【発明の詳細な説明】
インターロイキン8レセプター1(IL8R1)結合ドメインを有するポリペプチド
説明 技術分野
本発明は、一般的には、IL8R1結合ドメインに関する。より具体的には、本発
明は、(1)1以上のIL8R1特異的結合ドメインを含む、天然のIL8以外のポリペ
プチド;および(2)1以上の変化したIL8R1特異的結合ドメインを含むポリペ
プチドに関する。本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチド、このポリペプチドの使用方法およびこれらのポリヌクレオチドを利用す
る本発明のポリペプチドの生産方法に関する。従って、本発明のポリペプチドは
、IL8R1またはIL8R2結合についてのIL8のアンタゴニストまたはアゴニストとし
て作用し得る。発明の背景
細胞は、互いに信号を送るために、サイトカインと呼ばれる拡散性メディエー
ターを利用する。サイトカインのスーパーファミリーがIL8を含むケモカインで
ある。ケモカインスーパーファミリーについての概説論文が、Millerら、Crit R ev Immun 12(1.2)
:17-46(1992)およびBaggioliniら、Adv Immunol 55:97-179(19
94)(これは本明細書中に参考として援用される)によって記載されている。
ケモカインは、構造的および機能的に関連したサイトカインの一群である。最
近の研究により、これらのタンパク質が、炎症部位での白血球およびその他の細
胞の動員および活性化において機能し、それゆえ重要な炎症メディエーターであ
るようであることが示されている。構造的には、これらの分子は、共通の2次タ
ンパク質構造を示し、そして4つの保存システイン残基を示す小分泌タンパク質
である。ケモカインの共通の2次構造は、以下の特徴を示す:(1)アミノ末端
ループ;(2)グリークキー(Greek key)の形態の三本鎖逆平行βシート;お
よび(3)前記βシート上に横たわるC末端αヘリックス。これらのタンパク質
に対する系統的な命名法がいまだに一般的に認められていないので、これらのタ
ンパク質は、成熟タンパク質の最初の2つのシステイン残基の間隔に従って2つ
のファミリーに分けられる。これらのファミリーはCXCまたはCCファミリーと呼
ばれる。CXCファミリーにおいては、最初の2つのシステイン残基は、アミノ酸
残基によって分離される;CCファミリーにおける最初の2つのシステイン残基は
アミノ酸残基によって分離されていない。現在までに、17のケモカインが記載さ
れている。6つはCXCファミリーのメンバーであり、血小板因子4(PF4);β−
トロンボグロブリン;NAP-1/IL8;groα、β、およびγ、IP-10;mig;ENA-78
を包含する。CXCファミリーはαファミリーとしても知られている。残りのケモ
カインは、CCファミリーの一部である;マクロファージ炎症タンパク質(MIP-1
αおよびMIP-1β);単球化学誘因タンパク質-1/JE(MCP-1/JE);RANTES;HC
-14;C10、およびI-309。このファミリーはβファミリーとも称される。
興味深いことに、天然のヒトIL8は、実験動物において好中球に対する化学誘
因物質として作用し、そして全身性注射の際に顆粒球をそして局所注射の際に皮
膚反応を誘発する。Bazzoniら、(1991)173:771-774;Van Dammeら、J Exp Med 167
:1364-1376;Riberoら、Immunology 73:472-477(1991)を参照のこと。この
分子はまた、スーパーオキシドアニオンの放出を活性化し、ミエロペルオキシダ
ーゼ、β−グルクロニダーゼおよびエラスターゼを含む好中球の主要顆粒成分の
放出を誘起する。天然のヒトIL8は、そのレセプターに結合し、そして生物学的
応答を最終的に生じる反応のカスケードであるシグナル伝達を引き起こすことに
より、これらの生物学的活性を媒介する。
現在、2つのIL8結合レセプターが同定されており、「IL8R1」および「IL8R2
」と命名されている。これらのポリペプチドのアミノ酸配列がMurphyら、Scienc e 253
:1280(1991)およびHolmesら、Science 253:1278(1991)(本明細書中に参考
として援用される)に記載されている。他のケモカイン(例えば、GROα、GROβ
、およびGROγ)が、IL8R2への結合についてIL8と競合し得る。Ca2+を測定する
ことによる天然IL8を用いる交差−脱感作実験により、NAP-2およびENA-78が、IL
8R2結合に関連付けられている。他によって、IL8R1およびIL8R2結合の両方に関
連する天然のヒトIL8の領域を同定した。しかし、現時点で、IL8R1特異的結合
について天然IL8と競合するケモカインは知られていない。発明の開示
本発明の目的の1つは、1以上のIL8R1特異的結合ドメインを導入することに
より、IL8以外のポリペプチド、特にIL-8様のケモカインタンパク質構造を有す
るポリペプチドへのIL8R1特異的結合を与えることである。ケモカインタンパク
質構造を有するIL8以外のポリペプチドには、例えば、PF4、β−トロンボグロブ
リン、GROα、GROβ、GROγ、IP-10、mig、ENA-78、MIP-1α、MIP-1β、MCP-1/J
E、RANTES、HC-14、C10およびI-309が含まれる。結合ドメインは、この結合ドメ
インの間隔がIL8R1結合を可能にするようにケモカインタンパク質構造に導入さ
れる。
本発明の目的の1つは、IL8R1に対するその結合親和性が増強または減少する
ように改変されたIL8分子を提供することである。
本発明の別の目的は、変化したIL8R1結合ドメインを提供して、IL8R1特異的結
合親和性を調節し得るケモカインタンパク質構造を有するポリペプチドを与える
ことである。IL8の機能的特徴(すなわち、IL8R1への結合)を備えるIL8以外の
ケモカインの例は、GROγタンパク質であり得、その結果得られるキメラはIL8/
GROγポリペプチドである。この変化したドメインは天然のIL8内に作製され得、
または例えばケモカインタンパク質構造を有する別のポリペプチドに導入され得
る。
本発明のさらに別の目的は、本発明の所望されるポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチド、ベクター、およびこのポリヌクレオチドからそのようなポリペ
プチドを生産し得る宿主細胞を提供することを包含する。さらに、本発明のポリ
ペプチドを生産する方法もまた提供される。
さらに、本発明の目的は、標的細胞を本発明のポリペプチドと接触させること
により天然のIL8の生物学的活性を阻害または増加する方法を提供することであ
る。発明の実施態様
本発明者らは、本明細書中において、天然のIL8ポリペプチド内の2つのIL8R1
特異的結合ドメインのアミノ酸配列を同定した。それゆえ、本発明の目的に従い
、1以上のIL8R1特異的結合ドメインを含むポリペプチド、ポリヌクレオチド、
ベクターおよびそれを含む宿主細胞が提供される。ポリペプチドを生産する方法
およびそれらを使用する方法もまた提供される。
より具体的には、現在、天然のIL8は2つのレセプター、特定の細胞タイプ(
例えば、好中球)の表面上のIL8R1およびIL8R2、に結合することが知られている
。これらの結合ドメインのアミノ酸配列は、天然IL8のIL8R1に結合する能力に特
異的に影響する。本明細書中で同定される結合ドメインを他のアミノ酸配列に連
結して、IL8R1に結合し得る天然IL8以外のポリペプチドを構築し得る。好ましく
は、このような他のアミノ酸配列は、ポリペプチドの迅速な分解の阻止に有効で
ある。
好ましくは、これらの結合ドメインは、ケモカインと呼ばれるタンパク質のス
ーパーファミリーのポリペプチドに由来するアミノ酸配列に連結される。従って
、IL8R1結合ドメインを、他のケモカインに由来するフラグメントに連結して、
ケモカインの共通の2次構造を示すポリペプチドを構築し得る。これらの2次構
造を示すポリペプチドは、結合ドメインが、天然IL8に見出されるものと類似の
コンフォメーションをとることを可能にする。このようなケモカインの例には、
PF4、β−トロンボグロブリン、GROα、GROβ、GROγ、IP-10、mig、ENA-78、MI
P-1α、MIP-1β、MCP-1/JE、RANTES、HC-14、C10およびI-309が含まれる。
天然IL8のアミノ酸配列は、例えばアミノ酸残基の置換または欠失により、そ
の結合ドメイン内で変化させて、そのIL8R1結合親和性を増大または減少させ得
る。
