JPH1046431A - パルプ状熱可塑性液晶樹脂の製造法 - Google Patents

パルプ状熱可塑性液晶樹脂の製造法

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JPH1046431A
JPH1046431A JP20197296A JP20197296A JPH1046431A JP H1046431 A JPH1046431 A JP H1046431A JP 20197296 A JP20197296 A JP 20197296A JP 20197296 A JP20197296 A JP 20197296A JP H1046431 A JPH1046431 A JP H1046431A
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Japan
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liquid crystal
thermoplastic liquid
crystal resin
pulp
structural unit
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JP20197296A
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Kazuo Maruo
和生 丸尾
Takatsugu Ideno
隆次 井出野
Koji Yamamoto
山本  幸司
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】異方性溶融相を形成し得る熱可塑性液晶樹脂か
ら、繊維径が細くて、繊維長が長く、粉体保持力の高
い、形状が良好なパルプ状物を、効率良く製造する方法
を提供する。 【解決手段】熱可塑性液晶樹脂を予め酸性水溶液あるい
はアルカリ性水溶液に5分〜100時間浸漬させ後、粉
砕機により粉砕する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は異方性溶融相を形成し得
る熱可塑性液晶樹脂からなるパルプ状物の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、有機物から成るパルプ状物は芳香
族アラミド繊維のフィブリル・パルプが一般に知られて
いる。特公昭60−25527号には異方性溶融物を形
成する全芳香族ポリエステルを溶融成形して分子配向性
を有する成形物となし、剪断力を加えてフィブリル状に
砕いてパルプ粒子とすることが記載されている。また特
開平1−201518号には異方性溶融物を形成する全
芳香族ポリエステルをノズルから吐出し、得られた繊維
またはストラン状物を湿式粉砕する方法が提案されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】異方性溶融相を形成し
得るパルプ状熱可塑性液晶樹脂は、他の熱可塑性樹脂、
あるいは熱硬化性樹脂と組み合わせた耐熱性複合材料の
強化材として、また石綿代替材料として自動車用ブレー
キパッドもしくはクラッチフェーシング等の摩擦材料、
摺動材料、さらに耐熱フィルター、耐薬品性フィルター
等の材料として有用である。異方性溶融相を形成し得る
パルプ状熱可塑性液晶樹脂を上記の如き材料に用いる場
合には、特にパルプ繊維径が細くて、繊維長が長く、枝
分かれの繊維を多数有して粉体保持力の高い形状(以
下、これを「形状が良好なパルプ状物」と称する)が要
求される。
【0004】特開平1−201518号はポリマー吐出
時の剪断速度を1000s-1以上しなければならず、形
状が良好なパルプ状物を得ることが困難である。本発明
の目的は、異方性溶融相を形成し得る熱可塑性液晶樹脂
から、繊維径が細くて、繊維長が長く、粉体保持力の高
い、形状が良好なパルプ状物を、効率良く製造する方法
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の如き
課題を有するパルプ状物の製造法について鋭意研究した
結果、熱可塑性液晶樹脂を特定の条件下でストランドと
なし、それを酸性水溶液あるいはアルカリ性水溶液に浸
漬させた後、粉砕機により粉砕させることにより形状が
良好なパルプ状物を効率よく製造できることを見い出
し、本発明に到達した。
【0006】即ち本発明は、異方性溶融相を形成し得る
熱可塑性液晶樹脂を粉砕機により粉砕してパルプ状物と
する熱可塑性液晶樹脂の製造方法において、粉砕機へ供
給する熱可塑性液晶樹脂を予め酸性水溶液あるいはアル
