JPH10327824A - ルウの製造方法及びこれに用いるための加熱装置 - Google Patents

ルウの製造方法及びこれに用いるための加熱装置

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JPH10327824A
JPH10327824A JP9154582A JP15458297A JPH10327824A JP H10327824 A JPH10327824 A JP H10327824A JP 9154582 A JP9154582 A JP 9154582A JP 15458297 A JP15458297 A JP 15458297A JP H10327824 A JPH10327824 A JP H10327824A
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heating
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Takashi Shiromizu
崇 白水
Kazunori Sonobe
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Koji Hashimoto
康治 橋本
Yoshie Sakai
善江 酒井
Takako Doi
貴子 土井
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ルウの製造方法及びそのための加熱装置の提
供。 【解決手段】 (1)連絡して設けられた2基のバッチ
式加熱手段1及び2を用い、(2)油脂の一部と小麦粉
を、加熱手段1で品温100℃以上に加熱処理して小麦
粉ルウを製造し、(3)該小麦粉ルウを加熱手段2に移
すと共に、残りの油脂を流動状にして加熱手段1に導入
して内部の処理物を流し取り、(4)上記油脂を加熱手
段2に移し、必要に応じて他の原料を加熱手段2に加
え、これらによって、加熱手段2内の小麦粉ルウを品温
50〜70℃に冷却し、(5)乳製品、肉類・魚介類・
野菜・果実等の汁液、エキス、ブイヨン、香辛料、カレ
ーパウダー、調味料等の風味原料を加熱手段2に加え、
(6)上記加熱手段2内の小麦粉ルウに風味原料を加え
た原料を品温70℃以上に加熱する。以上各工程を含む
ルウの製造方法及びその装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各原料の特性を十
分に引き立たせた高品質のルウの製造方法に関するもの
であり、更に詳しくは、本発明は、カレー、シチュー等
のルウ製品の製造工程において、ルウの各原料又は処理
物を、連絡して設けられた2基のバッチ式加熱手段から
なる多段加熱方式により加熱処理することにより、各原
料の特性を十分に引き立たせた高品質のルウ製品を効率
よく製造することを可能としたものであり、各原料の特
性に応じた風味立ちと、これによる風味の融合効果を最
大限に発揮することを可能とする高品質のルウを効率良
く製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、カレー、シチュー等のルウは、
その原料配合、製造プロセス等の差異に起因する風味上
の質的、量的差異が製品の性格を大きく左右する重要因
子となっている。したがって、カレー等のルウを製造す
る場合は、各原料の特性、例えば、カレーパウダー等の
独特の香り風味が十分に引き立つようにする必要があ
り、そのために、原料配合、製造プロセス等において、
従来、例えば、油脂と小麦粉とを100〜170℃程度
に加熱混合して小麦粉ルウを作った後に、風味が逸散、
分解しやすいカレーパウダー等の風味原料を加えること
が行われていた。
【0003】ところで、周知の通り、高品質のカレール
ウ等を製造するためには、原料を正確に調合して加熱
すること、各原料の特性に適合した適切な加熱条件で
