JP3418944B2 - グラビア印刷機の版胴交換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、版胴の交換を容易に能
率的に行なうことができるグラビア印刷機の版胴交換装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】グラビア印刷機においては、印刷ユニッ
ト内の支持機構に装着されて所定量の印刷を終了した版
胴（以下、旧版胴と称する）を取り外して、替わって次
に印刷する新たな版胴（以下、新版胴と称する）を装着
させるために版胴の交換作業が印刷ユニット毎に行なわ
れ、近年になって自動化、省力化および生産性向上など
を図ることのできる版胴交換装置の開発および実用化が
要求されてきている。

【０００３】そこで、本出願人においても、上記の要求
に応えるためグラビア印刷機の版胴交換装置を開発し、
先きに２件の特許出願を行なった。その技術内容は、特
開平１−２４２２５０号公報および特開平３−９０３５
５号公報に記載された通りである。以下、この版胴交換
装置について、図面を参照しながら概要を説明する。図
５は、グラビア印刷機の１色の印刷ユニットに装備され
た版胴交換装置を示す側面図であり、多色グラビア印刷
機においては複数の印刷ユニットが配列され、ユニット
毎に同様の版胴交換装置が装備され、旧版胴と新版胴の
交換着脱を同時に行なうようになっている。図におい
て、シャフトレス版胴からなる旧版胴５１は、操作側支
持機構５２と駆動側支持機構５３とによって回転自在に
支承されている。操作側支持機構５２および駆動側支持
機構５３には、シャフトレス版胴の両端面に穿設したテ
ーパ穴に合致して嵌入される先端を有した支持軸が、軸
受を内蔵したスリーブに回転自在に支持され、このスリ
ーブを摺動自在に挿設するとともにエアシリンダなどを
結合して両側から相対して進退されることにより版胴の
着脱が可能となっている。さらに、図示を省略されてい
るが、操作側支持機構５２には、スリーブの進退方向の
位置を微細調整可能な駆動機構と、スリーブの位置を検
出する検出器とを具備して、制御装置から版胴の軸方向
長さに対応した設定値などの位置指令信号によって、ス
リーブすなわち支持軸に装着された版胴操作側の位置決
めが行なわれる。また、同じく不図示であるが、駆動側
支持機構５３には、ラインシャフトを介して主電動機と
連結された版胴駆動用歯車箱５４に併設されるととも
に、版胴のテーパ穴に嵌入する支持軸先端の固定キーの
位相を検出可能に配設された検出器と低速駆動用電動機
とを具備して、制御装置を介して前記固定キーを定位相
（真下の方向）に停止させることが行なわれる。

【０００４】５５は昇降台で、前記操作側支持機構５２
と駆動側支持機構５３との間の直下に設けられ、版胴支
持位置（上昇位置）と版胴水平移送位置（下降限位置）
との間を昇降手段により上下方向に昇降される。この場
合、前記昇降手段には、ねじ機構やリンク機構あるいは
空油圧シリンダなどを採用する種々の提案および実施が
成されており、ここでは詳細な機構の図示を省略してい
る。また、昇降台５５の上昇位置は版胴径に対応して位
置決めされ、制御装置に版胴径を入力することによって
プリセットされる。この昇降台５５には版胴を載置する
パレット５７が第１移送装置５６を介して支持されてい
る。第１移送装置５６は、パレット５７を昇降台５５の
版胴水平移送位置から版胴の軸線方向に駆動側フレーム
を隔てた延長線上に配設された移動台５８まで往復移送
させるものである。

【０００５】移動台５８には、昇降台５５の版胴水平移
送位置における第１移送装置５６と上面を同一高さに合
わせパレット５７を版胴の軸線方向に移送させる一対の
第２移送機構５９，５９が平行に装備され、図６に示す
ように、版胴の軸線方向に対して直交する方向に往復移
動することが可能となって、選択的にいずれか一方の第
２移送機構５９が第１移送装置５６に対向される。すな
わち、移動台５８の下部に版胴の軸線方向に直交する２
本のレールを敷設し、移動台５８下面に固着されたキャ
スタを転動するとともに、一方をＶ形にして軸線方向の
ずれを規制している。往復移動には空油圧シリンダを連
結し駆動されストローク調整によって第１移送装置５６
と各第２移送機構５９，５９とを一直線上に並べる。ま
た、図示を省略しているが、移動台５８の第２移送機構
５９にはパレット５７に載置する新版胴のキー溝位相を
前述したように版胴支持軸先端の固定キーの停止された
定位相（真下の方向）に合わせる位相合わせ機構を備え
ている。パレット５７には貫通穴が形成され、この貫通
穴を通って昇降し、載置された版胴に当接して版胴を回
転方向に位相を合わせる回転コロおよび軸線方向に移動
する移動コロを第２移送機構５９に昇降自在に設けてい
る（不図示）。

