JPH1040938A - 燃料電池用集電体の製造方法 - Google Patents
燃料電池用集電体の製造方法Info
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Abstract
造する。 【解決手段】 まず、熱膨張黒鉛粉末を用意すると共に
(S100)、粒径が約20μmである球状の天然黒鉛
粉末を用意する(S110)。この粒径は5μm〜20
0μm、好ましくは20μm〜200μmである。次い
で、上記熱膨張黒鉛粉末に上記球状の黒鉛粉末を20%
だけ添加混合する(S120)。続いて、その混合物で
ある混合粉末を圧縮成形する(S130)。熱膨張黒鉛
粉末における結晶の層間の距離は、30μm〜500μ
mであることから、熱膨張黒鉛粉末に上記粒径の球状の
黒鉛粉末を混合することにより、熱膨張黒鉛粉末結晶の
層間の間隙に上記黒鉛粉末の粒子をがっしりと食い込ま
せることができる。従って、この製造方法により、厚み
方向にも電気導電性の優れた集電体を製造することがで
きる。
Description
られる集電体を製造する燃料電池用集電体の製造方法に
関する。
直接電気的エネルギに変換する装置として燃料電池が知
られている。燃料電池は、通常、電解質膜を挟んで一対
の電極を配置するとともに、一方の電極の表面に水素等
の燃料ガスを接触させ、また他方の電極の表面に酸素を
含有する酸素含有ガスを接触させ、このとき起こる電気
化学反応を利用して、電極間から電気エネルギを取り出
すようにしている。燃料電池は、燃料ガスと酸素含有ガ
スの供給を受けて高い効率で電気エネルギを取り出すこ
とができる。
と一対の電極とからなる接合体を複数積層することで、
高出力を実現している。このため、燃料電池は、通常、
接合体と接合体との境に集電体(あるいはセパレータ)
と呼ばれる部材を配置して、複数の接合体を直列接続す
る構造としている。
として成形される。かかる集電体の製造方法として、熱
膨張黒鉛と耐蝕性樹脂(熱硬化性樹脂)と球状または塊
状の他の炭素粉末とからなる混合物により集電体を成形
するものが提案されている(特開平1−311570号
公報)。これによれば、熱硬化性樹脂を加えることによ
り機械的強度の向上が図られ、球状または塊状の炭素粉
末を加えることにより電気伝導性の向上が図られる。
来の技術では、次のような理由で集電体の電気伝導性は
充分なものではなかった。集電体の材料となる熱膨張黒
鉛は、嵩高い粉末状のものであることから、熱膨張黒鉛
の粒子の間に炭素粉末を介在させるようにしても、通常
の粒径の炭素粉末(特開平1−311570号公報記載
のカーボンブラックの粒径は数nm〜数十nmである)
では、熱膨張黒鉛粒子の間隙を充分に埋めることができ
ないためであり、熱膨張黒鉛粒子の積層方向の電気伝導
性が充分ではなかった。
分なものではなかった。熱膨張黒鉛が嵩高い粉末状のも
のであることから、熱硬化性樹脂を熱膨張黒鉛全体にゆ
き渡らすには、多量の熱硬化性樹脂を添加する必要があ
るためである。
は、こうした問題に鑑みてなされたもので、電気伝導性
に充分に優れた集電体を製造することを目的としてい
る。
述した課題を解決するための手段として、以下に示す構
成をとった。
は、熱膨張黒鉛粉末または鱗片状の天然黒鉛粉末に、主
として粒径が5μm以上で200μm以下である球状ま
たは塊状の炭素粉末を混合する工程と、該工程による混
合物を成形する工程とを備えることを特徴としている。
の距離は、数μmから数百μmであり、鱗片状の天然黒
鉛粉末における結晶の層間の距離は、数十μmから数百
μmである。このため、主として粒径が5μm以上、2
00μm以下である球状または塊状の炭素粉末を熱膨張
黒鉛粉末または鱗片状の天然黒鉛粉末に混合することに
