JPH10339869A - ディスプレイ表示素子用基材フィルム - Google Patents

ディスプレイ表示素子用基材フィルム

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JPH10339869A
JPH10339869A JP15056697A JP15056697A JPH10339869A JP H10339869 A JPH10339869 A JP H10339869A JP 15056697 A JP15056697 A JP 15056697A JP 15056697 A JP15056697 A JP 15056697A JP H10339869 A JPH10339869 A JP H10339869A
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JP
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film
layer
thin film
resin layer
display element
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JP15056697A
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English (en)
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Toshinori Machida
敏則 町田
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ディスプレイ表示素子、特にフィルム液晶表示
素子に好適に用いられ、高温高湿下でも各層の密着力に
優れるためバリヤー層である薄膜層の剥離がなく、ガス
バリヤー性および水蒸気バリヤー性に優れる基材フィル
ムの提供。 【解決手段】プラスチックフィルムの片面または両面
に、シランカップリング剤を含む樹脂層を有し、該樹脂
層の上に、けい素酸化物とマグネシウム酸化物とからな
る薄膜層を有するディスプレイ表示素子用基材フィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス基板の代わ
りにプラスチックフィルムを用いたフィルム液晶などの
ディスプレイを構成する表示素子に用いられる耐湿性に
優れる基材フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロニクスの飛躍的な進歩によ
り、液晶,プラズマディスプレイ,エレクトロルミネッ
センス(EL),蛍光表示管,発光ダイオ−ド等のディ
スプレイが実用化されている。それらの殆どは基材とし
てガラスを使用しているが、大面積化を考えた場合、そ
の自重,曲げられない,割れ易い等のハンドリングの悪
さから、プラスチックフィルムの利用が期待されてい
る。代表的なディスプレイである液晶を例にとると、プ
ラスチックフィルム型液晶素子は、偏光板、プラスチッ
ク基材,アンカ−層,透明電極,配向膜,シ−ル材,液
晶,スペーサー等で構成されている。プラスチック基材
としては、ポリエチレンテレフタレ−トフィルム,ポリ
エチレン−2,6-ナフタレート,ポリカ−ボネ−トフィル
ム,ポリサルフォンフィルム,ポリエ−テルサルフォン
フィルム,ポリエ−テルエ−テルケトンフィルム,ポリ
フェノキシエ−テルフィルム,ポリアリレ−トフィルム
などのプラスチックフィルムが用いられる。
【0003】しかし、これらのプラスチックフィルムを
基材として用いた液晶表示素子は、ガラス基材を用いた
液晶表示素子に比べ、ガス透過量が非常に大きく、プラ
スチック基材を透過して侵入したガスが液晶表示素子内
に蓄積される。蓄積されたガスは、外部環境により、特
に熱衝撃が与えられると気泡となり、視認性を低下させ
る。更に、その気泡となったガスは、特に外部から圧力
が加えられると、構成材(封入された液晶)やその構成
状態に悪影響を及ぼす。液晶以外のディスプレイにおい
ても同様に、蓄積されたガスが気泡となり、構成材や構
成状態に悪影響を与える。
【0004】ガスが液晶表示素子内に蓄積することを避
けるためには、プラスチック基材上にガス遮断層を設け
ることと、ガス遮断層を含む各層の密着力が高いことが
必要である。また、その密着力が温湿度の影響を受けに
くいことも必要である。具体的には、ガスバリヤー性の
良い有機膜として知られているポリ塩化ビニリデン(P
VDC)をコ−ティングしたり、ポリビニ−ルアルコ−