カリ性水溶液に5分〜100時間浸漬させることを特徴
とするパルプ状熱可塑性液晶樹脂の製造法である。この
酸性水溶液あるいはアルカリ性水溶液に浸漬させる熱可
塑性液晶樹脂は、該樹脂の流動開始温度より10℃以上
高い温度で、かつ剪断速度が10〜500sec-1とな
るようノズルから吐出して得られ、長さが1mm以上で
あり、かつL/Dが1以上のストランドが好適に用いら
れる。但し、Lはストランドの長さであり、Dは次式よ
り求められる数値とする。 D= 2×(S/π)1/2 S:ストランドの断面積
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で使用する熱可塑性液晶樹
脂は、溶融状態で異方性溶融相を形成するものであれば
全て本発明に供することができるが、280〜450℃
で異方性溶融相を形成するものが望ましい。280℃よ
り低い温度では異方性溶融相を形成する熱可塑性液晶樹
脂は粉砕の際に融着が生じ易く、また450℃より高い
温度では異方性溶融相を形成する熱可塑性液晶樹脂は溶
融成形が困難である。なお異方性溶融相の形成の有無
は、試料を加熱しながら観察できる装置を装着した光学
顕微鏡を使用して、偏光状態で試料を観察することによ
り容易に判断することができる。
【0008】本発明に使用される異方性溶融相を形成し
得る熱可塑性液晶樹脂の特に好ましい例は、下記の構造
単位(A)、(B)、(C)および(D)から成り、構
造単位(B)が構造単位(C)および(D)の総和に等
しく、構造単位(A)、(B)、(C)および(D)の
総和に対して構造単位(A)が50〜80モル%であ
り、かつ構造単位(C)および(D)の総和に対して構
造単位(C)が50〜100モル%のものである。
【0009】
【化7】
【0010】
【化8】
【0011】
【化9】
【0012】
【化10】 構造単位(D)の中のXは、以下の式1から選ばれた1
種以上の基である。
【0013】
【化11】 上式の中のArは、以下の式2から選ばれた1種以上の
基である。
【0014】
【化12】
【0015】本発明に供せられる異方性溶融相を形成し
得る熱可塑性液晶樹脂の製造方法は特に限定されるもの
ではなく、従来公知の方法に準じて製造できる。代表的
な製造方法としては、次の(イ)〜(ニ)の方法が挙げ
られる。
【0016】(イ)芳香族ジカルボン酸化合物類、芳香
族ジヒドロキシ化合物類のジ酢酸エステルおよび芳香族
ヒドロキシカルボン酸化合物類の酢酸エステルとから脱
酢酸重縮合反応により製造する方法。
【0017】(ロ)芳香族ジカルボン酸化合物類、芳香
族ジヒドロキシ化合物類および芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸化合物類に無水酢酸を共存させてフェノール性水酸
基をアセチル化した後、脱酢酸重縮合反応により製造す
る方法。
【0018】(ハ)芳香族ジカルボン酸化合物類のジフ
ェニルエステル、芳香族ジヒドロキシ化合物類および芳
香族ヒドロキシカルボン酸化合物類のフェニルエステル
とから脱フェノール重縮合反応により製造する方法。
【0019】(ニ)(イ)〜(ハ)の方法によって得ら
れた熱可塑性液晶樹脂の低分子量物を空気中、不活性ガ
ス雰囲気下、または減圧下で流動開始温度より低い温度
で固相状態を保ちながら加熱する、いわゆる固相重合に
より製造する方法。
【0020】本発明において粉砕機へ供給する異方性溶
融相を形成し得る熱可塑性液晶樹脂は、形状の良好なパ
ルプ状物が得られるストランドとするために、該樹脂の
流動開始温度より10℃以上高い温度でノズルから吐出
することが好ましい。樹脂の流動開始温度より10℃以
上高い温度でない場合は、熱可塑性液晶樹脂の溶融粘度
が高いため、ストランド化が困難になる。また得られる
ストランドの配向が充分でなく、これを粉砕しても良好
な形状のパルプ状物を得ることができない。なお本発明
における流動開始温度は、示差走査熱量計(DSC)に
より明瞭な融点が観察されるものにあっては融点とし、
DSCにより明瞭な融点が観察されない場合にはホット
ステージを装着した偏光顕微鏡により試料を昇温しなが
ら観察し、試料の一部が流動を開始する温度とする。
【0021】本発明において、更に形状が良好なパルプ
状物を得るために、異方性溶融相を形成し得る熱可塑性
液晶樹脂を剪断速度が10〜500sec-1となるよう
にノズルから吐出することが好ましい。10sec-1
満の剪断速度では、ストランドを粉砕すると繊維長が短
く粉状を呈し、良好な形状のパルプ状物とすることがで
きない。500sec-1より大きい剪断速度では、スト
