JPH10331116A - 遮音壁 - Google Patents

遮音壁

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Publication number
JPH10331116A
JPH10331116A JP9145612A JP14561297A JPH10331116A JP H10331116 A JPH10331116 A JP H10331116A JP 9145612 A JP9145612 A JP 9145612A JP 14561297 A JP14561297 A JP 14561297A JP H10331116 A JPH10331116 A JP H10331116A
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JP
Japan
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panel
active layer
photocatalytic
sound insulation
titanium oxide
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Pending
Application number
JP9145612A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Saito
俊夫 斉藤
Takatoshi Ogawa
孝寿 小川
Atsumichi Kushibe
淳道 櫛部
Shinichiro Ando
慎一郎 安藤
Yoshimasa Ito
喜昌 伊藤
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Kobe Steel Ltd
Takenaka Komuten Co Ltd
Takenaka Doboku Co Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Takenaka Komuten Co Ltd
Takenaka Doboku Co Ltd
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Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd, Takenaka Komuten Co Ltd, Takenaka Doboku Co Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で遮音性が良好であり、排気ガ
ス中のNOX 、SOX 除去効果及びその持続性に優れ、
定期的なメンテナンスを必要としない遮音壁を提供す
る。 【解決手段】 遮音壁10は片面に酸化チタンを含有
する光触媒活性層18を備えた第1のパネル12と、該
第1のパネル12との間に気体が通過し得る通風路16
を隔てて配置され、両面に酸化チタンを含有する光触媒
活性層18を備えた第2のパネル14から構成される。
この光触媒活性層18は、チタン含有金属材料を陽極酸
化して得られた陽極酸化膜及び/又は酸化チタン粉体を
含有する薄膜等からなる。排気ガス中のNOX 、SOX
は光触媒活性層18に接触して酸化され、空気中に存在
する水分や降雨などによりHNO3 、H2 SO4 として
固定化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は環境浄化能を有する
遮音壁に関し、詳しくは光触媒活性を有する層を備え、
排気ガスに含まれる窒素酸化物等の除去に有用な遮音壁
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の排気ガス中に含まれる窒
素酸化物(NOX )、硫黄酸化物(SOX )等による大
気汚染が深刻化しているが、その対策としては、自動車
の排気ガス規制、NOX 、SOX を発生しない電気モー
タなどの他の動力機関への移行などが検討されているに
すぎないのが現状である。そこでこれらNOX 、SOX
を回収するために活性炭やセメントなどの表面積の大き
い吸着材を用いて吸着、除去させる方法が検討されてい
る。しかしながら、吸着除去による方法では吸着材が飽
和した時点で吸着材の交換が必要であり、回収された吸
着材自体の処理又は吸着されたNOX を除去することに
よる再生処理を要するため、定期的なメンテナンスを要
するものであった。特に交通量の多い幹線道路や高速道
路においては、騒音とともにこの排気ガスによる大気汚
染が深刻であり、構造が簡単であって効果の持続性に優
れ、定期的なメンテナンスを必要としないNOX 、SO
X の除去手段が望まれていた。
【0003】従来、光触媒として、半導体機能を有する
酸化チタン、酸化鉄、酸化タングステン、酸化ケイ素等
若しくはそれらに触媒機能を向上させる目的で白金の如
き金属を担持させたものを用いており、防臭、防黴機能
を利用するために、それを微粒子化して表面に固定膜を
形成させたり、該微粒子を処理しようとする目的物に分
散させたりして用いていた。
【0004】該光触媒機能を利用して、金属材料に防
臭、防黴機能を付与するために、微粒子化した光触媒を
