JPH10339965A - 電子写真用被転写フィルムおよびカラー画像形成方法 - Google Patents

電子写真用被転写フィルムおよびカラー画像形成方法

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JPH10339965A
JPH10339965A JP14825997A JP14825997A JPH10339965A JP H10339965 A JPH10339965 A JP H10339965A JP 14825997 A JP14825997 A JP 14825997A JP 14825997 A JP14825997 A JP 14825997A JP H10339965 A JPH10339965 A JP H10339965A
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JP
Japan
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resin layer
resin
transparent resin
image
film
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Application number
JP14825997A
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English (en)
Inventor
Tomoo Kobayashi
智雄 小林
Tetsuo Kodera
哲郎 小寺
Kaoru Torigoe
薫 鳥越
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オイルレス定着器装置に適用しても、彩
度が高く、明るく、色調再現性の良好な画像を得ること
ができ、且つ、疑似輪郭、オフセット現象が発生せず、
定着性の良好なカラー投影画像を得ることができる電子
写真用被転写フィルムを提供する。 【解決手段】 耐熱温度100°C以上のプラスチック
フィルム基材の少なくとも一方の面に画像被転写用透明
樹脂層を有する電子写真用被転写フィルムであって、透
明樹脂層を構成する樹脂材料の主成分として、アルケニ
ルコハク酸またはその無水物もしくはそのエステルから
選択された少なくとも1種の成分とポリエステル系樹脂
との共重合体を用いる。この樹脂材料に、好ましくは、
シラン化合物、変性シリコーンオイル等の離型性材料を
0.05重量%及至5.0重量%含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法によっ
て形成されたカラートナー像を担持するための電子写真
用被転写フィルム、および電子写真用被転写フィルム上
にカラー画像を形成するためのカラー画像形成方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式により透明なフィル
ム上にフルカラー画像を形成し、トナー画像を有する透
明フィルムをOHPに供し、投影画像として用いること
が広く行われている。
【0003】その電子写真方式における画像形成装置の
定着装置では、記録体(被転写体)上に転写された未定
着トナー像は、定着ローラ(あるいはベルト、フィル
ム)と加圧ローラとにより挟持される際に、熱エネルギ
ーと圧力を受け、記録体上に定着される。その際、定着
装置において、記録体上の未定着トナー像の一部が定着
ローラに転移する、いわゆるオフセット現象がしばしば
発生する。これを防止するため、現状では定着ロール表
面にシリコーンオイルなどの離型性に優れたオイルを塗
布し、定着時にロールと記録体との界面にオイルを介在
させる方法が広く行われている。
【0004】実際に用いられている定着装置のロール表
面には、フッ素系材料(フルオロカーボン系樹脂として
デュポン社製のテフロンやフッ素系ゴムとして昭和電工
デュポン社製のバイトンなど)あるいはシリコーンゴム
などのように離型性に優れた材料が配置されているが、
現状ではこれら離型性材料による表面層を形成しただけ
では、ロールから剥離性が不充分であり、オフセット現
象を完全には防止しえず、上記のようにオイルを介在さ
せているのが現状である。
【0005】このような被転写体としては、紙のみなら
ず、目的によってはOHPフィルムなどの透明シートが
使用されるが、この透明フィルム上に画像を定着させ、
投影画像として用いる場合には、彩度の高い明るい投影
画像を得るため、トナー画像の凹凸を小さくし、光散乱
を防止する必要がある。そのためには、定着時に十分な
熱と圧力を加えることが必要になる。特に、複数色のト
ナーを溶融混色させるカラー画像の場合には、さらに十
分な熱と圧力の供給が必要である。しかし、画像濃度の
低い部分、ドットやラインなどの部分を平滑にしようと
して、十分な熱を供給しようとすると画像濃度の高い、
トナー量の多い部分ではオフセットが発生してしまうた
めに、オフセット防止上、ローラへのオイル塗布は避け
られない状況にある。
【0006】オフセット現象を防止するためにローラ表
面に塗布されたオイルは、定着後の記録体に残留して、
記録体がベト付いたり、筆記性が悪くなったり、セロハ
ンテープ等によって他部材へ張り付けることができない
などという問題を引き起こす。
【0007】記録体へのオイルの付着に対しては、ロー
ラ表面にオイルを塗布しないか、あるいは極力少ない量
のオイルを塗布した定着装置を用いることが好ましく、
このようなオイルをなくした(オイルレス)定着器にす
ることによって、定着装置におけるオイル供給装置(オ
イル塗布部材、オイル貯蔵部分など)が不要となり装置
の小型化が達成できるとともに、消耗品であるオイルが
不要となり、低コスト化が達成できるという利点があ
る。
【0008】しかしながら、現在用いられているオイル
レス定着装置では、表面に画像被転写層を設けたオーバ
ーヘッドプロジェクター(OHP)用フィルム(シー
ト)を用いると、加熱された定着ローラに接触した瞬間
に、表面層が加熱、溶融して定着ローラに巻き付き、定
着器を使用不能にさせてしまう虞がある。
【0009】このように、オイルレス定着装置の改良の
みで記録体と定着ロールとの問題点を解決するのは困難
であり、定着装置のみならず、記録体自身にもそれに対
応する特性を付与することが求められてきた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上述のごとき実情に鑑み、上述のごとき問題点
を解決することを目的としてなされたものである。
【0011】即ち、本発明の目的は、定着器のオイルレ
ス化に対応した電子写真用被転写フィルムであって、オ
イルレス定着器装置に適用しても、彩度が高く、明る
く、色調再現性の良好な画像を得ることができ、且つ、
疑似輪郭、オフセット現象が発生せず、定着性の良好な
カラー投影画像を得ることができる電子写真用被転写フ
ィルムを提供すること、およびこの被転写フィルム上に
良好なカラー画像形成する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
には、記録体自身にも改良が必要であり、トナー画像を
十分定着させることができるとともに、離型性に優れた
画像被転写層を有する記録体が好ましい。
【0013】本発明者等は、上記の目的を達成するため
に、オイルレス定着器に使用可能な電子写真用被転写フ
ィルムについて鋭意研究を重ねた結果、電子写真用被転
写フィルムの塗布層の構成、画像被転写層を形成する樹
脂の特性の面などから検討した結果、耐熱温度100℃
以上のプラスチックフィルムを支持体とし、その上に形
成された透明樹脂層にアルケニルコハク酸またはその無
水物若しくはそのエステルから選択された少なくとも1
種の成分を共重合したポリエステル系樹脂材料を用い、
また、さらに好ましくは特定の離型剤を含むこと、及
び、さらに帯電防止剤を加えることにより、トナーとフ
ィルム表面との接着力が向上し、前記問題点を大幅に改
善できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】即ち、本発明の電子写真用被転写フィルム
は、耐熱温度100°C以上のプラスチックフィルム基
材の少なくとも一方の面に画像被転写用透明樹脂層を有
する電子写真用被転写フィルムであって、該透明樹脂層
を構成する樹脂材料が、アルケニルコハク酸またはその
無水物若しくはそのエステルから選択された少なくとも
1種の成分を共重合したポリエステル系樹脂材料である
ことを特徴とする。
【0015】また、この透明樹脂層を構成する樹脂材料
は、ビスフェノール型ジオールと、芳香族カルボンまた
はその無水物若しくはそのエステルから選択された少な
くとも1種とを主モノマー成分として含有することを特
徴とする。
【0016】この樹脂層には、さらに離型性を向上させ
るために、樹脂材料に離型性材料を0.05重量%及至
5.0重量%含有させたことを特徴とし、離型性材料と
しては、フッ素系樹脂、フッ素系オイル、シリコン樹
脂、シリコーンオイルおよびシリコーンオイルとシラン
化合物、、ロウ類およびワックス類などがある。この中
で特に好ましいのは、シラン化合物とシリコーンオイル
よりなるものであり、オイルレス定着器を用いた電子写
真用画像出力装置に適している。
【0017】シリコン化合物は、フッ素含有シラン化合
物、イソシアネートシラン化合物、アルコキシシラン化
合物、シランカップリング剤、およびSiH基を持つシ
ラン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化
合物を有し、また、シリコーンオイルは分子中に反応基
