JPH1046487A - ウエットワイプスの製造方法 - Google Patents
ウエットワイプスの製造方法Info
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Abstract
を向上させる。 【解決手段】 ウエットワイプス製造工程において、相
対的に低い水膨潤性ないし水不溶性カルボキシメチルセ
ルロースおよび/またはその塩と水分散性繊維との混合
物に塩基を添加して抄造することにより得られる相対的
に高い水膨潤性ないし水溶性のカルボキシメチルセルロ
ースの塩を含むシートに、多価金属イオンを含む液体を
含浸させてウエットワイプスを得る。
Description
性または溶解性に優れた水解性のウエットワイプスの製
造方法に関する。
また、水洗トイレ等の水中に投ずると分散または溶解し
てそのまま流し去ることが可能な水分散性または水解性
のシート状物も周知である。ここでいう水分散性と水解
性とは同義である。このウエットワイプスが水分散性の
ものである場合には、湿潤状態で使用されるときの高い
強度と、大量の水の中へ投じられたときの速やかな分散
性という相反する性質を兼ね備えていなければならな
い。これら強度と分散性とを両立させるために、特開平
1−168999号公報に開示されたウエットワイプス
には、水不溶性のカルボキシメチルセルロース、特にそ
のカルシウム塩を混抄した水解紙が使用されている。特
開平2−149237号公報に開示されたウエットワイ
プスでは、水溶性カルボキシメチルセルロースアルカリ
金属塩を一例とする水溶性バインダーを含む水解紙に、
アルカリ土類金属,マンガン,亜鉛等の多価金属イオン
と有機溶剤とを含む洗浄剤が含浸させてある。特開平5
−25792号公報に開示されたウエットワイプスで
は、水不溶膨潤性カルボキシメチルセルロースアルカリ
金属塩を使用して抄造したシートに、アルカリ土類金
属,ニッケル,鉄等の多価金属イオンを含む含水有機溶
剤が含浸させてある。
て使用されるカルボキシメチルセルロースとその塩は、
一般に置換度(D.S.)、pHが高くなるにつれて水
不溶性から膨潤性のものへと変化し、さらには水溶性の
ものになることはよくしられている。カルボキシメチル
セルロースおよび/またはその塩をバインダーにして抄
造したシートからなるウエットワイプスが水分散性良好
なものとなるためには、そのバインダーが高い膨潤性な
いし水溶性を有していればよく、それには前記従来の知
見を利用してウエットワイプスを製造すればよい。
バインダーを使用したウエットワイプスは、それを使用
しているときとか保存しているときとかにバインダーが
膨潤したり溶解したりして湿潤強度が低下し、実用に供
し得ないことがある。
価金属イオンが添加された水膨潤性ないし水溶性のカル
ボキシメチルセルロースおよび/またはその塩は、カル
ボキシメチルセルロース多価金属塩となり、水による膨
潤性、溶解性が低下する。そして、カルボキシメチルセ
ルロースおよび/またはその塩と多価金属イオンとによ
る塩の生成反応は、カルボキシメチルセルロースおよび
/またはその塩が解離し易いほど、言い替えればDS、
pHが高いほど、さらに言い替えれば膨潤性ないし水溶
性が高いほど、速やかに進む。つまり、カルボキシメチ
ルセルロースおよび/またはその塩は、DS、pHが高
く、膨潤性ないし水溶性が高いほど、多価金属イオン添
加による効果が顕著であり、その効果によってDS、p
Hが低いバインダーを使用する場合よりもウエットワイ
プスの湿潤強度が増すことがある。
インダーとするウエットワイプス用シートの抄造では、
特開平2−149237号公報に開示の如く、カルボキ
シメチルセルロースやその塩が水溶性であれば、繊維と
バインダーとを水中で混合した後に抄造すると、得られ
るシートに対してのバインダーの付着量が少なく、バイ
ンダーの使用量に見合うほどシートの強度が向上しない
ということがある。このような抄造方法に代えて、抄造
後のシートにバインダーをスプレーして付着させること
も可能ではあるが、カルボキシメチルセルロースやその
塩の水溶液は一般に粘度が高いから、均一にスプレーす
ることが難しい。
く、水不溶ないし水膨潤性バインダーを用いる場合に
