JPH10338610A - 歯科用重合性組成物 - Google Patents

歯科用重合性組成物

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JPH10338610A
JPH10338610A JP9148805A JP14880597A JPH10338610A JP H10338610 A JPH10338610 A JP H10338610A JP 9148805 A JP9148805 A JP 9148805A JP 14880597 A JP14880597 A JP 14880597A JP H10338610 A JPH10338610 A JP H10338610A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光硬化能・化学硬化能に優れ、重合前後の色調
変化が小さく、硬化物の色調安定性が高く、物理的およ
び臨床的特性に優れた歯科用重合性組成物を提供する。 【解決手段】 重合可能なオレフィン性不飽和基を有す
る単量体(a)、光重合開始剤としてアシルホスフィン
オキサイド(b)、開始剤として有機過酸化物(c)及
び還元剤として第3級アミン(d)を構成成分とし、有
機過酸化物(c)と第3級アミン(d)が別包装に含有
されてなる歯科用重合性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光重合、化学重合のいず
れの方法でも重合し、重合前後の色調変化が小さく、硬
化物の色調安定性に優れた新規な歯科用重合性組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、重合性樹脂材料は随意に所望の形
態の材料を作成し得る操作性、天然の組織とそっくりに
修復し得る審美性、その強度の高さ等から、広く歯科治
療全般に使用されるに至っている。特に、1959年の
USP3,066,112号にて多官能アクリル系重合
性樹脂へのウ蝕治療への応用が提案されて以来、常温の
化学重合型の材料が多数実用化されてきた。その後、化
学重合型の材料の進歩と平行して、特開昭47−247
号等によりベンゾインメチルエーテル等を使用する紫外
線重合型の材料、さらに、特開昭48−49875号の
カンファーキノンを使用する光線重合型の材料の提案
等、種々の重合方式を採用した製品が多数開発されてき
た。その後、歯科用充填剤としてはカンファーキノンを
配合した光重合型材料が標準的に使用されており、金属
製クラウンやインレー、アンレーの合着等の、光を照射
しても有効量の光が到達しない用途には化学重合型材料
が使用されている。さらに、特開昭60−32810号
にてカンファーキノンと過酸化物とアミンからなる表面
に未重合層厚みが少ない歯科用組成物が提案され、更
に、特開昭60−89407号にて同様の触媒組成を持
つ歯科用組成物が、非常に深い硬化深度を達成し得るも
のとして提案されている。これらの組成物は化学重合性
と光重合性の両方の機能を持つものである。このような
組成物は、修復物等の表面に対しては光重合の機能によ
り、容易に高い重合率にまで重合を進めることが出来、
重合に必要な光が十分到達し得ない深い部位も、問題な
く化学重合させ得る点が評価され、それ以降、歯科用接
着剤や合着材に広く使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在の光重合性組成物
に広く用いられている重合開始剤は、α−ジケトン系化
合物と各種アミン類とよりなるものであり、特に重合開
始剤として強力で広く用いられているのは、カンファー
キノンである。しかしカンファーキノンはそれ自身が鮮
黄色の色調を持ち、これを配合した重合性組成物は歯科
用としては不適当な黄色の色調を有する。さらに、カン
ファーキノン配合の重合性組成物は光の照射によりその
鮮黄色が退色し、重合前後でその色調を大きく変動させ
る。近年、歯科治療における患者の審美的要求は大きく
高まっており、このような色調あるいは色調変化は好ま
しいことではない。また、化学重合性組成物に広く用い
られているベンゾイルパーオキサイドと各種第3級アミ
ン類等の還元剤の組み合わせは、硬化物の熱水に対する
色調安定性に問題がある。
【0004】上記の問題を一部解決するものとして、光
重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイドを用いる
方法(特公平6−55654号)が提案されている。こ
れによるとアシルホスフィンオキサイドを光重合開始剤
とした重合硬化物は色調安定性に極めて優れているもの
の、これを用いた光重合性組成物はカンファーキノンを
使用した組成物に比較して硬化深度が浅い点が問題であ
った。
【0005】本発明者らは、かかる欠点の克服を図るた
め鋭意検討した結果、光重合、化学重合のいずれの方式
においても優れた硬化性能を示し、硬化物の色調安定性
に優れた歯科用重合性組成物を見いだした。すなわち、
光開始剤としてアシルホスフィンオキサイドを用い、有
機過酸化物と、還元剤として第3級アミンを用いる重合
性組成物が、その硬化性能を損なうことなく、重合硬化
物の色調がアシルホスフィンオキサイドを用いない組成
物の硬化物より格段に安定しており、且つ硬化深度が深
いという驚くべき事実を発見した。これは、アシルホス
フィンオキサイドは量子収率が高いため照射表面に極め
て多くのラジカルが発生し、その重合熱および表面の高
濃度ラジカルによる有機過酸化物の誘発分解が働いた結
果であると推測される。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、重
合可能なオレフィン性不飽和基を有する単量体(a)、
光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド
(b)、開始剤として有機過酸化物(c)及び還元剤と
して第3級アミン(d)を構成成分とし、有機過酸化物
