−MFIをベースにした触媒では、もともとCo−MFIゼオライ
トの活性・選択性が低いため、Ag、In、Sr、Mn、Niあるいはその他の
第2金属を添加しても、活性はCo−BEAをベースにした触媒には及ばない。
比較例8
SiO2/Al2O3比17.5のBEAゼオライト(Na型)を米国特許33
08069号公報に開示される方法で調製した。ゼオライト150gを、150
gの酢酸コバルト(Co(CH3COO)2・4H2O)を溶解する水溶液2リッ
トルに懸濁し、イオン交換回数を3回とする以外は比較例1と同様にして、Co
−BEA(3)触媒を得た。得られた触媒のCo含有量は4.59重量%であり
、Co/Al比は0.51であった。
実施例12
216mgの酢酸ニッケル(Ni(CH3COO)2・4H2O)を溶解する水
溶液に、10gのCo−BEA(3)を加える以外は実施例1と同様にしてNi
−Co−BEA(3)触媒を得た。得られた触媒中のNi含有量は0.483重
量%、Co/Al比は0.52であった。
実施例13
2.164gの酢酸ニッケルを溶解する水溶液に、50gのCo−BEA(3
)触媒を加える以外は実施例1と同様にしてNi−Co−BEA(4)触媒を得
た。得られた触媒中のNi含有量は0.95重量%、Co/Al比は0.51で
あった。
実施例14
874.3mgの酢酸ニッケルを溶解する水溶液に、10gのCo−BEA(
3)を加える以外は実施例1と同様にしてNi−Co−BEA(5)触媒を得た
。得られた触媒中のNi含有量は1.87重量%、Co/Al比は0.51であ
った。
実施例15
Ni−Co−BEA(4)触媒10gを、134.2mgの硝酸インジウムを
溶解する水溶液に加える以外は実施例1と同様にしてIn−Ni−Co−BEA
触媒を得た。得られた触媒中のNi含有量は0.97重量%、In含有量は0.
49重量%、Co/Al比は0.52であった。
実施例16
上記実施例12乃至15及び比較例8で得られた各触媒について、実施例11
と同様にして、NOx還元活性を測定した。なお、試験ガス組成は条件2と同じ
である。結果を表3に示す。
表3に示されているように、本発明によるNi−Co−BEA(3)乃至(5
)の触媒では、対応するCo−BEA(1)よりも、400℃前後でのNOx還
元の選択性が高い。しかし、Niを多量に含有するNi−Co−BEA(5)で
は350℃でのNOxの転化率がCo−BEA(3)と殆ど同等になっており、
Ni−Co−BEA(5)より多くNiを担持しても、この条件では低温での脱
硝率の低下が懸念される事を意味している。一方、Ni−Co−BEA(4)に
さらにInを担持したIn−Ni−Co−BEAでは、Ni−Co−BEA(4
)よりも低温触媒活性が向上しており、NiとCoの効果が複合して現れている
ことが分かる。
実施例17
比較例1で得られたCo−BEA(1)触媒と実施例9で得られたNi−Co
−BEA(1)触媒について、希薄燃焼の天然ガスエンジン排ガスを模擬した表
4に示す組成の試験ガスを400℃で継続的に反応管に流通させる(GHSV=
15000)以外は実施例11と同様にして耐久性を評価した。
Ni−Co−BEA(1)についての評価結果を図1に示す。Co−BEA触
媒(1)は、数百時間後には劣化は止まり、安定した活性を示し、500時間後
のC3H8転化率は50%、NOx転化率は44%であった。対照的にNi−Co
−BEA(1)触媒では、1000時間にわたって50%以上の高いNOx転化
率を維持している;明らかにNiを添加することにより、NOx転化率はプロパ
ン転化率を越えている。それ故、本発明による触媒では、初期の触媒活性だけで
なく、水蒸気やSOx等を含む条件下でも高いNOx還元の選択性、および高い
耐久性を示す。
実施例18
Co−BEA(3)110gを、4.7789gの酢酸ニッケルを溶解する水
溶液200mlに加え、100℃で乾燥した以外は実施例1と同様にしてNi−
Co−BEA(6)触媒を得た。得られた触媒中のNi含有量は1.04重量%
、Co/Al比は0.51であった。
Ni−Co−BEA(6)触媒を実施例17と同様にして耐久性をテストした
結果を図2に示す。経時変化の傾向は図1と同様であるが、安定後のNOx転化
率は70%以上と図1より高い結果が得られている。即ち、Ni−Co−BEA
(6)では、BEAゼオライトのSiO2/Al2O3比が低く、Coのイオン交
換担持量がNi−Co−BEA(1)より多くなっていることにより、高いNO
x転化率が得られているものと思われるが、その場合でも、Niを添加すること
