JPH1034874A - 版胴運搬兼インキ装置 - Google Patents

版胴運搬兼インキ装置

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JPH1034874A
JPH1034874A JP20769996A JP20769996A JPH1034874A JP H1034874 A JPH1034874 A JP H1034874A JP 20769996 A JP20769996 A JP 20769996A JP 20769996 A JP20769996 A JP 20769996A JP H1034874 A JPH1034874 A JP H1034874A
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普一 半田
Yoshifumi Tanaka
淑文 田中
Takehiko Ichise
武彦 市瀬
Takami Yamazaki
隆美 山崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 グラビア印刷機の稼働率を向上するために、
極めて簡便かつ短時間に、版胴及び印刷インキを交換で
きる装置を得る。 【解決手段】 台車と、該台車に昇降可能に保持された
版胴支持装置と、前記台車に収容されたインキ供給装置
とで構成した版胴運搬兼インキ供給装置において、前記
インキ供給装置は、昇降可能に支持されたインキパン
と、該インキパンにインキを供給するインキポンプ、及
びインキを貯蔵するインキタンクとで構成され、また、
前記版胴支持装置は、版胴径に合わせて版胴受けを昇降
させることができる版胴位置調整手段と、該版胴位置調
整手段に固着され、前記インキパン上の空間にて版胴を
支持し、版胴を印刷機に装着したあと、インキパン上か
ら退避可能な版胴受け退避手段を備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷機の版胴、及
びインキの交換装置に係り、特に軸無しグラビア版胴
を、インキ供給装置とともにグラビア印刷機に組付けた
り、取り外すことのできる版胴運搬兼インキ装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】グラビア印刷機の印刷ユニットにおい
て、版胴、及びインキの交換を極めて簡便かつ短時間で
行い得る装置として、特開昭60−105543に記載
されている装置が知られている。
【0003】前記公報で提案された版胴運搬兼インキ装
置は、台車と該台車に昇降可能に支持されたインキパン
と、前記台車に搭載され、前記インキパンにインキを供
給するインキポンプ及びインキタンクと、前記インキパ
ン内に置かれた版胴支持体(以下「版胴受け」と略す)
とで構成されている。
【0004】上記版胴運搬兼インキ装置を用いて、グラ
ビア印刷機の印刷ユニットに版胴を装着したり脱着する
方法について、図6を参照しながら以下に説明する。な
お、図6は、特開昭60−105543に記載されてい
る版胴運搬兼インキ装置の断面図である。
【0005】上記公報に示された版胴運搬兼インキ装置
10は、あらかじめ印刷機の外で、台車11に備えた昇
降可能なインキパン21の上に、先ず、取り外し可能な
版胴受け31を置き、その上に版胴35を載せ、また必
要ならインキタンク23に印刷インキを供給して待機す
る。
【0006】上記版胴35を用いて印刷を行なうとき
は、版胴35を載せた台車11を印刷ユニット40内に
移動し、図4に示したように、圧胴43下の所定位置に
版胴運搬兼インキ装置10を設置する。
【0007】次いで、版胴受け31を介してインキパン
21に載せた版胴35を、台車11に備えたインキパン
昇降ハンドル25を操作して、印刷ユニット40の版胴
装着位置まで上昇させ、印刷ユニット40の版胴装着装
置44に版胴35を装着する。
【0008】版胴35を印刷ユニット40に装着した
ら、インキパン21を一旦下降し、インキパン上に載せ
てある版胴受け31を手で取り外し、再度、インキパン
21を版胴位置の高さに合うよう上昇させる。
【0009】インキパン21の高さ調整を完了したら、
台車11に備えたインキタンク23に印刷インキを供給
し、インキポンプ(図示せず)を起動してインキパン2
1に印刷インキを供給する。インキパン21へのインキ