【０００６】このように構成された版胴交換装置による
版胴の交換作業の手順を説明する。印刷ユニット内の支
持機構に装着された旧版胴によって所定量の印刷が終了
する前に、予め新版胴を待機状態に準備させておく。す
なわち、移動台５８の一方の第２の移送機構５９の上面
に支持させたパレット５７に新版胴６１を載置して、パ
レット５７の貫通穴から回転コロおよび移動コロを上昇
して新版胴６１を回転および移動自在に支持し、新版胴
６１のキー溝位相を位相合わせ機構により所定の位相
（真下の方向）に合わせ、回転コロおよび移動コロを下
降して新版胴６１をパレット５７の凹部テーパ面に支持
され位相が変化しないように載置される。さらに、他方
の第２移送機構５９の方を昇降台５５側の第１移送装置
５６に軸線方向を一致するよう移動台５８の位置を移動
させる。また、制御装置には旧版胴５１および新版胴６
１のサイズ（円周長）を入力する。

【０００７】旧版胴による所定量の印刷が終了したと
き、駆動側支持機構５３の支持軸先端の固定キーの位相
を制御装置を介して定位相（真下の方向）にして停止さ
せる。そこで、昇降台５５を予め入力した旧版胴５１の
サイズ（円周長）に応じた版胴支持位置（上昇位置）ま
で昇降手段により上昇して停止させ、操作側および駆動
側支持機構５２，５３のスリーブを後退して両支持軸先
端を旧版胴５１のテーパ穴から抜き取り、旧版胴５１を
パレット５７上に載置して受け取った後、昇降台５５を
版胴水平移送位置（下降限位置）へ下降させる。次いで
昇降台５５の第１移送装置５６およびこれと軸線方向を
一致させた他方の第２移送機構５９を駆動して、旧版胴
５１を載置したパレット５７を移動台５８の空いていた
他方の第２移送機構５９の上面まで移動して停止させ
る。次に、予め新版胴６１を定位相に載置したパレット
５７が上面に支持して準備された一方の第２移送機構５
９を昇降台５５の第１移送装置５６と軸線方向を一致す
る位置に移動台５８を直交方向へ移動させた後、一方の
第２移送機構５９および昇降台５５の第１移送装置５６
を駆動し、新版胴６１を載置したパレット５７を駆動側
フレームに設けた空洞部を通過させて昇降台５５の版胴
水平移送位置（下降限位置）まで移動して停止させる。
次に、昇降台５５を昇降手段により上昇させて制御装置
に入力された新版胴６１のサイズ（円周長）に応じた版
胴支持位置（上昇位置）に停止し、操作側および駆動側
支持機構５２，５３のスリーブを前進させて両支持軸先
端を新版胴６１のテーパ穴へ嵌入して支持し、昇降台５
５を下降することにより版胴の交換作業が終了する。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところで、グラビア印
刷作業においては版胴の周面にインキを付着させるため
に版胴を浸漬するインキ溜７２が装着され、図７に示し
たように、上記の版胴交換装置が装備された印刷ユニッ
トでは、版胴の直下に設けた昇降手段を有する昇降台５
５の上面にインキ溜７２が載置されている。したがっ
て、所定量の印刷が終了して版胴の交換作業を始めると
き、先ず第一にインキ溜７２を昇降台５５の上面から取
り外し、交換作業が終了したとき、再びインキ溜７２を
昇降台５５の上面に載置する作業を行なう必要があり、
これが手作業で行われるため作業性を低下させ、作業時
間の短縮を阻害するという問題点が残るものであった。