ルフィルムを貼り合わせたり、Indium Tin Oxide(IT
O)のような無機膜を蒸着その他の手法により片面ある
いは両面に設けることが試みられている。
【0005】しかし、ポリ塩化ビニリデンやポリビニル
アルコ−ルのような有機膜は、充分なガスバリヤー性を
有していない。また、温度および湿度依存性が高いた
め、高温下または高湿度下ではガス遮断効果に対し信頼
性が低いだけでなく、水蒸気バリヤー性能も不十分であ
るため水蒸気等が基材内部に拡散し、基材が寸法変化す
ることから、ディスプレイ表示素子の構造状態に悪影響
を与える。更に、これらのバリヤー性を向上させるため
に有機バリヤー膜の厚みを増すと、有機膜の厚みに比例
してガスバリヤ−性が向上するが、同時に透明性を損な
う。一方、ITOでは原料そのものが高価であるばかり
でなく、透明性を確保するための工程が長く、実用性に
乏しい。
【0006】そこで、特開昭59−204545号公報
に記載されているように、高分子フィルムの片面または
両面にSiO,SiO2 ,TiO2 ,ZrO2 ,Al2
3,Ta2 5 ,Nb2 3 の群から選ばれた少なく
とも1種以上の酸化物層を設け、更に酸化物層を設けた
該高分子フィルムの少なくとも片面上に酸化インジウム
を主成分とする被覆を形成した積層導電フィルムが発明
された。しかし、この積層導電フィルムは、バリヤー層
が無機バリヤー層のためバリヤー性能の温度、湿度依存
性は少ないが、フィルム液晶の基材フィルムとして用い
るにはガスバリヤー性能が不十分であり、さらにバリヤ
ー層が酸化物の種類によっては着色してしまい、現実に
はフィルム液晶の基材に用いることはできなかった。
【0007】さらに、特開平8−114791号公報に
記載されるように、プラスチックフィルムにけい素酸化
物と金属フッ化物及びまたはマグネシウム酸化物類とか
らなる薄膜層を形成してなる基材フィルムが発明され
た。この発明の中で、プラスチックフィルムにけい素酸
化物とマグネシウム酸化物からなる薄膜層を設けた積層
体を常温常湿で使用する場合、気泡発生の問題は発生し
ないが、高温高湿の環境に長期間されされてしまう場
合、湿度の影響から薄膜層にクラックが入ってしまうこ
とがあり、その結果、液晶素子内で気泡が発生した。薄
膜層にクラックが入る理由の詳細は不明であるが、薄膜
層中に水分子が入り込むと、薄膜層のけい素酸化物のS
i−O−Si結合を切断し、Si−OH HO−Siと
なり、結果としてクラックが入ると推定できる。そのた
め、市場では、高温高湿下でもガスバリヤー性の高いデ
ィスプレイ表示素子用基材フィルムの出現が望まれてい
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ディ
スプレイ表示素子、特にフィルム液晶表示素子に好適に
用いられ、高温高湿下でも各層の密着力に優れるためバ
リヤー層である薄膜層の剥離がなく、ガスバリヤー性お
よび水蒸気バリヤー性に優れる基材フィルムを提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、プラスチ
ックフィルムと、けい素酸化物とマグネシウム酸化物と
からなる薄膜層との間に、プラスチックフィルムと薄膜
層の両方に強く接着する樹脂層を設けることにより、高
温高湿下でもガスバリヤー性および水蒸気バリヤー性に
優れるディスプレイ表示素子用基材フィルムが得られる
ことを見出し、本発明に至った。
【0010】すなわち、本発明は、プラスチックフィル
ムの片面または両面に、シランカップリング剤を含む樹
脂層を有し、該樹脂層の上に、けい素酸化物とマグネシ
ウム酸化物とからなる薄膜層を有するディスプレイ表示
素子用基材フィルムに関する。また、本発明は、樹脂層
が、エポキシアクリレートまたはウレタンアクリレート
を含む硬化物からなる上記ディスプレイ表示素子用基材
フィルムに関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、プラスチックフ
ィルムとしては、ポリエ−テルサルフォンフィルム,ポ
リアリレートフィルム,ポリカ−ボネ−トフィルム,ノ
ルボルネン系フィルム,耐熱変性アクリル系フィルム,
ポリエチレンテレフタレ−トフィルムが好適に用いられ
る。また、ポリエチレン−2,6-ナフタレ−トフィルム,
ポリサルフォンフィルム,ポリエ−テルエ−テルケトン
フィルム,ポリフェノキシエ−テルフィルム等も使用で
きる。プラスチックフィルムは、けい素酸化物とマグネ
シウム酸化物とからなる薄膜層を形成することにより、