を有する変性シリコーンオイルで、シラノール変性、カ
ルボキシ変性、およびアミノ変性シリコーンオイルから
なる群から選ばれた少なくとも1種あるいはメチルハイ
ドロジェンシリコーンオイルが使用されることが好まし
い。
【0018】本発明の電子写真用被転写フィルムは、前
記画像被転写用透明樹脂層には、所望により樹脂微粒
子、帯電防止剤が含まれることを特徴とし、前記プラス
チックフィルム基材と画像被転写用透明樹脂層との間に
中間接着層を設けた態様であってもよい。
【0019】また、本発明のカラー画像形成方法は、少
なくともカラー着色剤と結着樹脂とを含有するトナーに
より形成されたカラートナー像を、先に述べた電子写真
用被転写フィルムのいずれかの上に形成し、熱および圧
力を付加することによって定着することを特徴とする。
【0020】本発明の電子写真用被転写フィルムは、プ
ラスチックフィルム基材上に形成された透明樹脂層が、
トナーの定着温度において、定着されるべきトナーの結
着樹脂と相溶性があり、且つトナーの定着温度におい
て、トナーの結着樹脂よりも見掛けの溶融粘度が低く、
好ましくは、温度100°Cにおける見掛けの溶融粘度
が1×103 〜7×104 ポイズの透明樹脂を基材樹脂
として含有するため、トナーの定着性が良好であり、定
着後のトナー画像部分の平滑性に優れるため、カラー画
像投影用に適している。
【0021】また、本発明のカラー画像形成方法は、カ
ラー着色剤および結着樹脂を少なくとも含有するトナー
から形成されたカラートナー像を上記したそれぞれの本
発明の電子写真用被転写フィルム上に形成し、熱および
圧力を付与することによって定着するが、離型性に優れ
た被転写フィルムであるため、オイルレス定着器でも従
来と同様に使用できることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の電子写真用被転写
フィルムについてより詳しく説明する。
【0023】図1、図2、図3、図4は、本発明に係わ
る電子写真用被転写フィルムを例示する概略断面図であ
る。
【0024】図1及び図2には、支持体の片面に画像被
転写用透明樹脂層を有する電子写真用被転写フィルムの
態様が示される。図1の電子写真用被転写フィルム10
は、支持体であるプラスチックフィルム12の片面に透
明樹脂層14が形成され、支持体の他方の面には帯電防
止層16が設けられている。図2に示す電子写真用被転
写フィルム10の場合には、プラスチックフィルム12
と透明樹脂層14との間に中間接着層18が設けられて
いる。
【0025】また、図3及び図4には、支持体の両面に
画像被転写用透明樹脂層を有する電子写真用被転写フィ
ルムの態様が示される。図3の電子写真用被転写フィル
ム20は、支持体であるプラスチックフィルム12の両
面に透明樹脂層14が形成されている。図4に示す電子
写真用被転写フィルム22は、支持体であるプラスチッ
クフィルム12の両面に透明樹脂層14が形成され、そ
れぞれの面の透明樹脂層14とプラスチックフィルム1
2との間に中間接着層18が設けられている。
【0026】本発明の電子写真用被転写フィルムにおい
て、支持体となるプラスチックフィルム基材としては、
耐熱温度100°C以上のプラスチックが透明なフィル
ム状に成形されたものを使用するが、具体的には、耐熱
温度が100°C以上のポリエチレンテレフタレートフ
ィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリフェニレンオキ
サイドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネー
トフィルム、セルロースアセテートフィルム、ポリアミ
ドフィルム等が例示される。中でもポリエチレンテレフ
タレートフィルムが、耐熱性および透明性の点で特に好
ましい。
【0027】基材として用いるプラスチックフィルムの
耐熱温度が100°C未満の場合には、トナーを熱定着
した時に熱により変形し、使用に耐えないものとなる。
また、プラスチックフィルムの厚さは、熱定着時の加熱
によりフィルムが柔らかくなった時にシワを発生させな
い程度の厚みが必要であり、一般には、50μm以上、
好ましくは75μm以上の厚みが要求される。プラスチ
ックフィルムの厚みの上限は、光線透過率の低下を考慮
して、200μm以下、好ましくは150μm以下がよ
い。従って、耐熱性を有するプラスチックフィルムの厚
さは、50〜200μm、好ましくは75〜150μm
の範囲に設定すればよい。
【0028】プラスチックフィルム基材12の少なくと
も片面に形成される透明樹脂層14は、転写された未定
着トナー像を加熱、加圧により定着させる画像被転写層
の機能を有し、定着ローラ表面にオイルがなくても、ロ
ーラ表面に画像のオフセットが発生しない離型性をも
ち、かつ、定着後のカラー画像の彩度、明度、色調再現
性を向上させ、疑似輪郭の発生を防止する透明樹脂層1
4である。
【0029】このような樹脂として、その主成分に、ア
ルケニルコハク酸またはその無水物もしくはそのエステ
ルから選択された少なくとも1種の成分が共重合されて
いることが望ましく、特にこの成分は主成分樹脂の性質
を変えることなく離型性に寄与する。この詳細な機構は
分からないが、アルキルコハク酸系成分ではこの機能が
発現されにくいことから、ポリマーの主鎖を長く変性す
るのではなく、側鎖に長い置換基を有することで、離型
性が発現されているようである。
【0030】このようなアルケニルコハク酸の例として
は、たとえば、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコ
ハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハ
ク酸、イソドデセニルコハク酸、これらの無水物、低級
アルキルエステルなどがあげられる。
【0031】主モノマー成分としては、ビスフェノール
型ジオールと芳香族ジカルボン酸またはその無水物もし
くはそのエステルを含むポリエステル系樹脂が望まし
く、該ポリエステル系モノマーとビニル系モノマーとの
共重合体等も用いることができる。
【0032】ビスフェノール型ジオールとしては、特に
ビスフェノールをエトキシ化したエトキシ化ビスフェノ
ール型ジオールあるいはプロポキシ化したプロポキシ化
ビスフェノール型ジオールが好ましく、例えば下記一般
式(I)で示される。
【0033】
【化1】
【0034】(式中、Rはエチレン基またはプロピレン
基、xおよびyは1以上の整数であり、かつX+yの平
均値は2〜7である。) 具体例としては、ポリオキシエチレン(2,2)−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオ
キシエチエン(1,5)−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,
2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン
(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−
ジクロロフェニル)プロパンなどをあげることができ
る。これらのエーテル化ビスフェノール型ジオールは、
ジフェノールにエチレンオキシドまたは、プロピレンオ
キシドを直接付加するか、あるいはオレフィンハロヒド
リンをジフェノールと反応させて製造することができ
る。
【0035】本発明におけるポリエステルは、その他の
アルコール成分として、本発明の特徴を妨げない範囲
で、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエ
タン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール
などの脂肪族ポリオール、1,4−シクロヘキサンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪
族系アルコール類を使用することができる。
【0036】一方、芳香族ジカルボン酸としては、テレ
フタル酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族カルボ
ン酸をあげることができる。また、それら無水物として
は、例えば、無水フタル酸があげられる。またそれらの
エステルとしては、上記ジカルボン酸の低分子アルコー
ルエステル、例えば、テレフタル酸ジメチル、テレフタ
ル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチルなどをあげること
ができる。
【0037】これらポリエステルに前記アルケニルコハ
ク酸またはその無水物もしくはそのエステルから選択さ
れた少なくとも1種の成分が共重合されていると、画像
形成材料とくに、カラーの画像形成材料と接着性がよ
く、一方で、その熱定着部材との離型性がよい。また、
本発明の特徴を妨げない範囲で、他種類の樹脂、例え
ば、スチレンアクリル系樹脂、ビニル系樹脂等と混合し
て用いてもよく、あるいはこれらの成分をさらに共重合
させてなる樹脂を用いてもよい。
【0038】この透明樹脂層を構成する樹脂材料は、前
記の如く、それ自体に優れた離型性を有するが、この被
転写フィルムが適用される熱定着部材の表面材料との関
連で、また、加熱や記録保持体との接触による表面劣化
の状態によっては、さらに高い離型性を有することが好
ましい場合もあり、その場合には、この樹脂材料に離型
性を向上させる材料を添加することが好ましい。
【0039】この離型性材料は、基材となる樹脂材料に
0.05重量%及至5.0重量%含有させて離型性の改
良を行うことが好ましく、さらに好ましい含有量は0.