は、バインダーの膨潤性が高ければ繊維との均一な混合
が難しい。また、バインダーが水不溶性であるとか膨潤
性が低ければ、抄造したシートに対する付着量は多くな
るものの、そのようなバインダーは繊維を互いに結合す
る力が弱く、高い湿潤強度を得ることが難しい。
水分散性とを両立させることが可能なウエットワイプス
の製造方法の提供を課題にしている。
に、この発明が前提とするのは、少なくともカルボキシ
メチルセルロースおよび/またはその塩と水分散性繊維
とからなり、多価金属イオンを含む液体を含浸させたウ
エットワイプスの製造方法である。
るところは、相対的に低い水膨潤性ないし水不溶性カル
ボキシメチルセルロースおよび/またはその塩と水分散
性繊維との混合物に塩基を添加して抄造することにより
得られる相対的に高い水膨潤性ないし水溶性のカルボキ
シメチルセルロースの塩を含むシートに多価金属イオン
を含む液体を含浸させることにある。
ムを使用する。塩基を使用することにより、相対的に低
い水膨潤性ないし水不溶性のカルボキシメチルセルロー
スおよび/またはその塩をシート抄造過程でに膨潤性の
高いものに変化させることが可能であり、抄造したシー
トには高い水膨潤性ないし水溶性を有するカルボキシメ
チルセルロースおよび/またはその塩が効率良く付着す
ることになる。このシートに多価金属イオンを含む液体
を含浸させると、カルボキシメチルセルロース多価金属
塩が速やかに生成する。得られたウエットワイプスは、
かかる金属塩の存在によって、良好な湿潤強度を持つこ
とになる。カルボキシメチルセルロースの多価金属塩
は、水洗トイレ、浄化槽、下水道等の多量の水中に投入
されると速やかに解離して、溶解ないし膨潤するので、
ウエットワイプスの水分散性は実質的には損なわれな
い。
料には、カルボキシメチルセルロースおよび/またはそ
の塩、およびそれらとともに抄造してシート化すること
が可能な水分散性繊維が含まれる。その繊維として、パ
ルプ繊維を使用することが好ましいが、その他にリネ
ン、ウール等の天然繊維やレーヨン繊維等の再生繊維、
アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル等
の合成繊維を使用することもできる。
性ないし水不溶性のカルボキシメチルセルロースおよび
/またはその塩、好ましくはD.S.=0.30〜0.
60,pH≧5.0を有するカルボキシメチルセルロー
スおよび/またはその塩をバインダーとして使用する。
D.S.が0.30より低いバインダーは、塩基を添加
することによる膨潤性の向上効果が小さいので好ましく
ない。D.S.が0.60よりも大きいバインダーは、
極めて膨潤し易いか、または水溶性のものとなるので、
抄造したシートに対するバインダーの付着量が少ない。
pHが5.0よりも低いと、バインダーの膨潤性を向上
させる為に抄造工程で添加する塩基の量が多くなるので
好ましくない。
合比は、2:98〜45:55、より好ましくは2:9
8〜20:80である。これよりもバインダー量が少な
ければ、バインダーとしての機能が充分に発揮されない
ことがある。一方、多ければ、バインダーの膨潤や溶解
を一時的に抑制するために加える多価金属イオンの量が
多くなるので、製造コストの上昇は避けられない。
ものに変化させるために添加する塩基は、どのようなも
のでもよいが、シート製造時の安全面、コスト等を考慮
すると、炭酸ナトリウムを使用することが好ましい。炭
酸ナトリウムの添加量は、カルボキシメチルセルロース
および/またはその塩に対し、10〜400重量%が望
ましい。10重量%未満では、塩基を添加しても充分な
効果が得られず、400重量%を超えると、カルボキシ
メチルセルロースおよび/またはその塩の膨潤性ないし
水溶性が高くなりすぎて抄造が却って困難になることが
ある他に、抄造工程での排水の環境負荷も高くなる。
の混合物は、抄造前に30分以上静置することが望まし
い。30分未満の静置時間で抄造すると、塩基とカルボ
キシメチルセルロースおよび/またはその塩の反応が充
分に進まない可能性がある。
オンを含む液体を含浸させることによって、本発明のウ
エットワイプスが得られる。使用する金属イオンは2価
の金属イオン、なかでもカルシウム、マグネシウム、亜
鉛等が望ましい。鉄イオン、アルミニウムイオン、銅イ
