JPH10329475A - 筆記具用チップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 液タンクとチップとの両者接続間の圧接力が
低下したり、接続間に芯ズレ等が生じていても液タンク
から脱落する虞れがない液タンクとの係止構造を備え、
しかも、この係止構造を形成する加工を施す事によって
転写ボールを付勢するスプリングを内在保持するその保
持構造を同時に形成し得るようにした。 【解決手段】 チップ本体１のタンク接続部1-2 にカシ
メ部５を設け、カシメ部が、タンク接続部の内面におい
てスプリング４の後端を係止するバネ係止凸部5-1 と、
その外面において液タンク２の先端開口の内面を係止す
るタンク係止凹部5-2 とを有する事で、スプリングが脱
落しないように内在保持させる事ができ、そして、チッ
プ本体が液タンクから抜け外れて脱落しないように液タ
ンクとチップ本体との接続が、両者接続間の圧入による
圧接力に加えて液タンクのタンク係止凹部に対する嵌合
係止力にて図られるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、ボールペン、或い
は塗布具等に使用される筆記具用チップに係り、特に先
端内部に回転可能に抱持させた転写ボールを、スプリン
グにて前方に付勢せしめて内向き先端縁に接触させ且つ
一部を先端から突出させてなる構造のチップに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、液タンクの先端開口に対するチッ
プの接続は、チップの後部に形成したタンク接続部を圧
入する手法にて行っているのが一般的である。例えば、
ボールペンのリフィールのように、塑性変形に富んだ合
成樹脂材料からなるチューブ状の液タンク（通称、イン
ク収容管と称されている）の先端開口を外側に塑性変形
せしめながら圧入せしめて該先端にチップのタンク接続
部を接続している。然るに、従来におけるチップと液タ
ンクとの接続は圧入力、つまり、液タンクの先端開口の
内面とチップのタンク接続部の外面との圧接力（密着
力）による保持構造である（例えば、特開平７−276877
号等参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したボ
ールペンのリフィールの製法は液タンクの先端開口から
同内部にインクを充填した後に、同先端開口にチップを
接続し、然る後、遠心分離機に掛けてインクの充填時に
液タンク内に入り込んだエア抜きを行うものであるが、
このエア抜き時の遠心力によってチップが液タンクの先
端開口から抜け外れて脱落する虞れがあった。

