JPH10330418A - シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの合成において、粒子サイズを制御し、かつファウリングを除くための手段 - Google Patents

シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの合成において、粒子サイズを制御し、かつファウリングを除くための手段

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JPH10330418A
JPH10330418A JP10136793A JP13679398A JPH10330418A JP H10330418 A JPH10330418 A JP H10330418A JP 10136793 A JP10136793 A JP 10136793A JP 13679398 A JP13679398 A JP 13679398A JP H10330418 A JPH10330418 A JP H10330418A
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acid
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ppm
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Tang Hong Wong
タン・ホン・ウォン
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Goodyear Tire and Rubber Co
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Goodyear Tire and Rubber Co
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    • C08F136/04Homopolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, at least one having two or more carbon-to-carbon double bonds the radical having only two carbon-to-carbon double bonds conjugated
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン
の水性重合において、反応器ファウリングを減じ、かつ
粒子サイズの制御を可能とする。 【解決手段】 本発明は、約0.001〜4ppmの酸素
の存在下にシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン
への水性重合を行うことによって反応器ファウリングが
大いに軽減または除去され、かつ粒子サイズが調節でき
るという予期されない発見に基づく。最小限の反応器フ
ァウリングを伴う水性媒質中でのシンジオタクチック
1,2−ポリブタジエンの製造方法であって、水性媒質
中で、(1)(a)遷移金属化合物、(b)有機アルミ
ニウム化合物及び(c)二硫化炭素、フェニルイソチオ
シアネート及びキサントゲン酸よりなる群から選択され
る少なくとも1員を含む触媒系、並びに(2)約0.0
1〜約4ppmの酸素の存在下に1,3−ブタジエンを
重合することを含んで成る、前記の方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シンジオタクチッ
ク1,2−ポリブタジエンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シンジオタクチック1,2−ポリブタジ
エン(SPBD)はフィルム、繊維及び成形製品の製造
に利用できる熱可塑性樹脂である。例えば、米国特許第
4,394,473号及び米国特許第4,957,97
0号はバッグ及び包装品の製造におけるSPBDの使用
を開示する。SPBDはまたポリジエンゴムのようなエ
ラストマー内にブレンドすることもできる。SPBD
は、交互の様式でその主鎖に結合した二重結合を含むの
で、そのようなブレンド内でゴムと同時硬化できる。事
実、SPBD/ゴムブレンドは、それらを種々のタイヤ
コンパウンドにおいて有用にする特有の性質の組み合わ
せを与える。
【0003】米国特許第4,790,365号は、タイ
ヤの支持カーカスまたはインナーライナー中に利用され
るゴム組成物内にSPBDを組み込むことが、これらの
組成物の生強度を大きく改善することを開示する。電子
ビーム前硬化(マイクロ波前硬化(precure))は、タイ
ヤを構築する際に使用される合成エラストマーの生強度
を改善する手段としての広い商業的容認を得た技術であ
る。しかし、電子ビーム前硬化技術は高価である。SP
BDのそのような合成エラストマーのブレンドへの組み
込みはしばしば、電子ビーム前硬化が要求されない程度
へ生強度を改善する。タイヤのためのインナーライナー
組成物として利用されるハロゲン化ブチルゴムへのSP
BDへの組み込みもそのような組成物のスコーチ安全性
を大きく改善する。米国特許第4,274,462号
は、熱蓄積に対する改善された抵抗を有する空気入りタ
イヤがはそのトレッドベースゴム内にSPBD繊維を利
用することによって製造できることを開示する。
【0004】米国特許第4,790,365号による
と、タイヤ用の支持カーカスを製造する際に利用される
SPBDは120℃〜190℃の範囲内の融点を有し、
そして支持カーカスを製造する際に利用されるSPBD
が150〜165℃の範囲内の融点を有することが好ま
しいことを開示する。タイヤのインナーライナーの製造
において使用されるSPBDは120〜160℃の範囲
内の融点を有し、そして好ましくは125℃〜150℃
の範囲内の融点を有する。ここで言及する融点はDSC
(示差走査熱量法)曲線から決定される値最小吸熱量で
ある。
【0005】1,3−ブタジエンモノマーを重合するこ
とによって製造するための技術は本技術分野において周
知である。これらの技術は溶液重合、懸濁重合及び乳化
重合を含む。これらの技術を利用して製造されたSPB
Dは典型的には約195℃〜約215℃の範囲内の融点
を有する。従って、ある用途において利用するためにそ
れを適切にするためにSPBDの融点を減じることが必
要である。
【0006】米国特許第3,778,424号にはシン
ジオタクチック1,2−ポリブタジエンの製造のための
方法が開示されており、該方法は(a)コバルト化合
物、(b)式AlR3(式中、Rは1〜6炭素原子の炭
化水素基である)の有機アルミニウム化合物、及び
(c)二硫化炭素を含む触媒組成物の存在下に有機溶媒
中で1,3−ブタジエンを重合することから成る。
【0007】米国特許第3,901,868号は、次の
連続工程によって、本質的にシンジオタクチック1,2
−ポリブタジエンから成るブタジエンポリマーを製造す
る方法を開示する:(a)1,3−ブタジエンを含む不
活性有機溶媒中に、(i)コバルトのβ−ジケトン錯
体、(ii)コバルトのβ−ケト酸エステル錯体、(i
ii)有機カルボン酸のコバルト塩、及び(iv)ハロ
ゲン化コバルト−リガンド化合物錯体のような該有機溶
媒に可溶性のコバルト化合物、並びに有機アルミニウム
化合物、を溶解することによって触媒成分溶液を調製す
ること、(b)(工程(a)において製造した)触媒成
分溶液をアルコール、ケトンまたはアルデヒド化合物及
び二硫化炭素と混合することによって触媒組成物を調製
すること、(c)望まれる量の1,3−ブタジエン、触