温湿度耐性を有するガス及び水蒸気バリヤ−性が付加さ
れるため、薄膜層が形成できるフィルムであれば特に制
限はない。これらのプラスチックフィルムは一軸延伸フ
ィルム等のように熱固定されたフィルムでも良い。
【0012】また、プラスチックフィルムの表面には、
何も付与されていない方が望ましいが、予め界面活性剤
や高分子電解質系等の有機系や導電性金属酸化物系等の
無機系の導電剤が塗工されていてもよく、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリビニルアルコール等の有機バリヤ−層が付
与されていてもよい。プラスチックフィルムの厚さは特
に制限されないが、50〜500μm が適当である。特
に液晶表示素子の基材として使用する場合には、50〜
300μm が適当である。プラスチックフィルムの厚さ
が50μm 未満の場合は、フィルムのコシがなくなり簡
単に折れ曲がってしまうため、ディスプレイ表示素子用
基材として不適当である。一方、500μm を越える場
合は、ロール状にできず、樹脂層や薄膜層を連続的に塗
工、加工するのに不適当である。
【0013】樹脂層は、プラスチックフィルムと薄膜層
の両方に強く接着するように、シランカップリング剤を
含む。シランカプリング剤としては、エポキシシラン、
アミノシランが好適に用いられる。シランカプリング剤
は、樹脂層中に0.1〜5.0重量%、特に0.5〜
2.0重量%の範囲で含まれることが望ましい。樹脂層
は、エポキシアクリレートまたはウレタンアクリレート
と、シランカップリング剤と、必要に応じて他のモノマ
ーとを含み、耐湿性を付与するために、紫外線や電子線
等の活性エネルギー線により硬化されてなることが望ま
しい。
【0014】樹脂層は、薄膜層の支持体であるため、耐
湿性が悪いと薄膜層が剥離、切断されてしまうことが多
い。特に望ましい樹脂層は、エポキシアクリレートおよ
びシランカップリング剤を含み、紫外線により硬化され
た硬化物からなる。他のモノマーとしては、ジエチレン
アクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、
イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ジエ
チレングリコールアクリレート、ジエチルアミノエチル
アクリレート、β−エトキシエチルアクリレート等が用
いられる。
【0015】樹脂層を紫外線により硬化する場合には、
樹脂層に、320nm以上の波長の紫外線によって励起
される光増感剤を含有させる。樹脂層は、エポキシアク
リレートまたはウレタンアクリレートと、シランカップ
リング剤とを含む塗工液を、グラビアコート法、リバー
スコート法、キスコート法等の方法で塗工することによ
り形成される。樹脂層の膜厚は0.1〜10μmが望ま
しく、特に0.5〜5μmが望ましい。樹脂層の膜厚が
0.1μm未満の場合は、充分な耐湿性が得られず、1
0μmを越える場合は、折り曲げ等により樹脂層にクラ
ックが発生することがある。
【0016】薄膜層は、ガスバリヤ−性,水蒸気バリヤ
−性を付与を目的として、けい素酸化物とマグネシウム
酸化物とから構成される。薄膜層を構成するけい素酸化
物は、SiOx (X=1.5以上,2未満)である。S
iOx のXが1.5未満であると完全に褐色を呈してし
まうので、液晶表示素子の基材には使えない。薄膜層を
構成するけい素酸化物:マグネシウム酸化物の薄膜層の
組成比は、それぞれ98〜80モル%:2〜20モル%
の範囲が望ましく、特に95〜85モル%:5〜15モ
ル%の範囲が望ましい。
【0017】薄膜層の原料は、金属酸化物,金属,有機
金属化合物等の単独または混合物の何れでも構わない
が、けい素酸化物とマグネシウム酸化物類の混合物、特
にけい素酸化物と、二酸化けい素と酸化マグネシウムの
共酸化物の混合物を原料とすることが望ましい。原料の
組成比は、けい素酸化物:二酸化けい素と酸化マグネシ
ウムの共酸化物=98〜70モル%:2〜30モル%の
範囲が望ましく、特に95〜85モル%:5〜15モル
%の範囲が望ましい。。
【0018】原料として用いるけい素酸化物の例として
は、けい素と二酸化けい素の混合物,一酸化けい素単
体、及びけい素と二酸化けい素と一酸化けい素の混合物
が挙げられる。けい素酸化物としてけい素(Si)と二
酸化けい素(SiO2 )の混合物を用いる場合、その組
成比は基本的には等モルが好ましい。また、原料として
用いるマグネシウム酸化物類の例としては、酸化マグネ
シウム、二酸化けい素と酸化マグネシウムの共酸化物、
具体的にはフォルステライト(SiO2 ・2MgO)や
