JPH1046249A - 高透磁率・高延性を有する磁気シールド材の製造方法 - Google Patents

高透磁率・高延性を有する磁気シールド材の製造方法

Info

Publication number
JPH1046249A
JPH1046249A JP22060296A JP22060296A JPH1046249A JP H1046249 A JPH1046249 A JP H1046249A JP 22060296 A JP22060296 A JP 22060296A JP 22060296 A JP22060296 A JP 22060296A JP H1046249 A JPH1046249 A JP H1046249A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cold rolling
annealing
rolling
subjected
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP22060296A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3275291B2 (ja
Inventor
Akio Nagai
秋男 永井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP22060296A priority Critical patent/JP3275291B2/ja
Publication of JPH1046249A publication Critical patent/JPH1046249A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3275291B2 publication Critical patent/JP3275291B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オープンコイル焼鈍法により脱炭処理したリ
ムド鋼と同等以上の比透磁率が得られ、かつ、加工性に
優れた磁気シールド部材を低コストで製造する。 【解決手段】 所定化学組成の未脱酸キルド鋼を連続鋳
造によりスラブとなし、このスラブに熱間圧延を施した
のち、中間焼鈍を挟み2回以上の冷間圧延を施すに際
し、最終冷間圧延前に圧下率20〜50%で中間冷間圧
延して中間焼鈍した後、圧下率40〜75%で最終冷間
圧延したのち仕上焼鈍することによって、高透磁率で、
かつ、高延性を有する磁気シールド材を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通常ブラウン管と
呼ばれている受像管(Cathode−RayTub
e)の内部に装着される高透磁率・高延性を有する磁気
シールド材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラーブラウン管の内部には、一般に地
磁気その他の外部撹乱磁場が電子ビームに影響するのを
避けるため、漏斗状の磁気シールド部材が設けられてい
る。この磁気シールド部材の素材として用いられる強磁
性体である鋼板(鋼帯)には、地磁気(約0.35O
e:エルステッド)のような低磁場において高い透磁率
を有すること、成形加工性が良好であること、カラーブ
ラウン管使用中に発生する熱を外部へ効果的に放射でき
るよう熱放射率が高く、かつガス放出の少ないことなど
が要求される。
【0003】最近のカラーブラウン管においては、動画
像用ディスプレイとしての用途に加え、静止画像用の用
途が増加している。静止画像用の受像管では、動画像用
以上に地磁気等の外部磁場の影響を大きく受けることか
ら、受像管内部に装着される磁気シールド部材には、よ
り比透磁率(0.35Oeの下で)の大きなものが要求
されるようになってきている。
【0004】従来、受像管用磁気シールド材は、高透磁
率のものを得るべく、例えば、次のような方法で製造さ
れていた。すなわち、低炭素アルミキルド鋼の連続鋳造
スラブを熱間圧延、酸洗後一次冷間圧延してオープンコ
イル焼鈍法による脱炭処理(OCA脱炭焼鈍)によって
C:0.001%以下の極低炭素とし、次いで圧下率1
0%前後の軽圧下の二次冷間圧延後、バッチ焼鈍によっ
て結晶粒粗大化処理(粒度番号が1程度)を行い、その
後最終冷間圧延を行うという方法で磁気シールド材を製
造していた。
【0005】次に上記磁気シールド材は、所定の受像管
用磁気シールド材の形状に成形加工したのち、還元性雰
囲気中で磁気シールド材を650〜800℃で30〜6
0分間加熱する磁気特性回復、向上のための磁性焼鈍を
行い、しかるのち、防錆および熱放射率向上のために磁