基体に塗布する方法として、スプレーコーティング法、
ディップコーティング法、スピンコーティング法が知ら
れている。
【0005】この光触媒活性を有する薄膜の強度を達成
するために、チタン或いはチタン合金からなる金属材料
基材を陽極酸化処理し、表面に酸化チタン層を形成する
ことも提案されている。このチタンを含有する金属材料
に形成された陽極酸化膜は、その膜厚によって、様々な
発色が得られることが知られおり、陽極酸化膜厚は、陽
極酸化電圧にほぼ比例するため、酸化電圧をコントロー
ルすることにより、様々な発色の金属材料が得られ、目
的に応じた発色の金属材料を酸化電位の調整によって任
意に得ることができ、意匠的にも好ましいものである。
【0006】陽極酸化膜を所定の温度に加熱することに
より、光触媒活性が発現され、この熱処理条件によって
光触媒特性を制御し得ることが知られている。本発明で
は、これらの光触媒活性を有する物質を、従来とは異な
る目的、すなわち前記排気ガスの浄化処理に適用しよう
とするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題点を
考慮してなされたものであり、本発明の目的は、簡単な
構成で遮音性が良好であり、さらに、排気ガス中のNO
X 、SOX 除去効果及びその持続性に優れ、定期的なメ
ンテナンスを必要としない遮音壁を提供することにあ
る。本発明の第2の目的は、光触媒活性作用に優れ、長
期間用い得る強度と耐久性を有し、しかも、目的に応じ
た色相や光沢を得ることができる意匠性に優れた遮音壁
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
遮音壁は、少なくとも片面に酸化チタンを含有する光触
媒活性層を備えた第1のパネルと、該第1のパネルとの
間に気体が通過し得る通風路を隔てて配置され、少なく
とも片面に酸化チタンを含有する光触媒活性層を備えた
第2のパネルとからなり、該光触媒活性層を第1のパネ
ルの通風路側の面に備えたことを特徴とする。ここで、
第2のパネルは両面に光触媒活性層を備えていてもよ
い。
【0009】本発明の遮音壁において、第1のパネル
が、通風路側の面に孔あき板を設けるとともに内部に多
孔質材料を充填した吸音パネルであり、該孔あき板の表
面に光触媒活性層を備えたものが、吸音性の観点から好
ましい。また、光触媒活性層は、チタン含有金属材料を
陽極酸化して得られた膜厚200〜5000Åの陽極酸
化膜からなるものであっても、酸化チタン粉体を含有す
る薄膜からなるものであってもよい。
【0010】有害物質の処理効率を上げるため、通風路
の少なくとも一カ所に排気ガスを通風路に誘導するため
のファンを備えた態様や、光触媒活性層表面に光を供給
するための光源を備えた態様が好ましく、これらの電源
としては太陽電池を用いることが省エネルギーの観点か
ら好ましい。
【0011】本発明の遮音壁は、二つのパネル間に通風
路を設けて、通風路に面するパネルの表面に光触媒活性
を有する層を設けて、その通風路に排気ガスを誘導する
ことにより、排気ガスに含まれるNOX 、SOX が光触
媒活性層に接触して酸化され、空気中に存在する水分や
降雨などによりHNO3 、H2 SO4 として固定化され
る。これら固定化された酸性物質は中和装置などによっ
て処理した後、排出すればよい。NOX 、SOX を酸化
する光触媒反応は光触媒活性層表面で起こるため、反応
は連続的に行われ、長期間の光触媒活性が維持される。
また、通風路にへの排気ガスの誘導は、走行中の自動車
によって引き起こされる風を利用すればよく、さらに、
通風路のいずれかに排気ガス誘導のためのファンを設け
ることにより処理効率を上げることもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の遮音壁について、
図面を示して詳しく説明する。
【0013】本発明の遮音壁は、対向する2枚のパネル
により形成された通風路に排気ガスを誘導し、少なくと
も通風路に面して光触媒活性層を有することにより構成
される。図1は、本発明に係る遮音壁の一態様を示す概
略断面図である。遮音壁10は、道路の両端に配置さ
れ、道路の最外側に第1のパネル12が備えられ、それ
と平行に道路の中央部側に第2のパネル14が備えら
れ、それらの間に通風路16が形成されている。二枚の
パネル12、14の上端は道路の中央部に向かって湾曲
している。第1のパネル12の通風路16側表面には光
触媒活性層18が形成されており、第2のパネル14の
両面にも光触媒活性層18が形成されている。道路を自
動車が通過するとその風圧で排気ガスが第2のパネル1
4の下方に設けられた開口部20から通風路16へと誘
導される。それぞれのパネル12、14の下端近傍に
は、光触媒活性層18表面において生成する酸性物質を
誘導するための耐酸性の材料からなるドレン22が形成
されており、酸性物質を図示されない中和槽へと搬送す
る。通風路16へ誘導された排気ガスや路上に拡散した
排気ガスは第1及び第2のパネル12、14の表面に形
成された光触媒活性層18に接触して排気ガス中のNO
X 、SOX が酸化され、空気中に存在する水分や降雨な
どによりHNO3 、H2 SO4 として固定化されパネル
壁面を伝わって下方へ流れ、ドレン22に流入する。通
