JPH10338653A - 液体の脱水方法 - Google Patents

液体の脱水方法

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JPH10338653A
JPH10338653A JP9163554A JP16355497A JPH10338653A JP H10338653 A JPH10338653 A JP H10338653A JP 9163554 A JP9163554 A JP 9163554A JP 16355497 A JP16355497 A JP 16355497A JP H10338653 A JPH10338653 A JP H10338653A
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liquid
gas
water
inert gas
lithium
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JP9163554A
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Hideki Sugano
英奇 菅野
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JIYUNSEI KAGAKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 含水溶媒または含水溶質溶液である液体中の
水分を、簡便に、素早く脱水させ、超低水分の液体にす
る液体の脱水方法の提供。 【解決手段】 図1に示す液体の脱水基本プロセスにお
いて、気液接触装置内において、含水溶媒または含水溶
質溶液である液体に乾燥不活性気体を吹き込み、当該液
体と乾燥不活性気体とを接触させることにより液体中の
水分を蒸発・除去させると共に、気液接触装置から排泄
される含水不活性気体を、脱水乾燥装置に送り込み、乾
燥させた後、循環ポンプにより再び気液接触装置内に再
送し、乾燥不活性気体の吹き込みを連続させることによ
り低水分含有量の液体とすることを特徴とする液体の脱
水方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含水溶媒または含
水溶質溶液である液体と、乾燥不活性気体とを接触させ
ることにより、効率よく液体中の水分を蒸発・除去を行
い、非水性溶液あるいは超低水分含有の溶質溶液、特に
超低水分を要求されるリチウム系電池電解液等に使用さ
れる溶媒あるいは溶液の脱水方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】化学工業技術において、水分の存在を嫌
う有機化学反応、特に有機金属化学反応が重要な位置を
占めている。このような有機金属化学反応を行う上で、
反応系における水の存在は、反応の停止、収率の低下、
副反応の生起あるいは生成する目的物の品質の低下な
ど、好ましからざる影響を与える。したがって、予め反
応装置として乾燥したものを用い、かつ使用する反応
物、反応溶液、溶剤あるいは触媒などから水分を十分に
取り除くという操作が、古くから種々検討され、実施さ
れてきている。この場合、使用する反応物あるいは触媒
等が、粉体あるいは結晶形態である固体状のものである
場合には、通常乾燥という操作で行われてきており、反
応効率の更なる向上を目的とした場合あるいは更に低水
分含量にしたい場合には、時として真空乾燥または乾燥
剤の存在下での減圧乾燥というような操作が加えられて
いる。
【0003】一方、反応に使用する溶媒あるいは溶液等
の液状の物質においては、蒸留や乾燥剤添加という操作
で水分除去が行われてきており、蒸留における効率的な
水分除去や超低水分含量を狙うときは、分別蒸留、真空
蒸留または共沸蒸留手段、さらにはアルカリ金属やアル
カリ土類金属またはそれらの水素化物類の添加条件下で
の蒸留等が行われている(これらの一般的操作として
は、社団法人日本化学会編、第四版実験化学講座1基本
操作I、198〜200頁ならびに229〜239頁、
丸善株式会社発行を参照)。
【0004】ところで、超低水分含有の溶媒あるいは溶
液等の使用を必要とする代表例としては、リチウム電池
における非水電解液がある。この場合、金属リチウムを
負電極とし、そこに微量の水分を含んだ電解液を用いる
と、ガスが発生しリチウム電極表面上に酸化皮膜が形成
する。「例えば、1mlの純粋な溶剤中の1ppmの水
は、1平方cmの平滑な清浄な金属リチウム表面に1,
000オングストロームの厚さの酸化皮膜を形成し、こ
れは表面の電気化学的性質を大幅に変化することができ
る」(Raymond J. Jasinski et al., Analytical Chemi
stry,39(13),1663-1665(1967) )とされている。そし
て、「溶媒中の水分が500ppm以下の場合にはリチ
ウム電極の分極特性にほとんど影響を及ぼさないと言わ
れることもあるが、その悪い影響は短時日の間に現わ
れ、長期の寿命(現在は約5年と言われている)からみ
た場合には溶媒中の水分は30ppm程度より下げるこ
とが望ましい」(松田好晴, 電気化学, 48(12),665-671
(1980))ものであるとされる。そのため、リチウム電池
の電解液としては高度に脱水したものを使用しなければ
ならないことは公知のことである。
【0005】通常、リチウム電池で用いられるいくつか
の溶剤の市販品は、数100ppm程度の水を含有して
いるものではあるが、その純度は極めて高いものとなっ
ている。そのため、これら市販品を用いてリチウム電池
用の溶剤とするには脱水精製する必要があるが、その脱
水精製方法としては、上記の一般的な処理方法を採用す
ることが可能であり、これにより通常10ppm以下程
度の含水量とすることができる。例えば上記の松田好晴