の供給が安定したら、版胴35を回転駆動させながらド
クターブレード45を版胴35に当接し、インキ供給量
を調整する。
【0010】次いで、印刷用紙50の搬送を開始し、同
時に圧胴43を降下させて版胴35に圧接し、印刷を開
始する。
【0011】また、印刷を完了したら、圧胴43を上昇
して印刷用紙50を版胴35から離反したのち、印刷用
紙の搬送を停止する。
【0012】次いで、インキパン21の残留インキをイ
ンキタンク23に回収し、さらに、版胴35、ドクター
ブレード45、及びインキパン21に付着している残留
インキを、インキ洗浄液で洗い流す。
【0013】上記インキ洗浄を終えたら、インキパン2
1に再び版胴受け31を載せ、インキパン21を版胴位
置まで上昇して、印刷ユニット40の版胴装着装置44
を解除し、版胴35をインキパン21の版胴受け31に
載せて回収する。
【0014】上記、一連の手順によって、版胴運搬兼イ
ンキ装置10を使用した印刷を完了するが、別の版胴運
搬兼インキ装置に、次の印刷に使用する版胴と印刷イン
キをあらかじめ準備しておくことにより、簡便かつ迅速
に版胴とインキを交換できるので、グラビア印刷機の稼
働率が向上し、また、省力化も図れる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来の版胴運搬
兼インキ装置は、第1に、版胴を支えるための版胴受け
を、インキパンに載せたり取り外す作業や、取り外した
版胴受けの保管や清掃作業に人手を要し、印刷準備に時
間が掛かっている。第2に、版胴を版胴受けを介してイ
ンキパンに載せる構造なので、版胴を印刷ユニットに装
着したり取り外すとき、インキパン昇降ハンドルを操作
して、何度もインキパンの位置を調整する必要がある。
【0016】本発明は、上記従来の版胴運搬兼インキ装
置の欠点を解消し、版胴の取り付け取り外しを、より簡
便化するための版胴支持装置を備えた版胴運搬兼インキ
装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】従来は、版胴を台車に積
載して運搬するために、インキパンに版胴受けを載せて
いたが、本発明では、インキパン上の空間にて版胴を保
持する版胴支持装置を別途設けることにより、上記課題
を解決した。以下にその詳細を説明する。
【0018】請求項1の発明は、台車と、該台車に固定
され、版胴にインキを供給する昇降可能なインキパンを
含むインキ供給装置と、前記台車に固定され、前記イン
キパンの上方空間にて、版胴を保持する昇降可能な版胴
受けを備えた版胴支持装置とを設けた版胴運搬兼インキ
装置である。
【0019】請求項2の発明は、前記請求項1の発明に
加えて、版胴を保持する版胴受けを、インキパン上から
退避する版胴受け退避手段を備えている版胴運搬兼イン
キ装置である。
【0020】請求項3の発明は 前記請求項1の発明に
加えて、版胴を保持する版胴受けを、版胴径に合わせて
上下方向に位置調整する版胴位置調整手段を備えている
版胴運搬兼インキ装置である。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、実施例に
基づいて図面を参照しながら説明する。図1は、本発明
の版胴運搬兼インキ装置、及びグラビア印刷機の印刷ユ
ニットの構成の一部を示す断面図である。図1(a)は
グラビア印刷機の印刷ユニット40に版胴35を組付け
る直前の装置の配置を示しており、また図1(b)は、
版胴35を印刷ユニット40に組付けたあと、インキパ
ン21を版胴下部にセットしている状況を示している。
【0022】本発明の版胴運搬兼インキ装置10は、図
1(a)、(b)に示すように、車輪12を備えた台車
11に、インキパン昇降器22に支えられたインキパン
21と、インキパン22にインキを供給するためのイン
キポンプ24と、インキを貯蔵しておくインキタンク2
3とで構成されたインキ供給装置20を設けてある。
【0023】前記インキ供給装置20のインキパン21
は、印刷インキを定量蓄え、該印刷インキに版胴35の
下部が浸漬するように、版胴位置に合わせてインキパン
21の高さを調整するためのインキパン昇降器22に支
えられており、インキパン21は、通常ステンレスなど
の金属板で構成する。
【0024】また、前記インキパン21を支持するイン
キパン昇降器22は、図6に示した特開昭60−105
