JPH1038036A - かさ歯車装置 - Google Patents

かさ歯車装置

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JPH1038036A
JPH1038036A JP19938296A JP19938296A JPH1038036A JP H1038036 A JPH1038036 A JP H1038036A JP 19938296 A JP19938296 A JP 19938296A JP 19938296 A JP19938296 A JP 19938296A JP H1038036 A JPH1038036 A JP H1038036A
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JP
Japan
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gear
ring gear
component
pinion gear
ring
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JP19938296A
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English (en)
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Kazuyoshi Ogawa
一義 小川
Takashi Asano
高司 浅野
Mitsuyoshi Yokogawa
光義 横川
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Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】歯部の耐久性を向上させ得るのに有利なかさ歯
車装置を提供すること。 【解決手段】かさ歯車装置は、x方向及びy方向に沿っ
て配置され軸芯がz方向に沿うリング状をなすリングギ
ヤ1と、軸芯がx方向に沿うピニオンギヤ3と、リング
ギヤ1及びピニオンギヤ3を回転可能に組付けた歯車箱
とをもつ。リングギヤ1の軸芯1pとピニオンギヤ3の
軸芯3pとの間のy方向における軸芯間距離がピニオン
ギヤ3の回転に伴いy方向において変化する。この変化
を補正するようにリングギヤ1のピッチ円直径をDp
〔mm〕としたとき、ピニオンギヤ3の軸芯はy方向に
おいて正規の位置からδ〔mm〕ずれて設定されてい
る。ここで、δ=(0.0〜0.5)+0.0005・
Dp

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はかさ歯車装置に関す
る。本発明は例えばハイポイドギヤまたはマガリバかさ
歯車等に適用できる。
【0002】
【従来の技術】代表的なかさ歯車装置として、食い違い
軸芯をもつハイポイドギヤ装置を例にとって説明する。
ハイポイドギヤ装置は、図1に示すように、x方向及び
y方向に沿って配置され軸芯1pがz方向に沿うリング
状をなすリングギヤ1と、軸芯3pがx方向に沿って配
置されリングギヤ1と対をなしリングギヤ1に噛み合う
ピニオンギヤ3とを用い、リングギヤ1及びピニオンギ
ヤ3を歯車箱に回転可能に保持して構成されている。こ
こで三次元の方向はx、y、zのように小文字で示す。
【0003】ピニオンギヤ3は小端3aと大端3cを備
えている。図1においてピニオンギヤ3の正回転方向は
R1、逆回転方向はR2として示される。図2(A)
(B)は、ハイポイドギヤ装置の要部をそれぞれ異なる
方向からみた図である。これによれば、ピニオンギヤ3
はリングギヤ1に対して所定量ずらして、つまりオフセ
ットされて配置されている。このハイポイドギヤ装置に
よれば、ピッチ円直径等のギヤ諸元に基づいて規定され
た正規の位置となるようにアライメントのX成分、Y成
分、Z成分、Σ成分が規定されている。
【0004】即ち、図2(A)(B)に示すように、ア
ライメントは、x方向におけるX成分、y方向における
Y成分、z方向におけるZ成分、Σ成分の4成分で表さ
れる。なおアライメントの成分はX、Y、Zのように大
文字で示す。図2(A)(B)から理解できるように、
アライメントのX成分は、リングギヤ1の軸芯1pとピ
ニオンギヤ3の大端3cとの間のx方向における距離で
ある。アライメントのY成分は、リングギヤ1の軸芯1
pとピニオンギヤ3の軸芯3pとの間のy方向における
軸芯間距離であり、一般にオフセットと呼ばれる。Z成
分は、リングギヤ1の大端1cとピニオンギヤ3の軸芯
3pとの間のz方向における距離である。アライメント
のΣ成分は、リングギヤ1の軸芯1cとピニオンギヤ3
