JPH1034943A - インクジェット記録ヘッド用インク室基板の製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド用インク室基板の製造方法

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JPH1034943A
JPH1034943A JP19196496A JP19196496A JPH1034943A JP H1034943 A JPH1034943 A JP H1034943A JP 19196496 A JP19196496 A JP 19196496A JP 19196496 A JP19196496 A JP 19196496A JP H1034943 A JPH1034943 A JP H1034943A
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JP
Japan
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ink
ink chamber
chamber substrate
recording head
jet recording
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JP19196496A
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Seiichi Hiroe
誠一 廣江
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Citizen Watch Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の微細なインク加圧室溝を高密度かつ高
精度に形成可能なインクジェット記録ヘッド用インク室
基板の製造方法を提供することにある。 【解決手段】 実物のインク室基板とは凹凸の形状を反
転させたインク室基板の雌型23を製作する第1の工程
20と、前記雌型23上に金属膜層24を形成する第2
の工程21と、前記雌型23から前記金属膜層24を剥
離する第3の工程22との、3つの工程からなることを
特徴とし、エキシマレーザ加工によって複数の微細な溝
を高密度かつ高精度に形成した前記雌型23の形状を電
気メッキ法により形成する前記金属膜層24で忠実に転
写して、金属製のインク室基板を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を画像記
録媒体上へ選択的に付着させるインクジェット記録ヘッ
ドの製造方法に関し、さらに詳しくは、インクジェット
記録ヘッドのインク室を形成するインク室基板の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録ヘッドとしては、圧
電素子の変位を利用してインク室の一部分にあるインク
加圧室の一つの圧力壁を形成する振動板を変形させてイ
ンク室内に充填したインクを加圧することによりインク
加圧室に連通するノズルからインク滴を噴射させるもの
(ピエゾインパルス方式)、あるいはインク室の一部に
あるインク流路内に配設した発熱素子を急激に発熱させ
て気泡を発生させることによりインク室に充填したイン
クをインク流路に連通するノズルからインク滴にして噴
射させるもの(バブルジェット方式)等が種々提案され
てきた。
【0003】上述のインクジェット記録ヘッドは、一般
的には、複数の微細なノズル、複数の微細なインク加圧
室あるいは複数の微細なインク流路、複数の微細なイン
加圧室あるいは複数の微細なインク流路の一部に併設さ
れる複数の微細な噴射エネルギ発生素子等を高密度かつ
高精度に備えている。
【0004】なお、複数のインク加圧室あるいは複数の
インク流路を有する場合、それらの複数のインク加圧室
あるいは複数のインク流路は、共通インク室にて連結さ
れた構造となっている。
【0005】そして、この様なインクジェット記録ヘッ
ドを製造する従来の方法としては、例えば、ガラスや金
属等の基板に切削加工やエッチング加工等によって、複
数のインク加圧室あるいは複数のインク流路を形成する
為の複数の微細な溝、およびそれら複数の微細な溝を連
結して共通インク室を形成する為の溝とを形成したイン
ク室基板を作成し、その後このインク室基板に他の適当
な基板を接合して、ヘッド内に複数のインク加圧室ある
いは複数のインク流路、および共通インク室を形成する
方法が知られている。
【0006】しかしながら、前記従来方法の切削加工に
よるインク室基板への溝の形成は、力学的に材料を除去
する機械的な加工法である為に、溝のエッジ部に欠けが
生じる問題があって、複数の微細な溝を高密度かつ高精