気シールド材表面に黒化処理が施される。黒化処理は、
例えば、水蒸気添加空気のような湿潤雰囲気および/ま
たは二酸化炭素等の酸化性ガス雰囲気中で磁気シールド
材を560〜600℃で5〜20分間加熱することによ
り、その表面に約1〜6μmのマグネタイト(Fe
34)を主体とした黒化膜を形成する。
【0006】この磁気シールド材表面への黒化膜の形成
においては、一般に鋼の成分が大きく影響することが知
られている。特に、鋼中にSiやAlなどの酸化物生成
元素が存在する場合は、マグネタイトの他にヘマタイト
(Fe23)が多く生成し易く、黒化膜の組織が粗く、
緻密性に欠ける傾向があり、受像管内で黒化膜が剥離す
るおそれがある。このため、従来の磁気シールド材の製
造方法においては、例えば、特開昭59−173219
号公報、特開昭59−172431号公報、特公平6−
13730号公報に開示されているように、リムド鋼を
使用したものが多く提案されている。
【0007】一方、近年の製鋼法は、製鋼技術の発展や
造塊法の合理化によって、鋼塊法からコストの易い連続
鋳造法に移行しており、鋼塊法によるリムド鋼はその生
産が極めて限定されている。このため、リムド鋼を用い
た磁気シールド材は、その製造が次第に困難になりつつ
ある。しかも、リムド鋼を用いた磁気シールド材は、受
像管用磁気シールド材として十分な性能も認められない
という問題がある。さらに、リムド鋼を用いて磁気シー
ルド材を製造する場合は、中間工程でいわゆるオープン
コイル焼鈍法による脱炭処理を施す必要があるため、そ
の分のコスト上昇は避けられない。
【0008】他方、オープンコイル焼鈍法によるアルミ
キルド鋼を用いる上記従来の受像管用磁気シールド材の
製造においては、オープンコイル焼鈍法による脱炭処
理、軽圧下冷間圧延、結晶粒粗大化焼鈍、冷間圧延とい
う一連の複雑な工程を経るため、通常の冷延鋼帯製造工
程に著しい支障を来たすことがあると共に、コスト高に
なるという問題を有していた。また、この受像管用磁気
シールド材は、結晶粒が粗大化しているため、強加工に
耐えられず、その結果、インナーシールド材の加工方法
も限定されるという問題があり、さらに、黒化膜の組織
が粗く、緻密性が劣るという問題があった。
【0009】最近の製鋼法においては、真空脱ガス技術
の進歩と製鋼脱酸用Al使用量の最適化によって、Al
を殆ど含まない極低炭素のキルド鋼(以下「未脱酸キル
ド鋼」という)を連続鋳造法により得ることが可能とな
った。この未脱酸キルド鋼は、オープンコイル焼鈍法に
よる脱炭処理を行う必要がなく、しかも、素材としての
鋼片が生産効率の高い連続鋳造法で製造できるため、リ
ムド鋼を用いた場合に比較し、低コストで磁気シールド
材を製造することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前記未脱酸キルド鋼
は、リムド鋼がオープンコイル焼鈍法による脱炭処理を
行うのに対し、オープンコイル焼鈍法による脱炭処理を
必要としないため、オープンコイル焼鈍法による脱炭処
理を施されたリムド鋼に比較して炭素量が多くなる。こ
のため、未脱酸キルド鋼の場合は、オープンコイル焼鈍
法による脱炭処理を施されたリムド鋼と同一の製造工程
では結晶粒が微細化してしまって比透磁率がオープンコ
イル焼鈍法による脱炭処理を施されたリムド鋼から製造
したものに劣ることとなる。
【0011】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解消し、受像管用磁気シールドに適した磁気シールド材
を、黒化膜の密着性を阻害するアルミキルド鋼を使用す
ることなく、しかも、リムド鋼のようにコスト上昇を招
くオープンコイル焼鈍法による脱炭処理を施すことな
く、オープンコイル焼鈍法により脱炭処理したリムド鋼
と同等以上の比透磁率が得られ、かつ、加工性に優れた
磁気シールド材を低コストで製造できる高透磁率・高延
性を有する磁気シールド材の製造方法を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく未脱酸キルド鋼を用い、特に受像管等のイン
ナーシールド材に適した高透磁率と高加工性とを合わせ
もつ磁気シールド材、具体的には0.35 Oeでの比
透磁率(以下「比透磁率(0.35 Oe)」という)
が1000以上で、かつ、JIS Z 2201に規定
の金属材料引張試験片の13B号試験片を用い、JIS
Z 2241に規定の金属材料引張試験方法により測
定した引張伸びが35%以上である磁気シールド材を製
造すべく、種々試験検討を重ねた結果、下記のような知
見を得た。 (1) 冷延鋼帯の焼鈍後に平坦度および仕上がり改善
のために行う調質圧延によって透磁率が著しく低下する
ため、例えば、受像管に組込んだ後の磁気シールド材に