の同文献には、プロピレンカーボネートの精製は、「モ
レキュラシーブ5Aを加えて一昼夜放置後、酸化カルシ
ウム存在下で減圧蒸留(1〜1.5mmHg,65〜7
0℃)する」ことで可能であるとされている。その他の
溶剤の脱水精製について概略すれば、例えば、テトラヒ
ドロフランにはあっては金属ナトリウムを添加して12
時間還流後、常圧蒸留する方法があり、1,2−ジメト
キシエタンにあっては水素化カルシウムを添加して貯蔵
後、リチウムアルミニウムハイドライドを加えて還流
後、蒸留する方法あるいは、金属ナトリウムを添加して
還流後、常圧蒸留する方法があり、γ−ブチロラクトン
にあっては炭酸カルシウムで乾燥した後、減圧蒸留する
ことで可能であるとされている。
【0006】なお、上記のJasinski氏の文献において
は、450ppmの水を含んだプロピレンカーボネート
の精製は、蒸留によって一次精製した後、更に水やグリ
コール類を除くため酸化カルシウムを添加して再蒸留を
行い、その後、不純物である低沸点の有機物等を、ガス
を吹き込んで蒸発させることにより除去し、精製を行っ
ている。すなわち、10ppmのプロピレンオキサイ
ド、5ppmの水、5ppmのアリルアルコール、3p
pmの不純物そして20ppmのプロピレングリコール
を含んだ再蒸留されたプロピレンカーボネート1,50
0mlに対して、乾燥窒素ガスを5日間吹き込むと、低
沸点の有機物は0.4ppm以下になり、水分は不検出
であり、プロピレングリコールの含有量には変化はなか
ったとされている。しかしながら、この乾燥窒素ガスの
吹き込み手段は5日間もの長時間に及ぶものであり、ま
た、溶媒とガスの比率にあっては、モデルとされている
方法では120mlのプロピレンカーボネートに対して
アルゴンガスを200ml/分の割合で吹き込みを行
い、その時の温度としては室温と55℃の両者で行われ
ているものである。なお、乾燥窒素ガス量として、2,
500ml/分で5日間連続して吹き込んだとしたら、
その総量は18,000L(リッター)もの多量となっ
てしまう。
【0007】他方、粉末形態あるいは結晶形態にある固
体状の電解質塩の乾燥についてはかなり困難なものであ
る。例えば、市販の過塩素酸リチウムの無水物における
水分含有量は、通常0.1〜0.2%であり、このもの
の乾燥は「170〜150℃で20時間以上減圧乾燥す
る」(松田好晴、前記文献)とされているが、他の実験
者が追試を行った結果では、真空度10-3torrで、
180〜200℃の加熱条件下での真空乾燥をしても、
1日目では0.1%、2日目では0.07%、3日目で
は0.05%と水分含有量が低下したものの、4日目以
降では0.05%となり、もはや限界となり、これ以下
の水分含有量とすることはできなかったとされている
(寺岡甲太他、特開昭58−28174)。したがっ
て、この点からみると、粉末形態あるいは結晶形態にあ
る固体状の物質を、高温、高真空かつ長時間の乾燥とい
う高水準の乾燥手段を施したとしても、そのものの水分
含有量を100ppm以下にすることはかなり困難であ
る。
【0008】そのため寺岡他は、市販の無水の過塩素酸
リチウムを水より沸点の高いプロピレンカーボネートに
溶解させた後、このプロピレンカーボネートを蒸留する
ことで水を除く方法を提案している。これは、結晶中に
完全に密封された微量の水、あるいは結晶構成分子との
結合力が比較的高い結晶水は、もはや乾燥という方法で
は完全に除去できなく、したがって溶剤で結晶を溶解解
離して微量の水を解放させることで、水を取り除くこと
を可能にするものである。
【0009】しかしながら、寺岡他の方法では、過塩素
酸リチウムのプロピレンカーボネート溶液から、10-3
torrの真空条件下で80℃の加熱によりプロピレン
カーボネートを10%抜くことで、溶質である過塩素酸
リチウムの水分含有量を0.01%(100ppm)に
するというものであるが、プロピレンカーボネートを2
0%抜いたとしても溶質の水分の含有量が0.01%と
変化がなく、したがってこの方法による水分除去の限界
がこのレベルであり、更に低水分の溶質にしたいときに
はこの方法ではほとんど不可能である。しかも、電解液
として過塩素酸リチウムの1mol/lの濃度の溶液に
する場合において、溶剤で希釈してその水分含有量を約
10ppm程度にするためには、必然的に希釈溶剤の水
分量はほとんど完全無水溶剤としての0ppmに近くな
ければならないはずである。
【0010】また10-3torrの真空条件下で、80
℃の気体浴温で加熱する蒸留によりプロピレンカーボネ
ートを留去するときは、その沸点は20℃以下である。
ちなみに、常圧下で沸点240℃のプロピレンカーボネ
ートは、10-2torrの減圧条件下では「圧力−温度
ノモグラフ」よりみればその沸点は約20℃である。す
なわち、寺岡他が行った過塩素酸リチウムのプロピレン
カーボネート溶液から蒸留によりプロピレンカーボネー
トを10%抜いて過塩素酸リチウムを脱水する実験は、
10-3torrという高真空下、沸点20℃以下という
実験室的には可能な条件ではあるが、工業的規模では超
大型の真空ポンプを備えなければならないという非現実
的で不経済な方法である。特に彼らが10-3torrと
いう高真空下に低温で蒸留しなければならなかったの
は、過塩素酸リチウムのプロピレンカーボネート溶液の
加熱下での爆発危険性を危惧したためと思われる。
【0011】このことは、次の先行文献(北爪昭治,特
開昭61−254216)に関してもいえることであ
る。この北爪の方法は、その特許請求の範囲の記載から
みて、微量の水を含有するハロゲン化金属塩、金属硝酸
塩、ハロゲン化りん酸塩、金属硫酸塩、過塩素酸塩、ト
リフロロメタンスルホネート塩、ホウハロゲン化塩、ハ
ロゲン化ヒ化金属塩より選ばれた含水金属塩を、沸点が
100℃以上である含酸素有機溶媒に溶解させ、この溶
