JPH10329755A - 車両フロントエンドモジュール構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 閉断面構造を採用したフロントエンドパネル
にフードロック機構を取り付けた車両フロントエンドモ
ジュール構造において、フードロック荷重に十分耐え得
る構成にすること。 【解決手段】 パネル本体１０と、パネル本体１０の上
縁に形成され車両の幅方向に沿って中空の閉断面構造部
を有するラジエータサポートアッパメンバ１３とを備
え、車両のラジエータ２及び該ラジエータ２に対面配置
されたラジエータファン３を保持する樹脂製のフロント
エンドパネル１と、ラジエータサポートアッパメンバ１
３の車両前方部に取り付けられたフードロック機構２１
と、ラジエータサポートアッパメンバ１３の上部に配置
固定された金属製のブラケット２３とを備える車両フロ
ントエンドモジュール構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも車両のラジ
エータを保持するフロントエンドパネルを備えた車両フ
ロントエンドモジュール構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、少なくとも車両のラジエータを保
持するフロントエンドパネルの剛性を向上し、その変形
を防止する構造として、特開平５−１０５１１５号公報
に示されたものがある。これは、ラジエータを支持する
フロントエンドパネルのラジエータサポートアッパメン
バと、ラジエータの車幅方向外側部と対向する縦辺部
と、ラジエータの下部と対向する底辺部とをそれぞれ中
空の閉断面構造とし、ラジエータ廻りを閉断面構造によ
って囲んだ構成としたものであり、この閉断面構造によ
ってフロントエンドパネルの剛性を向上させ、フロント
エンドパネルの変形を防止するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記説
明した従来技術による閉断面構造をフロントエンドパネ
ルにフードロック機構を形成したフロントエンドモジュ
ールに適用した場合、フードロック機構の近傍に閉断面
構造を形成することが困難になるという問題点がある。
また仮にフードロック機構の近傍に閉断面構造を形成し
たとしても、フードが閉まるときに生じるフードロック
荷重によりこの近傍の閉断面構造が変形する可能性があ
る。このような変形がフードの開け閉めの度に起こる
と、フロントエンドパネルの信頼性、耐久性が低下する
という問題点がある。

【０００４】故に、本発明は、上記実情に鑑みてなされ
たものであり、閉断面構造を採用したフロントエンドパ
ネルにフードロック機構を取り付けた車両フロントエン
ドモジュール構造において、フードロック荷重に十分耐
え得る構成にすることを技術的課題とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記した技術的課題を解
決するために成された請求項１の発明は、パネル本体
と、該パネル本体の上縁に形成され車両の幅方向に沿っ
て中空の閉断面構造部を有するラジエータサポートアッ
パメンバとを備え、車両のラジエータ及び該ラジエータ
に対面配置されたファンを保持する樹脂製のフロントエ
ンドパネルと、前記ラジエータサポートアッパメンバの
車両前方部に取り付けられたフードロック機構と、前記
ラジエータサポートアッパメンバの上部に配置固定され
た金属製のブラケットとを備える車両フロントエンドモ
ジュール構造としたことである。

【０００６】上記発明のフロントエンドモジュール構造
は、中空状の閉断面構造部を有するラジエータサポート
アッパメンバの上部に金属製のブラケットが配置固定さ
れ、ブラケットがラジエータサポートアッパメンバを覆
うように構成されているため、フードが閉められるとき
に生じるフードロック荷重はラジエータサポートアッパ
メンバ上部のブラケットに加わり、このブラケットを介
してフロントエンドパネルにフードロック荷重が伝達さ
れるものである。従って、ブラケットによって覆われて
いる閉断面構造を有するラジエータサポートアッパメン
バにはフードロック荷重が伝達されず、ラジエータサポ
ートアッパメンバの閉断面構造が変形しないものであ
る。