543に例示されているインキ装置と同様に、インキパ
ン昇降ハンドルと、該ハンドル軸に設けたウォームと、
該ウォームによって回転するウォームホイール、及びウ
ォームホイール軸に設けたピニオンと、インキパン21
を支える支柱に設けられ、前記ピニオンに噛み合ってイ
ンキパン21の支柱を上下動するラックギアとで構成さ
れている。
【0025】これらの歯車機構で構成されたインキパン
昇降器22は、図2に示すように、インキパン21の下
部に左右一対で設けられ、ウォームホイール軸(図示せ
ず)で連結されて台車11に固定されている。
【0026】上記構成のインキパン昇降器22に設けら
れた昇降ハンドルを回すことによって、インキパン21
を支える支柱を上下動して、版胴35へのインキ付与に
好適な高さにインキパン21を位置決めすることができ
る。
【0027】また、前記インキパン21に一定量の印刷
インキを供給するために、印刷インキを貯蔵するインキ
タンク23と、インキパン21に印刷インキを供給する
インキポンプ24が台車に設けられ、それぞれ配管を介
して接続されており、さらに、図示していないがインキ
パン21に蓄えられた印刷インキは、オーバーフロー管
を通ってインキタンクへ回収するように構成されてい
る。
【0028】さらに、本発明の版胴運搬兼インキ装置1
0は、上記インキ供給装置20を構成するインキパン2
1の上方空間において、版胴35を保持するための版胴
受け31と、台車11に固定され、グラビア印刷機の印
刷ユニット40に設けられた版胴装着装置44に、前記
版胴受け31に保持された版胴35を装着するのに好適
な高さに位置決めする版胴位置調整手段34と、前記版
胴位置調整手段34に固定され、前記版胴受け31を上
下動する版胴受け昇降器33と、前記版胴受け31を、
インキパン21上から退避する版胴受け退避手段32と
で構成された版胴支持装置30を備えている。
【0029】前記版胴支持装置30の版胴受け31は、
剛性の高いアルミ合金製の材質で構成し、該版胴受け3
1の上面は、版胴35を定位置に保持するためにV字状
の切り込みを設けてあり、さらにV字状の版胴保持面
は、版胴35の版面を傷つけないようにゴム、または合
成樹脂製のシート材を固着してある。
【0030】前記版胴受け31の版胴保持面に固着した
ゴムや合成樹脂製のシート材は、印刷インキの溶剤によ
って溶解したり、劣化することがなく、また、版胴35
の重量に耐える強度を有し、例えば、ネオプレンやクロ
ロプレンなどの合成ゴム、または、ポリ4フッ化エチレ
ンなどのフッ素系樹脂を用いるのが望ましい。
【0031】上記版胴受け31は、エアシリンダで構成
された版胴受け昇降器33の可動軸上端に回転可能に軸
承され、版胴35を版胴受け31で保持するときは、図
1(a)、及び図2に示すように、版胴35の軸穴と直
角方向に配置され、版胴35を印刷ユニット40の版胴
装着装置44に装着したあとは、図1(b)、及び図3
に示すように版胴35と平行な向きに回転する。
【0032】すなわち、本発明の版胴運搬兼インキ装置
10では、グラビア印刷機に版胴35を装着して印刷中
は、版胴受け31を版胴35と平行な向きに回転して、
インキパン21上から退避することができる。
【0033】また、前記版胴支持装置30の版胴受け退
避手段32は、後述の版胴受け昇降器33と一体化し
た、例えば、可動軸が出入りしながら90°回転するタ
イプのエアシリンダを用い、例えば、SMC株式会社製
の直進揺動形式のエアーシリンダ(商品名ロータリシリ
ンダ)で構成する。
【0034】なお、前記版胴受け退避手段32は、例え
ば、図5に示すように、左右一対の版胴受け31をリン
クで結合し、版胴受け31の一端に設けたレバーを矢印
方向に回転操作することにより、左右の版胴受け31を
同時にインキパン21上から退避させる構成でもよい。
【0035】上記、版胴受け31、及び版胴受け退避手
段32を支持し、かつインキパン21上の空間で版胴受
け31を上下動させる版胴受け昇降器33は、例えば、
上述したように空気圧によって動作するエアシリンダで
構成する。
【0036】前記版胴受け昇降器33は、版胴35を印
刷ユニット40の版胴装置44に着脱するとき上昇して
版胴35を保持し、版胴35を版胴装着装置44に固着
したあと、版胴受け31を下降させ、さらに、版胴受け
退避手段32によって、印刷の障害にならない位置に版