ステアタイト(2SiO2 ・MgO)が挙げられる。
【0019】薄膜層は、真空薄膜形成技術によって、樹
脂層の上に形成することができる。真空薄膜形成技術と
しては、真空蒸着,イオンプレ−ティング,スパッタリ
ングなどが挙げられる。真空蒸着の蒸発源としては、異
なる昇華点,融点の物質が常時均一に真空蒸着できる特
開平1−252768号公報や特開平2−277774
号公報に記載される蒸発原料を連続的に供給排出する方
式が望ましい。これら方式は蒸着角度を調節することが
できる。蒸着角度を調製することにより、薄膜層の組成
や密度を自由にコントロールすることができ、この組成
や密度は得られる積層体としての酸素ガス透過率に大き
く影響する。例えば、薄膜層の組成の中で、けい素酸化
物とマグネシウム酸化物の比率のうち、マグネシウム酸
化物成分を30モル%から減らせば減らす程、酸素ガス
透過率は大きくなる。
【0020】また、薄膜層の膜の密度については、特開
平7−331436号公報及び特開平7−331437
号公報に記載させるように蒸着入射角度を変更するとに
より、薄膜層の膜の密度をコントロールすることができ
る。蒸着入射角度が70度より小さくなればなるほど膜
密度は向上し(酸素ガス透過率は小さくなり)、逆に蒸
着入射角度が70度より大きくなればなるほど膜密度は
低下する(酸素ガス透過率は大きくなる)。ここで、膜
密度はSEM写真で観察するか、定量化する場合はAF
M等が最適である。
【0021】薄膜層の膜厚は、所望の酸素ガス透過率に
よって選定されるが、10〜500nm、特に20〜2
00nmが望ましい。薄膜層の膜厚が10nm未満の場
合は、充分な酸素ガスバリヤー性が得られず、500n
mを越える場合は、薄膜層が着色するためディスプレイ
の視認性が低下したり、鋭角な折り曲げにより薄膜層に
クラックが発生することがある。また、積層される薄膜
層は、最終的に得られる酸素ガス透過率が得られていれ
ば、多重積層でもよい。
【0022】プラスチックフィルムの片面または両面
に、樹脂層と薄膜層とを有する本発明の基材フィルム
は、110℃で3時間、飽和水蒸気中に暴露した後の酸
素ガス透過率が、0.1〜5.0ml/m2 24hr 25℃100%
RHの範囲の耐湿性を示す。特に、液晶表示素子用基材フ
ィルムとして用いる場合は、0.1〜2.0ml/m2 24h
r25℃100%RHの範囲であることが望ましい。酸素ガス透
過率が5.0ml/m2 24hr 25℃100%RHより大きい基材フ
ィルムを用いて作成された液晶表示素子は、高温高湿環
境に長時間さらされると液晶素子内に気泡が発生し、液
晶表示の視認性が著しく劣化する。また、酸素ガス透過
率が0.1ml/m2 24hr 25℃100%RHより小さい基材フィ
ルムは、薄膜層の膜厚が厚いいため、無色透明性が損な
われ着色しており、液晶表示の視認性が著しく低い。
【0023】本発明の基材フィルムは、透明電極層,配
向膜層,液晶,スペーサー,シール剤,粘着剤および偏
光板と組み合わせて、液晶表示素子を作成することがで
きる。透明電極層,配向膜層,液晶,スペーサー,シー
ル剤,粘着剤および偏光板としては、以下に示す従来公
知のものを用いることができる。透明電極層としては、
Indium Tin Oxide(ITO),インジウム酸化物,錫酸
化物等の薄膜層が挙げられるが、透明性が維持でき、満
足できる導電性が得られるならば、アルミニウム,ニッ
ケル,銀等の金属の薄膜層でも良い。透明電極層の形成
方法としては、薄膜層で挙げた方法が適用できるが、中
でもスパッタリングが最も適当である。透明電極層は、
フィルム全面に形成してから、目的のパターンにするた
めに、酸等を用いてエッチングする。透明電極の表面に
は、窒化ケイ素等の膜を保護層として設けてもよい。
【0024】配向膜層としては、微細な平行傷をつけた
ポリイミドのコーティング膜、分子配向しやすい蒸着し
た有機材料、コーティングによる単分子膜等が挙げられ
る。液晶としては、N−(p−メトキシベンジルインデ
ン)p’−ブチルアニリン、p’−n−ペンチル−p−
シアノビフェニル等が挙げられる。スペーサーとして
は、アクリル樹脂やポリスチレン等の有機物の球状の粒
や、二酸化珪素や酸化チタン等の無機物の球状の粒が挙
げられる。シール剤としては、エポキシ樹脂とフェノー
ル硬化剤系の接着剤等が挙げられる。
【0025】粘着剤としては、透明性が良好なアクリル
樹脂系の粘着剤が使用されることが多い。偏光板として
は、偏光子を三酢酸セルロース(TAC)などの保護層
または保護フィルムで両側から挟み込んだ積層体が挙げ