おいて比透磁率(0.35 Oe)750以上を得るに
は焼鈍直後の比透磁率(0.35 Oe)を1000以
上とする必要があること。 (2) 焼鈍直後の比透磁率(0.35 Oe)100
0以上の高透磁率は、図2に示すとおり、再結晶粒度が
JIS G 0552の鋼のフェライト結晶粒度試験方
法に規定の粒度番号7.5以下の粗粒側で得られるこ
と。 (3) JIS Z 2201に規定の金属材料引張試
験片の13B号試験片を用い、JIS Z 2241に
規定の金属材料引張試験方法により測定した引張伸びが
35%以上の高伸びは、図3に示すとおり、再結晶粒度
がJIS G 0552の鋼のフェライト結晶粒度試験
方法に規定の粒度番号6.5以上の細粒側で得られるこ
と。 (4) このような理想的な再結晶粒度は、最終冷間圧
延前の中間冷間圧延における圧下率と最終冷間圧延での
圧下率とによって決定され、必ずしもオープンコイル焼
鈍法による脱炭処理を必要とせず、冷間圧延スケジュー
ルによって調整し得ること。
【0013】本出願人は、上記の知見に基づき、C:
0.005%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.
15〜0.5%、Al:0.003%以下、S:0.0
1%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる未脱酸キルド鋼を連続鋳造によりスラブとなし、
このスラブに通常の熱間圧延を施したのち、720℃〜
850℃の範囲で熱延板焼鈍を行い、次いで中間焼鈍を
挟み2回以上の冷間圧延を施す際に、最終冷間圧延前の
中間焼鈍後の結晶粒度を粒度番号(JIS G0552
に規定する比較法で測定した場合の粒度番号)4.0〜
6.0のものに調整したのち、最終圧下率40%〜75
%で冷間圧延することにより、比透磁率に優れた磁気シ
ールド材を製造できることを見い出し、既に特願平7−
67440号として特許出願している。
【0014】上記特願平7−67440号に開示の方法
は、熱延板焼鈍を行うため、0.35 Oeでの比透磁
率μ≧1000を得ようとすれば、超粗粒化が要求さ
れ、製品は混粒となって延性の確保が困難である。ま
た、特願平7−67440号に開示の方法は、結晶粒度
の調整は、最終的には冷間圧延での圧下率のみでしかで
きないため、バラツキが生じることとなる。
【0015】本発明者は、さらに試験研究を重ねた結
果、未脱酸キルド鋼の連続鋳造スラブを熱間圧延したの
ち、熱延板焼鈍を行わなくても、中間焼鈍を挟み2回以
上の冷間圧延を施すに際し、最終冷間圧延前に圧下率2
0〜50%で中間冷間圧延して中間焼鈍した後、圧下率
40〜75%で最終冷間圧延したのち仕上焼鈍すること
によって、粒度番号6.5以上7.5以下に制御でき、
引張伸びが35%以上の高伸びを確保できると共に、焼
鈍直後の比透磁率(0.35 Oe)1000以上の高
透磁率を得ることができることを確認し、この発明に到
達した。
【0016】本発明の磁気シールド材の製造方法は、
C:0.005%以下、Si:0.03%以下、Mn:
0.15〜0.5%、Al:0.003%以下、S:
0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不
純物からなる未脱酸キルド鋼を連続鋳造によりスラブと
なし、このスラブに通常の熱間圧延を施したのち、中間
焼鈍を挟み2回以上の冷間圧延を施すに際し、最終冷間
圧延前に圧下率20〜50%で中間冷間圧延して中間焼
鈍した後、圧下率40〜75%で最終冷間圧延したのち
仕上焼鈍することとしている。このように、C:0.0
05%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.15〜
0.5%、Al:0.003%以下、S:0.01%以
下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる
未脱酸キルド鋼を連続鋳造によりスラブとなし、このス
ラブに通常の熱間圧延を施したのち、中間焼鈍を挟み2
回以上の冷間圧延を施すに際し、最終冷間圧延前に圧下
率20〜50%で中間冷間圧延して中間焼鈍した後、圧
下率40〜75%で最終冷間圧延したのち仕上焼鈍する
ことによって、仕上焼鈍後の再結晶粒度をJIS G0
552の鋼のフェライト結晶粒度試験方法に規定の粒度
番号6.5以上7.5以下に制御でき、引張伸びが35
%以上の高伸びを確保できると共に、焼鈍直後の比透磁
率(0.35 Oe)1000以上の高透磁率を得るこ
とができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の磁気シールド材の製造方
法は、図1に示すとおり、真空脱ガス処理したC:0.