媒組成物及び不活性有機溶媒を含む重合混合物を与える
こと、並びに(d)1,3−ブタジエンを−20℃〜9
0℃の範囲内の温度で重合すること。
【0008】米国特許第3,901,868号は、製造
されたSPBDの融点が重合混合物中のアルコール、ケ
トンまたはアルデヒドに応答して変化することを示す。
米国特許第4,153,767号はN,N−ジメチルホ
ルムアミドのようなアミド化合物が、合成されるSPB
Dの融点を減じるために溶液重合中に使用できることを
示す。
【0009】米国特許第4,429,085号は、水性
媒質中での懸濁重合によってシンジオタクチック1,2
−ポリブタジエンを製造する方法を開示する。この水性
重合法において、本質的にシンジオタクチック1,2−
ポリブタジエンを有するポリブタジエンが次の工程: (A)1,3−ブタジエンを含む不活性有機溶媒中に、
(a)(i)コバルトのβ−ジケトン錯体、(ii)コ
バルトのβ−ケト酸エステル錯体、(iii)6〜15
の炭素原子を有する有機カルボン酸のコバルト塩及び
(iv)式CoXn(式中Xはハロゲン原子を表し、そ
してnは2または3を表す)のハロゲン化コバルト化合
物と、第3アミンアルコール、第3ホスフィン、ケトン
及びN,N−ジアルキルアミドより成る群かた選択され
る有機化合物との錯体;より成る群から選択される少な
くとも1種のコバルト化合物、並びに(b)少なくとも
1種の式AlR3(Rは1〜6の炭素原子の炭化水素基
を表す)の有機アルミニウム化合物を溶解することによ
って触媒組成物成分溶液を調製すること、(B)前記触
媒成分溶液を、望まれる量の前記1,3−ブタジエンを
含む1,3−ブタジエン/水・混合物と混合することに
よって反応混合物を調製すること、(C)前記反応混合
物全体に二硫化炭素を混合することによって重合混合物
を調製すること、並びに(D)前記重合混合物を攪拌し
ながら前記重合混合物中の1,3−ブタジエンをポリブ
タジエンへと重合することによって造られる。
【0010】米国特許第4,751,275号は、ベン
ゼン、トルエン、シクロヘキサンまたはn−ヘキサンの
ような炭化水素重合媒質内での1,3−ブタジエンの溶
液重合によるSPBDの製造方法を開示する。この溶液
重合において使用される触媒系は、炭化水素に可溶性の
3価クロム化合物、トリアルキルアルミニウム化合物、
及びジ−ネオペンチルホスフィットまたはジ−ブチルホ
スフィットのようなジアルキルホスフィットを含む。
【0011】米国特許第4,902,741号及び米国
特許第5,021,381号は、水性反応混合物中で
1,3−ブタジエンを重合することから成る、乳化重合
によってシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンラ
テックスを製造する方法を開示し、該水反応混合物は
(1)水;(2)少なくとも1種の乳化剤;(3)1,
3−ブタジエンモノマー、(4)少なくとも1種のポリ
エンを含む不活性有機溶媒中に(a)少なくとも1種の
コバルト化合物及び(b)少なくとも1種の有機アルミ
ニウム化合物を溶解して触媒成分溶液を生成させるこ
と、該触媒成分溶液を油、界面活性剤及び水と共に、約
10nm〜約1000nmの範囲内の平均粒子サイズへ
微細流動化することによって調製される触媒エマルジョ
ン組成物、ここで該少なくとも1種のコバルト化合物
(a)は(i)コバルトのβ−ケトン錯体、(ii)コ
バルトのβ−ケト酸エステル錯体、(iii)6〜15
の炭素原子を有する有機カルボン酸のコバルト塩及び
(iv)式CoXn(式中Xはハロゲン原子を表し、そ
してnは2または3を表す)のハロゲン化コバルト化合
物と第3アミンアルコール、第3ホスフィン、ケトン及
びN,N−ジアルキルアミドより成る群から選択される
有機化合物との錯体;より成る群から選択され、該少な
くとも1種の有機アルミニウム化合物(b)は式AlR
3(Rは1〜6炭素原子の炭化水素基である)のもので
ある;並びに(5)二硫化炭素及びフェニルイソチオシ
アネートより成る群から選択される少なくとも1員から
成る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】水性媒質内のSPBD
の合成は溶液重合を上回るいくつかの重要な利点を与え
る。そのような重合が実施される媒質としての水はより
廉価であり、より容易に精製でき、そして高い熱容量を
有する。そのような重合を水性媒質中で行うことはま
た、ポリマーサスペンションまたはエマルジョンの、ポ
リマー溶液に比較した低い粘度のために、より高いモノ
マー濃度及びより高い固体濃度を許容する。SPBDを
製造するための懸濁及び乳化重合と関連する主な欠点は
SPBDの融点を減じることに関係する困難さである。
言い換えれば、水性媒質中で合成されるSPBDの化学
構造、及びこのために結晶度及び融点を制御することが
困難である。溶液中で合成されるSPBDの結晶度のレ
ベルと結果として生じる融点を減じるために多くの改質
剤がたとえ使用され得るとしても、水性媒質中で合成さ
れるSPBDの結晶度を減じるための有効な改質剤はほ
とんどない。
【0013】米国特許第5,011,896号は、水性
媒質中で合成されるSPBDの融点を減じるための改質
剤として、4−(アルキルアミノ)ベンズアルデヒド、
4−(ジアルキルアミノ)ベンズアルデヒド、2,4−
ジ−(アルコキシ)ベンズアルデヒド、2,6−ジ−
(アルコキシ)ベンズアルデヒド、2,4,6−トリ−
(アルコキシ)ベンズアルデヒド及び4−(1−アザシ
クロアルキル)ベンズアルデヒドを開示する。米国特許
第5,405,816号は、そのような重合において合
成されるSPBDの融点を減じるための高度に有効な改
質剤としてのN,N−ジブチルホルムアミドの利用を開
示する。
【0014】
【課題を解決するための手段】SPBDの合成において
懸濁重合または乳化重合のような水性重合技術を利用す
ることについて主たる2つの困難性がある。これらの問
題は反応器ファウリング(fouling)及び粒子サイズの制
御である。本発明はこれらの両方の問題点に対する解決
を提供する。
【0015】反応器付着はバッフル、攪拌機、攪拌機シ
ャフト及び重合反応器の壁上のポリマーの望ましくない
ファウリングである。もちろん、この望まれないスラッ
ジを反応器から連続した基準で除去することが必要であ
る。反応器からファウリングをなくすこの仕事は一般に
困難で時間がかかる。従って反応器ファウリングは生産
性及び操作コストに悪影響する。
【0016】粒子サイズは生成物の操作に、特に乾燥工
程中に影響する。SPBDがあまりにも大きな粒子サイ
ズを有することは望ましくなく、乾燥及び取り扱いが困
難である。一方、あまりにも小さな粒子サイズも問題と
なる。例えば、小さな粒子は、処理するのが困難で爆発
の可能性があるダストを形成し得る。このことは、安全
な操作を確保するために高価な装置の使用を必要とす
る。
【0017】本発明はさらに詳細には、最小限の反応器
ファウリングを伴う水性媒質中でのシンジオタクチック
1,2−ポリブタジエンの製造方法であって、(1)
(a)遷移金属化合物、(b)有機アルミニウム化合物
及び(c)二硫化炭素、フェニルイソチオシアネート及
びキサントゲン酸よりなる群から選択される少なくとも
1員を含む触媒系、並びに(2)約0.01〜約4pp
mの酸素の存在下に1,3−ブタジエンを重合すること
を含んで成る、前記の方法を開示する。
【0018】本発明はさらに、最小限量の反応器ファウ
リングを伴う水性媒質中でのシンジオタクチック1,2
−ポリブタジエンの製造方法であって、1,3ブタジエ
ンモノマーを(1)触媒組成物、(2)二硫化炭素、フ
ェニルイソチオシアネート及びキサントゲン酸よりなる
群から選択される少なくとも1員、並びに(3)約0.