胴受け31を退避させる。
【0037】前記版胴受け昇降器33を構成するエアシ
リンダは、版胴35を印刷ユニット40に装着したあ
と、版胴35やインキパン21に前記版胴受け31が接
触することのない位置に、版胴受け31を退避させるの
に必要、かつ十分な動作ストロークを有するものを用い
る。
【0038】また、前記版胴受け昇降器33を構成する
エアシリンダは、主に鉄製のグラビアシリンダの版胴3
5を支持するのに十分な動作トルクを有することが必要
である。但し、版胴35を保持したままで版胴受け31
を昇降動作する必要はなく、単に出限状態で版胴35の
重量を支えるだけのトルクがあれば十分である。
【0039】つまり、前記版胴受け昇降器33のエアシ
リンダは、図2に示すように、版胴35を印刷幅方向に
左右2か所で支持するので、単体では版胴重量の1/2
以上の重量を支えるトルクがあれば十分である。
【0040】なお、版胴受け31を昇降させる版胴受け
昇降器33は、版胴を積載したまま版胴受けを上下動さ
せる必要がないので、本実施例では左右独立して上下動
するエアシリンダを用いているが、もし版胴35を載せ
たまま版胴受け31を上下動させる必要があるなら、下
記の版胴位置調整手段34と同様に、左右同時に上下動
する構造が望ましい。
【0041】すなわち、版胴支持装置30を構成する版
胴位置調整手段34は、例えば、前記したインキパン昇
降器22と同様に、ウォームギア機構によって構成さ
れ、ウォーム軸のハンドルを回転操作することにより、
版胴位置調整手段34に固定された版胴受け昇降器3
3、及び該昇降器33の可動軸に90°回転可能に軸承
された版胴受け31を上下動することによって、版胴受
け31上に積載された版胴35の軸穴位置を、印刷ユニ
ット40の版胴装着装置44の軸位置に合わせることが
できる。
【0042】一般に、グラビア印刷機で使用されている
版胴の胴径は約100〜400mmで、印刷幅は印刷機
によって異なり400〜1600mmであり、出版印刷
用や建材印刷用の版胴は、印刷幅、及び版胴径(印刷
長)がほぼ標準化されているが、包装印刷用は、多様な
大きさの印刷物に対応できるように、1台の印刷機で多
種類の胴径が交換使用される。
【0043】一方、グラビア印刷機の印刷ユニット40
における版胴装着装置44は、図2、図3、及び図4に
示すように、印刷ユニット40のフレーム41の固定さ
れた位置に設けられており、他方、圧胴43、ドクター
ブレード45、及びインキパン21は、版胴の胴径に対
応して位置調整が可能な構造を採っている。
【0044】前述したように、本発明の版胴運搬兼イン
キ装置10の版胴支持装置30は、前記胴径の異なる多
種類の版胴の軸穴が、上記版胴装着装置44の軸位置に
対応するように、版胴35を保持する版胴受け31の高
さを調整する版胴位置調整手段34を備えている。
【0045】従って、図1〜図3に示すように、版胴支
持装置30を構成する版胴位置調整手段34を調整し、
版胴受け31の高さ位置、すなわち版胴受け31に積載
する版胴35の軸穴位置を、印刷ユニット40の版胴装
着装置44の軸位置にあらかじめ合わせておくことがで
きる。
【0046】前記、版胴位置調整手段34を用いて、版
胴装着装置44の軸位置に版胴35の軸穴位置を合わせ
るときは、版胴受け昇降器33の可動軸が出限状態にお
いて、版胴位置調整手段34のハンドルを操作して上下
方向の位置を調整する。
【0047】前述したように、版胴の胴径は約100〜
400mmの範囲のものがグラビア印刷機で使用される
ので、上記版胴位置調整手段34の調整代は150mm
以上必要である。
【0048】本実施例における版胴位置調整手段34
は、図2に示すように、左右一対に設けてあり、それぞ
れ調整ハンドルを回すことによって、ギア軸に設けられ
ているネジ山に沿って台座を上下動させることができ。
【0049】また、図に示すように、調整ハンドル軸に
設けられたスプロケットをチェーンまたは、タイミング
ベルトで継ぐことにより、左右いずれかの位置調整ハン
ドルを回すことにより、版胴位置調整手段34の台座を
左右とも同時に上下動するように構成することもでき
る。
【0050】本発明の版胴運搬兼インキ装置10を構成
する、インキ供給装置20と版胴支持装置30は、移動
用の車輪12を備えた台車11に固定されており、グラ
ビア印刷機の印刷ユニット40に固定するとき、その位