本発明のポリペプチドを、2つのクラスに分け得る:
(1)少なくとも1つのIL8R1特異的結合ドメインを含む、天然IL8以外のポリ
ペプチド;および
(2)変化したIL8R1特異的結合ドメインを含むポリペプチド。
本発明のポリペプチドは、ケモカインタンパク質構造を示し得るか、または示し
得ない。本発明のポリペプチドは、天然IL8と比較して類似もしくは増強されたI
L8R1結合親和性を有し、そしてIL8R1に対して天然IL8と競合し得る。また、天然
IL8と比較してIL8R1に対する結合親和性が減少しているポリペプチドは、他のレ
セプターであるIL8R2に対して天然IL8の有効な競合体であり得る。A.定義
本明細書中に定義される用語は、本発明の開示の一部を形成する。
NMRおよびX線結晶学的実験により、ケモカイン類の3次元構造が非常に類似
することが明らかにされており、本明細書中においては「ケモカインタンパク質
構造」という。天然ヒトIL8の構造は解明されており、そしてこれはケモカイン
タンパク質構造のモデルである。この構造はアミノ末端ループ、三本鎖逆平行β
シート(グリークキー)、およびカルボキシ末端αヘリックスを含む。このαヘ
リックスは、βシートの頂部を越えて伸長する。さらに、天然ヒトIL8は、2回
対称軸を有するホモダイマー、βシートの頂部に横たわる一対のαヘリックスを
有する六本鎖βシートを形成する。システインの位置およびβシートのサイズも
また、3次元構造における因子である。
本発明者らは、本明細書中において、特異的IL8R1結合に影響を及ぼす天然IL8
のポリペプチド領域を決定した。本明細書中において本発明者らによって同定さ
れたドメインは、IL8R1結合には特異的に影響を及ぼすがIL8R2結合には影響を及
ぼさないドメインである。これらの領域を「IL8R1特異的結合ドメイン」という
。これらのドメインは、天然IL8のアミノ末端ループおよびβシートの第3鎖に
見出される。これらのドメインはIL8R1とは直接的に相互作用し得ないが、これ
らのドメインがIL8R2アゴニストであるGROγのような他のケモカインに由来する
相同ドメインに置き換えられると、IL8ポリペプチドのIL8R1結合親和性は劇的に
減少し得る。例として天然ヒトIL8の結合ドメインを用いると、IL8R1結合ドメイ
ンのアミノ酸配列は、配列:Ser-Ala-Lys-Glu-Leu-Arg-Cys-Gln-Cys-Ile-Lys-Th
r-Tyr-Ser-Lys-Pro-Phe-His(配列番号1のアミノ酸残基1〜18)を含み;より
好ましくは、このアミノ酸配列は、配列:Glu-Leu-Arg-Cys-Gln-Cys-Ile-Lys-Th
r-Tyr-Ser-Lys-Pro-Phe-His(配列番号1の残基4〜18)を含み;さらにより好
ま
しくは、このアミノ酸配列は、配列:Lys-Thr-Tyr-Ser-Lys(配列番号1の残基1
1〜15)を含む。IL8R1特異的結合ドメインのアミノ酸配列は、配列:Lys-Xaa-Ty
r-Xaa-Lys(配列番号3)も含み得る。これらのアミノ酸配列は、「アミノ末端
」結合ドメインの例である。なぜなら、これらの配列が天然IL8のアミノ末端部
分の配列に基づくからである。
IL8R1結合ドメインのアミノ酸配列の別の例は、配列:Gly-Arg-Glu-Leu-Cys-L
eu-Asp-Pro(配列番号1の残基46〜53)を含み;より好ましくは、このアミノ酸
配列は、配列:Arg-Glu-Leu-Cys-Leu-Asp-Pro(配列番号1の残基47〜53)を含
む。IL8R1特異的結合ドメインのアミノ酸配列は、配列Arg-Glu-Leu-Xaa-Xaa-Xaa
-Pro(配列番号4)を含み得る。これらの配列は、「βシート」結合ドメインの
例である。なぜなら、これらの配列が天然IL8のβシートの配列に基づくからで
ある。
天然ウシIL8、ブタIL8などのその他の天然IL8の結合ドメインが本発明の意図
する範囲内にあり、これは例えば、保存システイン残基による天然IL8に対する
配列アラインメントにより決定し得る。
好ましくは、本発明のポリペプチドは、「IL8R1結合を可能にするポリペプチ
ド内で間隔を置いた」2つのIL8R1特異的結合ドメインを含む。これに関して、
結合ドメインは、ポリペプチドの一次配列内で適切に間隔を置いている。従って
、このポリペプチドが3次元コンフォメーションをとる場合、結合ドメインはこ
のポリペプチドの他の部分および/またはレセプターと効率的に相互作用するよ
うに位置して、IL8R1結合を可能にする。好ましくは、本発明のポリペプチドは
ケモカインタンパク質構造を有して、天然IL8に見出されるこれらのドメインの
3次元配置を模倣する。
IL8R1特異的結合ドメインのアミノ酸配列は、例えば、アミノ酸置換、欠失ま
たは挿入により、IL8R1特異的結合親和性が増大または減少のいずれかをするよ
うに「変化され」得る。あるいは、1以上のアミノ酸配列を挿入、欠失、または
置換して、天然IL8のようなポリペプチドに由来する結合ドメインを短縮するか
、または切り出し得る。IL8R1結合ドメインを天然ヒトIL8から切り出し、GROγ
のようなその他の相同ケモカインの対応領域に由来するアミノ酸配列に置き換え
得
る。IL8R1特異的結合について特に目的とするアミノ酸残基は、天然ヒトIL8(配
列番号1)の残基11(Lys)、13(Tyr)、15(Lys)、47(Arg)、48(Glu)、4
9(Leu)、および53(Pro)であると本明細書中において同定された。これらの
アミノ酸残基は、IL8R1特異的結合親和性を与えるために本発明のポリペプチド
中に維持され、またはIL8R1特異的結合親和性を減少または増強するために変化
されるかまたは欠失される。
ポリペプチドのレセプターへの結合は、しばしば程度の問題である。従って、
当業者によって用いられるように、レセプター結合は通常ポリペプチドの「結合
親和性」によって評価される。結合親和性を決定する手段の1つは、IL8R1対し
て天然IL8と競合するポリペプチドの能力を測定することである。IC50濃度は、
天然IL8の最大レセプター結合の50%を阻害する濃度である;IC50が小さければ小
さいほど、結合親和性は大きい。それゆえ、例えば、そのIC50がバックグランド
またはネガティブコントロールを越える場合、ポリペプチドはIL8R1に結合する
と考えられる。
本発明のポリペプチドを用いて、「IL8レセプター媒介性生物学的応答を調節
」し得る。このような生物学的応答には、例えば、IL8のそのレセプターへの結
合によって引き起こされる細胞活性が含まれる。調節は、本発明のポリペプチド
がIL8R1に対して天然IL8と競合し、そしてこれらの細胞活性の少なくとも1つの
増大もしくは減少を生じる場合に起こる。これらの活性の性質は、生化学的であ
るかまたは生物物理的のいずれかであり得る。例えば、ポリペプチドは、このポ
リペプチドがIL8レセプターに結合するときにIL8と同様のシグナル伝達を刺激し
ない場合、IL8レセプター媒介性応答を調節する。増大または減少は、以下にさ
らに記載する種々のアッセイ(これはまたIL8レセプター分子を対照として用い
る)を用いてモニターし得る。
さらに特定すると、IL8がそのレセプターに結合するときに、生化学的反応の
カスケードが引き起こされる。本明細書中においてこの用語が適用されるように
、本発明のポリペプチドは、これらの反応の任意の1つにおいて増大または減少
を引き起こす場合に、IL8レセプター媒介性応答を調節する。例えば、IL8レセプ
ターは、G−結合タンパク質(G-coupled protein)である。G−結合タンパク
質
は、適正なシグナル伝達活性が生じると、細胞内Ca2+の増大およびホスホリパー
ゼCの活性化を引き起こす。シグナル伝達は、ホスホリパーゼC活性化およびサ
イクリックAMP(cAMP)により増大するイノシトール三リン酸(IP3)およびジア
シルグリセロール(DAG)のレベルを観察することにより測定し得る。従来のア
ッセイを用いて、Ca2+、IP3、およびDAGの細胞内レベルを測定して、IL8レセプ
ター媒介性応答が調節されたかどうかを決定し得る。遊離細胞質ゾルCa2+レベル
を測定するためのアッセイは公知である。
「天然IL8」は、ヒト、ウシ、ブタまたは他の哺乳動物供給源のような、天然
にIL8を産生する供給源から回収される配列と同一アミノ酸配列を有するポリペ
プチドをいう。天然IL8は、種間で長さが変化し得る。天然IL8の例は、配列番号
1に示されるアミノ酸配列を有するヒトIL8である。
本明細書中で用いられる用語「IL8レセプター」は、任意のいくつかの脊椎動
物IL8レセプター、またはIL8に結合し得るそれらのフラグメントをいう。例えば