液中の前記含酸素有機溶媒を蒸留により全て留出させる
ことにより水分を除去して無機金属塩中の水分含有率を
10ppm以下とすることを特徴とする含水無機金属塩
の脱水方法である。
【0012】その明細書に記載される幾つかの実施例で
は、例えば、六フッ化リン酸リチウムをメチルグライム
に溶かした後、60℃/10mmHgの条件下で蒸留
し、次いで、100℃/2mmHgの条件で真空乾燥す
る例、あるいは、リチウムトリフルオロメタンスルホネ
ートをプロピレンカーボネートに溶解した後、90〜1
00℃/2〜3mmHgの条件下にプロピレンカーボネ
ートを除き、次いで、150℃/1mmHgで3時間真
空乾燥する例が記載されている。しかしながら、過塩素
酸塩に関してはこの方法による具体的な実施例の記載は
なく、上記の実施例での条件のように、60℃以上に加
熱して蒸留が出来るのか、また100℃以上に加熱して
真空乾燥できるのか不明である。この方法による脱水方
法は、金属塩を溶解するために加えられた溶媒を全て蒸
留で除き、更に高温条件下で長時間真空乾燥しなければ
ならないため、溶剤の使用並びに操作上から見て不経済
な方法である。
【0013】この点を改善するために、日向克雄、北爪
昭治、辻伸行は特開平2−87473において、過塩素
酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解後、水と共
沸する溶剤であるベンゼンを加えて、50℃で7mmH
gの条件下で真空共沸蒸留して水を除くという方法を公
表した。過塩素酸リチウムのプロピレンカーボネート溶
液は80℃で爆発の危険性が高く、彼らがいうように、
上記の実験での50℃では危険性が低いとしてはいる
が、その根拠が不明である。更に実施例においては、2
mol/lの過塩素酸リチウムのプロピレンカーボネー
ト溶液100mlに対し、常圧下の沸点が80℃である
ベンゼン5mlを加えて、50℃に加熱して7mmHg
の真空下での蒸留をしているが、通常、長くとも数10
分以内には添加したベンゼンのほとんど大部分は留去し
ており、その後の4時間にわたるベンゼンの共沸の効果
はすでに消失しているはずである。つまり減圧沸点50
℃/7mmHgは、常圧沸点170〜180℃に相当す
るからである。
【0014】その他電解質塩から水分を除く方法として
は、マイケル ユージン キリアン他の特開平6−23
209で述べているように、含水電解質塩、例えばペル
フルオロメタンスルホン酸リチウムの濃厚スラリーに、
不活性フルオロケミカル液体FL−2を加えて、100
℃で還流することにより、同時に水を留去するというも
のがある。この方法によれば、固体中の残存水分含有量
は35ppmであるとされるが、高価な特殊溶剤を使用
する不経済性があり、しかも脱水後の固体から溶剤を完
全に除去することも困難であり、さらに水分含有量が3
5ppmでは、電解質塩として満足のいくものとはいい
切れない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の各問
題点を解決した、含水溶媒または含水溶質溶液である液
体中の水分を、簡便に、素早く、超低水分にする液体の
脱水方法を提供することを課題とする。特に、Jasinski
氏は室温下、プロピレンカーボネートに乾燥窒素ガスを
5日間吹き込んで水分を蒸発させる方法を提案している
が、その操作に長時間かかることと、また使用する乾燥
窒素ガス量が膨大になる欠点があったが、本発明はかか
る問題点を解決した、簡便な液体の脱水方法を提供する
ことを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するべ
く本発明者は鋭意研究した結果、液体中の水分を簡便に
素早く低水分にする方法として、水より沸点の高い溶媒
あるいは溶液と乾燥不活性気体を接触させることにより
水分を蒸発させ、その結果水分を吸収した湿った不活性
気体から水分を除去して乾燥不活性気体とし、これをポ
ンプで再循環するという方法により、短時間で少量の不
活性気体で液体中の水分含有量を20ppm以下、大部
分の場合には5ppm以下にする製造方法を新規に見い
だしたのである。
【0017】すなわち本発明は、気液接触装置内におい
て、含水溶媒または含水溶質溶液である液体に乾燥不活
性気体を吹き込み、当該液体と乾燥不活性気体とを接触
させることにより液体中の水分を蒸発・除去させると共
に、気液接触装置から排泄される含水不活性気体を、脱
水乾燥装置に送り込み、乾燥させた後、循環ポンプによ
り再び気液接触装置内に再送し、乾燥不活性気体の吹き
込みを連続させることにより低水分含有量の液体とする
ことを特徴とする液体の脱水方法を提供することにあ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明が提供する上記液体の脱水
方法にあっては、そのひとつの具体的態様として、含水
溶媒を乾燥不活性気体と接触させることによる溶媒自体
の脱水方法であり、具体的には、気液接触装置内におい
て、含水溶媒である液体に乾燥不活性気体を吹き込み、
当該液体と乾燥不活性気体とを接触させることにより液
体中の水分を蒸発・除去させると共に、気液接触装置か
ら排泄される含水不活性気体を、脱水乾燥装置に送り込
み、乾燥させた後、循環ポンプにより再び気液接触装置
内に再送し、乾燥不活性気体の吹き込みを連続させるこ
とにより低水分含有量の液体とすることを特徴とする液
体の脱水方法の提供にある。
【0019】さらに本発明が提供する別の態様の脱水方
法にあっては、粉末形態あるいは結晶形態にある固体状
の含水電解質塩等の溶質についての脱水方法に関するも
のであり、具体的には、かかる含水の溶質を溶解させた
溶液とし、乾燥不活性気体と接触させることによる脱水
方法であり、より具体的には、気液接触装置内におい
て、含水溶質溶液である液体に乾燥不活性気体を吹き込
み、当該液体と乾燥不活性気体とを接触させることによ
