JP2701433B2 - 排気浄化触媒 - Google Patents

排気浄化触媒

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は排気浄化触媒、更に詳しくは内燃機関から排
出される酸素過剰の排気系に連設するための排気浄化触
媒に関するものである。
〔従来の技術〕
従来より自動車エンジンに吸入される混合気体の空燃
比を理論空燃比よりも大きくすると、ある比率に至るま
で燃費率(単位燃料量当りのエネルギー出力)が向上す
る他、理論空燃比よりも小さい場合に比較してトルク変
動をほぼ一定に保ったまま、排気ガス中のCO濃度を大幅
に低減できることが知られており、理論空燃比よりも低
燃料比率の混合気体を使用する自動車エンジン、所謂リ
ーンバーンエンジンの実用化並びにリーンバーンエンジ
ンを搭載した自動車の普及が望まれている。
他方、このリーンバーンエンジンは、所定の空燃比の
ところで排気中のNOxの濃度が極大に達し、加えてこの
排気中のNOxの濃度が極大に達する空燃比が天候や運転
条件等により微妙に変化するため制御し難く、従ってリ
ーンバーンエンジンにおいては天候や運転条件等により
排気中のNOxの濃度が基準値を越えたり、又、この排気
中のNOxの濃度を所定の低濃度に押えようとすると、精
密かつ複雑な制御機構を付設する必要があり、更に制御
機構による制限から車両のドライバビリティが低下する
などの問題点も孕んでいる。
然して、これ等の問題点を、リーンバーン排気、即
ち、理論空燃比よりも大きな空燃比で燃料を燃焼させた
際に生じる排気中のNOxを、リーン側空燃比領域で浄化
処理して低減してやることにより解消するための排気浄
化触媒も提案されている(特願昭62−288684号)。
前記特願昭62−288684号明細書に記載されているよう
な、遷移金属でイオン交換されたゼオライトを耐火性担
体上に担持した排気浄化触媒によれば、リーン排気中の
NOx濃度はある程度低下する。しかし、この濃度を所定
以下に維持するための上記制御機構等の負担を大巾に低
減したり、究極的にはかかる負担を解除するため、リー
ン排気中のNOxをより一層高い比率で浄化することが望
まれている。
このため本出願人は特願昭63−74213号において、リ
ーンバーンエンジンの排気通路に、パラフィンをオレフ
ィンに変換する触媒Iと窒素酸化物NOxを分解する触媒I
I(リーンNOx触媒)とを同位置又は前記触媒Iを前記触
媒IIの前記通路上流側に配設した自動車排気浄化装置を
提案した。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、リーンNOx触媒では特定の炭化水素(H
C)のみが反応し、他のHC成分は未反応で残ってしま
い、HC反応が有効に使用されないためNOxの浄化率も低
い。
リーンNOx触媒はゼオライト例えば高シリカゼオライ
トに銅(Cu)などの卑金属又はパラジウム(Pd)などの
貴金属をイオン交換担持したものであるが、これらの金
属(又は金属イオン)はゼオライト結晶中のスパーケー
ジと呼ばれる細孔(直径数Å〜10Å程度)内に存在し、
反応物のHCやNOxはそこまで拡散していかなければなら
ない。
実際にリーンNOx触媒の排気流入側及び流出側でHC成
分を測定してHC成分毎の反応性を確認するとオレフィン
>アロマチックス≫パラフィンの順となり、リーンNOx
触媒では特にパラフィンの反応性が低い。更に、パラフ
ィン内でも、同じ炭素数のものでは直鎖状のn−パラフ
ィンに比べて分岐鎖状のイソ−パラフィンの反応性が低
いことが明らかとなった。これらのことから、リーンNO
x触媒において分子内に二重結合を有するオレフィンや
アロマチックスは反応性が高く、反対に分子内に二重結
合を有しないパラフィンは反応性が低いということ、
又、同じパラフィンでも分岐鎖を有するイソ−パラフィ
ンはその立体的形状のためゼオライトの細孔内への拡散
が遅く、更に反応性が低いことが判る。
前記特願昭63−74213号明細書記載の排気浄化装置
は、パラフィンをリーンNOx触媒に対して反応性の高い
オレフィンに変換するものであるが、やはり結晶細孔内
活性触媒のため、直鎖状のパラフィンには有効である
が、分岐鎖状のイソ−パラフィンでは浄化率が低い。
本発明は前記従来技術における問題点を解決するため
のものであり、その目的とするところはリーンバーン雰
囲気においてNOx及びHCの浄化率が向上した排気浄化触
媒を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
即ち本発明の排気浄化触媒は、卑金属又は貴金属をイ
オン交換担持してなるゼオライト触媒の排気流れ方向の
中央部又はその近傍に、酸化触媒又は三元触媒を介在さ
せたことを特徴とする。
ゼオライト触媒に使用するゼオライトとしては、例え
ばZSM−5、フェリエライト等が挙げられる。又、卑金
属としてはCu、Co、Ni、Fe等が、貴金属としてはPt、R
h、Pd等が使用できる。Cuは特に好ましい。ゼオライト
触媒の形態はペレット型、モノリス型等であってよい
が、モノリス型が好ましい。モノリス型の場合のゼオラ
イトで被覆する担体としてはステンレススチールなどの
耐熱性金属からなるメタル担体又はコーディライトなど
のセラミック担体が使用できる。担体の容量、ゼオライ
ト層の厚さ、卑金属又は貴金属の担持量等は適宜選択す
る。
酸化触媒又は三元触媒は、排気ガス浄化用触媒の分野
で通常使用されるものであってよい。即ち、前記と同様
のメタル担体又はセラミック担体にアルミナ、シリカ−
