JPH10329115A - 電波吸収pc版の製造方法 - Google Patents

電波吸収pc版の製造方法

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JPH10329115A
JPH10329115A JP13983597A JP13983597A JPH10329115A JP H10329115 A JPH10329115 A JP H10329115A JP 13983597 A JP13983597 A JP 13983597A JP 13983597 A JP13983597 A JP 13983597A JP H10329115 A JPH10329115 A JP H10329115A
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正雄 川原
Katsuo Yoshida
克雄 吉田
Haruka Ogawa
晴果 小川
Hiromichi Sugimoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外装材の形態に制約を与えることがなく、か
つフェライトタイルの電波吸収性能を十分に発揮させ得
る電波吸収PC版の製造方法を提供する。 【解決手段】 複数枚のフェライトタイル片11を平面
的に組み合わせてそれらの表面に、多数の立毛糸部12
b,12cが突出する立毛布帛12を接着剤13で貼り
付けて一体的に接合したユニットタイル10を予め形成
しておく。型枠内に所要個数の仕上げタイル20を所定
形状に敷き詰めてその上側に目地モルタル21を打設
し、これが未乾燥のうちにその上側に上記ユニットタイ
ル10を置いて立毛布帛12の立毛糸部をモルタル内に
打ち込んで養生して一体的に接合する。次いで、上記ユ
ニットタイル10の背後側に、電波反射筋31と構造用
鉄筋32とを配筋してコンクリート33を打設してPC
版を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電波吸収PC(プ
レキャストコンクリート)版の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】建造物による電波の反射により、テレビ
放送受信のゴースト現象などの障害が引き起こされる。
これを防止するための対策として、建造物の外壁部に電
波吸収機能を有するフェライト系成形体でなるフェライ
トタイルを埋め込み、これを用いて反射電波の低減化を
図ることが従来から行われている。
【0003】ところで、このフェライトタイルは表面が
非常に平滑であるため、PC版に装着するにあたっては
コンクリートとの付着力が殆ど期待できない。そこで、
従来ではこのフェライトタイルを保持するために、外壁
仕上げタイルの形状に工夫を凝らし、この仕上げタイル
でフェライトタイルを抱き込んでコンクリートに打ち込
むようにしている。
【0004】例えば、特公平1−45238号公報に開
示された電波吸収壁体においては、図11に示すよう
に、仕上げタイル1として、電波を透過し易い材質から
なる化粧ブロックAの裏面に一対の脚片2,2を一体的
に突設形成したものを用い、その相隣合う脚片2,2間
にフェライトタイルBを嵌着して固定し、この仕上げタ
イル1を並列させて、これら各仕上げタイル1裏面側に
補強筋および電波反射体として機能する鉄筋メッシュ3
を配設してコンクリート4を打設することによって、仕
上げタイル1を介してフェライトタイルBを一体化させ
て保持するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図11
のようにフェライトタイルBを嵌着固定するための一対
の脚片2,2を仕上げタイル1の裏面に一体形成する方
法では、当該仕上げタイル1の成形コストが高くつくだ
けでなく、個々のフェライトタイルBに対応づけて同数
の仕上げタイル1を用意して組み付ける必要があり、施
工が繁雑であるという問題がある。また、フェライトタ
イルB相互の配置間隔はあまり離すことはできないの
で、当該フェライトタイルBの大きさに相応して仕上げ