【０００４】そこで、本願出願人はこのような問題点に
鑑み、その原因を追及すべく数々の研究を重ねてきた結
果、その原因の一つ目としてチップの接続時に液タンク
の内面に付着していたインクが圧接する液タンクとチッ
プとの両者接続間に取り除かれずに該両者接続間に残留
し、この残留するインクが該両者接続間の圧接力（密着
力）を低下させる潤滑剤として作用すること、二つ目と
してチップを接続する場合に金属材料からなるチップと
合成樹脂材料からなる液タンクとの材質の違い関係等か
ら芯ズレが生じ易い等の原因に着目し、本発明に至った
ものであり、その目的とする処は、インクの残留による
前記両者接続間の圧接力（密着力）の低下や該接続間に
芯ズレ等が生じていても液タンクから脱落する虞れがな
い該液タンクとの係止構造を備え、しかも、この係止構
造を形成する加工を施す事によって転写ボールを付勢す
るスプリングを内在保持するその保持構造を同時に形成
し得るようにした筆記具用チップを提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を達成するための手段】課題を達成するために本
発明は、塑性変形に富んだ合成樹脂材料からなる液タン
クの先端開口に圧入接続されるチップ本体の先端内部に
転写ボールを回転可能に抱持させ、該転写ボールをスプ
リングにて前方に付勢せしめて内向き先端縁に接触させ
てなる筆記具用チップに於いて、チップ本体のタンク接
続部にカシメ部を設け、該カシメ部が、タンク接続部の
内面においてスプリングの後端を係止するバネ係止凸部
と、その外面において液タンクの先端開口の内面を係止
するタンク係止凹部とを有する事である。又、カシメ部
が、タンク接続部の周方向数カ所又は環状に形成されて
いる事である。斯る技術的手段によれば、チップ本体内
に、その後端開口から転写ボールを前方に付勢するスプ
リングを組み込み内在させることで、その後端をタンク
接続部の内面において突出するバネ係止凸部に係止され
た状態でスプリングを内在保持させる事ができる。そし
て、チップ本体のタンク接続部を液タンクの先端開口に
圧入すると、該タンク接続部に設けたカシメ部のタンク
係止凹部に液タンクの先端開口の内面が嵌合係止され
る。それにより、液タンクとチップ本体との接続が両者
接続間の圧入による圧接力（密着力）に加えて液タンク
のタンク係止凹部に対する嵌合係止力にて図られる。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の実施の具体例を図面に基
づいて説明する。図面はボールペンのリフィールの例を
示し、チップ本体１は金属等から形成され、その後部の
タンク接続部1-2 を、塑性変形に富んだ合成樹脂材料か
らなるチューブ状の液タンク２（通称、インク収容管と
称されている）の先端開口に圧入により接続せしめて、
該液タンク２からインクＭが液通路1-3 に導入され、こ
の液通路1-3 を流動させて先端内部に回転可能に抱持さ
れている転写ボール３へと供給される周知の構造を呈す
る。又、液通路1-3 には転写ボール３を前方へ所要の弾
発力にて付勢せしめて内向き先端縁1-1 に接触させるス
プリング４を同軸状に内在してなる。即ち、転写ボール
３を内向き先端縁1-1 に所要の弾発力にて接触させて、
転写ボール３と内向き先端縁1-1 とで弁構造を構成し、
不使用時にインクＭが不用意に吐出するのを防ぐように
なっている。そして、チップ本体１のタンク接続部1-2
にはカシメ部５を設けてなる。

【０００７】カシメ部５は、チップ本体１のタンク接続
部1-2 の根元近傍におけるその周方向に、外部からのカ
シメ加工により数か所又は環状に形成され、タンク接続
部1-2 の内面においてスプリング４が脱落しないように
その後端を衝合係止せしめるバネ係止凸部5-1 を備え、
そして、タンク接続部1-2 の外面においては液タンク２
の先端開口から抜け外れないように該先端開口の内面を
嵌合係止させるタンク係止凹部5-2 を備えてなる。

【０００８】因みに、スプリング４はその前端側にチッ
プ本体１の軸芯に沿わせて直線的に形成した棒状の押し
子4-1 を一体に備え、この押し子4-1 の先端を転写ボー
ル３が抱持されているボールハウス６に連通する液誘導
孔７を遊挿させてその先端を転写ボール３に衝合当接さ
せた状態で該転写ボール３を所要の弾発力にて付勢する
ようになっている。そして、押し子4-1 が突出するその
螺旋前部4-2 とバネ係止凸部5-1 に衝合係止させる螺旋
後部4-3 とのバネ線条同士を密着させた筒状形態とし、
この螺旋前後部4-2 ，4-3 間においては筆圧で撓む程度
の質量の弾発力が付与されるように所要の螺旋ピッチと
してなる。

【０００９】而して、転写ボール３を前方に付勢するス
プリング４をチップ本体１の後端開口から液通路1-3 に
組み込み内在させることでその螺旋後部4-3 は液通路1-
3 の路壁に突出するカシメ部５のバネ係止凸部5-1 に衝
合係止されて、スプリング４を脱落しないようにチップ
本体１の液通路1-3 に内在保持させる事ができる（図２
の状態）。そして、液タンク２にインクＭを充填した後
に、その先端開口にチップ本体１のタンク接続部1-2 を
圧入すると、該タンク接続部1-2 に設けたカシメ部５の
タンク係止凹部5-2 に液タンク２の先端開口の内面が塑
性変形により嵌合係止される（図１の状態）。それによ
り、液タンク２とチップ本体１との接続がその先端開口
の内面と圧接力（密着力）に加えてタンク係止凹部5-2
に対する液タンク２の内面の嵌合係止力により図られる
ことから、仮に液タンク２に対するチップ本体１の接続
時にその両者接続間にインクＭが残留し、この残留する
インクＭにより該両者接続間の圧接力（密着力）が低下
したとしても、或いは前記両者接続間に芯ズレ等が生じ
ていてもチップ本体１が液タンク２の先端開口から抜け
外れて脱落する事はない。尚、カシメ部５のタンク接続
部1-2 への加工はチップ本体１内にスプリング４を組み
込み内在させた後に行うも良く、自由である。