01〜約4ppmの酸素の存在下に重合することを含ん
で成り、該触媒組成物が(a)(i)コバルトのβ−ジ
ケトン錯体、(ii)コバルトのβ−ケト酸エステル錯
体、(iii)6〜15の炭素原子を有する有機カルボ
ン酸のコバルト塩、及び(iv)式CoXn(式中Xは
ハロゲン原子を表し、そしてnは2または3を表す)の
ハロゲン化コバルト化合物と、第3アミンアルコール、
第3ホスフィン、ケトン及びN,N−ジアルキルアミド
より成る群から選択される有機化合物との錯体;より成
る群から選択される少なくとも1種のコバルト化合物、
(b)少なくとも1種の式AlR3(Rは1〜6の炭素
原子の炭化水素基を表す)の有機アルミニウム化合物、
並びに(c)少なくとも1種の共役ジエンを反応させる
ことによって調製される、前記の方法を開示する。
【0019】重合媒質中の酸素レベルは通常は、亜硫酸
水素ナトリムのような酸素スカベンジャーの添加によっ
て約0.01〜約4ppmになるように調節される。し
かし、重合媒質中の酸素レベルは、窒素のような不活性
ガスを水性重合媒質中に散布することによって望まれる
範囲内にあるように調節することもできる。
【0020】本発明の技術に従って製造されるSPBD
は通常そのモノマー単位の約70%以上をシンジオタク
チック1,2−配置内に有する。ほとんどの場合、本発
明の方法によって製造されるSPBDはそのモノマー単
位の約75〜約95%をシンジオタクチック1,2−配
置内に有する。
【0021】本発明を実施するうえで、SPBDは水性
懸濁重合技術または乳化重合技術を利用して合成され
る。1,3−ブタジエンモノマーをSPBDへ重合する
ために必要な触媒系及び一般的な手順は米国特許第4,
429,085号に記述されている。そのような懸濁重
合技術は本発明を実施するうえにおいて利用でき、そし
て米国特許第4,429,085号の教示は参照によっ
てその全体においてここに組み込まれる。乳化重合によ
ってSPBDを製造するための有用な技術は米国特許第
4,902,741号及び米国特許第5,021,38
1号中に記述されている。これらに記述されている乳化
重合手順は本発明のプラクチスにおいて利用でき、従っ
て米国特許第4,902,741号及び米国特許第5,
021,381号の教示はその全体において参照によっ
てここに組み込まれる。
【0022】本発明を実施するうえで、1,3−ブタジ
エンモノマーは水性媒質中で、制御された量の酸素の存
在下に懸濁または乳化重合技術によって重合される。水
性重合媒質中に溶解している酸素の量が約0.01〜4
ppmの範囲内にあることが重要である。ここで使用す
る略語「ppm」は百万分の1を意味する。
【0023】もし4ppmよりも多い酸のが水性重合媒
質中に溶解していると、反応器ファウリングが起こり得
る。従って水性重合媒質中の酸素レベルが約4ppm以
下であることが重要である。水圧重合媒質が約0.05
〜や1ppmの溶解酸素を含むことが典型的に好まし
い。重合媒質が約0.1〜約0.3ppmの酸素を含む
ことが一般にさらに好ましい。
【0024】少量の酸素が水性重合媒質中に溶解してい
ることが粒子形成が起こるために望ましい。水性重合媒
質中に溶解している酸素の量が低い場合には、最適であ
るには小さ過ぎる粒子が典型的に形成する。容易に処理
できる望ましい粒子サイズのSPBD粒子を達成するた
めに、水性重合媒質中に溶解している酸素の量は典型的
には少なくとも約0.1ppmである。粒子サイズの制
御が重要である場合には、水性重合媒質中に溶解してい
る酸素の量は一般に約0.1〜約4ppmであるべきで
ある。そのような場合には、水性重合媒質中に0.1〜
1ppmの酸素が存在することが通常好ましく、水性重
合媒質中に0.1〜0.3ppmの酸素が存在すること
が最も好ましい。
【0025】重合媒質中の酸素レベルは通常、亜硫酸水
素ナトリウムのような酸素スカベンジャーの添加によっ
て望まれる範囲内にあるように調節される。しかし、重
合媒質中の酸素レベルは不活性ガスを水性重合媒質に散
布することによって望まれる範囲内にあるように調節す
ることもできる。窒素、並びにヘリウム、ネオン、アル
ゴン及びクリプトンのような貴ガスがこの目的のために
使用できる不活性ガスの代表的な例である。経済的な理
由から窒素を使用することが典型的に好ましい。
【0026】水性重合媒質内の酸素レベルを望まれる範
囲内に減じるために、広い範囲の酸素スカベンジャーが
使用できる。使用できる酸のスカベンジャーのいくつか
の代表的な例は、亜硫酸塩・エステル、亜硫酸水素塩・
エステル、ジチオネート、ヒドロキノン、カテコール、
レゾルシン、ヒドラジン、ピロガロール、没食子酸塩・
エステル、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩・エステ
ル、イソアスコルビン酸、イソアスコルビン酸塩・エス
テル、グルコース、リグニン、ジブチルヒドロキシトル
エン、ブチルヒドロキシアニソール、第1鉄塩、金属粉
末、チオ硫酸ナトリウム、みょうばんナトリウム、リン
酸水素二ナトリウム、活性化クレー、モルデン沸石、ヒ
ドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシアミン及びチオ
尿素等を含む。亜硫酸アルカリ金属塩及び硫酸アルカリ
金属塩が好ましい等級の酸素スカベンジャーである。好
ましい酸素スカベンジャーのいくつかの代表的な例は、
亜硫酸ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム(sodium thi
osulfite)、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウ
ム及びメタ重亜硫酸ナトリウムを含み、亜硫酸水素ナト
リウムが最も好ましい。酸素スカベンジャーが水溶性で
あることが典型的に好ましい。
【0027】水性重合媒質中の酸素レベルは典型的に
は、媒質に散布しているとき、または酸のスカベンジャ
ーが添加されているときにモニターされる。望まれる酸
素レベルが達成された後、散布または酸素スカベンジャ
ーの添加が停止される。水性重合媒質中の酸素レベル
を、再循環ループに取り付けられた酸素検出器プローブ
の使用によってモニターすることがしばしば便利であ
る。
【0028】合成されるSPBDの融点及び結晶度を制
御するために、水性重合媒質に融点調節剤がしばしば添
加される。利用できる融点調節剤のいくつかの代表的な
例は、ケトン、アルデヒド、アルコール、エステル、ニ
トリル、スルホキシド、アミド及びリン酸エステルを含
む。この水性重合法において、水溶性である薬剤で結晶
度及び融点を制御することには限界がある。従って、エ
タノール及びメタノールは、炭化水素よりも水にはるか
に溶けにくい他のアルコールほど有効ではない。換言す
れば、水溶性の薬剤は結晶度及び融点を制御するために
有効には使用できない。結晶度及び融点を制御するため
に使用できる融点調節剤の詳細な記述は米国特許第3,
901,868、米国特許第4,153,767号、米
国特許第5,011,896号及び米国特許第5,40
5,816号中に与えられている。これらの特許の教示
は参照によってその全体においてここに組み込まれる。
【0029】指摘してきたように、メタノール及びエタ
ノールのような水溶性の融点調節剤は有効な剤ではな
い。2−エチル−1−ヘキサノール、1−デカノール及
び5−トリデカノールのような水に可溶性でない他のア
ルコールはより首尾良く使用できる。
【0030】N,N−ジブチルホルムアミド(DBF)
は、本発明を実施する上で融点調節剤として利用するた
めに高度に好ましい。DBFは構造式
【化1】 を有する。
【0031】N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−
ジエチルホルムアミド及びN,N−ジプロピルホルムア
ミドのような低級のN,N−ジアルキルホルムアミドは
そのような水性重合において調節剤として使用できない
が、これはこれらが懸濁重合または乳化重合が行われる
水性重合媒質内で加水分解されるからである。高級な
N,N−ジアルキルホルムアミドの使用は商業的に実行
可能な選択ではないが、これはそれらが非常に有効とい