の軸芯3cとの間の交差角である。
【0005】ところで現状では、リングギヤ1及びピニ
オンギヤ3を歯車箱に組付けた状態で、無負荷に近い状
態で、ピニオンギヤ3及びリングギヤ1を回転させなが
ら、ピニオンギヤ3及びリングギヤ1の歯面の歯当たり
をチェックし、歯当たりが良好となるようにリングギヤ
1及びピニオンギヤ3を歯車箱に組付けている。換言す
れば、現状では、図10に示すように、無負荷に近い状
態で、リングギヤ1の歯部において、歯当たりの伸びが
歯すじ方向長さの約1/2となり、かつ、外端1hより
も内端1kに寄るような歯当たりが得られるように、ピ
ニオンギヤ3のアライメントのX成分およびリングギヤ
1のアライメントのZ成分の位置が微調整されて、ピニ
オンギヤ3及びリングギヤ1は歯車箱に組付けられてい
る。この場合、負荷が作用した時の歯当たりは、図11
に示すように歯筋方向においてほぼ全面的な歯当たりと
なり、強度上好ましい状態が得られると、従来より考え
られていた。なお図10、図11において黒色で塗った
部分は、歯当たりしている箇所を意味する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、産業界では、か
さ歯車の使用条件が更に厳しくなっている。そこで歯部
の耐久性が更に向上したかさ歯車装置が要望されてい
る。本発明は上記した実情に鑑みなされたものであり、
その課題は、歯部の耐久性を向上させ得るのに有利なか
さ歯車装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を達
成するために鋭意研究を進めた。そして、常用領域での
負荷である常用負荷や定格負荷等の負荷に伴うアライメ
ントのX成分、Y成分、Z成分、Σ成分の変化と歯部の
耐久性との関係を研究した結果、ピニオンギヤの回転に
伴うアライメントのY成分が変化する現象を補正して解
消または低減するように、アライメントのY成分を正規
の位置から、以下の式で規定されるδ〔mm〕ずらして
組付ければ、歯部の耐久性を向上させ得ることを知見
し、試験で確認し、本発明を完成した。
【0008】その理由は次のように推察される。即ち、
上記した従来に係る組付け形態によれば、歯当たりの面
からは一見良好な状態が得られているものの、上記した
組付け時の歯当たりは、無負荷または無負荷に近い軽負
荷作用時における歯当たりであり、高い負荷が作用する
際の理想的な歯当たりでは、必ずしもない。即ち、各ギ
ヤを支持する支持剛性は歯車箱の剛性、軸受けの剛性、
ギヤ自体の剛性等に影響を受け、無限大ではなく有限で
ある。そのため組付け時に良好に歯当たりが生じるよう
に組付けたとしても、常用負荷や定格負荷等の負荷が作
用している時には、上記したアライメントのX成分、Y
成分、Z成分、Σ成分が組付け時よりも変化する。
【0009】故に負荷が作用する時には、各ギヤにかか
る荷重分担、歯当たり、各ギヤの歯部の歯すじ方向の歯
元応力分布が必ずしも均等ではなくなり、強度に大きな
影響を与える歯部の歯元の応力の均一性が低下するため
と推察される。即ち、請求項1に係るかさ歯車装置は、
x方向及びy方向に沿って配置され軸芯がz方向に沿う
リング状をなすリングギヤと、軸芯がx方向に沿うと共
にリングギヤと対をなしリングギヤに噛み合うピニオン
ギヤと、リングギヤ及びピニオンギヤを回転可能に組付
けた歯車箱とで構成されたかさ歯車装置において、リン
グギヤの軸芯とピニオンギヤの軸芯との間のy方向にお
ける軸芯間距離が負荷作用時にy方向において変化する
現象を補正するように、リングギヤのピッチ円直径をD
p〔mm〕としたとき、ピニオンギヤの軸芯はy方向に
おいて正規の位置からδ〔mm〕ずれて設定されている
ことを特徴とするものである。
【0010】ここで、δ=(0.0〜0.5)+0.0
005・Dp 請求項2に係るかさ歯車装置は、x方向及びy方向に沿
って配置され軸芯がz方向に沿うリング状をなすリング
ギヤと、軸芯がx方向に沿うと共にy方向にオフセット
されて配置されリングギヤと対をなしリングギヤに噛み
合うピニオンギヤと、リングギヤ及びピニオンギヤを回
転可能に組付けた歯車箱とで構成されたかさ歯車装置に
おいて、リングギヤの軸芯とピニオンギヤの軸芯との間
のアライメントのy方向におけるY成分が負荷作用時に
変化する現象を補正するように、リングギヤのピッチ円
直径をDp〔mm〕としたとき、Y成分は正規の位置か
らδ〔mm〕ずれて設定されていることを特徴とするも
のである。
【0011】ここで、δ=(0.0〜0.5)+0.0
005・Dp 上記した式における第1項である(0.0〜0.5)
は、かさ歯車装置における支持剛性の大きさを考慮した
ものであり、ギヤの支持剛性が高いほど(0.0〜0.