、ヒトIL8R1およびIL8R2がこの用語に包含される。
用語「ケモカイン」は、細胞が互いにシグナルを送るために用いる拡散性メデ
ィエーターである、天然タンパク質のスーパーファミリーをいう。Millerら、上
記による概説論文がケモカインスーパーファミリーを記載する。ケモカインは、
構造的および機能的に関連する。最近の研究により、これらのタンパク質が、炎
症部位での白血球および他の細胞の動員および活性化において機能し、それゆえ
、重要な炎症メディエーターであるようであることが示されている。構造的には
、これらの分子は、4つの保存システイン残基を示す小分泌タンパク質である。
現在までに、約17の異なるケモカインが記載されている。これらには、血小板
因子4(PF4);β−トロンボグロブリン;NAP-1/IL8;groα、β、およびγ、I
P-10;mig;ENA-78;マクロファージ炎症タンパク質(MIP-1αおよびMIP-1β)
;単球化学誘因タンパク質-1/JE(MCP-1/JE);RANTES;HC-14;C10、およびI-3
09が含まれる。他のケモカインは、既知ケモカインに対するそれらのアミノ酸相
同性ならびに2次タンパク質構造および生物学的活性における既知ケモカインに
対するそれらの類似性により同定され得る。
本発明のポリペプチドの「調節量」は、IL8レセプター産生細胞のIL8レセプタ
ー媒介性生物学的応答を増強または減少させるに必要な量をいう。このような生
物学的応答は、以下に記載のアッセイによってモニターし得る。
本発明のポリペプチドの「阻害量」は、IL8レセプターへのIL8結合を阻害する
に必要な量をいう。IL8結合を完全には消失させないかもしれないが、阻害量の
本発明のポリペプチドの存在下においては非存在下よりもIL8がそのレセプター
に少なく結合する。
変化した、または変化していない結合ドメインまたはポリペプチドの「機能的
特徴」の例には、レセプター結合親和性、生物学的応答を引き起こす能力、シグ
ナル伝達などが含まれる。従って、例えば、キメラが同じレセプター結合親和性
を有する場合、IL8/GROγキメラは同じ機能的特徴を示す。
Aを含有する組成物は、この組成物におけるA+Bの合計の少なくとも85重量
%がAである場合にBを「実質的に含まない」。好ましくは、Aは組成物におけ
るA+Bの合計の少なくとも約90重量%、より好ましくは、少なくとも約95重量
%または99重量%さえを含む。
「プロモーター」は、このプロモーターがコード配列に作動可能に連結してい
る場合にコード配列の転写を開始し、そして調節するDNA配列である。プロモー
ターが本来コード配列に作動可能に連結していない場合には、プロモーターはコ
ード配列に対して「異種」である。対照的に、「天然」または「同種」プロモー
ターは本来コード配列に作動可能に連結している。
「複製起点」は、発現ベクターのようなポリヌクレオチドの複製を開始し、そ
して調節するDNA配列である。複製起点は、それ自身の制御の下で複製し得る、
細胞内のポリヌクレオチド複製の自律性単位として挙動する。特定の複製起点を
用いて、発現ベクターは、細胞内で適切なタンパク質の存在下において、高コピ
ー数で再生され得る。このような起点の例は、2μおよび自律的複製配列(これ
は、酵母において有効である);およびウイルス性T−抗原(COS-7細胞におい
て有効である)である。その他の複製起点が当該分野において公知であり、そし
て適切な宿主において利用され得る。
「発現ベクター」は、コード配列の発現を調節するポリヌクレオチドを含むポ
リヌクレオチドを含むポリヌクレオチドであり、そしてこれは例えば、プロモー
ター、ターミネーターおよび複製起点を含む。
本発明のポリペプチドを産生し得る宿主細胞は、「発現を誘導する条件下」に
おいて培養される。このような条件は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チドの転写および翻訳を可能にする。これらの条件には、培養温度、酸素濃度、
培地組成、pHなどが含まれる。例えば、発現ベクター中にtrpプロモーターが
利用される場合には、培地は、このプロモーターを誘発し、そして発現を誘導す
るために、トリプトファンを欠いている。正確な条件は、宿主細胞によって、お
よび発現ベクターによって変化する。
B.一般的な方法 IL8R1 特異的結合ドメインのアミノ酸配列の決定
本発明者らは、特異的IL8R1結合に影響を及ぼす天然IL8のポリペプチド領域を
決定した。本明細書中で同定されるドメインは、特異的IL8R1結合には影響を及
ぼすがIL8R2結合には影響を及ぼさないドメインである。従って、本発明の1つ
の実施態様において、少なくとも1つのIL8R1結合ドメインを導入し、これによ
りIL8R1へのIL8結合のアンタゴニストを生成することにより、IL8R1に結合する
能力が任意のポリペプチドに与えられる。好ましい実施態様において、本発明の
ポリペプチドは2つの結合ドメインを有する。以下により詳細に説明するように
、一方のドメインはアミノ末端結合ドメインの群から選択され、他方のドメイン
はβシートドメインの群から選択される。
以下のアミノ酸配列は、アミノ末端結合ドメインの例である。この群は、これ
らの配列が天然IL8のアミノ末端部分のアミノ酸配列に基づくため、このように
命名された。天然ヒトIL8の結合ドメインを例として用いると、IL8R1結合ドメイ
ンのアミノ酸配列は、Ser-Ala-Lys-Glu-Leu-Arg-Cys-Gln-Cys-Ile-Lys-Thr-Tyr-
Ser-Lys-Pro-Phe-His(配列番号1のアミノ酸残基1〜18)であり;より好まし
くは、このアミノ酸配列は、Glu-Leu-Arg-Cys-Gln-Cys-Ile-Lys-Thr-Tyr-Ser-Ly
s-Pro-Phe-His(配列番号1の残基4〜18)であり;さらにより好ましくは、こ
のアミノ酸配列は、Lys-Thr-Tyr-Ser-Lys(配列番号1の残基11〜15)である。I
L8R1特異的結合ドメインのアミノ酸配列はまた、Lys-Xaa-Tyr-Xaa-Lys(配列番
号3)であり得、ここでXaaは任意のアミノ酸残基を示す。
IL8R1結合ドメインの別の群は、βシート結合ドメインの群である。これらの
ドメインのアミノ酸配列は、天然IL8のβシートの第3鎖の配列に基づく。この
ようなIL8R1特異的結合ドメインのアミノ酸配列の例は、Gly-Arg-Glu-Leu-Cys-L
eu-Asp-Pro(配列番号1の残基46〜53)であり;より好ましくは、このアミノ酸
配列は、Arg-Glu-Leu-Cys-Leu-Asp-Pro(配列番号1の残基47〜53)である。IL8
R1特異的結合ドメインのアミノ酸配列はまた、Arg-Glu-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Pro(
配列番号4)であり得る。
天然ウシIL8のような他の天然IL8の結合ドメインは、他の天然IL8に対する天
然ヒトIL8の配列アラインメントにより決定し得る。
上記結合ドメインの任意の1つの存在が、特に非IL8ポリペプチドとともに配
置される場合には、レセプター結合に影響を及ぼすに最適ではない程度である必
要があり得る。それゆえ、本発明の好ましい実施態様において、IL8R1結合ドメ
インを含むポリペプチドは、IL8R1特異的結合ドメインが天然IL8における配置に
類似する配置をとり得るようにケモカインタンパク質構造を有する。一旦その結
合ドメインの一次配列が本発明のポリペプチドにおいて用いられることが決定す
ると、本発明の1つの実施態様において、そのドメインはポリペプチド内でIL8R
1結合を可能にするように間隔を置かれる。
ケモカインタンパク質構造を示し、そして1以上のIL8R1特異的結合ドメイン
を含むポリペプチドは以下の式で例示され得る:
A−B−C;
ここで、BはIL8R1特異的結合ドメインを表す。任意に、Bは、式−b1−X−b2
−(ここで、b1およびb2は各々IL8R1特異的結合ドメインを表し、そしてXは1
以上のアミノ酸残基を表す)で表されるような、1を超えるIL8R1特異的結合ド
メインを含む配列を表し得る。好ましくは、上に開示されるように、b1のアミ
ノ酸配列はアミノ末端結合ドメインの群から選択され、b2のアミノ酸配列はβ
シート結合ドメインの群から選択される。また、好ましくは、A−B−Cは一緒
にケモカインの2次構造特徴を示す。
ケモカインタンパク質構造を示す本発明のポリペプチドは、他のケモカインス
ーパーファミリーのメンバーと正しく整列された場合、4つの保存システイン残