【０００９】また、前記従来技術である特開平３−９０
３５５号公報の実施例に記載された第１および第２移送
機構５６，５９は、図８に示したように、コロ７３の上
面に支持するパレット５７の側部に一体的に取着した下
向きのラック７４にピニオン７５を係合し、このピニオ
ン７５を電動機２６で起動して移送が行われる。このよ
うにパレット５７には第１および第２移送機構５６，５
９に属する部材が取着されているので、パレット５７は
第１および第２移送機構５６，５９の移動範囲内に留め
られ、パレット５７に新版胴６１を載置しキー溝を定位
相に合わせ待機状態にする準備作業は、印刷ユニットの
駆動側フレーム外側に設けた移動台５８の第２移送機構
５９に支持されたパレット５７上で行なうことになり、
作業場所としての条件が悪く、他の場所で準備する版胴
に搬送装置を連結して一連の自動化をすることが困難で
あった。

【００１０】以上のような問題点を改善するために成さ
れた本発明の目的は、版胴交換を始める前に昇降台から
インキ溜を取り外し版胴を交換した後に再び昇降台にイ
ンキ溜に載置する作業を含めることにより、インキ溜の
出し入れを容易にして作業性の向上と時間短縮を図ると
ともに、パレットを移送機構から分離自在にして版胴搬
送装置などへ連結することにより、キー溝の定位相合わ
せを含む新版胴の準備作業を条件の良い任意の場所で行
なうことが可能となったグラビア印刷機の版胴交換装置
を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明に係るグラビア印刷機の版胴交換装置は、シ
ャフトレス版胴の両端に嵌着して回転自在に支承する支
持軸を有し進退手段により前記版胴を脱着する操作側支
持機構および前記支持軸の定位相停止手段を併設する駆
動側支持機構と、版胴およびインキ溜をそれぞれ載置す
る複数のパレットと、前記操作側支持機構と前記駆動側
支持機構との間で直下に配設し前記複数のパレットを版
胴およびインキ溜の支持位置と版胴およびインキ溜の水
平移送位置との間で昇降する昇降手段を備え印刷時は版
胴を浸漬させる位置にインキ溜を載置したパレットを保
持する昇降台と、この昇降台に具備され前記パレットを
支持して版胴の軸線方向へ移送する第１移送機構と、こ
の第１移送機構の版胴水平移送位置における延長線上に
位置し前記パレットを支持して版胴の軸線方向に移送す
る複数の第２移送機構と、前記第１移送機構とこの複数
の第２移送機構間で前記パレットが通過するための印刷
ユニットの一部である空洞部を有する駆動側フレーム
と、前記複数の第２移送機構を平行に配設し３位置に停
止可能な往復移動手段を備え版胴の軸線方向と直行する
方向に移動する移動台と、前記パレットに載置する新版
胴を定位相に合わせる位相合わせ機構と、から構成し
て、印刷を終了した旧版胴と次に印刷する新版胴とを交
換可能に構成されていることを特徴とする。さらに前記
昇降台に具備された前記第１移送機構および前記移動台
に具備された前記複数の第２移送機構は、これらの両端
側部に軸着するスプロケットと、この両側のスプロケッ
トに連架けする一対のアタッチメント付きローラチェー
ンと、前記スプロケットを駆動する電動機と、から構成
して、前記パレットを前記ローラチェーンのアタッチメ
ント上面に支持してチェーン駆動により移送するもので
あると好適である。

【００１２】

【作用】所定量の印刷が終了したとき、版胴の交換に先
きだって、版胴直下の昇降台にインキ溜を載置したパレ
ットは、昇降台を下降限位置まで下降し、第１移送機構
および第２移送機構を駆動して昇降台の下降限位置から
移動台の３組中の空いた１つの第２移送機構へ移送して
退避状態となる。

【００１３】そこで、版胴の交換を行なう。すなわち、
移動台が往復移動手段で３位置の他の１つへ移動し空ら
のパレットを支持した他の１つの第２移送機構が第１移
送装置に軸線方向を一致し、空らのパレットが昇降台ま
で移送し版胴支持位置へ上昇する。次ぎに操作側および
駆動側支持機構の支持軸を後退し旧版胴がパレットに載
置し版胴水平移送位置まで下降する。この旧版胴を載置
したパレットが昇降台から移送し移動台の他の１つの第
２移送機構へ移送し支持する。次ぎに移動台が往復移動
手段で３位置の残りの１つへ移動し予め新版胴を載置し
たパレットを支持した残りの１つの第２移送機構が第１
移送装置に軸線方向を一致し新版胴を載置したパレット
が移動台から昇降台の版胴水平移送位置まで移送し版胴
支持位置へ上昇する。次ぎに操作側および駆動側の支持
軸を前進し操作側支持機構と駆動側支持機構との間で新
版胴を支持する。