ランドを粉砕すると繊維径が細くなり難くなる。
【0022】また本発明において、粉砕機へ供給する異
方性溶融相を形成し得る熱可塑性液晶樹脂のストランド
は、供給が容易で、優れた取り扱い性を得るために、ま
た形状が更に良好なパルプ状物を得るために、ストラン
ドの長さが1mm以上とし、かつL/Dが1以上である
ことが好ましい。但し、Lはストランドの長さであり、
Dは次式より求められる数値とする。 D= 2×(S/π)1/2 S:ストランドの断面積 なおストランドの形状が円筒の場合にはその外径とな
る。
【0023】本発明では、熱可塑性液晶樹脂を粉砕して
良好な形状を有するパルプ状物を効率よく得るために、
粉砕機へ供給するストランドを予め酸性水溶液あるいは
アルカリ性水溶液に浸漬させる。この浸漬時間は5分〜
100時間の範囲とする。浸漬時間が5分に満たない場
合、ストランドを粉砕しても繊維径が太いパルプ状物と
なる。また100時間以上浸漬した場合、ストランドを
粉砕すると繊維径は細くなるものの、繊維長が短くな
る。従って浸漬時間が上記範囲より外れる場合には形状
の良好なパルプ状物が得られない。
【0024】ストランドを浸漬する酸性水溶液は限定さ
れないが、塩酸、硫酸、硝酸等の水溶液が好適に用いら
れる。ストランドを酸性水溶液に浸漬する方法として
は、ストランドを100℃の10重量%の硫酸水溶液中
において数時間浸漬する方法、常温の40重量%の硫酸
水溶液中において数十時間浸漬方法、100℃の40重
量%の硫酸水溶液中において数分間浸漬方法などが例示
される。
【0025】ストランドをアルカリ性水溶液を浸漬する
場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶
液が好適に用いられる。ストランドをアルカリ性水溶液
に浸漬する方法としては、ストランドを100℃の10
重量%の水酸化ナトリウム水溶液中において数時間浸漬
する方法、常温の40重量%の水酸化ナトリウム水溶液
中において数十時間浸漬方法、100℃の40重量%の
水酸化ナトリウム水溶液中において数分間浸漬方法など
が例示される。
【0026】熱可塑性液晶樹脂を粉砕する際に使用する
粉砕機は、特に制限されず、湿式あるいは乾式のどちら
でも良い。湿式粉砕機の例としては、歯状剪断ブレード
が回転側および固定側に設置されたファインフローミル
〔太平洋機工(株)製〕や、回転ローターと固定カット
リングからなるミクロカット(ドイツ・ステファン社
製)、回転および固定砥石間にて摩砕するスーパーマス
コロイダー〔増幸産業(株)製〕、および一般家庭にお
いて使用されているミキサー等がある。乾式粉砕機の例
としては、回転ローターとライナーからなるミクロジェ
ット〔(株)躍進機械製作所製〕、ターボミル〔ターボ
工業(株)製〕、およびファインミル〔日本ニューマチ
ック工業(株)製〕等、およびハンマーミル、カッター
ミルなどがある。
【0027】なお本発明では、目的を損なわない限り、
熱可塑性液晶樹脂に、タルク、マイカ、クレー、硫酸バ
リウム等の無機充填材や、炭素ピッチを配合しても良
い。また顔料、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の添加
剤を添加することもできる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例のみに限定されない。以下
の実施例等に記載する「部」は「重量部」を示す。
【0029】なお以下の各実施例等において、パルプ状
物の粉体保持力を確認するための「ふるい落下試験」は
次の方法により行った。 (1)試料のパルプ状物を吸水率が0.05重量%とな
るように乾燥処理する。 (2)家庭用ミキサーを用い、試料のパルプ状物/硫酸
バリウム/黒鉛/BTレジンダストを4/70/
10/16の重量比で均一に混合する。硫酸バリウム
は堺化学工業(株)製、沈降性硫酸バリウム#300、
黒鉛は(株)中越黒鉛工業所製、RA−15、BTレ
ジンダストは三菱ガス化学(株)製、フェノール変性
キシレン・ホルムアルデヒド樹脂ノボラック・エポキシ
樹脂/BTレジン(ビスマレイミドトリアジン樹脂)=
70/30の硬化物からなる200〜100メッシュ粉
末を用いる。 (3)得られた混合物10gを網目間隔が600μm の
ふるい(ふるい径200mm、ワイヤー径390μm )に
入れ、可変振幅式試験篩振盪機(エンデユニット社製、
オクタゴン200型)にて、振幅最大で1分間振動させ
る(振動処理)。 (4)上記の落下物重量を(3)の振動処理前の混合物
重量で割った値を「ふるい落下率」とする。この「ふる
い落下率」が小さい程、粉体保持力の優れたパルプ状物