基を含む。ケモカインは、代表的な配列アラインメントプログラムを用いて整列
され得る。ケモカイン類のアラインメントの例は、Millerら、Crit Rev Immun 1 2(1,2)
:17-46(1992)に示されている。この保存システインは、ケモカインタン
パク質構造の形成を補助するジスルフィド結合を形成する。それゆえ、ケモカイ
ンタンパク質構造を示す本発明のポリペプチドは、好ましくは、ループを含むア
ミノ末端部分;グリークキーの形態の三本鎖βシート;およびこのβシート上に
横たわるC末端αヘリックスを含む。
本発明のポリペプチドの三本鎖βシートは、好ましくは、ケモカインにおいて
見出される三本鎖βシートに類似するサイズである。例えば、βシートの鎖は長
さが約12〜3アミノ酸残基であり;より好ましくは、約10〜3アミノ酸残基であ
り;最も好ましくは、7〜3アミノ酸残基である。βシートIL8R1特異的ドメイ
ンのアミノ酸配列は、好ましくは、この2次構造中に組み込まれ;より好ましく
は、このドメインの配列はβシートの第3鎖中に位置する。
ケモカインタンパク質構造を有する本発明のポリペプチドのC末端αヘリック
スは、βシート上に横たわる。このαヘリックスの長さは重要ではなく、そして
βシートの端部から突出し得るか、または突出し得ない。通常には、αヘリック
スの長さは約9〜25残基であり;より通常には約12〜22であり;さらにより通常
には、15〜約19残基である。代表的には、αヘリックスは、正または負に荷電し
得る両親媒性ヘリックスである。大部分のケモカインヘリックスは正に荷電して
いる。ヘリックスの電荷は、類似のまたは類似でない生物学的活性が所望される
かに依存して選択され得る。
アミノ末端部分は、特別な構造は保持しないテールおよびループを含む。好ま
しくは、アミノ末端IL8R1結合ドメインのアミノ酸配列は、このループ部分に組
み込まれる。テールおよびループを含む全体部分は、約25〜14アミノ酸残基であ
り;より好ましくは、約22〜約18アミノ酸残基てある。ループは約15〜約6アミ
ノ酸残基;より好ましくは、約12〜約8アミノ酸残基を含む。さらに、好ましく
は、アミノ末端部分のテールはアミノ酸配列Glu-Leu-Arg配列を含む。この配列
はIL8レセプター結合については非特異的な配列である。
さらに、本明細書中において意図される本発明のポリペプチドは、IL8R1結合
には特異的でないが、非特異的である配列を含み得る。Glu-Leu-Argのようなこ
れらの配列は、いすれかのIL8レセプターの結合に影響を及ぼし得る。
より具体的には、キメラケモカインの構築が、IL8R1結合を可能にするように
適切に結合ドメインを有する本発明のポリペプチドを構築する手段の1つである
。例えば、IL8R1特異的結合ドメインを、このドメインをGROγポリペプチド中の
相同領域と置換することにより、IL8R1結合を可能にするように間隔を置いて配
置し得る。あるいは、GROγのC末端αヘリックスを天然ヒトIL8ポリペプチドに
置換し得る。それゆえ、結合ドメインはそれら天然の配置を保持する。そのよう
な実施態様において、ポリペプチドは、GROγαヘリックスの存在により非天然I
L8生物学的活性を示し得る。従って、本発明の1つの実施態様において、IL8R1
の結合ドメインを、対応する天然ケモカイン配列を置換するように、ケモカイン
タンパク質構造を有するポリペプチド中に配置し得る。従って、ケモカインタン
パク質構造を維持しながら、このポリペプチドにIL8R1結合活性を与える。
別の実施態様においては、いかなる配列をも除去することなく、IL8R1結合ド
メインをポリペプチドに挿入することが望ましくあり得る。変化されるべきポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を変化させることによるアミノ酸残
基の挿入、欠失および置換のため技術は、当該分野において一般的である。
さらに、ケモカインのアミノ酸配列のフラグメントを一緒に組み立てて、本発
明のポリペプチドを構築し得る。例えば、本発明のポリペプチドは、天然ヒトIL
8のアミノ末端、NAP-2のβシート構造の最初の2つの鎖、IL8のβシートの第3
鎖、およびGROβのαヘリックスのアミノ酸配列を有し得る。本発明のポリペプ
チドの構築に利用されるべきアミノ酸配列は、所望の2次構造特徴を示すために
ケモカインにおいて見出される配列と同一である必要はない。例えば、アミノ酸
配列は、ケモカインに見出される配列の変異体または融合体であり得る。
ケモカインの変異体は、それらの保存アミノ酸置換を作製することにより構築
し得る。以下は保存置換の例である:Gly⇔Ala;Val⇔Ile⇔Leu;Asp⇔Glu;Lys
⇔Arg;Asn⇔Gln;およびPhe⇔Trp⇔Tyr。また、ケモカインタンパク質構造が維
持されるのであれは、ケモカインのアミノ酸配列に対する挿入および欠失を作製
し得る。
本発明のポリペプチドに対するアミノ酸配列の選択はまた、機能的特徴を与え
るそれらの能力について選択され得る。例えば、GROγのαヘリックス配列を、G
ROγの生物学的活性を本発明のポリペプチドに与えるように選択し得る。さらに
、この生物学的活性を減少または増強するように本発明のポリペプチドの配列を
変化させ得ることが意図される。例えば、IL8R1シグナル伝達を引き起こすその
能力を減少するように、IL8R1特異的結合を示すGROγ/IL8キメラのアミノ酸配列
を変化させ得る。
IL8R1に対する本発明のポリペプチドの結合親和性を増大もしくは減少するよ
うに、結合ドメインを変化させ得る。変化した結合親和性を有するそのようなポ
リペプチドは、所望のように、IL8のアゴニストまたはアンタゴニストとして用
い得る。結合ドメインの変異体は、例えば、IL8R1に対するポリペプチドの結合
親和性を維持、増強、または減少させるアミノ酸置換を作製することにより構築
し得る。その他の変化した結合ドメインを、ポリペプチドの結合親和性を変化さ
せるように、変化されていない結合ドメインのアミノ酸配列に残基の欠失または
挿入を行うことにより作製し得る。さらなるアミノ酸残基をN末端またはC末端
に組み込み得る。特に、結合ドメインのアミノ酸残基のいくつかまたは全てを切
り出して、本発明のポリペプチドの結合親和性を減少させ得る。
IL8R1特異的結合について特に目的とするアミノ酸残基を、以下の結合ドメイ
ンにおいて強調する:
これらの強調されたアミノ酸残基は、配列番号1の残基11、13、15、47、48、49
および53に相当する。好ましくは、結合ドメイン中のこれらのアミノ酸残基は、
このドメインの結合親和性を増強または減少させるように、別のアミノ酸残基で
の置換、欠失または挿入により変化される。ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、発現ベクター、および宿主細胞の 構築
一旦本発明のポリペプチドのアミノ酸配列が決定されれば、このポリペプチド
をコードするポリヌクレオチドを構築し得る。このポリヌクレオチド配列は、公
知のライブラリーから単離し得る。適切な配列を一緒に連結してコード配列を生
成し得る。公知のリンカーまたは制限部位を用いて、種々のフラグメントを構築
し得る。これらの配列を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または部位特異的変異
誘発を用いて変化させ得る。あるいは、ポリヌクレオチド配列を、市販の合成機
を用いて合成し得る。
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて、このポリペプ
チドを産生するための発現ベクターを構築し得る。少なくとも、発現ベクターは
、宿主細胞において作動可能であり、そして本発明のポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチドに作動可能に連結されるプロモーターを含む。発現ベクターは
ま
た、シグナル配列、ターミネーター、選択マーカー、複製起点、および宿主ゲノ
ム内への組み込みの目的ための宿主細胞配列と相同な配列を含み得る。これらの
さらなるエレメントは任意であるが、発現を最適化するために含まれ得る。
プロモーターは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対し
て上流または5'側のDNA配列である。プロモーターは、所望の宿主細胞において
コード配列の発現を開始し、そして調節する。発現を開始するため、プロモータ
ー配列はRNAポリメラーゼを結合し、そしてコード配列(例えば、構造遺伝子)
のmRNAへの下流(3')転写を開始する。プロモーターはまた、転写を増強、特異