うわけではなく、かつ有意な融点の減少を達成するため
には大量に使用する必要があるからである。
【0032】本発明を実施する際に調節剤として利用で
きる芳香族アルデヒドは、(a)4−(アルキルアミ
ノ)ベンズアルデヒド、(b)4−(ジアルキルアミ
ノ)ベンズアルデヒド、(c)2,4−ジ−(アルコキ
シ)ベンズアルデヒド、(d)2,6−ジ−(アルコキ
シ)ベンズアルデヒド、(e)2,4,6−トリ−(ア
ルコキシ)ベンズアルデヒド及び(f)4−(1−アザ
シクロアルキル)ベンズアルデヒドを含む。調節剤とし
て利用できる4−(アルキルアミノ)ベンズアルデヒド
は構造式
【化2】 (式中、Rは約1〜約20の炭素原子を含むアルキル基
を表す)を有する。そのようなアルキル基が4〜8の炭
素原子を含むことが好ましい。
【0033】利用できる4−(ジアルキルアミノ)ベン
ズアルデヒドは構造式
【化3】 (式中、R及びR’は同じかまたは異なり、1〜20の
炭素原子を含むアルキル基を表す)を有する。R及び
R’が1〜約8の炭素原子を含むアルキル基であること
が好ましい。
【0034】調節剤として利用できる2,4−ジ−(ア
ルコキシ)ベンズアルデヒドは構造式
【化4】 (式中、R及びR’は同じかまたは異なり、1〜20の
炭素原子を含むアルキル基を表す)を有する。R及び
R’が1〜8の炭素原子を含むアルキル基を表すことが
好ましい。
【0035】調節剤として利用できる2,6−ジ−(ア
ルコキシ)ベンズアルデヒドは構造式
【化5】 (式中、R及びR’は同じかまたは異なり、1〜20の
炭素原子を含むアルキル基を表す)を有する。R及び
R’が1〜8の炭素原子を含むアルキル基を表すことが
好ましい。
【0036】本発明のプラクチスにおいて調節剤として
使用できる2,4,6−トリ−(アルコキシ)ベンズア
ルデヒドは構造式
【化6】 (式中、R、R’及びR”は同じかまたは異なり、1〜
20の炭素原子を含むアルキル基を表す)を有する。
R、R’及びR”が1〜8の炭素原子を含むアルキル基
を表すことが好ましい。
【0037】調節剤として利用できる4−(1−アザシ
クロアルキル)ベンズアルデヒドは一般式
【化7】 (式中、nは3〜約8である)のものである。nが4〜
6の整数であることが好ましい。換言すれば、4−(1
−アザシクロアルキル)ベンズアルデヒドが、4−(1
−アザシクロブチル)ベンズアルデヒド、4−(1−ア
ザシクロペンチル)ベンズアルデヒド及び4−(1−ア
ザシクロヘキシル)ベンズアルデヒドより成る群から選
択されることが好ましい。
【0038】本発明を実施する際に、SPBDを合成す
るための標準的な懸濁または乳化重合技術を、0.01
〜4ppmの酸素の存在下に実施する。利用する融点調
節剤(もしあれば)の量は製造されるSPBDについて
望まれる低い方の融点に依存する。当然、より多い量の
融点調節剤の利用は、合成されるSPBDの低い方の融
点がより低い温度のものになるということを生じる。従
って、もし非常に低い融点を有するSPBDが求められ
ているのであれば、そのときは比較的大量の融点調節剤
が改質剤として重合中に利用される。わずかに減じられ
ただけの低い方の融点を有するSPBDが求められる場
合は、比較的低いレベルの融点調節剤が必要である。
【0039】一般に、水性重合媒質は約0.01〜約2
phm(モノマーの100重量部あたりの部数)の融点
調節剤が含まれる。通常約0.05phm〜約1.25
phmの融点調節剤が使用される。N,N−ジブチルホ
ルムアミドが融点調節剤として使用されるほとんどの場
合には、通常約0.1phm〜約1.0phmのN,N
−ジブチルホルムアミドが使用される。良好な転化を達
成するためには、約0.5phm未満、そして好ましく
は約0.25phm未満のN,N−ジブチルホルムアミ
ドが使用される。次の表は、転化、融点及び融点調節剤
として利用されるN,N−ジブチルホルムアミドの量の
おおよその関係を示す。
【0040】
【表1】
【0041】本発明の重合は所望により、2つの融点を
有するSPBDを製造するためにハロゲン化ナトリウム
またはハロゲン化カリウムの存在下に実施できる。その
ような目的のために水性重合媒質中に使用されるハロゲ
ン化ナトリウムまたはハロゲン化カリウムは典型的には
フッ素塩、塩素塩、臭素塩またはヨウ素塩である。ハラ
イドがフッ素、塩素または臭素であるのが通常好まし
く、塩素塩が最も好ましい。利用できる塩類のいくつか
の代表的な例はフッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭
化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム及び臭化
カリウムを含む。ハロゲン化カリウムは通常大いに好ま
しいが、これはそれらを利用するとさらに明確に区別さ
れる2つの融点を生じるからである。従って、臭化カリ
ウム、フッ化カリウム及び塩化カリウムが好ましい塩類
であり、塩化カリウムが最も好ましい。
【0042】ハロゲン化ナトリウムまたはカリウムが水
性重合媒質中で使用される場合には、それらは典型的に
約0.1phr〜約20phmの範囲内の量で使用され
る。ハロゲン化ナトリウムまたはカリウムは典型的には
水性重合媒質中に約0.5〜10phmの範囲内の量で
使用される。ハロゲン化ナトリウムまたはハロゲン化カ
リウムが約0.7〜約5phmの範囲内の量で存在する
のが通常好ましく、これらの塩類が1phr〜2phm
の範囲内の量で存在するのが最も好ましい。
【0043】懸濁重合 懸濁重合によるSPBDの合成の第1工程は触媒成分溶
液の調製を含む。この触媒成分溶液は、少なくとも1種
のコバルト化合物及び少なくとも1種の有機アルミニウ
ム化合物を、少なくとも1種の共役ジエンが溶解されて
含まれている不活性有機溶媒中に溶解することによって
調製される。
【0044】ここで使用する「不活性有機溶媒」なる用
語は、触媒成分、乳化剤、1,3−ブタジエン及びSP
BDの全てに化学的に不活性である有機溶媒をいう。不
活性有機溶媒のいくつかの代表的な例は芳香族炭化水
素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化芳香
族炭化水素及び上述の化合物の2種以上の混合物を含
む。利用できる芳香族炭化水素のいくつかの代表的な例
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、
ジエチルベンゼンまたはイソブチルベンゼンを含む。使
用できる脂肪族炭化水素はn−ヘキサン、イソヘキサ
ン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−
デカン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル、ケロ
セン、ペトロリウムスピリットまたは石油ナフサを含
む。使用できる脂環式炭化水素はシクロヘキサン及びメ
チルシクロヘキサンを含む。使用できるハロゲン化芳香
族炭化水素のいくつかの代表的な例は、クロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼンまたはトリクロロベンゼンを含
む。
【0045】本発明の方法に使用できるコバルト化合物
は不活性有機溶媒に可溶性で、(i)コバルトのβ−ジ
ケトン錯体、(ii)コバルトのβ−ケト酸エステル錯
体、(iii)1〜25の炭素原子を有する有機カルボ
ン酸のコバルト塩及び(iv)式CoXn(式中Xはハ
ロゲン原子を表し、そしてnは2または3を表す)のハ
ロゲン化コバルト化合物と、第3アミンアルコール、第
3ホスフィン、ケトン及びN,N−ジアルキルアミドよ
り成る群から選択される有機化合物との錯体;より成る
群から選択される。
【0046】コバルト原子を錯体を形成するために使用
できるβ−ジケトン化合物は式
【化8】 (式中、R1及びR4は同じかまたは互いに異なり、そし
て1〜6炭素原子のアルキル基であり、R2及びR3は同
じかまたは互いに異なり、そして水素または1〜6炭素
原子のアルキル基である)のものである。このタイプの
β−ジケトンコバルト錯体はコバルト(ii)アセチルアセ
トネートまたはコバルト(iii)アセチルアセトネートで