り液体中の水分を蒸発・除去させると共に、気液接触装
置から排泄される含水不活性気体を、脱水乾燥装置に送
り込み、乾燥させた後、循環ポンプにより再び気液接触
装置内に再送し、乾燥不活性気体の吹き込みを連続させ
ることにより低水分含有量の溶質溶液とすることを特徴
とする液体の脱水方法の提供にある。
【0020】なお、本明細書において使用する用語とし
て、「液体」とは広く溶媒、溶液、溶剤等を含み、さら
には固体状の電解質等の溶質を溶解させた溶液を含む用
語としての意味を有する。また、溶質とは上記の意味を
有する溶液に溶解された物質を意味し、より具体的には
粉末状または結晶状等の固体状の電解質あるいは触媒等
を意味する。
【0021】本発明の液体の脱水方法は上記の構成を有
するものであるが、その基本プロセスを図1として示
す。すなわち、本発明の液体の脱水方法は、図1に示し
た基本プロセスからも判明するように、気液接触装置に
おいて含水溶媒または含水溶質溶液である液体と、乾燥
不活性気体が接触され、それにより液体中の水分が乾燥
不活性気体により蒸発・除去され脱水が行われる。一
方、気液接触装置内において水分を吸収し、排泄される
湿った不活性気体は、不活性気体の脱水乾燥装置に送り
込まれ、乾燥された後、不活性気体循環ポンプにより再
度気液接触装置内に送り込まれ、そこで含水溶媒または
含水溶質溶液である液体との接触を繰り返すこととな
る。したがって、比較的少量の乾燥不活性気体を循環し
て使用することにより、効率よく、かつ短時間の間に液
体の脱水が行われ、得られる液体は超低水分含有のもの
となる利点を有するものである。
【0022】この場合の脱水方法において使用される液
体としての溶媒、溶液あるいは溶剤は、効果や収率の面
からいって、おおむね水よりも沸点の高い有機溶媒等が
用いられる。そのような液体としての、溶媒、溶液ある
いは溶剤は、具体的には以下ものを挙げることができ
る。すなわち、プロピレンカーボネート、エチレンカー
ボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクト
ン、γ−バレロラクトン、スルホラン、3−メチルスル
ホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N−メチルオキサゾリジノン、N−メチルピ
ロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾロン、炭酸
ジエチル、炭酸エチルメチルなどである。
【0023】一方、本発明においては液体として含水溶
質溶液を使用することもでき、このような溶液における
溶質としては、リチウム塩として、過塩素酸リチウム、
ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リ
チウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフルオ
ロアンチモン酸リチウム、ヘキサフルオロニオブ酸リチ
ウム、ヘキサフルオロタンタル酸リチウム、テトラクロ
ロアルミン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸
リチウム、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウム
(ただし、アルキルの炭素数は2〜8である)、リチウ
ムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチ
ウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニドが
あげられ、また同様に、それらリチウム塩に代わるナト
リウム塩、カリウム塩、カルシウム塩あるいはマグネシ
ウム塩を挙げることができる。この場合の溶液における
溶質の濃度は、操作温度での飽和溶解度以下、一般に
0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%である
のがよい。
【0024】本発明において使用される不活性気体とし
ては、被脱水液体である溶液または溶質に対して不活性
な気体であり、気液装置内における液体との接触時なら
び含水気体の脱水乾燥装置における脱水時において気体
であるものである。この様なものとして、常温常圧下で
気体であるもの、または液化ガス、低沸点化合物であ
る。そのようなものの具体的例としては、窒素、空気、
水素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリ
プトン、メタン、エタン、プロパン、ブタン、フロン、
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノクロロメタ
ン、ジクロロメタンなどであるが、好ましくは窒素や空
気やアルゴンやヘリウムであり、より好ましくは窒素で
ある。
【0025】気液接触装置は、回分式または連続式の装
置であり、回分式としては、攪拌装置付き反応釜に気体
導入管を差し込む装置、更に気液の接触を増やすため釜
底に多数の穴の空いた気体導入管を備えた装置であり、
連続式では充填塔、棚段塔、噴霧塔、濡れ壁塔などであ
る。
【0026】気液接触装置における液体と乾燥不活性気
体との接触の温度条件は、水の蒸気圧の高い方が速く低
水分溶媒や溶液となり、液体に対する気体の比が大きい
方が速く低水分溶媒や溶液となる。例えば化学便覧(日
本化学会編、丸善株式会社発行)によると、100℃で
の水の蒸気圧は760.00mmHgであり、60℃で
は149.44mmHgである。したがって、100℃
では60℃の蒸気圧の約5倍の蒸気圧を持っていること
となる。事実、約500ppmのプロピレンカーボネー
トを、温度以外を同一の条件として脱水処理をすると、
水分含有量を約3ppmにするのに、100℃では2.