より、上記熱膨張黒鉛粉末または鱗片状の天然黒鉛粉末
における結晶の層間の間隙に上記炭素粉末の粒子をがっ
しりと食い込ませることができる。この結果、結晶の積
層方向の間隙が炭素粉末で電気的に完全に導通した状態
となることから、その混合物は、結晶の積層方向にも優
れた電気導電性を示したものとなる。
り、厚さ方向にも電気伝導性の優れた集電体を製造する
ことができる。
は、球状または塊状の炭素粉末に所定の樹脂よりなるバ
インダを被覆する工程と、熱膨張黒鉛粉末または鱗片状
の天然黒鉛粉末に、上記バインダの被覆がなされた炭素
粉末を混合する工程と、該工程による混合物を成形する
工程とを備えることを特徴としている。
りなるバインダを被覆することは容易である。しかも、
熱膨張黒鉛粉末または鱗片状の天然黒鉛粉末(以下、主
原料と呼ぶ)に球状または塊状の炭素粉末を混合するだ
けで、炭素粉末を主原料に均一にゆき渡らせることもで
きる。このため、バインダは主原料に容易に均一にゆき
渡る。
のに少量のバインダですむことから、電気伝導性に優れ
た集電体を製造することができる。
を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例
について説明する。
体の製造方法により製造された集電体を使用した固体高
分子型燃料電池10の構成について先に説明する。図1
は、この固体高分子型燃料電池10の構造図である。こ
の図に示すように、固体高分子型燃料電池10は、電解
質膜11と、この電解質膜11を両側から挟んでサンド
イッチ構造とするガス拡散電極としてのカソード12お
よびアノード13と、このサンドイッチ構造を両側から
挟みつつカソード12およびアノード13とで材料ガス
および燃料ガスの流路を形成する集電体15とを備え
る。
素系樹脂により形成されたイオン交換膜であり、湿潤状
態で良好な電気電導性を示す。ここでは、米国E.I.デ
ュポン社製の商標名ナフィオン(Nafion)を使用する。
カソード12およびアノード13は、炭素繊維からなる
糸で織成したカーボンクロスにより形成されており、こ
のカーボンクロスの表面には、触媒としての白金または
白金と他の金属からなる合金等を担持したカーボン粉が
塗布されている。
法で作成されている。塩化白金酸水溶液とチオ硫酸ナト
リウムを混合して、亜硫酸白金錯体の水溶液を得る。こ
の水溶液を攪拌しながら、過酸化水素水を摘下して、水
溶液中にコロイド状の白金粒子を析出させる。次に担体
となるカーボンブラック(例えばVulcan XC−
72(米国のCABOT社の商標)やデンカブラック
(電気化学工業株式会社の商標)を添加しながら、攪拌
し、カーボンブラックの表面にコロイド状の白金粒子を
付着させる。次に溶液を吸引ろ過または加圧ろ過して白
金粒子が付着したカーボンブラックを分離した後、脱イ
オン水(純水)で繰り返し洗浄した後、室温で完全に乾
燥させる。
で粉砕した後、水素還元雰囲気中で、250℃〜350
℃で2時間程度加熱することにより、カーボンブラック
上の白金を還元するとともに、残留していた塩素を完全
に除去して、白金を担持したカーボン粉が完成する。こ
こでは、カーボンブラックの重量に対して白金の重量が
20%(重量%)になるようにして製作している。
により形成されている。集電体15には、直線状に延び
る複数のリブが形成されており、このリブとカソード1
2の表面とで材料ガスである酸素含有ガスの流路をなす
酸素含有ガス流路15aを形成し、また、上記リブとア
ノード13の表面とで燃料ガスである水素ガスと水蒸気
との混合ガスの流路をなす水素含有ガス流路15bを形
成する。なお、この集電体15の製造方法については後
ほど詳しく説明する。
2、アノード13および集電体15が固体高分子型燃料
電池10の単一セルの構成であり、実際には、集電体1