的に誘導、または抑制することにより発現速度を調節するDNA配列を有し得る。
これらの配列は、発現を開始する配列と重複し得る。大部分の宿主細胞系は、プ
ロモーター配列内に調節配列を含む。例えば、リプレッサータンパク質がlacオ
ペロン(E.coli調節プロモーター配列)に結合すると、下流遺伝子の転写が阻
害される。別の例は、酵母アルコールデヒドロゲナーゼプロモーターである。こ
れは、容易に利用可能な供給源のグルコースの非存在下において発現を調節する
上流アクチベーター配列(UAS)を有する。さらに、いくつかのウイルス性エン
ハンサーは、哺乳動物細胞における発現を増幅するだけではなく調節もする。こ
れらのエンハンサーを哺乳動物プロモーター配列に組み込み得、そしてこのプロ
モーターはホルモンまたは酵素基質のようなインデューサーの存在下においての
み活性になる(Sassone-CorsiおよびBorelli(1986)Trends Genet .2:215;Ma
niatisら、(1987)Science 236:1237)。
機能的非天然プロモーター(例えば、異なるプロモーターのコンセンサス配列
に基づく合成プロモーター)もまた使用し得る。また、有効なプロモーターは、
異種発現開始領域と連結された調節領域を含み得る。ハイブリッドプロモーター
の例は、E.coli tac転写活性化領域に連結されたE.coli lacオペレーター;酵
母グリセルアルデヒド−3−ホスフェート−デヒドロゲナーゼ(GAPDH)転写活
性化領域に連結した酵母アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)調節配列(米国特
許第4,876,197号および4,880,734号、これらは本明細書中に参考として援用され
る);およびSV40(シミアンウイルス)プロモーターに連結されたサイトメガロ
ウイルス(CMV)エンハンサーである。
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、リーディングフ
レーム内でシグナル配列に連結され得る。このシグナル配列フラグメントは、代
表的には、本発明のポリペプチドを細胞膜に指向させる疎水性アミノ酸からなる
ペプチドをコードする。好ましくは、インビボまたはインビトロのいずれかにお
いて切断され得る、リーダーフラグメントと遺伝子またはそのフラグメントとの
間にコードされるプロセシング部位が存在する。適切なシグナル配列をコードす
るDNAは、酵母インベルターゼ遺伝子(欧州特許第12 873号;日本国特許第62,09
6,086号)、A因子遺伝子(米国特許第4,588,684号)、インターフェロンシグナ
ル配列(欧州特許第60 057号)のような分泌内因性宿主細胞タンパク質の遺伝子
に由来し得る。
酵母発現のための分泌リーダーの好ましいクラスは、「プレ」シグナル配列お
よび「プロ」領域の両者を含む、酵母α因子遺伝子のフラグメントを用いるもの
である。使用し得るα因子フラグメントのタイプには、完全長プレ−プロα因子
リーダー(約83アミノ酸残基)および短縮型α因子リーダー(代表的には約25〜
約50アミノ酸残基)が含まれる(米国特許第4,546,083号および第4,870,008号、
これらは本明細書中に参考として援用される;欧州特許第324 274号)。分泌を
もたらすα因子リーダーフラグメントを用いるさらなるリーダーには、第2の酵
母α因子に由来するプロ領域ではなく第1の酵母シグナル配列のプレ配列を用い
て作製されるハイブリッドα因子リーダーが含まれる(例えば、PCT WO89/02463
号を参照のこと)。
代表的には、ターミネーターは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌク
レオチドの終止コドンの3'側または下流側に位置する、ポリアデニル化配列およ
び転写終結配列のような調節配列である。通常には、天然宿主細胞タンパク質の
ターミネーターは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの3'側
に結合される場合に作動可能である。例は、Saccharomyces cerevisiaeα因子タ
ーミネーターおよびバキュロウイルスターミネーターである。さらに、ウイルス
性ターミネーターも特定の宿主細胞内で作動可能である;例えば、SV40ターミネ
ーターはCHO細胞内で機能する。
便利のために、選択マーカー、複製起点、および相同的宿主細胞配列を、任意
に、発現ベクター内に含め得る。選択マーカーを用いて、発現ベクターを潜在的
に含む宿主細胞についてスクリーニングし得る。このようなマーカーは、宿主細
胞に、アンピシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、ネオマイシン
、およびテトラサイクリンのような薬剤に対する免疫を与え得る。また、マーカ
ーは、ヒスチジン、トリプトファン、およびロイシン経路におけるもののような
生合成遺伝子であり得る。従って、例えば、培地にロイシンが存在しない場合に
は、ロイシン経路における生合成遺伝子を有する細胞のみが生存する。
複製起点が、本明細書中における発現ベクターが宿主細胞において複製するた
めに必要であり得る。特定の複製起点は、発現ベクターを、細胞内で適切なタン
パク質の存在下において、高コピー数で再生することを可能にする。本明細書中
において使用し得る起点の例は、2μおよび自律的複製配列(これは、酵母にお
いて有効である);およびウイルス性T抗原(COS-7細胞において有効である)
である。
本明細書中における発現ベクターは、宿主細胞ゲノムに組み込まれ得るか、ま
たは細胞内で自律的のままであり得る。宿主細胞ゲノム内の配列に相同なポリヌ
クレオチド配列は、発現ベクター内において、発現カセットを組み込むために必
要となり得る。あるいは、相同配列は、発現ベクターに連結され得ない。例えば
、発現ベクターは、連結されていないジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子を介して
CHOゲノムに組み込まれ得る。酵母においては、相同配列が発現カセットに隣接
する場合、より有利である。特に有用な相同性酵母ゲノム配列は、PCT WO90/018
00号に開示される相同性酵母ゲノム配列、およびGenbank、アクセッション番号J
O1331に記載されるHIS4遺伝子配列である。
プロモーター、ターミネーター、およびその他の任意の発現ベクターのエレメ
ントの選択は、選択される宿主細胞にも依存する。本発明は、選択される宿主細
胞には依存しない。便宜性およびタンパク質発現レベルは、至適な宿主細胞を指
定する。本明細書中における発現のための種々の宿主が、当該分野において公知
てあり、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から入手可能である
。本発明のポリペプチドの発現に適切な細菌宿主には、Campylobacter、Bacillu
s、Escherichia、Lactobacillus、Pseudomonas、Staphylococcus、およびStrept
oco
ccusが包含されるがこれらに制限されない。以下の属由来の酵母宿主を利用し得
る:Candida、Hansenula、Kluyveromyces、Pichia、Saccharomyces、Schizosacc
haromyces、およびYarrowia。本明細書中において使用し得る不死化哺乳動物宿
主細胞には、CHO細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓
細胞(COS)、ヒト肝細胞ガン細胞(例えば、Hep G2)、およびその他の細胞株
が包含されるが、これらに限定されない。多数の昆虫細胞宿主もまた、異種タン
パク質の発現のために利用可能である:Aedes aegypti、Bombyx mori、Drosophi
la melanogaster、およびSpodoptera frugiperda。これらはPCT WO89/046699号
;Carbonellら、(1985)J.Virol .56:153;Wright(1986)Nature 321:718;
Smithら、(1983)Mol .Cell Biol.3:2156に記載される。そして一般には、Fr
aserら、(1989)in vitro Cell Dev.Biol .25:225を参照のこと。形質転換
ベクター構築の後、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを有