オン等を使用することも可能ではあるが、これらの場合
には極く僅かな量でカルボキシメチルセルロースの金属
塩が水に対して不溶性ないし非膨潤性のものとなるの
で、その使用量の調整が難しい。
得るには、水溶性の2価金属塩、例えば塩化カルシウ
ム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛等を水に溶解すればよ
い。これら金属塩の濃度は、0.1〜10重量%程度が
望ましい。濃度が0.1重量%よりも低いと、ウエット
ワイプスに必要な湿潤強度が得られないし、濃度が10
重量%を越えると、ウエットワイプスの水分散性が著し
く阻害されることがある。
は、有機溶剤を含むことが望ましい。有機溶剤を含むこ
とにより、ウエットワイプス使用時におけるカルボキシ
メチルセルロースおよび/またはその塩の膨潤ないし溶
解をさらに抑制することが可能だからである。その有機
溶剤の例としては、メタノール,エタノール,プロパノ
ール等の1価アルコール、プロピレングリコール,イソ
プレングリコール,ポリエチレングリコール等の多価ア
ルコール、及びこれらの誘導体などを挙げることができ
る。これらの有機溶剤は、2種以上混合して用いること
も可能である。
ットワイプスの用途に応じて、界面活性剤、殺菌剤、抗
菌剤、静菌剤、pH調整剤、研磨剤、着色剤、増粘剤、
保湿剤、香料、消臭剤、サイズ剤等を一種または二種以
上含有していてもよい。
法を実施例に基づいて説明すると、以下のとおりであ
る。
ルボキシメチルセルロースナトリウム(ニチリン化学工
業製DS=0.43,pH=6.1)とが87.5/1
2.5の乾燥重量比にある試料を、試料濃度1%となる
ように水道水に混合・分散した。この試料液に炭酸ナト
リウムをカルボキシメチルセルロースナトリウム乾燥重
量に対して160%となるように溶解し、2時間静置し
た。こうして得られた試料液を小型試験抄造機で抄造
し、回転ドラム型乾燥機を用いて110℃で90秒間乾
燥し、坪量40g/m2 の乾燥シートを得た。このシー
トに塩化カルシウム/プロピレングリコール/イオン交
換水=0.5/30/69.5(重量比)からなる液体
をシート乾燥重量の2.5倍スプレー含浸し、20℃で
24時間静置し、ウエットワイプスを得た。
マグネシウム/プロピレングリコール/イオン交換水=
0.5/30/69.5(重量比)である以外は、実施
例1−1と同様の条件でウエットワイプスを得た。
亜鉛/プロピレングリコール/イオン交換水=0.5/
30/69.5(重量比)である以外は、実施例1−1
と同様の条件でウエットワイプスを得た。
ナトリウム/プロピレングリコール/イオン交換水=
0.5/30/69.5(重量比)である以外は、実施
例1−1と同様の条件でウエットワイプスを得た。
ピレングリコール/イオン交換水=30/70(重量
比)である以外は、実施例1−1と同様の条件でウエッ
トワイプスを得た。
ルボキシメチルセルロースナトリウム(ニチリン化学工
業製DS=0.43,pH=6.1)とが87.5/1
2.5の乾燥重量比にある試料を、試料濃度1%となる
ように水道水に混合・分散した。この試料液に炭酸ナト
リウムをカルボキシメチルセルロースナトリウム乾燥重
量に対して160%となるように溶解し、2時間静置し
た。こうして得られた試料液を小型試験抄造機で抄造
し、回転ドラム型乾燥機を用いて110℃で90秒間乾
燥し、坪量40g/m2 の乾燥シートを得た。このシー
トに塩化カルシウム/イソプレングリコール/イオン交
換水=3/10/87(重量比)からなる液体をシート
乾燥重量の2.5倍スプレー含浸し、20℃で24時間
静置し、ウエットワイプスを得た。
マグネシウム/イソプレングリコール/イオン交換水=
3/10/87(重量比)である以外は、実施例2−1
と同様の条件でウエットワイプスを得た。
亜鉛/イソプレングリコール/イオン交換水=3/10
/87(重量比)である以外は、実施例2−1と同様の
条件でウエットワイプスを得た。
ナトリウム/イソプレングリコール/イオン交換水=3
/10/87(重量比)である以外は、実施例2−1と
同様の条件でウエットワイプスを得た。
プレングリコール/イオン交換水=10/90(重量