度に加工することは困難であるという課題を有する。
【0007】また、前記従来方法のエッチング加工によ
るインク室基板への溝の形成は、化学的に材料を溶解し
て除去する加工法である為に、材料を除去する加工作用
が溝の深さ方向だけではなくて溝の横方向にも働いてし
まう問題、すなわちエッチング加工に特有のサイドエッ
チングの問題があって、複数の微細な溝を高密度かつ高
精度に加工することは困難であるという課題を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
点を鑑みなされたものであり、その目的とするところ
は、インクジェット記録ヘッドのインク室を形成するイ
ンク室基板の製造方法において、複数の微細な溝を高密
度かつ高精度に形成することが可能なインクジェット記
録ヘッド用インク室基板の製造方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のインクジェット記録ヘッド用インク室基板
の製造方法は、下記に記載の手段を採用する。
【0010】本発明のインクジェット記録ヘッド用イン
ク室基板の製造方法は、実物のインク室基板とは凹凸の
形状を反転させたインク室基板の雌型を製作する第1の
工程と、前記雌型上に金属膜層を形成する第2の工程
と、前記雌型から前記金属膜層を剥離する第3の工程と
の、3つの工程からなることを特徴とする。
【0011】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
用インク室基板の製造方法の前記第1の工程は、エキシ
マレーザを高分子樹脂製の基板に照射して、高分子樹脂
製の基板を加工することによって、高分子樹脂製のイン
ク室基板の雌型を製作することを特徴とする。
【0012】さらに、本発明のインクジェット記録ヘッ
ド用インク室基板の製造方法の前記第2の工程は、電気
メッキ法によって金属膜層を形成することを特徴とす
る。
【0013】またさらに、本発明のインクジェット記録
ヘッド用インク室基板の製造方法の前記電気メッキ法
は、ニッケル電鋳とすることを特徴とする。
【0014】本発明のインクジェット記録ヘッド用イン
ク室基板の製造方法は、実物のインク室基板とは凹凸の
形状を反転させたインク室基板の雌型を製作する第1の
工程と、前記インク室の雌型上に金属膜層を形成する第
2の工程と、前記インク室基板の雌型から前記金属膜層
を剥離する第3の工程との、3つの工程を備えている。
【0015】そして、本発明のインクジェット記録ヘッ
ド用インク室基板の製造方法の前記第1の工程では、エ
キシマレーザを高分子樹脂製の基板に照射して、高分子
樹脂製の基板を加工することによって、高分子樹脂製の
インク室基板の雌型を製作するが、エキシマレーザを高
分子樹脂材料に照射するとアブレーションと呼ばれる現
象が起こって、高分子樹脂材料が高精度に除去加工され
る。
【0016】このアブレーション現象による加工作用
は、エキシマレーザのフォトンエネルギが高分子樹脂材
料の分子結合エネルギよりも充分に大きい為に、高分子
樹脂材料の分子結合を直接的に解離させるという原理に
基ずくものであって、分子オーダーでの非熱的な加工が
なされる為に、加工部は非常に滑らかで、欠け等を生じ
ること無く、高精度に加工される。
【0017】また、一般的にレーザ加工における加工限
界の最小寸法はレーザ波長の10倍程度であると言われ
ているが、エキシマレーザ加工では波長が紫外域の短波
長であるが故に10μm以下の微細なパターンの加工が
可能であり、微細形状の加工が高精度かつ高密度に実現
できる。
【0018】よって、本発明のインクジェット記録ヘッ
ド用インク室基板の製造方法の前記第1の工程では、エ
キシマレーザを高分子樹脂製の基板に照射して高分子樹
脂製の基板を加工することにより、複数の微細な溝を高
密度かつ高精度に有する高分子樹脂製のインク室基板の
雌型が製作できる。
【0019】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
用インク室基板の製造方法では、前記第2の工程で、前
記インク室基板の雌型上に電気メッキ法によって金属膜
層を形成する。
【0020】この第2の工程では、前記第1の工程でエ
キシマレーザ加工により高密度かつ高精度に形成した前
記インク室基板の雌型上の複数の微細な溝を金属膜層で
埋め尽くして、前記インク室基板の雌型の表面を金属膜
層で覆う。
【0021】またさらに、本発明のインクジェット記録
ヘッド用インク室基板の製造方法では、前記第3の工程
において、前記金属膜層で覆った前記インク室基板の雌
型から前記金属膜層を剥離する。
【0022】すると、この第3の工程で剥離する前記金
属膜層には、前記第1の工程でエキシマレーザ加工によ
り高密度かつ高精度に形成した前記インク室基板の雌型
の形状が凹凸を反転した形で忠実に転写できる。
【0023】よって、前記第3の工程で剥離した前記金
属膜層は、複数のインク加圧室あるいは複数のインク流
路を形成する為の複数の微細な溝を高密度かつ高精度に
備えており、なおかつ、それら複数の微細な溝を連結し
て共通インク室を形成する為の溝を備えているので、剛
性の高い金属製のインク室基板とすることができる。
【0024】なお、上述の様にして、本発明のインクジ
ェット記録ヘッド用インク室基板の製造方法によって得
られるインク室基板のインク加圧室あるいはインク流路
を形成する複数の微細な溝においては、従来方法の切削
加工で生じる溝エッジ部の欠けの問題や、従来方法のエ
ッチング加工で生じるサイドエッチングの問題は無い。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明による一実施例を、
図面を基に説明する。
【0026】図5は、本発明によるインクジェット記録
ヘッド用インク室基板の製造方法によって得たインク室
基板を組み込んだインクジェット記録ヘッドの構成を表
す斜視図である。
【0027】図6は、同インクジェット記録ヘッドの構
成を表す分解斜視図である。
【0028】図7は、本発明によるインクジェット記録
ヘッド用インク室基板の製造方法によって得たインク室
基板の構造を表す斜視図であり、図5および図6に示し
たインク室基板14の構造を表す斜視図である。
【0029】まずは、この図5、図6および図7を用い
て、同インクジェット記録ヘッドの構成の概要を説明す
る。
【0030】同インクジェット記録ヘッドはピエゾイン
パルス方式のインクジェット記録ヘッドであって、図5
および図6に示した様に、圧電素子群10と、圧電素子
群10の一端を固定する基台11と、圧電素子群10に
外部から電力を供給するフレキシブルプリントケーブル
12と、圧電素子群10および基台11とを格納するフ
レーム13と、インク加圧室溝群14aと共通インク室
溝14b(図7に図示した)およびインク供給口14c
とを備えたインク室基板14と、インク室基板14と供
にインク加圧室群および共通インク室の一壁を形成して
圧電素子群10の変位をインク加圧室群に伝達しインク
(図示しない)を加圧する振動板17と、インク滴18
を噴射するノズル群19aを備えたノズル板19とから
構成される。
【0031】なお、インク室基板14は、図7に示した
様に、インク加圧室溝群14aと共通インク室溝14b
およびインク供給口14cとを備えており、インク加圧
室溝群14aの各々のインク加圧室溝は共通インク室溝
14bで連結された構造となっている。
【0032】上記の各構成部材の組立としては、組立圧
電素子群10と基台11との当接面、基台11とフレー
ム13との当接面、圧電素子群10と振動板17との当
接面、フレーム13と振動板17との当接面、振動板1
7とインク室基板14との当接面、ノズル板19とフレ
ーム13およびインク室基板14および振動板17との
当接面が、それぞれ接着剤で固着されて組み立てられて
いる。
【0033】圧電素子群10とフレキシブルプリントケ
ーブル12とは、ハンダ付けされて電気的に導通がとら
れた状態に組み立てられている。
【0034】インク室基板14のインク供給口14cに
は、インク(図示しない)を充填したインクタンク(図
示しない)を取り付けて、インク室基板14と振動板1
7とで形成した共通インク室およびインク加圧室群にイ
ンクを流し込んで充填する。
【0035】そして、共通インク室およびインク加圧室
群にインクを充填した状態で、フレキシブルプリントケ
ーブル12を通して外部から適切な電力を圧電素子群1
0に供給すると、圧電素子群10が変位してインク加圧
室群の一つの壁を形成する振動板17を変形させて、イ
ンク加圧室群に充填したインクを加圧し、インク加圧室
群に連通するノズル群19aからインク滴18を噴射す
る。
【0036】インク滴18を噴射した後には、インク加
圧室群に共通インク室からインクが補給され、共通イン
ク室にはインク室基板14のインク供給口14cに取り
付けたインクタンクからインクが補給される。
【0037】なお、図5および図6では図を簡略化する
為に、ノズル群19aを4個のノズルで構成した同イン
クジェット記録ヘッドを示した。
【0038】また、図7にも図を簡略化する為に、ノズ
ル群19aが4個のノズルで構成された同インクジェッ
ト記録ヘッドに対応するインク室基板14を示した。
【0039】しかし、実際の同インクジェット記録ヘッ
ドでは20個あるいは64個、または128個のノズル
でノズル群19aを構成している。
【0040】そして、同インクジェット記録ヘッドを用
いてインク滴18を画像記録媒体上へ選択的に付着させ
るには、ノズル群19a中の特定の選択したノズルだけ
からインク滴18を噴射させれば良く、その為には圧電
素子群10の中からインク滴18を噴射させたいノズル
に対応した特定の圧電素子を選択し、その選択した特定
の圧電素子だけにフレキシブルプリントケーブル12を
通して電力を供給し、圧電素子群10中のから選択した
特定の圧電素子だけを駆動させれば良い。
【0041】上述、本発明によるインクジェット記録ヘ
ッド用インク室基板の製造方法によって得たインク室基
板14を組み込んだインクジェット記録ヘッドの構成説
明に引き続いては、次に、本発明によるインクジェット
記録ヘッド用インク室基板の製造方法の一実施例を説明
する。
【0042】図1は、本発明によるインクジェット記録
ヘッド用インク室基板の製造方法を表す行程図である。
【0043】本発明のインクジェット記録ヘッド用イン
ク室基板の製造方法は、図7に示した実物のインク室基
板14とは凹凸の形状を反転させたインク室基板の雌型
23を製作する第1の工程20と、前記インク室基板の
雌型23上に金属膜層24を形成する第2の工程21
と、前記インク室基板の雌型23から前記金属膜層24
を剥離する第3の工程22との、3つの工程を備えてい
る。
【0044】以下、本発明によるインクジェット記録ヘ
ッド用インク室基板の製造方法を図1に示した行程図の
工程毎に、行程順に従って順に説明する。
【0045】図2は、本発明によるインクジェット記録
ヘッド用インク室基板の製造方法において、実物のイン
ク室基板14とは凹凸の形状を反転させたインク室基板
の雌型23を製作する第1の工程20を示す説明図であ
り、エキシマレーザマスクイメージング加工法によって
インク室基板の雌型23を製作する方法を示している。
【0046】クリプトンフッ素エキシマレーザ発振器2
5から出射させたクリプトンフッ素エキシマレーザ26
は、反射ミラー27によって光路を調整した後、インク
室基板14のパターンを有したマスク28を通過させる
ことによりインク室基板14のパターン状に成形し、そ
の後レンズ29を介して高分子樹脂製の基板30上に縮
小投影照射して、実物のインク室基板14とは凹凸の形
状を反転させたインク室基板の雌型23を製作する。
【0047】なお、上述でマスク28は、単に、インク
室基板14のパターンを有したマスク28と記したが、
具体的には、高分子樹脂製の基板30上に縮小投影照射
するので、縮小投影倍率に応じて、実物のインク室基板
14のパターンよりは大きい相似形のパターンを有して
いる。
【0048】さらに詳しくは、実物のインク室基板14
の凹凸形状においては凸部に相当する部分がクリプトン
フッ素エキシマレーザ26を通過させるパターンとして
いる。
【0049】そして、実物のインク室基板14の凹凸形
状においては凸部に相当する部分が、クリプトンフッ素
エキシマレーザ26の照射によって除去加工され、実物
のインク室基板14とは凹凸の形状を反転させたインク
室基板の雌型23が得られる。
【0050】本発明のインクジェット記録ヘッド用イン
ク室基板の製造方法において、実物のインク室基板14
とは凹凸の形状を反転させたインク室基板の雌型23を
製作する第1の工程20では、前で説明した様に、エキ
シマレーザのフォトンエネルギが高分子樹脂材料の分子
結合エネルギよりも充分に大きい為に、高分子樹脂材料
の分子結合を直接的に解離させるアブレーションと呼ば
れる現象が起こり、このアブレーション現象の加工作用
によって高分子樹脂製の基板30が加工され、インク室
基板の雌型23を製作できる。
【0051】なお、アブレーション現象の加工作用は上
述ごとく、高分子樹脂材料の分子結合を直接的に解離さ
せる分子オーダーでの非熱的な加工作用である為に加工
部は非常に滑らかな仕上がりとなり、欠け等を生じるこ
と無く、高精度なインク室基板の雌型23が得られる。
【0052】また、一般的にレーザ加工における加工限
界の最小寸法はレーザ波長の10倍程度であると言われ
ているが、クリプトンフッ素エキシマレーザ26の波長
は紫外域の248nmという短波長であるが故に、イン
ク室基板の雌型23上には、インク加圧室溝群14aの
凹凸形状を反転させた溝群23aが溝幅10μm以下の
微細性でも形成可能である。
【0053】よって、本発明のインクジェット記録ヘッ
ド用インク室基板の製造方法の前記第1の工程20で
は、エキシマレーザを高分子樹脂製の基板30に照射し
て高分子樹脂製の基板30を加工することによって、イ
ンク加圧室溝群14aの凹凸形状を反転させた溝群23
aを高密度かつ高精度に有する高分子樹脂製のインク室
基板の雌型23が製作できる。
【0054】なお、本実施例において、実物のインク室
基板14とは凹凸の形状を反転させたインク室基板の雌
型23を製作する第1の工程20としては、マスクイメ
ージング法エキシマレーザ加工によってインク室基板の
雌型23を製作する方法だけを示した。
【0055】しかしながら、実物のインク室基板14と
は凹凸の形状を反転させたインク室基板の雌型23を製
作する第1の工程20の具体的手段としては、マスクイ
メージング法エキシマレーザ加工だけに限定される訳で
はなく、他にはコンタクトマスク法エキシマレーザ加
工、コンフォーマルマスク法エキシマレーザ加工、ビー
ムスキャニング法エキシマレーザ加工などによっても良
い。
【0056】次に、図3は、本発明によるインクジェッ
ト記録ヘッド用インク室基板の製造方法において、前記
第1の工程20で製作したインク室の雌型23上に金属
膜層24を形成する第2の工程21を示す説明図であ
り、電気メッキ法ニッケル電鋳により金属膜層24を形
成する方法を示している。
【0057】金属膜層24を形成するインク室の雌型2
3の上面には、電気メッキを行う際の電極とする為に、
あらかじめ真空蒸着法によって金薄膜31が付けてあ
る。
【0058】そして、金薄膜31を付けてあるインク室
の雌型23と、ニッケル板32とをスルファミン酸ニッ
ケルメッキ浴33に入れ、インク室の雌型23上に付け
た金薄膜31を陰電極、ニッケル板32を陽電極とし、
両電極間に適切にコントロールした電流を流す。
【0059】すると、インク室の雌型23の上面に付け
た金薄膜31上には、ニッケル製の金属膜層24が形成
される。
【0060】なお、ここでは、インク室の雌型23上に
エキシマレーザ加工により形成した溝を全て完全に金属
膜層24で埋め尽くすことが重要である。
【0061】インク室の雌型23上にエキシマレーザ加
工により形成した溝を全て完全に金属膜層24で埋め尽
くすことが重要なのは、本発明によるインクジェット記
録ヘッド用インク室基板の製造方法では、この第2の工
程21に引き続き、後述する第3の工程22にて金属膜
層24をインク室基板の雌型23から剥離することによ
ってインク室基板14を得るが、後にインク室基板の雌
型23から金属膜層24を剥離してインク室基板14と
した際に、インク室基板14の底に相当する部分の厚み
を充分に確保する為である。
【0062】次に、図4は、本発明によるインクジェッ
ト記録ヘッド用インク室基板の製造方法において、前記
第2の工程21で製作した金属膜層24をインク室の雌
型23から剥離する第3の工程22を示す説明図であ
る。
【0063】この第3の工程22では、インク室の雌型
23の材質である樹脂を溶解可能な溶剤を用いて、イン
ク室の雌型23を溶解し、金属膜層24をインク室の雌
型23から剥離する。
【0064】すると、剥離した金属膜層24には、前記
第1の工程でエキシマレーザ加工によって高密度かつ高
精度に形成したインク室基板の雌型23の形状が、凹凸
を反転した形で、忠実に転写形成できる。
【0065】前記第3の工程で剥離した金属膜層24
は、微細なインク加圧室溝群14aを高密度かつ高精度
に備え、なおかつ、それら微細なインク加圧室溝群14
aを連結した共通インク室を形成する共通インク室溝1
4bを備えている。
【0066】したがって、あとは、前記第3の工程で剥
離した金属膜層24にドリル等の穴開け工具を用いてイ
ンク供給口14cを穴開け加工すれば、前記第3の工程
で剥離した金属膜層24は、微細なインク加圧室溝群1
4aおよびそれら微細なインク加圧室溝群14aを連結
した共通インク室溝14bを有したインク室基板14と
することができる。
【0067】しかも、ここで得られるインク室基板14
はニッケル製であり、高い剛性を有した金属製のインク
室基板14が得られる。
【0068】本発明のインクジェット記録ヘッド用イン
ク室基板の製造方法では、上述の様に、エキシマレーザ
加工によって高精度かつ滑らかに形成したインク室基板
の雌型23の形状を金属膜層24で忠実に転写すること
によりインク室基板14を得る。
【0069】したがって、インク加圧室溝群14aにつ
いては、従来の切削加工法で形成した時の様に、エッジ
部に欠けを生じる問題は無い。
【0070】また、インク加圧室溝群14aを従来のエ
ッチング加工法で形成した時の様なサイドエッチングの
問題も無い。
【0071】
【発明の効果】以上の説明で明かなように、本発明にお
けるインクジェット記録ヘッド用インク室基板の製造方
法では、実物のインク室基板とは凹凸の形状を反転させ
たインク室基板の雌型を製作する第1の工程と、前記雌
型上に金属膜層を形成する第2の工程と、前記雌型から
前記金属膜層を剥離する第3の工程との、3つの工程を
備えている。
【0072】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
用インク室基板の製造方法の前記第1の工程は、エキシ
マレーザを高分子樹脂製の基板に照射して、高分子樹脂
製の基板を加工することによって、高分子樹脂製のイン
ク室基板の雌型を製作する。
【0073】さらに、本発明のインクジェット記録ヘッ
ド用インク室基板の製造方法の前記第2の工程は、電気
メッキ法によって金属膜層を形成する。
【0074】またさらに、本発明のインクジェット記録
ヘッド用インク室基板の製造方法の前記電気メッキ法
は、ニッケル電鋳とする。
【0075】したがって、本発明のインクジェット記録
ヘッド用インク室基板の製造方法により得られるインク
室基板のインク加圧室あるいはインク流路を形成する複
数の微細な溝においては、従来方法の切削加工法で生じ
る溝エッジ部の欠けの問題や、従来方法のエッチング加
工法で生じるサイドエッチングの問題は無い。
【0076】このため、インクジェット記録ヘッドのイ
ンク室を形成するインク室基板の製造方法において、複
数の微細な溝を高密度かつ高精度に形成することが可能
なインクジェット記録ヘッド用インク室基板の製造方法
が提供された。
【0077】さらには、剛性の高い金属製のインク室基
板、具体的にはニッケル製のインク室基板が提供され
た。
【0078】ひいては、信頼性が高くて高性能なインク
ジェット記録ヘッドが提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例のインクジェット記録ヘッ
ド用インク室基板の製造方法を表す行程図である。
【図2】本発明による実施例のインクジェット記録ヘッ
ド用インク室基板の製造方法において、実物のインク室
基板14とは凹凸の形状を反転させたインク室基板の雌
型23を製作する第1の工程20を示す説明図である。
【図3】本発明による実施例のインクジェット記録ヘッ
ド用インク室基板の製造方法において、前記第1の工程
20で製作したインク室の雌型23上に金属膜層24を
形成する第2の工程21を示す説明図である。
【図4】本発明による実施例のインクジェット記録ヘッ
ド用インク室基板の製造方法において、前記第2の工程
21で形成した金属膜層24をインク室の雌型23から
剥離する第3の工程22を示す説明図である。
【図5】本発明による実施例のインクジェット記録ヘッ
ド用インク室基板の製造方法によって得たインク室基板
14を組み込んだインクジェット記録ヘッドの構成を表
す斜視図である。
【図6】本発明による実施例のインクジェット記録ヘッ
ド用インク室基板の製造方法によって得たインク室基板
14を組み込んだインクジェット記録ヘッドの構成を表
す分解斜視図である。
【図7】本発明による実施例のインクジェット記録ヘッ
ド用インク室基板の製造方法によって得たインク室基板
14の構造を表す斜視図である。
【符号の説明】
14 インク室基板 18 インク滴 20 実物のインク室基板14とは凹凸の形状を反転
させたインク室基板の雌型23を製作する第1の工程 21 インク室基板の雌型23上に金属膜層24を形
成する第2の工程 22 インク室基板の雌型23から金属膜層24を剥
離する第3の工程 23 インク室基板の雌型 24 金属膜層 26 クリプトンフッ素エキシマレーザ 30 高分子樹脂製の基板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を画像記録媒体上へ選択的に付
    着させるインクジェット記録ヘッドのインク室を形成す
    るインク室基板の製造方法において、実物のインク室基
    板とは凹凸の形状を反転させたインク室基板の雌型を製
    作する第1の工程と、前記雌型上に金属膜層を形成する
    第2の工程と、前記雌型から前記金属膜層を剥離する第
    3の工程との、3つの工程からなることを特徴とするイ
    ンクジェット記録ヘッド用インク室基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の工程は、エキシマレーザを高
    分子樹脂製の基板に照射して、高分子樹脂製の基板を加
    工することによって、高分子樹脂製のインク室基板の雌
    型を製作することを特徴とする請求項1に記載のインク
    ジェット記録ヘッド用インク室基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の工程は、電気メッキ法によっ
    て金属膜層を形成することを特徴とする請求項1又は請
    求項2に記載のインクジェット記録ヘッド用インク室基
    板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記電気メッキ法は、ニッケル電鋳とす
    ることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記
    録ヘッド用インク室基板の製造方法。
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