タイル1の寸法や形状にも制約が生じ、その結果、意匠
上の自由性が損なわれてしまうという問題もある。
【0006】さらに、電波吸収性能に関しても、フェラ
イトタイルBを仕上げタイル1の背面に設けた脚片2,
2間に挿入している構造であることから、相隣るフェラ
イトタイルB,B間には少なくとも脚片2個分以上の間
隔があいてしまうことを避け難く、よってPC版全体と
してはフェライトタイル1の持つ本来の電波吸収性能を
十分に生かしきれない状態となっていた。
【0007】本発明は上記課題を解決すべく創案された
ものであって、その目的は、外壁面を仕上げタイルに限
らず様々な仕様で形成することが可能で、その意匠上の
自由度が高く、しかもフェライトタイルの配置間隔(空
隙率)を任意に調整でき、その電波吸収性能を十分に発
揮させ得る電波吸収PC版の製造方法を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る電波吸収PC版の製造方法は、平面的
に組み合わせた複数枚のフェライトタイル片の表面を覆
って、多数の立毛糸部が突出する立毛布帛をその立毛糸
部を外側にして接着剤にて接合することで、一体的にユ
ニット化したユニットタイルを予め形成しておく工程
と、型枠内に打設したモルタルの後面側に、該モルタル
が乾かないうちに該ユニットタイルを置いて養生し、該
立毛布帛の立毛糸部を該モルタルに打ち込んで該ユニッ
トタイルと該モルタルとを接合一体化する工程と、該ユ
ニットタイルの背後側に電波反射筋と構造用鉄筋とを配
してコンクリートを打設して一体化する工程と、を有す
ることを特徴とするものである。
【0009】ここで、前記モルタルは型枠内に敷設され
た外装材の上に打設される目地モルタルとすることがで
きるし、あるいは直接的に外壁面を形成する外壁面仕上
げ用のモルタルとすることもできる。
【0010】また、上記ユニットタイルの表面に設ける
立毛布帛は、そのユニットタイルの前面及び後面若しく
は周側面のうち、その全ての表面に設ける形態であって
もよいし、前面及び後面とに設ける形態、あるいは前面
と周側面若しくは前面のみに設ける形態であっても良
い。
【0011】上記構成でなる本発明の電波吸収PC版の
製造方法では、予め、複数枚のフェライトタイル片を平
面的にまとめて立毛布帛で繋いでユニット化しておき、
このユニットタイルを、型枠内に打設したモルタルの上
に層状に重ねてPC版を構成するものであるため、従来
のように個々のフェライトタイル片をそれぞれ仕上げタ
イルに組み付ける場合に比べ、その作業が効率的なもの
となる。
【0012】また、このユニットタイルは、その個々の
フェライトタイル片を仕上げタイルなどの外装材のそれ
ぞれと1対1で対応させる必要がなく、これら外装材と
は無関係にその大きさ、形状及び配置を任意に定めて配
設することができる。すなわち、換言すれば仕上げタイ
ルなどの外装材はフェライトタイル片の大きさや形状及
びその配置形態に1対1で対応させる必要がないので、
自由な配置や寸法形状に設定することができ、従って外
壁面を仕上げタイルや仕上げモルタルなどの様々な仕様
の外装材を用いて形成でき、意匠上の自由性が損なわれ
ることがない。
【0013】また、フェライトタイル片からなるユニッ
トタイルの配置間隔(空隙率)を任意に調整できるた
め、当該フェライトタイル片が本来持つ電波吸収性能を
十分に発揮させ得る。
【0014】そして、立毛布帛はその片面に起立する立
毛糸部がモルタルやコンクリートに打ち込まれてアンカ
ーとして機能して一体化され、他面側がユニットタイル
(フェライトタイル片)の表面に接着材によって張り付
けられて一体化されるから、高い接合強度が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて添付図面に基づいて説明する。図1〜図6は本発明
にかかる電波吸収PC版の製造工程〜を示すもので
ある。
【0016】まず、第1の工程として、図1に示すよ
うに、フェライトタイル片11を複数枚平面的に組み合
わせて予めユニット化しておく。このユニット化は、並
列させた複数枚のフェライトタイル片11,11,…の
表面にこれらを覆って立毛布帛12を接着剤で接合して