によって、水蒸気やSOx等を含む条件下でも高いNOx還元の選択性および、
耐久性が得られる。
発明の効果
上記したように本発明による触媒は、Co−BEAをベースとし、水蒸気や他
の妨害物質を含む実排ガス条件下でも高い低温活性と耐久性がある。第2の金属
成分がCa、Sr、Ba、La、Mn、AgおよびInから選ばれる場合は、こ
れらの金属成分の作用によりNOx還元の選択性が低下することなく低温での触
媒の酸化活性が適度に向上するため、さらに低い温度でも高いNOx転化率が得
られる。また、第2の金属をCa、Sr、BaおよびMnの中から選ばれる場合
には、NOxの触媒上への吸着が促進され、低NOx濃度でも低温で高いNOx
転化率が得られる。Niを添加した場合、本発明の触媒はNi添加によりNOx
還元の選択性が向上しているので、水蒸気やSOx等の妨害物質を含む実排ガス
で有効な炭化水素濃度が低い場合でも高いNOx転化率を達成する。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 ベッルッシィ,ジュセッペ
イタリア29100ピャチェンツァ、ヴィア・
ア・スコット44番
(72)発明者 サバティーノ,ルイジーナ・マリア・フロ
ーラ
イタリア20097サン・ドナート・ミラネー
セ、ヴィア・モランディ2/ビ番
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.Co/Al比が0.2乃至0.6となるようにCoでイオン交換されてお り、さらにCa、Sr、Ba、La、Mn、Ag、InおよびNiの中から選ば れる少なくとも一つの金属が担持されているBEA型ゼオライトからなる、酸素 過剰下で炭化水素により窒素酸化物を還元するための触媒。 2.Co/Al比が0.2乃至0.6となるようにCoでイオン交換されてお り、さらにCa、Sr、BaおよびMnの中から選ばれる少なくとも一つの金属 が担持されているBEA型ゼオライトからなる、酸素過剰下で炭化水素により窒 素酸化物を還元するための触媒。 3.Co/Al比が0.2乃至0.6となるようにCoでイオン交換されてお り、Niが担持されているBEA型ゼオライトからなる、酸素過剰下で炭化水素 により窒素酸化物を還元するための触媒。 4.BEA型ゼオライトがまずCoでイオン交換され、続いてCa、Sr、B a、La、Mn、Ag、InおよびNiの中から選ばれる少なくとも一つの金属 を含浸担持されている請求項1記載の触媒。 5.BEA型ゼオライトが10乃至100のSiO2/Al2O3比を有する、 請求項1ないし4いずれかに記載の触媒。 6.含浸担持する金属量が0.2重量%乃至5重量%である、請求項4記載の 触媒。 7.Coでイオン交換担持した後担持される金属がNiであり、かつNi量が 0.4重量%乃至2重量%である、請求項6記載の触媒。 8.SiO2/Al2O3比10乃至100を有し、Co/Al比が0.2乃至 0.6となるようにCoでイオン交換されており、さらにCa、Sr、Ba、L a、Mn、Ag、InおよびNiの中から選ばれる少なくとも一つの金属が0. 2重量%乃至5重量%担持されているBEAゼオライトからなることを特徴とす る、酸素過剰下に炭化水素により窒素酸化物を還元する触媒。 9.SiO2/Al2O3比が15ないし50の範囲内にある、請求項5または 8記載の触媒。 10.Co/Al比が0.2乃至0.6となるようにCoでイオン交換されて おり、さらにCa、Sr、Ba、La、Mn、Ag、InおよびNiの中から選 ばれる少なくとも一つの金属が担持されているBEA型ゼオライトを含む触媒と 排ガスを接触させることを特徴とする、炭素数2以上の炭化水素により、炭化水 素と過剰の酸素を含む排ガス中の窒素酸化物を還元する方法。 11.触媒が、SiO2/Al2O3比10乃至100を有し、まずCoでイオ ン交換され、続いてCa、Sr、Ba、La、Mn、Ag、InおよびNiの中 から選ばれる少なくとも一つの金属が0.2重量%乃至5重量%含浸担持されて いるBEA型ゼオライトからなる、請求項10記載のNOx還元方法。 12.排ガス中に含まれ、メタン換算で計算される炭化水素の90%以上が炭 素数4個以下で構成される炭化水素である、請求項11記載のNOx還元方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A761 | Written withdrawal of application |
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