であると判断される。
【0030】製造例1(LCP−Aの製造) 攪拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入管、凝縮器に連
結した蒸留ヘッド等を装着した反応缶に、p−アセトキ
シ安息香酸1081部、1、4−ジアセトキシベンゼン
388部、N,N’−(4、4’−ジフェニルエーテ
ル)−ビス−3、4’−ジカルボキシミド安息香酸11
0部、および2、6−ナフタレンジカルボン酸389部
を仕込み、窒素で3回パージした後、緩やかに攪拌しな
がら反応缶内に少量の窒素を流しつつ200℃まで昇温
した。200℃に昇温後、攪拌速度を上げ、この混合物
を段階的に昇温し、240℃にて1時間、260℃にて
1時間、280℃にて1時間、300℃にて1時間反応
させた。次いで、反応缶内を徐々に減圧し、0.5to
rrの真空に保ちつつ300℃にて1時間、320℃に
て1時間、340℃にて1時間攪拌し、重合を完了させ
た。重合完了後、反応缶内の圧力を2.5kg/cm2
とし、排底弁よりダイを介してストランドを取り出し、
カッターにより切断してペレットとした。このポリマー
(以下、LCP−Aという)の融点は317℃、流動開
始温度は312℃であり、異方性溶融相を示した。対数
粘度は4.2g/dlであった。該LCP−Aを、45
mm二軸押し出し機の先端に付けた6mmφのノズルよ
り、330℃で単孔吐出量34g/分(剪断速度19s
ec-1) でポリマーを吐出し、得られたストランドをペ
レタイザーによって長さ7mm、直径0.5mm(L/
D=14)のペレットに切断した。
【0031】なお製造例1におけるLCP−Aの物性測
定は次のように行った。 (1)融点 示差走査熱量計(DSC)〔セイコー電子(株)製、S
SC−560S型〕を使用し、試料約10mgをアルミ
ニウム製非密封容器に入れ窒素ガス気流中(30ml/
分)にて30℃より昇温速度20℃/分で昇温して測定
し、吸熱ピークを示す温度を融点とした。 (2)流動開始温度および異方性溶融相形成の有無 ホットステージ〔コレット工業(株)製〕を装着した光
学顕微鏡〔ニコン(株)製、商品名:Optiphot
−pol〕を用いて、昇温速度10℃/分で昇温しなが
ら、偏光状態にて試料を観察した。試料の一部が流動を
開始する温度を流動開始温度とした。 (3)熱可塑性液晶樹脂の対数粘度 対数粘度[(lnηrel)/C]は、0.16g/d
l濃度のペンタフルオロフェノール溶液として、60℃
にて測定した。
【0032】実施例1 製造例1で得られたLCP−Aのペレットを、10重量
%の硫酸水溶液中に浸漬し、100℃にて5時間加熱す
ることで処理を完了した。その後、処理したペレット約
1gを、家庭用ミキサーに水200gと共に入れ、ミキ
サーのチョッパーを回転させることでペレットを粉砕
し、10分後に形状が良好なパルプ状物が得られた。得
られたパルプ状物を光学顕微鏡にて観察し、ふるい落下
試験を行った。結果を表1に示す。
【0033】実施例2 製造例1で得られたLCP−Aのペレットを、10重量
%の硝酸水溶液中に浸漬し、50℃にて5時間加熱する
ことで処理を完了した。その後、実施例1と同様にパル
プ状物を製造した。得られたパルプ状物は光学顕微鏡に
て観察し、またふるい落下試験を行った。結果を表1に
示す。
【0034】実施例3 製造例1で得られたLCP−Aのペレットを、10重量
%の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、100℃にて
5時間加熱することで処理を完了した。その後、実施例
1と同様にパルプ状物を製造した。得られたパルプ状物
は光学顕微鏡にて観察し、ふるい落下試験を行った。結
果を表1に示す。
【0035】比較例1 製造例1で得られたLCPーAペレットを実施例1と同
様、家庭用ミキサーにて粉砕を行い、パルプ状物を得
た。得られたパルプ状物を実施例1と同様、光学顕微鏡
にて観察し、ふるい落下試験を行った。結果を表1に示
す。
【0036】比較例2 製造例1で得られたLCP−Aのペレットを、エチレン
グリコール中に浸漬し、200℃にて5時間加熱するこ
とで処理を完了した。その後、実施例1と同様にパルプ
状物を製造し、得られたパルプ状物は光学顕微鏡にて観
察し、ふるい落下試験を行った。結果を表1に示す。
【0037】実施例4 製造例1で得られたLCPーAペレットを実施例1と同
条件で処理した後、ガーゼでペレット表面に付着した水
分を除去し、これをアイカ社製小型粉砕機A−10型
(乾式・回転刃式)で粉砕した。得られたパルプ状物は
実施例1と同様、光学顕微鏡にて観察し、ふるい落下試