加熱することが必要である。この点に関して、原料の加
熱混合は通常単一の加熱釜での一括加熱方式が行われて
おり、各原料の高品質化が行われているにもかかわら
ず、加熱手段を含む製造プロセスの面で、各原料の特性
に適合した好適な加工ができないという問題を有するも
のであった。更に、上記単一の加熱釜では次のような問
題がある。即ち、加熱処理後、加熱釜の内壁面に原料が
付着し(高温で小麦粉ルウを製造する際に原料が加熱釜
の壁面に付着しやすく、更にこの上から調味原料等を加
えて加熱すると、より原料が加熱釜の壁面に付着しやす
くなる)、歩留りが悪く、また続けて別の原料を当該加
熱釜で処理すると、壁面に付着した加熱済みの原料が混
ざり、配合が変わる等の不都合が生じる。このため、従
来の単一の加熱釜ではバッチ処理の度に加熱釜を洗浄す
る必要があった。
【0004】一方、上記のような単一の加熱釜からなる
装置を用いる先行技術では、一般に高温で小麦粉ルウを
製造した後、続けて調味原料等を加えて加熱する方法が
取られ、加熱中ルウの品温は一貫して高温域で推移す
る。しかしながら、実際には、各原料の風味を引き立た
せ高品質のルウを得るためには、小麦粉ルウを一旦冷却
し、調味原料を加えて再び昇温する方法を採るのが望ま
しく(後記する本発明の方法による)、したがって、こ
の場合には、単一の加熱釜では、小麦粉ルウを製造した
後、敢えて原料を冷却する必要があり、作業効率が悪
く、エネルギーロスとなる等の問題があり、実際には、
このような方法を採ることは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、それらの問
題点を確実に解消することができると共に、ルウの風味
向上に寄与し得る原料、とりわけ、乳製品や野菜・果実
エキス等のいわゆる風味原料の有する特有の風味を逸
散、分解させることなく、その風味特性を最大限に発揮
せしめることが可能な高品質のルウ製品を製造するため
の新しい技術を開発することを目標として鋭意研究を積
み重ねた結果、少なくとも小麦粉ルウ及び風味原料を用
い、これらの原料を仕上げのために加熱処理する工程を
含むルウの製造方法において、上記仕上げのための加熱
処理の前に、小麦粉ルウを品温50℃〜70℃に冷却
し、該冷却温度域において、風味原料を加え、これらを
加熱処理する構成等を採用すると共に、連絡して設けら
れた2基のバッチ式加熱手段からなる多段加熱方式を採
用することにより所期の目的を達成し得ることを見出し
て、本発明を完成するに至った。
【0006】本発明は、優れた風味特性を有する新しい
ルウの製造方法を提供することを目的とするものであ
る。また、本発明は、高温処理により乳製品や野菜・果
実エキス等の風味が逸散、分解しやすい原料の風味等を
有効かつ最大限に発揮させることを可能とした高品質の
ルウ製品を製造する方法を提供することを目的とするも
のである。また、本発明は、先行技術のものより、更に
風味のよいルウの製造方法を提供することを目的とする
ものである。また、本発明は、先行技術のものに比べ、
加熱釜の内壁面への原料の付着を極少とし、種々の原料
配合、加熱条件等を正確に設定して加熱処理することが
できると共に、加熱処理中に小麦粉ルウを冷却する条件
を設定して、高品質のルウの製造を可能とする方法及び
その装置を提供することを目的とする。更に、本発明
は、各原料の風味を十分に引き立たせた高品質のルウを
得ることができるルウの製造方法を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の第1の態様は、各原料の特性を十分に引き立
たせた高品質のルウの製造方法であって、以下の工程; (1)連絡して設けられた2基のバッチ式加熱手段1及
び2を用い、(2)油脂の一部と小麦粉を、一方のバッ
チ式加熱手段1で品温100℃以上に加熱処理して小麦
粉ルウを製造し、(3)該小麦粉ルウを、バッチ式加熱
手段1よりバッチ式加熱手段2に移すと共に、残りの油