アルミナ等を被覆し、それに前記と同様の貴金属を担持
したものであってよい。貴金属の外に助触媒として前記
卑金属又はLa、Ce等のランタニドを添加することができ
る。担体の容量、アルミナなどの触媒成分担持層の厚
さ、触媒成分の担持量等は適宜選択する。
酸化触媒又は三元触媒の位置は、ゼオライト触媒に挾
まれた中央部付近が最も好ましく、両端部又はその近傍
では効果が小さいか又は効果がない。
ゼオライト触媒と酸化触媒又は三元触媒との容積比
は、各触媒の性能によって異なるが、通常は約9:1、即
ち、全触媒容積に対して酸化触媒又は三元触媒の容積比
は10%程度が好ましく、あまり大きすぎても又小さすぎ
ても効果がない。
本発明の触媒の調製方法としてはウォッシュコート法
などの慣用の方法を用いることができる。
〔作 用〕
排気浄化触媒の排気流れ方向の前部と後部にゼオライ
ト触媒を配置し、中央部又はその近傍に酸化触媒又は三
元触媒を配置することにより、前部ゼオライト触媒から
未反応で排出されるパラフィン、特にイソ−パラフィン
を中央部又はその近傍の酸化触媒又は三元触媒でn−パ
ラフィンに変換して、後部ゼオライト触媒でNOxと反応
させて有効利用するので、NOx及びHCの浄化率が向上す
る。
〔実 施 例〕
以下の実施例及び比較例において本発明を更に詳細に
説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるもの
ではない。
実施例1 容積0.7のコーディライト製モノリス担体に、ウォ
ッシュコート法を用いて、中央部の容積0.07(全容積
の1/10)にγ−Al2O3を150g/被覆し、そしてPd1g/
及びRh0.3g/を担持した。又、同様にして両端部の合
わせて容積0.63(各0.315)にZSM−5を100g/被
覆し、それにCu 4g/及びNi 1g/を担持して実施例1
の触媒を得た。第1図に本実施例の触媒を排気系に連設
した状態を示す。図中、1はCCo,Ro(酸化触媒CCo又は
三元触媒CCRo)、2はCCL(ゼオライト触媒:リーンNOx
触媒)、3は収納容器、4は排気である。
比較例1 実施例1と同じ担体に、ウォッシュコート法を用いて
ZSM−5を100g/被覆し、それにCu4g/及びNi 1g/
を担持して比較例1の触媒を得た。
比較例2 Niを担持しないこと以外は、比較例1と同様にして比
較例2の触媒を得た。
<性能比較試験> 実施例1、比較例1及び2の各触媒を1.6のリーン
バーンエンジン(E/G)の排気系に連設し、1400rpm×4k
gm、A/F(空燃比)約21でHC浄化率及びNOx浄化率を測定
した。結果を第2図(a)及び(b)に示す。本発明の
触媒は比較例1及び2の触媒に比べてHC浄化率及びNOx
浄化率がともに向上しているのが判る。
実施例2 第1図のCCo,Ro1の位置を、排気流れ方向の前→中→
後に変化させた触媒を実施例1と同様の方法によって調
製し、そのNOx浄化率を測定した。結果を第3図に示
す。CCo,Ro1を一番前に移動させるとHCのうちCCL2にお
いて反応性の高いオレフィンやアロマチックスまで酸化
され、逆にNOx浄化率が低下した。CCo,Ro1の位置が中
央付近でNOx浄化率が最も高くなった。更にCCo,Ro1の
位置を後に下げてくると再びNOx浄化率は低下し、一番
後に移動させると、NOx浄化率は全体がCCL2の場合とほ
ぼ同じとなった。
実施例3 排気浄化触媒の全容積を一定にして、CCo,Roをその中
央部に設け、且つ容積比を変化させた触媒を実施例1と
同様の方法によって調製した。そのNOx浄化率を第4図
に示す。第4図から明らかな如く、CCo,Roの容積比が10
%付近でNOx浄化率が最も高くなった。これはCCo,Ro
容積比があまり大きすぎると、HCが完全に酸化されそれ
以後のCCLのNOx浄化効果がなくなるためと考えられる。
〔発明の効果〕
上述の如く本発明の排気浄化触媒は、卑金属又は貴金
属をイオン交換担持してなるゼオライト触媒の排気流れ
方向の中央部又はその近傍に、酸化触媒又は三元触媒を
介在させたため、リーンバーン雰囲気においてNOxの浄
化率が向上するだけでなく、HCの浄化率も向上した。そ
のため、従来のリーンバーンエンジンの排気浄化装置に
おいてはリーンNOxの触媒の下流に大きな酸化触媒が必
要であったが、本発明の排気浄化触媒を用いればその必
要がなくなった。
又、本発明の排気浄化触媒は、従来の同種の触媒の調
製方法を用いて容易に調製可能であり、特別な設備を新
たに設ける必要がないので実用上都合がよい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の排気浄化触媒の実施例1の概略構成
図、 第2図(a)及び(b)は各排気浄化触媒のHC浄化率及
びNOx浄化率を示す図、 第3図は酸化触媒又は三元触媒の位置を変化させた場合
のNOx浄化率の変化を示す図、 第4図は酸化触媒又は三元触媒の容積比を変化させた場
合のNOx浄化率の変化を示す図である。 図中、 1……CCo,Ro、2……CCL、3……収納容器 4……排気

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】卑金属又は貴金属をイオン交換担持してな
    るゼオライト触媒の排気流れ方向の中央部又はその近傍
    に、酸化触媒又は三元触媒を介在させたことを特徴とす
    る排気浄化触媒。
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