貼り付け、各フェライトタイル片11,11,…をこの
立毛布帛12で相互に一体的に繋ぐことによりなされ、
全体として所定の大きさの1つのユニットタイル10と
して形成する。
【0017】具体的には、少なくとも片面に立毛糸部が
起立して突出する立毛布帛12を、その立毛糸部が前面
側となるように下側に向けてユニット化しようとする複
数枚のフェライトタイル片11を包める大きさで敷設し
ておき、この上にエポキシアクリレート樹脂(硬化剤,
促進剤を調合した混合物)等でなる合成樹脂製の構造用
接着剤13(図7)を塗布してから、その上に上記複数
枚のフェライトタイル片11を隙間なく並列させて敷設
し、立毛布帛12の後面に一体化させて貼り付け、これ
により所定の大きさ及び形状を持つ1つのユニットタイ
ル10として一体的にユニット化する。そして、並列さ
れたフェライトタイル片11,11,…の周囲からはみ
出ている立毛布帛12の残余部分で、当該フェライトタ
イル片11,11,…を包むことにより、ユニットタイ
ル10の全面に立毛布帛12を貼る。
【0018】ここで本実施形態では、上記立毛布帛12
には両面に立毛糸部が起立するものを用いている。すな
わち、図9に示すように、この立毛布帛12は編物また
は織物として構成され、経糸と緯糸とから編成される地
糸部12aと、この地糸部12aから両面に突出して立
設されるループ状の立毛糸部12b,12cとで構成さ
れる。なお、上記ループ状の立毛糸部12b,12cは
その先端を切断して分離しておいても良い。
【0019】さらに詳述すると、この立毛布帛12は、
地糸部12aとしてポリエステルマルチフィラメント
(250デニール,48フィラメント)を用い、立毛糸
部12b,12cとしてポリプロピレンモノフィラメン
(300デニール)を用いて、ダブルラッセル機(22
ゲージ,75インチ幅)で密度30コース/インチ,1
2ウェル/インチのダブル編地に編成されており、前後
の生地を繋ぐ立毛糸は切断されている。また、立毛糸部
12b,12cは本実施形態では300デニールとした
が、その下限は50デニール以上有れば良く、かつ、そ
の長さは2mm以上、好ましくは3〜8mmに形成されれば
良く、本実施形態では4mmに形成される。尚、前記立毛
布帛12は地糸部12aをポリエステルとし、立毛糸部
12b,12cをポリプロピレンとしたが、立毛布帛1
2はこれらの繊維以外にビニロン,アクリル,ナイロ
ン,アラミド,ガラス等の繊維またはこれらの繊維を含
んだ材料で編成することもできる。
【0020】また本実施形態では、上記フェライトタイ
ル片11には長方形のものを用いており、これを平面内
で所定枚数ここでは5枚を横(一方向)に並べ、所望の
面積規模のユニットタイル10を得ている。なお、平面
内で所定枚数のフェライトタイル片11,11…を縦横
に複数列並べ、所望の面積規模のユニットタイル10を
得ることもできる。
【0021】つまり、両面に立毛糸部12b,12cが
立設する立毛布帛12を用いた本実施形態では、立毛布
帛12はその片面側の立毛糸部12cをアンカーにして
各フェライトタイル片11,11…の表面に接着剤で一
体的に接合される。なお、図示していないが片面側にの
み立毛糸部が立設する立毛布帛を用いても良く、この場
合には、立毛布帛は立毛糸部が立設されていない面の地
糸部がフェライトタイル片の表面に接着剤で一体的に接
合されて立毛糸部は外側に配される。
【0022】また、ユニットタイル10の面上には、電
波反射を起こさない材料から成るタイル固定材14を接
着剤にて貼り付けている。このタイル固定材14は、全
てのフェライトタイル片11に亘って延在するように、
つまり全てのフェライトタイル片11,11…間を架橋
してこれらを繋いで一体化するように設ける。図1の例
では、一方向に延在する帯状の形でタイル固定材14を
設けている。なお、このタイル固定材14は各フェライ
トタイル片11,11…と立毛布帛12とを接合する接
着剤が乾燥固化するまでの間に、フェライトタイル片1
1,11…が動いて乱れないようにするためのものであ
る。
【0023】一方、上記第1の工程とは別に、図2に
示すように、第2の工程として、PC版の成形型枠