(c)と第3級アミン(d)が別包装に含有されてなる
歯科用重合性組成物である。
【0007】本発明で使用する事の出来る重合可能な単
量体は、ラジカル重合性の単量体であれば、公知のオレ
フィン性不飽和基を有する単量体の何れもが使用できる
が、重合操作の簡便さと生体に対する安全性よりメタ
(アクリレート)系単量体が好ましい。本発明で用いる
(メタ)アクリレート系単量体は、(メタ)アクリル酸
エステル(アルキルエステルの場合アルキル基の炭素数
1〜12、芳香族基を含むエステルでは炭素数6〜1
2、これらの基にポリエチレングリコール鎖等の置換基
を含むものはそれらの炭素数も含める)、ポリアルキレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート(アルキレン基の
炭素数2〜20)、エチレングリコールオリゴマージ
(メタ)アクリレート(2 〜10量体)、ビスフェノール
Aから誘導されるジ(メタ)アクリレート、3官能以上
の多価(メタ)アクリレート等であり、さらに、ヒドロ
キシル基を有する(メタ)アクリレート2モルとジイソ
シアネート1モルとの反応生成物であるウレタン(メ
タ)アクリル酸エステル類、具体的には特公昭55−3
3687号や特開昭56−152408号に開示される
多官能型のウレタンモノマー等が好適である。
【0008】これらの具体例としては、単官能の(メ
タ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリ
ル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレ
ート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル
(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メ
タ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−
エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラ
エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポ
リエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキ
シジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノ
キシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、
グリセロール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフル
フリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メ
タ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレー
ト、フェニル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テト
ラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラク
トン変性ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレー
ト、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート等の(メタ)アクリレート等がある。
【0009】多官能の(メタ)アクリレートの例として
は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、ネンペンチルグリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリ
レート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビ
スフェノールAグリシジルジ(メタ)アクリレート、エ
チレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アク
リレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAグ
リシジルジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−
メタクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、7,
7,9−トリメチル−4,13−ジオキサ−3,14−
ジオキソ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−
ジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ
ールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレ
ート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペ
ンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエ
タントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールト
リ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレートとメチルシクロヘキサンジ
イソシアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレートとメチルシクロヘキサンジイソ
シアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレートとメチレンビス(4−シクロヘキ
シルイソシアネート)との反応生成物、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレートとトリメチルヘキサメチ
レンジイソシアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネ
ートとの反応生成物、3−クロロ−2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネー
トとの反応生成物等が挙げられる。また、本発明の組成
物を歯科用接着剤や合着材として使用する場合には、そ
の組成中に接着促進効果を有する強極性モノマー、特に
酸性モノマーの配合が好ましく、そのような酸性モノマ
ーとして、以下のものを例示する。
【0010】-P(O)(OH)2構造を持つものとして
【0011】
【化1】
【0012】>P(O)(OH)構造を持つものとして
【0013】
【化2】
【0014】-P(O)(Z)2構造を持つものとして
【0015】
【化3】
【0016】>P(O)-Z 構造を持つものとして
【0017】
【化4】
【0018】-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)-構造を持つものと
して
【0019】
【化5】
【0020】-COOH 構造を持つものとして
【0021】
【化6】
【0022】-CO-Z 構造を持つものとして
【0023】
【化7】
【0024】-COOCO- 構造を持つものとして
【0025】
【化8】
【0026】本発明で用いられる光重合開始剤はアシル
ホスフィンオキサイドであり、これらを具体的に例示す
ると2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホス
フィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェ
ニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾ
イルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロ
ロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,
3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフ
ィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフ
ェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4,6−トリ
メチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチルエステ
ル、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフ
ィン酸フェニルエステル等が挙げられる。
【0027】また、本発明で使用する有機過酸化物とし
ては、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル
類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール
類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド
類などが有効である。具体的には、ジアシルパーオキサ
イド類としてはベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジ
クロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパー
オキサイド等が挙げられる。パーオキシエステル類とし
てはt−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブ
チルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−
2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブ
チルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられ
る。
【0028】ジアルキルパーオキサイド類としてはジク
ミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、
ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシ
ケタール類としては1,1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げら
れる。ケトンパーオキサイド類としてはメチルエチルケ
トンパーオキサイド等が挙げられる。ハイドロパーオキ
サイド類としてはt−ブチルハイドロパーオキサイド等
が挙げられる。
【0029】また、還元剤の第3級アミンとしては、芳
香族第3級アミン、脂肪族第3級アミンのいずれも有効
である。具体的には、芳香族第3級アミンとしてはN,
N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイ
ジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジ
エチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−
ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチ
ルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、
N,N−ジメチル−4−i−プロピルアニリン、N,N
−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチ
ル−3,5−ジt−ブチルアニリン、N,N−ビス(2
−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリ
ン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−
ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロ
キシエチル)−4−i−プロピルアニリン、N,N−ビ
ス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリ
ン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−
ジi−プロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキ
シエチル)−3,5−ジt−ブチルアニリン、4−ジメ
チルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香
酸n−ブトキシエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸
(2−メタクリロイルオキシ)エチル等が挙げられる。
【0030】脂肪族第3級アミンとしては、トリメチル
アミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールア
ミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチル
ジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、(2−ジメチルアミノ)エ
チルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジ
メタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタ
クリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレー
ト、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタ
ノールアミントリメタクリレート等が挙げられる。
【0031】これらの重合開始剤および還元剤の添加量
は重合性単量体に対し、通常0.05〜20重量%の範
囲、好ましくは0.1〜5重量%の範囲で使用される。
【0032】また本発明の光重合性組成物を齲蝕窩洞の
充填修復用複合材料もしくは歯科用接着材、歯科用合着
材として用いるときは重合性単量体10−80重量%お
よびフィラー90−20重量%を基本組成とし、これに
対して光重合開始剤や還元剤を加える。
【0033】フィラーとしては、無機物あるいは有機物
及びこれらの複合体が用いられ、無機系フィラーの例と
してはソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、
バリウムガラス、ストロンチウムガラス、亜鉛ガラス、
フルオロアルミナムボロシリケートガラス、ホウ珪酸ガ
ラス、結晶石英、溶融シリカ、合成シリカ、アルミナシ
リケート、無定形シリカ、ガラスセラミックまたはこれ
らの混合物等が挙げられる。無機系フィラーの粒径は特
に制限はないが通常150μm以下、好ましくは100
μm以下のものが適当である。また粒径の異なる数種の
フィラーを混合して用いてもよい。上記無機系フィラー
は公知の表面処理をしておくのが好ましい。表面処理剤
の例としてはシラン化合物、例えばビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロ
シラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカ
プトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン等が用いられる。有機系フィラーと
しては、前記重合性単量体の重合体粉末を用いてもよ
い。また前記重合性単量体に前記無機フィラーを分散さ
せて重合させたものの粉末(複合フィラー)も使用する
ことができる。
【0034】さらに本発明における歯科用光重合性組成
物には、所望により重合禁止剤、紫外線吸収剤、顔料お
よび溶剤を添加することができる。これらの溶剤を具体
的に例示すると、水、エタノール、i−プロパノール、
アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミ
ド、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
【0035】本発明の組成物は、通常、組成物の安定性
の問題から、過酸化物とアミンとが同一包装中に配合さ
れないように、2つ以上の包装に分割して提供される。
本発明の光重合組成物は、充填剤を添加あるいは添加せ
ずに歯科用修復充填材料、歯面処理剤、接着剤、レジン
セメント、シーラント等として用いられる他、一般工業
用としてコーティング剤、接着剤、充填剤等として用い
ることもできる。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明は実施例に限定されるものではない。 実施例1〜2及び比較例1 本発明の重合性組成物の光重合性能評価として硬化深度
を測定するために、重合性単量体としてビスフェノール
Aジグリシジルジメタクリレート(以後、Bis−GM
Aと省略する)/トリエチレングリコールジメタクリレ
ート(以後、TEGDMAと省略する)の混合物、重合
開始剤、還元剤、石英粉からなる混合物として2組の組
成物A,Bを作成し、実施例1及び2とした。また実施
例1の組成物Aの2,4,6,−トリメチルベンゾイル
ジフェニルホスフィンオキサイドの代わりにカンファー
キノンを用いた組成物を調製し比較例1とした。それら
の重量組成を表1に示す。各組成物A,Bを等量秤取し
練和したものを直径4mm、高さ12mmの金型に充填
し、カバーガラスで被覆した上から歯科用光線照射器ラ
イテルII(モリタ製作所製)で20秒間照射した。照射
直後に金型から硬化物を取り出し、未重合部分をワイパ
ーで拭き取り、硬化物の高さをノギスで計測した。結果
を表1に示すが、これより本発明の組成物は硬化深度に
おいて、カンファーキノンを用いた比較例1より優れ、
光重合能の高いことは明らかである。
【0037】
【表1】
【0038】 実施例3〜4及び比較例2 本発明の組成物の化学重合能として硬化物のブリネル硬
度を評価するために、重合性単量体、光重合開始剤、化
学重合開始剤、還元剤および石英粉末からなる混合物を
作成し、2組の組成物A,Bとした(実施例3、4)。ま
た実施例3のホスフィンオキサイドの代わりにカンファ
ーキノンを用いた組成物を調製し比較例2とした。それ
らの重量組成を表2に示す。各組成物A,Bを等量秤取
し、練和したものを直径10mm、厚さ5mmの金型に
充填、ガラス板で圧接し、37℃の暗所に30分間放置
して化学重合硬化体を作成した。このガラス圧接面につ
いてミクロブリネル硬さ試験器(森試験機製作所製)を
用いて表面のブリネル硬度を計測した。結果をブリネル
硬度HBとして表2に示すが、これより本発明の組成物
の化学硬化性能に何ら問題のないことは明らかである。
【0039】
【表2】
【0040】実施例5〜6及び比較例3 本発明の組成物の光重合前後の色調変化を評価するため
に、重合性単量体、光重合開始剤、化学硬化開始剤およ
び還元剤からなる混合物を作成し、組成物A,Bとした
(実施例5、6)。また実施例5のホスフィンオキサイド
の代わりにカンファーキノンを、トルイジンの代わりに
4−ジメチルアミノ安息香酸エチルを用いた組成物を比
較例3とした。それらの重量組成を表3に示す。該組成
物を等量秤取し、練和したものをポリエチレンフィルム
ではさんだ直径5の20mm、厚さ1mmの金型に流し
込み、色差計Σ90(日本電色製)を用いてL*a*b
*表色系で測色した。次に歯科用重合器α−ライトII
(モリタ東京製作所製)で5分間光照射した後、同様に
測色した。この照射前後の色調変化をΔE=(ΔL*2
+Δa*2+Δb*21/2 で表し、表3に示した。本発
明の組成物は光重合前後の色調変化が極めて小さく、比
較例3より優れていることは明らかである。
【0041】
【表3】
【0042】実施例7〜8及び比較例4 本発明の硬化物の耐光性を評価するために、重合性単量
体、光重合開始剤、化学重合開始剤および還元剤よりな
る混合物を作成し、組成物A,Bとした(実施例7、
8)。また実施例7のホスフィンオキサイドの代わりに
カンファーキノンを用いた組成物を比較例4とした。そ
れらの重量組成を表4に示す。各組成物を等量秤取し、
練和したものを直径20mm、厚さ1mmの金型に流し
込み、歯科用重合器α−ライトII(モリタ東京製作所
製)で5分間光照射し重合硬化物を作成した。該硬化物
の半分をアルミホイルで被覆し、37℃水中にて150
000Lxの光を24時間照射した。非照射面および照
射面について、L*a*b*表色系による色差を色差計
Σ90(日本電色製)を用いて計測した。ここでΔE=
(ΔL*2+Δa*2+Δb*21/2であり、非照射面と
照射面の色差を表す。これより本発明の組成物は光照射
後の変色が少なく、耐光性に優れることが明らかであ
る。
【0043】
【表4】
【0044】実施例9〜10及び比較例5 本発明の組成物の硬化物の熱水による着色に対する安定
性を評価するために、重合性単量体、光重合開始剤、化
学重合開始剤および還元剤からなる混合物を作成し、こ
れを組成物A,Bとした(実施例9、10)。また実施例
9のホスフィンオキサイドの代わりにカンファーキノン
を用いた組成物を調製し比較例5とした。それらの重量
組成を表5に示す。各組成物を等量秤取し、練和したも
のを直径20mm、厚さ1mmの金型に流し込み、37
℃の暗所に30分間放置し重合硬化物を作成した。この
硬化物を色差計Σ90(日本電色製)を用いてL*a*
b*表色系による色度を測定した後、70℃の精製水に
暗所で1週間浸漬した。浸漬後の硬化物を再度同様に測
色し、浸漬前後の色調変化をΔE=(ΔL*2+Δa*2
+Δb*21/2で表し、表5に示した。これより本発明
の組成物の硬化体は暗所熱水耐変着色性に優れることが
明らかである。
【0045】
【表5】
【0046】
【発明の効果】本発明の歯科用重合性組成物は、光硬化
能・化学硬化能に優れ、重合前後の色調変化が小さく、
硬化物の色調安定性が高く、物理的および臨床的特性に
優れたものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合可能なオレフィン性不飽和基を有する
    単量体(a)、光重合開始剤としてアシルホスフィンオ
    キサイド(b)、開始剤として有機過酸化物(c)及び
    還元剤として第3級アミン(d)を構成成分とし、有機
    過酸化物(c)と第3級アミン(d)が別包装に含有さ
    れてなる歯科用重合性組成物。
  2. 【請求項2】該光重合開始剤(b)が2,4,6−トリ
    メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドであ
    り、該有機過酸化物(c)がジアシルパーオキサイドで
    ある請求項1の歯科用重合性組成物。
  3. 【請求項3】該光重合開始剤(b)が2,4,6−トリ
    メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドであ
    り、該有機過酸化物(c)がベンゾイルパーオキサイド
    である請求項1の歯科用重合性組成物。
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