られ、偏光子としてはポリビニルアルコールをベースと
したヨウ素系偏光フィルム、二色染料系偏光フィルム等
が挙げられる。偏光板の三酢酸セルロースフィルムやポ
リビニルアルコールフィルムには、本発明の薄膜層を形
成してもよい。液晶表示素子には、薄膜層/透明導電層
間に易接着層が積層されていても構わない。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下
の実施例に限定されるものではない。なお、実施例にお
ける試験方法は以下の通りである。 高温高湿耐性:基材フィルムを110℃100%RH3
時間の温湿度条件で暴露する前後に、ASTM D 3
985に準拠し、米国モダンコントロールズ社のOXT
RAN−TWINを用いて、基材フィルムの酸素ガス透
過率を測定した。この値が小さいほど、酸素バリヤー性
は優れている。 液晶表示素子の耐気泡性:液晶表示素子を40℃、90
%RHで2000時間の温湿度条件に暴露したのち、液
晶内の気泡の発生を目視にて評価した。
【0027】〔実施例1〕分子量1040、融点55℃
のエポキシアクリレート(昭和高分子株式会社製「VR
−90」)24.8重量%、ジエチレンアクリレート4
9.6重量%、酢酸エチル24.8重量%、ベンゼンエ
チルエーテル0.5重量%およびシランカップリング剤
(信越化学株式会社製「KBM−503」)0.3重量
%を50℃で攪拌、溶解し均一な溶液を調製した。厚さ
100μm のポリアリレート(PAr)フィルムの片面
に、得られた溶液をグラビア法により塗布し、80℃で
10分間加熱した後に、紫外線を照射し、2μm の樹脂
層を形成した。次に、樹脂層の上に、特開平1−252
786号公報に記載された蒸発原料を連続的に供給排出
する方式の連続巻き取り式抵抗加熱方式の真空蒸着機を
使い、特開平7−331437号公報に記載される蒸着
入射角度を変更する蒸着方法を用いて50度の蒸着入射
角度で、けい素と二酸化けい素と酸化マグネシウムの混
合物(混合比45モル%:45モル%:10モル%)を
原料として加熱真空蒸着して膜厚が約100nmの薄膜
層を形成し、基材フィルムを得た。
【0028】〔実施例2〕エポキシアクリレート15重
量%、トリメチロールプロパンアクリレート18重量
%、4,4´−ジエチルアミノベンゾフェノン0.8重
量%、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン酸1.6重量%、
酢酸エチル51.4重量%、ブチルセロソルブ12.9
重量%およびシランカップリング剤(信越化学株式会社
製「KBE−903」)0.3重量%を50℃で攪拌、
溶解し均一な溶液を得た。厚さ200μm のポリエーテ
ルサルフォン(PES)フィルムの両面に、得られた溶
液をグラビア法により塗布し、120℃で2分間加熱し
た後に、紫外線を照射し、1μm の樹脂層を形成した。
次に、一方の樹脂層の上に、実施例1で用いた真空蒸着
機(蒸着入射角度は60度)を使い、けい素と二酸化け
い素とステアタイトの混合物(混合比47.5モル%:
47.5モル%:5モル%)を原料として加熱真空蒸着
して膜厚が約50nmの薄膜層を形成し、基材フィルム
を得た。
【0029】〔実施例3〕アマニ油脂肪酸44.3重量
%、トリメチロールプロパン35.9重量%および無水
フタル酸19.8重量%を通常のアルキッド樹脂合成法
に従い反応させ、水酸基当量250のベース樹脂を得
た。次に、40℃に加熱し、よく攪拌した2−ヒドロキ
シエチルアクリレート42.7重量%に、2,4−トリ
レンジイソシアネート57.3重量%を徐々に加え、残
留NCOが12.5%のアクリル化イソシアネートを得
た。ベース樹脂とアクリル化イソシアネートを60℃で
NCOがなくなるまで反応させ、ウレタンアクリレート
を得た。得られたウレタンアクリレート35.4重量%
にシランカップリング剤(信越化学株式会社製「KBM
−503」)0.3重量%を加え、更に酢酸エチル5
1.4重量%、ブチルセロソルブ12.9重量%の混合
溶媒に溶解させ、均一な溶液を得た。厚さ100μm の
ノルボルネンフィルムの片面に、得られた溶液をグラビ
ア法で塗工し、120℃で2分間加熱した後に、紫外線
を照射し、1μm の樹脂層を得た。次に、樹脂層の上
に、実施例1で用いた真空蒸着機(蒸着入射角度は40
度)を使い、けい素と二酸化けい素とステアタイトの混
合物(混合比42.5モル%:42.5モル%:15モ
ル%)を原料として加熱真空蒸着して膜厚が約150n
mの薄膜層を形成し、基材フィルムを得た。
【0030】〔比較例1〕樹脂層を形成しなかった以外