風路16出口からは、浄化された空気が排出される。こ
の態様では、遮音壁10は第1及び第2のパネル12、
14からなる二重構造を有し、且つそれらの間に空気の
流動が行われる空隙、即ち、通風路16が形成されてい
ることから、従来の一枚壁からなる遮音壁に比較して遮
音性に優れている。
【0014】パネルの材料は通常、遮音壁に用いられる
ものを適宜選択することができ、例えば、金属パネル、
コンクリート製パネルなどの単一の材料からなるパネル
でもよく、鉄筋を芯材として形成されたコンクリートな
どの建築材料からなる構造体であってもよく、また、適
当な枠材中に多孔質材料や繊維状物質が充填され、表面
に穴あき板を備えた吸音パネルであってもよい。本発明
に用いられる基材となるパネルは単位面積当たりの処理
効率の観点から、配置面積当たりの表面積が大きいもの
が好ましく、このため、パネル基材表面に凹凸を形成し
たり、多孔質材料を用いることも好ましい。
【0015】通風路16の幅、すなわち第1のパネル1
2と第2のパネル14との間隔は道路の規模や交通量
(すなわち排気ガスの量)によって適宜選択し得るが、
一般的には5〜30cm程度であることが好ましい。ま
た、第1のパネル12と第2のパネル14とは必ずしも
平行に配置されなくてもよく、通風路16に広い部分と
狭い部分とを設けてもよく、先端が広くなっている構造
でも、先端が狭くなっている構造でもよく、また、先端
の全てが開放されていなくてもよく、例えば、通風路に
おける排気ガスの流れを制御する等の目的によって通風
路16の構造は適宜選択することができる。
【0016】次に、これらのパネル表面に光触媒活性層
を形成する方法について説明する。本発明において光触
媒活性層を形成材料としては酸化チタン含有材料が最も
好ましい。酸化チタン含有材料をパネル表面に形成する
方法としては、チタン含有金属材料からなる基材を陽極
酸化処理する方法が挙げられる。この処理により基体上
に酸化チタンを含む陽極酸化膜が形成され、この酸化チ
タンが優れた光触媒活性を有する。ここで基材として用
いられるチタン含有金属材料とは、純チタン及びチタン
を含有する合金を包含するものである。パネル自体をこ
のチタン含有金属材料とすれば、パネル上に直接光触媒
活性層を形成できる。
【0017】チタン含有金属材料は、実質的に100%
チタンからなる純チタンであってもよく、またチタンを
含有する合金であってもよいが、得られる金属材料の光
触媒性能の観点から、基体に使用される合金全体におけ
るチタン含有量は90%以上であることが好ましい。本
発明において、実質的とは、本発明の効果を損なわない
程度の不純物、混合物の存在を包含する意味を有するも
のである。
【0018】また、チタンと共に合金を構成する金属
は、チタンとの相溶性が良好であれば特に制限はなく、
目的に応じて、例えば、Ti−5Al−2.5Sn合
金、Ti−6Al−4V合金、Ti−15Mo−5Zr
−3Al合金等の如き汎用のチタン合金も使用すること
ができる。
【0019】光触媒効果の観点からは、酸化チタンと併
用することにより光触媒活性を向上させる働きを有す
る、5族〜11族元素及び14族元素からなる群より選
択される元素を併用することが好ましい。なかでも、光
触媒活性向上の顕著な元素、例えば、白金、金、パラジ
ウム、ルテニウム、ニッケル、コバルト、クロム、モリ
ブデンがより好ましい。また、酸化物を形成することに
よってさらに光触媒活性を発現するという観点から、
鉄、タングステン、亜鉛などの金属も好ましい。
【0020】また上記の光触媒活性を向上させる働きを
する元素について、陽極酸化に用いる電解水溶液である
1容量%(25℃)リン酸水溶液中でアノード分極測定
した結果、特に光触媒活性の向上が大きい元素は、不働
態域においてアノード電流が5×10-2mA/cm2
上となる電位が対Ag/AgCl(銀・塩化銀参照電極
基準)で3V以下となることがあきらかになった。この
ような効果を有する元素として、特にニッケル、ルテニ
ウム、クロムが挙げられる。
【0021】これらの併用元素の好ましい添加量は、各
々の元素が金属基材全体に対して0.005〜2.0重
量%の範囲である。添加量が0.005重量%未満では
好ましい光触媒活性向上効果が得難く、2.0重量%を
超える添加は、チタン含有金属材料の加工性や靱性が低
下する虞があるため、いずれも好ましくない。
【0022】このような陽極酸化処理を行うと、表面に
近い部分ほど、酸化チタン〔TiO 2 〕の含有量が多
く、基体の内部ではチタン〔Ti〕の割合が多くなり、
光触媒反応に関与する表面部分に光触媒活性を有する酸
化チタンが多く存在して、効率よい光触媒活性を示すと
共に、陽極酸化膜が基体である金属材料と一体化されて
形成されるため、強度、耐久性に優れた光触媒活性層が
形成される。
【0023】本発明においては、光触媒機能を発現する
物質として、酸化チタンを用いているが、通常、光触媒
機能を発現する半導体としては、特公平2−9850号
の記載の如き物質が挙げられ、特に、酸化チタン、酸化
鉄、酸化タングステン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチ
ウム等が広く知られている。本発明の光触媒活性を有す
る金属材料には、主として光触媒効果に特に優れた酸化
