JPH10338722A - スチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

スチレン系重合体の製造方法

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JPH10338722A
JPH10338722A JP15258497A JP15258497A JPH10338722A JP H10338722 A JPH10338722 A JP H10338722A JP 15258497 A JP15258497 A JP 15258497A JP 15258497 A JP15258497 A JP 15258497A JP H10338722 A JPH10338722 A JP H10338722A
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styrene
polymer
weight
monomer
rubber
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JP15258497A
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English (en)
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Hideki Watabe
秀樹 渡部
Takeshi Yamada
毅 山田
Hideaki Sakamoto
英章 坂本
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Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝撃強度、伸び特性などのバランスが良好
で、透明でフィッシュアイの少ないスチレン系重合体を
提供する。 【解決手段】 完全混合槽型反応器群(A)とプラグフ
ロー型反応器群(B)からなる連続反応装置にスチレン
系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体および
ゴム状弾性体を連続的に供給し、反応器群(A)の出口
での重合反応液中のスチレン系単量体及び(メタ)アク
リル酸エステル系単量体からなる重合体転化分とゴム状
弾性体の合計量が、原料として供給したスチレン系単量
体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびゴム状
弾性体の合計量に対して40重量%以上70重量%以
下、反応器群(B)の出口で重合体中のゴム状弾性体の
割合が1〜15重量%であることを特徴とするスチレン
系重合体の連続的製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衝撃強度、引張強
度、伸び特性及び流動性のバランスの良好なスチレン系
重合体で、シート状に成形したときに、透明で所謂フィ
ッシュアイが少ない外観の優れたシート状成形品が得ら
れるスチレン系重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリブタジエン又はスチレン−ブ
タジエンのゴム状重合体の存在下にスチレン及びメタク
リル酸メチルを塊状−懸濁2段重合することにより透明
で、物性バランスの良好なスチレン系重合体を得る製法
が知られている(特公昭46−32748号、特公昭4
6−40688号公報)。しかし、これらの方法は透明
性と物性バランスの点で改良の効果が認められるもの
の、押出成形物、特にシート成形物の外観特性の不良を
引き起こす所謂フィッシュアイの生成が多く、この為に
スチレン系重合体の用途が著しく制限されるとともに、
樹脂成形物の商品価値も損なわれてしまうといった欠点
があった。また、回分重合方法であるために生産性、操
作性及び品質安定性の点で工業的に有利な方法とはいえ
ないものであった。最近、耐衝撃性、透明性を改良した
スチレン系重合体の連続的製造方法もいくつか知られて
いる。しかし、衝撃強度、引張強度、伸び特性及び流動
性のバランスの良好なスチレン系重合体であって、シー
ト、フィルムに成形したときに透明でフィッシュアイの
少ない外観の優れたものはまだ充分なものが得られてい
なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、衝撃強度、
引張強度、伸び特性及び流動性のバランスの良好なゴム
変性スチレン系重合体であって、シート、フィルムに成
形したときに透明でフィッシュアイの少ない外観の優れ
たものを形成するゴム変性スチレン系重合体の連続的な
製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、係る目的
を果たすべく鋭意検討を重ねた結果、ゴム状弾性体の存
在下で特定の単量体混合物を重合し、その際に、単量体
混合物の重合体転化分とゴム状弾性体の合計量が、原料
として供給したゴム状弾性体、スチレン系単量体及び
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計量100重
量%に対して40重量%以上70重量%以下に達するま
で完全混合槽型反応装置で連続的に重合を行い、次いで
プラグフロー型反応装置で連続的に重合を行うことによ
り得られたゴム変性スチレン系重合体が、衝撃強度、引
張強度、伸び特性及び流動性のバランスが良好で、しか
もこれを押出成形によりシ−ト、フィルムに成形した場
合に透明でフィッシュアイの少ない外観の優れた成形品
が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、完全混合槽型反応器の
単独又は2個以上が直列に連結した反応器群(A)と、
さらに反応器群(A)の出口に連結されたプラグフロー
型反応器の単独又は2個以上が直列に連結した反応器群
(B)からなる連続反応装置に、ゴム状弾性体をスチレ
ン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を
主成分とする混合物に溶解した原料溶液を連続的に供給
し、反応器群(A)の出口における重合反応液中のスチ
レン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体
からなる重合体転化分とゴム状弾性体の合計量が、原料
として供給したゴム状弾性体とスチレン系単量体及び
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計量100重
量%に対して40重量%以上70重量%以下であり、且
つ、該連続反応装置の出口における重合体(即ち単量体
の重合体転化分とゴム状弾性体からなる重合体)中に存
在するゴム状弾性体の割合を1〜15重量%とした重合
反応液を、該連続反応装置から原料溶液の供給量に相当
する量だけ連続的に取り出すことを特徴としたスチレン
系重合体の製造方法であり、衝撃強度、引張強度、伸び
特性及び流動性のバランスが良好で、シ−ト、フィルム
に押出成形した場合に透明でフィッシュアイの少ない外
観の優れた成形品が得られるスチレン系重合体の連続的
製造方法を提供するものである。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
使用される原料溶液は、スチレン系単量体と(メタ)ア
クリル酸エステル系単量体混合物にゴム状弾性体を溶解
して調製される。又、必要に応じて、エチルベンゼン、
トルエン、キシレン、ベンゼン等を溶剤として使用する
こともできる。
【0007】本発明で使用されるゴム状弾性体として
は、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタ
ジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体等をあげることができる。これらのゴム状弾
性体は、単独でも2種類以上の複数混合して用いてもよ
い。又、透明性を必要とする場合にはスチレン−ブタジ
エンランダム共重合体及び/又はスチレン−ブタジエン
ブロック共重合体、特に好ましくはスチレン−ブタジエ
ンランダム共重合体が用いられる。
【0008】本発明で製造されるスチレン系重合体中の
ゴム状弾性体の割合は1〜15重量%の範囲であり、好
ましくは1〜10重量%、特に好ましくは5〜10重量
%である。ゴム状弾性体が1重量%未満では優れた衝撃
強度を得ることができず、15重量%を越えると流動
性、引張強度が低下して好ましくない。なお、15重量
%を越えると透明性も低下する。
【0009】本発明で使用されるスチレン系単量体と