あり得る。
【0047】コバルト原子と共に錯体を形成するために
使用できるβ−ケト酸エステルは式
【化9】 (式中、R1、R2、R3及びR4は上に定義したものと同
じである)のものである。このタイプのコバルト錯体は
コバルト−アセト酢酸エチルエステル錯体であり得る。
【0048】使用できる有機カルボン酸のコバルト塩の
いくつかの代表的な例はオクタン酸コバルト及びナフテ
ン酸コバルトを含む。
【0049】本発明の方法に使用できる有機アルミニウ
ム化合物は式AlR3(式中、Rは1〜6炭素原子を含
む炭化水素基を表す)のものである。炭化水素基は約1
〜約6炭素原子を含むアルキル基またはシクロアルキル
基であり得る。炭化水素基はアリール基でもあり得る。
好ましくは、有機アルミニウム化合物はトリメチルアル
ミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウムまたはトリフェニルアルミニウムである。
【0050】触媒成分溶液の調製において、コバルト化
合物及び有機アルミニウム化合物が、少なくとも1種の
共役ジエンを含む不活性溶媒に溶解されていることが重
要である。触媒成分溶液の製造において使用できるいく
つかの共役ジエンは1,3−ブタジエン、1,3−ペン
タジエン、イソプレン及びミルセンを含む。この調製が
共役ジエンの不存在下に行われると、得られた触媒成分
溶液は本発明の触媒組成物の成分として有効ではない。
共役ジエンは好ましくは、触媒成分溶液中に使用される
コバルト化合物のモルでの量に対して、少なくとも5、
さらに好ましくは10〜100の範囲内、そして最も好
ましくは15〜30の範囲内のモル比で使用される。本
発明において使用される好ましい共役ジエンは1,3−
ブタジエン及びイソプレンである。最も好ましいジエン
は1,3−ブタジエンである。
【0051】触媒成分溶液は好ましくは−25℃〜50
℃の温度で調製され、そして好ましくは0.0005〜
1.0モル/リットル、さらに好ましくは0.001〜
0.5モル/リットルのコバルト化合物を含む。触媒成
分溶液が調製される温度はさらに好ましくは−10℃〜
10℃の範囲内であり、そして触媒溶液調製において激
しい攪拌を使用することが高度に好ましい。有機アルミ
ニウム化合物のコバルト化合物に対するモル比は好まし
くは0.2〜50の範囲内、さらに好ましくは1〜2
0、そして最も好ましくは2〜10の範囲である。
【0052】触媒成分溶液の製造において、コバルト化
合物がポリエンモノマーの存在下に不活性溶媒に最初に
溶解され、そして次に有機アルミニウム化合物が溶液に
加えられることが好ましい。しかし、非常に満足な結果
は、有機アルミニウム化合物が最初に加えられたときに
も得られ得る。
【0053】この触媒成分溶液の調製において、有機ア
ルミニウム化合物は水と接触することが許容されるべき
でない。なぜなら、水はそのような有機アルミニウム化
合物を完全に分解するからである。従って、触媒成分溶
液を調製するために使用される不活性有機溶媒は最初
に、有意な量の有機アルミニウム化合物を完全に分解す
るために少なくとも不十分な水含量にまで脱水されるべ
きである。
【0054】触媒成分溶液が、乾燥した(本質的に水を
含まない)不活性有機溶媒を使用して調製されることが
好ましい。しかし、不活性有機溶媒中に約500ppm
(百万部あたりの部数)の濃度までの痕跡量の水が存在
できる。触媒成分溶液の調製において使用される不活性
有機溶媒中に50ppmより多い水が存在しないことが
好ましい。もし、触媒成分溶液の調製において使用され
る不活性有機溶媒内に十分な量の水が存在すると、触媒
は完全に分解される。触媒成分溶液は好ましくは、日光
または紫外線の非存在下に窒素のような不活性ガス下に
貯蔵される。
【0055】触媒成分溶液を、触媒エマルジョン組成物
をつくる際に使用される油、界面活性剤及び水と混合す
る前に、触媒成分溶液の調製において使用される予備反
応を、少なくとも30秒間、そしてさらに好ましくは少
なくとも1分間行わせることが望ましい。触媒成分溶液
がその活性を失うことなく、より長い時間が使用でき
る。事実、触媒成分溶液は、もし不活性雰囲気下に貯蔵
すれば活性を失うことなく何週間も貯蔵できる。
【0056】上記の技術を使用して有機アルミニウム化
合物が触媒成分溶液に組み込まれた後に、触媒は水に対
して安定となる。このことはおそらくπ−アリルコバル
ト活性種の形成によると考えられる。この触媒成分に安
定性を、多分コバルト原子を水から遮蔽するいくらかの
疎水性遮蔽物を与えることによって付与するものはコバ
ルト金属原子へのこのπ−アリル結合であると考えられ
る。極性溶媒における安定性は、コバルトが属する周期
表の他のVIII族遷移金属のπ−アリル錯体について
周知である。
【0057】懸濁重合手順の第2工程において、反応混
合物は、触媒成分溶液を1,3−ブタジエン/水・混合
物と混合することによって調製される。反応混合物中に
存在する酸素のレベルはもちろん、酸素スカベンジャー
の添加によってあるいは不活性ガスを散布することによ
って望まれる範囲内にあるように減じられる。融点調節
剤及びハロゲン化ナトリウム若しくはカリウムもこの時
点で反応混合物へ望まれる量で添加される。
【0058】ゼラチンのような仕切り剤(partitioning
agent)が小さいポリマー粒子サイズを得るために通常
反応混合物中に含めることができる。使用される仕切り
剤の量は好ましくは、重合される1,3−ブタジエンモ
ノマー100重量部当たり、約0.75〜約1.5重量
%の範囲内である。この1,3−ブタジエン/水・混合
物は重量で約2%程度の少量のブタジエン〜約50%程
度の多量のブタジエンを含み得る。この1,3−ブタジ
エン/水・混合物が15〜35重量%のブタジエンを含
むことが好ましく、そしてそれが約20〜25重量%の
ブタジエンを含むことがさらに好ましい。1,3−ブタ
ジエンは非常に揮発性であるので、この混合物が密閉さ
れた系内で調製されることが必要である。触媒成分溶液
を含むモノマー液滴が混合物中に全体に均一に分散する
ことを確実にするために反応混合物の調製において攪拌
が与えられる。1,3−ブタジエンは本質的に水に不溶
性であるので、これは混合物全体に分散した液滴の形態
でこの混合物中に存在する。もし攪拌が中止されると、
この混合物の有機及び水性の成分が2層に分離する。こ
の反応混合物の有機及び水性層は反応混合物を攪拌する
ことによって再び混合され得る。
【0059】懸濁重合法のこの第3の工程において、重
合混合物は、二硫化炭素、フェニルイソシアネートまた
はキサントゲン酸を上述の反応混合物へ加えることによ
って製造できる。二硫化炭素を使用することが通常好ま
しい。二硫化炭素の1,3−ブタジエンに対するモル比
は約1:600〜1:2800の間で変化する。二硫化
炭素のモノマーに対するモル比は好ましくは約1:12
00〜約1:1400の範囲内である。モノマーのコバ
ルトに対するモル比は2500:1〜10000:1の
範囲内であり、そして4500:1〜5500:1の範
囲内が好ましい。
【0060】懸濁重合の最終工程において、重合混合物
中の1,3−ブタジエンモノマーは、重合混合物を攪拌
しながらポリブタジエンへと転化される。もし抗酸化剤
の使用が望まれるのであれば、それは重合の始めに便利
に加え得る。この1,3−ブタジエンモノマーの重合は
約−20℃〜約60℃の温度で実施される。重合温度が
−10℃〜40℃であることが好ましい。最も好ましい
重合温度は約0℃〜10℃である。0℃未満の温度で
は、水が凍るのを防止するために、水の凍結点を下げる
薬剤が重合混合物に加えられる。
【0061】この重合は通常の圧力下、または加圧系に
おいて実施できる。この重合は、良好な結果を伴って窒
素雰囲気下で実施できる。いずれにせよ、追加の酸素が
系に入らないように工程を行うべきである。そのような
重合は約1〜約30時間行うことができる。重合が約8
〜約10時間行われるのが一般的に好ましい。しかし、
最適の重合時間は重合温度、触媒、使用する触媒の量な
どによって大きく変化する。本発明の方法を使用して形
成されたポリブタジエンは重合混合物の表面に浮き、そ
して簡単に回収できる。