する発現ベクターを、宿主細胞に挿入する。発現ベクターを細菌、酵母、昆虫、
および哺乳動物細胞に挿入するための、多数の形質転換技術が当該分野に存在す
る。発現ベクターを導入する形質転換手順は形質転換されるべき宿主に依存する
。
例えば、外因性DNAを細菌宿主に導入する方法は当該分野において周知であり
、代表的には、プロトコルは、CaCl2またはその他の薬剤(例えば、二価カチオ
ンおよびDMSO)での細菌を処理する工程のいずれかを包含する。DNAはまた、エ
レクトロポレーションまたはウイルス感染によって細菌細胞に導入し得る。例え
ば、以下に記載されるように、形質転換手順は、通常、形質転換されるべき細菌
種に応じて変化する(Massonら、(1989)FEMS Microbiol.Lett .60:273;Palv
aら、(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:5582;欧州特許公開第036 259号およ
び第063 953号;PCT WO 84/04541号、Bacillus)、(Millerら、(1988)Proc.N atl.Acad.Sci .85
:856;Wangら、(1990)J.Bacteriol .172:949、Campylobac
ter)、(Cohenら、(1973)Proc.Natl.Acad.Sci .69:2110;Dowerら、(1988
)Nucleic Acids Res .16:6127;Kushner(1978)「ColE1由来プラスミドを用い
るEsherichia coliの形質転換のための改良方法」Genetic Engineering: Proceed ings of t
he International Symposium on Genetic Engineering
(H.W.BoyerおよびS.Nico
sia編);Mandelら、(1970)J.Mol.Biol .53:159;Taketo(1988)Biochim.Biop hys.Acta 949
:318;Escherichia)、(Chassyら、(1987)FEMS Microbiol.Let t .44
:173、Lactobacillus)、(Fiedlerら、(1988)Anal.Biochem 170:38、
Pseudomonas);(Augustinら、(1990)FEMS Microbiol.Lett .66:203、Staph
ylococcus)、(Baranyら、(1980)J.Bacteriol .144:698;Harlander(1987
)「エレクトロポレーションによるStreptococcus lactisの形質転換、Streptoco ccal Genetics
(J.FerrettiおよびR.Curtiss III編);Perryら、(1981)Infe c.Immun .32
:1295;Powellら、(1988)Appl.Environ.Microbiol .54:655;So
mkutiら、(1987)Proc.4th Evr.Cong.Biotechnology 1:412、Streptococcus)
。
酵母宿主のための形質転換方法も当該分野において周知であり、そして代表的
には、スフェロプラストの形質転換またはアルカリカチオンで処理したインタク
トな酵母細胞の形質転換のいずれかを含む。エレクトロポレーションは酵母宿主
を形質転換するための別の手段である。これらの方法は、例えば、Methods in E nzymology
、第194巻,1991,“Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology
”に記載されている。形質転換手順は、通常、形質転換されるべき酵母種に応じ
て変化する。例えば、Canndidaについては、Kurtzら、(1986)Mol.Cell Biol . 6
:142およびKunzeら、(1985)J.Basic Microbiol .25:141;Hansenulaについ
ては、Gleesonら、(1986)J.Gen.Microbiol .132:3459およびRoggenkampら、(
1986)Mol.Gen.Genet .202:302;Kluyveromycesについては、Dasら、(1984)J. Bacteriol.
158:1165、およびDe Louvencourtら、(1983)J.Bacteriol .154:
1165、Van den Bergら、(1990)Bio/Technology 8:135;Pichiaについては、C
reggら、(1985)Mol.Cell Biol .5:3376およびKunzeら、(1985)J.Basic Mic robiol .25
:141、ならびに米国特許第4,837,148号および第4,929,555号;Sacch
aromycesについては、Hinnenら、(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1929、
およびItoら、(1983)J.Bacteriol .153:163;Schizosaccharomycesについて
は、BeachおよびNurse(1981)Nature 300:706;およびYarrowiaについては、D
avidowら、(1985)Curr.Genet .10:39、およびGaillardin ら、(1985)Curr.Ge net .10
:49。
異種ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に導入するための方法は当該分野におい
て公知であり、そしてウイルス感染、デキストラン媒介性トランスフェクション
、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラ
スト融合、エレクトロポレーション、ポリヌクレオチドのリポソーム内封入、お
よび核へのDNAの直接マイクロインジェクションが包含される。
本明細書中における組換え体の発現のための昆虫細胞を形質転換するための発
現ベクターの構築方法は、細菌発現ベクター、酵母発現ベクター、または哺乳動
物発現ベクターの構築に一般的に適用され得る方法とはいくぶん異なる。本発明
の1つの実施態様においては、バキュロウイルスベクターが、当該分野において
公知の技術に従って構築される。これは、例えば、Kittsら、BioTechniques 14
:810-817(1993)、Smithら、Mol.Cell Biol .3:2156(1983)、およびLuckowおよ
びSummer,Virol .17:31(1989)に記載される。本発明の1つの実施態様におい
ては、バキュロウイルス発現ベクターが、SummersおよびSmith,Texas Agricult
ural Experiment Station Bulletin第1555号(1987)に実質的に従って構築される
。さらに、バキュロウイルス/昆虫細胞発現系の材料および方法は、キット形態
で
また、異種DNAを昆虫宿主細胞に導入する方法も当該分野において公知であ
る。例えば、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むウイル
スで昆虫細胞を感染させ得る。このウイルスが感染細胞内で複製されると、本発
明のポリペプチドは、適切なプロモーターに作動可能に連結している場合に、発
現する。種々の適切な昆虫細胞およびウイルスが公知であり、限定されることな
く以下のが包含される。
昆虫綱の任意の目の昆虫細胞が、本発明の培地において増殖し得る。双翅目お
よび鱗翅目が好ましい。昆虫種の例は、Weissら、「バキュロウイルスの大規模
増殖のための細胞培養方法」Granadosら、(編)、The Biology of Baculovitus es: 第II巻 Practical Application for Insect Control
,63-87頁、64頁におい
て(1987)に列挙されている。本明細書中で使用され得る以下の昆虫に由来する昆
虫細胞株が代表的である:
好ましい昆虫細胞株はSpodoptera frugiperdaに由来し、特に好ましい昆虫細胞
株は細胞Sf9株である。Sf9細胞株を本明細書中において使用し得、Max D.Summer
s(Texas A & M University,College Station,Texas,77843,U.S.A.)から得ら
れ得る。IPL-Sf-21AE IIIのようなその他のS.frugiperda細胞株が、Vaughnら、in vitro 13
:213-217(1977)に記載されている。