5)の範囲から小さい値が選択され、ギヤの支持剛性が
低いほど(0.0〜0.5)の範囲から大きな値が選択
される。
【0012】上記した式における第2項である0.00
05・Dpは、かさ歯車装置の大きさ、特にリングギヤ
の径の影響を考慮したものである。アライメントのY成
分の望ましい補正量δとしては、上記した式から計算さ
れる値の範囲から選べば良い。負荷作用時には前述した
ように、請求項1では、リングギヤの軸芯とピニオンギ
ヤの軸芯との間のy方向における軸芯間距離、また請求
項2では、リングギヤの軸芯とピニオンギヤの軸芯との
間のアライメントのy方向におけるY成分などが変化す
る。そのため、補正量δの符号としては、請求項1では
前記軸芯間距離、また請求項2では前記アライメントの
Y成分の変化を補正して是正するような向きとする。
【0013】なお本発明において、正規の位置とは、か
さ歯車装置がハイポイドギヤ装置の場合には、リングギ
ヤ及びピニオンギヤのピッチ円直径、リングギヤ及びピ
ニオンギヤの歯筋方向におけるプロフィール等のギヤ諸
元で規定されるアライメント(X成分、Y成分、Z成
分、Σ成分)をいう。またかさ歯車装置がマガリバかさ
歯車装置の場合には、リングギヤの軸芯とピニオンギヤ
の軸芯との合致位置をいう。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、本
発明の開発過程と共に説明する。 従来技術の説明で図1、図2を用いたが、本実施形態
の特徴は補正量δであり、前提構成は従来技術と同様で
あるため、本実施形態についても図1、図2を参照して
説明する。
【0015】図1に示すようなかさ歯車装置の代表例で
あるハイポイドギヤ装置において、アライメントは前述
したようにX成分、Y成分、Z成分、Σ成分の4成分で
表される。この4成分のそれぞれについて、独立に少し
ずつ大きさを変化させて、歯元における最大歯元応力の
変化を調べた。その結果を図3に示す。図3において、
(A)はアライメントのX成分を変化させたときの試験
結果を示し、(B)はアライメントのY成分を変化させ
たときの試験結果を示し、(C)はアライメントのZ成
分を変化させたときの試験結果を示し、(D)はアライ
メントのΣ成分を変化させたときの試験結果を示す。ま
た図3の(I)はリングギヤ1の試験結果を示し、図3
の(II)はピニオンギヤ3の試験結果を示す。図3の
各試験結果において、縦軸は、各成分の変化量を0とし
たときの歯元最大ひずみを1とした相対比を示す。
【0016】換言すれば、図3の各試験結果から理解で
きるように、アライメントを構成するX成分、Z成分、
Σ成分については変化しても、リングギヤ1及びピニオ
ンギヤ3共に歯元最大ひずみに与える影響は小さい。し
かしながら図3の(B)の(I)(II)で示す試験結
果の特性線K1、K2から理解できるように、アライメ
ントを構成するY成分が変化すると、歯元最大ひずみが
かなり大きな割合で変化するものである。
【0017】また、アライメントを構成するX成分、Y
成分、Z成分、Σ成分は、負荷に基づいて変化する。各
成分の変化量は、負荷の大きさ、歯車箱の剛性等によっ
て異なる。ピニオンギヤが矢印R1方向へ正回転する場
合において、一例を示せば、表1に示すようであり、か
さ歯車装置に定格負荷が作用しているときには、X成
分、Y成分、Z成分、Σ成分の各成分ともに0.数〔m
m〕の変化が生じている。
【0018】
【表1】 このことは、かさ歯車装置の組付け時に、リングギヤ1
やピニオンギヤ3のピッチ円直径やリングギヤ1やピニ
オンギヤ3の歯面のプロフィール等で規定される設計上
のアライメント通りに組付けたとしても、使用の際に、
常用負荷等のような高い負荷が加われば、アライメント
の各成分の値が変化することを意味する。従って、負荷