5〜1.5重量%程度である。
【0040】ここで用いうる離型性材料としては、カラ
ー画像を形成するトナーの結着樹脂と反応又は相溶する
か、あるいは加熱定着時の温度で相溶するものが好まし
く、具体的にはフッ素系材料、フッ素系オイル、シリコ
ン系材料、シリコン系オイル、ワックス等が挙げられ、
反応性や相溶性等を考慮すると、結着樹脂の未反応官能
基と直接反応して結び付くシラン化合物やシリコンオイ
ル、その中でも反応基を持った変性シリコーンオイルが
好ましく、さらに好ましくは、これら両者を混在させた
組成物を用いることが好ましい。この形態によれば、透
明樹脂の樹脂マトリックス中に離型性材料が均一に分散
し、基材樹脂の特性や、光透過性を損なうことがない。
離型性材料の添加量が透明樹脂基材の固形物に対して
5.0重量%以下であれば、画像を形成するトナーの結
着樹脂との密着性は損なわれることはない。また、上記
のような離型性材料を用いれば結着樹脂と反応して固定
されているので、他への移行性がない利点がある。即
ち、離型性を有していても、樹脂材料基材と反応性又は
相溶性を有さないか、極めて低い単なるオイルのような
離型材料の場合では、相溶したように見えても、透明樹
脂層表面に染み出る、所謂ブリードアウト現象が生じ、
画像を形成するトナーと画像被転写用透明樹脂層との間
に離型性材料が介在することになり、特に、透明樹脂層
を構成する樹脂材料の固形物に対して離型性材料の添加
量が5.0重量%を越えると介在する離型性材料に起因
して部分的に定着できない部分が生じ、さらに添加量が
6.0重量%以上では、画像が定着できないばかりか、
トナーの結着樹脂と透明樹脂層を構成する樹脂材料との
相溶性が低下してトナー画像の透明樹脂層への沈みこみ
が阻害されるために、トナー画像の凹凸が生じ、ハーフ
トーンの投影画像では彩度の低い暗い投影画像になり、
被転写フィルムの表面に明らかなベトツキ感を生じてし
まう。またブリードアウトした離型性材料、具体的には
オイル上の成分が他へ移行し、装置内で特に搬送ロール
表面に付着して、ジャム(記録体の詰まり)の原因とな
るという問題があり、離型性材料の添加量が0.05重
量%未満であると、離型性能が不充分であり、被転写フ
ィルムが定着ロールに巻き付く現象が起こる。
【0041】本発明において、離型性材料として好まし
いのは、シラン化合物、シリコーンオイルの少なくとも
一種以上であるが、ここで用いられるシラン化合物と
は、例えばアルコキシ基(−OR基)等の硬化性官能基
を有する硬化性シラン化合物を意味している。代表的な
硬化性シラン化合物として、フッ素含有シラン化合物、
イソシアネートシラン化合物、アルコキシシラン化合
物、シランカップリング剤、およびSiH基を持つシラ
ン化合物等が挙げられる。
【0042】フッ素含有シラン化合物としては、例え
ば、CF3 (CH2 2 Si(OCH 3 3 、C6 13
2 4 Si(OCH3 3 、C2 15CONH(CH
2 3Si(OC2 5 3 、C8 172 4 Si
(OCH3 3 、C8 172 4 SiCH3 (OCH
3 2 、C8 172 4 Si(ON=C(CH3
(C 2 5 ))3 、C9 192 4 Si(OCH3
3 、C9 192 4 Si(NCO)3 、(NCO)3
SiC2 4 6 122 4 Si(NCO)3 、C 9
192 4 Si(C2 5 )(OCH3 2 、(CH
3 O)3 SiC2 48 162 4 Si(OC
3 3 、(CH3 O)2 (CH3 )SiC9 188C
2 4 Si(CH3 )(CH3 O)2 等、およびこれら
化合物の加水分解物あるいは部分縮合物等が例示でき
る。
【0043】イソシアネートシラン化合物類としては、
(CH3 3 SiNCO、(CH32 Si(NCO)
2 、CH3 Si(NCO)3 、ビニルシリルトリイソシ
アネート、C6 5 Si(NCO)3 、Si(NCO)
4 、C2 5 OSi(NCO)3 、C8 17Si(NC
O)3 、C1837Si(NCO)3 、(NCO)3 Si
2 4 Si(NCO)3 等のシラン化合物およびこれ
らシラン化合物の加水分解物あるいは部分縮合物などが
例示できる。
【0044】アルコキシシラン化合物およびSiH基を
持つシラン化合物としては、Si(OCH3 4 、CH
3 Si(OCH3 3 、HSi(OCH3 3 、(CH
3 2 Si(OCH3 2 、CH3 SiH(OCH3
2 、C6 5 Si(OCH33 、Si(OC2 5
4 、CH3 Si(OC2 5 3 、(CH3 2 Si
(OC2 5 2 、H2 Si(OC2 5 2 、C6
5 Si(OC2 5 3、(CH3 2 CHCH2 Si
(OCH3 3 、CH3 (CH2 5 Si(OCH2
3 、CH3 (CH2 7 Si(OC2 5 3 、CH3
(CH2 11Si(OC2 5 3 、CH3 (CH2
15Si(OC2 5 3 、CH3 (CH217Si(O
2 5 3 等のシラン化合物およびこれらシラン化合
物の加水分解物あるいは部分縮合物などが例示できる。
【0045】シランカップリング剤として、ビニルトリ
ス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン
類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等
のアクリルシラン類、β−(3,4エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
メチルジエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン等のアミノシラン類等が挙げられる。
【0046】本発明において、離型性材料としての上記
シラン化合物は、単独で使用してもよいが、効果の観点
から複数の化合物の混合物またはその部分加水分解物を
使用することが望ましい。
【0047】また、本発明においては、分子中に反応性
基を有するシラノール変性シリコーンオイル、カルボキ
シ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル
からなる群から選ばれた少なくとも1種の変性シリコー
ンオイルまたはメチルハイドロジェンシリコーンオイル
等のシリコーンオイルをも離型性材料として使用するこ
とができる。このうち、分子中に反応基を有する変性シ
リコーンオイルとしては、シラノール変性シリコーンオ
イル、カルボキシル変性シリコーンオイル、アミノ変性
シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カ
ルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリ
コーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェ
ノール変性シリコーンオイルが挙げられる。これらの中
でもシラノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変
性シリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーン
オイル、アミノ変性シリコーンオイルは、無色透明であ
るために、透明フィルムの着色や変色させることなく使
用できるので好ましい。他の変性シリコーンオイルも、
着色や変色の問題が無いものであれば、本発明において
好ましくしようすることができる。
【0048】これら変性シリコーンオイルまたはメチル
ハイドロジェンシリコーンオイルは、前記の硬化性シラ
ン化合物と併用されることが好ましい。両者を併用する
場合の添加比率は、目的に応じて任意にすることが可能
である。しかしながら、その添加比率は硬化性シラン化
合物に対する変性シリコーンオイルまたはメチルハイド
ロジェンシリコーンオイルの存在量がシラン化合物に1
00重量部に対して50〜200重量部の範囲であるの
が好ましい。
【0049】以上の材料を用いることにより透明樹脂層
に離型性を付与することができる。また、上記硬化性シ
ラン化合物、シリコーンオイルの他に、シリコーン樹
脂、シリコーンゴム、シリカゲル、SiO2 、シリコー
ン樹脂の微粒子などを本発明の効果を損なわない範囲で
混合してもよい。
【0050】前記変性シリコーンオイルまたはメチルハ
イドロジェンシリコーンオイルは、硬化性シラン化合物
との相互作用により、透明樹脂層における離型性の向上
及び樹脂層からの離型性材料の移行防止に寄与する。こ
の詳細な機構は不明であるが、変性シリコーンオイル鎖
またはメチルハイドロジェンシリコーンオイル鎖が硬化
性シリコン化合物と複雑に絡み合い、また、透明樹脂に
含まれる反応性官能基と反応固化し、表面に存在する各
種有機基、特に極性基およびイオン結合性のミクロな分
布を結果的に制御し、画像を形成するトナー材料との密
着、および、定着ロールからの剥離に最適な表面構造が
達成されるためであると考えられる。
【0051】また、カルボキシル基を有するシリコーン
オイルとイソシアネートシラン化合物との組み合せにお
いては、カルボキシル基が有する極性が、イソシアネー
トシラン化合物と電気的な相互作用を形成するため、熱
や光等の外部からのエネルギー作用を受けても、容易に
絡み合いを解除しない効果をもたらしていると考えら
れ、したがって、長期にわたり、効果が安定して持続す
るものと考えられる。
【0052】ここで用いられる変性シリコーンオイルま
たはメチルハイドロジェンシリコーンオイルの粘度は、
硬化性シラン化合物との組合せを考慮して決定する必要
があり、5〜10000cSt(センチストークス)の
ものが好ましい。
【0053】また、これらシラン化合物やシリコーンオ
イル以外の離型性材料として記載した前記フッ素化合物
としては、例えば、フルオロオレフィン系樹脂、具体的
にはテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチ
レン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロプロピ
ルビニルエーテル等の重合体、あるいはこれらとアクリ
ル系樹脂との共重合体が例示でき、これらは2種以上混
合して使用しても良い。また、フッ素化合物としてX−
CF2 (OC2 4 p (OCH2 q OCF 2 −Xで
示されるパーフルオロポリエーテルがあげられ、具体的
にはXがOCN−C6 3 (CH3 )NHCO−で表さ
れるイソシアネート変性物、−COOHで表されるカル
ボキシル基変性物、−CH2 OH、−CF2 −CH
2 ((OCH 2 CH2 n )OH等で表されるアルコー
ル変性物、−COOR(Rはアルキル基、アリール基)
で表されるエステル変性物なども挙げられる。
【0054】前記ロウ類およびワックス類としては、カ
ルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックスなど
の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリンなどの動物系ワ
ックス、オゾケライト、セルシンなどの鉱物系ワック
ス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラ
タムなどの石油系ワックスなどが挙げられる。またこれ
ら天然ワックスのほかに、フィッシャー・トロプシュワ
ックス、ポリエチレンワックスなどの合成炭化水素ワッ
クス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリ
ン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素など
の脂肪酸アミド、エステル、ケトン、エーテルなどの合
成ワックスも使用できる。さらに側鎖に長いアルキル基
を有する結晶性高分子が挙げられる。
【0055】ここで用いられるワックスとしては、融点
が110°C以下または融解の潜熱が230mJ/mg
以下の低融点のワックスが、定着ロールと透明樹脂層と
の間で離型剤として効果的に働き、これにより被転写フ
ィルムがトナーの定着を適度に維持しながら、また定着
ロールから離型することができるため好ましい。この条
件などから、上記ワックスの中でより好ましいのは、人
工的に産出できる、パラフィンワックス、マイクロクリ
スタリンワックスなどの石油系ワックスあるいは合成ワ
ックスが好ましい。
【0056】上記離型性材料を添加した透明樹脂層は、
カラー画像を形成するトナーの結着樹脂と加熱定着時の
温度で相溶することが可能であり、且つ、加熱定着時に
トナーを十分に沈みこませるために、トナーの定着温度
において、トナーの結着樹脂よりも見掛けの溶融粘度が