005%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.15
〜0.5%、Al:0.003%以下、S:0.01%
以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
る未脱酸キルド鋼を連続鋳造した極低炭素鋼スラブを、
通常の熱間圧延を施して熱延鋼帯としたのち、中間焼鈍
を挟み2回以上(図1では3回)の冷間圧延を施すが、
その際に最終冷間圧延前に圧下率20〜50%で中間冷
間圧延して中間焼鈍した後、圧下率40〜75%で最終
冷間圧延したのち仕上焼鈍して所定板厚の素材とするこ
とによって、内部歪の除去された磁気特性ならびに延性
に優れた所定板厚の素材が得られる。なお、冷間圧延工
程は、中間焼鈍を挟み3回以上行ってもよく、また、最
終焼鈍と成形加工の両工程間に平坦度および仕上がり改
善のための調質圧延を行うこともできる。
【0018】このようにして得られた素材は、図1に示
すとおり、次いで受像管用インナーシールドなどの所定
の磁気シールド材の形状に成形加工され、さらに、水蒸
気またはCO2等の酸化雰囲気中で黒化処理を施すこと
によって、磁気シールド材表面への黒化膜の形成と内部
歪の除去が行われる。その場合、本発明では、前記した
とおり最終冷間圧延前の中間冷間圧延ならびに最終冷間
圧延における圧下率を調整することにより、その後の中
間焼鈍ならびに最終焼鈍において適正な粒径の再結晶粒
が得られ、黒化処理後の比透磁率(0.35 Oe)1
000以上を確保することができる。このようにして製
造された磁気シールド材は、オープンコイル焼鈍法によ
る脱炭処理を行わなくても、その後の黒化処理によっ
て、オープンコイル焼鈍法により脱炭処理したキルド鋼
やオープンコイル焼鈍法により脱炭処理したリムド鋼か
ら製造した磁気シールド材の磁気特性を凌駕し、同時に
高度の加工性を有する受像管用磁気シールド材が得られ
る。
【0019】さらに、本発明においては、酸素と強い親
和性を有するSi、Mn、Al等を所定値以下に制限し
た未脱酸キルド鋼を原料として使用したことによって、
黒化処理の際にヘマタイト等の酸化物を形成しないの
で、磁気シールド材の下部または周辺に黒化ムラや密着
性の劣る黒化膜が形成されることもない。
【0020】本発明において、鋼成分を上記範囲に限定
した理由は下記のとおりである。Cは多いと再結晶粒の
成長を阻害し、透磁率を低下させるので、0.005%
以下にする必要がある。Siは非金属介在物の主要な構
成因子をなしており、この非金属介在物の存在は磁気特
性を劣化させ、かつ、黒化膜の密着性を劣化させるので
少ない方が望ましいが、耐火物からの混入が不可避であ
るため、0.03%以下とした。Mnは0.15%未満
では熱間脆性が起こり、熱間圧延が行い難く、0.5%
を超えると鋼帯が硬化し、プレス成形性が悪化すると共
に、黒化膜にヘマタイト(Fe23)が生成し、密着性
を低下させるので、0.15〜0.5%とした。Alは
多いと黒化処理時において結晶粒成長を阻害し、磁気特
性に悪影響を与え、かつ、黒化膜の密着性を劣化させる
ので0.003%以下とした。Sは硫化物系介在物がS
iと同様に磁気特性を劣化させる傾向があり、また、熱
間加工性も悪くするので少ない方がよいので、0.01
%以下とした。
【0021】また、本発明において最終冷間圧延前の中
間冷間圧延における圧下率を20〜50%としたのは、
20%未満では中間焼鈍により超粗大粒が発生し、最終
冷間圧延における圧下率をいかに調整しても再結晶粒が
粗大粒、細粒の混粒度の大きいものとなって延性の確保
が困難となり、また、50%を超えると最終冷間圧延に
おける圧下率をいかに調整しても再結晶粒が細粒とな
り、透磁率の確保が困難となるからである。なお、この
最終冷間圧延前の中間冷間圧延における圧下率は、望ま
しくは30〜40%である。
【0022】さらに、本発明において最終冷間圧延にお
ける圧下率を40〜75%としたのは、40%未満では
最終冷間圧延前の中間冷間圧延における圧下率を調整し
て中間焼鈍し、再結晶粒を適正均一粒としたものであっ
ても、最終焼鈍での再結晶粒が粗大粒となって延性の確
保が困難となり、また、75%を超えると逆に最終焼鈍
での再結晶粒が細粒となり、透磁率の確保が困難となる
からである。
【0023】
【実施例】
実施例1 製鋼段階で真空脱ガス処理した表1に示す化学組成の未