【００１４】この後、空らのパレットが下降し昇降台か
ら移動台の残りの１つの第２移送機構まで移送して戻
り、移動台が往復移動手段で３位置の最初の１つへ移動
し第２移送機構および第１移送機構を駆動しインキ溜を
載置したパレットが移動台から昇降台の下降限位置まで
移送して版胴に浸漬する位置へ上昇し、再び印刷を開始
可能な状態となる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明をする。なお、説明の便宜上、図５、図６、
図７および図８に示した従来の版胴交換装置と同一の構
成部材には同一の参照符号を付して簡明にするととも
に、重複するが、先ず、従来例の装置で説明した構成と
基本的に変わらない部分について説明をする。図１にお
いて、シャフトレス版胴からなる版胴５１は、操作側支
持機構５２と駆動側支持機構５３とにより回転自在に支
承される。操作側および駆動側支持機構５２，５３に
は、シャフトレス版胴５１の両端面に穿設したテーパ穴
に合致して嵌入される先端を有したそれぞれの支持軸
が、軸受を内蔵したスリーブに回転自在に支持され、こ
のスリーブを摺動自在に挿設するとともにそれぞれエア
シリンダを結合して両側から相対して進退されることに
より版胴５１が着脱される。さらに、図示を省略してい
るが、操作側支持機構５２には、スリーブの進退方向の
位置を微細調整可能な駆動機構と、スリーブの位置を検
出する検出器とを具備し、位置指令信号によって版胴の
軸方向の位置決め微細調整が行なわれる。図示する本実
施例の場合、スリーブ位置の微細調整駆動機構は、スリ
ーブ端部に螺設したねじ軸１２をエアシリンダ１３の端
部に配設した減速機付き電動機１４の出力軸に直結する
ものである。また、同じく不図示であるが、駆動側支持
機構５３には、ラインシャフトを介して主電動機と連結
された版胴駆動用歯車箱５４を併設するとともに、版胴
のテーパ穴に刻設されたキー溝に嵌入する支持軸先端に
取着する固定キーの位相を検出可能に配設された検出器
と低速駆動用電動機とを具備して、制御装置を介して前
記固定キーが定位相（真下の方向）に停止される。

【００１６】５５は昇降台で、前記操作側支持機構５２
と駆動側支持機構５３との間で直下に設けられ、版胴支
持位置（上昇位置）と版胴水平移送位置（下降限位置）
との間を昇降手段１５により上下方向に昇降される。本
実施例の昇降手段１５には、図３に示すようにリンク式
のリフタが配設される。このリフタは、上面板をコロで
支持して挟み状に交差する一対のリンク１６を有し、こ
のリンク１６の上下に相対する側面をそれぞれ正弦曲線
に形成し交差点近傍で両曲線に接して交差角度を規制す
るカムフォロア１７を介在し、このカムフォロア１７の
支持軸がネジ軸を介して電動機１８の駆動により進退さ
れるとともに、この駆動回転量をロータリエンコーダ１
９で検出しリフタ昇降の停止位置がリニアに制御され
る。なお、昇降手段は、昇降台５５にねじ機構あるいは
空油圧シリンダなどを直結して昇降位置決めされる他の
機構であっても良い。昇降台５５の上昇位置は版胴径に
対応して位置決めされ、制御装置に版胴径を入力するこ
とによりプリセットされる。また、グラビア印刷時に
は、インキ溜７２が版胴の直下に位置する昇降台５５に
第１移送機構３６を介して支持されるパレット３７上に
載置され、版胴径に合わせて昇降されインキ溜７２内に
貯留するインキに版胴５１を浸漬する。さらに、版胴交
換時には、版胴を載置するパレット３７が昇降台５５に
第１移送機構３６を介して支持される。第１移送機構３
６を駆動することによって、パレット３７が昇降台５５
の版胴水平移送位置から版胴の軸線方向に駆動側フレー
ムを隔てた延長線上に配設された移動台３８に対して往
復移送される。本発明における第１移送機構３６の詳細
については後述する。