験を行った。結果を表1に示す。
【0038】比較例3 製造例1で得られたLCP−Aペレットをアイカ社製小
型粉砕機A−10型(乾式・回転刃式)で粉砕し、パル
プ状物を作製した。得られたパルプ状物を実施例1と同
様、光学顕微鏡にて観察し、ふるい落下試験を行った。
結果を表1に示す。
【0039】
【表1】 パルプ形状 ふるい落下率 長さ(mm) 太さ(μm) (重量%) 実施例1 5 20〜40 27 実施例2 5 30〜40 34 実施例3 5 30〜40 40 比較例1 5 30〜50 50比較例2 3 15〜30 55 実施例4 >5 50〜60 70 比較例3 >5 60〜70 77
【0040】表1において、実施例1〜3および比較例
1〜2は湿式粉砕の場合であり、本発明の方法によって
粉砕機へ供給する熱可塑性液晶樹脂を予め酸性水溶液あ
るいはアルカリ性水溶液に浸漬させることにより、この
浸漬処理を行わない場合(比較例1)と比較して繊維径
が細く、ふるい落下率の小さい形状が良好なパルプ状物
が得られることが分かる。比較例2はエチレングリコー
ルに浸漬させた場合であり、繊維径が細いものが得られ
るが、繊維長さが短く、ふるい落下率が大きいことから
粉体保持力が小さいことが分かる。実施例3および比較
例3は乾式粉砕の場合であり、この場合にも本発明の方
法により形状が良好なパルプ状物が得られることが分か
る。
【0041】
【発明の効果】以上の実施例等からも明らかなように、
本発明によれば熱可塑性液晶樹脂から繊維径が細くて、
繊維長が長く、粉体保持力の高い、形状が良好なパルプ
状物が得られる。また本発明では該パルプ状物が低い剪
断速度で効率良く得られる。本発明の方法により製造さ
れたパルプ状物は他の熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性
樹脂と組み合わせた耐熱性複合材料の強化材として、ま
た石綿代替材料として自動車用ブレーキパッドもしくは
クラッチフェーシング等の摩擦材料、摺動材料、さらに
耐熱フィルター、耐薬品性フィルター等の材料として有
用であり、本発明の工業的意義は極めて高い。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 13/20 D21H 5/20 Z // B29K 67:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異方性溶融相を形成し得る熱可塑性液晶
    樹脂を粉砕機により粉砕してパルプ状物とする熱可塑性
    液晶樹脂の製造方法において、粉砕機へ供給する熱可塑
    性液晶樹脂を予め酸性水溶液あるいはアルカリ性水溶液
    に5分〜100時間浸漬させることを特徴とするパルプ
    状熱可塑性液晶樹脂の製造法。
  2. 【請求項2】 酸性水溶液あるいはアルカリ性水溶液に
    浸漬させる熱可塑性液晶樹脂が、該樹脂の流動開始温度
    より10℃以上高い温度で、かつ剪断速度が10〜50
    0sec-1となるようノズルから吐出して得られ、長さ
    が1mm以上であり、かつL/Dが1以上のストランド
    である請求項1記載のパルプ状熱可塑性液晶樹脂の製造
    法。但し、Lはストランドの長さであり、Dは次式より
    求められる数値とする。 D= 2×(S/π)1/2 S:ストランドの断面積
  3. 【請求項3】 異方性溶融相を形成し得る熱可塑性液晶
    樹脂の流動開始温度が280〜450℃である請求項1
    または請求項2記載のパルプ状熱可塑性液晶樹脂の製造
    法。
  4. 【請求項4】 異方性溶融相を形成し得る熱可塑性液晶
    樹脂が下記の構造単位(A)、(B)、(C)および
    (D)からなり、構造単位(B)が構造単位(C)およ
    び(D)の総和に等しく、構造単位(A)、(B)、
    (C)および(D)の総和に対して構造単位(A)が5
    0〜80モル%であり、かつ構造単位(C)および
    (D)の総和に対して構造単位(C)が50〜100モ
    ル%である請求項3記載の熱可塑性液晶樹脂から成るパ
    ルプ状物の製造法。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 構造単位(D)の中のXは、以下の式1から選ばれた1
    種以上の基である。 【化5】 上式の中のArは、以下の式2から選ばれた1種以上の
    基である。 【化6】
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