は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−t−ブチルスチレン等をあげることができる
が、好ましくはスチレンである。これらのスチレン系単
量体は、単独でも2種類以上の複数を混合して用いても
よい。
【0010】本発明で使用される(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体とは、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−メチルヘキシ
ル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸オク
チル等があげられるが、好ましくはメタクリル酸メチ
ル、又はアクリル酸−n−ブチル、特に好ましくはメタ
クリル酸メチルである。これらの(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体は単独でも2種類以上の複数を混合して
用いてもよい。
【0011】本発明の重合に使用される原料溶液は、ス
チレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量
体の混合物にゴム状弾性体を溶解して調製する。この
時、必要に応じてエチルベンゼン、トルエン、キシレ
ン、ベンゼン等を溶剤として単量体混合物に混合しても
よく、重合途中で反応系に添加してもよい。
【0012】本発明の連続反応装置に供給される各単量
体の比率は特に限定されるものでないが、通常、スチレ
ン系単量体は、連続反応装置に供給される各単量体の総
量100重量部に対して30〜80重量部の範囲で用い
られ、(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、各単量
体の総量100重量部に対して20〜70重量部の範囲
で用いられる。
【0013】本発明で製造されるスチレン系重合体のミ
クロ構造において、スチレン系単量体と(メタ)アクリ
ル酸エステル系単量体の共重合体から形成された連続相
の単量体残基成分であるスチレン系単量体残基と(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体残基の重量比は、3
0:70ないし80:20の範囲であり、好ましくは3
5:65ないし75:25の範囲、特に好ましくは4
2:58ないし59:41の範囲である。重量比が3
0:70ないし80:20の範囲以外では、スチレン系
重合体の透明性が低下し好ましくない。
【0014】本発明において、スチレン系単量体と(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体を共重合して形成され
た連続相の屈折率は特に制約されるものではないが、ゴ
ム状弾性体の種類及びスチレン系単量体と(メタ)アク
リル酸エステル系単量体の配合割合を調整することによ
って、分散相を形成するゴム状弾性体の屈折率との差を
0.01以内に制御することが透明性の観点から好まし
い。さらに好ましくは0.005以内がよい。
【0015】本発明の重合方法は、完全混合槽型反応器
の単独又は2個以上が直列に連結した反応器群(A)
と、さらに反応器群(A)の出口に連結されたプラグフ
ロー型反応器の単独又は2個以上が直列に連結した反応
器群(B)からなる連続反応装置に、スチレン系単量
体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を主成分とす
る混合物にゴム状弾性体を溶解した原料溶液を反応器群
(A)から連続的に供給して重合を行い、重合反応液を
原料溶液の供給量に相当する量だけ該連続反応装置の出
口から連続的に取り出すことにより行われる。まず、ス
チレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量
体の混合物にゴム状弾性体を溶解して原料溶液とする
が、この時、必要に応じてエチルベンゼン、トルエン、
キシレン、ベンゼン等を溶剤として単量体混合物に混合
してもよく、重合途中で反応系に添加してもよい。又、
スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステ
ル系単量体は重合途中で別途、分割添加してもよい。
【0016】重合反応は熱重合でもよく、開始剤による
ラジカル重合で行ってもよい。重合開始剤としてはアゾ