低いことが可能である。透明樹脂層の基材樹脂の見掛け
の溶融粘度がトナーの結着樹脂よりも見掛けの溶融粘度
より大きい場合、透明樹脂層上に形成されたトナー画像
をヒートロールで加熱、加圧定着する時に、トナーが充
分に透明樹脂層に沈みこむことができず、トナー画像の
凹凸が残り、投影画像の彩度が低下し、疑似輪郭が発生
する。
【0057】ここで、樹脂材料がトナーの結着樹脂と相
溶するということは、定着後の画像において、透明樹脂
層14の樹脂材料とトナーの結着樹脂とが境界を形成し
ない状態になることを意味する。トナーの結着樹脂との
相溶性を評価する方法として、”溶融トナー傾斜角”と
いう新規な評価尺度を本出願人が特開平5−08840
0号公報に記載している。
【0058】この溶融トナー傾斜角の測定方法は以下の
ようにして行う。 (1) トナーディスクの形成 島津製作所(株)製の錠剤成形器ハンドプレスSSP−
10形の直径13mm、高さ33mmの凹形形状をした
錠剤枠に粉体トナーを充填し、ハンドプレスで1トンの
加重を1分間加えてトナーディスクを成形する。図5
(A)はこの錠剤枠を示す断面図である。図5(B)は
成形されたトナーディスクを示す斜視図である。この時
の標準的なトナーディスクの大きさは、直径13mm、
厚さ1.2mm、重さ0.183gである。
【0059】(2) トナーの溶融固化 設定温度に温度調整された被転写フィルムとトナーディ
スクとを図6に示すように積層して配置し、1分間かけ
てトナーディスクを溶融させる。即ち、温度調節可能な
ホットプレート63上に被転写フィルム62及びトナー
ディスク61を順次配置して、加熱、溶融させる。例え
ば、定着ロールが150℃で、被転写フィルム透明樹脂
の温度が100℃である時は、100℃で測定を行う。
図6は、溶融トナー傾斜角の測定に用いるトナーディス
クの溶融固化装置の概略断面図である。
【0060】図6に示す状態で1分間加熱した後、厚さ
5mm、大きさ420mm×297mmのアルミニウム
プレート上に配置して、急冷、固化させる。
【0061】(3) 溶融トナー傾斜角の測定 共和界面(株)製の接触角測定装置を使用し、トナーが
固化した後のトナーの裾野の角度を2回測定し、その平
均値をもって溶融トナー傾斜角とするものである。
【0062】溶融トナー傾斜角の観点から透明樹脂層1
4の基材樹脂を選択する場合、カラー画像形成に用いる
トナーと透明樹脂層とのトナー傾斜角が40度以下にな
ることが好ましい。溶融トナー傾斜角が40度以下にな
る透明樹脂層の樹脂としては、前記したアルケニルコハ
ク酸またはその無水物若しくはそのエステルから選択さ
れた少なくとも1種の成分を共重合したビスフェノール
誘導体、もしくはその置換体と2価以上のカルボン酸と
からなるポリエステル樹脂の他に、これと併用し得る樹
脂としてポリエステル樹脂、スチレン−アクリルエステ
ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリメチル
メタクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体の如き熱可塑性樹脂を挙げることがで
きる。特に好ましいのは、トナーの主要樹脂(結着樹脂
を基準として、50重量%以上含有される樹脂)と同種
の樹脂を構成するモノマーを含む樹脂である。すなわ
ち、トナーの主要樹脂がポリエステル樹脂であれば、透
明樹脂層の樹脂として本発明のアルケニルコハク酸系の
ポリエステル樹脂が最適であるが、トナーの主要樹脂が
スチレン−アクリルエステル樹脂であれば、透明樹脂層
の樹脂として上記特定のポリエステル樹脂にスチレン−
アクリルエステル樹脂を併用することが好ましい。
【0063】透明樹脂層の最適な厚さは、定着されるべ
きトナーの粒径によって異なるが、本発明のカラー画像
形成方法を採用する場合は、1〜8μmの範囲が好まし
い。
【0064】電子写真方式では、感光体上の静電潜像に
載ったトナーを被転写フィルム上に転写する際に、高圧
で被転写フィルムを帯電させるなどの放電部分があるた
めに、フィルム表面抵抗が高いと、複写機内で放電マー
クが発生する。また、フルカラー画像では、4色のトナ
ーを転写するために、抵抗が低すぎると始めに転写した
トナーが、被転写フィルム上で電荷を漏洩し、被転写フ
ィルムへの接着力が減少し、次のトナー転写時に、感光
体上に再転写してしまい、色抜け、画質濃度の低下を引
き起こす。従って、表面電気抵抗をある一定の領域に制
御することが必要となるため、本発明の透明樹脂層14
に帯電防止剤(界面活性剤)を含むことが好ましい。特
に昨今の高画質化のためのレザー(カラー)複写機、レ
ーザープリンターなどの電子写真で用いられている方式
では、負に帯電したトナー画像を、フィルム上に転写す
るために、それと電気的相互作用の大きいカチオン系の
帯電防止剤がより有効で、転写性はもとより、再転写に
よる色抜けなどの防止に役立つ。カチオン系の帯電防止
剤としては、ヘテロ環アミン類、アンモニウム塩類、ス
ルホニウム塩類、ホスホニウム塩類、ベタイン系両性塩
類等が使用できる。中でも4級アンモニウム塩類が好ま
しい。4級アンモニウム塩類としては、下記一般式(I
I)で代表される化合物が好ましい。
【0065】
【化2】
【0066】式中、R1 は炭素数6〜22までのアルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、R2 は炭素
数1〜6までのアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基を表す。R3 、R4 、R5 は同一でも異なってもよ
く、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表す。脂肪族基
とは直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル
基、アルキニル基を言う。芳香族基とは、ベンゼン単
環、縮合多環のアリール基を表す。これらの基は水酸基
の様な置換基を有しても良い。Aはアミド結合、エーテ
ル結合、エステル結合、フェニル基を表すが、これは単
結合であってもよい。X−はハロゲン元素、硫酸イオ
ン、硝酸イオンを表し、これらのイオンは置換基を有し
ても良い。具体的化合物として、以下のようなものが例
示できるがこれらに限られるものではない。
【0067】
【化3】
【0068】
【化4】
【0069】上記のような使用方法では、カチオン系帯
電防止剤が有効な例示であるが、使用する透明樹脂層の
樹脂成分のイオン性を考慮して、具体的には、アニオン
性基を有する樹脂とカチオン系帯電防止剤の組合せ、お
よびカチオン性基を有する樹脂とアニオン系帯電防止剤
との組合せが、転写性、定着性、耐エンボス性を向上さ
せるため、帯電防止剤の選定は、アニオン系帯電防止剤
の方が効果がある場合がある。アニオン系帯電防止剤と
しては、脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、アル
キルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスル
ホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、アルキルジ
フェニルエーテルジスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩
類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ナ
フタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、などが挙げられ
る。
【0070】帯電防止剤の使用量は1mg/m2 〜50
mg/m2 であり、最適表面抵抗の範囲は1010Ω/c
2 〜1013Ω/cm2 の範囲であり、好ましくは5×
10 10〜5×1012Ω/cm2 の範囲に調整する。透明
樹脂層内に帯電防止剤を添加して表面電気抵抗を制御す
る場合、帯電防止剤の添加量を増加すると、表面電気抵
抗が低下するが、一方で透明樹脂層へのトナーの沈みこ
みが帯電防止剤によって抑制され、特に、中間調部でト
ナーの凹凸が発生し、投影画像が濁って画質が低下す
る。そこで透明樹脂層内に添加する帯電防止剤量を、表
面電気抵抗が10 10Ω/cm2 以上になることが好まし
い。また1013Ω/cm2 を越えると、放電マークが発
生し、転写率が低下することから好ましくない。
【0071】プラスチックフィルムの片側だけ透明樹脂
層を設ける場合は、その反対側の面に帯電防止層を形成
して使用することもできる。帯電防止層の形成に使用す
る帯電防止剤としては、アルキルベンゾイミダゾールス
ルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、カルボン酸スル
ホンエステル、リン酸エステル、ヘテロ環アミン類、ア
ンモニウム塩類、スルホニウム塩類、ホスホニウム塩
類、ベタイン系両性塩類等を使用することができ、さら
に詳しくは、上記透明樹脂層に含有させる帯電防止剤と
して例示した同じものを使用することができる。
【0072】透明樹脂層と反対側の面(帯電防止層形成
面)の表面電気抵抗は、5×108〜3.2×1010Ω
/cm2 の範囲、好ましくは、1×109 〜1×1010
Ω/cm2 の範囲が適している。5×108 Ω/cm2
を下回ると、高湿度環境下ではバイアストランスファー
ロールに印加する転写電圧を高くすることができるが、
ペーパーシュートなどにリークし易くなるため、転写に
必要な電荷が得られなくなり、転写率が低下するので好
ましくない。また、3.2×1010Ω/cm2を越える
と、低湿度環境下で放電マークが発生し易くなり、転写
ラチチュードが狭くなることから好ましくない。
【0073】なお、上記の表面電気抵抗の測定は、JI
S K6911に準拠し、サンプル温度20°C、湿度
65%の環境下に8時間以上シーズニングし、同じ環境
下で、アドバンテス(株)製R8340を使用して、印
加電圧100Vの条件で通電して1分間経過した後に測
定した。
【0074】本発明の電子写真用被転写フィルムにおい
ては、プラスチックフィルム12と透明樹脂層14との
間に、中間接着層18を設けてもよい。透明樹脂層に用
いる樹脂の中にはプラスチックフィルムとの接着性が弱
いものがあり、そのような場合に、中間接着層18が、
プラスチックフィルムと透明樹脂層との密着性を向上
し、定着後に定着されたトナー像が透明樹脂層と一緒
に、プラスチックフィルムから剥離しないようにするた
めに設けられる。
【0075】中間接着層18は、プラスチックフィルム
基材12と透明樹脂層14とに相溶性を有し、且つ耐熱
性が高く、定着時の加熱で溶融しない樹脂より構成され
る。中間接着層18に使用することができる樹脂とし
て、ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタ
クリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル
共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体の
如き樹脂が挙げられる。中間接着層は、プラスチックフ
ィルム基材12と透明樹脂層14との接着性を確保する
ために、ある程度以上の厚さが必要であるが、あまり厚
くすると透明樹脂層14のトナーの沈みこみ効果が小さ
くなるため、中間接着層の厚さは0.05〜0.5μm
の範囲が好ましい。本発明において、透明樹脂層14を
プラスチックフィルムの片面に設ける場合は、もう一方
の面にすべり性を付与する層を設けてもよい。
【0076】本発明の電子写真用被転写フィルムは透明
樹脂層あるいは透明樹脂層と中間接着層の特性を最大限
に生かそうとした結果、所望の表面電気抵抗が得られな
い場合には、プラスチックフィルム表面に導電性下塗り
層を設けてもよい。
【0077】上記導電性下塗り層は、例えば導電性金酸
化物微粒子が結着樹脂中に分散されたものが挙げられ
る。導電性金酸化物微粒子としては、ZnO、Ti
2 、SnO2 、SiO2 、Al2 3 、MgO、Mo
3 、CoO、In2 3 、などを挙げることができ
る。これらは、単独でも使用してもよく、これらの複合
酸化物を使用してもよい。また、金属酸化物は、異種元
素をさらに含有するものが好ましく、例えば、ZnOに
対してAl、Inなど、TiOに対してNb、Ta、な
ど、SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素な
どを含有(ドーピング)させたものが好ましい。これら
の中で、SbをドーピングしたSnO2 が特に好まし
い。また、これら導電性金酸化物微粒子の粒径は、0.