が作用する時には、このようなアライメントの変化に起
因して、歯部の歯元の最大応力が増大し、耐久性の低下
の要因となると考えられる。これを避けるには、リング
ギヤ1やピニオンギヤ3を組付ける時に、アライメント
の負荷による変化分が低減する方向に変化分を解消、低
減するように予め補正しておけばよい。
【0019】このときX成分、Y成分、Z成分、Σ成分
の4つのアライメント成分のすべてについて補正するま
でもない。図3の特性線K1、K2に示すように、アラ
イメントのY成分のみを補正することによって、歯元最
大応力の上昇を抑えて、歯元最大ひずみひずみの増加を
抑えることができる。ところで一般に、歯車の大きさが
大きくなり、歯車箱が大きいほどアライメントの変化量
は大きくなる。したがって、アライメントのY成分の補
正量は、リングギヤ1のピッチ円径が大きいほど、大き
くなる。本発明者が多数のかさ歯車装置(例えば、リン
グギヤ1のピッチ円直径が200〔mm〕、60〔m
m〕など)を用い、定格負荷が作用したとき、正規の位
置に対するアライメントのY成分の変化量をδ〔mm〕
とし、リングギヤ1のピッチ円径をDp〔mm〕とした
とき、両者の関係を調べた結果、おおよそ以下のような
関係が成立することを知見された。
【0020】 δ=(0.0〜0.5)+0.0005・Dp ……(1) 上記したピニオンギヤ3が正回転する形態では、表1に
示すように、ΔYには負の符号がつく。即ち、負荷作用
時には、アライメントのY成分が減少するように変化す
る。そこでピニオンギヤ3が主として正回転するハイポ
イドギヤ装置では、上記変化を解消、低減するように補
正すべく、アライメントのY成分が広がる方向に、上記
した(1)式に基づいて補正量δを設定する。
【0021】一方、ピニオンギヤ3が逆回転する形態で
は、ΔYには正の符号がつき、アライメントのY成分が
広がるように変化する。そこでピニオンギヤ3が主に逆
回転する形態のハイポイドギヤ装置では、この変化を解
消、低減するように補正するべく、アライメントのY成
分が狭まる方向に、上記した(1)式に基づいて補正量
δを設定する。 本実施形態は、車両の駆動系の減速機構を構成するフ
ァイナルドライブに用いられているハイポイドギヤ装置
に適用した場合である。これを図4に示す。本実施形態
に係るハイポイドギヤ装置は、図4から理解できるよう
に、従来技術と同様に、x方向及びy方向に沿って配置
され軸芯がz方向に沿うリング状をなすリングギヤ1
と、軸芯がx方向に沿って配置されリングギヤ1と対を
なしリングギヤ1に噛み合うピニオンギヤ3と、リング
ギヤ1及びピニオンギヤ3を組付ける歯車箱6とで構成
されている。ピニオンギヤ3は第1軸受63と第2軸受
64とで回転可能に歯車箱6に支持されている。
【0022】リングギヤ1は図略の軸受で回転可能に歯
車箱6に支持されている。本実施形態によれば、ピニオ
ンギヤ3が駆動されると、リングギヤ1が従動する。ピ
ニオンギヤ3の正回転方向はR1、逆回転方向はR2で
ある。本実施形態においては、車両の駆動系に用いられ
るため、ピニオンギヤ2が正回転方向R1に回転する形
態が使用頻度が高く、ピニオンギヤ3が逆回転方向R2
に回転する形態が使用頻度が低い。そのため使用頻度が
高い正回転方向R1でピニオンギヤ3が回転する場合に
おける歯部の耐久性を高めることが肝要である。このよ
うにピニオンギヤ3が正回転方向R1に回転する形態で
は、負荷作用時にはアライメントのY成分が減少するよ
うにY成分が変化する。そこで本実施形態によれば、こ
の変化が補正されて解消、低減される向きに、上記
(1)式に基づいて補正量δを設定し、これによりアラ
イメントのY成分が広がるように、ピニオンギヤ3やリ
ングギヤ1が組付けられている。
【0023】本発明の請求項1に係るかさ歯車装置の組