化合物や有機過酸化物などラジカル重合開始剤であれば
特に限定はされないが、例えば、アゾビスイソブチロニ
トリル、アゾビスシクロヘキシルカルボニトリル等のア
ゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等
の有機過酸化物などがあげられる。これら重合開始剤は
単独でも2種類以上の複数混合して用いてもよい。重合
開始剤の添加する時期や重合段階は、要は所定の重合反
応が進行すればよく、特に限定されるものでない。
【0017】更に、これら重合を行う際には、必要に応
じて連鎖移動剤、例えばメルカプタン類、α−メチルス
チレンダイマー、テルピノーレン等を添加することがで
きる。
【0018】反応器群(A)を構成する完全混合槽型反
応器は、均一な混合状態と適切なせん断力を重合反応系
に与える撹拌装置を有し、完全混合パターンに近い流動
特性を有する反応器であればよく、特にその形式を限定
するものでない。撹拌翼としては、例えばカイ形、プロ
ペラ形、タービン形、格子形、ファウドラー形、ヘリカ
ルリボン形、マックスブレンド(住友重機械工業株式会
社、商標名)形等公知の形状のものでよい。これらを1
種ないし2種以上組み合わせて使用してもよい。また、
撹拌翼の回転数は反応器の容積、重合液の粘度、原料溶
液の供給速度などによって変化するが、通常は5rpm
〜600rpmである。この操作により、粒子径の揃っ
たゴム状弾性体が微粒子として均一分散した該スチレン
系重合体のミクロ構造を得ることができ、衝撃強度、引
張強度、伸び特性及び流動性のバランスが良好で、透明
でフィッシュアイの少ない外観の優れたシ−ト、フィル
ムを形成するスチレン系重合体を連続的に製造すること
が可能となる。
【0019】反応器群(A)の重合反応段階で、重合反
応液中の重合体量が、原料として供給したゴム状弾性
体、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル
系単量体の合計量100重量%に対して40重量%以上
70重量%以下に達するまで重合を行う必要がある。好
ましくは42〜66重量%の範囲が好ましく、特に好ま
しくは45重量%〜66重量%である。重合体量が40
重量%未満ではフィッシュアイの生成が多く、満足する
外観特性を有するシート状品や射出成形品を得ることが
できない。又、重合体量が70重量%を越えると、重合
反応混合物の粘度が急激に増大して反応器群(A)にお
ける完全混合または反応器群(B)における重合反応の
制御が困難となる。又、高粘度の反応混合物を完全混合
しようとすると、攪拌装置によるせん断力が著しく増加
し、このために、粒子径の揃ったゴム状弾性体が微粒子
として均一分散した該スチレン系重合体のミクロ構造が
破壊されて、目的とする諸物性を有するスチレン系重合
体を得ることができない。重合温度は80°C〜160
°C、好ましくは100°C〜150°Cがよい。重合
温度が80°Cより低いと重合速度が遅くなり、160
°Cより高いと重合の制御が難かしくなって、いずれも
実用的でない。
【0020】反応器群(A)を通過した重合反応液を、
次に、連続して後段のプラグフロー型反応器の単独又は
2個以上が直列に連結した反応器群(B)に導き、重合
温度80°C〜200°C、好ましくは100°C〜1
90°C、さらに好ましくは120°C〜180°Cで
重合を完結させる。このとき、重合温度が80°Cより
低いと重合速度が遅くなり、200°Cより高いと得ら
れる重合体が変色したり、衝撃強度が低くなり、いずれ
も実用的でない。プラグフロー型の反応器は撹拌装置等
によるせん断力が極めて小さいので、該反応器群(A)
で得られた該スチレン系重合体のミクロ構造を破壊する
ことなく、該連続重合において高重合率を達成すること
ができ、未反応単量体の除去回収操作も大幅に軽減でき
るからエネルギー的にも、また該スチレン系重合体の製
造における生産性の面においても有利である。反応器群
(B)の出口での重合反応液中の重合体量は、原料とし
て供給したゴム状弾性体、スチレン系単量体及び(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体の合計量100重量%
に対して60重量%以上、好ましくは70重量%以上、
さらに好ましくは75重量%以上とすることが望まし
い。60重量%未満では、未反応単量体の除去回収負荷