脱酸キルド鋼を連続鋳造してスラブとなし、熱間圧延に
おける加熱温度は可能な限り低温とし、仕上温度は変態
点以下800℃前後で熱間圧延して600℃前後で巻取
って厚さ2.30mmの熱延鋼帯とした。この熱延鋼帯
を表2に示すとおり、一次冷間圧延、一次連続焼鈍、中
間冷間圧延、中間箱焼鈍、最終冷間圧延、最終連続焼鈍
からなる冷間圧延工程の中間冷間圧延の圧下率を10〜
60%に変化させて冷間圧延し、板厚0.15mmの極
低炭素冷延鋼帯を得た。この各極低炭素冷延鋼帯からJ
IS C 2531の鉄ニッケル磁性合金板および条に
規定のリング試験片(外径45mm、内径33mm)を
打抜き、各リング試験片にCO2:12%、残部窒素、
水素、COからなる雰囲気中、590℃で10分間の黒
化処理を施したうえで、直流磁化による比透磁率(0.
35Oe)を測定すると共に、温度90℃での熱放射率
の測定と、黒化膜の耐剥離性の試験を行った。また、各
極低炭素冷延鋼帯からJIS Z 2201の金属材料
引張試験片に規定の13B号試験片を切出し、JIS
Z 2241に規定の金属材料引張試験方法により引張
伸びを測定した。その結果を表3に示す。なお、熱放射
率は、試験片の熱放射の輝度(あるいは発散度)と、同
温度の黒体の熱放射の輝度(あるいは発散度)との比を
示す。また、黒化膜の耐剥離性を示す黒化膜密着性剥離
限界ρ(mm)については、所定厚みのゲージ板を間に
挟んで試験片を180°折り曲げ、その折り曲げ部にお
いて試験片表面の黒化膜の剥離が生じた時のゲージ板の
厚みの値から簡易的に曲げ半径を求めた。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】表2、表3に示すとおり、最終冷間圧延前
の中間冷間圧延における圧下率が本発明の範囲内の20
〜50%で、最終冷間圧延における圧下率が本発明の範
囲内の60%の試験No.2、3の本発明例の場合は、
0.35 Oeでの比透磁率は1150以上、引張伸び
は36以上と、高透磁率と高延性を備え、しかも、熱放
射率、黒化膜密着性剥離限界に優れた磁気シールド材の
得られることが判明した。これに対し、最終冷間圧延前
の中間冷間圧延における圧下率が本発明の範囲外の10
%の試験No.1の比較例の場合は、0.35 Oeで
の比透磁率は1100と高透磁率を示すが、引張伸びは
25%と低い値を示している。また、最終冷間圧延前の
中間冷間圧延における圧下率が本発明の範囲外の60%
の試験No.4の場合は、引張伸びは43%と高延性を
有しているが、0.35 Oeでの比透磁率は750と
低い値を示している。
【0028】実施例2 製鋼段階で真空脱ガス処理した前記実施例1の表1に示
す化学組成の未脱酸キルド鋼を連続鋳造してスラブとな
し、熱間圧延における加熱温度は可能な限り低温とし、
仕上温度は変態点以下800℃前後で熱間圧延して60
0℃前後で巻取って厚さ2.30mmの熱延鋼帯とし
た。この熱延鋼帯を表4に示すとおり、一次冷間圧延、
一次箱焼鈍、中間冷間圧延、中間箱焼鈍、最終冷間圧
延、最終連続焼鈍からなる冷間圧延工程の中間冷間圧延
の圧下率を30%一定、最終冷間圧延での圧下率を35
〜85%の範囲で変動させて冷間圧延し、板厚0.15
mmの極低炭素冷延鋼帯を得た。この各極低炭素冷延鋼
帯からJIS C 2531の鉄ニッケル磁性合金板お
よび条に規定のリング試験片(外径45mm、内径33
mm)を打抜き、各リング試験片にCO2:12%、残
部窒素、水素、COからなる雰囲気中で、590℃で1
0分間の黒化処理を施したうえで、実施例1と同様に直
流磁化による比透磁率(0.35Oe)を測定すると共
に、温度90℃での熱放射率の測定と、黒化膜の耐剥離
性の試験を行った。また、各極低炭素冷延鋼帯からJI
S Z 2201の金属材料引張試験片に規定の13B
号試験片を切出し、JIS Z 2241に規定の金属
材料引張試験方法により引張伸びを測定した。その結果
を表5に示す。
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】表4、表5に示すとおり、試験No.6〜
8の本発明例の場合は、いずれも0.35 Oeでの比
透磁率は1180以上、引張伸びは38%以上と、高透
磁率と高延性を備え、しかも、熱放射率、黒化膜密着性
剥離限界に優れた磁気シールド材の得られることが判明
した。これに対し、最終冷間圧延における圧下率が本発
明の範囲40〜85%より低い35%の試験No.5の