5時間かかるのに対して、60℃では11時間と100
℃の場合に比較して4〜5倍の時間がかかった。その点
からみると、水分の蒸発・脱水速度は温度にほぼ比例し
ていることが判明する。
【0027】過塩素酸塩と有機溶媒との組み合わせにお
ける溶液の爆発危険性は、通常示差走査熱量(DSC)
を測定することにより把握することができる。松田好晴
の前記文献のTable2における配合の、プロピレン
カーボナートと1,2−ジメトキシエタンの混合溶剤
(vol.1:1)に無水の過塩素酸リチウムを1mo
l/dm3 解かした溶液を用い、その溶液の示差走査熱
量を測定した。その結果、第1発熱開始温度は199.
1℃でその熱量は1.99cal/gであり、第2発熱
開始温度は275.0℃でその熱量は139.79ca
l/gであった。したがって、かかる溶液は約100℃
の加熱下の条件においても安全なものであると判断され
る。以上からみれば、気液接触装置内における液体と乾
燥不活性気体との接触温度は、20℃〜200℃、好ま
しくは60℃〜150℃、より好ましくは80℃〜12
0℃である。
【0028】気液接触装置内における液体と乾燥不活性
気体との接触圧力は、減圧下でも加圧下でもよく、具体
的には100mmHgの真空下からゲージ圧3kg/c
2程度の加圧下でも良い。好ましくは、大気圧により
近い200mmHgの真空下から2kg/cm2 の加圧
下、より好ましくは大気圧である。
【0029】他方、気液接触装置おける液体に対する気
体の吹き込みの比率は、実験の結果、約500ppmの
プロピレンカーボネート1kgに対して、100℃にお
ける窒素循環速度を2,000ml/分と1,000m
l/分とで比較した場合には、水分含有量を約5ppm
にするのに前者にあっては2時間10分を要し、後者に
あっては4時間20分を要し、その時間が2倍となり、
水分の蒸発・脱水速度は気液比に比例することが判明し
た。したがって、気液比としてはどのような比率を選択
してもよいものの、経済的には回分式では、液体1kg
に対し気体流速10ml/分〜10,000ml/分、
好ましくは500ml/分〜3,000ml/分であ
る。
【0030】気液接触装置により含水液体と接触され、
該装置から排出される湿った不活性気体の脱水装置とし
ては、(1)冷却凝縮装置、(2)吸湿性固体または液
体との接触装置、(3)吸着性固体との接触装置、
(4)圧縮減湿装置、(5)高分子半透膜除湿装置(例
えば特公平7−61431)などから選ばれ、その内の
1種または2種以上を組み合わせて用いることができ
る。そのうちで、(1)の冷却凝縮装置としては、湿っ
た不活性気体を冷却することにより、水蒸気や揮発した
溶剤の蒸気を凝縮させて脱水させるものである。この場
合の冷却は、冷水、氷水、0〜−20℃の温度可変循環
冷媒、フロン冷媒、ドライアイス、液体窒素などから選
択することができる。なお装置としては、通常コンデン
サー、クーラー、トラップなどである。
【0031】また、(2)の吸湿性固体または液体との
接触装置における固体吸収剤としては、塩化カルシウ
ム、五酸化リン、苛性カリ、苛性ソーダ、生石灰などか
ら選択することができ、液体吸収剤としては、トリエチ
レングリコール、塩化リチウム水溶液、濃硫酸、グリセ
リン水溶液などから選択される。(3)の吸着性固体と
の接触装置における吸着剤としては、シリカゲル、活性
アルミナ、活性炭、活性白土、モレキュラシーブ、イオ
ン交換樹脂などから選択される。
【0032】(4)の圧縮減湿装置は、湿った不活性気
体を一定温度のもとで圧縮して全圧を高めると、その飽
和湿度は大体圧力に逆比例して減少するという原理に基
づく装置である。(5)の膜除湿装置は、特開昭61−
146319や特開昭62−7417で公表されている
気体の乾燥装置であり、湿った不活性気体にセラミック
膜を介して真空にすることにより水が優先的に減圧系に
流れることにより乾燥されるか、あるいは湿り気体を加
圧にして高分子半透膜を介して乾燥パージガスを通流す
ることにより水が排出されることにより乾燥される装置
である。
【0033】不活性気体の脱水装置としては上記した種
々の装置の中から適宜選択され、組み合わされ使用され
るが、好ましくは、まず冷却凝縮装置として0℃〜−1
0℃のコンデンサーを置き、次に吸着性固体接触装置と
してペレット状のモレキュラシーブ充填カラムをつなぎ
合わせた装置である。通常モレキュラシーブなどの固体
充填材を用いるときは、微粉末の固形物が溶剤または溶
液に混入しないように、充填カラムと吹き込み管の間に
微粒子捕集の濾過装置を設けるのがよい。
【0034】以下に、本発明を具体的実施例により詳細
に説明する。実施例1 :15%過塩素酸リチウム(LiClO4 ) の
プロピレンカーボネート溶液の脱水
【0035】実験室的に図2に示すようなバッチ式の実
験装置を組み立てた。なお、図2におけるバッチ式の実
験装置は、以下の各部分により構成された装置である a:1リッターの4口フラスコ(気密シールを持った攪
拌装置と温度調整器のセンサーを備える) b:冷却トラップ c:モレキュラシーブ充填カラム d:ベロースポンプ e:フィルター(PTFE製メンブランフィルター) f:吹き込み用ガラス管 g:フローメーター h:窒素循環流量調整バルブ i:マントルヒーター(温度調整器により制御される) j:氷水浴 k:ゴム風船(系内気圧を外気圧と等しくする) l:窒素ボンベ m:温度調整器用センサー 溶剤や溶液中の水分含有量は、電量方式のカールフィッ