5、カソード12、電解質膜11、アノード13、集電
体15をこの順に複数組(図1では2組)積層して、固
体高分子型燃料電池10は構成されている。なお、互い
に隣接する二つのセルの接合部に位置する集電体は、一
方の面に酸素含有ガス流路15aを備え、他方の面に水
素含有ガス流路15bを備えるもので、一つの集電体で
両側のセルの流路を兼ねる。
の集電体15の製造方法について、以下、詳しく説明す
る。図2は、その集電体の製造方法の工程を示すフロー
チャートである。
を用意する(工程S100)。この熱膨張黒鉛粉末は次
のようにして製造される。まず、天然の燐片状の黒鉛粉
末を用意し、この黒鉛粉末を濃硫酸や濃硝酸および混酸
などに浸して、黒鉛粉末を湿式酸化させる。その後、こ
の黒鉛粉末を900℃以上の高温で急速加熱すると、黒
鉛の結晶構造における層間の間隙が膨張して、層間の距
離が30〜500μmとなる熱膨張黒鉛の粉末が形成さ
れる。この熱膨張黒鉛粉末を主原料として用意する。
鉛粉末を用意する(工程S110)。この黒鉛粉末は、
日本黒鉛製の人造黒鉛あるいは塊状粉末であり、主とす
る粒径の大きさが約20μmである。なお、この黒鉛粉
末に換えて、主とする粒径が5μm〜200μm、好ま
しくは20μm〜200μmである球状の黒鉛粉末を用
意してもよい。
鉛粉末に、工程S110で用意した黒鉛粉末を20%
(重量%)だけ添加混合する工程を実行する(工程S1
20)。ここでは、乾式混粉機にて混合する。
物である混合粉末を、プレス治具20を用いて圧縮成形
する工程を実行する(工程S130)。
構成図である。図示するように、プレス治具20は、筒
形状のダイス型22と、このダイス型22内に嵌入され
る上型24および下型26と、上型24に固定され上型
24を上下に移動する上スライド28と、下型26に固
定され下型26を上下に移動する下スライド30とを備
える。なお、図3は、上型24が下死点に、下型26が
上死点にそれぞれある状態を示している。
ポーラス型(気孔径約7μm、気孔率25%)であり、
集電体15の形状に対応した押圧面の形状を有してい
る。即ち、集電体15には、酸素含有ガス流路15a、
水素含有ガス流路15bを構成するリブが形成されてい
ることから、このリブを形成するための凸部24a、2
6aを上型24および下型26の押圧面は備える。
図示しない移動機構と接続されており、上下に移動す
る。上スライド28および下スライド30には、縦軸方
向に延びるエア抜き用の貫通孔28a,30aがそれぞ
れ設けられている。両貫通孔28a,30aには、真空
ポンプ32,34がそれぞれ接続されており、これら真
空ポンプ32,34を駆動することで、両貫通孔28
a,30aの先端に接する上型24および下型26か
ら、上型24と下型26との間の空間(キャビティ)を
減圧する。なお、上型24および下型26は、貫通孔を
有してはいないが、前述したようにポーラス型であるこ
とから、上記キャビティの減圧は、上型24および下型
26の表面全体から減圧することが可能である。また、
気密性を保つため、上スライド28および下スライド3
0には、摺動部を密封するOリング36,37が設けら
れている。
20を用いて圧縮成形がなされる。この圧縮成形の工程
について図4のフローチャートを用いて詳しく説明す
る。
向に下型26を下方向に移動し、両型24,26の間に
キャビティを形成し、そのキャビティに工程S120で
得られる混合粉末MPをセットする(工程S131)。
その後、真空ポンプ32および真空ポンプ34をオン状
態にして、上記キャビティの減圧を開始する(工程S1
32)。続いて、上スライド28を下方に、下スライド
30を上方に移動して、上型24および下型26に圧力
をかけることにより、混合粉末MPを圧縮成形する工程
を実行する(工程S133)。