置決めや、挿入、引き出しの経路を固定するため、その
移動路に沿って床にレールを敷設し、そのレールに車輪
を載せて移動する構造にするのが望ましい。
【0051】次に、本発明の版胴運搬兼インキ装置10
を使用するグラビア印刷機について説明する。図4はグ
ラビア印刷機の印刷ユニットを側面から見たときの透視
図である。グラビア印刷機は通常、巻き取り給紙部(図
示せず)と複数の印刷ユニット40、及び巻き取り、ま
たは折り、断裁部を備えた排紙部(図示せず)から構成
されており、図4はそのうちの印刷ユニット部を示して
いる。
【0052】グラビア印刷機の印刷ユニット40は、複
数の用紙ガイドロール42と、圧胴43、版胴35、ド
クター装置45、及びインキパン21から構成される印
刷部と、印刷部で印刷されたインキを乾燥する乾燥部で
構成され、前記用紙ガイドロール、印刷部、及び乾燥部
は両サイドに配置された印刷機のフレーム41に固定さ
れている。
【0053】図4に示す印刷ユニット40では、版胴3
5を装着するための版胴装着装置44が印刷機のフレー
ム41に固定されて設けられ、該版胴装着装置44に版
胴35を取り付けたあと、可動式の圧胴43、及びドク
ターブレード45を版胴35に圧接または当接し、イン
キパン21から供給される印刷インキを版胴35に付着
し、余分のインキをドクターブレード45で掻き取り、
グラビア版の画像部のみに埋め込まれたインキを圧胴4
3で印刷用紙50に転移させ、しかる後、乾燥部にて印
刷インキを熱風乾燥してグラビア印刷が行なわれる。
【0054】印刷ユニット40のフレーム41に設けら
れた、版胴を装着するための版胴装着装置44は、図2
及び図3に示すように、版胴35の両端に設けられたフ
ランジの軸穴に勘合するテーパー軸が、フレーム41か
ら出し入れ可能に設けられ、該テーパー軸は、ギアを介
して印刷機を駆動する原動軸に噛み合っており、原動軸
の回転にともなって、テーパー軸が駆動され、よって版
胴35を回転駆動するように構成されている。
【0055】次に、本発明の版胴運搬兼インキ装置10
を用いて、版胴35をグラビア印刷機の印刷ユニット4
0に装着、及び脱着する方法を順を追って説明する。
【0056】本発明の版胴運搬兼インキ装置では、ま
ず、エアシリンダで構成された版胴受け昇降器33を駆
動して版胴受け31を上昇させる。次いで、印刷ユニッ
ト40の版胴装着装置44の軸位置高さに、版胴35の
軸穴を合わせるため、版胴装着装置44の軸位置、及び
版胴35の胴径から算出される版胴受け31の高さ位置
を、版胴位置調整手段34の昇降ハンドルを操作して調
整する。
【0057】次に、版胴35を版胴運搬兼インキ装置の
版胴受け31に積載する。版胴35を版胴受け31に積
載するときは、通常使用されているリフト装置などの版
胴吊り上げ機を利用し、左右一対に設けられた版胴支持
装置30にバランスよく版胴35を載せ、版胴運搬兼イ
ンキ装置10の組付け調整を完了する。
【0058】次に、グラビア印刷機の印刷ユニット40
に版胴運搬兼インキ装置10を組み込む。版胴運搬兼イ
ンキ装置10を印刷ユニット40に組み込むときは、図
2に示すように、印刷ユニット40のフレーム41に固
定されている版胴装着装置44の軸位置と、版胴運搬兼
インキ装置10に積載した版胴35の軸穴が勘合するよ
うに、所定の位置に台車11を押し入れ、固定する。
【0059】次いで、版胴装着装置44のテーパー軸を
繰り出して、版胴35の軸穴に挿入し、版胴を固定す
る。この間、版胴支持装置30は版胴35の高さ位置を
保持したままとし、版胴35を印刷ユニット40の版胴
装着装置44に固定し終えたら、版胴支持装置30の版
胴受け31を、版胴受け昇降器33を駆動して降下さ
せ、図3に示すように版胴受け31を90°回転してイ
ンキパン21の上方から退避させる。
【0060】図1(b)は、版胴受け31をインキパン
21上から退避した状態を示す版胴運搬兼インキ装置1
0の断面図である。版胴35を印刷ユニット40に装着
し終えた版胴運搬兼インキ装置10は、図1(b)に示
すように、インキパン昇降器22を操作してインキパン
21を版胴位置まで押し上げ、印刷インキの供給準備を
行なう。
【0061】印刷インキの供給は、先ず、インキタンク
23に印刷インキを入れ、次ぎにインキポンプ24を起
動して、インキタンク23からインキパン21に印刷イ
