JPH1044949A - 停車維持機能を有する液圧ブレーキ装置 - Google Patents

停車維持機能を有する液圧ブレーキ装置

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JPH1044949A
JPH1044949A JP20063296A JP20063296A JPH1044949A JP H1044949 A JPH1044949 A JP H1044949A JP 20063296 A JP20063296 A JP 20063296A JP 20063296 A JP20063296 A JP 20063296A JP H1044949 A JPH1044949 A JP H1044949A
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JP
Japan
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valve
vehicle
state
control
brake
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Application number
JP20063296A
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English (en)
Inventor
Koyo Ikeda
幸洋 池田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】停車維持機能を有する安価な液圧ブレーキ装置
を得る。 【解決手段】アンチロック制御が実行可能な液圧ブレー
キ装置の、第1電磁開閉弁30および第2電磁開閉弁3
2を共に閉状態としてフロントホイールシリンダ26の
ブレーキ液圧を保持させることにより、停車維持制御を
安価に実現する。停車維持制御の実行開始条件は、例え
ば、車両が停車しており、かつブレーキペダルが操作さ
れていることとする。停車維持制御を終了させる条件
は、操縦者により車両を発進させる操作が行われること
や、操縦者によって意識的に停車維持制御を終了させる
操作が行われることとする。これらの条件は、車両がオ
ートマチックトランスミッション車であるかマニュアル
トランスミッション車であるかによって変更することが
望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用液圧ブレー
キ装置に関するものであり、ブレーキ操作部材の非操作
状態において車両を停車状態に維持する停車維持機能を
有する液圧ブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】実開平1−106318号公報に坂路停
車維持装置の一種が記載されている。これは、車両のト
ルクコンバータまたはクラッチとトランスミッションと
の間に、エンジン回転方向の回転は許容するが、逆方向
の回転は阻止するワンウェイロック機構を設け、登り勾
配の坂路上において車両が後退することを防止するもの
である。オートマチックトランスミッション車(以下、
AT車と略称する)においては、トルクコンバータとト
ランスミッションとを接続する回転軸に対してワンウェ
イロック機構を設け、トルクコンバータのすべりによる
車両の後退を機械的に防止し、マニュアルトランスミッ
ション車(以下、MT車と略称する)においては、クラ
ッチとトランスミッションとを接続する回転軸に対して
ワンウェイロック機構を設け、クラッチが切られた状態
における車両の後退を機械的に防止するのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この坂路停車維持装置
はワンウェイロック機構を必要とし、このワンウェイロ
ック機構は車両の後退を防止し得るものであることが必
要であるため、相当の強度を必要とし、大形となってコ
ストが高くなることを避け得ない。また、車両走行中に
おける騒音の発生や摩擦抵抗によるエネルギ損失を回避
するために、ワンウェイロック機構を非作用状態に保つ
装置を設けることが望ましく、その場合には構成が複雑
となって一層コストが高くなる。
【0004】本願の請求項1に係る第1発明は、アンチ
ロック型液圧ブレーキ装置を利用して停車維持の目的を
安価に達成することを課題として為されたものである。
また、請求項2に係る第2発明は、停車維持制御を行う
べきではない場合、および停車維持制御を行っても効果
が得られない場合には、停車維持制御が行われない液圧
ブレーキ装置を得ることを課題として為されたものであ
り、請求項3に係る第3発明は、停車維持制御が無駄に
行われることを良好に回避し得る液圧ブレーキ装置を得
ることを課題として為されたものであり、請求項4に係
る第4発明は、停車維持制御が自動的に解除される液圧
ブレーキ装置を得ることを課題として為されたものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段,作用および発明の効果】
上記課題を解決するために、第1発明は、特殊な構成の
アンチロック型液圧ブレーキ装置、例えば、特開平7−
251727に記載されているアンチロック型液圧ブレ
ーキ装置に適用される。このアンチロック型液圧ブレー
キ装置は、(1)ブレーキ操作部材の操作に応じた液圧を
発生させるマスタシリンダと、(2) リヤホイールシリン
ダの作動により後輪の回転を抑制するリヤブレーキと、
(3) フロントホイールシリンダの作動により前輪の回転
を抑制するフロントブレーキと、(4) マスタシリンダと
リヤホイールシリンダとを接続する第1主通路に互いに
直列にかつマスタシリンダに近い側から順に設けられた
第1電磁開閉弁および第2電磁開閉弁と、(5) 第1主通
路の第1電磁開閉弁と第2電磁開閉弁との間の部分から
分岐してフロントホイールシリンダに接続された第2主
通路と、(6) リザーバ通路により、第1主通路の第2電
磁開閉弁とリヤホイールシリンダとの間の部分に接続さ
れたリザーバと、(7) そのリザーバと第1主通路の第1
電磁開閉弁と第2電磁開閉弁との間の部分とを接続する
ポンプ通路に設けられ、リザーバからくみ上げたブレー
キ液を第1主通路に供給するポンプと、(8) リザーバ通
路に設けられた第3電磁開閉弁と、(9) 第1主通路の第
1電磁開閉弁および第2電磁開閉弁を直列に含む部分を
バイパスしてリヤホイールシリンダとマスタシリンダと
を接続するバイパス通路に設けられ、リヤホイールシリ
ンダからマスタシリンダへのブレーキ液の流れは許容す
るが逆向きの流れは阻止する逆止弁と、(10)制動時にお
ける前輪と後輪とのスリップ状態が適正状態になるよう
に第1,第2および第3電磁開閉弁を制御するアンチロ
ック制御手段とを含むように構成される。上記特開平7
−251727に記載のアンチロック型液圧ブレーキ装
置は、上記構成要素の他に、第1主通路の第1電磁開閉
弁のみをバイパスするバイパス通路に設けられ、第2電
磁開閉弁側からマスタシリンダ側へのブレーキ液の流れ
は許容するが、逆向きの流れは阻止する逆止弁を含むよ
うに構成されているが、本願の第1発明においては、こ
のバイパス通路および逆止弁を無くし、代わりに、停車
維持制御の開始条件が成立したことを検出し、停車維持
開始条件成立信号を発する停車維持開始条件成立検出手
段と、その停車維持開始条件成立検出手段が発する停車
維持開始条件成立信号に応じて前記第1電磁開閉弁と前
記第2電磁開閉弁とを共に閉状態に保つことにより、フ
ロントホイールシリンダの液圧を保持する停車維持制御
手段とが設けられる。
【0006】このように構成された液圧ブレーキ装置に
おいては、停車維持開始条件成立検出手段が停車維持制
御の開始条件が成立したことを検出すれば停車維持開始
条件成立信号を発し、その信号に応じて停車維持制御手
段が第1電磁開閉弁と第2電磁開閉弁とを共に閉状態に
保つ。その結果、フロントホイールシリンダがマスタシ
リンダ,リヤホイールシリンダ,リザーバ等他の構成要
素から遮断され、ブレーキ液の流出入が不可能な状態と
なるため、フロントホイールシリンダの液圧が保持され
て前輪の回転抑制状態が保たれ、車両の停車状態が維持
される。停車維持開始条件成立検出手段および停車維持
制御手段はアンチロック制御用のコンピュータの一部を
利用して構成することができ、かつ、これら以外の構成
要素はアンチロック型液圧ブレーキ装置として不可欠の
構成要素であるから、安価に目的を達成することができ
る。
【0007】なお、第1主通路の第1電磁開閉弁のみを
バイパスするバイパス通路および逆止弁は、フロントホ
イールシリンダからのブレーキ液の流出流量を大きく
し、フロントブレーキの解除を迅速にするために設けら
れるものである。ブレーキ操作部材が原位置に復帰させ
られ、マスタシリンダの液圧が低下させられた場合に
は、ホイールシリンダのブレーキ液は第1電磁開閉弁を
経てマスタシリンダに戻るのであるが、この流量は比較
的小さく抑えられるのが普通である。一般に、車両搭載
用の電磁開閉弁はソレノイドを小形化するために、弁孔
を小さくせざるを得ない。そのため、ブレーキ液の流れ
が絞られ、流量が小さく抑えられるのである。第1電磁
開閉弁も例外ではなく、ホイールシリンダからのブレー
キ液の流出流量が小さく抑えられて、ブレーキ解除が迅
速に行われないため、従来は、第1電磁開閉弁のバイパ
ス通路に逆止弁が設けられていたのである。
【0008】しかしながら、本願発明の発明者は、特開
平7−251727に記載の前記アンチロック型液圧ブ
レーキ装置においては、ブレーキ解除時に、フロントホ
イールシリンダからは、第1電磁開閉弁を経る通路と、
その第1電磁開閉弁をバイパスする通路と、第2電磁開
閉弁および前記の逆止弁とを経る通路との3つの通路
を経てブレーキ液が流出し得るため、第1電磁開閉弁を
バイパスするバイパス通路および逆止弁を省略しても、
フロントブレーキの解除速度に実用上問題となるような
不足は生じないことに気付いた。また、これらバイパス
通路および逆止弁を省略すれば、第1,第2電磁開閉弁
を共に閉状態とすることによりフロントホイールシリン
ダにブレーキ液圧を封じ込め得ることに気付き、この事
実を停車維持の目的に利用することに想到して、第1発
明を完成したのである。
【0009】第2発明においては、前記課題が、第1発
明における停車維持開始条件成立検出手段を、少なくと
も、車両が停車状態にあることを検出する停車状態検出
手段と、当該液圧ブレーキ装置が作動中であることを検
出する制動中検出手段とを含むものとすることにより解