がかけられる。また、この圧縮成形処理の最中には、工
程S132でオン状態となった真空ポンプ32,34に
より上型24および下型26間のキャビティ部の減圧が
なされている。このときのキャビティ部の真空度は、圧
縮率Pr×760torr以下となるように、真空ポンプ3
2、34は運転されている。ここで、圧縮率Prは、成
形後の空隙率を成形前の空隙率で割ったものである。
と、その後、真空ポンプ32,34をオフ状態とし(工
程S134)、この圧縮成形の工程を終了する。この結
果、酸素含有ガス流路15aおよび水素含有ガス流路1
5bを構成する直線状のリブを備える集電体15が上記
工程S120により得られた混合粉末MPから製造され
る。
は、粒径が約20μmである球状の黒鉛粉末を熱膨張黒
鉛粉末の粉末に混合する工程S120と、この工程によ
り得られた混合粉末MPを圧縮成形する工程S130と
を備える。熱膨張黒鉛粉末における結晶の層間の距離
は、前述したように30μm〜500μmであることか
ら、この熱膨張黒鉛粉末に上記粒径の球状の黒鉛粉末を
混合することにより、熱膨張黒鉛粉末結晶の層間の間隙
に上記黒鉛粉末の粒子をがっしりと食い込ませることが
できる。
電体の結晶構造を示す模式図である。この図5に示すよ
うに、熱膨張黒鉛粉末は、ハニカム構造の六角層Pを積
層した結晶構造を持ち、その層間の間隙に上記黒鉛粉末
の粒子Cががっしりと食い込んでいる。このため、結晶
の積層方向の間隙が黒鉛粉末で電気的に完全に導通した
状態となる。従って、この第1実施例の集電体の製造方
法によれば、厚み方向(結晶の積層方向)にも電気導電
性の優れた集電体を製造することができる。
の黒鉛粉末の粒子が前述したようにがっしりと食い込む
ことから、結晶の層の層方向へのすべりを抑制すること
ができる。従って、この第1実施例の集電体の製造方法
によれば、機械的強度の点でも優れた集電体を製造する
ことができる。
径の相違する幾つかの球状の黒鉛粉末を用いて集電体を
製造したので、その集電体についての固有抵抗値、曲げ
強度を測定して、その測定結果を図6および図7に示し
た。
厚み方向の固有抵抗値との関係を示すグラフである。こ
の図に示すように、球状の黒鉛粉末の粒径が5μm、2
0μmおよび200μmのときには、固有抵抗値は5な
いし6mΩ・cmであり、5〜200μmの範囲より小
さい20nmのときや、その範囲より大きい500μm
のときには、固有抵抗値は5mΩ・cmより遙かに大き
い値となる。この測定結果は、球状の黒鉛粉末の粒径が
5μm以上で200μm以下であるときには良好な電気
伝導度を示し、この範囲からずれると、電気伝導度が悪
化することを示している。
曲げ強度との関係を示すグラフである。この図に示すよ
うに、球状の黒鉛粉末の粒径が5μm、20μmおよび
200μmのときには、曲げ強度は大きく、5〜200
nmの範囲より小さい20nmのときや、その範囲より
大きい500μmのときには、曲げ強度は小さい。この
測定結果は、球状の黒鉛粉末の粒径が5μm以上で20
0μm以下のときには良好な曲げ強度を示し、この範囲
からずれると、曲げ強度が悪化することを示している。
なお、黒鉛粉末の粒径が500μmのときに図6および
図7に示すデータ値となるのは、粒径が極端に大きくな
ると、成形体密度が上がりにくくない、固有抵抗値は頭
打ちとなり、強度は粗大粒子が破壊起点となり低下する
ためである。
れた集電体を製造するのに良好な粒径の黒鉛粉末が、曲
げ強度の点でも良好な結果を示すことを示している。
ものに固定して、その黒鉛粉末の添加量を変えて集電体
を製造した。図8は、黒鉛粉末の添加量(%)と固有抵
抗値との関係を示したグラフである。図8において、固
有抵抗値は集電体の面方向と厚さ方向とを示している。