【0062】乳化重合 SPBDが乳化重合によってつくられるとき、触媒成分
溶液は懸濁重合のための触媒成分溶液をつくる際に使用
されたものと同じ技術を利用してつくられる。次に、触
媒エマルジョン組成物は触媒成分溶液を、油、界面活性
剤及び水と共にミクロ流動化(microfluidizing)また
はミクロ乳化(microemulsifying)することによって調
製される。触媒エマルジョン組成物を調製する際に、最
初に触媒成分溶液を油と混合し、そして別に界面活性剤
を水と混合することが高度に望ましい。次に、ミクロ流
動化の直前に、触媒成分溶液/油・混合物を続いて界面
活性剤/水・混合物に加える。油の触媒成分溶液に対す
る比は通常約0.5〜30の範囲内である。通常、油の
触媒成分溶液に対する比が約1〜約10の範囲内にある
のが好ましく、そして油の触媒成分に対する比が約2〜
約3の範囲内にあるのが典型的に最も好ましい。例え
ば、油の触媒成分溶液に対する約2.5:1の重量比が
高度に好ましい。
【0063】触媒エマルジョン組成物を調製する際に利
用される水の触媒成分溶液に対する重量比は、典型的に
約5〜約80の範囲内である。水の触媒成分溶液に対す
る重量比が約10〜約50の範囲内であるのが通常好ま
しい。ほとんどの場合、触媒エマルジョン組成物を調製
する際に利用される水の触媒成分溶液に対する重量比は
約20〜約30の範囲内であるのがさらに好ましい。例
えば、水の触媒成分溶液に対する約27:1の重量比
が、本発明の触媒エマルジョン組成物を調製する際に利
用されるために高度に好ましい。触媒エマルジョン組成
物を調製する際に利用される界面活性剤の触媒成分溶液
に対する重量比は典型的には約0.001〜約10の範
囲内である。ほとんどの場合、界面活性剤の触媒成分溶
液に対する約0.05〜5の範囲内の重量比を利用する
のが好ましい。界面活性剤の触媒成分溶液に対する約
0.1〜0.3の範囲内の比を利用するのが典型的にさ
らに好ましい。従って、界面活性剤の触媒成分溶液に対
する約0.2:1の重量比が高度に好ましい。
【0064】触媒エマルジョン組成物の調製において利
用される油は、典型的には長鎖パラフィン油である。そ
のような油は一般に、約12〜約28炭素原子を含む種
々の長鎖炭化水素の混合物である。これらの化合物が飽
和であることが一般に好ましい。この油は好ましくは約
12〜約18の炭素原子を含む炭化水素化合物からなる
ことが好ましい。約12〜約28の炭素原子を含む長鎖
アルコールを油として利用することが可能である。しか
し、そのような長鎖アルコールが融点調節剤として働き
得るということに注意すべきである。従って、長鎖アル
コールを油として使用する場合にはSPBDについての
望まれる融点を達成するために使用される他の融点調節
剤のレベルを調節することが必要である。もちろん、パ
ラフィン油とアルコールの組み合わせを利用して望まれ
るSPBDの融点を調節することも可能である。
【0065】触媒エマルジョン組成物の製造において利
用される界面活性剤は通常はアニオン性界面活性剤また
は非イオン性界面活性剤である。利用できるタイプのア
ニオン界面活性剤のいくつかの代表的な例は、カルボキ
シレート、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンス
ルホネート、α−オレフィンスルホネート、脂肪アルコ
ールサルフェート及びオキソアルコールサルフェートを
含む。利用できる非イオン界面活性剤のいくつかの代表
的なタイプの例はアルキルフェノールエトキシレート、
脂肪アルコールポリエチレングリコールエーテル、オキ
ソアルコールポリエチレングリコールエーテル、エチレ
ンオキサイドポリマー、プロピレンオキサイドポリマー
及び脂肪アルコールポリグリコールエーテルを含む。界
面活性剤がアニオン性界面活性剤であるのが一般に好ま
しく、アルキルベンゼンスルホネート、脂肪アルコール
サルフェート及びオキソアルコールエーテルサルフェー
トが最も好ましい。利用されるアルキルベンゼンスルホ
ネートは一般に構造式
【化10】 (式中、Rは8〜18の炭素原子を含むアルキル基を表
し、そして好ましくはRは10〜13の炭素原子を含む
アルキル基を表す)を有する。
【0066】利用できる脂肪アルコールサルフェートは
通常構造式
【化11】 (式中,Rは6〜28の炭素原子を含むアルキル基を表
し、そして好ましくはRは11〜17の炭素原子を含む
アルキル基を表す)を有する。利用できるオキソアルコ
ールエーテルサルフェートは構造式
【化12】 (nは1〜約4の整数であり、そしてR及びR’は同じ
かまたは異なり、R及びR’中の炭素原子の全数が約1
1〜約13の範囲である)を有する。
【0067】利用されるミクロ流動化手順は、約10〜
約1000ナノメーターの範囲内の平均粒子サイズを有
する触媒エマルジョン組成物の形成を生じる。製造され
る触媒エマルジョン組成物は好ましくは約30〜約60
0ナノメーターの範囲内の平均粒子サイズを有し、さら
に好ましくは約60〜約300ナノメーターの範囲内の
平均粒子サイズを有する。このミクロ流動化手順は、慣
用のマイクロフルイダイザーまたは触媒エマルジョン組
成物を望まれる粒子サイズにホモジナイズすることがで
きる他の装置を利用して実施できる。例えば、ミクロ流
動化は1個の高圧ポンプまたは一連の高圧ポンプを利用
して実施できる。超音波及び/または機械的手段がミク
ロ流動化手順において利用できる。望まれる粒子サイズ
を達成するために、製造される触媒エマルジョン組成物
を1回より多くマイクロフルイダイザー(商標)を通す
ことが有利であり得る。
【0068】触媒エマルジョン組成物の製造において利
用される触媒成分溶液は長期間安定であり、その活性を
失うことなく長期間貯蔵できる。しかし、触媒エマルジ
ョン組成物は時間がたつとその活性を失うので、触媒エ
マルジョン組成物を製造後できるだけ早く利用すること
が望ましい。実際に、標準的な触媒エマルジョン組成物
は、室温における約24時間の貯蔵後に本質的にその活
性の全てを失う。従って、触媒エマルジョン組成物はそ
の製造後できるだけ早く使用することが重要である。し
かし、触媒エマルジョン組成物の安定性は、もしアミノ
酸石鹸でそれがつくられたのであれば大きく改善される
ことが米国特許第5,405,816号に報告されてい
る。事実、24時間良好な活性を示す触媒エマルジョン
組成物がアミノ酸石鹸を利用してつくられ得る。利用で
きるアミノ酸石鹸は一般にアルキルサルコシンの塩であ
る。そのようなアルキルサルコシン内のアルキル基は一
般に約8〜約20個の炭素原子を含む。これらの塩は水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウ
ム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン等の塩基によるアルキルサルコシンの
中和によってつくることができる。使用できるアミノ酸
石鹸のいくつかの代表的な例は、ナトリウムラウリルサ
ルコシネート、ナトリウムココイルサルコシネート、ナ
トリウムミリストイルサルコシネート、ナトリウムオレ
オイルサルコシネート及びナトリウムステアロイルサル
コシネートを含む。ほとんどの場合、ナトリウムラウロ
イルサルコシネートがアミノ酸石鹸として使用される。
【0069】水性反応混合物は(1)水、(2)少なく
とも1種の乳化剤、(3)1,3−ブタジエンモノマ
ー、(4)触媒エマルジョン組成物、(5)二硫化炭
素、フェニルイソチオシアネート及び/またはキサント
ゲン酸、(6)所望により融点調節剤、(7)所望によ
りハロゲン化カリウムまたはハロゲン化ナトリウムを混
合することによって調製される。水性反応混合物中に存
在する酸素レベルはもちろん酸素スカベンジャーの添加
によってあるいは不活性ガスの散布によって望まれるレ
ベルに減じられる。水性反応混合物内の1,3−ブタジ
エンモノマーの量は約2重量%〜約50重量%に変化す
る。しかし、ほとんどの場合において、水性反応混合物
が約10重量%〜約40重量%の1,3−ブタジエンモ
ノマーを含むことが好ましい。一般に、水性反応混合物
が約20重量%〜約30重量%の1,3−ブタジエンモ
ノマーを含むことがさらに好ましい。水性反応混合物を