が高く、エネルギー的に不利であるばかりでなく、得ら
れる重合体の透明性が損なわれる。プラグフロー型反応
器は押出し流れに近い流動パターンを与えるものであれ
ばよく、特にその形式を限定するものではないが、この
ような反応器としてはスタティックミキサーを内蔵した
管型反応器、横型二軸式反応器(例えば三菱重工業株式
会社製、HVR)あるいは実開平3−1941号公報の
ような攪拌式塔型反応器が使用できる。これらの反応器
を単独又は組み合わせて使用してもよい。完全混合に近
い流動パターンを与える反応器を使用すると、重合率が
高くなるにつれて、撹拌動力が異常に大きくなり経済的
でない。又、重合反応液の粘度が急激に上昇する重合反
応後期では反応の制御が困難となり、結果として、目的
とする諸物性を有するスチレン系重合体を得ることがで
きない。
【0021】以上の方法によって得られた重合反応液
は、減圧揮発分除去装置(フラッシュドラム等)や揮発
分の除去を目的とした押出機などを利用することにより
未反応単量体や溶剤等の揮発分を除去した後、ペレット
化、又は粉末化してスチレン系重合体を得ることができ
る。得られたスチレン系重合体は押出成形、射出成形、
圧縮成形等の方法により成形品に加工されるが、とくに
押出成形によりシート状に成形した場合に透明でフィッ
シュアイの少ない外観の優れたシート状成形品が得られ
る。
【0022】また、得られたスチレン系重合体には、必
要に応じて酸化防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防
止剤、鉱油、難燃剤等の添加剤を配合して用いることも
できる。これら添加剤はスチレン系重合体の重合開始
前、重合反応途中、重合体の後処理、あるいは重合体の
造粒・成形加工等の任意の段階で配合してもよい。添加
剤を配合する方法については特に制約はないが、例え
ば、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー等の公知
のブレンダーであらかじめスチレン系重合体と添加剤を
混合しておき、押出機にてペレット化した後に成形加工
することによってもよい。更にフィルムやシートの成形
品では表面特性を良好にするために帯電防止剤、シリコ
ン等の滑剤を塗布してもよい。
【0023】本発明のスチレン系重合体からシートを作
成するには、従来から多用されている一般的な方法、例
えば押出機で溶融したのち、Tダイ又はインフレーショ
ン押出装置から押出す等の方法が用いられる。シート厚
みは特に限定されるものでないが、0.05〜4mmの
範囲のものが好適に用いられる。又、上記方法で成形し
たシートを、一般的に知られたテンター方式、インフレ
ーション方式等を用いて延伸倍率2〜5倍の二軸延伸ス
チレン系シートとしても好適に用いることができる。
【0024】本発明のスチレン系重合体から得られるシ
ート状の成形品は、透明でフィッシュアイの少ない外観
の優れたシート状成形品である点が特徴であるが、勿論
他の成形品にも使用できその形状については特に制限が
ない。例えば事務機器用収納トレー、用紙収納トレー、
コピー用紙受け、衣装ケース、オーディオ製品収納ケー
ス、玩具、コンピュータ用テープ収納機器、食品収納ケ
ース、電気冷蔵庫クリスパー、事務機器部品、オーディ
オ機器部品、化粧品収納ケース等に好適に用いられる。
又、記録媒体収納容器、例えばオーディオテープ、ビデ
オテープの収納容器、オーディオカセット、ビデオカセ
ット、オーディオディスク、ビデオディスク、フロッピ
ーディスク等の収納ケース等にも好適に用いられる。
又、薄肉製品、ビデオカセットテープ、オーディオテー
プ等のハウジング等にも用いることができる。
【0025】
【実施例】次に実施例をもって本発明を更に説明する
が、本発明はこれらの例によって限定されるものではな
い。
【0026】(実施例1)スチレン単量体40重量部及
びメタクリル酸メチル単量体60重量部の混合物に、ゴ
ム状弾性体としてスチレン−ブタジエンランダム共重合
体(スチレン含量25%、旭化成工業株式会社製、商品
名 タフデン2000A)4.0重量部及びエチルベン
ゼン5.0重量部を溶解して原料溶液とした。重合開始
剤としてベンゾイルパーオキサイドの1重量%エチルベ
ンゼン溶液を調製した。次に、内部にダブルヘリカルリ
ボン翼を具備した内容積20Lの完全混合槽に原料溶液
を5.0L/hrの速度で、開始剤のエチルベンゼン溶