この図8から判るように、黒鉛粉末の添加量が5〜50
%、好ましくは20〜40%の範囲で厚さ方向の固有抵
抗値が小さく、5〜50%の範囲を外れると、厚さ方向
の固有抵抗値が大きくなる。
度との関係を示したグラフである。この図9から、黒鉛
粉末の添加量が5〜50%、好ましくは20〜50%の
範囲で曲げ強度に優れていることがわかる。このこと
は、黒鉛粉末の添加量を、前述したように固有抵抗値が
良好となる5〜50%としても、曲げ強度が優れている
ことを示している。即ち、固有抵抗値を高めるために球
状の黒鉛粉末を5〜50%の範囲で添加しても、製造さ
れる集電体の曲げ強度を低下させるようなことはない。
従って、前記第1実施例では、球状の黒鉛粉末の添加量
を20%としたが、5〜50%の範囲内では他の比率の
添加量としてもよい。
型26との間のキャビティを真空ポンプ32、34で減
圧しつつ、上型24および下型26による圧縮成形を行
なっていることから、熱膨張黒鉛粉末内に気泡を残すこ
となく圧縮成形を行なうことができる。従来、集電体材
料内に気泡が含有されると、脱型後、成形体内部に閉じ
込められた気泡が膨張して、成形体は表面が膨れたり、
層状に剥離したりするが、上述のように気泡を抜いて圧
縮生成することができることから、表面の膨れや剥離の
ない集電体15を製造することができる。
な真空ポンプ32、34による減圧成形を行なっている
が、これに換えて、減圧成形を行なわない構成としても
よい。この第1実施例では、熱膨張黒鉛粉末の層間に大
きな粒径の黒鉛粉末が介在する構成となっていることか
ら、熱膨張黒鉛粉末の層間の空気を追い出して気泡が残
ることは従来例と比べて少ない。従って、減圧しない構
成であっても、表面の膨れや剥離の少ない集電体15を
製造することができる。
る。この第2実施例は、第1実施例の固体高分子型燃料
電池10と同じ構成の燃料電池に関わるもので、その固
体高分子型燃料電池10に使用される集電体15の製造
方法が第1実施例と相違する。
示すフローチャートである。図10に示すように、ま
ず、熱膨張黒鉛粉末を用意する(工程S200)。この
工程は、第1実施例の工程S100と同一のものであ
る。次いで、球状の天然黒鉛粉末を用意する(工程S2
10)。なお、この黒鉛粉末の粒径は特にこだわらず、
第1実施例のように約20μmのものを用意してもよい
し、特開平1−311570号公報記載のカーボンブラ
ックのように数nm〜数十nmのものを用意する構成と
してもよい。
鉛粉末にバインダを被覆する工程を実行する(工程S2
20)。詳しくは、バインダとなるエポキシ系の熱硬化
性樹脂を、黒鉛粉末の全量に対して5〜10%(重量
%)の量だけ用意して、その量の熱硬化性樹脂をメチル
エチルケトンの溶媒で希釈する。こうして得た溶液を工
程S210で用意した球状の黒鉛粉末と混合して、その
後、乾燥する。この結果、工程S210で用意した球状
の黒鉛粉末の表面にバインダを均一に被覆することがで
きる。
鉛粉末に、工程S220でバインダの被覆がなされた球
状の黒鉛粉末を10%(重量%)だけ添加混合する工程
を実行する(工程S230)。続いて、工程S230に
より得られた混合粉末を、プレス治具を用いて圧縮成形
する工程を実行する(工程S240)。この圧縮成形の
工程では、第1実施例のそれとほぼ同一の工程が行なわ
れるが、相違する点は、使用するプレス治具に加熱ヒー
タが設けられており、加熱しながらの圧縮成形が可能と
なっている。この圧縮成形の工程の終了後、この集電体
の製造方法を終了する。
は、球状の黒鉛粉末にバインダである熱硬化性樹脂を被
覆する工程S220と、熱膨張黒鉛粉末にこのバインダ
の被覆された黒鉛粉末を混合する工程S240と、この
工程により得られた混合物を圧縮成形する工程S130
とを備える。球状の炭素粉末に熱硬化性樹脂よりなるバ