(図示せず)内に、外壁面を形成する外装材として所要
個数の仕上げタイル20を所望する自由な配置形態で敷
く。そして、図3に示すように、第3の工程として、
その仕上げタイル20の後面つまりPC版の成形型枠内
での上面側に目地モルタル21を打ち込む。
【0024】次に、第4の工程として、図4に示すよ
うに、目地モルタル21が乾かないうちに、上記ユニッ
トタイル10をモルタル21上に置き、一日養生する。
この養生により、立毛布帛12はその要部を図8に拡大
して示すように、その片面側の立毛糸部12bが目地モ
ルタル21内に一体的に打ち込まれて一体化される。
【0025】なお、立毛布帛12の他面側の立毛糸部1
2cには、第1の工程の段階で、フェライトタイル片
11の後面が構造用接着材13(例えばエポキシ樹脂
等)によって一体的に張り付けられており、よって当該
立毛布帛12を介して目地モルタル21とフェライトタ
イル片11とが接合されている。ここで、立毛布帛12
の地糸部12aは目地モルタル21には打ち込まれない
ばかりか、構造用接着剤13によってフェライトタイル
片11にも接着されず、ほぼ両面の立毛糸部12b,1
2c部分がそれぞれ目地モルタル21とフェライトタイ
ル片11とに一体化される。これにより、立毛布帛12
は地糸部12aが目地モルタル21とフェライトタイル
片11相互間の変位を許容する絶縁層として機能し、立
毛糸部12b、12cが各々目地モルタル21とフェラ
イトタイル片11とにそれぞれアンカーとして機能して
接合一体化される。
【0026】ここで、この段階における仕上げタイル2
0、目地モルタル21、立毛布帛12、接着剤13、ユ
ニットタイル片11の重なり状態について説明すると図
4及び図8に示すように、仕上げタイル20とフェライ
トタイル片11とは相互に1対1で対応していない。即
ち、仕上げタイル20の目地部22の位置と、フェライ
トタイル片11,11間の隙間15の位置とが大きくず
れており、図8中で、左右の仕上げタイル20a,20
bのうち右側の仕上げタイル20aは、左右のフェライ
トタイル片11a,11bのうちの隣の左側のフェライ
トタイル片11bの領域近傍まで延在している。つま
り、ユニットタイル10は立毛布帛12の立毛糸部12
bによって目地モルタル21に一体的に接合されるか
ら、仕上げタイル20とフェライトタイル片11とを1
対1で対応づけた配置や大きさにする必要がなく、それ
ら相互の制約をなくして自由な配置や寸法形状に設定す
ることができ、従って意匠上の自由性が損なわれること
がない。また、敷設した仕上げタイル20群の上に、複
数のフェライトタイル片11を平面的にまとめて一体化
したユニットタイル10を重ねて装着するものであるた
め、従来のように1個づつ各フェライトタイル片11毎
に取り付ける場合に比べ、その取り付け施工が効率的な
ものとなる。
【0027】次に、第5の工程として、図5に示すよ
うに、ユニットタイル10の背後側つまりPC版の成形
型枠内での上面側に、電波反射筋31と構造用鉄筋32
とを配筋する。ここで、電波反射筋31に強度を持たせ
て構造用鉄筋としての機能をも付与して兼用させること
も可能である。
【0028】その後、第6の工程として、図6に示す
ように、PC版の成形型枠内にコンクリート33を打設
する。なお、図7は図6中のVII−VII線矢視断面
図であり、ユニットタイル10の長手方向に沿った断面
を示すものである。かくして、立毛布帛12を使用して
フェライトタイル片11を接合固着した電波吸収PC版
30を得る。
【0029】このようにして最終的に得られた電波吸収
PC版30における仕上げタイル20、目地モルタル2
1、立毛布帛12、接着剤13、フェライトタイル片1
1、接着剤13、立毛布帛12、コンクリート33が順
次重なった状態を図10に示す。
【0030】同図10に示すように、フェライトタイル
片11とコンクリート33との間の立毛布帛12につい
ても、当該立毛布帛12は、その片面側の立毛糸部12
bがコンクリート33内に一体的に打ち込まれて一体化
される。なお、立毛布帛12の他面側の立毛糸部12c
には、既に第1の工程の段階で、フェライトタイル片