脂を流動状にしてバッチ式加熱手段1に導入して該加熱
手段1の内部の処理物を流し取り、(4)上記油脂をバ
ッチ式加熱手段1よりバッチ式加熱手段2に移し、必要
に応じて他の原料をバッチ式加熱手段2に加え、これら
によって、加熱手段2内の小麦粉ルウを品温50℃〜7
0℃に冷却し、(5)乳製品、肉類・魚介類・野菜・果
実等の汁液、エキス、ブイヨン、香辛料、カレーパウダ
ー、調味料等の風味原料をバッチ式加熱手段2に加え、
(6)上記バッチ式加熱手段2内の小麦粉ルウに風味原
料を加えた原料を品温70℃以上に加熱する、を含むこ
とを特徴とする前記ルウの製造方法、を好ましい実施の
態様としている。
【0008】また、本発明の他の態様は、前記のルウの
製造方法に用いるための加熱装置であって、(7)連絡
して設けられた2基のバッチ式加熱手段1及び2を2以
上併設して備え、(8)該加熱手段の各々に適宜処理物
を導入するための導入手段と、(9)上記加熱手段1の
処理物を加熱手段2へ移送するための移送手段とを備え
てなり、(10)加熱手段1に油脂の一部と小麦粉を導
入し、加熱処理して得た小麦粉ルウを加熱手段2に移
し、加熱手段1に流動状の残りの油脂を導入して該加熱
手段1の内部の処理物を流し取った後加熱手段2に移
し、必要に応じて加熱手段2に他の原料を導入して原料
の品温を下げた後、風味原料を加えて仕上加熱処理する
ことを特徴とする前記加熱装置、である。
【0009】続いて、本発明について更に詳細に説明す
る。本発明においては、連絡して設けられた2基のバッ
チ式加熱手段1及び2と、該加熱手段の各々に複数の処
理物を導入するための導入手段とを備えて構成される
(多段加熱装置が使用される)。これにより、ルウの製
造工程において、バッチ式加熱手段1で小麦粉ルウを
製造後、バッチ式加熱手段2に移し、原料の一部であ
る比較的低温の溶融油脂で加熱手段1の内部の原料を流
し取り、この原料を加熱手段2に移して原料を冷却
し、風味原料等を加えて再び加熱手段2により仕上げ
加熱することができる。つまり、(a)上記により、
加熱手段1内に原料を付着させることなく、求める小麦
粉ルウの原料の全てを加熱手段2に導入でき、歩留りが
よく、原料配合を正確に行い得る。(b)また、上記
により、上記原料に風味原料等が加えられた配合が正確
となり、加熱手段2で最終の仕上げ加熱処理だけが行わ
れ、加熱手段2に原料の付着が少ない。(c)更に、上
記及びにより、前記した加熱途中でルウの品温を下
げ得ることから、これにより最適の加熱条件を得ること
ができる。
【0010】本発明は、上記のように、上記の装置を用
いて上記及びの処理を行うことにより、小麦粉ルウ
を製造後、一旦特定の品温域にまで冷却し、これに風味
原料等を加えて再び70℃以上に昇温する方法を採用す
ることができ、これにより、原料の風味を引き立たせ、
これらを相互に馴染ませた風味に優れたルウを製造する
ことができる。
【0011】本発明は、前記のように、少なくとも小麦
粉ルウ及び風味原料を用い、これらの原料を仕上げのた
めに加熱処理する工程を含むルウの製造方法において、
上記仕上げのための加熱処理の前に、小麦粉ルウを品温
50℃〜70℃に冷却し、該冷却温度域において、風味
原料を加え、これらを加熱処理するものである。この場
合、小麦粉ルウ及び風味原料は何れのものも使用するこ
とが可能であるが、特に、風味原料は、例えば、乳製
品、肉類・魚介類・野菜・果実等の汁液、エキス、ブイ
ヨン、香辛料、カレーパウダー等の他の原料と共に加熱
した場合に風味が引き立ついわゆる融合型の風味原料を
組成物として含むことが望ましい。つまり、上記の融合
型風味原料によれば、上記プロセスにより、これらを単
独で他の原料と組み合せて加熱するか、これらの複数、
あるいはこれらの複数と他の原料を組み合せて加熱する
ことにより、他の原料の風味と融合し、上記の組み合せ
に応じてバラエティーに富んだ風味となり、最終的に得
られるルウの風味向上に寄与し得るものとなる。尚、ル