決される。車両の走行中に停止維持制御が行われれば、
運転者がブレーキ操作を解除してもフロントブレーキは
解除されず、車両が運転者の意志に反して停車してしま
うことになるため、停車維持制御は停車状態においての
み行われることが望ましい。また、マスタシリンダおよ
びフロントホイールシリンダに液圧が作用していない状
態で停車維持制御が行われても、封じ込められる液圧が
存在しないのであるから停車維持の効果は得られない。
したがって、停車維持開始条件成立検出手段は、停車状
態検出手段と制動中検出手段とを含むものとされること
が望ましい。
【0010】第3発明においては、前記課題が、第2発
明における停車維持開始条件成立検出手段を、さらに、
車両が坂路上にあることを検出する坂路検出手段と、パ
ーキングブレーキが非作用状態にあるとを検出するパー
キングブレーキ非作用状態検出手段と、トランスミッシ
ョンがニュートラル状態にあることを検出するニュート
ラル検出手段との少なくとも1つを含むものとすること
により解決される。水平路上においても停車維持制御を
行うことが可能であるが、効果が最も顕著であるのは車
両が坂路上で停車している場合である。したがって、停
車維持開始条件成立検出手段は坂路検出手段を含むこと
が望ましい。また、パーキングブレーキが作用状態にあ
れば、停車維持制御を行うことは無駄であることが多い
ため、停車維持開始条件成立検出手段はパーキングブレ
ーキ非作用状態検出手段を含むことが望ましい。さら
に、トランスミッションがニュートラル状態にあるとい
うことは、運転者が停車状態を維持する意志を持ってい
ることの証拠の一つであるため、停車維持開始条件成立
検出手段はニュートラル検出手段を含むことが望まし
い。
【0011】停車維持開始条件成立検出手段が、坂路検
出手段,パーキングブレーキ非作用状態検出手段および
ニュートラル検出手段のうちの複数を含む場合には、停
車維持制御手段が、それら複数の検出結果が共に肯定の
場合に停車維持制御を行うようにすることも、いずれか
1つの検出結果が肯定の場合に停車維持制御を行うよう
にすることも可能である。前者においては、真に停車維
持制御が必要である場合にのみ制御が実行され、後者に
おいては、停車維持制御が必要である可能性があれば制
御が実行されることとなる。
【0012】坂路検出手段は、車両が登り勾配の坂路上
に停車している場合にのみ坂路と検出するものとするこ
とも、登り勾配と下り勾配との両方において坂路と検出
するものとすることも可能である。前者においては登り
勾配の坂路においてのみ停車維持制御が行われ、後者に
おいては登り勾配と下り勾配との両方において行われ
る。液圧ブレーキ装置に、登り勾配の坂路においてのみ
停車維持制御が行われる状態と、登り勾配と下り勾配と
の両方において行われる状態とを選択する選択手段を設
けることも可能である。選択手段は、坂路検出手段の作
動状態を選択するものとすることも、停車維持制御手段
の作動状態を選択するものとすることも可能である。い
ずれにしても、登り勾配と下り勾配との両方において停
車維持制御が行われる場合には、前記実開平1−106
318号公報に記載の停車維持装置に比較して、下り勾
配においても停車維持が可能である利点が得られる。
【0013】第4発明においては、前記課題が、第1な
いし第3発明のいずれかにおける液圧ブレーキ装置に、
停車維持制御手段による停車維持を解除する条件が成立
したことを検出し、停車維持解除条件成立信号を発する
停車維持解除条件成立検出手段と、その停車維持解除条
件成立検出手段が発する停車維持解除条件成立信号に応
じて前記停車維持制御手段に停車維持制御を終了させる
停車維持制御終了手段とを付加することにより解決され
る。この構成の液圧ブレーキ装置においては、停車維持
解除条件成立検出手段の検出結果に基づいて停車維持制
御終了手段により自動的に停車維持制御が終了させられ
る。停車維持解除条件は、停車維持の目的に合わせて種
々設定するとができるが、例えば、AT車においては、
トランスミッションがドライブ,セカンド,ロウ,リバ
ース等ニュートラルおよびパーキング以外の状態にされ
たこと、MT車においては、トランスミッションがニュ
ートラル以外の状態にされるとともにクラッチが接状態
にされたことを停車維持解除条件とすることができる。
また、ブレーキ操作部材が操作されたことを停車維持解
除条件とすることもできる。ブレーキ操作が行われれば
停車維持制御の必要性がなくなるのが普通であるからで
ある。さらに、ブレーキ操作部材が一瞬原位置から作用
位置に向かって操作され、再び原位置に戻された場合に
停車維持制御が終了させられるようにすれば、ブレーキ
操作部材を運転者の停車維持制御解除の意志を入力する
入力手段として利用することができる。
【0014】
【発明の望ましい実施態様】本発明は上記各請求項に記
載の態様の外に、下記の態様でも実施可能である。実施
の態様は、便宜上、請求項と同じ形式の実施態様項とし
て記載する。ただし、複数の請求項または実施態様項に
従属する実施態様項にさらに従属する実施態様項は、そ
れら複数の請求項または実施態様項のすべてについて読
み得るとは限らず、論理的矛盾なく読み得る項のみにつ
いて読まれるべきものとする。 (1)前記第1主通路のうち前記第1電磁開閉弁と前記
第2電磁開閉弁との間の部分に、前記マスタシリンダか
ら前記リヤホイールシリンダへのブレーキ液の流れは減
圧することなく許容するが、逆向きの流れは減圧しつつ
許容する減圧装置が設けられた請求項1〜4のいずれか
1つに記載の液圧ブレーキ装置。 (2)前記減圧装置が、開弁圧が実質的にゼロでなく、
かつ、前記リヤホイールシリンダから前記マスタシリン
ダへのブレーキ液の流れは許容するが逆向きの流れは阻
止する第1逆止弁と、開弁圧が実質的にゼロであり、か
つ、前記マスタシリンダから前記リヤホイールシリンダ
へのブレーキ液の流れは許容するが逆向きの流れは阻止
する第2逆止弁とを、互いに並列に接続して成るもので
ある実施態様項1に記載の液圧ブレーキ装置。 (3)前記第1主通路のうち前記第2電磁開閉弁と前記
リヤホイールシリンダとの間の、前記リザーバ通路およ
び前記バイパス通路が接続される位置よりもリヤホイー
ルシリンダ側の部分に、プロポーショニングバルブが設
けられた請求項1〜4,実施態様項1,2のいずれか1
つに記載の液圧ブレーキ装置。 (4)前記バイパス通路が接続される位置が、前記第1
主通路上において、前記リザーバ通路が接続される位置
よりも前記プロポーショニングバルブ側とされ、前記第
1主通路のうち前記バイパス通路が接続される位置と前
記リザーバ通路が接続される位置との間の部分に、前記
マスタシリンダから前記リヤホイールシリンダへのブレ
ーキ液の流れは抑制することなく許容するが、逆向きの
流れは抑制しつつ許容する流通抑制装置が設けられた請
求項1〜4,実施態様項1〜3のいずれか1つに記載の
液圧ブレーキ装置。 (5)前記流通抑制装置が、実質的な開弁圧がゼロであ
り、かつ、前記マスタシリンダから前記リヤホイールシ
リンダへのブレーキ液の流れは許容するが逆向きの流れ
は阻止する逆止弁と、ブレーキ液の流れを抑制する絞り
とが、互いに並列に接続されて成るものである実施態様
項4に記載の液圧ブレーキ装置。 (6)前記アンチロック制御手段が、前記第1,第2ま
たは第3電磁開閉弁を、それぞれ独立に、開状態または
閉状態に静的に保つ基本制御と、開状態と閉状態とが交
互に動的に切り換わる開閉繰返状態にする補助制御とを
実行する基本および補助制御実行手段を含む請求項1〜
4,実施態様項1〜5のいずれか1つに記載の液圧ブレ
ーキ装置。 (7)前記基本および補助制御実行手段が、前記補助制
御の周期と開状態の期間との比であるデューティ比を、
前記各電磁開閉弁ごとに独立に変更するデューティ比変
更手段を含む実施態様項6に記載の液圧ブレーキ装置。 (8)前記基本および補助制御実行手段が、前記第1電
磁開閉弁を前記基本制御により閉状態とし、前記第2お
よび第3電磁開閉弁を前記補助制御により開閉繰返状態
とすることにより、少なくとも前記フロントホイールシ
リンダの液圧を実質的に保持するホイールシリンダ液圧
保持手段を含むことを特徴とする実施態様項6または7
に記載の液圧ブレーキ装置。 (9)前記基本および補助制御実行手段が、前記デュー
ティ比変更手段と前記ホイールシリンダ液圧保持手段と
を共に含んで、前記デューティ比変更手段により前記第
2電磁開閉弁のデューティ比を前記第3電磁開閉弁のデ
ューティ比より大きくすることにより、前記ホイールシ
リンダ液圧保持手段に、前記フロントホイールシリンダ
と前記リヤホイールシリンダとの液圧を共に実質的に保
持させる実施態様項8に記載の液圧ブレーキ装置。 (10)前記停車維持開始条件成立検出手段が、前記停
車状態検出手段が車両が停車状態にあることを検出する
とともに、前記制動中検出手段が当該液圧ブレーキ装置
が作用中であることを検出した場合に、停車維持の必要
性を検出するものである請求項2〜4,実施態様項1〜
9のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。 (11)前記停車維持解除条件成立検出手段が、クラッ
チペダルが操作されたことを検出するクラッチペダル操
作状態検出手段と、ブレーキペダルが操作されたことを
検出するブレーキペダル操作状態検出手段と、パーキン
グブレーキレバーが操作されたことを検出するパーキン
グブレーキレバー操作状態検出手段との少なくとも1つ
を含むことを特徴とする請求項4、実施態様項1〜10
のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。 (12)前記停車維持解除条件成立検出手段が、クラッ
チが接続されたことを検出するクラッチ接続検出手段
と、そのクラッチ接続検出手段による検出結果がクラッ
チが接続されたことを示し、かつ、前記ニュートラル検
出手段による検出結果がニュートラル状態にないことを
示す場合に、前記停車維持解除条件の成立を検出するク
ラッチ接続状態依拠型検出手段を含むことを特徴とする
請求項4,実施態様項1〜11のいずれか1つに記載の
液圧ブレーキ装置。後に、発明の実施の形態で説明する
ように、実施態様項10は、AT車およびMT車に共に
適用でき、実施態様項11および12は、MT車に適用
できる態様である。 (13)前記停車維持開始条件成立検出手段が、さらに
トランスミッションがニュートラルまたはパーキングの
状態でない走行可能状態にあることを検出する走行可能
状態検出手段を含み、前記停車状態検出手段が車両が停