付け方法としては、x方向及びy方向に沿って配置され
軸芯がz方向に沿うリング状をなすリングギヤと、軸芯
がx方向に沿うと共に前記リングギヤと対をなし前記リ
ングギヤに噛み合うピニオンギヤと、前記リングギヤ及
び前記ピニオンギヤを回転可能に組付ける歯車箱とを用
い、前記リングギヤのピッチ円直径をDp〔mm〕とし
たとき、前記リングギヤの軸芯が、y方向において正規
位置からδ〔mm〕ずれるように、前記リングギヤ及び
前記ピニオンギヤを前記歯車箱に組付け、負荷作用時に
おける前記リングギヤの軸芯と前記ピニオンギヤの軸芯
との間のy方向における軸芯間距離がy方向において変
化する現象を補正するようにしたことにより行う方法が
ある。
【0024】ここで、δ=(0.0〜0.5)+0.0
005・Dp また本発明の請求項2に係るかさ歯車装置の組付け方法
としては、x方向及びy方向に沿って配置され軸芯がz
方向に沿うリング状をなすリングギヤと、軸芯がx方向
に沿い且つアライメントされて配置されると共にリング
ギヤと対をなしリングギヤに噛み合うピニオンギヤと、
リングギヤ及びピニオンギヤを回転可能に組付ける歯車
箱とを用い、リングギヤのピッチ円直径をDp〔mm〕
としたとき、リングギヤの軸芯とピニオンギヤの軸芯と
の間のアライメントのy方向におけるY成分が、正規の
位置からδ〔mm〕ずれるように、リングギヤ及びピニ
オンギヤを歯車箱に組付け、負荷作用時におけるアライ
メントのY成分の変化を補正するようにしたことにより
行う方法がある。
【0025】ここで、δ=(0.0〜0.5)+0.0
005・Dp
【0026】
【実施例】本実施例は、前記した図4に示すハイポイド
ギヤ装置に適用した例である。本実施例によれば、ピニ
オンギヤ3が正回転方向R1に回転する形態の使用頻度
が高い。本実施例によれば、リングギヤ1のピッチ円径
は200〔mm〕、ピニオンギヤ3のピッチ円径は70
〔mm〕、リングギヤ1の歯数は47であり、ピニオン
ギヤ3の歯数は13であり、ギヤ比は3.615=47
/13である。
【0027】本実施例に係るハイポイドギヤ装置につい
て、アライメントのY成分の正規の位置の値は28.0
〔mm〕である。本実施例によれば、補正値δ=0.3
〔mm〕に設定されている。本実施例によれば、ピニオ
ンギヤ3が正回転方向R1に回転する形態の使用頻度が
高いため、正回転する場合における歯部の耐久性を向上
させる必要がある。この場合には負荷作用時には前述し
たように、アライメントのY成分が狭まるように変化す
る。そこで本実施例によれば、正規の位置よりも補正値
δ=0.3〔mm〕ぶん、アライメントのY成分を広め
にずらして、各ギヤは組付けられている。
【0028】ちなみに図5は正規の位置にリングギヤ1
及びピニオンギヤ3を組付けた状態を比較例として示
す。前述したように本実施例によれば、アライメントの
Y成分の補正量δは、Y成分が広がる方向において0.
3〔mm〕と微小量である。図4と図5との比較から理
解できるように、理解の容易のために補正量δは、かな
り誇張して図示されている。
【0029】上記したかさ歯車装置について、歯元曲げ
疲労試験を行って疲労強度を求めた。この試験では、使
用した試験機はパルセータ式歯車疲労試験であり、リン
グギヤ1とピニオンギヤ3とを噛み合わせた状態で、リ
ングギヤ1を固定し、ピニオンギヤ3を所定の振幅で揺
動させ、これにより完全片振りの疲労試験を行ない、リ
ングギヤ1の歯部の疲労強度を求めた。試験速度は約2
000cpmである。疲労試験の結果を図6に示す。
【0030】図6の横軸は破断に至るまでの繰り返し数
を示し、縦軸は従来技術の疲労強度を1にした場合にお
ける相対値としてのトルクを示す。□印は、正規位置に
組み付けた従来技術に係る試験結果を示す。■印は、ア
ライメントのY成分を正規の位置の値よりも、δ=0.