2μm以下が好ましい。上記導電性下塗り層の結着樹脂
としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポ
リアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルアクリレー
ト、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリエステル、水溶
性ポリウレタン、水溶性ナイロン、水溶性エポキシ樹
脂、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
及びこれらの誘導体などの水溶性ポリマー;水分散アク
リル樹脂、水分散ポリエステルなどの水分散型樹脂;ア
クリル樹脂エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョ
ン、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)エマルジョン
などのエマルジョン;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂
などの有機溶剤可溶樹脂を挙げることができる。中でも
水溶性ポリマー、水分散型樹脂およびエマルジョンが好
ましい。さらに界面活性剤を添加してもよい。また、導
電性下塗り層の形成は、前記透明樹脂層と同様にして行
うことができる。
【0078】次に、本発明の電子写真用被転写フィルム
の作製方法について説明する。基材樹脂に離型性材料を
添加する場合、アセトン、メチルエチルケトン、シクロ
ヘキサノン等のケトン類、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素類、塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロ
ゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステ
ル類、メタノール、エタノール等のアルコール類の1つ
あるいは2つ以上の混合有機溶剤に、離型性材料を溶解
する。離型性材料がシリコン化合物、シリコーンオイル
あるいはそれら混合物の場合は、これらが安定する溶剤
に溶解することが望ましい。一方で、透明樹脂層の基材
樹脂を上記溶剤に溶解し、離型性材料液と基材樹脂溶解
液を所望の量づつ加えて混合し、透明樹脂層塗布液を得
る。
【0079】上記の透明樹脂層塗布液を用いて透明樹脂
層を形成する際の、塗布方法としては、ブレードコーテ
ィング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコー
ティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング
法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティン
グ法、ロッドバーコーティング法、ロールコーティング
法等の通常使用される塗布方法が適宜採用される。
【0080】これら塗布膜を乾燥して樹脂層を形成する
際の乾燥は、風乾でも良いが、加熱乾燥、例えば、オー
ブンに入れるか、オーブンに通すか、あるいは透明樹脂
層を溶かさない程度に加熱ローラに接触させるなど通常
使用される方法を採用することができる。
【0081】支持体であるプラスチックフィルム基材1
2上に、透明樹脂層14を塗布する時には、必要に応じ
て、透明樹脂層14とプラスチックフィルム基材12の
接着力を高めるために、プラスチックフィルムの膨潤剤
を用いても良い。
【0082】プラスチックフィルムの膨潤剤としては、
フェノール、レゾルシン、オルソクロロフェノール、パ
ラクロロフェノール、クレゾール、その他のフェノール
誘導体および安息香酸、サリチル酸、サリチル酸エステ
ル、モノクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、三フッ化酢酸、
2−ニトロプロパノール、ベンジルアルコール、ベンゾ
アルデヒド、アセトニルアセトン、アセトフェノン、ベ
ンゾアミド、ベンゾニトリル、ニコチン酸メチル等が挙
げられる。これら膨潤剤量は、重量比で全溶剤の2〜1
0%が適当である。
【0083】また、透明樹脂層14には、必要に応じ
て、フィルム間摩擦係数調整、耐摩耗性及び耐傷性を付
与させるのマット剤、あるいは摩擦帯電防止用の帯電防
止剤を含有させることができる。マット剤としては、球
状あるいは略球状のものと扁平状のものを使用するのが
よい。酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化
ジルコニウム、チタン酸バリウム、タルクまたはカオリ
ンなどの無機微粒子や、架橋型ポリスチレン樹脂、ポリ
エチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリ
ル樹脂、架橋型ポリメチルメタクリレート樹脂、スチレ
ン−アクリル樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹
脂、メラミン−ベンゾグアナミン樹脂、シリコン樹脂な
どの樹脂微粒子、でんぷんなどが挙げられる。
【0084】上記球状あるいは略球状のマット剤の平均
粒径は、1〜10μmの範囲が好ましく、特に2〜5μ
mの範囲が好ましい。また略球状においては、その平均
長径は1〜15μmの範囲が好ましく、平均短径は1〜
10μmの範囲が好ましい。上記平均粒径は大きいほう
が好ましいが、大きすぎるとマット剤が透明樹脂層から
脱離したり、曇り(ヘイズ度)が増大することから、上
記範囲が好ましい。上記マット剤の含有量は、使用する
樹脂に対し、0.1重量%〜10重量%の範囲が好まし
く、さらに0.5〜5重量%の範囲が好ましい。扁平状
マット剤の平均粒径は、1〜5μmの範囲が好ましく、
特に2〜4μmの範囲が好ましい。また、その平均長径
は1〜10μmの範囲が好ましく、平均短径は1〜3μ
mの範囲が好ましい。また、上記マット剤の含有量は、
使用する樹脂に対し、0.1重量%〜5重量%の範囲が
好ましく、さらに0.5〜3重量%の範囲が好ましい。
【0085】帯電防止剤としては、アルキルベンゾイミ
ダゾールスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、カル
ボン酸スルホンエステル、リン酸エステルなどが挙げら
れる。
【0086】さらに、透明樹脂層14には必要に応じ
て、着色剤、紫外線吸収剤、架橋剤、酸化防止剤などの
公知の材料を本発明の本発明の電子写真用被転写フィル
ムの特性を損なわない限り、使用することができる。
【0087】中間接着層18を設ける場合には、上記透
明樹脂層14を形成する場合と同様の溶剤、および塗布
方法を用いて形成することができる。
【0088】次に、本発明の電子写真用被転写フィルム
に使用するトナーについて説明する。カラー電子写真装
置に使用されるトナーは、熱を印加した際の溶融性およ
び混色性が良いことが必要で、軟化点が低く、定着温度
における見掛けの溶融粘度が低く、シャープメルト性の
トナーを使用することが好ましい。前記の電子写真用被
転写フィルムの透明樹脂層との関係において、トナーの
結着樹脂は、その見掛けの溶融粘度が、透明樹脂層を形
成している樹脂の見掛けの溶融粘度よりも明確に大きい
ことが好ましい。具体的には、トナーの結着樹脂は、温
度100°Cにおける見掛けの溶融粘度が8×104
3×105 ポイズ、好ましくは9×10 4 〜2×105
ポイズを有することが電子写真用被転写フィルムとの適
合性およびトナー相互の混色性の点で好ましい。
【0089】トナーは、ポリエステル樹脂またはスチレ
ン−アクリルエステル樹脂の如き結着樹脂、着色剤(染
料、昇華性染料、顔料)、荷電制御剤等のトナー形成材
料を溶融混練し、粉砕、分級することにより製造するこ
とができる。必要とあらば、トナーに各種外添剤(例え
ば、疎水性コロイダルシリカ)を添加する外添工程を付
加してもよい。
【0090】カラートナーは、定着性およびシャープメ
ルト性を考慮して、結着樹脂として、透明樹脂層におけ
る基材樹脂と同種の、前記一般式(I)で代表されるビ
スフェノール誘導体、もしくはその置換体をジオール成
分とし、2価以上のカルボン酸またはその酸無水物また
はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸とを
少なくとも含有するポリエステル樹脂が好ましい。ポリ
エステル樹脂の軟化点は75〜150°C、好ましくは
80〜120°Cの範囲が好ましい。トナーと電子写真
用被転写フィルムとの関係において、トナーの結着樹脂
の温度100°Cにおける見掛けの溶融粘度は、被転写
フィルムの透明樹脂層14に使用されている樹脂の温度
100°Cにおける見掛けの溶融粘度よりも明白に大き
くなるように、結着樹脂を選択して使用する。
【0091】次に、カラー画像形成方法に関して説明す
る。図7は、本発明に使用するフルカラー画像を形成し
得る電子写真装置の概略的断面図を示す。電子写真装置
は、装置本体の下側から装置本体の右部に沿って設けら
れている転写材搬送系と、装置本体の略中央部に、前記
転写材搬送系を構成している転写ドラム47に近接して
設けられている潜像形成部と前記潜像形成部と近接して
配置されている現像ユニットとに大別される。
【0092】転写材(被転写フィルム)は、装置本体下
側に形成されている供給用トレイ39から各トレイ直上
部に配設された給紙用ローラとこれら給紙用ローラに近
接して配設された給紙ガイドによって、転写ドラム47
に搬送される。ここで被転写フィルムは転写ドラム47
に吸引され巻き付き回転しながら、感光体41上に現像
されたトナー画像と接触し転写器40によって、トナー
画像は被転写フィルム上に転写される。転写ドラム外周
面近傍に設置された転写材分離帯電器と分離つめで転写
ドラムから被転写フィルムが剥がされ、搬送ベルト45
を通過し、定着ユニット30にてトナー画像が被転写フ
ィルムに熱と圧力により定着されるように搬送され、着
脱可能な排出用トレイに排出される。