【００１７】ここで、本発明に係る版胴交換装置の移動
台３８は、図２に示すように、前述の昇降台５５の版胴
水平移送位置における第１移送機構３６と上面を同一高
さに合わせて協働されることによって昇降台５５と移動
台３８との間でパレット３７を版胴の軸線方向に往復移
送する３組の第２移送機構３９，３９，３９が平行に装
備される。移動台３８には、版胴の軸線方向に対し直交
する方向に往復移動するようにタンデム型エアシリンダ
２１を連結し不図示の電磁弁を介して３カ所の定位置に
停止されることによって、選択的にいずれか１組の第２
移送機構３９が第１移送機構３６に対向される。また、
図４に示すように、第１移送機構３６および第２移送機
構３９は、それぞれ昇降台５５および移動台３８の両端
側部に軸着されるスプロケット２４，２４を配設してア
タッチメント付きローラチェーン２５を連架するととも
に、一側のスプロケット２４に電動機２６を連結して駆
動される。底面を平らに形成されたパレット３７が、ロ
ーラチェーン２５のアタッチメントプレート上面に支持
されチェーン駆動により移送される。パレット３７は昇
降台５５または移動台３８上のストロークエンドまで到
達すると、パレット３７の先端を不図示のリミットスイ
ッチで検出して電動機２６の駆動が停止される。さら
に、第１移送機構３６と空洞部を有した駆動側フレーム
を隔てた移動台３８の第２移送機構３９との間には中継
移送機構４１を配設して、従来の装置より移動スペース
の大きい移動台３８が駆動側フレームから離して設置さ
れる。中継移送機構４１のパレット移送構造も第１移送
機構３６および第２移送機構３９と同様である。

【００１８】次にこのような構成からなる本発明の版胴
交換装置の作用を版胴の交換作業の手順に従って説明を
する。印刷ユニット内の支持機構に装着された旧版胴５
１によって所定量の印刷が終了する前に、予め新版胴６
１を待機状態に準備をする。すなわち、移動台３８に具
備する３組の第２移送機構３９，３９，３９のうち、１
つの第２移送機構３９の上面には何も載置されない空い
た状態にし、他の１つの第２移送機構３９の上面には空
らのパレット３７のみを支持し、残りの１つの第２移送
機構３９の上面には新版胴６１を載置したパレット３７
が支持される。この場合、前述したように底面の平らな
パレット３７がチェーン２５のアタッチメントプレート
上面に単に支持されるだけの構造であることから、移動
台３８に版胴の搬送装置などを連結することによって新
版胴６１を載置したパレット３７を受け渡しすることが
可能となり、不図示の別の場所において、従来と同様に
パレット３７に形成した貫通穴を通って昇降し版胴に当
接する回転コロおよび移動コロと、キー溝の位相合わせ
機構とが具備され、パレット３７上に新版胴６１のキー
溝位相を所定の位相（真下の方向）に合わせる作業が行
なわれる。別の場所からの版胴の搬送装置などを連結し
ない場合には、従来と同様に、第２移送機構３９にキー
溝の位相合わせ機構を具備すれば良いことは明かであ
る。また、何も載置されない空いた状態の１つの第２移
送機構３９を第１移送装置３６と軸線方向を一致するよ
うに移動台３８が３位置の１つへ移動されて待機する。
制御装置には旧版胴５１および新版胴６１のサイズ（円
周長）を入力する。

【００１９】旧版胴による所定量の印刷が終了したと
き、駆動側支持機構５３の支持軸先端の固定キーの位相
を制御装置を介して定位相（真下の方向）にして停止さ
せる。そこで先ず、印刷中にはインキ溜７２が貯留する
インキに旧版胴５１を浸漬するようパレット３７上に載
置し第１移送機構３６を介して支持し版胴径に合わせて
上昇された昇降台５５は下降限位置にまで下降され、昇
降台５５の第１移送装置３６、中継移送機構４１および
移動台３８の軸線方向を一致した１つの第２移送機構３
９が搬出方向に駆動され、インキ溜７２を載置したパレ
ット３７が版胴の直下の昇降台５５の下降限位置から移
動台３８の何も載置していない空いた１つの第２移送機
構３９へ移送して支持される。次に、移動台３８が連結
するタンデム型エアシリンダ２１を作動して３位置の他
の１つへ移動され、空らのパレット３７が支持された他
の１つの第２移送機構３９を昇降台５５の第１移送装置
３６に軸線方向を一致して、その第２移送機構３９、中
継移送機構４１および第１移送装置３６が搬入方向に駆
動され、空らのパレット３７が移動台３８から昇降台５
５の下降限位置（版胴水平移送位置）まで移送される。