【０００７】また、請求項２の発明のように、前記ラジ
エータサポートアッパメンバは前記閉断面構造部の車両
前方部に前記閉断面構造部と一体的に設けられた縦壁を
備え、前記閉断面構造部と前記縦壁との間に形成された
溝部にて前記ブラケットの一端が前記縦壁と固定されか
つ前記閉断面構造部の後部にて前記ブラケットの他端が
前記パネル本体に固定されていることを特徴とする車両
フロントエンドモジュール構造とすることが好ましい。
これによれば、ブラケットは、ラジエータサポートアッ
パメンバの閉断面構造部と該閉断面構造部の車両前方部
に設けられた縦壁との間に形成された溝部に一端が固定
され、閉断面構造部の後部のパネル本体に他端が固定さ
れているので、フードパネルが閉められるときに生じる
フードロック荷重は縦壁からブラケットの一端に、ブラ
ケットの一端からブラケットの他端に、さらにブラケッ
トの他端から閉断面構造部の後部のパネル本体へと伝達
され、パネル本体にてフードロック荷重が効果的に分散
される。このように、閉断面構造部自体にはフードロッ
ク荷重が伝達されずに、かつフードロック荷重を効果的
に分散することができるものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施の形態を
図面に基づいて説明する。

【０００９】図１は、本発明の第１実施形態例であるフ
ロントエンドモジュール構造の分解斜視図である。図に
おいて、樹脂材料よりなるフロントエンドパネル１は、
車両のエンジンの冷却水を冷やすためのラジエータ２、
エアコンの冷媒を冷却するコンデンサ４、ラジエータ２
及びコンデンサ４に対面して配置されたファン３、及び
左右の一対のヘッドランプ（図示せず）を保持するもの
であって、取り付け部材８を介して車両の左右一対のフ
ロントサイドメンバ７間に取り付けられている。また、
フロントエンドパネル１は、その車両幅方向両端で車両
の左右一対のフロントフェンダーリインフォース９にも
固定されている。

【００１０】このフロントエンドパネル１は、矩形形状
を呈した板状のパネル本体１０を主としている。この板
状のパネル本体１０の車両幅方向両側縁及び車両下方縁
には、車両前後方向に延在突出した互いに連続するフラ
ンジ１１、１２が一体に形成されている。尚、図示矢印
Ａ方向から見て左側のフランジ１１は車幅方向に長く形
成されており、この左側のフランジ１１の車両前方には
エアフィルタ３０及びエアフィルタ３０を覆うエアフィ
ルタカバー３１が取り付けられている。また、パネル本
体１０の車両上方縁には、ラジエータサポートアッパメ
ンバ１３が一体に形成されている。これらのフランジ１
１、１２、ラジエータサポートアッパメンバ１３により
パネル本体１０の剛性を確保している。またパネル本体
１０には、周縁に車両後方に突出したフランジ１４ａを
備えた円形の開口１４が形成されている。ラジエータ２
及びコンデンサ４は、パネル本体１０の表面（車両前方
面）において車両前方に突出したフランジ１１、１２及
びラジエータサポートアッパメンバ１３により囲まれた
空間に開口１４を塞ぐ形で配置され、フロントエンドパ
ネル１内に収納保持されボルト等によりパネル本体１０
に締結固定されている。ファン３は、ラジエータ２によ
り塞がれる開口１４内に収容されてフランジ１４ａから
一体に延在した支持部１４ｂに回転自在に支持されてい
る。

【００１１】パネル本体１０の両側縁の両フランジ１１
の外側面には、外方に突出するリブ１８が一体に形成さ
れている。このリブ１８は、車両上下方向に厚みがあり
且つ車両前後方向に渡る幅を持つもので、全体として先
端にいくにつれこの幅及び厚みが徐々に細かくなってい
く形状で且つ車両後方に開口したコ字状断面形状を呈し
ている。このリブ１８は、その上壁がラジエータサポー
トアッパメンバ１３の上壁と面一となるようにラジエー
タサポートアッパメンバ１３から連続しており、先端で
車両のフロントフェンダーリインフォース９にボルト等
で締結固定されている。