チタンの原料であるチタン含有金属材料を使用している
が、前記の各半導体材料やそれらを構成する金属材料、
例えば、アルミニウム、ステンレス及び亜鉛等も好適に
適用しうる。
【0024】チタン含有金属材料等からなる基材は、パ
ネル自体をこの金属材料で作成する場合には、予めパネ
ルの形状、寸法に加工し、コンクリートや多孔質板など
のボードの表面に添付して用いる場合には、予め金属薄
板や箔状に加工し、その後、陽極酸化処理される。陽極
酸化処理を行う前に、熱処理等の前処理を施してもよ
い。所望の形状に成形加工したものは、表面洗浄を施さ
れ、その後酸化処理に付されるが、均一で緻密な処理が
可能である、複雑な形状でも簡単に処理しうる、光触活
性を有する層の強度に優れるという観点から、電解質溶
液中での陽極酸化処理が好ましい。酸化処理を行うと、
チタン含有金属材料のうち表面部分が酸化して酸化チタ
ンを含有する陽極酸化層を形成させることができる。
【0025】図2は、陽極酸化処理装置の概略図であ
る。所望の形状に成形され、前処理を施されたチタン含
有金属材料からなる成形体(図2においては板状をな
す)24は、アノード26に接続され、カソード28に
は純チタン板30が接続される。セル32中には、適当
な電解質を含有する水溶液(本態様においては25℃1
容量%リン酸水溶液)34が満たされ、前記成形体24
と純チタン板30が浸漬されている。電圧計36、電流
計38を観察して、直流電流を調整しながら、直流電力
供給装置39により電力を供給して、電圧数V〜数百V
程度で、陽極酸化処理を行うものである。すなわち、得
られた金属材料成形体24を、図2に示す陽極酸化処理
装置のアノード26に取り付けて、1重量%リン酸水溶
液中で、電圧10〜250Vで陽極酸化処理を行って、
金属材料、特にそこに含まれるチタンを酸化し、表面に
数百Å〜数千Åの厚さの酸化チタン膜(陽極酸化膜)1
8を形成させるものであり、この酸化チタン膜が光触媒
活性層の機能を果たす。
【0026】この陽極酸化処理の程度は、所望の光触媒
活性及び発色色相によって調整する。即ち、酸化チタン
膜18は、その膜厚によって様々な発色が得られ、ま
た、酸化チタン膜厚は、陽極酸化電圧にほぼ比例するた
め、酸化電圧をコントロールすることにより、様々な発
色の金属材料を得ることができる。形成される陽極酸化
膜の膜厚は、意匠性及び優れた光触媒活性を有するとい
う観点から、膜厚は200〜5000Å程度であること
が好ましい。この陽極酸化処理によれば、微細で均一な
表面酸化が可能なため、複雑な形状の金属材料も、均一
で、且つ、すぐれた光触媒機能を持つものに簡単に加工
することができる。
【0027】金属材料基体の表面に形成された陽極酸化
膜を固定化し、強度、密着性を向上させ、且つ、光触媒
特性を向上させるために、この陽極酸化膜を形成した
後、引続き大気酸化処理を行うのが有効である。これ
は、大気中において加熱処理を施すものであり。処理条
件は温度が200〜600℃の範囲で、10〜300分
間行われることが好ましく、より好ましくは、温度が2
30〜300℃の範囲、処理時間30〜150分間の範
囲である。温度が低すぎる場合又は処理時間が短すぎる
場合には、酸化被膜の強度、密着性の向上効果が不十分
であり、温度が高すぎる場合には、被膜の色調が灰色に
変化してしまい意匠性が低下する。また、被膜の強度、
密着性の向上は処理時間150〜300分で飽和し、そ
れ以上の処理を続けても効果の向上は見られないので、
経済的な観点からこの時間を超える処理は好ましくな
い。
【0028】また、光触媒活性層を形成する他の方法と
しては、酸化チタン粉体を含有する薄膜をコーティング
する方法が挙げられる。酸化チタン粉体含有薄膜の形成
方法としては、光触媒活性を有する酸化チタン粉体など
をそのまま或いは適当な分散媒に分散させてパネル基材
の表面にコーティングする方法が挙げられる。酸化チタ
ン粉体含有薄膜の膜厚は0.1〜2μmであることが好
ましくい。0.1μm未満では十分な光触媒活性が得難
く、2μmを超えても光触媒活性効果の向上は見られ
ず、薄膜の膜強度に問題がでる虞がある。
【0029】ここで用いられる酸化チタン粉体は、光触
媒機能を向上させる機能を有する元素で修飾されたもの
を用いることもできる。これらの元素は、酸化チタンと
共存して、光触媒反応において還元反応サイトになりう
る元素で、周期律表5族〜11族元素及び14族元素な
どが代表的に挙げられるが、特に効果の高い白金、金、
パラジウム、銀、銅、ルテニウム、ニッケル、コバル
ト、クロム、モリブデンからなる群から選択されること
が好ましく、これらのうち、防臭、防黴効果の点から白
金、金、パラジウム、ルテニウム、ニッケル、クロム、
銀がより好ましく、加工の容易さ、価格の点からパラジ
ウム、ルテニウム、ニッケル、クロムが特に好ましい。
【0030】コーティングする酸化チタンは市販の酸化
チタン粉を用いることもできるが、例えば、チタンの高
温焼成、電気酸化、化学的蒸着法、真空蒸着法、共沈
法、金属ハロゲン化法、無機金属塩の中和や加水分解、
金属アルコキシドの加水分解、ゾルゲル法等の常法によ
り調製することもできる。また、酸化チタンの前記元素
による修飾は、含浸法、沈澱法、イオン交換法、光電析
法、練成法等の公知の方法により行うことができる。
【0031】本発明において、前記パネル基材の表面に