製造する際に利用される乳化剤の量は、通常約0.1p
hm〜約10phm(モノマー100部当たりの部数)
の範囲内である。乳化剤が約0.5phm〜約5phm
の範囲の量存在することが通常好ましい。ほとんどの場
合、乳化剤が約1phm〜約3phmの範囲内の量存在
することがさらに好ましい。
【0070】1,3−ブタジエンの乳化重合において使
用される乳化剤は、重合の最初に装填されるか、または
反応が進むにつれて漸増的若しくは比例させることによ
ってに加えられ得る。そのような場合には、反応器に追
加の酸素が入らないように工程を行うべきである。一般
に、アニオン性乳化剤系は良好な結果を与えるが、しか
し、一般的なタイプのアニオン性、カチオン性または非
イオン性界面活性剤のいずれかが重合において使用され
得る。
【0071】そのような乳化重合において使用できるこ
れらのアニオン性乳化剤には、脂肪酸及びそのアルカリ
金属塩、例えばカプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン
酸、ラウリン酸、ウンデシレン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸
等;脂肪酸のアミン石鹸、例えばアンモニア、モノ−及
びジアルキルアミン、置換ヒドラジン、グアニジン及び
種々の低分子量ジアミンから誘導されるもの;脂肪酸の
鎖置換誘導体、例えばアルキル置換基を有するもの;ナ
フテン酸及びその石鹸等;硫酸エステル及びその塩、例
えば獣脂アルコールサルフェート、ココナツアルコール
サルフェート、オレイルサルフェートのような脂肪アル
コールサルフェート、ラウリル硫酸ナトリウム等;ステ
ロールサルフェート;アルキルシクロヘキサノールのサ
ルフェート、C10〜C20直鎖オレフィンのようなエ
チレンの低級ポリマー及び他の炭化水素混合物の硫酸化
生成物;エーテル、エステルまたはアミド基のような中
間結合を有する脂肪族及び芳香族アルコール(例えばア
ルキルベンゼン(ポリエチレンオキシ)アルコール)の
硫酸エステル及びトリデシルエーテルサルフェートのナ
トリウム塩;アルカンスルホネート、エステル及び塩、
例えば一般式RSO2Cl(Rは1〜20の炭素原子を
有するアルキル基である)のアルキルクロロスルホネー
ト、及び一般式RSO2−OH(Rは1〜20の炭素原
子を有するアルキル基である)のアルキルスルホネー
ト;エステルのような中間結合を有するスルホネート及
びエステルで結合されたスルホネート、例えば式ROO
24SO3H及びROOC−CH2−SO3H(式中、
Rは1〜20の炭素原子を有するアルキル基である)、
例えばジアルキルスルホサクシネート;一般式
【化13】 (式中、Rは1〜20の炭素原子を有するアルキル基で
ある)のエステル塩;アルキル基が好ましくは10〜2
0の炭素原子を含むアルキルアリールスルホネート、例
えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;アルキル
フェノールスルホネート;スルホン酸及びその塩、例え
ば式RSO3Na(式中、Rはアルキル等である)の
酸;スルファミドメチレンスルホン酸;ロジン(酸)及
びその石鹸;ロジン及びロジン油のスルホン化誘導体;
並びにリグニンスルホネート等がある。
【0072】カルボキシレート乳化剤が高度に好まし
い。これはそれらの利用が重合反応器の壁上のより少な
い付着に通じるからである。脂肪酸石鹸及びロジン石鹸
は高度に好ましいカルボキシレート石鹸の代表的な例で
ある。ロジン(酸)のうち、約90%がアビエチン酸で
の異性体であり、そして他の10%がデヒドロアビエチ
ン酸及びジヒドロアビエチン酸の混合物である。
【0073】触媒エマルジョン組成物、モノマー及び界
面活性剤が本質的に混合物全体に均一に分布しているこ
とを確実にするために、水性反応混合物の製造において
攪拌が与えられる。1,3−ブタジエンモノマーは非常
に揮発性であるので、密閉系で加圧下に水性反応混合物
を調製することが必要である。
【0074】二硫化炭素、フェニルイソチオシアネート
またはキサントゲン酸は典型的に、水性反応混合物に加
えられる最後の成分である。二硫化炭素、フェニルイソ
チオシアネートまたはキサントゲン酸の、触媒エマルジ
ョン組成物をすでに含む反応混合物への添加は重合反応
を開始させる。二硫化炭素を利用することが一般に好ま
しい。添加できる二硫化炭素の量は0.005〜2ph
mの間で変化する。さらに好ましくは添加する二硫化炭
素の量は0.001〜1phmの間で変化する。
【0075】本発明の方法において、重合混合物中の約
0.0005phm〜約0.5phmの範囲において二
硫化炭素の比が大きい程、重合混合物から得られるSP
BDの収率が大きい。しかし、二硫化炭素の量が例えば
約0.5phmより多いとポリマーの収率の減少を引き
起こす。
【0076】1,3−ブタジエンモノマーは、重合反応
物を攪拌しながらSPBDに重合される。もし抗酸化剤
の使用が望まれるのであれば、それは重合の開始時に便
利に加えられる。この1,3−ブタジエンモノマーの重
合は約−20〜約90℃の温度で実施できる。重合温度
が−10℃〜40℃であるのが好ましい。最も好ましく
は重合温度は約0℃〜約10℃である。0℃未満の温度
では、重合混合物が凍るのを避けるために抗凍結剤が添
加できる。
【0077】この重合は通常の圧力または加圧下に実施
できる。この重合は良好な結果をもって窒素雰囲気のよ
うな不活性ガス雰囲気下で実施できる。そのような重合
は約3〜約30時間実施できる。重合が約10〜約16
時間行われるのが一般的に好ましい。しかし、最適の重
合時間は重合温度、触媒、使用する触媒の量などによっ
て大きく変化する。ほとんどの場合、最適の重合時間は
約12〜約14時間の範囲である。
【0078】重合が完了した後、SPBDはラテックス
から標準的な凝固技術によって回収できる。例えば、凝
固は酸または塩と酸とのブレンドをラテックスに加える
ことによって達成される。例えば、硫酸、塩酸、塩化ナ
トリウムと硫酸とのブレンド、及び塩酸とメタノールと
のブレンドが凝固剤として非常に有効である。塩化カル
シウム溶液及び塩化カルシウムと種々の酸とのブレンド
も凝固剤として利用できる。塩/酸・凝固剤が一般に好
ましい。例えば、硫酸を塩化ナトリウムまたは塩化カリ
ウムと共に凝固剤として利用すると、良好な結果につな
がる。塩化バリウム及び硫酸マグネシウムは、SPBD
ラテックスを凝固する際に利用するための適切な追加の
2価の塩である。SPBDラテックスを凝固する際に、
高分子量の高分子電解質のような凝固助剤として分類さ
れる物質を使用することも有用であり得る。好ましい凝
固助剤は弱い塩基である。使用できる適切な凝固助剤の
いくつかの代表的な例はNalco(商標)108(N
alco ケミカルカンパニー)、Daxad(商標)
CP−1(W.R.Grace and Compan
y)及び弱い高分子電解質である類似の物質である。要
求される凝固剤の量は、使用される乳化剤の量、凝固さ
れるゴム及び使用される凝固剤のタイプによって変わ
る。一般的に、凝固剤の最適のタイプ、凝固剤の量及び
凝固状態は試行錯誤のアプローチを使用して決定され
る。
【0079】
【実施例】以下の実施例は本発明の方法の種々の態様を
例示する。これらの実施例は。単に本発明の例示するこ
とを意図し、そしていかなる意味でも本発明が実施でき
る範囲を限定することを意図しない。他に特に示さない
限り、部及び百分率は重量で与えられる。
【0080】実施例1 この試験において、本発明の技術を利用して懸濁重合に
よって水性媒質中でSPBDが合成された。使用した手
順において、抗酸化剤溶液が、Irganox抗酸化剤
17g、2,2’−メチレン・ビス(4−メチル−6−
第3ブチルフェノール)6.8g、2,5−ジ−t−ペ
ンチルヒドロキノン6.8g、アンモニウムラウロイル
サルコシネート溶液6.8g及び水510gを混合する
ことによって調製された。水10812g、ポリアクリ
ルコポリマー75.48g及び水酸化カリウム10gを
混合することによって懸濁溶液を調製した。触媒溶液
を、トリイソブチルアルミニウム13.44g、コバル
トオクタノエート3.36g、1,3−ブタジエン7.