3〔mm〕ぶん広めにずらして、ピニオンギヤ3やリン
グギヤ1を組付けた場合における試験結果を示す。
【0031】■印から理解できるように、本実施例によ
れば、疲労強度の相対値は1.2以上であり、疲労強度
がかなり向上していることが確認された。即ちアライメ
ントのY成分が正規の位置として設定されている従来技
術に比較して、本実施例によれば20%以上の耐久性の
向上が得られたことが確認された。また本実施例及び従
来例に係るピニオンギヤ3を用い、歯部の歯元応力の歯
すじ方向分布を測定した。歯元応力の測定は、歪みゲー
ジを張付けたハイポイドギヤをパルセータ式歯車疲労試
験機に組み付けてリングギヤ側を固定し、ピニオンギヤ
側よりトルクを負荷することにより行った。その測定結
果を図7に示す。
【0032】図7の横軸は、ピニオンギヤ3の小端3a
側から大端3c側への歯筋方向における位置を示す。図
7の縦軸は歯元応力を示す。図7から理解できるよう
に、正規位置にセットした比較例では、○印で示すよう
に、ピニオンギヤ3の小端3a側から大端3c側に向か
うにつれて、歯元応力の均一性は充分ではなかった。し
かし本実施形態によれば、●印に示すように、ピニオン
ギヤ3の小端3a側から大端3c側に向かうにつれて、
歯元応力の均一性が向上していたことが確認された。
【0033】従って本実施形態によれば、複数の歯およ
びそれぞれの歯の歯すじ方向における荷重分担が均等化
し、歯元最大応力が低く抑えられ、歯元にかかる応力の
上昇が抑制される。すなわち、高いトルクが負荷されて
も、歯元最大応力を小さくできることにより、かさ歯車
装置の耐久性を高め得る。なお、各ギヤの取付位置を、
設計時の正規の位置よりも、δぶんずらして取付けてい
る本実施例によれば、組付け時よりも、定格負荷または
常用負荷のときに歯当たりが良好となる。このような本
実施例では、負荷が、補正の基準とした定格負荷または
常用負荷の大きさ程度であれば、歯車の騒音は小さく実
質的には問題とならない。しかしながらその反面、負荷
が非常に小さい場合には、かえって歯当たりの不良によ
り騒音が問題となることも考えられる。
【0034】この問題点を解決するために、本実施例で
は、図1に示すアライメントのY成分の他にX成分も微
調整することによって、リングギヤ1とピニオンギヤ3
の歯当たりを改善し、騒音を低下させることができる。
図3の試験結果から理解できるように、アライメントの
X成分を変化させても、歯元最大応力への影響はほとん
どないので、歯車の耐久性の悪化を抑制できる。
【0035】(他の実施例)上記した実施例によれば自
動車のファイナルドライブに用いられているハイポイド
ギヤ装置を例にとって、かさ歯車装置について説明した
が、これに限らず、工作機械や、建設機械等の動力伝達
機構に用いられている各種のかさ歯車装置に適用できる
ことは勿論である。
【0036】またハイポイドギヤ装置に限らず、マガリ
バかさ歯車についても適用することもできる。図8は、
かさ歯車装置としての従来技術に係るマガリバかさ歯車
装置を示す。このマガリバかさ歯車装置は、x方向及び
y方向に沿って配置され軸芯がz方向に沿うリング状を
なすリングギヤ10と、軸芯がx方向に沿って配置され
リングギヤ10と対をなしリングギヤ10に噛み合うピ
ニオンギヤ30と、リングギヤ10及びピニオンギヤ3
0を回転可能に保持する歯車箱6(図略)とで構成され
ている。
【0037】従来例に係るマガリバかさ歯車によれば、
図8に示すように、組付け時には、リングギヤ10の軸
芯10pとピニオンギヤ30の軸芯30pとは合致して
いる。これが正規の位置である。しかしながら負荷が作
用する時には、ピニオンギヤ30が正回転方向R1に回
転すれば、図8に示すピニオンギヤ30にはy方向にお
いて矢印F1方向の力が作用し、ピニオンギヤ30の軸
芯がy方向においてリングギヤ10の軸芯から離れるよ
うに変化しがちである。
【0038】そこで本実施例に係るマガリバかさ歯車に
よれば、図9に示すように、この変化を補正すべく、y
方向において、矢印F1方向と逆方向であるF2方向
に、δぶん補正してピニオンギヤ30の軸芯30pがず
れるように、ピニオンギヤ30を組付ける。従って組付