車状態にあることを検出し、かつ、前記制動中検出手段
が当該液圧ブレーキ装置が作用中であることを検出する
とともに、前記走行可能状態検出手段が車両が走行可能
状態であることを検出した場合に、停車維持の必要性を
検出するものである請求項2〜4,実施態様項1〜12
のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。 (14)前記停車維持解除条件成立検出手段が、アクセ
ルペダルが操作されたことを検出するアクセルペダル操
作状態検出手段を含み、前記走行可能状態検出手段が車
両が走行可能状態であることを検出するとともに、前記
アクセルペダル操作状態検出手段がアクセルペダルが操
作されたことを検出した場合に、停車維持の解除の必要
性を検出するものであることを特徴とする実施態様項1
3に記載の液圧ブレーキ装置。AT車においては、トラ
ンスミッションがニュートラルまたはパーキングの状態
でない場合に、アクセルペダルを操作しなくても車両が
わずかに走行する。これをクリープ現象と称する。クリ
ープ現象は、例えば渋滞中のような、停車・発進の繰り
返しの頻度が大きい場合に、ブレーキペダル,パーキン
グブレーキレバー,シフトレバー等の操作頻度や操作継
続時間を増大させ、操縦者にかかる負担を増大させるこ
とがある。実施態様項13および14の液圧ブレーキ装
置は、このような負担を軽減させる上においても有効な
ものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態は、ダ
イヤゴナル2系統式のアンチロック型ブレーキシステム
であり、まず、その機械的な構成を説明する。図1にお
いて符号10はマスタシリンダを示している。マスタシ
リンダ10は互いに独立した2つの加圧室が直列に並ん
だタンデム型である。このマスタシリンダ10は、ブー
スタ12を介してブレーキ操作部材としてのブレーキペ
ダル14に連携させられており、運転者によるブレーキ
ペダル14の踏込みに応じて2つの加圧室に互いに等し
い高さの液圧を機械的に発生させる。
【0016】マスタシリンダ10の一方の加圧室には、
左前輪FLのホイールシリンダと右後輪RRのホイール
シリンダとがそれぞれ接続され、他方の加圧室には、右
前輪FRのホイールシリンダと左後輪RLのホイールシ
リンダとがそれぞれ接続されている。マスタシリンダ1
0の各加圧室から延びる2つのブレーキ系統が互いに独
立してダイヤゴナルに構成されているのである。以下、
一方のブレーキ系統のみを詳細に説明し、他のブレーキ
系統については構成が共通するため、説明を省略する。
【0017】マスタシリンダ10の一方の加圧室は第1
主通路20によりリヤホイールシリンダ22(図の例で
は右後輪RLのホイールシリンダ)に接続されている。
第1主通路20の途中から第2主通路24が分岐させら
れており、その先端にフロントホイールシリンダ26
(図の例では左前輪FRのホイールシリンダ)が接続さ
れている。第1主通路20のうち第2主通路24への分
岐位置よりマスタシリンダ10の側の部分には第1電磁
開閉弁30が設けられている。この第1電磁開閉弁30
は常開の電磁開閉弁である。
【0018】第1主通路20のうち第1電磁開閉弁30
よりもリヤホイールシリンダ22側の部分には、常開の
電磁開閉弁である第2電磁開閉弁32が設けられてい
る。さらに、第1主通路20のうちその第2電磁開閉弁
32とリヤホイールシリンダ22との間の部分にはリザ
ーバ通路34が接続されている。リザーバ通路34はリ
ザーバ36から延びており、その途中に常閉の第3電磁
開閉弁38が設けられている。リザーバ36からはま
た、ポンプ通路40も延びている。ポンプ通路40の途
中にはリザーバ36からブレーキ液を汲み上げるポンプ
42が設けられている。このポンプ42はモータ44に
よって駆動され、それの吐出口は第1主通路20のうち
第2電磁開閉弁32よりマスタシリンダ10側の部分に
接続されている。
【0019】第1主通路20のうちリザーバ通路34の
接続位置とリヤホイールシリンダ22との間の部分には
プロポーショニングバルブ(以下、Pバルブと略称す
る。)46が設けられている。Pバルブ46は、よく知
られているように、入力圧(マスタシリンダ圧またはポ
ンプ吐出圧)が折れ点圧に達するまでは、入力圧をその
まま出力圧としてリヤホイールシリンダ22に伝達する
が、入力圧が折れ点圧に達した後には、車両前方への荷
重移動に起因する後輪ロックを回避するため、入力圧を
一定比率で減圧した液圧を出力圧としてリヤホイールシ
リンダ22に伝達する。
【0020】第1主通路20のうち第2電磁開閉弁32
とPバルブ46との間の部分の、リザーバ通路34が接
続される部分よりもPバルブ46側の部分は、バイパス
通路48により、第1主通路20のうちマスタシリンダ
10と第1電磁開閉弁30との間の部分に接続されてい
る。このバイパス通路48には逆止弁50が設けられて
いる。逆止弁50は、マスタシリンダ10からバイパス
通路48を通ってリヤホイールシリンダ22に向かう向
きのブレーキ液の流れは阻止するがその逆向きの流れは
許容する。
【0021】第1主通路20のうちポンプ通路40との
接続位置よりマスタシリンダ10側の部分には減圧装置
52が設けられている。この減圧装置52は、開弁圧が
実質的に0でない第1逆止弁54と開弁圧が実質的に0
である第2逆止弁56とが互いに逆向きかつ並列に接続
された構成とされている。また、第1主通路20のう
ち、バイパス通路48が接続位置とリザーバ通路34の
接続位置との間の部分には、流通制限装置57が設けら
れている。流通制限装置57は、絞り58と、開弁圧が
実質的に0である逆止弁60とが、それらが互いに並列
な状態で接続されたものである。逆止弁60は、マスタ
シリンダ10からPバルブ46に向かうブレーキ液の流
れは許容するが、その逆向きの流れは阻止する。また、
絞り58は、双方向の流れを抑制する。したがって、マ
スタシリンダ10からPバルブ46に向かうブレーキ液
の流れは主に逆止弁60を通るので流路抵抗が小さい
が、その逆向きの流れは絞り58のみを通るため、流路
抵抗が大きくなり、流通が抑制される。つまり、リヤホ
イールシリンダ22の液圧の減圧勾配が小さくされるの
である。
【0022】ここで、マスタシリンダ10,ポンプ4
2,フロントホイールシリンダ26およびリヤホイール
シリンダ22の間でのブレーキ液の流れを説明する。通
常ブレーキ状態では、第1電磁開閉弁30および第2電
磁開閉弁32が開状態にあり、第3電磁開閉弁38が閉
状態にあるから、マスタシリンダ10からのブレーキ液
が第1電磁開閉弁30を経てフロントホイールシリンダ
26に供給されるとともに、第1電磁開閉弁30,第2
逆止弁56等を経てリヤホイールシリンダ22にも供給
される。第2逆止弁56と逆止弁60との開弁圧は実質
的に0であるから、結局、フロントホイールシリンダ2
6とリヤホイールシリンダ22とに互いに等しい高さの
ブレーキ圧が作用することになる。ただし、リヤホイー
ルシリンダ22の液圧は、Pバルブ46の折れ点以上の
領域では、フロントホイールシリンダ26の液圧より低
くなる。
【0023】これに対し、アンチロック制御状態では、
基本的に第1電磁開閉弁30が閉状態にあり、ポンプ4
2から吐き出されたブレーキ液はフロントホイールシリ
ンダ26には第1逆止弁54を経て供給される一方、リ
ヤホイールシリンダ22(Pバルブ46)にはそのまま
供給される。第1逆止弁54の開弁圧は実質的に0では
ないから、結局、フロントホイールシリンダ26に後輪
ブレーキ圧より第1逆止弁54の開弁圧だけ低い圧力が
供給されることとなる。
【0024】なお、図1に示した本実施形態の液圧ブレ
ーキ装置の構成要素のうち、リヤホイールシリンダ22
およびPバルブ46以外のものは、車両のフロント側に
搭載される。その結果、第1主通路20のうち流通制限
装置57とPバルブとの間の部分が長くなり、その部分
における流路抵抗が大きくなる。そのために、アンチロ
ック制御中のフロントホイールシリンダ26に対する減
圧制御時に、フロントホイールシリンダ26から流出し
た作動液が、リヤホイールシリンダ22に流入し難くな
っている。
【0025】次に、本ブレーキシステムの電気的な構成
を説明する。前記第1電磁開閉弁30,第2電磁開閉弁
32,第3電磁開閉弁38およびモータ44はコントロ
ーラ62により制御される。コントローラ62は図2に
示すように、CPU(プロセッサの一例)64,ROM
(メモリの一例)66およびRAM(メモリの別の例)
68を含むコンピュータ70を主体として構成されてい
る。ROM66にアンチロック制御を実行するための各
種プログラムが予め記憶されており、CPU64がRA
M68を利用しつつ各種プログラムを実行することによ
りアンチロック制御が実行される。
【0026】アンチロック制御は、車両制動時に各輪の
スリップが過大となることを防止する制御であり、運転
者によるブレーキペダル14の操作がブレーキスイッチ
72により検出されてコントローラ62に供給され、ま
た、各輪の回転速度である車輪速度が各車輪速度センサ
74により検出されてコントローラ62に供給される。
さらに、パーキングブレーキのレバーが引かれている場
合にONとなるパーキングブレーキスイッチ76と、ク
ラッチペダルが踏み込まれている場合にONとなるクラ
ッチスイッチとの出力も、コントローラ62に供給され
る。なお、以下の説明に使用する図において、ブレーキ
スイッチ72,パーキングブレーキスイッチ76および
クラッチスイッチ78を、それぞれ、BRK SW,P
KB SWおよびCLH SWと簡略化して示す。一
方、コントローラ62の出力側には、第1電磁開閉弁3
0,第2電磁開閉弁32および第3電磁開閉弁38が接
続され、さらに、モータ44も接続されている。
【0027】アンチロック制御は、コンピュータ70が
ROM66に予め記憶されているアンチロック制御プロ
グラムを実行することにより実現される。アンチロック
制御プログラムは、図示しないイグニッションスイッチ
がONである期間中継続して実行されるプログラムであ
り、図3はその内容の一例を示すフローチャートであ
る。まず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。
他のステップについても同じとする。)において、各種
センサ,各種アクチュエータについてイニシャルチェッ
クが行われる。次に、S2において、アンチロック制御
に必要な数値等を演算する基本演算が行われる。
【0028】その詳細が図4に示されている。まず、S