【００２０】以下は従来と同様の手順で版胴の交換が行
なわれる。すなわち、昇降台５５が予め入力した旧版胴
５１のサイズ（円周長）に応じた版胴支持位置（上昇位
置）まで昇降手段により上昇して停止され、操作側およ
び駆動側支持機構５２，５３のスリーブを後退して両支
持軸の先端を旧版胴５１のテーパ穴から抜き取り、旧版
胴５１をパレット３７上に載置して受け取った後、昇降
台５５が版胴水平移送位置へ下降される。次いで昇降台
５５の第１移送装置３６、中継移送機構４１およびこれ
と軸線方向を一致された他の１つの第２移送機構３９が
搬出方向に駆動され、旧版胴５１を載置したパレット３
７が再び移動台３８の前と同じ他の１つの第２移送機構
３９の上面へ移送し停止して支持される。次に、予め新
版胴６１を定位相に載置したパレット３７が上面に準備
された残りの１つの第２移送機構３９は、昇降台５５の
第１移送装置３６と軸線方向を一致する位置までタンデ
ム型エアシリンダ２１を作動して３位置の残りの１つへ
移動台３８が移動され、残りの１つの第２移送機構３
９、中継移送機構４１および昇降台５５の第１移送装置
３６を搬入方向に駆動し、新版胴６１を載置したパレッ
ト３７が昇降台５５の版胴水平移送位置（下降限位置）
まで移動して停止される。次に、昇降台５５が昇降手段
により上昇されて制御装置に入力された新版胴６１のサ
イズ（円周長）に応じた版胴支持位置（上昇位置）に停
止され、操作側支持機構５２および駆動側支持機構５３
のスリーブを前進して両支持軸先端を新版胴６１のテー
パ穴へ嵌入して支持し、空らになったパレット３７を支
持した昇降台５５が下降限位置まで下降されることによ
り版胴の交換作業が終了する。

【００２１】そこで、昇降台５５の第１移送装置３６、
中継移送機構４１およびこれと軸線方向を一致された残
りの１つの第２移送機構３９が搬出方向に駆動され、空
らのパレット３７が昇降台５５に支持された位置から再
び移動台３８の前と同じ残りの１つの第２移送機構３９
の上面へ移送し停止して支持される。次いで、移動台３
８が連結するタンデム型エアシリンダ２１を作動して３
位置の最初の１つへ移動され、版胴の交換に先きだって
版胴直下の昇降台５５上から移動台３８上へ退避された
インキ溜７２を載置したパレット３７が支持された１つ
の第２移送機構３９は、昇降台５５の第１移送装置３６
に軸線方向を一致され、その第２移送機構３９、中継移
送機構４１および第１移送装置３６が搬入方向に駆動さ
れ、インキ溜７２を載置したパレット３７は移動台３８
から昇降台５５の下降限位置（版胴水平移送位置）まで
移送され、入力した新版胴６１のサイズ（円周長＝直
径）に合わせて昇降台５５が昇降して、グラビア印刷時
のインキ溜７２内に貯留するインキに新版胴６１を浸漬
され印刷が始められる状態になる。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るグラ
ビア印刷機の版胴交換装置によれば、版胴を脱着する操
作側支持機構と駆動側支持機構との間で直下に配設し昇
降手段を備えた昇降台に版胴を載置したパレットを支持
して版胴の軸線方向へ移送する第１移送装置を具備し、
この第１移送装置の版胴水平移送位置における延長線上
に位置しパレットを支持して移送する複数の第２移送機
構を平行に配設し版胴の軸線方向と直交する方向に移動
する移動台とから構成し、印刷を終了した旧版胴と次に
印刷する新版胴との交換を自動的に行なうグラビア印刷
機の版胴交換装置において、３位置に停止可能な往復移
動手段を備える移動台に版胴の軸線方向と平行に配設す
る３組の第２移送機構を具備することによって、旧版胴
と新版胴とをそれぞれ載置するパレットを支持する２組
の第２移送機構に加えて、さらに、別の１組の第２移送
機構を有するため、版胴交換を始める前に昇降台からイ
ンキ溜を載置したパレットを移動台の第２移送機構へ移
送して退避させ、版胴を交換した後に再び昇降台にイン
キ溜をパレットに載置したインキ溜を戻して支持する作
業を含めることにより、インキ溜の出し入れを容易にし
て自動的に行なうことができるので、作業性の向上と時
間短縮を図ることができる効果がある。