液を0.1L/hrの速度で供給し、120℃で、攪拌
速度120rpmの条件で重合した。この完全混合槽出
口で重合反応液を一部採取し、固形分濃度を測定した。
ついで、完全混合槽を通過した重合反応液を、この完全
混合槽に連結された、内部にスタティックミキサーを具
備した内容量30Lの管型反応器に連続的に導入し、こ
の反応器出口での反応液温度が150℃となるような条
件下で重合反応を行った。この出口で重合反応液を一部
採取し、固形分濃度を測定した。得られた重合反応液を
加熱ヒータを持つフラッシュドラムからなる脱揮装置に
連続的に供給し、温度220℃、圧力665Paの条件
下で未反応の単量体や溶剤などの揮発成分を分離し、ギ
ヤーポンプで抜き出しペレット化した。上記の固形分濃
度測定値から、原料として供給したスチレン、メタクリ
ル酸メチル及びスチレン−ブタジエンランダム共重合体
の合計量に対する固形分の割合を算出し(以下、「ポリ
マー固形分割合」という)、及び得られたペレット中の
各成分の組成を併せて表1に示した。このペレットを用
いてMFRを測定し、結果を表2に示した。つぎに得ら
れたペレットを押出機(アイ・ケー・ジー株式会社製、
PMS−40−28V)に供給して、シリンダー温度2
00℃、Tダイ温度180℃、ロール設定温度90°C
として押出成形して厚み2mm、幅450mmのシート
を作成し、透明性、フィッシュアイ等の特性評価を行っ
た。結果を表2に示した。
【0027】(実施例2)スチレン単量体40重量部及
びメタクリル酸メチル単量体60重量部にゴム状弾性体
としてスチレン−ブタジエンランダム共重合体(スチレ
ン含量25%、旭化成工業株式会社製、商品名 タフデ
ン2000A)8.0重量部及びエチルベンゼン4.0
重量部を溶解したものを原料溶液とした以外は実施例1
と同様な操作を行い、結果を同様に表1、表2で示し
た。
【0028】(実施例3)スチレン単量体59重量部及
びメタクリル酸メチル単量体41重量部にゴム状弾性体
としてスチレン−ブタジエンランダム共重合体(スチレ
ン含量25%、旭化成工業株式会社製、商品名 タフデ
ン2000A)4.0重量部及びエチルベンゼン5.0
重量部を溶解したものを原料溶液とした。以下、実施例
1と同様な操作を行い、結果を同様に表1、表2で示し
た。
【0029】(実施例4)スチレン単量体61重量部、
メタクリル酸メチル単量体32重量部及びアクリル酸−
n−ブチル単量体7.0重量部にゴム状弾性体としてス
チレン−ブタジエンブロック共重合体(スチレン含量4
0%、旭化成工業株式会社製、商品名 アサプレン67
0A)5.0重量部とエチルベンゼン5.0重量部を溶
解したものを原料溶液とした。以下、実施例1と同様な
操作を行い、結果を同様に表1、表2で示した。
【0030】(比較例1)完全混合槽として内部にダブ
ルヘリカルリボン翼を具備した内容積12Lのものを用
い、攪拌速度80rpmとした以外は実施例1と同様の
条件で重合して得られたスチレン系重合体を、実施例1
と同様の方法で厚み2mmのシートを作成し、透明性、
フィッシュアイ等の特性評価を行った。ポリマー固形分
割合及び得られたペレット中の各成分の組成を表1に示
した。又、得られたスチレン系重合体の物性及びスチレ
ン系重合体からなるシートの評価を表2に示した。
【0031】(比較例2)完全混合槽として内部にダブ
ルヘリカルリボン翼を具備した内容積50Lのものを用
いた以外は実施例1と同様の条件で重合試験を開始し
た。しかし、完全混合槽内の重合反応温度を制御できず
それ以上の重合試験は断念した。試験終了直前に完全混
合槽出口で重合反応液を採取しポリマー固形分割合を測
定した結果、73重量%であった。
【0032】(比較例3)スチレン単量体40重量部及
びメタクリル酸メチル単量体60重量部に、ゴム状弾性
体としてスチレン−ブタジエンランダム共重合体(スチ
レン含量25%、旭化成工業株式会社製、商品名 タフ
デン2000A)0.4重量部及びエチルベンゼン5.
0重量部を溶解したものを原料溶液とした。以下、実施
例1と同様な操作を行い、結果を同様に表1、表2で示
した。
【0033】(比較例4)スチレン単量体40重量部及
びメタクリル酸メチル単量体60重量部に、ゴム状弾性
体としてスチレン−ブタジエンランダム共重合体(スチ
レン含量25%、旭化成工業株式会社製、商品名 タフ
デン2000A)18重量部及びエチルベンゼン10.