シャーで測定した。
【0036】モレキュラシーブ充填カラム(c) にモレキ
ュラシーブ(以下Msと記述する)4A、1/16イン
チを100ml充填した。1L(リッター)の4つ口フ
ラスコ(a) に、市販プロピレンカーボネート(水分含有
量は、約120ppmである)850gを入れ、攪拌下
に市販の過塩素酸リチウムの粉末(水分含有量は0.1
3%である)150gを加え、溶解させた。この時約1
5℃ほど昇温し、均一溶液中の水分含有量は330pp
mであった。その後系内を窒素で置換したのち、95℃
へ加熱した。ベローズポンプ(d) を起動させ、系内の窒
素を2,000ml/分の流量で循環させた。冷却トラ
ップ(b) は2本直結し、これらを氷水で冷却した。少し
膨らませたゴム風船を介することにより系内の操作は大
気圧で行われた。
【0037】溶液温度を100℃とし、1時間20分窒
素ガスを循環させて脱水した後、溶液の水分は3.7p
pmとなり、その後110℃にして3時間循環した後で
は1.3ppmとなった。冷却トラップ(b) に溜まった
液体量は、約0.5mlであった。溶液のガスクロマト
グラフィー分析で、プロピレンカーボネートのクトマト
グラムは異常ピークの生成などの変化は一切認められな
かった。
【0038】実施例2:20%過塩素酸リチウム(Li
ClO4 ) のプロピレンカーボネート溶液の脱水 実施例1と同一設備を用いて、過塩素酸リチウム200
gとプロピレンカーボネート800gの溶液(水分含有
量は1,052ppmであった)を、窒素循環流量2,
000ml/分、溶液温100℃で脱水処理をした。そ
の結果、1時間後において水分含有量は264ppmと
なり、2時間後においては18ppmとなり、3時間後
ではで5ppmとなった。
【0039】実施例3:15%過塩素酸リチウム(Li
ClO4 ) のプロピレンカーボネート溶液の脱水 実施例1と同一の設備を用い、市販の過塩素酸リチウム
150gと市販のプロピレンカーボネート850gの溶
液に、水を少量加えて被脱水溶液とした。なお、溶液中
の水分含有量は825ppmであった。Msカラムを外
し、冷却トラップをドライアイス−メタノールで冷却し
た。次いで、窒素の循環流量2,000ml/分で脱水
処理をした。その処理後の経時的な溶液中の水分含有量
は、以下のとおりであった。
【0040】時間 水分量(ppm) 0時間 825 1時間10分 456 1時間50分 336 3時間 203 4時間 124 5時間 70 6時間 25 7時間 16 8時間 13
【0041】実施例4:ヘキサフルオロリン酸リチウム
(LiPF6 ) のプロピレンカーボネート溶液の脱水 実施例1と同一の設備を用い、市販のヘキサフルオロリ
ン酸リチウム(乾燥品)105gを乾燥したプロピレン
カーボネート(水分含有量は4ppmであった)825
gに攪拌溶解した。この溶液の水分含有量は4.2pp
mであった。溶液以外は実施例1と同一条件で1時間脱
水処理したところ、溶液の水分含有量は1.2ppmと
なった。
【0042】実施例5:トリフルオロメタンスルホン酸
リチウム(CF3 SO3 L i)のプロピレンカーボネー
ト溶液の脱水 実施例1と同一の設備を用い、市販のトリフルオロメタ
ンスルホン酸リチウム(水分含有量は63ppmであっ
た)101.5gを乾燥したプロピレンカーボネート
(水分含有量は9ppmであった)802gに攪拌溶解
した。この溶液の水分含有量は31ppmであった。溶
液以外を実施例1と同一条件(溶液温度100℃、循環
窒素流量2,000ml/分、Ms100ml、トラッ
プ氷水冷却)で30分脱水処理したところ、溶液の水分
含有量は3ppmとなった。
【0043】実施例6:プロピレンカーボネートの脱水
(その1) 実施例1と同一の設備を用い、市販のプロピレンカーボ
ネート1,000gに水を少量加えて、水分含有量を4
99ppmとした溶液を被脱水溶液とした。被脱水溶液
以外を実施例1と同一条件(溶液温度100℃、循環窒
素流量2,000ml/分、Ms100ml、トラップ
氷水冷却)として、脱水処理をした。その処理後の経時
的な溶液中の水分含有量は、以下のとおりであった。
【0044】時間 水分量(ppm) 0時間 499 1時間 99 2時間10分 4.8 2時間30分 3.0
【0045】実施例7:プロピレンカーボネートの脱水
(その2) 実施例1と同一の設備を用い、市販のプロピレンカーボ
ネート900gに水を少量加えて、水分含有量を567
ppmとした溶液を被脱水溶液とした。循環窒素流量
1,000ml/分にて、内容物以外を実施例1と同一
条件(溶液温度100℃、Ms100ml、トラップ氷
水冷却)として、脱水処理をした。その処理後の経時的
な溶液中の水分含有量は、以下のとおりであった。
【0046】時間 水分量(ppm) 0時間 567 1時間 153 2時間 58 3時間 19 4時間20分 5 6時間20分 2
【0047】実施例8:プロピレンカーボネートの脱水
(その3) 実施例1と同一の設備を用い、市販のプロピレンカーボ
ネート1,000gに水を少量加えて、水分含有量58
4ppmとした溶液を被脱水溶液とした。溶液温度の6
0℃と被脱水溶液以外を実施例1と同一条件(循環窒素
流量2,000ml/分、Ms100ml、トラップ氷
水冷却)として、脱水処理をした。その処理後の経時的
な溶液中の水分含有量は、以下のとおりであった。