11において、各車の車輪速度センサ74からの信号に
基づいて車輪速度が演算され、次に、S12において、
各輪につき、相前後して演算された複数の車輪速度に基
づいて車輪加速度が演算される。その後、S13におい
て、複数の車輪の車輪速度に基づいて推定車体速度が演
算され、続いて、S14において、相前後して演算され
た複数の推定車体速度に基づいて推定車体減速度が演算
される。その後、S15において、各輪につき、推定車
体速度から車輪速度を引き算することによってスリップ
量が演算される。
【0029】以上のようにして1回の基本演算が終了す
れば、次に、図3のS3において、それら基本演算の結
果に基づき、各輪ブレーキ圧を制御する各輪制御が行わ
れる。その詳細が図5に示されている。まず、S21に
おいて右前輪について制御が行われ、次に、S22にお
いて左前輪について制御が行われ、さらに、S23にお
いて右後輪について制御が行われ、最後に、S24にお
いて左後輪について制御が行われる。以上でアンチロッ
ク制御プログラムの一回の実行が終了する。その後は、
図3に示したアンチロック制御の、S2における基本演
算と、S3における各輪制御とが交互に繰り返し実行さ
れる。
【0030】アンチロック制御プログラムのうち図5の
各輪制御を実行する部分を詳細に説明する。この部分
は、各輪につき、ブレーキ圧を制御するための、減圧モ
ード,増圧モード,緩増圧モードおよび保持モードの中
から、ブレーキ圧について実現すべき一のモード(制御
要求)を選択する。具体的には、各輪につき、車輪加速
度とスリップ量と推定車体減速度とに基づき、スリップ
が過大でありかつ増大傾向にあるか、回復傾向にある
か、回復後であるかを判別し、予め定められた規則(以
下、モード選択規則と略称する)に従ってモードを選択
する。なお、「増圧モード」には、「マスタシリンダ増
圧モード」と「ポンプ増圧モード」との2種類がある。
「マスタシリンダ増圧モード」は、第1電磁開閉弁30
を開いてマスタシリンダ10によって各輪を急に増圧す
るモードであり、「ポンプ増圧モード」は、第1電磁開
閉弁30を閉じてポンプ42によって各輪を増圧するモ
ードである。
【0031】上述のモード選択規則が図6および図7に
それぞれ示されている。モード選択規則は、リザーバ3
6においてブレーキ液が不足せず、ポンプ42によって
各輪ブレーキ圧を増圧できるときと、ブレーキ液が不足
し、ポンプ42による増圧ができないときとで異なり、
図6には、リザーバ36においてブレーキ液が不足しな
いとき(以下、「リザーバが空でないとき」という。)
のモード選択規則、図7には、リザーバ36においてブ
レーキ液が不足しているとき(以下、「リザーバが空で
あるとき」という。)のモード選択規則がそれぞれ示さ
れている。
【0032】これらのモード選択規則によれば、リザー
バ36が空でないときには、図6に示すように、車両制
動時、後輪のみにロック傾向が生じ、後輪についてのみ
アンチロック制御が実行されれば、前輪については勿論
マスタシリンダ増圧モード(図において「M増」で表
す。)が選択されるが、後輪については、後輪のスリッ
プの如何によって選択されるモードが異なる。すなわ
ち、スリップが過大となりかつ増大傾向にあれば、減圧
モード(図において単に「減」で表す。)が選択され、
スリップの回復傾向が生じれば、保持モード(図におい
て単に「保」で表す。)が選択され、スリップが回復し
た後であれば、緩増圧モード(図において単に「緩増」
で表す。)が選択されるのである。
【0033】これに対し、前輪についてスリップが過大
となりかつ増大傾向が生じると、後輪のスリップの如何
を問わず、前後両輪について減圧モードが選択される。
また、前輪についてスリップの回復傾向が生じれば、後
輪のスリップの如何を問わず、前輪について保持モード
が選択される。この場合に、後輪についてアンチロック
制御が実行されていなければ、後輪についてポンプ増圧
モード(図において単に「P増」で表す。)が選択さ
れ、スリップが過大となりかつ増大傾向が生じていれ
ば、減圧モードが選択され、スリップ回復傾向が生じて
いれば、保持モードが選択され、スリップ回復後であれ
ば、ポンプ増圧モードが選択される。また、前輪のスリ
ップが回復した後には、後輪についてアンチロック制御
が実行されていなければ、前後両輪について緩増圧モー
ドが選択され、後輪のスリップが過大となりかつ増大傾
向が生じていれば、前輪についてはポンプ増圧モード、
後輪については減圧モードが選択され、後輪のスリップ
に回復傾向が生じていれば、前輪についてはポンプ増圧
モード、後輪については保持モードが選択され、後輪の
スリップが回復した後であれば、前後両輪について緩増
圧モードが選択される。
【0034】これに対し、リザーバ36が空であるとき
には、図7に示すように、基本的にはリザーバ36が空
でないときと共通するが、前輪についてはポンプ増圧モ
ードがマスタシリンダ増圧モードに変わる点で相違す
る。すなわち、前輪のスリップ回復後に、後輪のスリッ
プが過大となりかつその増大傾向が生じれば、前輪につ
いてはマスタシリンダ増圧モード、後輪については減圧
モードがそれぞれ選択され、また、前輪のスリップ回復
後に、後輪にスリップ回復傾向が生じれば、前輪につい
てはマスタシリンダ増圧モード、後輪については保持モ
ードがそれぞれ選択されるのである。また、前輪にスリ
ップ回復傾向が生じた場合、後輪についてアンチロック
制御が実行されていないときと後輪のスリップが回復し
た後にあるときとでは、リザーバ36が空でないときと
同様にポンプ増圧モードが選択はされるが、リザーバ3
6が空であってポンプ42による増圧はできないため、
結局、後輪ブレーキ圧も前輪ブレーキ圧と同様に保持さ
れることになる。
【0035】次に、上記各モードを実現するための各電
磁開閉弁の制御の具体例を説明する。まず、本実施形態
の液圧ブレーキ装置において、各電磁開閉弁を静的な状
態に保つ基本制御と、各電磁開閉弁の状態を動的に制御
する補助制御とについて説明する。 基本制御について 各電磁開閉弁30,32,38は、開状態と閉状態との
2状態に切換可能な電磁開閉弁であるため、それら3つ
の電磁開閉弁30,32,38の開閉状態の組合せは8
つとなる。その8つの組合せが図8に示されている。な
お、図において、「○」は各電磁開閉弁30,32,3
8が開状態、「×」は閉状態にあることをそれぞれ表
す。また、「Fr」は前輪、「Rr」は後輪をそれぞれ
表す。また、「M/C増圧」はマスタシリンダ増圧モー
ドを表す。
【0036】前輪のモードがマスタシリンダ増圧モード
である場合(図においてNo. 1〜3)には、第1電磁開
閉弁30は、後輪のモードの如何を問わず、開状態とな
る。ただし、第2電磁開閉弁32および第3電磁開閉弁
38は後輪のモードの如何によって異なり、マスタシリ
ンダ増圧モードである場合(図においてNo. 1)には、
第2電磁開閉弁32は開状態、第3電磁開閉弁38は閉
状態となり、保持モードである場合(図においてNo.
2)には、第2電磁開閉弁32も第3電磁開閉弁38も
閉状態となり、減圧モードである場合(図においてNo.
3)は、第2電磁開閉弁32は閉状態、第3電磁開閉弁
38は開状態となる。なお、前輪も後輪もモードがマス
タシリンダ増圧モードである場合(図においてNo. 1)
は、通常ブレーキ時に相当する。
【0037】前輪のモードがポンプ増圧モードである場
合(図においてNo. 4,5)である場合には、第1電磁
開閉弁30は、後輪のモードの如何を問わず、閉状態と
なる。そして、後輪のモードが保持モードである場合
(図においてNo. 4)には、第2電磁開閉弁32も第3
電磁開閉弁38も閉状態となり、減圧モードである場合
(図においてNo. 5)には、第2電磁開閉弁32は閉状
態、第3電磁開閉弁38は開状態となる。前輪のモード
が保持モード、後輪がポンプ増圧モードである場合(図
においてNo. 6)である場合には、第1電磁開閉弁30
は閉状態、第2電磁開閉弁32は開状態、第3電磁開閉
弁38は閉状態となる。なお、この場合において、前輪
のモードが保持モードとなるには、リヤホイールシリン
ダ22の液圧がフロントホイールシリンダ26の液圧に
第1逆止弁54の開弁圧を加えた液圧以下でなければな
らない。そうでなければ、第1逆止弁54が開かれるこ
ととなり、前輪もポンプ増モードとなる。しかし、図6
および図7より明らかなように、本モードが選択される
のは、前輪のモードが保持モードで(増圧の必要がない
程度に高く))、後輪の液圧がポンプ増圧が必要な(高
くない)場合なので、事実上、リヤホイールシリンダ2
2の液圧がフロントホイールシリンダ26の液圧に第1
逆止弁54の開弁圧を加えた液圧を越えることはなく、
前輪のモードを保持モードにできるのである。
【0038】前輪も後輪も減圧モードである場合(図に
おいてNo. 7)には、第1電磁開閉弁30は閉状態、第
2電磁開閉弁32も第3電磁開閉弁38も開状態とな
る。なお、同図のモード表には、すべての電磁開閉弁3
0,32,38が開状態となる電磁開閉弁制御状態(図
においてNo. 8)が示されているが、これは電磁開閉弁
30,32,38の開閉状態の組合せをすべて示すため
であって、実際にこの状態に制御されることはない。そ
して、前輪のモードと後輪のモードとの組合せが同図に
示されているNo. 1〜No. 7のいずれかと一致する場合
には、その一致する期間の間、各電磁開閉弁30,3
2,38がNo. 1〜No. 7のいずれかを実現する状態に
静的に保たれる基本制御が実行される。
【0039】 補助制御(デューティ制御)について 前輪のモードと後輪のモードとの組合せが同図に示され
ている8つの組合せのいずれとも一致しない場合には、
それに対応する制御期間の間、3つの電磁開閉弁30,
32,38の少なくとも一つを開状態と閉状態とに交互
に切り換える補助制御が実行される。この補助制御は、
基本制御とは異なり、一つのモードを、各電磁開閉弁3
0,32,38の開状態と閉状態との共同によって実現
するのであり、この点、いわゆるデューティ制御と共通
するため、以下、この補助制御をデューティ制御とい
う。このデューティ制御の具体的内容(図6および図7
にそれぞれ示されている)をリザーバ36が空でないと
きと空であるときとに分けて説明する。
【0040】(1) リザーバ36が空でないとき 前輪のモードがマスタシリンダ増圧モード、後輪の
モードが緩増圧モードである場合 この場合には、図8においてNo. 1で示す、第1電磁開
閉弁30と第2電磁開閉弁32とを共に開き、第3電磁
開閉弁38を閉じる第1制御状態と、同図においてNo.