け時には、図9に示すようにピニオンギヤ30の軸芯3
0pとリングギヤ10の軸芯10pとは非合致である。
即ち、合致している状態である正規の位置からずれてい
る。もっとも図9によれば、理解容易化のため、非合致
状態が誇張して図示されている。
【0039】上記のように正規の位置からずらして組付
ければ、負荷が作用する時には、ピニオンギヤ30が正
回転方向R1に回転すれば、前述同様にピニオンギヤ3
0にはy方向において矢印F1方向の力が作用するた
め、ピニオンギヤ30の軸芯30pがリングギヤ10の
軸芯10pと合致するか、合致する方向に近づくように
なる。従って、歯部の疲労強度が向上して歯部の耐久性
が向上する。この装置においても、リングギヤ10のピ
ッチ円直径をDp〔mm〕としたとき、上記した(1)
式に基づいて補正量δは設定されている。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、歯部の疲労強度が向上
して歯部の耐久性が向上したかさ歯車装置が得られる。
これは試験で確認されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】かさ歯車装置の代表例であるハイポイドギヤ装
置の要部の斜視図である。
【図2】それぞれ異なる方向からみたハイポイドギヤ装
置の要部を示す構成図である。
【図3】アライメントの各成分が変化した場合における
歯元最大ひずみへの影響を示すグラフである。
【図4】Y成分をδ補正した場合におけるハイポイドギ
ヤ装置の要部を示す構成図である。
【図5】δ補正していない従来例に係るハイポイドギヤ
装置の要部を示す構成図である。
【図6】リングギヤ1の疲労試験の結果を示すグラフで
ある。
【図7】ピニオンギヤの歯筋方向における歯元応力を示
すグラフである。
【図8】従来例に係るマガリバかさ歯車の要部の構成図
である。
【図9】δ補正した場合におけるマガリバかさ歯車の要
部の構成図である。
【図10】従来技術に係り、無負荷に近い状態において
リングギヤの望ましい歯当たりを示す構成図である。
【図11】全負荷時においてリングギヤの望ましい歯当
たりを示す構成図である。
【符号の説明】
図中、1はリングギヤ、3はピニオンギヤ、6は歯車箱
を示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】x方向及びy方向に沿って配置され軸芯が
    z方向に沿うリング状をなすリングギヤと、 軸芯がx方向に沿うと共に前記リングギヤと対をなし前
    記リングギヤに噛み合うピニオンギヤと、 前記リングギヤ及び前記ピニオンギヤを回転可能に組付
    けた歯車箱とで構成されたかさ歯車装置において、 前記リングギヤの軸芯と前記ピニオンギヤの軸芯との間
    のy方向における軸芯間距離が負荷作用時にy方向にお
    いて変化する現象を補正するように、 前記リングギヤのピッチ円直径をDp〔mm〕としたと
    き、 前記ピニオンギヤの軸芯はy方向において正規の位置か
    らδ〔mm〕ずれて設定されていることを特徴とするか
    さ歯車装置。 ここで、δ=(0.0〜0.5)+0.0005・Dp
  2. 【請求項2】x方向及びy方向に沿って配置され軸芯が
    z方向に沿うリング状をなすリングギヤと、 軸芯がx方向に沿うと共にy方向にオフセットされて配
    置され前記リングギヤと対をなし前記リングギヤに噛み
    合うピニオンギヤと、 前記リングギヤ及び前記ピニオンギヤを回転可能に組付
    けた歯車箱とで構成されたかさ歯車装置において、 前記リングギヤの軸芯と前記ピニオンギヤの軸芯との間
    のアライメントのy方向におけるY成分が負荷作用時に
    変化する現象を補正するように、 前記リングギヤのピッチ円直径をDp〔mm〕としたと
    き、 前記Y成分は正規の位置からδ〔mm〕ずれて設定され
    ていることを特徴とするかさ歯車装置。 ここで、δ=(0.0〜0.5)+0.0005・Dp
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