11の後面が構造用接着材13によって一体的に張り付
けられている。従って、当該立毛布帛12を介してユニ
ットタイル10(フェライトタイル片11,11…)と
コンクリート33とが接合される。
【0031】要するに、上記構成による電波吸収PC版
の製造方法にあっては、ユニットタイル10(フェライ
トタイル片11,11…)の前面側の立毛布帛12はそ
の片面側の立毛糸部12bが仕上げタイル20上の目地
モルタル21に打ち込まれて一体化されるとともに、他
面側の立毛糸部12cはユニットタイル10(フェライ
トタイル片11,11…)の表面が接着材13によって
一体的に張り付けられて、当該立毛布帛12と目地モル
タル2とを介して仕上げタイル20とユニットタイル1
0とが接合される。当該立毛布帛12は、その地糸部1
2aが仕上げタイル20の目地モルタル21のひび割れ
やクラック及び目地部分における挙動を吸収して、その
変位を許容する絶縁層として機能し、両面の立毛糸部1
2a,12bは各々目地モルタル21とフェライトタイ
ル片11とに接合一体化されてそれぞれアンカーとして
機能する。
【0032】また、ユニットタイル10の後面側の立毛
布帛12はその片面側の立毛糸部12bがコンクリート
33面に打ち込まれて一体化されるとともに、他面側の
立毛糸部12cはユニットタイル10(フェライトタイ
ル片11,11…)の後面が接着材13によって一体的
に張り付けられて、当該立毛布帛12を介してコンクリ
ート33とユニットタイル10とが接合される。
【0033】ここで、上記実施形態においては、ユニッ
トタイル10の全面、つまり前面、後面及び周側面に、
フェライトタイル片11,11…を包み込むようにして
立毛布帛12を設けているが、フェライトタイル片1
1,11…の前面及び後面のみに立毛布帛12を設ける
だけでも十分な接合強度が得られるから、周側面の立毛
布帛12についてはこれを省略することもできる。すな
わち、周側面に立毛布帛を設けなければ、隣り合うユニ
ットタイル10,10…間の隙間15を可及的に詰めて
小さく調整することができ、フェライトタイル片11,
11…の配置間隔をより密にして、フェライトタイルが
本来持つ電波吸収性能をより一層有効に発揮させること
ができるようになる。
【0034】ただし、ユニットタイル10の幅をa、上
記隙間15の間隔をbとし、空隙率を 空隙率=b/(a+b)×100(%) と定義したとき、空隙率が大きい場合、即ち空隙率が1
0%程度を超えるような場合には、ユニットタイル10
の周側面にも立毛布帛12を設けてコンクリート33と
のより一層の一体化を図るのが好ましい。
【0035】また、立毛布帛12はユニットタイル10
に対してその前面、つまり外面側にのみ設けるようにし
ても良い。これによっても、仕上げタイル20の寸法や
形状に対する制約をなくして自由な配置を確保すること
ができるようになると共に、フェライトタイル片11に
対するアンカーとしての作用効果を発揮させることがで
きる。
【0036】また上記実施形態では、長方形のフェライ
トタイル片11を平面内で所定枚数だけ一方向に並べて
いるが、長方形以外の形状のフェライトタイル片11を
平面内で所定枚数だけ縦横に並べ、所望の面積規模のユ
ニットタイル10を得ることもできる。この形態のユニ
ットタイル10に対しても、仕上げタイル20の配置や
その寸法・形状等は全く自由であり、何らの制約も生じ
ない。このため、上記仕上げタイル20以外にも、電波
を透過しやすい材料であれば、薄肉のプレキャスト板や
自然石等様々な仕様のものを外装材として広く採用する
ことができ、また外装材は特に設けずに外壁面を直接モ
ルタル面で形成するモルタル仕上げとすることもでき、
この点からも意匠の自由性を大幅に増大することができ
る。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による電波
吸収PC版及の製造方法は、複数枚を平面的に組み合わ
せたフェライトタイル片の表面に、多数の立毛糸部が突
出する立毛布帛を貼り付けて一体的なユニットタイルと
して予め形成しておき、このユニットタイルを型枠内に
打設したモルタルが乾かないうちにその上に置いて養生