【００２３】また、第１移送機構および第２移送機構
は、昇降台および移動台の両端側部に軸着して電動機で
駆動されるスプロケットに連架する一対のアタッチメン
ト付きローラチェーンから構成し、底面を平らにしたパ
レットをアタッチメント上面に支持して移送することに
なり、パレットを移送機構から分離自在にして版胴搬送
装置などへ連結することにより、キー溝の定位相合わせ
を含む新版胴の準備作業を条件の良い任意の場所で行な
うことが可能となる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るグラビア印刷機の版胴交換装置の
実施例を示す側面図である。

【図２】図１に示す実施例のＡ−Ａ矢視図である。

【図３】図１に示す実施例における昇降手段の説明図で
ある。

【図４】図１に示す実施例のＢ−Ｂ断面拡大図である。

【図５】従来のグラビア印刷機の版胴交換装置を示す側
面図である。

【図６】図５に示す従来例のＣ−Ｃ矢視図である。

【図７】グラビア印刷において昇降台にインキ溜が載置
され上昇し版胴を浸漬した状態を示す側面図である。

【図８】図５に示す実施例のＤ−Ｄ断面拡大図である。

【符号の説明】

１５ 昇降手段 １６ リンク １７ カムフォロア １８ 電動機 １９ ロータリエンコーダ ２１ タンデム型エアシリンダ ２４ スプロケット ２５ アタッチメント付きローラチェーン ２６ 電動機 ３６ 第１移送機構 ３７ パレット ３８ 移動台 ３９ 第２移送機構 ４１ 中継移送機構 ５１ 旧版胴 ５２ 操作側支持機構 ５３ 駆動側支持機構 ５４ 版胴駆動用歯車箱 ５５ 昇降台 ５６ 第１移送機構 ５７ パレット ５８ 移動台 ５９ 第２移送機構 ６１ 新版胴 ７２ インキ溜 ７３ コロ ７４ ラック ７５ ピニオン８１ 駆動側フレーム ８２ 空洞部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41F 9/18 B41F 13/24

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シャフトレス版胴の両端に嵌着して回転
   自在に支承する支持軸を有し進退手段により前記版胴を
   脱着する操作側支持機構および前記支持軸の定位相停止
   手段を併設する駆動側支持機構と、版胴およびインキ溜
   をそれぞれ載置する複数のパレットと、前記操作側支持
   機構と前記駆動側支持機構との間で直下に配設し前記複
   数のパレットを版胴およびインキ溜の支持位置と版胴お
   よびインキ溜の水平移送位置との間で昇降する昇降手段
   を備え印刷時は版胴を浸漬させる位置にインキ溜を載置
   したパレットを保持する昇降台と、この昇降台に具備さ
   れ前記パレットを支持して版胴の軸線方向へ移送する第
   １移送機構と、この第１移送機構の版胴水平移送位置に
   おける延長線上に位置し前記パレットを支持して版胴の
   軸線方向に移送する複数の第２移送機構と、前記第１移
   送機構とこの複数の第２移送機構間で前記パレットが通
   過するための印刷ユニットの一部である空洞部を有する
   駆動側フレームと、前記複数の第２移送機構を平行に配
   設し３位置に停止可能な往復移動手段を備え版胴の軸線
   方向と直行する方向に移動する移動台と、前記パレット
   に載置する新版胴を定位相に合わせる位相合わせ機構
   と、から構成して、印刷を終了した旧版胴と次に印刷す
   る新版胴とを交換可能に構成されていることを特徴とす
   るグラビア印刷機の版胴交換装置。
2. 【請求項２】 前記昇降台に具備された前記第１移送機
   構および前記移動台に具備された前記複数の第２移送機
   構は、これらの両端側部に軸着するスプロケットと、こ
   の両側のスプロケットに連架けする一対のアタッチメン
   ト付きローラチェーンと、前記スプロケットを駆動する
   電動機と、から構成して、前記パレットを前記ローラチ
   ェーンのアタッチメント上面に支持してチェーン駆動に
   より移送することを特徴とする請求項１に記載のグラビ
   ア印刷機の版胴交換装置。