2で示す、第1電磁開閉弁30を開き、第2電磁開閉弁
32と第3電磁開閉弁38を共に閉じる第2制御状態と
が交互に繰り返される。すなわち、第1電磁開閉弁30
が開き、第3電磁開閉弁38が閉じている期間中に第2
電磁開閉弁32がデューティ制御されるのであり、その
結果、後輪ブレーキ圧がマスタシリンダ10によって緩
やかに増圧される。
【0041】 前輪のモードが保持モード、後輪のモ
ードが減圧モードである場合 この場合には、図8においてNo. 4で示す、3つの電磁
開閉弁30,32,38をいずれも閉じる第4制御状態
と、同図においてNo. 7で示す、第1電磁開閉弁30を
閉じ、第2電磁開閉弁32と第3電磁開閉弁38を共に
開く第7制御状態とが交互に繰り返される。すなわち、
第1電磁開閉弁30が閉じられた状態で、第2電磁開閉
弁32と第3電磁開閉弁38とが同時に開閉されるデュ
ーティ制御が行われるのであり、その結果、ポンプ42
とフロントホイールシリンダ26とを遮断する電磁開閉
弁が存在しないにもかかわらず、前輪ブレーキ圧が疑似
的に保持される。
【0042】前輪のモードが保持モード、後輪のモード
が減圧モードである場合には、図9に示すように、第1
電磁開閉弁30(図において「No.1 SOL. 」で表す。)
が閉じている期間中に第2電磁開閉弁32(図において
「No.2 SOL. 」で表す。)と第3電磁開閉弁38(図に
おいて「No.3 SOL. 」で表す。)とがそれぞれデューテ
ィ制御されることにより、前輪ブレーキ圧が擬似的に保
持される。第2電磁開閉弁32は、開状態と閉状態とを
交互に繰り返すパターンで切り換えられ、これに対し、
第3電磁開閉弁38は、その第2電磁開閉弁32と同じ
パターンで、しかも、第2電磁開閉弁32と実質的に同
位相で切り換えられるのである。この両電磁開閉弁3
2,38の切換により、図において「Fr」で表す前輪
ブレーキ圧については、減圧状態と増圧状態とが交互に
繰り返され、それら減圧状態と増圧状態とが互いに打ち
消し合い、その結果、前輪ブレーキ圧が保持される。一
方、図において「Rr」で表す後輪ブレーキ圧について
は、減圧状態と保持状態とが交互に繰り返され、その結
果、後輪ブレーキ圧が緩やかに減圧される。
【0043】なお、同図の例では、第2電磁開閉弁32
のパルス列と第3電磁開閉弁38のパルス列との間で、
各パルスの周期のみならず幅も互いに一致させられてい
るが、各パルスの幅は、ブレーキ液の流通抵抗等を考慮
して行うべきチューニング要素であるため、周期のみな
らず幅も互いに一致する形態で本発明を実施することは
不可欠ではない。また、同図の例では、第2電磁開閉弁
32のパルス列と第3電磁開閉弁38のパルス列との間
で、パルス列の位相が互いに一致させられているが、こ
のようにすることは不可欠ではなく、むしろ実際問題と
しては互いにずれてしまう場合もある。なお、これらの
事情は、下記の前後両輪疑似保持についても同様であ
る。
【0044】 前輪のモードも後輪のモードも共に保
持モードである場合 この場合には、第4制御状態と、第7制御状態と、第4
制御状態と、図8においてNo. 6で示す、第1電磁開閉
弁30を閉じ、第2電磁開閉弁32を開き、第3電磁開
閉弁38を閉じる第6制御状態とがそれらの順に繰り返
される。第1電磁開閉弁30が閉じられた状態で、第2
電磁開閉弁32と第3電磁開閉弁38とがデューティ制
御されるのであるが、図10に示すように、第2電磁開
閉弁32は、開状態と閉状態とを交互に繰り返すパター
ンで切り換えられ、これに対し、第3電磁開閉弁38
は、その第2電磁開閉弁32のパターンを表すパルス列
と同じパルス列においてパルスを一つずつ間引きしたパ
ルス列で表されるパターンで、しかも、第2電磁開閉弁
32と同位相で切り換えられるのである。この両電磁弁
32,38の切換により、前輪ブレーキ圧については、
減圧状態と増圧状態と保持状態と増圧状態とがそれらの
順にほぼ等しい周期で繰り返される。この場合、前輪ブ
レーキ圧が増圧される傾向があるが、前述のように、前
輪ブレーキ圧は後輪ブレーキ圧に比較してポンプ42に
よる増圧が鈍感であるから、前輪ブレーキ圧が実質的に
は保持される。一方、後輪ブレーキ圧については、減圧
状態と保持状態と増圧状態と保持状態とがそれらの順に
ほぼ等しい周期で繰り返され、それらのうち減圧状態と
増圧状態とが互いに打ち消し合い、その結果、後輪ブレ
ーキ圧も保持される。ポンプ42とフロントホイールシ
リンダ26とを遮断する電磁開閉弁が存在しないにもか
かわらず、前輪ブレーキ圧も後輪ブレーキ圧も共に疑似
的に保持されるのである。
【0045】 前輪のモードも後輪のモードも緩増圧
モードである場合 この場合には、第6制御状態と第4制御状態とが交互に
繰り返される。すなわち、第1電磁開閉弁30と第3電
磁開閉弁38とを共に閉じた状態で、第2電磁開閉弁3
2がデューティ制御されるのであり、その結果、前輪ブ
レーキ圧も後輪ブレーキ圧もポンプ42によって緩やか
に増圧される。
【0046】(2) リザーバ36が空のとき 前輪のモードがマスタシリンダ増圧モード、後輪の
モードが緩増圧モードである場合と、前輪のモードが保
持モード、後輪のモードが減圧モードである場合と、前
輪のモードも後輪のモードも保持モードである場合 これらの場合はいずれも、リザーバ36が空ではないと
きと同じであるため、説明を省略する。
【0047】 前輪のモードも後輪のモードも緩増圧
モードである場合 この場合には、第1制御状態と、第6制御状態と、第2
制御状態と、第4制御状態とがそれらの順に繰り返され
る。第3電磁開閉弁38が閉じられた状態で、第1電磁
開閉弁30と第2電磁開閉弁32とがデューティ制御さ
れるのであり、具体的には、リヤホイールシリンダ22
とフロントホイールシリンダ26とが共にマスタシリン
ダ10に連通する状態、リヤホイールシリンダ22とフ
ロントホイールシリンダ26とが互いに連通する状態、
フロントホイールシリンダ26のみがマスタシリンダ1
0に連通する状態、リヤホイールシリンダ22とフロン
トホイールシリンダ26とマスタシリンダ10とがすべ
て互いに遮断された状態が繰り返されることとなる。そ
の結果、前輪ブレーキ圧も後輪ブレーキ圧もマスタシリ
ンダ10によって緩やかに増圧される。
【0048】 前輪のモードがマスタシリンダ増圧モ
ード、後輪のモードが減圧モードである場合 この場合には、第3制御状態と、図8においてNo. 5で
示す、第1電磁開閉弁30と第2電磁開閉弁32とを共
に閉じ、第3電磁開閉弁38を開く第5制御状態とが交
互に繰り返される。すなわち、第2電磁開閉弁32が閉
じ、第3電磁開閉弁38が開いている状態で、第1電磁
開閉弁30がデューティ制御されるのであり、その結
果、前輪ブレーキ圧が緩やかに増圧される一方、後輪ブ
レーキ圧が減圧される。
【0049】 前輪のモードがマスタシリンダ増圧モ
ード、後輪のモードが保持モードである場合 この場合には、第2制御状態と、第4制御状態とが交互
に繰り返される。すなわち、第2電磁開閉弁32と第3
電磁開閉弁38が共に閉じている状態で、第1電磁開閉
弁30がデューティ制御されるのであり、その結果、前
輪ブレーキ圧が緩やかに増圧される一方、後輪ブレーキ
圧が保持される。
【0050】前述の疑似保持モードは、コンピュータ7
0が、図11のフローチャートで表されている疑似保持
制御ルーチンであってROM66に予め記憶されている
ものを実行することにより実現される。本ルーチンは一
定時間毎に実行される。各回の実行時には、まず、S4
1において、前輪について保持モードが選択されている
か否かが判定される。今回は保持モードが選択されてい
ないと仮定すれば判定がNOとなるが、保持モードが選
択されていると仮定すれば判定がYESとなり、次のS
42に進む。このS42においては、後輪について減圧
モードまたは保持モードが選択されているか否かが判定
される。前輪ブレーキ圧について疑似保持を行うべき
か、前後両輪のブレーキ圧について疑似保持を行うべき
か否かが判定されるのである。今回は減圧モードでも保
持モードでもないと仮定すれば判定がNOとなるが、減
圧モードまたは保持モードのいずれかであると仮定すれ
ば判定がYESとなり、次のS43に進む。
【0051】このS43においては、第2電磁開閉弁3
2の切換パターンが前述のものに決定される。続いて、
S44において、第3電磁開閉弁38の切換パターン
が、前述の2つの切換パターンのうち前輪ブレーキ圧の
みについて疑似保持を行うものに決定される。その後、
S45において、後輪について保持モードが選択されて
いるか否かが判定される。前後両輪のブレーキ圧につい
て疑似保持を行う必要があるか否かが判定されるのであ
る。今回は後輪について保持モードが選択されてはいな
いと仮定すれば判定がNOとなり、S46がスキップさ
れてS47が実行され、3つの電磁弁30,32,38
がそれぞれ制御される。第1電磁開閉弁30について
は、閉状態に維持する信号が出力され、第2電磁開閉弁
32と第3電磁開閉弁38とについては、それぞれの切
換パターンで切り換えるための信号が出力されるのであ
る。以上で、本ルーチンの1回の実行が終了する。この
場合は、図9に示す切換パターンで第2電磁開閉弁32
と第3電磁開閉弁38とがそれぞれデューティ制御さ
れ、その結果、前輪ブレーキ圧が擬似的に保持される。
【0052】それに対し、後輪について保持モードが選
択されていると仮定すれば、S45の判定がYESとな
り、S46において、第3電磁開閉弁38の切換パター
ンが、前記S44において決定された切換パターンにお
いて1つ置きにパルスを間引くことによって決定され
る。その後、S47が実行され、以上で本ルーチンの1
回の実行が終了する。この場合は、図10に示す切換パ
ターンで第2電磁開閉弁32と第3電磁開閉弁38とが
それぞれデューティ制御され、その結果、前輪および後
輪のブレーキ圧が擬似的に保持されるのである。このよ
うに、S41,S42,S45の各判定処理およびS4
3,S44,S46の各処理によってデューティ比変更
手段およびホイールシリンダ液圧保持手段が構成され、
コントローラ62によって、基本および補助制御実行手
段が構成されている。
【0053】以上に説明したアンチロック制御が可能な
液圧ブレーキ装置に、停車維持機能を付加するいくつか
の実施形態を、図面に基づいて説明する。停車維持機能
は、コントローラ62が実行する上述の処理に、停車維
持機能を実現するための処理を追加することによって実
現される。なお、車両がAT車であるかMT車であるか
により、停車維持機能の実施の形態が異なる。まず、A
T車における実施形態の一例を説明する。
【0054】AT車について 図12は、AT車において停車維持機能を実現する、コ
ントローラ62の制御状態の変化を示す状態遷移図であ
る。図において、非制御状態は、停車維持制御が行われ
ていない状態であり、通常の制動が可能な状態(通常状
態と略称する)と、アンチロック制御が実行されている
状態とのいずれかであることを示す。非制御状態におい
て、後に図14を用いつつ説明する停車維持開始条件が
成立すると、それが成立した時点において、トランスミ
ッションがニュートラルの状態であればニュートラル制