【００１２】パネル本体１０の両側縁の両フランジ１１
の外側面には、リブ１８と車両上下方向において所定の
間隔をもって配置されたリブ１９が一体に形成されてい
る。このリブ１９は、車両上下方向に厚みがあり且つ車
両前後方向に渡る幅を持つコ字状断面又は閉断面形状を
呈している。また、リブ１９はリブ１８より車両前方に
突出したものとなっており且つ全体として先端にいくに
つれこの幅が徐々に細かくなっていく形状を呈してい
る。

【００１３】リブ１８の下壁の車両後方縁とリブ１９の
後壁とは、フランジ１１から連続した壁２０により一体
に連結されている。ヘッドランプは、リブ１８の下壁、
リブ１９の上壁、フランジ１１及び壁２０により囲まれ
た空間内に収容され、壁２０にボルト等で締結固定され
ているものである。

【００１４】ラジエータサポートアッパメンバ１３の略
中央の車両前方部には、フードロック機構２１が配置し
ている。このフードロック機構２１は、剛性を向上させ
かつフードロック荷重を下方に分散させるためのセンタ
ーステー２２に連結している。また、ラジエータサポー
トアッパメンバ１３の略中央上部には、ブラケット２３
が配置している。このブラケット２３は金属製であり、
フードロック荷重に十分耐え得る強度を有するものが好
ましい。尚、３２は車両前方からの衝撃荷重を受けるバ
ンパービーム、３３は外気を導入するためのラジエータ
グリル、３４はバンパーである。

【００１５】図２は、図１におけるフロントエンドモジ
ュール構造の略中央部の断面図、つまり、図３に示す所
定の部品を組み付けたフロントエンドパネルのＡ−Ａ断
面図である。図から分かるように、ラジエータサポート
アッパメンバ１３は、車両幅方向に沿って内部が中空状
に形成された閉断面構造部１３ａ、閉断面構造部１３ａ
の車両前方部に形成された縦壁１３ｂ、閉断面構造部１
３ａ及び縦壁１３ｂを連結する連結部１３ｃよりなる。
これら閉断面構造部１３ａ、縦壁１３ｂ、連結部１３ｃ
は一体的に樹脂成形されるものである。ラジエータサポ
ートアッパメンバ１３はこのような構成のため、閉断面
構造部１３ａと縦壁１３ｂとの間に溝部２４が存在す
る。この溝部２４内にブラケット２３の一端２３ａが挿
入している。そして、ネジ等の固定手段により縦壁１３
ｂを介してフードロック機構２１とブラケット２３を固
定しているものである。一方ブラケット２３の他端２３
ｂは、閉断面構造部１３ａの後部１０ａにてカシメ等の
締結手段によりフロントエンドパネル１のパネル本体１
０と固定されている。尚、本例においては、フランジ１
２の車両前方部においても剛性を向上するための閉断面
構造部１２ａを形成しており、この閉断面構造部１２ａ
の車両前方端部にてセンターステー２２の図示下端部を
支持している。また、剛性を向上する度合いによっては
フランジ１１にも閉断面構造部を採用してもよい。尚、
図１においてこの閉断面構造部は点線で示す部分であ
る。

【００１６】上記構成において、図示せぬフードが閉め
られると、フードロック機構２１によりフードが固定さ
れる。このときフードロック機構２１にてフードパネル
を閉めるときに発生する衝撃によりフードロック荷重が
発生する。このフードロック荷重の一部は、センタース
テー２２よりフロントエンドパネル１の下部に伝達され
る。これとともに、フードロック荷重の一部は、フード
ロック機構２１からブラケット２３の一端２３ａに、ブ
ラケット２３の一端２３ａからブラケット２３の他端２
３ｂに、さらにブラケット２３の他端２３ｂから閉断面
構造部１３ａの後部１０ａに伝達され、ここからフロン
トエンドパネル全体にフードロック荷重が分散されるも
のである。