することにより、上記立毛布帛の立毛糸部をモルタル面
にアンカーとして打ち込んで当該モルタルとユニットタ
イルとを接合し、爾後ユニットタイルの背後側に、反射
筋と構造用鉄筋を配筋してコンクリートを打設するもの
であるから、従来のように1つの仕上げタイルに1つの
フェライトタイル片を対応させて取り付ける場合に比
べ、その施工効率が格段に向上するだけでなく、フェラ
イトタイル片の大きさや形状によって外装材の大きさや
形状に制約を生じさせることがなく、もって外壁の意匠
上の自由性が損なわれることがない。
【0038】即ち、外装材は1つのフェライトタイル片
に対して、その大きさや形状ないし配置を1対1で対応
させる必要がない。従って、外装材の大きさや形状及び
配置をフェライトタイル片のそれとは全く無関係に自由
に設定することが可能で、様々な仕様の外装材を使用す
ることができ、また外壁面をモルタル仕上げとすること
もでき、意匠の自由性を高く確保できる。
【0039】また、フェライトタイルの配置間隔、つま
り空隙率を任意に調整できるため、フェライトタイルが
本来持つ電波吸収性能を十分に発揮させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電波吸収PC版の製造方法の第1の工
程を示す図である。
【図2】本発明の製造方法の第2の工程を示す図であ
る。
【図3】本発明の製造方法の第3の工程を示す図であ
る。
【図4】本発明の製造方法の第4の工程を示す図であ
る。
【図5】本発明の製造方法の第5の工程を示す図であ
る。
【図6】本発明の製造方法の第6の工程を示す図であ
る。
【図7】図6中のVII−VII線矢視断面図である。
【図8】図4の要部を拡大して詳細に示す部分拡大図で
ある。
【図9】本発明で用いた立毛布帛の概略図である。
【図10】図6の要部を拡大して詳細に示す部分拡大図
である。
【図11】従来におけるフェライトタイルの固定構造を
示す断面図である。
【符号の説明】
10 ユニットタイル 11 フェライトタイル片 12 立毛布帛 12a 地糸部 12b 立毛糸部 12c 立毛糸部 13 接着剤 14 タイル固定材 15 隙間 20 仕上げタイル 21 目地モルタル 22 目地部 30 電波吸収PC版 31 反射筋 32 構造用鉄筋 33 コンクリート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 弘道 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面的に組み合わせた複数枚のフェライ
    トタイル片の表面を覆って、多数の立毛糸部が突出する
    立毛布帛をその立毛糸部を外側にして接着剤にて接合す
    ることで、一体的にユニット化したユニットタイルを予
    め形成しておく工程と、 型枠内に打設したモルタルの後面側に、該モルタルが乾
    かないうちに該ユニットタイルを置いて養生し、該立毛
    布帛の立毛糸部を該モルタルに打ち込んで該ユニットタ
    イルと該モルタルとを接合一体化する工程と、 該ユニットタイルの背後側に電波反射筋と構造用鉄筋と
    を配してコンクリートを打設して一体化する工程と、 を有することを特徴とする電波吸収PC版の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記モルタルが型枠内に敷設された外装
    材の上に打設される目地モルタルであることを特徴とす
    る請求項1記載の電波吸収PC版の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記モルタルが外壁面を直接的に形成す
    る外壁面仕上げ用のモルタルであることを特徴とする請
    求項1記載の電波吸収PC版の製造方法。
JP13983597A 1997-05-29 1997-05-29 電波吸収pc版の製造方法 Expired - Fee Related JP3773328B2 (ja)

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