御状態に、ニュートラルでない状態であれば非ニュート
ラル制御状態に、それぞれ遷移する。ニュートラル制御
状態と非ニュートラル制御状態とは、共に停車維持制御
が実行されている状態であり、これらの状態を制御状態
と総称する。ニュートラル制御状態においては、停車維
持解除条件1が成立した場合に、また、非ニュートラル
制御状態においては、停車維持解除条件2が成立した場
合に、それぞれ非制御状態への遷移が起こる。
【0055】停車維持解除条件1は、ブレーキスイッチ
72またはパーキングブレーキスイッチ76がOFFか
らONに変化することである。また、停車維持解除条件
2は、ブレーキスイッチ72とパーキングブレーキスイ
ッチ76との少なくとも一方がOFFからONの状態に
されること(停車維持解除条件1が成立することと同
じ)と、トランスミッションがニュートラルから非ニュ
ートラルの状態に変更されることとのいずれかが起こる
ことである。なお、非ニュートラル制御状態からニュー
トラル制御状態への遷移は、シフト操作によりトランス
ミッションがニュートラルとされることにより起こる
が、その逆のシフト操作によっては、ニュートラル制御
状態から非ニュートラル制御状態への遷移(図12に矢
印付きの2点鎖線で示す)は起こらず、非制御状態への
遷移が起こる(つまり、停車維持解除条件2が成立す
る)。ただし、上記ニュートラル制御状態から非ニュー
トラル制御状態への遷移が起こるようにすること、換言
すれば、いかなるシフト操作によっても停車維持制御が
終了させられないようにすることも可能である。
【0056】図13は、コントローラ62のコンピュー
タ70によってイグニッションスイッチがONである期
間中継続して実行され、停車維持機能を実現するプログ
ラムであるメイン処理の一例を示すフローチャートであ
る。このメイン処理は、具体的には、ROM66に格納
され、RAM68等を使用しつつCPU64により、実
行されるものである。まず、S100において、サブル
ーチンである制御開始処理(停車維持開始処理)が、続
いて、S102において、サブルーチンである制御終了
処理(停車維持解除処理)がコールされる。以後、これ
らの処理が交互に継続して実行される。また、制御終了
処理においては、停車維持制御が実行されている場合
に、図12に示した停車維持解除条件1または停車維持
解除条件2が成立するか否かが判定され、成立する場合
には、停車維持が解除され、成立しない場合には停車維
持制御が継続して実行される。なお、図13のフローチ
ャートは、後述するMT車の場合のメイン処理としても
同様に使用される。
【0057】図14は、図13のS100においてコー
ルされるサブルーチンである制御開始処理の内容を示す
フローチャートである。制御開始処理は、図12に示し
た制御開始条件、つまり停車維持開始条件が成立するか
否かの判定を行い、成立する場合は、停車維持制御を開
始させ、成立しない場合は、現状を維持させる。まず、
S200において、車両が停車状態であるか否かが判定
される。結果がYESであれば、S202で、ブレーキ
スイッチ72がONであるか否かが判定される。この判
定は、ブレーキスイッチ72が、予め設定された任意の
設定時間T以上継続してONであるか否かという判定に
置き換えてもよい。その結果がYESであれば、S20
4において、パーキングブレーキスイッチ76がOFF
であるか否かが判定され、結果がYESであれば、S2
06で、車両が坂路上にあるか否か判定される。
【0058】この結果がYESならば、S208におい
て、トランスミッションがニュートラルであるか否かが
判定され、YESであれば、S210において、停車維
持制御が開始される。具体的には、第1および第2電磁
開閉弁30および32が共に閉状態とされて、前輪ブレ
ーキ圧(フロントホイールシリンダ26内のブレーキ液
圧)が保持される。続いて、S212において、制御中
フラグflagがONとされた後に、制御開始処理が終
了する。なお、制御中フラグflagは停車維持制御が
実行されている状態でONとされるフラグである。一
方、S200〜S208の各判定処理の少なくとも1つ
の結果がNOであれば、S214において制御中フラグ
flagがOFFとされて、制御開始処理が終了する。
【0059】このように、S200〜S208の判定結
果のすべてがYESであることが、前記制御開始条件、
すなわち停車維持開始条件が成立することなのであり、
これらの処理によって、停車維持開始条件成立検出手段
が構成されているのである。また、S200によって停
車状態検出手段が、S202によって制動中検出手段
が、S204によってパーキングブレーキ非作用状態検
出手段が、S206によって坂路検出手段が、S208
によってニュートラル検出手段が、また、S210によ
って停車維持制御手段がそれぞれ構成されている。
【0060】付言すれば、S200は車両が停車状態に
あるか否かの判定であり、車輪速度センサ74が示す各
車輪の車輪速度がいずれもゼロである場合にYESとな
るが、この結果がNOである場合に、停車維持制御が開
始されないことは当然である。また、S202は、ブレ
ーキスイッチ72がONであるか否かの判定であり、こ
の判定結果がNOであれば、各車輪のブレーキ圧が停車
状態を維持するに足るまでに増圧されていないと判定さ
れて、停車維持制御が開始されないのである。
【0061】なお、S204は、パーキングブレーキス
イッチ76がOFFであるか否かの判定であり、この判
定結果がNOであれば、車両がすでにパーキングブレー
キの作用によって停車状態を維持できると判定されて、
停車維持制御が開始されない。つまり、必要がないので
ある。ただし、S204の判定処理は、省略されてもよ
い。省略された場合には、停車維持制御とパーキングブ
レーキとによって、二重に車両が停車状態を維持される
ことがあり得る。また、S206は、車両が坂路上に位
置するか否かの判定であり、本実施形態においては坂路
上でなければ停車維持制御が不要であると見なされるの
であるが、この判定は必ずしも必須ではない。坂路上以
外においても停車維持制御が行われるようにしてもよい
のである。なお、車両が坂路上に位置するか否かは、重
力加速度の方向と車両の前後方向との成す角を持って判
定することができる。例えば、車両の左右方向を軸とし
て回転できる振り子が車両の前後方向に対して成す角度
を、ポテンショメータやエンコーダ等を用いた角度検出
センサで検出し、車両の前後方向が水平方向である場合
の検出角度を基準として、その基準角度との角度差を、
坂路の傾斜角として検出する傾斜角センサを利用するこ
とができる。
【0062】また、S208は、トランスミッションが
ニュートラルであるか否かの判定であり、AT車におい
ては、トランスミッションの状態に係わらず車両が停止
状態を維持できるため、この判定も必須のものではな
い。しかし、S208の判定は、操縦者に停車状態を維
持する意志があるか否かの判定の一例として有効であ
る。S208の判定が行われる場合には、操縦者は、停
車維持制御を開始させるために、トランスミッションを
ニュートラルにすることが必要である。ただし、トラン
スミッションがニュートラルとされることのみを持って
停車維持制御が開始させられるのではなく、あくまで
も、S200およびS202(また、必要であれば、S
204およびS206の少なくとも1つ)の判定結果が
すべてYESであることが前提条件とされている。以上
のように、S204,S206およびS208の少なく
とも1つの判定結果が、上記制御開始条件が成立するか
否かに影響しないようにしてもよい。なお、図14のフ
ローチャートは、後述するMT車の場合の制御開始制御
としても同様に使用される。
【0063】図15は、図13のS102においてコー
ルされるサブルーチンである制御終了処理の内容を示す
フローチャートである。制御終了処理は、図12に示し
た、停車維持解除条件1と停車維持解除条件2(これら
は排他的に成立する)とのいずれかが成立した場合に停
車維持制御を終了させ、成立しない場合にそれまでの停
車状態を維持するものである。まず、S300におい
て、制御中フラグflagがONであるか否かが判定さ
れ、NOであれば停車維持制御が実行されておらず、以
降の処理の必要がないため、そのまま制御終了処理が終
了する。YESであれば、S302において、トランス
ミッションがニュートラルからニュートラル以外のポジ
ションに変更されたか否かが判定され、YESであれ
ば、S304で停車維持制御が実質的に終了させられ
る。具体的には、図14に示したS210において共に
閉状態とされた第1電磁開閉弁30と第2電磁開閉弁3
2とが共に開状態とされる。そして、S306において
制御中フラグflagがOFFとされ、制御終了処理が
終了する。
【0064】一方、S302の判定結果がNOであれ
ば、S308において、ブレーキスイッチ72がOFF
からONの状態に変化したか否かが判定される。結果が
YESであればS304の処理が、NOであればS31
0において、パーキングブレーキスイッチ76がOFF
からONの状態に変化したか否かが判定される。S31
0の判定結果がYESであればS304の処理が、NO
であれば制御終了処理が終了する。つまり、これらS3
08およびS310の判定によって、S302の判定結
果がNOであっても、ブレーキペダル14または図示し
ないパーキングブレーキのレバーが操作された場合に
は、停車維持制御が終了させられるのである。S308
またはS310の判定がYESとなるのは、停車維持解
除条件1と停車維持解除条件2とのいずれかが成立する
場合であり、いずれであるかは、トランスミッション
が、ニュートラル以外のポジションであるかニュートラ
ルであるかによって決まる。なお、S302の判定がY
ESとなるのは、停車維持解除条件2が成立する場合に
限られる。このように、S308,S310の判定によ
って、実際に必要がない場合、あるいは、操縦者によっ
て必要でないと意思表示された場合に停車維持制御を終
了させることができる。このように、S302,S30
8およびS310の判定処理によって停車維持解除条件
成立検出手段が構成され、S304によって停車維持制
御終了手段が構成されているのである。
【0065】なお、付言すれば、S302の判定は、ト
ランスミッションがはじめからニュートラル以外のポジ
ションにあるか否かの判定ではなく、ニュートラルから
ニュートラル以外のポジションに変更されたかという判
定である。この判定は、図14のS208における、ト
ランスミッションがニュートラルであるか否かの判定に
対応する処理と見なすこともできる。つまり、S208
の場合とは逆に、停車維持制御を終了させるための操縦
者の意思表示と位置づけることができるのである。ただ
し、上述のように、S208は省略可能であり、実際省
略された場合においてもS302の判定は意味を持つ。
すなわち、図14のS208が省略された場合において
も、停車維持制御が実行されている場合に、トランスミ
ッションがニュートラルとされることは当然あり得るか
らである。そして、ニュートラルからニュートラル以外
のポジションに変更されることは、車両を走行させる
か、トランスミッションをパーキングの状態として駐車