ンキを汲み上げる。また、インキパン21に供給された
印刷インキはオーバーフロー管(図示せず)を通ってイ
ンキタンク23に戻ってくる。
【0062】なお、インキポンプ24によって汲み上げ
た印刷インキは、望ましくは、濾過器(図示せず)を通
し、ゴミや不純物を取り除いてからインキパン21に供
給した方がよい。
【0063】上述の方法でインキパン21への印刷イン
キの供給が安定したら、版胴35を回転駆動し、ドクタ
ーブレード45を版胴35に当接して、版胴に付着した
余分なインキをかきおとすとともに、版胴35のグラビ
アセルに適量のインキを供給する。
【0064】次いで、印刷用紙50を搬送しながら、圧
胴43を版胴35に圧接し、印刷を開始する。印刷中
は、インキパン21のインキを一定量に保つため、イン
キポンプ24でインキタンク23から印刷インキを循環
補給する。また必要なら版胴35に対するドクターブレ
ード45の当接角度を調整してインキの盛り量を調整す
る。
【0065】上記印刷が終了したら、圧胴43を逃がし
印刷用紙50の搬送を止めるとともに、ドレインコック
(図示せず)を開いてインキパン21の印刷インキをイ
ンキタンク23に回収する。次いで、版胴35とドクタ
ーブレード45、及びインキパン21をインキ洗浄液で
洗浄する。
【0066】次に、版胴35を印刷ユニット40から回
収するため、まず、インキパン21を降下させ、次い
で、版胴支持装置30の版胴受け昇降器33を駆動し
て、版胴受け31を、再び図1(a)に示す版胴支持位
置まで上昇させ、版胴35に当接する。
【0067】次いで、印刷ユニット40の版胴装着装置
44を操作して、テーパー軸を版胴35の軸穴から引き
抜き、版胴35を版胴運搬兼インキ装置10の版胴受け
31に積載回収する。
【0068】上記手順によって、版胴35を回収した
ら、版胴運搬兼インキ装置10を印刷ユニット40から
引き出すことにより、版胴35と、残インキ、インキパ
ン21を含むインキ供給装置20を一括して回収するこ
とができる。
【0069】なお、版胴支持装置30の版胴受け昇降器
33を駆動するための動力源として、空気圧を利用する
場合は、版胴運搬兼インキ装置10の一部にエアーホー
スの接続口を設け、台車を移動するときはエアーホース
を切り離しておき、版胴受け昇降器33を駆動するとき
にエアホースを接続し、エアバルブを操作して版胴を定
位置に保持するためのエアシリンダを駆動する。
【0070】もし、版胴受け昇降器33を駆動するため
の動力源として電力を使用するときは、印刷インキに使
われる揮発性溶剤のガスに放電着火の危険があるので、
電気器具類は全て防爆構造にする必要がある。
【0071】なお、版胴運搬中に、版胴受け31を定位
置に保持し、版胴35、及び版胴支持装置30を機械的
に固定する版胴固定手段を別途設けるのが望ましい。
【0072】さらに、版胴受け31を昇降するための版
胴受け昇降器33は、本実施例ではエアシリンダを使用
したが、ボールネジ、ロータリアクチェータ、エアーモ
ータなどを組み合わせて構成してもよく、また、インキ
パン昇降器22と同様に動力源を用いず、ギア機構によ
って手動で版胴受け31を上下動する機構にしてもよ
い。
【0073】空気圧や電力などの動力源を用いないとき
は、版胴運搬兼インキ装置に対して動力源の供給が不要
になり、エアホースや電源ケーブルを引き回す必要がな
く、版胴運搬兼インキ装置の操作がより簡便になる。
【0074】
【発明の効果】以上、詳細に説明した如く、本発明の版
胴運搬兼インキ装置は、インキパン21とは独立して版
胴受け31を設けたので、第1に従来の版胴運搬兼イン
キ装置のように版胴35やインキパン21を印刷機に組
付けるとき、インキパン21を何度も上げ下ろしする必
要がない。第2に、本発明の版胴運搬兼インキ装置10
は、インキパン21からの版胴受け31の取り外しが不
要になる。第3に、版胴35の高さ方向の位置決めを事
前に外段取り化できるので、版胴の交換時間を短縮で
き、さらに交換作業の作業負荷を軽減することもできる
効果がある。
【0075】上記、本発明の版胴運搬兼インキ装置を使
用することによって、版胴やインキ装置を簡単かつ短時
間に、印刷ユニットへ組付け交換することができ、よっ
て印刷機の休止時間を短縮して、稼働率を向上できると
いう優れた効果を有する。
【0076】すなわち、本発明の版胴運搬兼インキ装置