【００１０】図３は他の実施例を示し、斯る実施例にお
いてはカシメ部５のタンク係止凹部5-2 に嵌合係止させ
る嵌合凸部８を、液タンク２の先端開口の内面に形成せ
しめて、該先端開口へのチップ本体１のタンク接続部1-
2 の圧入によりその外面のタンク係止凹部5-2 と液タン
ク２の嵌合凸部８とが互いに嵌合係止するように形成し
てなるものである。

【００１１】尚、上記した実施例においてはボールペン
のリフィールの例を詳述したが、化粧液や粘度が比較的
に高い造膜性塗布液を塗布する塗布具等においても本発
明は対象としていることは言うまでもない。つまり、チ
ップ本体１の先端内部に転写ボール３を回転可能に抱持
させ、該転写ボール３をスプリング４にて前方に付勢せ
しめて内向き先端縁1-1 に接触させて、転写ボール３と
内向き先端縁1-1 とで弁構造を構成し、不使用時にイン
クＭが不用意に吐出するのを防ぐ構造を有する全てのチ
ップを対象としているものである。

【００１２】

【発明の効果】本発明の筆記具用チップは叙上の如く構
成してなるから、下記の作用効果を奏する。チップ本体
内に、その後端開口から転写ボールを前方に付勢するス
プリングを組み込み内在させることで、その後端をタン
ク接続部に設けたカシメ部のバネ係止凸部に衝合係止さ
せた状態でスプリングを内在保持させる事ができる。そ
して、チップ本体のタンク接続部を液タンクの先端開口
に圧入すると、該タンク接続部に設けたカシメ部のタン
ク係止凹部に液タンクの先端開口の内面が嵌合係止され
る。それにより、液タンクとチップ本体との接続が接続
両者間の圧入による圧接力（密着力）に加えてタンク係
止凹部に対する液タンクの内面の嵌合係止力にて図られ
る。

【００１３】従って、本発明の筆記具用チップによれ
ば、液タンクに対するチップ本体の接続時にその両者接
続間にインクが残留し、この残留するインクにより該両
者接続間の圧接力（密着力）が低下したとしても、或い
は前記両者接続間に芯ズレ等が生じていてもチップ本体
が液タンクの先端開口から抜け外れて脱落する事はな
い。しかも、チップ本体の脱落を防ぐタンク係止凹部と
転写ボールを付勢するスプリングが脱落しないように内
在保持するバネ係止凸部とを同時に形成し得るようにし
てなることから、生産性においても優れた効果が期待で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 ボールペンのリフィールの例を示した本発明
筆記具用チップの縦断面図

【図２】 チップ本体を液タンクに接続する前の状態を
示した同縦断面図

【図３】 チップ本体を液タンクに接続する前の他の実
施例を示した同縦断面図

【符号の説明】

１…チップ本体 1-1 …内向
き先端縁 1-2 …タンク接続部 ２…液
タンク ３…転写ボール ４…スプ
リング ５…カシメ部 5-1 …バネ
係止凸部 5-2 …タンク係止凹部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液タンクの先端に圧入にて接続されるチ
   ップ本体の先端内部に転写ボールを回転可能に抱持さ
   せ、該転写ボールをスプリングにて前方に付勢せしめて
   内向き先端縁に接触させてなる筆記具用チップに於い
   て、 チップ本体のタンク接続部にカシメ部を設け、該カシメ
   部が、タンク接続部の内面においてスプリングの後端を
   係止するバネ係止凸部と、その外面において液タンクの
   内面を係止するタンク係止凹部とを有する事を特徴とす
   る筆記具用チップ。