比較例では、0.35Oeでの比透磁率は1055と高
透磁率であるが、引張伸びは21%と大幅に低くなって
いる。また、最終冷間圧延における圧下率が本発明の範
囲40〜85%より高い試験No.9の比較例では、引
張伸びは40%と高延性を備えているが、0.35 O
eでの比透磁率は805と大幅に低くなっている。
【0032】
【発明の効果】本発明の磁気シールド材の製造方法は、
所定成分の未脱酸キルド鋼を連続鋳造してスラブとな
し、これを熱間圧延したのち、中間焼鈍を挟み2回以上
の冷間圧延を施すに際し、最終冷間圧延前に圧下率20
〜50%で中間冷間圧延して中間焼鈍した後、圧下率4
0〜75%で最終冷間圧延したのち仕上焼鈍することに
よって、仕上焼鈍後の再結晶粒度をJIS G 055
2の鋼のフェライト結晶粒度試験方法に規定の粒度番号
6.5以上7.5以下に制御でき、引張伸びが35%以
上の高伸びを確保できると共に、焼鈍直後の比透磁率
(0.35 Oe)1000以上の高透磁率を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気シールド材の製造工程を例示した
系統図である。
【図2】未脱酸キルド鋼を用いた場合の焼鈍後の再結晶
粒度と比透磁率との関係を示すグラフである。
【図3】未脱酸キルド鋼を用いた場合の焼鈍後の結晶粒
度と引張伸びとの関係を示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.005%以下、Si:0.03
    %以下、Mn:0.15〜0.5%、Al:0.003
    %以下、S:0.01%以下を含有し、残部がFeおよ
    び不可避的不純物からなる未脱酸キルド鋼を連続鋳造に
    よりスラブとなし、このスラブに通常の熱間圧延を施し
    たのち、中間焼鈍を挟み2回以上の冷間圧延を施すに際
    し、最終冷間圧延前に圧下率20〜50%で中間冷間圧
    延して中間焼鈍した後、圧下率40〜75%で最終冷間
    圧延したのち仕上焼鈍することを特徴とする高透磁率・
    高延性を有する磁気シールド材の製造方法。
JP22060296A 1996-08-02 1996-08-02 高透磁率・高延性を有する磁気シールド材の製造方法 Expired - Fee Related JP3275291B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22060296A JP3275291B2 (ja) 1996-08-02 1996-08-02 高透磁率・高延性を有する磁気シールド材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22060296A JP3275291B2 (ja) 1996-08-02 1996-08-02 高透磁率・高延性を有する磁気シールド材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1046249A true JPH1046249A (ja) 1998-02-17
JP3275291B2 JP3275291B2 (ja) 2002-04-15

Family

ID=16753554

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22060296A Expired - Fee Related JP3275291B2 (ja) 1996-08-02 1996-08-02 高透磁率・高延性を有する磁気シールド材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3275291B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100368236B1 (ko) * 1998-12-18 2003-04-21 주식회사 포스코 자기차폐성이 우수한 이너쉴드용 극박냉연강판의 제조방법
JP2011158328A (ja) * 2010-01-29 2011-08-18 Nippon Steel Corp 方向性電磁鋼板の酸化物被膜密着強度評価方法およびその評価装置