インダを被覆することは容易であり、しかも、熱膨張黒
鉛粉末に球状の炭素粉末を混合するだけで、炭素粉末を
主原料に均一にゆき渡らせることもできる。このため、
バインダは熱膨張黒鉛粉末に容易に均一にゆき渡る。従
って、バインダを主原料にゆき渡らせるのに少量のバイ
ンダですむことから、電気伝導性に優れた集電体15を
製造することができる効果を奏する。
5がいかに優れているかを実測データにより示すのが、
図11および図12である。図11は、この第2実施例
と、バインダを熱膨張黒鉛粉末全体に混合した従来例と
でそれぞれ製造した集電体の固有抵抗値を示すグラフで
あり、図12は、この第2実施例と上記従来例とでそれ
ぞれ製造した集電体の曲げ強度を示すグラフである。図
12に示すように、第2実施例によれば、バインダ添加
量が20%である従来例と比べて、少ないバインダの添
加量5%、10%でありながら、曲げ強度は、ほぼ同じ
水準に保つことができ、それにも拘わらず、図11に示
すように、厚さ方向の固有抵抗値は、半分以下の小さい
値に抑えることができる。
法によれば、少量のバインダ量でありながら集電体の機
械的強度を十分に高めることができ、さらには、集電体
の電気伝導性を優れたものにすることができることが判
る。
施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸
脱しない範囲内において、種々なる態様で実施し得るこ
とが可能であり、例えば、次のような他のような変形も
可能である。
りん酸型のもの、あるいは溶融炭酸塩型の燃料電池に用
いられる集電体を製造する構成としてもよい。
換えて、鱗片状の天然黒鉛粉末とした構成であってもよ
い。鱗片状の天然黒鉛粉末も、熱膨張黒鉛粉末と同様、
嵩高い粉末状のもので、熱膨張黒鉛粒子の間に間隙があ
ることから、熱膨張黒鉛粒子の積層方向の電気伝導性が
悪いが、上記第1または第2実施例と同様の構成で集電
体を製造することで、電気伝導性を良好な集電体を製造
することができる。
のものに換えて、立方体等の他の形状のものとしてもよ
く、要は、少なくとも塊状のものであればよい。なお、
炭素粉末が立方体形状のものであるときは、請求項1で
言う「粒径」とは、その立方体の一辺の長さであり、粒
の大きさを示している。 (4)また、球状の炭素粉末は、第1または第2実施例
のような天然黒鉛粉末に換えて、人造の黒鉛粉末を用い
た構成としてもよい。
電体を使用した固体高分子型燃料電池10の構造図であ
る。
ートである。
レス治具20の断面形状を示す構成図である。
る。
有抵抗値との関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
を示したグラフである。
示したグラフである。
フローチャートである。
電体の固有抵抗値を示すグラフである。
電体の曲げ強度を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 燃料電池用の集電体を製造する方法であ
って、 熱膨張黒鉛粉末または鱗片状の天然黒鉛粉末に、主とし
て粒径が5μm以上で200μm以下である球状または
塊状の炭素粉末を混合する工程と、 該工程による混合物を成形する工程とを備えることを特
徴とする燃料電池用集電体の製造方法。 - 【請求項2】 燃料電池用の集電体を製造する方法であ
って、 球状または塊状の炭素粉末に所定の樹脂よりなるバイン
ダを被覆する工程と、 熱膨張黒鉛粉末または鱗片状の天然黒鉛粉末に、上記バ
インダの被覆がなされた炭素粉末を混合する工程と、 該工程による混合物を成形する工程とを備えることを特
徴とする燃料電池用集電体の製造方法。
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