させるかの、操縦者による意思表示であり、停車維持制
御を終了させてよい状態であると見なすことができる。
また、図14に示したS208の判定が実施される一
方、S302の判定が省略されてもよい。つまり、これ
らの判定は、独立して少なくとも一方を省略できるので
ある。S302の判定を省略した場合は、図12に示し
た停車維持解除条件2が、停車維持解除条件1と同じ条
件となる。
【0066】上述のように、S302の判定は省略する
ことができる。つまり、S300の判定結果がYESの
場合に、直接S308の判定が実行されるようにするの
である。このことが、上述の図12に矢印付きの2点鎖
線で示した遷移が起こり得るようにすることに対応す
る。ただし、停車維持制御が不必要に実行されてエネル
ギ消費量が増加することを回避するために、トランスミ
ッションがパーキングの状態であるか否かを判定し、結
果がYESである場合に、直接S304およびS306
の処理が行われるようにしてもよい。上記S302,S
308およびS310は、これら3つのうち2つまでを
省略することができる。このような省略によれば、液圧
ブレーキ装置の構成を簡略化できるが、操縦者が停車維
持制御を解除する手段が減少する。また、S304の処
理(制御終了)は、操縦者が直接操作できる図示しない
操作スイッチがONとされることに応じて実行されるよ
うにしてもよい。また、このスイッチが、例えば、機械
的なスイッチであって、常にONの状態にできる形式の
ものであれば、そのスイッチが継続してONである期間
中、停車維持制御を禁止できることとなり、そのような
形態としてもよい。
【0067】さらに付言すれば、図15に示した制御終
了処理において、坂路上であるか否かの判定結果が停車
維持解除条件に含まれないのは当然のことである。つま
り、図14のS206の判定が行われる場合には、その
判定結果がYES(坂路上)であることは当初から決ま
っているから、この判定には意味がない。一方、図14
のS206が省略された場合においては、停車維持制御
が実行を開始されたのが坂路上であれば、坂路上である
か否かの判定結果がYES(坂路上)であることを停車
維持解除条件とすることは矛盾しており、一方、坂路上
でないことを停車維持解除条件とするならば、図14の
S206を省略して、坂路上でなくとも停車維持制御を
実行し得るものとしたことと矛盾するから、いずれにし
ても、坂路上であるか否かの判定は不要なのである。
【0068】なお、AT車の場合は、本願の発明の液圧
ブレーキ装置を、クリープ現象の防止装置として利用す
ることも可能である。AT車においては、クリープ現象
が生じるため、例えばギヤがドライブポジションである
状態のままで停車させる場合は、ブレーキペダルの操作
が必要であることが多く、例えば渋滞中における操縦者
の負担が大きくなる。そこで、このクリープ現象を防止
させるため、車両が停止状態であり、かつ、ブレーキス
イッチ72がONであるとともに、トランスミッション
がニュートラルまたはパーキングでない走行可能状態で
ある場合に、停車維持制御が開始されるようにしてもよ
い。停車維持解除条件は、例えば、ブレーキペダルが短
時間踏み込まれることや、車両が走行可能状態にある場
合にアクセルペダルがわずかに踏み込まれることとする
ことができる。アクセルペダルの踏み込みの検出は、ス
ロットルバルブの開度の検出に置き換えることができる
ので、スロットルセンサの出力を利用することができ
る。具体的には、スロットルセンサの出力が、ゼロでな
いあるしきい値を越える場合にアクセルペダルが踏み込
まれたと判定するのである。このしきい値は、停車維持
制御が解除される際に車両が急発進しないように、でき
る限り小さい値とされるべきである。上記停車維持開始
条件は、上述の各条件が成立することとともに、さらに
車室内に設けられる図示しない手動操作スイッチがON
である場合に停車維持制御が開始されるものとしてもよ
い。また、この場合の停車維持解除条件は、この手動操
作スイッチがOFFとされることによっても停車維持制
御が解除されるようにしてもよい。
【0069】MT車について 次に、MT車における実施形態の一例を説明する。図1
6は、MT車におけるコントローラ60の制御状態の変
化を示す状態遷移図である。非制御状態において、後述
のMT車における制御開始条件(停車維持開始条件)が
成立すると、それが成立した時点におけるギヤおよびク
ラッチの状態に対応して、ニュートラル/クラッチ接状
態,ニュートラル/クラッチ断状態または非ニュートラ
ル/クラッチ断状態に遷移する。これら3つの状態は、
共に停車維持制御が行われる状態であり、これらの状態
を制御状態と総称する。ニュートラル/クラッチ接状態
およびニュートラル/クラッチ断状態においては、MT
車における停車維持解除条件1が成立した場合に、ま
た、非ニュートラル/クラッチ断状態においては、MT
車における停車維持解除条件2が成立した場合に、非制
御状態への遷移が起こる。停車維持制御が解除されるの
である。なお、ニュートラル/クラッチ接状態とニュー
トラル/クラッチ断状態とは、クラッチを断続すること
により相互に遷移する。また、ニュートラル/クラッチ
断状態と非ニュートラル/クラッチ断状態とは、シフト
操作を行うことにより相互に遷移する。それに対し、ニ
ュートラル/クラッチ接状態と非ニュートラル/クラッ
チ断状態との間の直接の遷移は生起せず、必ず、ニュー
トラル/クラッチ断状態を経て遷移する。
【0070】MT車における停車維持解除条件1は、ブ
レーキスイッチ72またはパーキングブレーキスイッチ
76がOFFからONに変化することである。また、停
車維持解除条件2は、ブレーキスイッチ72またはパー
キングブレーキスイッチ76がOFFからONに変化す
ること(停車維持解除条件1が成立することと同じ)
と、クラッチが接続されることとのいずれかが起こるこ
とである。なお、クラッチが接続されたことは、クラッ
チスイッチ78がONからOFFに変化することにより
検出される。
【0071】MT車の場合においても、メイン処理およ
び制御開始処理の一例が、図13および図14のフロー
チャートで示されるが、MT車の場合は、図13のS1
02でコールされるサブルーチンである制御終了処理の
内容が若干異なる。以下の説明において、図13および
図14は、それぞれMT車の場合のメイン処理および制
御開始処理を示すものとする。なお、図14におけるS
204〜S208における判定の存在意義は、AT車の
場合において説明したことと同じであり、それらの少な
くとも1つを省略してもよいことも同様である。
【0072】図17は、図13のS102においてコー
ルされるサブルーチンである制御終了処理(停車維持解
除処理)を示すフローチャートである。制御終了処理に
おいては、上記MT車における停車維持解除条件1と停
車維持解除条件2(これらは排他的に成立する)とのい
ずれかが成立した場合には停車維持制御が終了させら
れ、成立しない場合には停車維持制御が継続される。ま
ず、S500において、制御中フラグflagがONで
あるか否かが判定され、NOであれば停車維持制御が実
行されておらず、以降の処理の必要がないため、そのま
ま制御終了処理が終了する。YESであれば、S502
で、トランスミッションがニュートラルの状態であるか
否かが判定される。なお、この判定を行うためには、例
えば、トランスミッションがニュートラルの状態である
場合にON状態とされ、それ以外の場合にOFF状態と
される図示しないセンサを設ける必要がある。結果がN
Oであれば、S504において、クラッチが接続された
状態から断の状態に変化したか否かが判定され、結果が
YESであれば、S506で停車維持制御が実質的に終
了させられる。具体的には、図14に示したS210に
おいて共に閉状態とされた、第1電磁開閉弁30および
第2電磁開閉弁32が共に開状態とされる。そして、S
508において、制御中フラグflagがOFFとされ
て制御終了処理が終了する。
【0073】S502の判定結果がYESであるか、S
504の判定結果がNOである場合は、S510におい
て、ブレーキスイッチ72がOFFからONの状態に変
化したか否かが判定される。結果がYESであればS5
06以降の処理が実行され、NOであればS512にお
いて、パーキングブレーキスイッチ76がOFFからO
Nの状態に変化したか否かが判定される。その結果がY
ESであればS506以降の処理が、NOであれば制御
終了処理が終了する。つまり、図17に示したMT車に
おける制御終了処理は、図15に示したAT車における
制御終了処理のS302の処理を、S502およびS5
04に置き換えたものなのである。これらの判定によっ
て、トランスミッションがニュートラル以外の状態でク
ラッチが接続された場合に、停車維持制御が終了させら
れるのであり、これら2つの条件が共に満たされること
は、車両が走行を開始することを意味するから、停車維
持制御が終了させられるのである。
【0074】なお、S504においては、クラッチスイ
ッチ78の状態がONからOFFに変化するタイミング
が重要である。つまり、そのタイミングにおいて、車両
が半クラッチ状態であることが望ましいのである。しか
し、例えば、様々な傾斜の坂路上において、常に良好な
半クラッチ状態であるタイミングでクラッチスイッチ7
8の状態が変化するように調整することは困難である。
そこで、この判定の代わりに、クラッチよりも駆動車輪
側の車軸に作用するトルクを計測し、その大きさが予め
設定された設定トルクTTH以上であるか否かに基づい
て、停車維持制御を終了させるか否かを決定することも
可能である。設定トルクTTHの値は任意であるが、坂路
の傾斜角θの大きさ等に基づいて変更してもよい。次式
はその一例であり、次式において、p,q,rは、任意
定数である。 TTH=p・θq +r ・・・(1) この判定は、停車維持解除条件2が成立したか否かを判
定する時点(S504が実行される時点)には、トラン
スミッションがニュートラル以外の状態とされているこ
とに基づくものである。このようにすれば、半クラッチ
が多用される場合においても、停車維持制御を良好に解
除させることができる。また、この場合は、S502の
判定で必要とされるトランスミッションがニュートラル
の状態であるか否かを検出するセンサと、クラッチスイ
ッチ78とを省略することができるが、その代わりに、
例えば、上述のトルクを計測する手段のような、クラッ
チ接続検出手段が必要になる。なお、トルクを計測する
具体的手段としては、例えば、ひずみゲージを応用した
トルクセンサや、磁わい式のトルクセンサ等を使用する
ことができる。
【0075】以上の説明から明らかなように、S502
およびS504によってクラッチ接続状態依拠型検出手
段が、S510によってブレーキペダル操作状態検出手
段が、また、S512によってパーキングブレーキレバ
ー操作状態検出手段が構成され、さらに、これらすべて
によって停車維持開始条件成立検出手段が構成されてい
る。また、S506によって停車維持制御終了手段が構
成されている。
【0076】図17に示した制御終了処理においては、
S502とS504との組,S510およびS512の