酸化チタン粉体含有薄膜を形成する方法は、例えばスプ
レーコーティング法、ディップコーティング法、スピン
コーティング法、スパッタリング法等の少なくとも1つ
以上の方法が採用される。これらの方法により平面、曲
面あるいは複雑な形状面を有する如きパネル基材上の一
部又は全部に酸化チタン粉体含有薄膜を形成することが
できる。このような方法によって形成される酸化チタン
粉体含有薄膜は、光触媒活性を有し、防臭・防黴性など
を発現する。
【0032】さらに、この酸化チタン粉体含有薄膜の強
度、密着性を向上させるために、この酸化チタン粉体含
有薄膜形成後に、加熱処理を行うことが好ましい。この
加熱処理は、光触媒活性を有する材料が適用される部位
に要求される強度、光触媒性能によって、選択すること
ができるが、前記大気酸化処理の場合と同様に、200
〜600℃の温度範囲で10〜300分の範囲で行われ
ることが好ましく、より好ましくは、温度が230〜3
00℃の範囲、処理時間30〜150分間の範囲であ
る。加熱時間が10分未満或いは温度が200℃未満で
あると膜強度、密着性の向上が不充分であり、温度が6
00℃を超えると、下層の陽極酸化被膜の色調が灰色に
変色し、意匠性が低下するため好ましくない。また、加
熱処理を150〜300分を超える時間行っても効果の
向上は見られず、経済的観点から好ましくない。加熱処
理は、例えば、電気炉中で、約30〜150分間行い、
その後は室温まで徐々に冷却することが好ましい。冷却
を急激に行うと、膜と基体との熱膨張係数の差によるク
ラックが生じ、密着性が低下するため好ましくない。
【0033】光触媒活性層の好ましい態様として、前記
陽極酸化膜の表面に、さらに酸化チタン粉体を含有する
薄膜をコーティングする態様が挙げられる。この場合、
粉体含有薄膜の光透過性(透明性)が低下して、陽極酸
化膜の色相が損なわれるのを防止するため、酸化チタン
粉体含有薄膜の膜厚は200Å〜2μmであることが好
ましい。このように表面に形成された酸化チタン粉体含
有薄膜の膜厚を数μm程度までとすることによって、透
明性を有し、且つ、光触媒活性を有する薄膜となる。従
って、薄膜の下層に形成された陽極酸化膜の色彩や光沢
の効果を損なうことなく、2層構造による高い光触媒活
性を達成することができる。
【0034】表面に酸化チタン粉体含有薄膜を形成した
後に、前記の如き大気中における加熱処理を行う場合に
は、陽極酸化膜を形成した後の加熱処理を省略すること
ができる。即ち、陽極酸化膜及び酸化チタン粉体含有薄
膜の2層を形成した後に、加熱処理を行うことによって
も同様の特性を有する光触媒活性層を得ることができ
る。酸化チタン粉体含有薄膜は、光触媒活性を有し、防
臭・防黴性などを発現するが、一般に、構造をミクロ的
に見ればポーラスで、強度や密着性に問題がある場合も
多いが、このように薄膜の下層に緻密で強度、密着性に
優れた陽極酸化膜を形成することにより、さらに優れた
強度、密着性が得られる。
【0035】また、光触媒活性層の別の態様として、光
触媒活性を有する酸化チタン等の金属粒子を無機バイン
ダー中に分散させたものを用いて層を形成することがで
きる。ここで無機バインダーとはセメント、コンクリー
トのような無機多孔質体マトリックスが好ましい。この
光触媒活性を有する物質としては、特開平9−6632
8号に記載の無機粒状材料が好ましく、また、この無機
粒状材料を形成する分散体の層をパネル材表面に形成
し、物理力を加えて光触媒活性を有する粒子をマトリッ
クス表面に露出させて光触媒活性層を形成することもで
きる。このように、多孔質体からなるバインダーを用い
ることにより大きな表面積が得られ、処理効率上も好ま
しい。
【0036】図1で示した遮音壁は、排気ガスが自動車
が通過する風圧で対向する2枚のパネル12、14によ
り形成された通風路16に排気ガスを誘導するものであ
ったが、排気ガスを積極的に通風路16に誘導し、さら
に空気浄化処理効率を上げるために通風路16の一部に
ファンを設けることが好ましい。図3は、通風路16の
入り口近傍にファン40を設けた遮音壁の態様を示す概
略断面図である。図3における遮音壁42の第1のパネ
ル12はコンクリートパネル基材44の通風路側の表面
に光触媒活性層18が形成されており、第2のパネル1
4はコンクリート46からなり、その両面に陽極酸化膜
からなる光触媒活性層18が形成されている。ここで
は、第2のパネル14の下方に設けられた開口部20に
ファン40が備えられており、道路側に拡散する排気ガ
スを積極的に通風路16に誘導し、通風路16内におい
て気流を発生させるため排気ガスと光触媒活性層18と
が接触する確率も上昇し、排気ガスの浄化処理効率が向
上する。
【0037】図4は、ファン40が通風路16の出口近
傍に配置された遮音壁48の態様を示す概略断面図であ
る。このように、通風路16に排気ガスを誘導するため
のファン40は通風路16のいずれの場所に設けられて
いてもよい。図4における遮音壁48の第1のパネル1
2は金属パネル基材44の通風路側の表面に陽極酸化膜
上に酸化チタン粉体含有薄膜を形成してなる光触媒活性
層18が設けられており、第2のパネル14はチタン含
有金属基材の表面に陽極酸化膜からなる光触媒活性層1
8が形成されている。この第2のパネル14は両面が光