【0048】時間 水分量(ppm) 0時間 584 1時間 286 2時間 145 3時間 67 4時間10分 36 5時間20分 16 6時間45分 6.4 7時間40分 5.2 8時間40分 3.5 11時間25分 2.7
【0049】実施例9:プロピレンカーボネートの脱水
(その4) 実施例1と同一の設備を用い、市販のプロピレンカーボ
ネート900gをフラスコに入れた。モレキュラシーブ
の代わりに陽イオン交換樹脂ナトリウム型(三菱化成/
ダイヤイオンSK1Bを水洗後、120℃で6時間加熱
乾燥したもの)75gを用い、それ以外を実施例1と同
一条件(循環窒素流量2,000ml/分、トラップ氷
水冷却)とし、脱水処理をした。その処理後の経時的な
溶液中の水分含有量は、以下のとおりであった。
【0050】時間 水分量(ppm) 0時間 187 1時間 25 2時間 12 3時間 8
【0051】実施例10:エチレンカーボネートの脱水 実施例1と同一の設備を用い、市販のエチレンカーボネ
ート1,000gに水を少量加えて、水分含有量580
ppmとした溶液を被脱水溶液とした。内容物以外を実
施例1と同一条件(溶剤温度100℃、循環窒素流量
2,000ml/分、Ms100ml、トラップ氷水冷
却)として、脱水処理をした。終了時トラップには約
0.5g溜まった。その処理後の経時的な溶液中の水分
含有量は、以下のとおりであった。
【0052】時間 水分量(ppm) 0時間 580 1時間 115 2時間 24 3時間 4 4時間 2
【0053】実施例11:N−メチル−2−ピロリドン
の脱水 実施例1と同一の設備を用い、市販のN−メチルピロリ
ドン1010gを仕込んだ。内容物以外を実施例1と同
一条件(溶剤温度100℃、循環窒素流量2,000m
l/分、Ms100ml、トラップ氷水冷却)として、
脱水処理を行った。その処理後の経時的な溶液中の水分
含有量は、以下のとおりであった。
【0054】時間 水分量(ppm) 0時間 413 1時間 334 2時間 230 3時間 148 4時間 116 5時間 89 6時間 53 10時間 20
【0055】実施例12:炭酸ジエチルの脱水 実施例1と同一の設備を用い、市販の炭酸ジエチル97
4gを仕込んだ。循環窒素流量1,000ml/分と溶
剤温度80℃と内容物以外を実施例1と同一条件(Ms
100ml、トラップ氷水冷却)として脱水処理をし
た。その処理後の経時的な溶液中の水分含有量は、以下
のとおりであった。
【0056】時間 水分量(ppm) 0時間 199 1時間 40 2時間 13 3時間 6 なお、終了時には、冷却トラップに66gの炭酸ジエチ
ルが溜まった。
【0057】参考例:プロピレンカーボネートの脱水 実施例1の実験装置である図2の(a) のフラスコ内に、
市販のプロピレンカーボネート1,000gを仕込み、
水を少量加えて水分含有量488ppmとした溶液を被
脱水溶液とした。実施例1の実験装置である図2の設備
の内、 (a)のフラスコの出口は大気に解放し、ベローズ
ポンプ(d) のガスの入り口を大気に解放した。溶液温度
を100℃に加熱し、ポンプを稼働して20℃で相対湿
度30%〜40%の空気を2,000ml/分の流量で
フラスコに吹き込み、脱水処理を行った。その処理後の
経時的な溶液中の水分含有量は、以下のとおりであっ
た。
【0058】時間 水分量(ppm) 0時間 487 1時間20分 268 3時間25分 247 4時間25分 278
【0059】上記の結果からも明らかな様に、乾燥不活
性気体を用いない参考例では溶液の水分含有量は本発明
方法に比較して、それほど少なくなることはなかった。
しかしながら、参考例の方法によると、ある程度までの
脱水が可能であることが判明する。したがって、特に含
水率の高い溶媒あるいは溶液等の液体について本発明の
脱水方法を実施する場合には、前処理として参考例の方
法を実施し、次いで本発明方法を用いれば、経済的に有
効であることが伺える。
【0060】
【発明の効果】これまでの液体あるいは溶剤の通常の蒸
留精製による脱水方法では、水分の多い初期分画は製品
に出来なく、また釜残も幾分かは残さなければならない
という収率の低さと、全量蒸留するという長時間操作が
あった。また溶液、溶媒等の液体の脱水には、これまで
の直接脱水という方法は困難であり、乾燥した溶剤と、
乾燥した溶質を混合溶解するという方法にならざるをい
なかった。特に乾燥した溶質を得ることが難しかった。
これに対して、本発明の脱水方法によれば、溶媒、溶液
あるいは溶剤等の液体は、乾燥した循環不活性気体と接
触するという方法により、簡単に素早く、効率よくしか
も収率高く、超低水分のものを得ることができる利点を
有するものである。したがって、本発明方法は、特に含
水溶媒または含水溶質溶液である液体の脱水により、超
低水分含有の溶質を、効率よく製造でき得る利点を有す
るものであり、電気化学と有機金属化学の技術分野に多
大な貢献を与えるものであるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体の脱水方法の基本プロセスを示す
図である。
【図2】本発明の実施例での実験装置を示す図である。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気液接触装置内において、含水溶媒また
    は含水溶質溶液である液体に乾燥不活性気体を吹き込
    み、当該液体と乾燥不活性気体とを接触させることによ