本発明の昆虫細胞株は、パルボウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイル
スおよびラブドウイルス(rhabdcovirus)のような多数の昆虫病原性ウイルスの
再生に適切であり、このうち、バキュロウイルス群の核多角病ウイルス(NPV)
およびグラニュローシスウイルス(GV)が好ましい。Autographa spp.、Spodop
tera spp.、Trichoplusia spp.、Rachiplusia spp.、Gallerai spp.、およ
びLymantria spp.に由来するNPVウイルスのようなNPVウイルスがさらに好まし
い。Smithら、J.Virol 30:828-838(1979);Smithら、J.Virol 33:311-319(198
0)およびSmithら、Virol 89:517-527(1978)により特徴付けられ、そして記載さ
れる、バキュロウイルス株Autographa californica NPV(AcNPV)、Rachiplusia
ou NPV、Galleria mellonella NPV、およびAcNPVの任意のプラーク精製株(例
えば、E2、R9、S1、)がより好ましい。
代表的には、昆虫細胞Spodoptera frugiperda9型(SF9)を、本発明のポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドを含むバキュロウイルス株Autographa cal
ifornica NPV(AcNPV)で感染させる。このようなバキュロウイルスは、コード
配列およびバキュロウイルス配列を有するトランスファーベクターとゲノムバキ
ュロウイルスDNAとの相同組換えにより生成される。好ましくは、このゲノムバ
キュロウイルスDNAは直線化されており、機能不全性必須遺伝子を含む。好まし
くは、トランスファーベクターは、機能不全性遺伝子の回復にために必要なヌク
レオチド配列および本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動
可能に連結されるバキュロウイルス多角体プロモーターおよびターミネーターを
含む。Kittsら、BioTechniques 14(5):810-817(1993)を参照のこと。
トランスファーベクターおよび直線化バキュロウイルスゲノムを、SF9昆虫細
胞にトランスフェクトし、そしておそらく本発明のポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチドを含むウイルスを生じる。機能的必須遺伝子なしでは、バキュロ
ウイルスゲノムは生存性ウイルスを産生し得ない。従って、トランスフェクショ
ン由来の生存性ウイルスは、トランスファーベクター由来の本発明のポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドおよび必要とされる必須遺伝子配列をおそらく
含む。さらに、感染細胞中での閉塞体(occlision body)の欠如が、本発明のポ
リペプチドをコードするポリヌクレオチドがバキュロウイルスゲノムに組み込ま
れたことの別の証拠である。
必須遺伝子および多角体遺伝子は、バキュロウイルスゲノム内で互いに隣接し
ている。トランスファーベクター内のコード配列は、その5'で必須遺伝子配列お
よび多角体プロモーターと、ならびにその3'で多角体ターミネーターと隣接する
。従って、所望の組換え事象が起きると、本発明のポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチドが、バキュロウイルス多角体遺伝子を置換する。多角体遺伝子を
含まないこのようなバキュロウイルスは、昆虫細胞中で閉塞体を産生しない。も
ちろん、コード配列がバキュロウイルスゲノムに組み込まれたかどうかを決定す
るための別の手段は、組換えバキュロウイルスゲノムDNAを配列決定することで
ある。あるいは、組換えバキュロウイルスで感染された細胞による本発明のポリ
ペプチドの発現が別の証明手段である。ポリペプチドの単離
本発明のポリペプチドの物理学的特性に基づいて、本発明のポリペプチドを精
製するために周知の方法を選択し得る。そのような物理学的特性には、疎水性、
等電点、サイズ、溶解性、抗原性などが含まれる。具体的には、天然IL8は同一
のサブユニットのダイマーとして見出される。
分離技術を便宜性および最適化について選択し得る。本発明のポリペプチドを
所望の純度まで精製するために、単一の方法で十分であり得、または技術の組み
合わせが必要とされ得る。選択される分離技術は本発明にとって重要ではない。
多くの技術が利用可能である。例えば、以下はサイズを区別する分離技術である
:透析、限外濾過、ゲル濾過、およびSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動。イ
オン交換クロマトグラフィーは、異なる電気的荷電成分を分離する。本発明のポ
リペプチドに対する抗体もまたアフィニティークロマトグラフィーにおいて使用
されて、抗原的に類似しないタンパク質からの所望のポリペプチドを分離し得る
。逆相高速液体クロマトグラフィーは、疎水性の相違に基づく分離方法である。アッセイ
i.レセプター結合アッセイ
本明細書中におけるレセプター結合アッセイは、IL8R1またはIL8R2レセプター
を本来生成する細胞(例えば、ヒト好中球)を利用し得る。あるいは、IL8R1ま
たはIL8R2のいずれかをコードするポリヌクレオチドを細胞に導入して、所望の
レセプターを生成させ得る。アッセイのために、細胞全体または膜のいずれかを
使用して、レセプター結合を決定し得る。代表的には、レセプター結合のアッセ
イは、本発明のポリペプチドがIL8R1への結合について放射性天然IL8と競合し得
るかどうかを決定することにより行われる。測定される放射能が少なければ少な
いほど少ない天然IL8がレセプターに結合する。
ii.生物学的活性アッセイ
シグナル伝達アッセイ
本発明のポリペプチドの生物学的活性を測定する手段の1つは、シグナル伝達
アッセイによる。代表的なシグナル伝達アッセイは、以下により詳細に記載する
ように、Ca2+、IP3、およびDAGレベルを測定する。
ほとんどの細胞性Ca2+イオンは、ミトコンドリア、小胞体、および他の細胞質
小胞に封入されているが、IL8R1への本発明のポリペプチドの結合は、細胞質中
の遊離Ca2+イオンの増加を引き起こす。fura-2のような蛍光色素を用いて、遊離
Ca2+の濃度をモニターし得る。fura-2のエステルを、IL8R1またはIL8R2レセプタ
ーポリペプチドを発現する宿主細胞の培養培地に添加する。fura-2のエステルは
親脂性であり、膜を横切って拡散する。一旦細胞内部に入ると、fura-2エステル
は細胞質ゾルエステラーゼによってその非親脂性形態に加水分解され、次いでこ
の色素は細胞外に拡散し得ない。fura-2の非親脂性形態は、IL8レセプターへの
リガンドの結合の後に放出される遊離Ca2+イオンにそれが結合すると蛍光を放つ
。この蛍光は、細胞を溶解することなく、340nmまたは380nmの励起スペクトルお
よび500nmの蛍光スペクトルで測定し得る。Sakuraiらの欧州特許第480 381号お
よびAdachiら、FEBS Lett 311(2):179-183(1992)が、遊離細胞内Ca2+濃度を測
定するアッセイの例のいくつかを記載する。
ホスファチジルイノシトール4,5-ビスホスフェートの加水分解が、遊離細胞質
ゾルCa2+濃度の上昇に先行する。このリン脂質の原形質膜酵素であるホスホリパ
ーゼCによる加水分解は、1,2-ジアシルグリセロール(DAG)(これは膜中に留
まる)および水溶性イノシトール1、4、5−三リン酸(IP3)を生じる。IL8またはI
L8のアゴニストの結合によりDAGおよびIP3の濃度が上昇する。従って、シグナル
伝達活性は、これらの加水分解生成物の濃度をモニターすることにより測定され
得る。
IP3濃度を測定するために、放射性標識3H-イノシトールを、IL8R1またはIL8R2
を発現する宿主細胞の培地に添加する。この3H-イノシトールは細胞に取り込ま
れ、そしてこの細胞を本発明のポリペプチドで刺激した後、生じるイノシトール
三リン酸を一または二リン酸塩形態から分離して測定する。Sakuraiら、欧州特
許第480 381号が、イノシトール三リン酸レベルを測定する1つの例を記載して
いる。あるいは、Amershamが、イノシトール1,4,5-三リン酸アッセイシステムを
提供する。このシステムと共に、Amershamは、トリチル化イノシトール1,4,5-三
