【発明の詳細な説明】
チャージカード
本発明はチャージカードに関する。念のため、ここで用いるチャージカードな
る用語は、現金あるいは小切手で支払いを行う代わりに用いられる、あらゆる可
能性のある種類のカードを含んでいることをここで確認しておきたい。このよう
なカードの例としては、VISA(商標)、AMERICAN EXPRESS
(商標)のようなクレジットカードや専門店で用いるための多くのカード、SW
ITCH(商標)のようなデビットカードがある。
プラスチック材料でチャージカードを作るのが普通である。或る種のカードは
非常に高価である。このようなカードがその表面にゴールドあるいはプラチナ色
のコーティングを持っているのはまったく普通のことである。これらのいわゆる
ゴールドカードあるいはプラチナカードは非常に信望が篤い、普通は高収入の人
間にしか与えられない。
本発明によれば、全体的あるいは部分的に貴金属で作ったチャージカードを得
ることができる。
ここで用いる貴金属という用語は、プラチナ、ゴールド(あらゆるカラットの
もの)およびシルバーのような高価な金属を意味する。
上述したように、本発明のチャージカードは全体的に貴金属で作ってあっても
よい。あるいは、ほんの一部が貴金属で作ってあってもよい。好ましくは、この
チャージカードは、貴金属で作った1つまたはそれ以上の層と、非貴金属、プラ
スチックその他任意の適当な材料のような他の材料で作った1つまたはそれ以上
の層とからなる積層体である。
より好ましくは、本発明によるチャージカードは、貴金属で作った外側層と、
プラスチック材料で作った内側層とを包含する3部分積層体である。たとえば、
プラスチックは普通のクレジットカードで用いられるものと同じ種類のプラスチ
ックであってもよい。
貴金属の層は、任意適当な方法で内側プラスチック層に接合することができる
。たとえば、これらの層は接着剤で相互に接合してもよい。SUPER GLU
Eという商標で販売されている材料を含む任意適当な接着剤を使用し得る。しか
しながら、必要な耐久性、可撓性、頑丈な仕上げを得るには、前記の公知の接着
剤は充分に高度の信頼性を与えないことがわかった。したがって、エポキシ樹脂
配合物を貴金属層に塗布してそれをプラスチックに接着するのが好ましい。この
ような樹脂配合物としては、ビスフェノール・エポキシ類、好ましくは、ビスフ
ェノールAがある。
好ましい配合では、エポキシは基本的な二液系からなり、二液のうちの一方に
添加して樹脂の粘度および風合
いを向上させる希釈液も包含する。カードをエポキシ配合物できれいに被覆して
耐久性、可撓性、頑丈な仕上げを与えるとよい。
エポキシ配合物は、本発明に従ってプラスチック層に貴金属層を接着する際に
見出された問題の多くを克服する。SUPER GLUETMのような普通の接着
剤は、或る種の目的には適しているが、種々の条件下で層の接着性を維持する長
期間にわたる耐久性が不充分である。その結果、通常は縁のところで金属層の剥
離が生じ、引き裂きその他の損傷が生じる。
本発明による好ましい積層チャージカードは、カード所有者の署名、写真なら
びにカード番号、有効期限、ホログラムのような他の項目を含む「情報」を備え
ることができる。この情報は内側プラスチック層の片面あるいは両面に設け、外
側貴金属層の窓を通して見ることができる。あるいは、好ましくは、たとえば、
レーザ・エッチング法を含む適当なエングレービング法またはスタンピング法に
よって外側金属層そのものに設けてもよい。
ここに説明したエポキシ配合物は、また、ゴールド面に磁気ストリップと一緒
に、必要ならば署名パッチも一緒にホログラムを接着するにも適している。先に
述べた剥離、引き裂きの問題は、ホログラムが非常に薄いプラスチックその他の
材料の層からなるためホログラムについて特に深刻であるが、前述の樹脂配合物
はカードを被覆し、ホログラム、磁気ストリップあるいは署名パッチ
を接着し、エポキシ樹脂配合物のきれいなコーティングによってこの問題を克服
することがわかっている。また、高温でコーティングが硬化すると、表示を維持
するのに必要なその透明性が高まることがわかっている。エポキシ樹脂配合物が
どのようにしてプラスチック材料に貴金属の層を強力に接合するのかまったくわ
からないが、希釈剤の添加がプラスチック材料への貴金属の接合をかなり高め、
加えて、樹脂の正しい粘度を与えることによって製品の仕上げを改善することが
わかっている。化学的な相互作用が希釈剤と二液エポキシ配合物の間に生じ、樹
脂構造への希釈剤の浸透を改善することは知られているが、なぜこれが金属層と
プラスチック層の結合にそれほど有効なのかはわかっていない。満足できる接着
性を与えるのに必要な配合物をきれいなコートを完成したチャージカード面に塗
布するのにも使用できるという事実によって利点はさらに高まる。上述した配合
物は接着性、仕上げを改善するばかりでなく、単一配合でのそれらの性質も役立
てることができる。
好ましくは、希釈剤は、配合物全体の0〜5体積%の範囲で添加する。より好
ましくは、1〜4体積%の範囲で添加し、最も好ましくは、2体積%の添加であ
る。ビスフェノール・エポキシと改質アミン触媒とを1:0.5の体積割合で混
合するとよいが、好ましくは1:2の体積割合の混合である。この割合では半硬
質の配合物が得られ、これはチャージカードに必要な可撓性を与えるが、
チャージカードにとって必要な靭性要件に合った充分な剛性も与える。ビスフェ
ノール・エポキシは、通常、エピクロロヒドリンとビスフェノールAを含有し、
これらがビスフェノール・エポキシ部分の99〜100%を構成する。改質アミ
ン触媒は、代表的には、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペントアミ
ンおよびテルフェニルを含有し、これらの成分はそれぞれ、0〜10%の範囲で
ある。成分の含有量は最終的に必要な性質を与えるようにこの範囲に応じて変わ
る可能性がある。好ましい希釈液は、N−アルキル−グリシジルエーテルであり
、最も好ましいのは、N−ブチル−グリシジルエーテルである。
本発明による特に好ましいチャージカードは、内側プラスチック層と外側ゴー
ルド層とを包含する。カードの全体の厚さは、代表的には、従来のチャージカー
ドと同じ程度の厚さ(0.8mm)である。
本発明による積層チャージカードは、内側プラスチック層と、ゴールドその他
の適当な貴金属の外側層とからなるものでもよく、ゴールドがチャージカードの
縁まわりに延びていて内側プラスチック層の存在を隠しているとよい。あるいは
、余分な強度を得るために、外周ガスケットがチャージカードの縁まわりに延び
ていて、この縁に部分的に重なっていてもよい。また、貴金属層の縁を隠し、従
って剥離の可能性を充分に減らす程度にチャージカードの面の周縁に重なってい
てもよい。このガス
ケットはプラスチック材料で作ってあってもよく、それにより、プラスチック・
サンドイッチ層とガスケットの境界面のところに非常に強力なプラスチック対プ
ラスチック・エポキシ樹脂結合を得ることができる。これは強度を高める。ガス
ケットは、また、エポキシ樹脂によって重なり合っている金属層にも結合する。
エポキシ樹脂の緻密なコートを、必要に応じて、ガスケットの上に塗布してもよ
い。チャージカードの本体の厚みを減らし、チャージカードの周縁ガスケット・
バージョンが関連した規格に適うようにする必要がある。
本発明をより容易に理解できるように、以下、特別の実施例を添付図面を参照
しながら説明する。図面において:
第1図は本発明によるチャージカードの片面を示す
第2図は第1図のチャージカードの反対面を示す
チャージカード10は、ゴールドのような貴金属から鍛造で普通のサイズ(5
5mm×86mm×0.8mm)に作りそれをチャージカード・サイズのプラスチック
・シートを挟むように置く。ゴールド層は、それぞれ200ミクロンの厚さであ
り、プラスチック・カードは400ミクロンの厚さである。これらの厚さ変えて
もよいが、チャージカードについてのISO規格に合わせる必要がある。この実
施例で用いるエポキシ樹脂配合物は、市販されている成分から作ってある。二液
エポキシ配合物は、
ECCOBONDTM45クリア(ECCOBONDは、WR Grace&Co
.の登録商標である)と触媒15クリアとを包含する。ECCOBOND45ク
リアは、製品の99〜100%を構成するエピクロロヒドリン/ビスフェノール
Aからなる。触媒15クリアは、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペ
ントアミン及びテルフェニルを包含する改質アミン触媒である。これらの成分の
各々は、触媒の組成の10重量%未満で存在する。希釈剤、N−ブチル−グリシ
ジルエーテルを、混合の前に二液混合物の一方の液に添加する。二液の混合の後
、ゴールド層の適用の前に、樹脂をプラスチック面に塗布する。同様の工程を反
対側の面にも実施し、そのカードを65℃で数時間養生する。ECCOBOND
45クリア配合物と触媒15クリアは100:200の比率で混合する。養生し
た組織の可撓性は、成分の比率を変えることによって特定の金属要件に合わせて
使用者が調節することができる。この養生は室温で行ってもよいが、高い温度で
の養生が接着性を向上させることがわかっている。希釈剤は混合物全体の2体積
%となるように添加するが、粘度風合い要件に合わせて変えてもよい。同じ配合
物を上記の例で用いてホログラム、磁気ストリップ、そして必要に応じて署名パ
ッチをゴールド層に接着する。次に、レーザ・エッチングを用いてゴールドを高
精細度にエッチング加工し、また、オプションとして、使用者の署名をレーザ・
エッチングしてもよいし、普通の方法
で署名パッチおよび写真を設けてもよい。あるいは、カードを600ミクロンま
でドリル加工してSMARTカード技術に合わせてもよいし、普通のクレジット
カード製造技術によってエンボス加工してもよい。貴金属の使用により、カード
は英国のAssay Office、あるいは他国の適切なオフィスで検定され
ている。次に、貴金属層の検定の後、カードをエポキシ樹脂で被覆して耐久性、
可撓性のある頑丈な仕上げとする。テストでは、カードを必要なISO規格、ヨ
ーロッパ規格、英国規格に合わせるためには剥離強度が重要なファクタであるこ
とが示された。カードに付けた番号11,第1有効性及び有効期限の日付12,
13およびカード所有者の名前14は、すべて、カードの裏面からスタンプ加工
あるいはエッチングすることができる。
特定のタイプのカードのブランド15は、カードにエッチング加工するかある
いはスクリーン印刷およびレーザ・エッチングあるいはスタンプ加工によってカ
ードに印刷する。磁気ストリップ16は接着剤を用いてカードの裏面に取り付け
る。カード所有者の認可された署名のための紙片17も同様に接着剤を用いてカ
ードの裏面に取り付ける。チャージカードにホログラムを取り付けて偽造を防ぐ
のが普通である。このようなホログラム18は上述したように接着剤によって所
定位置に固着することができる。
ここで、上述の実施例が説明のためにのみ構成したも
のであることは了解されたい。多くの修正、変更が可能である。たとえば、カー
ドの寸法、特に厚さは変わり得る。カードの厚さは理想的には0.25mm〜1mm
の範囲にある。
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