JP2017106101A (ja) * 2015-12-04 2017-06-15 Jfeスチール株式会社 無方向性電磁鋼板およびその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100368236B1 (ko) * 1998-12-18 2003-04-21 주식회사 포스코 자기차폐성이 우수한 이너쉴드용 극박냉연강판의 제조방법
JP2011158328A (ja) * 2010-01-29 2011-08-18 Nippon Steel Corp 方向性電磁鋼板の酸化物被膜密着強度評価方法およびその評価装置
JP2017106101A (ja) * 2015-12-04 2017-06-15 Jfeスチール株式会社 無方向性電磁鋼板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3275291B2 (ja) 2002-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0699793B2 (ja) 冷延鋼板の黒化処理方法
RU2109839C1 (ru) Холоднокатаный стальной лист для теневой маски и способ его изготовления
JP3243240B2 (ja) 優れた磁場遮蔽特性を有する薄い冷間圧延内部シールド鋼板を製造する方法
JP3275291B2 (ja) 高透磁率・高延性を有する磁気シールド材の製造方法
JPH1150149A (ja) シャドウマスクフレーム用冷延鋼板の製造方法
CN101353754B (zh) 一种内磁屏蔽用钢及其制造方法
JPH08260051A (ja) 磁気シールド材の製造方法
JP3775215B2 (ja) 磁気シールド材、磁気シールド材用鋼板とその製造方法
JPS60255924A (ja) 磁気シ−ルド部材用素材鋼板の製造方法
JPH10219409A (ja) 磁気シールド用インナーシールド材とその製造方法
JPH11158548A (ja) Tvブラウン管シュリンクバンド用熱延鋼板およびその製造方法
WO2002042509A1 (fr) Procede destine a un masque perfore, procede de fabrication correspondant, masque perfore comprenant des materiaux et tube d'images utilisant le masque perfore
JPH04341541A (ja) 密着性の優れた黒化皮膜を有するtvブラウン管用マスクフレーム材
JPH0564698B2 (ja)
JP4273657B2 (ja) カラー陰極線管磁気シールド用冷延鋼板
JP2000169945A (ja) インナーシールド用素材およびその製造方法
JPH10168551A (ja) Tvブラウン管用磁気シールド材およびその製造方法
JP2005054255A (ja) ブラウン管フレーム用高強度熱延鋼板およびその製造方法、ならびにブラウン管フレーム
JP3599118B2 (ja) 磁気シールド材の製造方法
KR100851162B1 (ko) 인너실드용 극박 냉연강판 제조방법
JP4185000B2 (ja) Tvブラウン管内部磁気シールド用鋼板の製造方法
JP2001240946A (ja) 地磁気シールド性に優れた高強度ヒートシュリンクバンド用鋼板およびその製造方法
JP2003226921A (ja) ブラウン管フレーム用高強度鋼板の製造方法
JPH059665A (ja) 磁気シールド用薄鋼板
JP2001032038A (ja) ヒートシュリンクバンド用鋼板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080208

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090208

FPAY Renewal fee payment

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100208

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100208

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110208

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees