JP2956206B2 - インクジェット記録ヘッド用基板の製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド用基板の製造方法

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正弘 金井
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はインクジェット記録装置に用いられるヘッド
基板の製造方法に関する。
(従来技術) オンデマンド型インクジェット記録装置に要請されて
いる高印字品質化に応えるにはノズル密度をより高める
ことが必要で、このために、例えば特開昭56−172号公
報に見られるように、共通の基板上に形成したノズル列
に対して複数のインク室をその両側に交互に位置させて
高密度化したインクジェット記録ヘッドが提案されてお
り、さらにこの種の記録ヘッドを低コストで成形するた
めに、基板を高分子樹脂材により成形する手法が採られ
るようになってきた。
ところが、集積化されたノズル密度に適したようなノ
ズル孔を形成するには、その内径をきわめて小さなもの
にしなければならず、現在の射出成形技術をもってして
は成形がきわめて困難となるため、現状では同公報に見
られるように、ノズル孔を設けた別のノズルプレートを
用意して、これをヘッド基板の上に重ね合わせるような
手法が採られている。
しかしながら、このように二体構造となした場合に
は、成形及び組付けの工数が増えるばかりでなく、接着
剤によるノズル孔の目詰まりや、位置ズレによるインク
の飛行曲がり等が生じて、製造コストの面あるいは装置
の信頼性の面において多くの問題が派生する。
(発明が解決しようとする課題) 本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、そ
の目的とするところは、単一の素材をもって信頼性の高
いインクジェット記録ヘッド用の基板を成形することの
できる新たな製造方法を提案することにある。
(課題を解決するための手段) すなわち、本発明はかかる課題を達成するためのイン
クジェット記録ヘッド用基板の製造方法として、高分子
樹脂材の一面に、インク室とこれに連通する圧力室及
び、該圧力室一部に圧力室と直交する向きのめくら穴を
備えたヘッド基板を形成し、ついで、このようにして形
成した基板のめくら穴側からその内奥面に、レーザービ
ームを照射して、内奥面から他面に達するノズル孔を形
成するようにしたものである。
(実施例) そこで以下に図示した実施例について説明する。
第1図は本発明の一実施例をなすヘッド基板の製造工
程を示したものである。
第1図(a)はヘッド基板の射出成形工程を示したも
ので、ヘッド基板1は固定側型板10と可動側型板20との
間に注入されたポリサルフォン、ポリエーテルサルフォ
ンあるいはポリカーボネート等の高分子樹脂素材により
一体的に成形される。
この成形に使用される固定側型板10には、そのキャビ
ティ部に、成形すべきヘッド基板1上のインク室2、供
給口3、圧力室4に対応した各部の成形用凸部12、13、
14が形成され、また、圧力室成形用凸部14の一端部に
は、ヘッド基板1の厚みより若干短い高さを有するめく
ら孔形成用のピン15が一体的に設けられている。そし
て、これに対する可動側型板20には、上記した通孔形成
用のピン15に対向する部分に、0.1mm乃至0.5mm程度の深
さをなす同心円状の凸部成形用の凹部21が設けられる
が、第5図に示したようにヘッド基板1の他面7にめく
ら孔5と同心円状の凹部11を形成する場合には、可動側
型板20のキャビティ部に凹部形成用の凸部が設けられ
る。なお、図中符号22はランナー部、23はゲート部を示
しており、また24はエジェクトピンを示している。
このように構成された両型板10、20間にランナー部22
及びゲート部23を介して上述した高分子樹脂素材が注入
されると、一面にインク室2、供給口3、圧力室4を有
し、かつ圧力室4の一端には、第2図に示したように、
他面7との間に50乃至500μm程度の残存肉厚部aを設
けた内径dが100乃至300μm程度のめくら穴5を有する
ヘッド基板1が形成される。
第1図(b)はこのようにして形成されたヘッド基板
1へのノズル孔形成工程を示したもので、上述した工程
により形成されたヘッド基板1は、めくら穴形成面を表
にして治具30に固定された上、めくら穴5の内端面5aに
照射したレーザービームにより所要径のノズル孔6が形
成される。
これに用いるレーザービーム発生装置40としては、レ
ーザー媒質としてAr F、Kr F、Xe Cl、Xe F等を用いた
発振波長が193乃至351nmの、化学結合を直接開裂させる
に必要な紫外光領域の高エネルギーのフォントを光強度
で発振できるエキシマーレーザー装置が好ましく、この
装置40から出力したノズル光6の3倍乃至8倍程度の径
を有するレーザービーム、もしくはイメージマスク41
(第2図)を通してノズル孔6の3倍乃至8倍程度の径
を有するレーザービームを、集光レンズ42を用いてノズ
ル光径に相当する例えば径が30乃至300μmのレーザー
ビームとして収束させ、これをめくら穴5の内奥面5aに
繰返し照射して、その部分の樹脂を分解して所要のノズ
ル孔6を穿つ。この際、ヘッド基板1を治具30により支
持し、この治具30もしくはレーザービーム発生装置40の
いずれか一方をノズル孔6のピッチに相当する距離だけ
順次相対的に移動させながら、ヘッド基板1上の各めく
ら穴5の内奥面5aに所要のノズル孔6を形成するように
する。
ノズル孔6の形成には、レーザービームの繰返しショ
ットの過程でビーム径を徐々に縮小し、第3図に示した
ように、めくら穴5の内奥面5aから他面7に向けて段階
的に径が小さくなるような同心円状の数段の孔6a〜cを
順次形成し、インク滴の吐出効率及び液滴の均一化を得
る上で理想的な軸線との間の角度θが2゜乃至10゜のテ
ーパー状ノズル孔6を形成する。
レーザービームの段階的縮小手段としては、可変の絞
り機構を備えたマスク41を使用するか、光軸上にビーム
透過率の異なるレンズを組込んでレーザーエネルギー密
度を変えるようにするか、集光レンズ42の位置を軸線方
向に段階的にズラせてデフォーカスするか、あるいはヘ
ッド基板1を集光レンズ42側に段階的に近づけてゆくよ
うな手段が選ばれる。
またレーザービームの縮小は必ずしも段階的に行う必
要はなく、孔の穿設過程で連続的に縮小させるようにし
てもよい。
このようにしてヘッド基板1の形成工程及びノズル孔
6の形成工程を終えたヘッド基板1には、第4図(b)
に示したようにインク室2と圧力室4を覆うように壁部
材8が添設され、ついでその上に、ピエゾ振動子8aを添
着しさらにその上にインクタンクと連通するインク供給
用の部材9を添設してインクジェット記録ヘッドとして
構成される。
[実験例1] ポリカーボネートを素材として、記録面との間の残存
肉厚が、150μmで、内径dが200μmのめくら穴を有す
るヘッド基板を射出成形法により形成し、このめくら穴
の内奥面に、縮小率が3の集光レンズを用いてエネルギ
ー密度が約1.0J/cm2のレーザービームを照射したとこ
ろ、繰返し周波数150Hzで約300回のショット数により孔
径が40μmでテーパー角度θが約4゜のノズル孔を1孔
当り2秒で穿設することができた。
一般に、レーザービームの外束部はある角度をもって
絞られており、このためビームの中央部で直射される面
と、ビームの外束部で斜射される面では単位面積当のレ
ーザーエネルギー密度が異なって高分子の開裂比率の差
に相当する分先細り状のテーパー面が生じる。この現象
を利用したのがこの実験であり、エネルギー密度を高分
子が開裂されるに必要な最小限を抑えるとともに、レー
ザーショット数をも穴貫通に必要な最小限に抑えること
により、開裂比率を大きくして上記したようなテーパー
角の大きなノズル孔を形成することができた。
[実験例2] 実験例1で形成したノズル基板のめくら穴内奥面に、
縮小率が8の集光レンズを用いてエネルギー密度が約6.
5J/cm2のレーザービームを照射したところ、繰返し周波
数150Hzで約600回のショット数により孔径が40μm、テ
ーパー角度θが約2゜のノズル孔を1孔当り4秒で穿設
することができた。
このことから、レーザーエネルギー密度とショット数
を高分子開裂に必要な最小値により大きくすればするほ
どテーパー角が小さくなることがわかった。
[実験例3] 実験例1による孔明けの工程を5段階に分け、最初の
2工程では、テーパー角度θが10゜になるように孔径と
深さを調整し、つぎの3工程では、テーパー角度θが5
゜になるように孔径と深さを調整したところ、1つのノ
ズル孔に2つのテーパー角度を有する孔を穿設すること
ができた。
[実験例4] 実験例1における孔明け工程の際に、自動絞り機構を
用いてビーム径を約2秒の間に240μmから90μmまで
連続的に減少させつつノズル孔を穿設したところ、めく
ら穴の通孔内奥面から記録面にかけて、孔径が80μmか
ら30μmに連続的に変化するテーパー状のノズル孔を形
成することができた。
(効果) 以上述べたように本発明によれば、射出成形法によっ
て、インク室及び圧力室の形成面に、面と直交する向き
のめくら穴を有するヘッド基板を形成し、その内端面に
レーザービームを照射してノズル孔を形成するようにし
たので、インク室、圧力室からノズル孔までの全てを単
一のヘッド基板上に形成することができて、ノズルプレ
ートを必要としないインクジェット記録用ヘッドを構成
可能にするとともに、インク滴吐出上有利な断面形状を
有するノズル孔を、他面にバリ等を作ることなく正確に
形成して、印字品質のより向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)(b)は本発明の一実施例をなすヘッド基
板の各成形工程を示した図、第2図はノズル孔成形工程
を示した模式図、第3図(a)乃至(d)はノズル孔の
各成形段階を示した図、第4図(a)(b)は本発明方
法により形成したヘッド基板をもとに組付けたインクジ
ェット記録ヘッドの一例を示す正面図と側面図、第5図
はヘッド基板についての他の例を示した断面図である。 1……ヘッド基板、2……インク室 4……圧力室、5……めくら穴 6……ノズル孔、10……固定側型板 20……可動側型板、30……治具 40……レーザービーム発生装置 41……マスク、42……集光レンズ
フロントページの続き (72)発明者 岡沢 宣昭 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−294047(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子樹脂材の一面に、インク室とこれに
    連通する圧力室及び、該圧力室一部に圧力室と直交する
    向きのめくら穴を備えたヘッド基板を形成する第1の工
    程と、 上記めくら穴側から該穴の内奥面に、レーザービームを
    照射して該内奥面から他面に達するノズル孔を形成する
    第2の工程と、 よりなるインクジェット記録ヘッド用基板の製造方法。
  2. 【請求項2】上記第2の工程として、レーザー加工の過
    程でビーム径を徐々に縮小させつつ、上記内奥面から他
    面にかけてテーパー状のノズル孔を形成するようにした
    ことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘ
    ッド用基板の製造方法。
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US6183064B1 (en) 1995-08-28 2001-02-06 Lexmark International, Inc. Method for singulating and attaching nozzle plates to printheads
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