3つのうち2つまでを省略することができる。そして、
S502とS504の組が省略される場合は、S500
の判定結果がYESである場合に、直接S510または
S512の処理が実行されることとなる。このような省
略によれば、図15に示した制御終了処理と同様に、液
圧ブレーキ装置の構成を簡略化できるが、操縦者によっ
て停車維持制御を解除し得る手段が減少する。なお、図
15に示した制御終了処理(AT車用)と同様に、S5
06の処理(制御終了)が、操縦者が直接操作できる図
示しない操作スイッチの状態に基づいて実行されるよう
にしてもよい。
【0077】次に、MT車における実施形態の別の例を
説明する。本実施形態は、上述のMT車に関する実施形
態において、制御終了処理(図17参照)の内容が異な
るものである。図18は、本実施形態におけるコントロ
ーラ60の制御状態の変化を示す状態遷移図である。図
18に示した本実施形態の状態遷移は、図16に示した
状態遷移のうち、ニュートラル/クラッチ接状態から、
ニュートラル/クラッチ断状態への遷移が生起しない形
態とされている。図16に示した状態遷移図において
は、ニュートラル/クラッチ接状態でクラッチペダルを
踏み込めば、ニュートラル/クラッチ断状態への遷移が
生起したのであるが、本実施形態においては、非制御状
態への遷移が生起する。この状態遷移が生起する条件
は、図18において、停車維持解除条件3()として
示されている。なお、その他の条件(制御開始条件,停
車維持解除条件1および停車維持解除条件2)について
は、図16に示したものと同様である。
【0078】図19は本実施形態の制御終了処理の内容
を示すフローチャートである。この制御終了処理におい
ては、上記停車維持解除条件1,2および3(これらは
排他的に成立する)のいずれかが成立する場合には停車
維持制御が終了させられ、成立しない場合には停車維持
制御が継続される。本制御終了処理は、図17に示した
制御終了処理にS610の判定処理を加えたものであ
り、S602におけるトランスミッションがニュートラ
ルの状態であるか否かの判定結果がYESの場合に、S
610においてクラッチスイッチ78がOFFからON
の状態に変化したか否かが判定される。結果がYESで
あればS606以降の処理が実行され、NOであればS
612以降の処理が実行される。このS610の判定を
加えることによって、ブレーキペダルやパーキングブレ
ーキのレバーの操作等に加えて、トランスミッションが
ニュートラルである場合には、クラッチペダルを踏み込
むことによっても、停車維持制御を解除できることとな
る。MT車における発進時の一連の操作中において、停
車維持制御の解除がより早期に成されることとなるので
あり、より滑らかな発進が可能となる。
【0079】S602およびS604によってクラッチ
接続状態依拠形検出手段が、また、S610によってク
ラッチペダル操作状態検出手段が、S612によってブ
レーキペダル操作状態検出手段が、S614によってパ
ーキングブレーキレバー操作状態検出手段が構成され、
これらすべてにより停車維持解除条件検出手段が構成さ
れている。また、S606によって停車維持制御終了手
段が構成されている。なお、図19の制御終了処理にお
いても、図17の制御終了処理におけると同様に、S6
02とS604との組,S610,S612およびS6
14の4つのうち3つまでを省略することができる。以
上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、それら
の他にも、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者
の知識に基づいて種々の変形,改良を施した形態で本発
明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるダイヤゴナル2系統
式のアンチロック型ブレーキシステムを示す系統図であ
る。
【図2】上記ブレーキシステムの電気的な構成を示すブ
ロック図である。
【図3】図2におけるROM66に予め記憶されている
アンチロック制御プログラムの全体を示すフローチャー
トである。
【図4】図3におけるS2の詳細を示すフローチャート
である。
【図5】図3におけるS3の詳細を示すフローチャート
である。
【図6】上記ブレーキシステムにおいて、リザーバが空
でないときにおける前輪スリップと後輪スリップと各輪
について実現すべき圧力モードと各電磁開閉弁の切換パ
ターンとの関係を示す図表である。
【図7】上記ブレーキシステムにおいて、リザーバが空
のときにおける前輪スリップと後輪スリップと各輪につ
いて実現すべき圧力モードと各電磁開閉弁の切換パター
ンとの関係を示す図表である。
【図8】上記ブレーキシステムにおいて、各電磁弁の開
閉状態と前輪および後輪の各モードとの関係を表形式で
示す図である。
【図9】図8に示した各電磁開閉弁の状態を組み合わせ
て前輪のみの疑似保持制御を行う方法を示すグラフあ
る。
【図10】図8に示した各電磁開閉弁の状態を組み合わ
せて前後輪の疑似保持制御を行う方法を示すグラフあ
る。
【図11】それら各疑似保持制御を実現するためのコン
ピュータプログラムを示すフローチャートである。
【図12】当該液圧ブレーキ装置が搭載される車両がA
T車である実施形態における、停車維持機能が付加され
たコントローラ62の制御状態の変化の一例を示す状態
遷移図である。
【図13】図2に示したROM66に格納され、コント
ローラ62によって実行されることにより停車維持機能
を実現するプログラムの一例であるメイン処理の内容を
示すフローチャートである。
【図14】図13におけるS100の詳細を示すフロー
チャートである。
【図15】図13のメイン処理がAT車において実行さ
れる場合におけるS102の詳細を示すフローチャート
である。
【図16】当該液圧ブレーキ装置が搭載される車両がM
T車である別の実施形態における、停車維持機能が付加
されたコントローラ62の制御状態の変化の一例を示す
状態遷移図である。
【図17】図13のメイン処理がMT車において実行さ
れる場合におけるS102の詳細を示すフローチャート
である。
【図18】当該液圧ブレーキ装置が搭載される車両がM
T車であるさらに別の実施形態における、停車維持機能
が付加されたコントローラ62の制御状態の変化の一例
を示す状態遷移図である。
【図19】図13のメイン処理がMT車において実行さ
れる場合における別のS102の詳細を示すフローチャ
ートである。
【符号の説明】
10:マスタシリンダ 12:ブースタ 14:ブ
レーキペダル 20:第1主通路 22:リヤホイールシリンダ
24:第2主通路 26:フロントホイールシリンダ 30:第1電磁開
閉弁 32:第2電磁開閉弁 34:リザーバ通路 3
6:リザーバ 40:ポンプ通路 42:ポンプ 44:モータ 46:プロポーショニングバルブ(Pバルブ) 4
8:バイパス通路 50:逆止弁 52:減圧装置 54:第1逆止弁
56:第2逆止弁 57:流通制限装置 58:絞り 60:逆止弁
62:コントローラ 64:CPU 66:ROM 68:RAM 7
0:コンピュータ 72:ブレーキスイッチ 74:車輪速度センサ 76:パーキングブレーキスイッチ 78:クラッチ
スイッチ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキ操作部材の操作に応じた液圧を
    発生させるマスタシリンダと、 リヤホイールシリンダの作動により後輪の回転を抑制す
    るリヤブレーキと、 フロントホイールシリンダの作動により前輪の回転を抑
    制するフロントブレーキと、 前記マスタシリンダと前記リヤホイールシリンダとを接
    続する第1主通路に互いに直列にかつマスタシリンダに
    近い側から順に設けられた第1電磁開閉弁および第2電
    磁開閉弁と、 前記第1主通路の前記第1電磁開閉弁と前記第2電磁開
    閉弁との間の部分から分岐して前記フロントホイールシ
    リンダに接続された第2主通路と、 リザーバ通路により、前記第1主通路の前記第2電磁開
    閉弁と前記リヤホイールシリンダとの間の部分に接続さ
    れたリザーバと、 そのリザーバと前記第1主通路の前記第1電磁開閉弁と
    前記第2電磁開閉弁との間の部分とを接続するポンプ通
    路に設けられ、リザーバからくみ上げたブレーキ液を第
    1主通路に供給するポンプと、 前記リザーバ通路に設けられた第3電磁開閉弁と、 前記第1主通路の前記第1電磁開閉弁および前記第2電
    磁開閉弁を直列に含む部分をバイパスして前記リヤホイ
    ールシリンダと前記マスタシリンダとを接続するバイパ
    ス通路に設けられ、リヤホイールシリンダからマスタシ
    リンダへのブレーキ液の流れは許容するが逆向きの流れ
    は阻止する逆止弁と、 制動時における前記前輪と前記後輪とのスリップ状態が
    適正状態になるように前記第1,第2および第3電磁開
    閉弁を制御するアンチロック制御手段と、 停車維持制御の開始条件が成立したことを検出し、停車
    維持開始条件成立信号を発する停車維持開始条件成立検
    出手段と、 その停車維持開始条件成立検出手段が発する停車維持開
    始条件成立信号に応じて前記第1電磁開閉弁と前記第2
    電磁開閉弁とを共に閉状態に保つことにより、前記フロ
    ンホイールシリンダの液圧を保持する停車維持制御手段
    とを含むことを特徴とする停車維持機能を有する液圧ブ
    レーキ装置。
  2. 【請求項2】 前記停車維持開始条件成立検出手段が、
    少なくとも、車両が停車状態にあることを検出する停車
    状態検出手段と、当該液圧ブレーキ装置が作動中である
    ことを検出する制動中検出手段とを含むことを特徴とす
    る請求項1に記載の液圧ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 前記停車維持開始条件成立検出手段が、
    さらに、車両が坂路上にあることを検出する坂路検出手
    段と、パーキングブレーキが非作用状態にあるとを検出
    するパーキングブレーキ非作用状態検出手段と、トラン
    スミッションがニュートラル状態にあることを検出する
    ニュートラル検出手段との少なくとも1つを含むことを
    特徴とする請求項2に記載の液圧ブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 さらに、 前記停車維持制御手段による停車維持を解除する条件が
    成立したことを検出し、停車維持解除条件成立信号を発
    する停車維持解除条件成立検出手段と、 その停車維持解除条件成立検出手段が発する停車維持解
    除条件成立信号に応じて前記停車維持制御手段に停車維
    持制御を終了させる停車維持制御終了手段とを含むこと
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の
    液圧ブレーキ装置。
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