【００１７】このように、本例におけるフロントエンド
モジュール構造では、フードロック荷重はラジエータサ
ポートアッパメンバ１３の閉断面構造部１３ａを避けて
フロントエンドパネル１に伝達されるので、閉断面構造
部１３ａが変形することがないものである。このため、
強度的に有利な閉断面構造を採用したフロントエンドモ
ジュール構造において、より耐久性を向上させることが
でき、フードロック荷重に十分耐え得る構成とすること
ができるものである。また、フードロッック荷重は、ブ
ラケットから閉断面構造部の後部に伝達され、ここから
フロントエンドパネルに荷重が伝達されるものであるの
で、効果的にフードロック荷重を分散させることができ
るものである。このため、さらに耐久性がさらに向上し
てフードロック荷重に十分耐え得る構成とすることがで
きるものである。

【００１８】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、フロン
トエンドパネルの上部を構成する中空状の閉断面構造部
を有するラジエータサポートアッパメンバの上部に金属
製のブラケットが配置固定され、ブラケットがラジエー
タサポートアッパメンバを覆うように構成されているた
め、フードパネルが閉められるときに生じるフードロッ
ク荷重はラジエータサポートアッパメンバには伝達され
ず、ラジエータサポートアッパメンバの閉断面構造が変
形しないものであるので、強度的に有利な閉断面構造を
採用したフロントエンドモジュール構造において、より
耐久性を向上させることができ、フードロック荷重に十
分耐え得る構成とすることができるものである。

【００１９】また、ブラケットは、閉断面構造部の車両
前方部に設けられた縦溝に一端が固定され、閉断面構造
部の後部に他端が固定されているので、フードパネルが
閉められるときに生じるフードロック荷重は縦溝からブ
ラケットの一端に、ブラケットの一端からブラケットの
他端に、さらにブラケットの他端から閉断面構造部の後
部にと伝達され、この後部よりフロントエンドパネル壁
にフードロック荷重が効果的に分散される。このよう
に、閉断面構造部自体にはフードロック荷重が伝達され
ずに、かつフードロック荷重を効果的に分散することが
できるものである。このため、さらに耐久性が向上して
フードロック荷重に十分耐え得る構成とすることができ
るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態例における車両フロントエン
ドモジュール構造の分解斜視図である。

【図２】本発明の実施形態例における車両フロントエン
ドモジュール構造のフロントエンドパネルの略中央部の
縦断面図である。

【図３】本発明の実施形態例における車両フロントエン
ドモジュール構造の、所定の部品を組み付けたフロント
エンドパネルの斜視図である。

【符号の説明】

１・・・フロントエンドパネル ２・・・ラジエータ ３・・・ファン １０・・・パネル本体、１０ａ・・・後部 １３・・・ラジエータサポートアッパメンバ、１３ａ・
・・閉断面構造部、１３ｂ・・・縦壁 ２１・・・フードロック機構 ２３・・・ブラケット、２３ａ・・・一端、２３ｂ・・
・他端 ２４・・・溝部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山 本 喜 章 愛知県刈谷市昭和町２丁目３番地 アイシ ン・エンジニアリング株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パネル本体と、該パネル本体の上縁に形
   成され車両の幅方向に沿って中空の閉断面構造部を有す
   るラジエータサポートアッパメンバとを備え、車両のラ
   ジエータ及び該ラジエータに対面配置されたファンを保
   持する樹脂製のフロントエンドパネルと、 前記ラジエータサポートアッパメンバの車両前方部に取
   り付けられたフードロック機構と、 前記ラジエータサポートアッパメンバの上部に配置固定
   された金属製のブラケットとを備える車両フロントエン
   ドモジュール構造。
2. 【請求項２】 請求項１において、 前記ラジエータサポートアッパメンバは前記閉断面構造
   部の車両前方部に前記閉断面構造部と一体的に設けられ
   た縦壁を備え、前記閉断面構造部と前記縦壁との間に形
   成された溝部にて前記ブラケットの一端が前記縦壁と固
   定されかつ前記閉断面構造部の後部にて前記ブラケット
   の他端が前記パネル本体と固定されていることを特徴と
   する車両フロントエンドモジュール構造。