は、請求項1に示したように、台車と、該台車に固定さ
れ、版胴にインキを供給する昇降可能なインキパンを含
むインキ供給装置と、前記台車に固定され、前記インキ
パンの上方空間にて、版胴を保持する昇降可能な版胴受
けを備えた版胴支持装置とを設けたので、インキパンと
は独立して版胴を正確に印刷ユニットに組付けることが
でき、また、版胴受けがインキパンに直接触れないの
で、印刷インキで汚れることもない。
【0077】また、請求項2に示したように、本発明の
版胴運搬兼インキ装置の版胴支持装置は、版胴を保持す
る版胴受けを、インキパン上から退避する版胴受け退避
手段を備えているいるので、印刷中は使用することのな
い版胴受けを、取り外して保管する手間が不要になり、
また、必要なときに版胴受けをすぐ引き出すことができ
る。
【0078】さらに、請求項3に示したように、本発明
の版胴運搬兼インキ装置の版胴支持装置は、版胴を保持
する版胴受けを、版胴径に合わせて上下方向に位置調整
する版胴位置調整手段を備えているので、多種類の異な
る胴径の版胴を取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 版胴運搬兼インキ装置の構成断面図
【図2】 版胴運搬兼インキ装置による版胴組付け準備
状態図
【図3】 版胴運搬兼インキ装置による版胴組付け状態
【図4】 グラビア印刷機の印刷ユニットの概略側面図
【図5】 版胴受け退避手段の1例を示す上面図
【図6】 従来の版胴運搬兼インキ装置の構成断面図
【符号の説明】
10 版胴運搬兼インキ装置 11 台車 12 車輪 20 インキ供給装置 21 インキパン 22 インキパン昇降器 23 インキタンク 24 インキポンプ 25 インキパン昇降ハンドル 30 版胴支持装置 31 版胴受け 32 版胴受け退避手段 33 版胴受け昇降器 34 版胴位置調整手段 35 版胴 40 印刷ユニット 41 フレーム 42 ガイドローラ 43 圧胴 44 版胴装着装置 45 ドクターブレード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市瀬 武彦 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 山崎 隆美 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 台車と、該台車に固定され、版胴にイン
    キを供給する昇降可能なインキパンを含むインキ供給装
    置と、前記台車に固定され、前記インキパンの上方空間
    にて、版胴を保持する昇降可能な版胴受けを備えた版胴
    支持装置とを設けたことを特徴とする版胴運搬兼インキ
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、版胴支持装置は、版
    胴を保持する版胴受けを、インキパン上から退避する版
    胴受け退避手段を備えていることを特徴とする版胴運搬
    兼インキ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、版胴支持装置は、版
    胴を保持する版胴受けを、版胴径に合わせて上下方向に
    位置調整する版胴位置調整手段を備えていることを特徴
    とする版胴運搬兼インキ装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009160741A (ja) * 2007-12-28 2009-07-23 Komori Corp 液体塗布機械
JP2010524733A (ja) * 2007-05-02 2010-07-22 ボブスト ソシエテ アノニム 印刷機用の印刷装置を組み立てる方法、解体する方法、および、機能変換する方法ならびに搬送装置
CN106113906A (zh) * 2016-06-30 2016-11-16 苏州华尔美特装饰材料股份有限公司 一种滚筒印花装置
JP2016537225A (ja) * 2013-11-21 2016-12-01 ケーニツヒ ウント バウエル アクチエンゲゼルシヤフトKoenig & Bauer AG 凹版印刷機械及び凹版印刷機械を備える印刷施設

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