触媒活性層18であり、両面ともに光触媒活性を有して
いる。
【0038】本発明の遮音壁においては、排気ガスと光
触媒活性層との接触効率が空気浄化処理効率と相関する
ため、特に道路側に配置される第2のパネルは表面積が
大きいことが好ましい。この目的のための第2のパネル
の形状の例を挙げれば、図5に斜視図として示すのは、
多数のルーバーを横に並列に配置した形状であり、ルー
バー50は道路側の先端が下方に向くように傾斜してお
り、下方の先端には酸性物質を誘導するドレン52がル
ーバー50の横方向の全長にわたって配置されている。
酸性物質はドレン52から道路のパネル下方に設けたド
レン22へとパイプ54を経由して誘導される。道路側
を下方にして傾斜しているルーバー54により、第2の
パネルの下方に設けられた開口部20より通風路16へ
誘導されなかった排気ガスをその上昇の方向に従って通
風路へと効果的に誘導し得るという利点を有する。図6
は第2のパネルが縦方向に多数のルーバー56を備えた
態様を示す斜視図であり、自動車の走行に伴う風圧によ
って排気ガスが効率よくパネル表面の光触媒活性層と接
触する態様となっている。また、図7は第2のパネル自
体が光触媒活性材料からなるメッシュで構成されてい
る。メッシュ状の光触媒活性層58は、配置面積に対し
て大きな表面積を有し、さらに、メッシュの開口部を通
って通風路16に誘導される排気ガスと接触する割合も
多いといえる。メッシュの開口径には特に制限はない
が、800μm〜5mm程度であることが好ましく、小
さすぎると通気性が阻害され、大きすぎると接触面積が
減少して光触媒活性が不充分となる。これら第2のパネ
ルの形状は、排気ガスと光触媒活性層18とが接触する
確率を上昇させるのみならず、平板状のパネルに比較し
て配置面積当たりの表面積が大きいことから、遮音効果
も向上する。
【0039】一方、第1のパネルの形状を変えること
で、遮音効果や空気浄化効率を向上することもできる。
図8は、第1のパネル12として吸音パネルを用いた遮
音壁60を示す概略断面図である。この遮音壁60は、
第1のパネルに通風路16側の面に孔あき板62を設
け、内部に多孔質材料64を充填した吸音パネルを用い
ており、この孔あき板62全体が酸化チタンを含有する
光触媒活性層18となっている。この吸音パネル内に充
填する多孔質材料64としては、ウレタンフォーム、発
泡ポリスチレンなどの有機多孔質体、グラスファイバー
やポリプロピレンファイバーなどの繊維状物質で形成さ
れた繊維塊状体、多孔質粒子を通気性を有する袋体に充
填したもの等を挙げることができる。これら内部に充填
された多孔質材料64表面にも光触媒活性層を形成して
もよい。
【0040】本発明の遮音壁は、パネル表面の光触媒活
性層18に光が照射されている限りにおいて窒素酸化物
などの除去作用を発現する。このため、トンネル内や立
体交差の下方に位置する道路における遮音壁の光触媒活
性層18に対する光源は道路に配置された街灯のみとな
る。このように光の照射量が低い場所や日照が得られな
い日にも十分な空気浄化処理効率を得るために、パネル
に照射するための光源を配置することができる。この光
源は紫外線を照射するものが好ましく、水銀灯、蛍光灯
などが一般的であり、可視光ではないが光触媒活性の観
点からブラックライトであってもよい。
【0041】先に述べたように、酸化チタン含有薄膜を
薄くすることにより、光透過性の光触媒活性層を得るこ
ともできる。光源を配置した遮音壁の場合、第2のパネ
ル基材をとして透明なガラス板や樹脂板を用いて光透過
性の第2のパネルとすることが意匠性の観点から好まし
い。図9は光透過性の第2のパネル14を配置した遮音
壁の態様を示す概略断面図である。第1のパネル12の
上端近傍には水銀灯70が配置されている。また、第2
のパネル14はガラス板72からなる基材の両面に酸化
チタン微粒子含有薄膜からなる光触媒活性層18が形成
されてなる。水銀灯70の消灯時には、第2のパネル1
4は光触媒活性層18により表面が光沢を有していて外
観が美麗であり、水銀灯70の点灯時には、第2のパネ
ル14は光透過性で透明な内壁を形成する。水銀灯70
から放射される可視光は第2のパネル14を透過して照
明としての機能を果たし、水銀灯70から放射される紫
外線は第1及び第2のパネルに形成された光触媒活性層
18を活性化させ、しかも、その大部分が第2のパネル
14の基材であるガラス板72を透過する際に吸収され
て道路を走行する車両に対する影響は殆どなくなる。
【0042】前記したファンや光源のエネルギーは外部
から供給してもよいが太陽電池を用いることが省エネル
ギーの観点から好ましく、太陽電池は遮音壁の外側や上
部に適切な傾斜をもって配置されることが好ましい。
【0043】空気中の窒素酸化物、硫黄酸化物などが光
触媒作用及び水分との反応により固定化されて生成した
酸性物質は耐酸性の材料、例えば、ステンレス、チタン
などの耐食金属材料で形成されたドレンや防錆塗料でコ
ーティングした金属材料樹脂材料で形成されたドレンに
より所定の中和槽へ集められ、中和されたのち排出され
る。光触媒活性層に生じた酸性物質は常に下方へ流れ落
ちるため、光触媒活性層表面に留まることはなく、従っ
て、光触媒活性層の活性は常に低下せず、特別のメンテ
ナンスを必要とせず、連続的な排気ガス浄化処理を行う
ことができる。
【0044】この排気ガスの浄化処理性能を向上させる
ため、図10に示すように道路の中央部、例えば、中央
分離帯の中などに表面に光触媒活性層を有する隔壁74
を配置することもできる。ここで用いる隔壁74は前記
した第2のパネル14と同様のものを適宜使用すること
ができる。
【0045】また、第1のパネル及び/又は第2のパネ
ルの上端近傍に散水装置を配置することも好ましい。即
ち、光触媒作用により酸化された窒素酸化物等は水分に
よって固定化されるが、散水装置により、一定間隔で積
極的に水分を供給することにより、この固定化が効率よ
く行われるとともに、光触媒活性層表面が水により洗浄
されることになり、表面への埃等の付着による光触媒の
活性の低下を防止することができる。
【0046】
【実施例】
(実施例1)チタン及び不可避適不純物からなる工業用
級の純チタンを溶製し、鋳塊を900℃において110
mm幅、1mm厚の板状に熱間圧延した。得られた板材を、
5重量%フッ素水溶液中で酸洗いして表面の酸化膜を除
去し、金属板とした。
【0047】得られた金属板を、図2に示した陽極酸化
処理装置のアノードに取り付けて、1重量%リン酸水溶
液中で、電圧110Vで陽極酸化処理を行って、金属材
料に含まれるチタンを酸化し、表面に約2000Åの厚
さの酸化チタン膜(陽極酸化膜)を形成させた。この金
属板はピンクの色相と光沢を有していた。
【0048】前記金属板の陽極酸化膜表面18A上に図
11に示すようなスプレーパイロリシス法によるコーテ
ィング装置に配置して、酸化チタン粉末をコーティング
した。容器66にアセチルアセトンチタン(IV)1.3
1gを100mlのエタノールに溶解した液体を入れ、
曲管ノズル68を通してアルゴンガス(0.5ata:
8ml/min)と混合して試験片12(A)の表面に
向けてスプレーした。試験片は加熱装置70によって温
度を370℃に保持し、表面に酸化チタン粉体を含有し
た薄膜を形成した。
【0049】このスプレー時間を1時間とし、得られた
金属板光触媒活性を測定した。酸化チタン粉体含有薄膜
の膜厚は2000Åであった。その後、300℃、2時
間の加熱処理を施した。
【0050】光触媒活性はヨウ化カリウム分解法によっ
て測定した。即ち、ヨウ化カリウム水溶液(0.1mo
l/cm3 )に試験片を光触媒活性を有する面が受光面
となるように浸漬し、ブラックライト(紫外線強度:
2.6mW/cm2 )を照射した。光触媒活性によって
ヨウ化カリウムが分解するときに発生するヨウ素の生成
量を測定して光触媒活性を評価する。ヨウ素生成量(×
10-5mol/30min)が多い程、光触媒活性が高
いと評価する。測定の結果、光触媒活性〔ヨウ素生成量
(×10-5mol/30min)〕は3×10-5mol
/30minであり、十分な光触媒活性を示すことがわ
かった。
【0051】この金属板を厚さ5cmの高さ1.8m、
幅1mのコンクリートパネル表面に取り付けて第1のパ
ネルとした。第1のパネルとの間隔を10cmとして第
1のパネルと平行にこの金属板のみからなる第2のパネ
ル(第1のパネルと同じサイズ)を配置した。第2のパ
ネルの下方には高さ30cmの開口部を設けて排気ガス
の導入口とし、側面を通気性のないシートで閉鎖して遮
音壁のモデルを形成した。遮音壁の道路側に面する第2
のパネルの表面はピンクの色相と光沢を有しており外観
も好ましい遮音壁が得られた。この遮音壁の遮音効果を
測定したところ、実用上好適に用いうるレベルであっ
た。排気ガスの処理効率を示す実験として、第2のパネ
ルの下方に設けた開口部付近で窒素酸化物2.0ppm
を含むガスを供給した。遮音壁上部の通風路出口付近の
ガスを採取して窒素酸化物の濃度を測定したところ、
1.4ppmであり、窒素酸化物のうち約30%が除去
されており、この遮音壁が窒素酸化物の除去に有用であ
ることがわかった。
【0052】(実施例2、3)陽極酸化処理における電
圧を20V、100Vに変化させて、陽極酸化膜の膜厚
を200Å、4000Åとし、陽極酸化膜を形成した
後、大気中で250℃、2時間の加熱処理した他は実施
例1と同様にして金属板を得た。この金属板をそのまま
光触媒活性層として用いた他は実施例1と同様にして遮
音壁を作成した。実施例1と同様の評価を行ったとこ
ろ、遮音性、光触媒活性、排気ガス処理能ともに実用レ
ベルに達していることがわかった。
【0053】(実施例4、5)パラジウムを0.1重量
%含有し、残部がチタン及び不可避適不純物からなるチ
タン基合金に対して実施例1と同様の条件で2000Å
の陽極酸化膜を形成した金属材料を得て、実施例2、3
と同様の条件でスプレー時間を変化させ、酸化チタン粉
体含有薄膜の膜厚を200Å、4000Åとした光触媒
活性を有する金属板を得た。この金属板を用いて実施例
1と同様にして遮音壁を作成し、実施例4、5とした。
【0054】これらについて、実施例1と同様の条件で
効果を測定したところ、遮音性、光触媒活性、排気ガス
処理能ともに実用レベルに達していることがわかった。
【0055】本発明の遮音壁の表面に光触媒活性層を設
けるにあたっては、パネル基材にチタンを含む金属材料
を用いて陽極酸化処理及び/又は酸化チタンコーティン
グ、さらに、所望により加熱処理を行う方法や光触媒活
性を有する微粒子を分散した無機バインダー層を形成す