【0093】前記定着ユニット30では、その主要部が
同様の構造のヒートロール31aとプレッシャーロール
31bとで構成されている。ヒートロール31aは、内
部に500Wのコルツランプを備え、外径44mmφの
スチール製コア材で形成された基材ロールと、適宜プラ
イマーを介して上記基材ロール上に設けられた厚みが5
mmからなるゴム硬度がJIS硬度において60°のシ
リコンゴムおよびその上に設けられた厚みが40μmか
らなる離型性をもつフッ素系ゴム(例えば、デュポン社
製バイトンゴム)とで構成されている。一方プレッシャ
ーロール31bも同様な構成で、外径48mmφのスチ
ール製コア材で形成された基材ロールと、この基材上に
設けられたシリコンゴムよりなる厚みが1mmとしたこ
とを除いてはまったくの同様の構成になっている。
【0094】前記ヒートロールには、従来において、前
記フッ素ゴム表面を高離型性表面にするために、ジメチ
ルポリシロキサンよりなるシリコーンオイルが供給され
るのが一般的であった。即ち、従来の定着部には、図7
中に破線で示されるようなオイル供給手段が配置されて
いた。このオイル供給手段として、シリコンゴムよりな
るオイルドナーロール32aがヒートロール31aに当
接している。このオイルドナーロール32aは、更にオ
イルパン33中に浸漬したオイルピックアップロール3
2bによりシリコーンオイルの供給を受けるようになっ
ている。しかしながら、本発明の電子写真用被転写フィ
ルムの評価においては、破線で示すオイルドナーロール
32a、オイルピックアップロール32bおよびオイル
パン33が取り外され、オイルレス定着器として改造し
てある。
【0095】上記ヒートロール31aとプレッシャーロ
ール31bとは、加圧機構により圧接されて、中央部で
6mmのニップ巾が形成される。さらに両ロールとも定
着時において、表面温度が150°Cに設定され、その
ロールの表面速度は60mm/sec.で排出用トレイ
の方向へ被転写フィルムが排出されるように回転する。
【0096】
【実施例】以下に、実施例によって本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。なお、実施例および比較例における『部』は重量
部を意味する。
【0097】(透明樹脂層主成分樹脂の製造例1) ・n−ドデセニルコハク酸:280部 ・ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン:410部 ・ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン:部:340部 ・テレフタル酸:215部 上記原料化合物をガラス製2リットルの四つ口フラスコ
に入れ、撹拌棒、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度
計をセットし、マントルヒーターにセットした。反応容
器内を窒素ガスで置換した後、ジブチル錫オキシド2.
0部を加え、マントルヒーターで加熱しながら窒素気流
下で、前半において約150°Cで常圧反応を行い、後
半において220°Cで減圧にて反応させた。重合度
は、ASTM E28−51Tに準ずる軟化点より追跡
を行い、軟化点が110°Cに達した時、反応を終了さ
せ、室温まで冷却した。得られた樹脂のTg(ガラス転
移温度)は57°Cであった。(以下、製造例1で得ら
れた樹脂を「樹脂−1」という。) (透明樹脂層主成分樹脂の製造例2) ・イソオクテニルコハク酸:130部 ・ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン:410部 ・ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン:部:340部 ・テレフタル酸:300部 上記原料化合物を製造例1と同様な条件下で反応させ、
軟化点が115°Cに達した時反応を終了させ、室温ま
で冷却した。得られた樹脂のTgは62°Cであった。
(以下、製造例2で得られた樹脂を「樹脂−2」とい
う。) (透明樹脂層主成分樹脂の製造例3) ・n−ドデセニルコハク酸:170部 ・ポリオキエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン:部:725部 ・テレフタル酸:280部 上記原料化合物を製造例1と同様な条件下で反応させ、
軟化点が110°Cに達した時反応を終了させ、室温ま
で冷却した。得られた樹脂のTgは57°Cであった。
(以下、製造例3で得られた樹脂を「樹脂−3」とい
う。) (透明樹脂層主成分樹脂の製造例4) ・n−ドデセニル無水コハク酸:150部 ・ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン:585部 ・テレフタル酸:165部 上記原料化合物を製造例1と同様な条件下で反応させ、
軟化点が115°Cに達した時反応を終了させ、室温ま
で冷却した。得られた樹脂のTgは62°Cであった。
(以下、製造例4で得られた樹脂を「樹脂−4」とい
う。) (透明樹脂層主成分樹脂の製造例5) ・イソドデセニル無水コハク酸:60部 ・ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン:560部 ・テレフタル酸:130部 ・無水1,2,4−ベンゼントリカルボン酸:22部 ・アクリル酸(両反応性化合物):18部 上記原料化合物を製造例1と同様に反応容器内にいれマ
ントルヒーターにセットした。反応容器内を窒素ガスで
置換した後、ジブチル錫オキシド2.0部を加え、マン
トルヒーターで加熱しながら窒素気流下で、135°C
に保ちながら、下記原料化合物を予め混合したものを滴
下ロートより4時間かけて滴下した。
【0098】・スチレン:300部 ・2−エチルヘキシルアクリレート:65部 ・アゾビスイソブチロニトリル:14部 135°Cに保持したまま5時間熟成し、230°Cに
昇温して反応させた。以下重合度は、製造例1と同様に
して軟化点が115°Cに達した時反応を終了させ、室
温まで冷却した。得られた樹脂のTgは54°Cであっ
た。(以下、製造例5で得られた樹脂を「樹脂−5」と
いう。) (透明樹脂層主成分比較例樹脂の製造例1) ・ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン:410部 ・ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン:部:340部 ・テレフタル酸:380部 上記原料化合物を製造例1と同様な条件下で反応させ、
軟化点が120°Cに達した時反応を終了させ、室温ま
で冷却した。得られた樹脂のTgは57°Cであった。
(以下、比較例樹脂の製造例1で得られた樹脂を「比較
樹脂−1」という。) (透明樹脂層主成分比較例樹脂の製造例2) ・ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン:380部 ・シクロヘキサンジメタノール:142部 ・テレフタル酸:380部 上記原料化合物を製造例1と同様な条件下で反応させ、
軟化点が115°Cに達した時反応を終了させ、室温ま
で冷却した。得られた樹脂のTgは59°Cであった。
(以下、比較例樹脂の製造例2で得られた樹脂を「比較
樹脂−2」という。) (透明樹脂層主成分比較例樹脂の製造例3) ・ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン:345部 ・フマル酸:120部 上記原料化合物を製造例1と同様な条件下で反応させ、
軟化点が120°Cに達した時反応を終了させ、室温ま
で冷却した。得られた樹脂のTgは57°Cであった。
(以下、比較例樹脂の製造例3で得られた樹脂を「比較
樹脂−3」という。) (透明樹脂層主成分比較例樹脂の製造例4) ・ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン:400部 ・テレフタル酸:360部 ・エチレングリコール:40部 上記原料化合物を製造例1と同様な条件下で反応させ、
軟化点が110°Cに達した時反応を終了させ、室温ま
で冷却した。得られた樹脂のTgは61°Cであった。
(以下、比較例樹脂の製造例4で得られた樹脂を「比較
樹脂−4」という。) [実施例1]電子写真用被転写フィルムの調製 樹脂−1:5部をメチルエチルケトン50部に溶解し
た。さらにマット剤として架橋型ポリメチルメタクリレ
ート(積水化学社製:MB20X−5:平均粒径5μ
m)を0.05部、帯電防止剤として、リン酸アルキル
系界面活性剤を0.025部添加して樹脂溶解液を得
た。この塗工液を厚さ100μm、152°Cの熱変形
温度を有する最高使用温度150°Cのポリエステルフ
ィルム基材上にアプリケータを使って乾燥後の透明樹脂
層の厚さが2μmになるように塗布し、風乾後、100
°Cで1分間加熱乾燥させて、電子写真用被転写フィル
ムを得た。
【0099】トナーの調製 比較樹脂−2:96部に電荷制御剤1部、シアン顔料3
部を加えて、シアントナーを調整した。シアントナーと
同様にして、シアン顔料の代わりにマゼンタ顔料、イエ
ロー顔料、ブラック顔料を3部加えて、それぞれマゼン
タトナー、イエロートナー、ブラックトナーを調整し
た。これらシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックトナ
ーの体積平均粒径は7μmであった。
【0100】トナーの体積平均粒径測定は、コールター
カウンターTA−II型(コールター社製)を使用し、
100μmのアパチャーを用いて、2〜50μmの粒径
を有する粒子の粒度分布を測定して体積平均粒径を求め
た。
【0101】画像形成 上記の方法で得られた電子写真用被転写フィルムおよび
カラートナーを用いて、図7に示す電子写真装置におい
て、定着ユニットにおけるシリコーンオイル供給装置を
取り外してオイルレス定着器に改造した電子写真装置を
使用して被転写フィルム上に画像を形成した。被転写フ
ィルム上に、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの
順にトナーを4色重ね、トナー重量が2mg/cm2
フルカラー未定着トナー像を形成した。加熱定着ロール
温度150°C、平均加熱時間100msec.、オイ
ルレスの条件にした上記電子写真装置で加熱加圧定着
し、被転写フィルム上にフルカラー定着画像を形成し、
定着時の被転写フィルムの走行性、転写性、定着ロール
からの剥離性、定着器へのトナーオフセット、OHP投
影画像の発色性、光透過性および疑似輪郭を評価した。
同時にフルカラートナーの定着度(透明樹脂層のプラス
チックフィルムからの剥がれによる定着度の低下も含
む)の評価も行った。
【0102】発色性、光透過性および疑似輪郭は、OH
Pフィルム上に人物などの自然画像を作成し、それをO
HPを用いてスクリーン上に投影した時の、画像に発生
している疑似輪郭の程度を目視で評価した。
【0103】定着度は下記の方法により評価した。 (1)定着画像上にセロハンテープ(ニチバン製CT−
18)を貼りつける。
【0104】(2)セロハンテープを剥離する。(剥離
角度:180度、剥離時間:1秒) (3)セロハンテープ剥離後の画像部の剥がれ状態を目
視で評価する。
【0105】各評価項目における評価基準は下記によ
る。 ○:優れている(問題がまったくないレベル) △:問題はあるが、実用上許容されるレベル ×:実用上許容されない程度の問題があるレベル 評価結果を下記表1に示した。
【0106】[実施例2〜5]実施例1において、樹脂
1の代わりに樹脂2、3、4および5を使用して透明樹
脂層をもつ電子写真用被転写フィルムを作製し、それぞ
れ実施例1と同様の評価を行った。電子写真用被転写フ
ィルムを作製し、同様の評価を行った。その結果を表1
にまとめて示す。
【0107】[比較例1〜4]実施例1において、樹脂
1の代わりに比較樹脂−1、2、3および4を使用して
透明樹脂層をもつ電子写真用被転写フィルムを作製し、
それぞれ実施例1と同様の評価を行った。その結果、す
べて被転写フィルムは定着ロールに巻き付いてしまい、
評価ができなかった。評価結果をまとめて表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】[実施例6〜10]実施例1で使用したオ
イルレス定着の条件の前記電子写真装置で5万枚加熱加
圧定着して、ロール表面を粗面化させ、一部劣化した定
着ロールを用いて、実施例1〜5の各種電子写真用被転
写フィルム上にフルカラー定着画像を形成し、実施例1
と同様の評価を行った。その結果を表2にまとめて示
す。
【0110】[実施例11]撹拌子をセットしたフラス
コに、フッ素含有シリコン化合物として下記(I)式の
化合物1.64部、下記式(II)の化合物0.5部、
及びテトラメトキシシラン0.56部を入れ、溶剤とし
てイソプロピルアルコール60部、2−メチル−2−プ
ロパノール140部を加えた。次に有機アルミニウム化
合物としてアルミニウムトリスアセチルアセトネート
0.22部を加えてよく撹拌し、これに1%塩酸水溶液
を0.67部徐々に滴下した。滴下終了後25°Cに保
温し7日間放置し、組成物溶液S1を調整した。
【0111】
【化5】
【0112】上記のようにして得られた組成物溶液に、
さらに変性シリコンオイルとして分子片末端に水酸基を
有するシラノール変性ジメチルシロキサン(東芝シリコ
ン社製:XF3968)を0.2部混合し、離型性材料
含有溶液を調整した。実施例1で作製した樹脂溶解液を
用いて、液中に含まれる固形物に対して離型性材料含有
溶液の固形物が0.5重量%、3.0重量%となるよう
に添加し、さらに最終的に固形分濃度が7.5重量%に
なるようにメチルエチルケトンを加え塗工液を3種類調
整した。この塗工液を厚さ100μm、152°Cの熱
変形温度を有する最高使用温度150°Cのポリエステ
ルフィルム上にアプリケータを使って乾燥後の透明樹脂
層の厚さが2μmになるように塗布し、風乾後、100
°Cで1分間加熱乾燥させて、電子写真用被転写フィル
ムを得た。これを実施例6と同様に、オイルレス定着の
条件にした前記電子写真装置で5万枚加熱加圧定着し
て、ロール表面を粗面化させ、一部劣化した定着ロール
を用いて、被転写フィルム上にフルカラー定着画像を形
成し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2にま
とめて示す。
【0113】[実施例12]メチルシリルトリイソシア
ネート6部、フェニルシリルトリイソシアネート2部、
変性シリコーンオイルとしてカルビノール変性ポリジメ
チルシロキサンオイル(信越化学社製:KF−600
3)2部を酢酸エチル140部に加え、撹拌混合して離
型性材料含有溶液を作製した。実施例1で用いた樹脂溶
解液中に実施例11と同様に同濃度添加して、電子写真
用被転写フィルムを作製し、同様の評価を行った。その
結果を表2にまとめて示す。
【0114】[実施例13]メチルシリルトリイソシア
ネート8部、シラノール変性シリコーンオイルとして
α,ω−ジハイドロキシポリジメチルシロキサンオイル
(25°Cで粘度が2000センチストークス)8部、
硬化反応調整剤としてジブチルアシッドホスフェート
0.3部、を酢酸エチル150部に加え、撹拌混合して
離型性材料含有溶液を作製した。これを実施例2で用い
た樹脂溶解液に実施例11と同様に同濃度添加して、電
子写真用被転写フィルムを作製し、同様の評価を行っ
た。その結果を表2にまとめて示す。
【0115】[実施例14]帯電防止剤であるアルキル
ベンゾイミダゾールスルホン酸塩をメタノールとアセト
ン(1対1)の混合溶液に対して0.35重量%溶解し
た液を、厚さ100μm、152°Cの熱変形温度を有
する最高使用温度150°Cのポリエステルフィルムの
片面に塗布し帯電防止層とした。乾燥後の膜厚は、約
0.15μmであった。さらにもう一方の片面に以下の
材料で透明樹脂層を作製した。テトライソシアネートシ
ラン4部、アミノ変性シリコーンオイル(東芝シリコー
ン社製:TSF4702)4部を酢酸エチル100部に
加え、撹拌混合して離型性材料含有溶液を作製した。実
施例2で用いた樹脂溶解液中に実施例11と同様に同濃
度添加して、電子写真用被転写フィルムを作製し、同様
の評価を行った。その結果を表2にまとめて示す。
【0116】[実施例15]帯電防止剤であるアルキル
ベンゾイミダゾールスルホン酸塩をメタノールとアセト
ン(1対1)の混合溶液に対して0.35重量%溶解し
た液を、厚さ100μm、152°Cの熱変形温度を有
する最高使用温度150°Cのポリエステルフィルムの
片面に塗布し帯電防止層とした。乾燥後の膜厚は、約
0.15μmであった。さらにもう一方の片面に以下の
材料で透明樹脂層を作製した。C9 199C2 4 Si
(NCO)3 2部、テトライソシアネートシラン4部、
カルボキシ変性シリコーンオイル(信越化学社製:X−
22−3710)4部を酢酸エチル120部に加え、撹
拌混合して離型性材料含有溶液作製した。これを実施例
3で用いた樹脂溶解液に、樹脂溶解液中に実施例11と
同様に同濃度添加して、電子写真用被転写フィルムを作
製し、同様の評価を行った。その結果を表2にまとめて
示す。
【0117】[実施例16]アルコキシシランとしてメ
チルトリメトキシシラン8部を酢酸エチル160部に加
え、さらにジメチルシロキサンオイル(東芝シリコーン
社製:YF3800)4部、メチルハイドロジェンシリ
コーンオイル(信越化学社製:KF99)4部、最後に
テトライソシアネートシラン4部を加え、撹拌混合して
離型性材料含有溶液を作製した。実施例3で用いた樹脂
溶解液中に実施例11と同様に同濃度添加して、電子写
真用被転写フィルムを作製し、同様の評価を行った。そ
の結果を表2にまとめて示す。
【0118】[実施例17]シランカップリング剤とし
てトリメトキシビニルシラン8部を酢酸エチル140部
に加え、さらに、アミノ変性シリコーンオイル(東芝シ
リコーン社製:TSF4704)8部を加え、撹拌混合
して離型性材料含有溶液を作製した。また実施例4で用
いた樹脂溶解液中に実施例11と同様に同濃度添加し
て、電子写真用被転写フィルムを作製し、同様の評価を
行った。その結果を表2にまとめて示す。
【0119】[実施例18]シランカップリング剤とし
てγ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン
4部、イソシアネート変性パーフルオロポリエーテル
(アウジーモント社製:FOMBLIN Z DISO
C)0.1部、アミノ変性シリコーンオイル(東芝シリ
コーン社製:TSF4702)8部を酢酸エチル140
部に加え、さらに、テトライソシアネートシラン4部加
え、撹拌混合して離型性材料含有溶液を作製した。実施
例4で用いた樹脂溶解液中に実施例11と同様に同濃度
添加して、電子写真用被転写フィルムを作製し、同様の
評価を行った。その結果を表2にまとめて示す。
【0120】
【表2】
【0121】[実施例19]離型性材料含有溶液を以下
のように調整した。パラフィンワックス(融点85°
C、融解潜熱193mJ/mg)5部をトルエン100
部に入れ、撹拌羽根を装着した分散機で、撹拌しながら
徐々に温度を上げていき、100°Cで30分撹拌し
た。次に室温まで撹拌しながら冷却して微粒子化したワ
ックスを析出させた。これを実施例5で用いた樹脂溶解
液中に実施例11と同様に同濃度添加して、電子写真用
被転写フィルムを作製し、同様の評価を行った。その結
果を表3にまとめて示す。
【0122】[実施例20] 樹脂1:8部をトルエン100部にいれ溶解した後、実
施例1で使用したマット剤0.6部、帯電防止剤0.2
部に入れ、撹拌羽根を装着した分散機で撹拌溶解した。
さらに熱可塑性シリコーン樹脂(東芝シリコーン社製:
XR39−B1676)を固形分に対して0.5重量
%、3重量%になるように混合し、撹拌した。これを実
施例11と同様にして、電子写真用被転写フィルムを作
製し、同様の評価を行った。その結果を表3にまとめて
示す。
【0123】[実施例21] 樹脂2:8部をトルエン100部に入れ溶解した後、実
施例1で使用したマット剤0.06部、帯電防止剤0.