リン酸および放射性イノシトールをその他のイノシトールリン酸と区別し得るレ
セプターを提供する。これらの試薬を用いて、イノシトール三リン酸レベルを決
定するための有効かつ正確な競合アッセイを実施し得る。
ミエロペルオキシダーゼアッセイ
ミエロペルオキシダーゼ(MPO)アッセイは、IL8R1媒介性生物学的活性の生物
学的活性を測定するための別の方法の例である。生物学的に活性なMIP-2ポリペ
プチドは、好中球の脱顆粒(degranulation)を刺激し得る。脱顆粒の間、MPOが
放出され、そしてこれをSuzukiら、Anal Biochem 132:345-352(1983)に記載さ
れる手順に従って測定し得る。
走化性アッセイ
好中球の走化性は、本明細書中において測定し得る別のIL8R1媒介性生物学的
活性である。このアッセイは、本質的にDeForgeら、J Immunol 148:2133-2141
(1992)に記載されるように、蛍光標識した好中球に対して実施し得る。C.実施例
以下に示す実施例は、当業者に対するさらなる手引きとして提供され、いかな
る意味においても本発明を限定すると解釈されない。実施例1: IL8変異体−βシート結合ドメインの変化
ポリペプチド:
以下に示されるポリペプチドのアミノ酸配列は、以下を除いて、配列番号1に
見出されるとおりである:
宿主細胞: 酵母:Saccharomyces cerevisaeまたは
細菌:E.coli
ポリペプチド単離:
本発明のポリペプチドの精製のためのプロトコルを以下に記載する。
オン交換樹脂スラリーを作製する。pHを5.5に調整した30〜50mLの酵母上清を、5
0mLプラスチックスクリューキャップチューブにロードし、そして400μLの樹脂
スラリーを添加する。チューブを4℃で一晩振とう(rock)する。チューブを、
3,000rpmで、4℃で20分間遠心する。上清、未結合物質を注ぎ出す。
この樹脂を洗浄するために、樹脂ペレットを1.5mL Eppendorfチューブに移す
。
約1mLの50mM酢酸ナトリウムpH5.4で50mLチューブを洗い流す。Eppendorfチュー
ブを2,000rpmで10分間遠心する。上清を除去する。約1mLの50mM酢酸ナトリウム
をチューブに添加する。チューブをボルテックスしてペレットを再懸濁する。洗
浄工程を繰り返す。
本発明のポリペプチドを溶出するため、100μLの50mM HEPES pH8.3、1.0M NaC
lを添加する。チューブを4℃で20分間振とうする。チューブを2,00rpmで10分間
遠心する。上清を、1.0M NaClと表示したEppendorfに取り出す。溶出工程を繰り
返す。
レセプター結合アッセイ:
以下は本発明のポリペプチドの結合親和性を試験するための方法である。
125I-IL8との競合により測定される、本発明のポリペプチドのIL8R2レセプタ
ーに結合する能力を試験する。
Murphyら、Science 253:1280(1991)およびHolmesら、Science 253:1278(199
1)に記載されるように、レセプターをコードするDNAを、公表された配列に基づ
くオリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCRにより、ヒトゲノムDNAから単離し
た。DG44、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、サイトメガロウイルス
即時性プロモーターおよびエンハンサーの制御下のIL8R1またはIL8R2cDNAのいず
れかでトランスフェクトした。標準的なリン酸カルシウムプロトコルを用いた。
発現ベクターは、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子を含んだ。従って、細胞をヒ
ポキサンチンおよびチミジン欠乏培地において選択した。レセプターを発現する
クローンを、抗ペプチド抗体を用いる蛍光標識およびIL-8結合アッセイにより同
定した。
培養レセプター発現細胞は、レセプター結合アッセイのために、96ウエル Re
mova Wellプレートにおいて、コンフルエントとした。細胞を、50%ダルベッコ
改変イーグル培地(DMEM);50%Ham F12、ヒポキサンチン、チミジン、10%
透析ウシ胎児血清(dFCS)中に、cm2当たり1〜2×105細胞でプレーティングす
る。次に、この細胞単層を、室温で3時間、0.2nMの125I-IL-8および所望濃度の
本発明のポリペプチドを含有する0.2mLのHepes-BSA結合緩衝液と共にインキュ
ベートする。結合緩衝液:25mM Hepes、pH7.0;150mM NaCl;5mM CaCl2;5mM MgC
l2;1mg/mL BSA。非特異的結合を、1μg/mLの非標識IL−8の存在下にで測定
する。細胞をHepes-BSA結合緩衝液で一度洗浄する。ガンマカウンターを用いて
結合した125I-IL-8を測定する。
好中球走化性アッセイ:
好中球の走化性を誘導する本発明のポリペプチドの能力を試験する。アッセイ
は、本質的にDeForgeら、J Immunol 148:2133-2141(1992)に記載されているとお
りである。
このアッセイのために、Cardinal Associates、Santa Fe、New Mexicoによっ
て製造されるNeutrophil Isolation Media(NIM)を用いて、全血から好中球を新
鮮に単離する。細胞を、本質的にCardinal Associatesによって記載されるよう
に単離する。17mLのNIMおよび30mLの血液を50mLチューブに添加する。チューブ
を、500gで、室温で50分間遠心する。氷冷水中での溶解により混入する赤血球を
除去する。
精製好中球を、Molecular Probes、Eugene、Oregonによって製造される2',7'-ビ
ス-(2-カルボキシエチル)-5(および-6)-カルボキシフルオレセイン、アセトキシ
メチルエステルとのインキュベーションにより標識する。手順は、DeForgeら、J Immunol 148
:2133-2141(1992)に記載されるとおりである。好中球を、カルシ
ウムおよびマグネシウム非含有PBS、0.1%BSAに2-×106細胞/mLで懸濁する。上
記細胞に標識を最終濃度2μMで添加する。細胞を37℃で30分間インキュベート
する。この標識好中球をカルシウムおよびマグネシウム非含有PBSで2回洗浄す
る。細胞ペレットを、0.1%BSAを含有するハンクス平衡塩溶液に再懸濁する。
この走化性アッセイのために、10μm厚、3μm孔のポリカーボネートメンブラ
ンが固定された、Neuroprobe 96ウェル走化性チャンバーを用いる。これらのウ
エルの底部に、所望量の本発明のポリペプチドを含有する30μLのハンクス、0.1
%BSA緩衝液を加える。ウェルの頂部に、50μLの標識細胞の懸濁液を5×106細
胞/mLの濃度で加える。これらの細胞を37℃で25分間インキュベートする。フィ
ルターの蛍光の読み取りにより好中球の移動を定量する。
蛍光を検出するために、485nm励起および530nm発光の検出フィルターを用いる
。各実験において、Sigma、St.Louis、Missouriによって製造されるF-Met-Leu-Phe
(100nMで)を、最大信号のポジティブコントロールとする。実施例2: IL8変異体−アミノ末端結合ドメインの変化
ポリペプチド:
以下を除いて、配列番号1に見出されるポリペプチドのアミノ酸配列:
宿主細胞:実施例1と同様
ポリペプチド単離:実施例1と同様
レセプター結合アッセイ:実施例1と同様
好中球走化性アッセイ:実施例1と同様実施例3 GROγ/IL8R1結合ドメインキメラ
ポリペプチド:
アミノ酸配列はPCT出願第WO92/00326号に記載されており、これは本明細書中
に参考として援用される。以下を除いて、配列番号2に見出されるポリペプチド
のアミノ酸配列:
宿主細胞:実施例1と同様
ポリペプチド単離:実施例1と同様
レセプター結合アッセイ:実施例1と同様
好中球走化性アッセイ:実施例1と同様
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12N 1/21 9735−4B C12N 1/21
C12P 21/02 9637−4B C12P 21/02 K
//(C12P 21/02
C12R 1:865)
(C12P 21/02
C12R 1:19)
(72)発明者 ワーネット−ハモンド, メアリー エレ
ン
アメリカ合衆国 カリフォルニア 95608,
エミリービル,ホートン ストリート
4560