は、実施例1と同様にして基材フィルムを得た。 〔比較例2〕けい素と二酸化けい素の混合物(混合比5
0モル%:50モル%)を原料として加熱真空蒸着(蒸
着入射角度は90度)して膜厚が約100nmの薄膜層
を形成した以外は、実施例2と同様にして基材フィルム
を得た。
【0031】実施例および比較例で得られた基材フィル
ムについて、高温高湿耐性を評価した。結果を表1に示
す。また、得られた基材フィルムを用いて、下記の方法
で液晶表示素子を作成し、耐気泡性を評価した。結果を
表1に示す。基材フィルムの薄膜層を設けた面に、アン
カ−層と透明電極膜を形成し、パタ−ン処理を行った。
その上に、ジメチルホルムアミド(DMF)にポリイミ
ド樹脂を溶かした溶液をゴム板を用いて印刷し、乾燥
後、低温で焼成した後にラビング処理を行い、配向膜と
した。次に、蒸着フィルムの外周部に、熱硬化型のエポ
キシ樹脂にフィラーとスペーサーが混合しているシール
材を、枠状にスクリーン印刷した。また、パターン処理
した透明電極膜の上に、スペーサーをスプレーを用いて
散布した。ここまで作成したものを2枚用意し、透明電
極膜が向き合うように貼り合わせ、紫外線を照射して外
周部のシール材を一部を残して硬化させた後、液晶を注
入し残りのシール材を硬化させ最終的に封止した。最後
に、基材フィルムの薄膜層の上に、偏光板を粘着剤を用
いて貼り合わせ、液晶表示素子を作成した。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明の基材フィルムを用いることによ
り、高温高湿の環境に長時間さらされても、液晶表示素
子内へのガスの侵入がなく、外力の印加あるいは熱衝撃
を印加したときに気泡が発生しない液晶表示素子が得ら
れるようになった。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチックフィルムの片面または両面
    に、シランカップリング剤を含む樹脂層を有し、該樹脂
    層の上に、けい素酸化物とマグネシウム酸化物とからな
    る薄膜層を有するディスプレイ表示素子用基材フィル
    ム。
  2. 【請求項2】樹脂層が、エポキシアクリレートまたはウ
    レタンアクリレートを含む硬化物からなる請求項1記載
    のディスプレイ表示素子用基材フィルム。
  3. 【請求項3】プラスチックフィルムが、ポリエーテルサ
    ルフォンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリカー
    ボネートフィルム、ノルボルネン系フィルム、アクリル
    系フィルム、またはポリエチレンテレフタレートフィル
    ムである請求項1または2記載のディスプレイ表示素子
    用基材フィルム。
  4. 【請求項4】樹脂層の膜厚が0.1〜10μmである請
    求項1ないし3いずれか1項に記載のディスプレイ表示
    素子用基材フィルム。
  5. 【請求項5】薄膜層の膜厚が10〜500nmである請
    求項1ないし4いずれか1項に記載のディスプレイ表示
    素子用基材フィルム。
  6. 【請求項6】プラスチックフィルムの厚さが50〜50
    0μmである請求項1ないし5いずれか1項に記載のデ
    ィスプレイ表示素子用基材フィルム。
  7. 【請求項7】110℃で3時間、飽和水蒸気中に暴露し
    た後の酸素ガス透過率が、0.1〜5.0ml/m2 24hr 2
    5 ℃100%RHの範囲である請求項1ないし6いずれか1項
    に記載のディスプレイ表示素子用基材フィルム。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003140123A (ja) * 2001-11-02 2003-05-14 Nippon Shokubai Co Ltd 液晶表示装置用基板
KR100666079B1 (ko) 2004-07-29 2007-01-09 삼성에스디아이 주식회사 디스플레이 장치 및 디스플레이 장치의 제조 방법
KR100736590B1 (ko) 2005-01-10 2007-07-09 엘지전자 주식회사 플라즈마 디스플레이 패널
JP2009173755A (ja) * 2008-01-23 2009-08-06 Fujikura Kasei Co Ltd プラスチック基材用塗料組成物、およびこれより形成された複合塗膜

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