    り液体中の水分を蒸発・除去させると共に、気液接触装
    置から排泄される含水不活性気体を、脱水乾燥装置に送
    り込み、乾燥させた後、循環ポンプにより再び気液接触
    装置内に再送し、乾燥不活性気体の吹き込みを連続させ
    ることにより低水分含有量の液体とすることを特徴とす
    る液体の脱水方法。
  2. 【請求項2】 液体が、水より沸点の高い有機溶媒ある
    いは有機溶液である請求項1記載の脱水方法。
  3. 【請求項3】 溶媒が、プロピレンカーボネート、エチ
    レンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロ
    ラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、3−メチ
    ルスルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチ
    ルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノン、N−メ
    チルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾロ
    ン、炭酸ジエチルまたは炭酸エチルメチルである請求項
    1記載の脱水方法。
  4. 【請求項4】 溶液における溶質が、過塩素酸リチウ
    ム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロヒ
    酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフ
    ルオロアンチモン酸リチウム、ヘキサフルオロニオブ酸
    リチウム、ヘキサフルオロタンタル酸リチウム、テトラ
    クロロアルミン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホ
    ン酸リチウム、ペルフルオロアルキルスルホン酸リチウ
    ム(ただし、アルキルの炭素数は2〜8である)、リチ
    ウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドまた
    はリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタ
    ニド、並びにそれらのリチウム塩に代わるナトリウム
    塩、カリウム塩、カルシウム塩またはマグネシウム塩で
    ある請求項1記載の脱水方法。
  5. 【請求項5】 脱水された低水分の液体の水分含有量が
    200ppm以下である請求項1記載の脱水方法。
  6. 【請求項6】 溶液における溶質の濃度が、0.1重量
    %〜50重量%である請求項1記載の脱水方法。
  7. 【請求項7】 気液接触装置が、回分式または連続式の
    装置であり、液体と乾燥不活性気体との接触は、乾燥不
    活性気体を装置の下方から液体中に吹き込む反応釜、充
    填塔、棚段塔、噴霧塔または濡れ壁装置である請求項1
    記載の脱水方法。
  8. 【請求項8】 気液接触装置における液体と乾燥不活性
    気体の接触を、20℃〜200℃で行う請求項1記載の
    脱水方法。
  9. 【請求項9】 気液接触装置における液体と乾燥不活性
    気体の接触を、100mmHgの真空度ないし3kg/
    cm2 の加圧下に行う請求項1記載の脱水方法。
  10. 【請求項10】 気液接触装置における液体と乾燥不活
    性気体の接触を、大気圧下に行う請求項1記載の脱水方
    法。
  11. 【請求項11】 気液接触装置における液体と乾燥不活
    性気体の接触を、液体1kg当たり10ml/分〜1
    0,000ml/分の流量の乾燥不活性気体の吹き込み
    で行う請求項1記載の脱水方法。
  12. 【請求項12】 乾燥不活性気体が、溶液または溶質に
    対して不活性であり、気液接触装置における液体との接
    触時ならびに、含水気体の脱水乾燥装置の脱水時に気体
    である請求項1記載の脱水方法。
  13. 【請求項13】 乾燥不活性気体が、窒素、空気、水
    素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプ
    トン、メタン、エタン、プロパン、ブタン、フロン、ジ
    メチルエーテル、ジエチルエーテル、モノクロロメタ
    ン、ジクロロメタンから選択される常温常圧下において
    気体、液化ガスまたは低沸点化合物である請求項1記載
    の脱水方法。
  14. 【請求項14】 含水不活性気体の脱水乾燥装置が、冷
    却凝縮装置、吸湿性固体または液体との接触装置、吸着
    性固体との接触装置、圧縮減湿装置または高分子半透膜
    除湿装置の1種または2種以上の組み合わせからなる請
    求項1記載の脱水方法。
  15. 【請求項15】 含水不活性気体の脱水乾燥装置が、0
    ℃以下の冷媒循環の冷却コンデンサーである冷却凝縮装
    置とモレキュラーシーブまたはイオン交換樹脂充填塔で
    ある吸着性固体との接触装置の組み合わせからなる請求
    項14記載の脱水方法。
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