0重量部を溶解したものを原料溶液とした。以下、実施
例1と同様な操作を行い、結果を同様に表1、表2で示
した。
【0034】(比較例5)管型反応器を用いないこと以
外は、実施例1と同様の条件で重合して得られたスチレ
ン系重合体を、実施例1と同様の方法で厚み2mmのシ
ートを作成し、透明性、フィッシュアイ等の特性評価を
行った。ポリマー固形分割合及び得られたペレット中の
各成分の組成を表1に示した。又、得られたスチレン系
重合体の物性及びスチレン系重合体からなるシートの評
価を表2に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】上記の実施例及び比較例における各特性値
の測定方法は次の通りである。 (1)アイゾット衝撃強度:ASTM D256(ノッ
チ付き)に準じて幅1/4インチの試験片を用いて測定
した。 (2)引張強度:ASTM D638に準じてタイプI
の試験片を用いて測定した。 (3)伸び:ASTM D638に準じてタイプIの試
験片を用いて測定した。 (4)MFR:実施例あるいは比較例で得られたスチレ
ン系重合体のペレットを用いて、200℃、5kg荷重
の条件でJIS K−7210に準じて測定した。 (5)曇度:シ−トを用いてASTM D1003に準
じて測定した。 (6)全光線透過率:シ−トを用いてASTM D10
03に準じて測定した。 (7)フィッシュアイ:シートの観察により、A〜Eの
5段階にランク分けして次の基準で評価を行った。 A・・優良 B・・良好 C・・通常 D・・不良 E・・極めて不良
【0038】(8)重合体転化分とゴム状弾性体の合計
量(ポリマー固形分割合):重合反応液0.2gを30
mLのメチルエチルケトンに、70℃で60分間溶解さ
せた後に、300mLのメタノール中に析出させ不溶分
を濾過後、恒量となるまで真空乾燥して不溶分重量を測
定し固形分濃度として算出し、さらに次の式で求めた。 固形分濃度=不溶分重量/重合反応液重量 ポリマー固形分割合(重量%)=(固形分濃度)×
{(重合反応液重量)/(溶剤成分を除く重合反応液重
量)}×100
【0039】(9)重合体の各単量体残基の構成重量比 得られたスチレン系重合体の熱分解ガスクロマトグラフ
分析により各単量体残基を分離、定量して該重合体中の
各単量体残基の構成重量比を求めた。測定に用いた装置
と測定条件を以下に示す。 (a)試料 :約0.3mg。 (b)熱分解装置:日本分析工業株式会社製、キューリ
ーポイントパイロライザーJHP−22。 (c)熱分解温度:590℃。 (d)ガスクロマトグラフ:横河電機株式会社製、HP
−5890(II)。 (e)分離カラム:J&W株式会社製、超微性メガポア
カラムDB−5(膜厚1.5μm)。 (f)カラム温度:50℃。 (g)キャリアーガス:窒素。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、衝撃強度、引張強度、
伸び特性及び流動性のバランスの良好なゴム変性スチレ
ン系重合体で、シート状に成形したときに透明でフィッ
シュアイの少ない外観の優れたシート状成形品が得られ
るスチレン系重合体の連続的な製造方法を提供すること
ができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 完全混合槽型反応器の単独又は2個以上
    が直列に連結した反応器群(A)と、さらに反応器群
    (A)の出口に連結されたプラグフロー型反応器の単独
    又は2個以上が直列に連結した反応器群(B)とからな
    る連続反応装置に、ゴム状弾性体をスチレン系単量体及
    び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を主成分とする
    混合物に溶解した原料溶液を連続的に供給し、反応器群
    (A)の出口における重合反応液中のスチレン系単量体
    及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる重合
    体転化分とゴム状弾性体の合計量が、原料として供給し
    たゴム状弾性体とスチレン系単量体及び(メタ)アクリ
    ル酸エステル系単量体の合計量100重量%に対して4
    0重量%以上70重量%以下であり、且つ、該連続反応
    装置の出口における重合体中に存在するゴム状弾性体の
    割合を1〜15重量%とした重合反応液を、該連続反応
    装置から原料溶液の供給量に相当する量だけ連続的に取
    り出すことを特徴とするスチレン系重合体の連続的製造
    方法。
  2. 【請求項2】 ゴム状弾性体がスチレン−ブタジエンラ
    ンダム共重合体であることを特徴とする請求項1記載の
    スチレン系重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 ゴム状弾性体がスチレン−ブタジエンブ
    ロック共重合体であり、単量体混合物がスチレン、メタ
    クリル酸メチル及びアクリル酸−n−ブチルの混合物で
    あることを特徴とする請求項1に記載のスチレン系重合
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2又は請求項3に記載
    の製造方法で得られたスチレン系重合体からなることを
    特徴とするスチレン系樹脂シート状成形品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003096139A (ja) * 2001-09-26 2003-04-03 Denki Kagaku Kogyo Kk 透明なゴム変性共重合樹脂の製造方法
JP2004504282A (ja) * 2000-07-18 2004-02-12 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー α−オレフィン類の製造方法

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