02部に入れ、撹拌羽根を装着した分散機で撹拌溶解し
た。さらに溶液型シリコーンゴム(東芝シリコーン社
製:YSR3022)を固形分に対して0.5重量%、
3重量%になるように混合し、撹拌した。これを実施例
11と同様にして、電子写真用被転写フィルムを作製
し、同様の評価を行った。その結果を表3にまとめて示
す。
【0124】[実施例22] 樹脂5:8部をメチルエチルケトン100部に入れ溶解
した後、架橋型ポリメチルメタアクリレイトマット剤
(総研化学社製:MR−7G:平均粒径7μm)0.0
6部、リン酸アルキル系帯電防止剤0.02部に入れ、
撹拌羽根を装着した分散機で撹拌溶解し、さらに含フッ
素共重合体樹脂を30wt%含有した溶解液(住友3M
社製:FX3330)を樹脂5の固形分に対して0.5
重量%、3重量%になるように混合し、撹拌した。これ
を実施例11と同様にして、電子写真用被転写フィルム
を作製し、同様の評価を行った。その結果を表3にまと
めて示す。
【0125】
【表3】
【0126】[実施例23〜39]帯電防止剤であるア
ルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩をメタノールと
アセトン(1対1)の混合溶液に対して0.35重量%
溶解した液を、厚さ100μm、152°Cの熱変形温
度を有する最高使用温度150°Cのポリエステルフィ
ルムの片面に塗布し帯電防止層とした。乾燥後の膜厚
は、約0.15μmであった。この帯電防止層とは反対
側の面に、テレフタル酸、イソフタル酸、ネオペンチル
グリコール、エチレングリコールの共重合体よりなるポ
リエステル樹脂3部と、ポリエステルフィルムの膨潤剤
を0.3部、メチルエチルケトン100部に入れて溶解
した塗工液で塗布して、乾燥後の膜厚が0.15μmの
中間接着層を設けた。この上に実施例1〜5の塗工液お
よび実施例11〜22で使用した離型性材料が0.5重
量%含まれる各種ポリエステル樹脂が溶解した塗工液で
塗布処理して、乾燥後の膜厚が2μmの透明樹脂層を形
成し、電子写真用被転写フィルムを得た。これら電子写
真用被転写フィルムを実施例1と同様に評価を行った。
結果は、中間層に依存せず、ほとんど実施例1〜5およ
び11〜22と同じように問題がなかった。結果を表4
にまとめて示した。
【0127】
【表4】
【0128】前記各表より明らかなように、本発明にも
ちいた透明樹脂を含んだ透明樹脂層を有する電子写真用
被転写フィルムであれば、オイルレス定着器による定着
においても、ほとんど問題なく、走行性、転写性、定着
ロールからの剥離性、トナーオフセット、発色性、光透
過性、疑似輪郭ともに問題のない優れた電子写真用被転
写フィルムとなり、離型性材料を添加することによりさ
らに特性が向上することがわかった。
【0129】
【発明の効果】以上のように、本発明の電子写真用被転
写フィルムは、上記の構成を有する透明樹脂層を設けて
なるから、オイルレス定着器を装着した電子写真装置に
有効で、定着器からの剥離性が良く、さらに走行性、転
写性、オフセット、定着性に優れる。また、電子写真法
によるカラー画像形成法にこの電子写真用被転写フィル
ムを用いることによって、発色性、透過率が良好で疑似
輪郭の発生しないフルカラー投影画像を簡単に形成する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 透明樹脂層をプラスチックフィルム基材の片
面に設けた本発明の電子写真用被転写フィルムを示す概
略断面図である。
【図2】 透明樹脂層と中間接着層をプラスチックフィ
ルム基材の片面に設けた本発明の電子写真用被転写フィ
ルムを示す概略断面図である。
【図3】 透明樹脂層をプラスチックフィルム基材の両
面に設けた本発明の電子写真用被転写フィルムを示す概
略断面図である。
【図4】 透明樹脂層と中間接着層をプラスチックフィ
ルム基材の両面に設けた本発明の電子写真用被転写フィ
ルムを示す概略断面図である。
【図5】 (A)は溶融トナー傾斜角の測定に用いるト
ナーディスク成形用錠剤枠を示す断面図であり、(B)
は成形されたトナーディスクを示す斜視図である。
【図6】 溶融トナー傾斜角の測定に用いるトナーディ
スクの溶融固化装置の概略断面図である。
【図7】 本発明の画像形成方法に使用するフルカラー
画像を形成し得る電子写真装置を示す概略的断面図であ
る。
【符号の説明】
10 電子写真用被転写フィルム 12 プラスチックフィルム基材 14 画像被転写用透明樹脂層(透明樹脂層) 16 帯電防止層 18 中間接着層 20 電子写真用被転写フィルム 22 電子写真用被転写フィルム 24 電子写真用被転写フィルム 30 定着ユニット 31a ヒートローラ 31b プレッシャーローラ(加圧ローラ) 32a、32b、33 剥離オイル供給装置部材 37 現像器 39 被転写フィルム供給用トレイ 40 転写器 41 感光体 43 帯電器 45 搬送ベルト 47 転写ドラム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03G 15/20 101 G03G 15/20 101

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱温度100°C以上のプラスチック
    フィルム基材の少なくとも一方の面に画像被転写用透明
    樹脂層を有する電子写真用被転写フィルムであって、 該透明樹脂層を構成する樹脂材料が、アルケニルコハク
    酸またはその無水物若しくはそのエステルから選択され
    た少なくとも1種の成分を共重合したポリエステル系樹
    脂材料であることを特徴とする電子写真用被転写フィル
    ム。
  2. 【請求項2】 前記樹脂材料が、ビスフェノール型ジオ
    ールと、芳香族カルボンまたはその無水物若しくはその
    エステルから選択された少なくとも1種とを主モノマー
    成分として含有することを特徴とする請求項1に記載の
    電子写真用被転写フィルム。
  3. 【請求項3】 前記画像被転写用透明樹脂層を構成する
    樹脂材料に離型性材料を0.05重量%及至5.0重量
    %含有させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の
    電子写真用被転写フィルム。
  4. 【請求項4】 前記離型性材料が、シラン化合物、シリ
    コーンオイルの少なくとも一種以上を含有することを特
    徴とする請求項3に記載の電子写真用被転写フィルム。
  5. 【請求項5】 前記シラン化合物が、フッ素含有シラン
    化合物、イソシアネートシラン化合物、アルコキシシラ
    ン化合物、シランカップリング剤、およびSiH基を持
    つシラン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種
    の化合物であることを特徴とする請求項4に記載の電子
    写真用被転写フィルム。
  6. 【請求項6】 前記シリコーンオイルが、分子中に反応
    性基を有するシラノール変性シリコーンオイル、カルボ
    キシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイ
    ルからなる群から選ばれた少なくとも1種の変性シリコ
    ーンオイルまたはメチルハイドロジェンシリコーンオイ
    ルを含むことを特徴とする請求項4に記載の電子写真用
    被転写フィルム。
  7. 【請求項7】 前記画像被転写用透明樹脂層を構成する
    基材樹脂材料に、樹脂微粒子が含まれることを特徴とす
    る請求項1又は3に記載の電子写真用被転写フィルム。
  8. 【請求項8】 前記画像被転写用透明樹脂層に、帯電防
    止剤が含まれることを特徴とする請求項1又は3に記載
    の電子写真用被転写フィルム。
  9. 【請求項9】 前記プラスチックフィルム基材と画像被
    転写用透明樹脂層との間に中間接着層を設けたことを特
    徴とする請求項1又は3に記載の電子写真用被転写フィ
    ルム。
  10. 【請求項10】 少なくともカラー着色剤と結着樹脂と
    を含有するトナーにより形成されたカラートナー像を、
    請求項1乃至9のいずれかに記載された電子写真用被転
    写フィルム上に形成し、熱および圧力を付加することに
    よって定着することを特徴とするカラー画像形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000250247A (ja) * 1999-03-03 2000-09-14 Fuji Xerox Co Ltd 電子写真用記録材および画像形成方法
JP2009072936A (ja) * 2007-09-19 2009-04-09 Dainippon Printing Co Ltd 中間転写記録媒体及びフィルム転写シート

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