る方法等が簡便であるが、コンクリート、多孔質ボード
などの所望の遮音壁の表面に、被覆材料として、予め製
造した光触媒活性層を有する薄膜材料、例えば、金属箔
や金属タイル等を接合させることもできる。この方法に
よれば、既存の遮音壁の表面にこの光触媒活性層を有す
る薄膜材料を接合して第1のパネルとし、その内側に適
切な間隔をおいて第2のパネルを固定することにより、
短い工期で排気ガス浄化処理能力を有する本発明の遮音
壁を作成することができる。
【0056】本発明の遮音壁は簡単な構成であり、既存
の遮音壁を改良することによっても製造することができ
る。また、光触媒活性層の形成工程において条件を調整
することにより、所望の色相や光沢を得ることができ、
意匠性にも優れている。
【0057】
【発明の効果】本発明の遮音壁は、簡単な構成で遮音性
が良好であり、さらに、排気ガス中のNOX 、SOX
去効果及びその持続性に優れ、定期的なメンテナンスを
必要としないというう効果を奏する。また、この遮音壁
は、光触媒活性作用に優れ、長期間用い得る強度と耐久
性を有し、目的に応じた色相や光沢を得ることができ、
意匠性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遮音壁の一態様を示す概略断面図
である。
【図2】陽極酸化処理装置の概略図である。
【図3】通気路の入り口近傍にファンを設けた遮音壁を
示す概略断面図である。
【図4】通気路の出口近傍にファンを設けた遮音壁を示
す概略断面図である。
【図5】第2のパネルが横方向のルーバー状である遮音
壁を示す斜視図である。
【図6】第2のパネルが縦方向のルーバー状である遮音
壁を示す斜視図である。
【図7】第2のパネルがメッシュ状である遮音壁を示す
斜視図である。
【図8】第2のパネルが光透過性である遮音壁を示す概
略断面図である。
【図9】第1のパネルが表面に穴空き板を有し、内部に
多孔質材料を充填した吸音パネルである遮音壁を示す概
略断面図である。
【図10】本発明に係る遮音壁に加えて道路中央に光触
媒活性層を有する隔壁を設けた状態を示す概略断面図で
ある。
【図11】スプレーパイロリシス法によるコーティング
装置の概略図である。
【符号の説明】
10 遮音壁 12 第1のパネル 14 第2のパネル 16 通風路 18 光触媒活性層 20 第2のパネルの開口部 22 ドレン 18A 陽極酸化膜 24 金属材料(基材) 26 アノード 28 カソード 40 ファン 44 コンクリート基材 46 金属基材
フロントページの続き (72)発明者 小川 孝寿 千葉県印西市大塚1丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 櫛部 淳道 千葉県印西市大塚1丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 安藤 慎一郎 東京都中央区銀座8丁目21番1号 株式会 社竹中土木内 (72)発明者 伊藤 喜昌 東京都千代田区丸の内1−8−2 株式会 社神戸製鋼所鉄鋼事業本部チタン本部内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも片面に酸化チタンを含有する
    光触媒活性層を備えた第1のパネルと、該第1のパネル
    との間に気体が通過し得る通風路を隔てて配置され、少
    なくとも片面に酸化チタンを含有する光触媒活性層を備
    えた第2のパネルとからなり、該光触媒活性層を第1の
    パネルの通風路側の面に備えたことを特徴とする遮音
    壁。
  2. 【請求項2】 前記第2のパネルの両面に光触媒活性層
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の遮音壁。
  3. 【請求項3】 前記第1のパネルが、通風路側の面に孔
    あき板を設け、内部に多孔質材料を充填した吸音パネル
    であり、該孔あき板の表面に光触媒活性層を備えたこと
    を特徴とする請求項1又は2記載の遮音壁。
  4. 【請求項4】 前記光触媒活性層が、チタン含有金属材
    料を陽極酸化して得られた膜厚200〜5000Åの陽
    極酸化膜からなる、ことを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載の遮音壁。
  5. 【請求項5】 前記光触媒活性層が、酸化チタン粉体を
    含有する薄膜からなる、ことを特徴とする請求項1乃至
    3のいずれかに記載の遮音壁。
  6. 【請求項6】 前記通風路の少なくとも一カ所に排気ガ
    スを通風路に誘導するためのファンを備えたことを特徴
    とする請求項1乃至5のいずれかに記載の遮音壁。
  7. 【請求項7】 前記光触媒活性層表面に光を供給するた
    めの光源を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のい
    ずれかに記載の遮音壁。
  8. 【請求項8】 前記ファン及び又は光源の電源として太
    陽電池を用いることを特徴とする請求項6又は7に記載
    の遮音壁。
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