比)である以外は、実施例2−1と同様の条件でウエッ
トワイプスを得た。
ルボキシメチルセルロースナトリウム(ニチリン化学工
業製DS=0.43,pH=6.1)とが87.5/1
2.5の乾燥重量比にある試料を、試料濃度1%となる
ように水道水に混合・分散させた。この試料液に炭酸ナ
トリウムをカルボキシメチルセルロースナトリウム乾燥
重量に対し160%となるように溶解し、2時間静置し
た。こうして得られた試料液を小型試験抄造機で抄造
し、回転ドラム型乾燥機を用いて110℃で90秒間乾
燥し、坪量40g/m2 の乾燥シートを得た。このシー
トに塩化カルシウム/プロピレングリコール/イオン交
換水=0.5/30/69.5(重量比)からなる液体
をシート乾燥重量の2.5倍スプレー含浸し、20℃で
24時間静置し、ウエットワイプスを得た。
カルボキシメチルセルロースナトリウム乾燥重量に対し
80%である以外は、実施例3−1と同様の条件でウエ
ットワイプスを得た。
ナトリウムを溶解することなく2時間静置した以外は実
施例3−1と同様の条件でウエットワイプスを得た。こ
れらの実施例および比較例で得たウエットワイプスにつ
いて、以下のとおり評価した。 (1)水分散性の評価 10cm×10cmのウエットワイプス片を、イオン交
換水300mlを入れた300mlガラスビーカーに投
入し、マグネチックスタラーで撹拌し(回転数600r
pm)、ウエットワイプスの分散状態を経時的に観察し
た。観察結果は、次のように評価した。
い。 (2)湿潤引張強度の評価 幅25mm×長さ150mmのウエットワイプス紙片を
チャック間隔100mm、引張速度100mm/min
で引っ張ったときの破断強度を測定した。破断強度が少
なくとも300gあれば、ウエットワイプスは実用上強
度不足になることがなかった。
りである。実施例1−1〜1−3と比較例1−1〜1−
2との対比、および実施例2−1〜2−3と比較例2−
1〜2−2との対比より、多価金属イオンを含む液体を
含浸させたウエットワイプスの湿潤強度は、著しく増大
し、水分散性も問題の無いレベルにある。しかし、1価
の金属イオンのみ、または全く金属イオンを含まない液
体を含浸させたウエットワイプスは、湿潤強度が十分で
はない。
1との対比より、炭酸ナトリウムを添加しないで抄造し
たシートは、多価金属イオンを含む液体が含浸しても湿
潤強度向上に対する効果は小さく、水分散性は却って低
下している。
方法においては、相対的に低い水膨潤性ないし水不溶性
のカルボキシメチルセルロースおよび/またはその塩を
バインダーとして水分散性繊維に混合するから、得られ
るシートに所要量のバインダーを付着させることが容易
である。かかるバインダーは、塩基の添加によって水分
散性繊維がシート化される際に水膨潤性の高いもの、ま
たは水溶性のものとなり、ウエットワイプスの速やかな
溶解ないし分散が可能になる。また、かかる塩基を添加
したバインダーを含むシートに多価金属イオンを含む液
体を含浸させて生成するバインダーと多価金属イオンと
の間の塩は、ウエットワイプス使用時における湿潤強度
を一時的に向上させる。
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくともカルボキシメチルセルロース
および/またはその塩と水分散性繊維とからなり、多価
金属イオンを含む液体を含浸させたウエットワイプスの
製造方法であって、 相対的に低い水膨潤性ないし水不溶性カルボキシメチル
セルロースおよび/またはその塩と水分散性繊維との混
合物に塩基を添加して抄造することにより得られる相対
的に高い水膨潤性ないし水溶性のカルボキシメチルセル
ロースの塩を含むシートに多価金属イオンを含む液体を
含浸させることを特徴とする前記ウエットワイプスの製
造方法。 - 【請求項2】 前記塩基が炭酸ナトリウムであり、前記
多価金属イオンが2価の金属イオンである請求項1に記
載の製造方法。 - 【請求項3】 前記多価金属イオンを含む液体が多価金
属塩の水溶液である請求項1または2に記載の製造方
法。 - 【請求項4】前記液体が有機溶剤を含む請求項1〜3の
いずれかに記載の製造方法。
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