47g及びヘキサン102.82gを混合することによ
って調製した。活性剤溶液を、二硫化炭素1.28g及
び水1788.4gを混合することによって調製した。
最後に、モノマー溶液を、ヘキサン680g、N,N−
ジブチルホルムアミド8.16g及び1,3−ブタジエ
ン1859.8gを混合することによって調製した。
【0081】抗酸化剤溶液、懸濁溶液の40%、活性剤
溶液の40%及び亜硫酸水素ナトリウム0.01phm
(酸素スカベンジャーとして)を最初に10ガロンの反
応器に装填し、50°F(10℃)の温度に維持し、そ
して攪拌した。次に、残りの懸濁溶液、残りの活性剤溶
液、触媒溶液及びモノマー溶液を2時間にわたって連続
的に反応器に供給した。懸濁溶液は反応器内に54.4
4g/分の流速で供給し、触媒溶液は1.06g/分の
流速で供給し、活性剤溶液は8.96g/分の流速で供
給し、そしてモノマー溶液は21.23g/分の流速で
供給した。亜硫酸ナトリウム酸素スカベンジャーは水性
重合媒質中の酸素のレベルを約0.2ppmに減じた。
【0082】この水性重合技術によってつくられたSP
BDは、容易に取り扱うことができ、かつ20メッシュ
の篩によって保持できる大きなビーズを形成した。重合
手順の間、ファウリングは起こらなかった。
【0083】比較実施例2 亜硫酸ナトリウムを水性重合媒質中に酸素スカベンジャ
ーとして加えなかったこと事実を除き、実施例1で利用
した手順を繰り返した。それゆえ、重合媒質は従来の懸
濁重合手順について典型的な約8〜9ppmの溶解酸素
を含んでいた。この試験において、著しい反応器ファウ
リングが起こった。
【0084】この比較実施例は、反応器ファウリング
が、SPBDの合成において利用される従来の懸濁重合
において重大な問題となり得ることを示した。本発明の
技術を用いて、実施例1は、反応器ファウリングの問題
が大きく減じられるかまたは除去されることを示す。
【0085】本発明の技術を利用して、水性重合媒質中
に存在する酸素の量を約0.1〜0.3ppmの範囲内
に維持することによって、10ガロンの反応器内でのそ
のような懸濁重合をファウリングによる反応器の清掃の
必要なしに連続的に4週間にわたって実施することが可
能であった。これは、ファウリングによるポリマーの付
着を除去するために反応器を毎日清掃する必要があった
従来の懸濁重合と対照的である。
【0086】実施例3 重合媒質に加えた亜硫酸ナトリウムの量を0.1phm
に増したことを除き、実施例1で利用した手順を繰り返
した。このことによって、水性重合媒質中の溶解酸素の
量が0.1ppm未満に減じられた。反応器ファウリン
グは観察されなかった。しかし、生成したSPBDは微
粉末の形態(約80メッシュ)であった。この試験は、
SPBDの粒子サイズが水性重合媒質中に溶解している
酸素の量を調節することによって制御できることを示
す。
【0087】ある代表的な態様と詳細を本発明を例示す
る目的のために示されてきたが、本技術の当業者には種
々の変更及び修正が本発明の範囲から逸脱することなく
なし得ることが明らかであろう。
フロントページの続き (71)出願人 590002976 1144 East Market Stre et,Akron,Ohio 44316− 0001,U.S.A.

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最小限の反応器ファウリングを伴う水性
    媒質中でのシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン
    の製造方法であって、 水性媒質中で、(1)(a)遷移金属化合物、(b)有
    機アルミニウム化合物及び(c)二硫化炭素、フェニル
    イソチオシアネート及びキサントゲン酸よりなる群から
    選択される少なくとも1員を含む触媒系、並びに(2)
    約0.01〜約4ppmの酸素の存在下に1,3−ブタ
    ジエンを重合することを含んで成る、前記の方法。
  2. 【請求項2】 水性媒質中の酸素のレベルが、亜硫酸塩
    ・エステル、亜硫酸水素塩・エステル、ジチオネート、
    ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ヒドラジン、
    ピロガロール、没食子酸塩・エステル、アスコルビン
    酸、アスコルビン酸塩・エステル、イソアスコルビン
    酸、イソアスコルビン酸塩・エステル、グルコース、リ
    グニン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキ
    シアニソール、第1鉄塩、金属粉末、チオ硫酸ナトリウ
    ム、みょうばんナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、
    活性化クレー、モルデン沸石、ヒドロキシルアミン、ジ
    エチルヒドロキシアミン及びチオ尿素より成る群から選
    択される酸素スカベンジャーの添加によって約0.05
    ppm〜約1ppmの範囲内に減じられている、請求項
    1に記載の方法。
  3. 【請求項3】触媒系が、(a)(i)コバルトのβ−ジ
    ケトン錯体、(ii)コバルトのβ−ケト酸エステル錯
    体、(iii)6〜15の炭素原子を有する有機カルボ
    ン酸のコバルト塩及び(iv)式CoXn(式中Xはハ
    ロゲン原子を表し、そしてnは2または3を表す)のハ
    ロゲン化コバルト化合物と第3アミンアルコール、第3
    ホスフィン、ケトン及びN,N−ジアルキルアミドより
    成る群から選択される有機化合物との錯体;より成る群
    から選択される少なくとも1種のコバルト化合物、
    (b)少なくとも1種の、式AlR3(Rは1〜6の炭
    素原子の炭化水素基を表す)の有機アルミニウム化合
    物、並びに(c)少なくとも1種の共役ジエンを反応さ
    せることによって調製され、そして重合が約−10℃〜
    約40℃の範囲内の温度で実施される、請求項2に記載
    の方法。
JP10136793A 1997-05-22 1998-05-19 シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの合成において、粒子サイズを制御し、かつファウリングを除くための手段 Pending JPH10330418A (ja)

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