ウ中に風味原料を2〜29%含むのが、上記作用効果を
得る上でよい。また、原料の全部を上記組成物としても
よいし、又は原料の一部を組成物としてもよいし、風味
原料と他の原料を含む組成物としてもよい。
【0012】本発明においては、後段の仕上げ加熱処理
をする前に、上記組成物を100℃を超えない温度で加
熱処理することが望ましい。つまり、これによって、各
風味原料の風味を引き立たせ、かつ相互に馴染ませる効
果が得られ、これを用いて製造したルウの風味品質が向
上する。100℃以上で加熱すると、風味原料の風味が
逸散分解するので、100℃を超えない温度で加熱処理
するのが重要である。加熱による風味の発現・融合が向
上するために、組成物を40℃以上、98℃以下で加熱
処理することが望ましく、45〜80℃で加熱処理する
ことが最も望ましい。加熱処理の条件が40℃に満たな
いと、風味の発現・融合が不十分となりやすい。98℃
以下で風味の逸散分解を回避し、良好な風味の発現・融
合効果が得られる。加熱処理に用いる手段は、何れでも
よいが、開放型の加熱撹拌装置が風味の発現・融合が向
上する上で望ましく、この点で密閉型の加圧加熱装置よ
りよい。
【0013】本発明においては、前記のように、油脂と
小麦粉、あるいはこれらを主体とする原料を品温100
℃以上に加熱して小麦粉ルウを製造し、該小麦粉ルウを
品温50℃〜70℃に冷却し、上記冷却温度域において
風味原料を加え、小麦粉ルウに風味原料を加えた原料を
70℃以上に加熱する。小麦粉ルウに70℃以上で風味
原料を加えると、風味原料の風味が逸散分解するので、
小麦粉ルウを70℃を超えない温度に冷却するのが重要
である。加熱による風味の発現・融合及び加熱効率を向
上するために、小麦粉ルウを50℃以上とする。上記品
温が50℃に満たないと、風味の発現・融合が不十分と
なりやすい。70℃以下とすることで風味の逸散分解を
回避し、良好な風味の発現・融合効果が得られる。
【0014】次に、仕上げ加熱処理について説明する。
油脂と小麦粉とを加熱混合(通常100〜170℃)及
び冷却して小麦粉ルウを作った後、これに前記の風味原
料を混合し、仕上げ加熱処理する。仕上げ加熱処理は、
小麦粉ルウ及び風味原料を含む全部又は大部分の原料を
加熱処理して、各原料の風味を引き立たせ、かつ相互に
馴染ませるために行う。この効果を得る上で、仕上げ加
熱処理は65℃以上、好ましくは65〜131℃、更に
好ましくは70〜120℃で行うのがよい。上記範囲よ
り高温であると、原料に焦げ風味がでやすい等の問題が
あり、反対に低温であると風味の引き立ちが不十分とな
りやすい。各原料の風味を引き立たせ、かつ相互に馴染
ませる効果を適切に得る上で、一旦50〜70℃程度に
冷却した小麦粉ルウを、20〜70分間程度で65〜1
31℃まで昇温して仕上げ加熱処理を行うのが望まし
い。
【0015】尚、各原料の風味を引き立たせ、かつ相互
に馴染ませる効果を適切に得る上で、小麦粉ルウ17〜
28重量部(通常、油脂40〜48部及び澱粉系原料5
2〜60部からなる。尚、以下、重量部を部と略称す
る)と、風味組成物2〜29部と、粉体原料43〜81
部とを仕上げ加熱処理するとよい。ここで、粉体原料と
は、食塩、砂糖、オニオンパウダー等のパウダー品、調
味料(アミノ酸)等の単体で比較的高温の加熱で風味立
ちするものを指す。したがって、粉体原料の一部を小麦
粉ルウに加え、前記融合型風味原料(組成物)を仕上げ
加熱処理時に添加することによって、各々の原料の特性
に応じた風味立ちと、これによる風味の融合効果を効果
的に達成することができる。仕上げ加熱処理時に添加す
る他の原料としてショ糖脂肪酸エステルを用いることが
でき、全原料に占める水分含量が1.5〜8%の場合
に、ショ糖脂肪酸エステルを0.05〜0.5%、好ま
しくは、0.1〜0.35%用いるとよい。これによ
り、粘度を適切に調整して仕上げ加熱処理時の攪拌混合
操作が容易となり、また充填適性がよくなる。
【0016】次に、加熱処理後の原料を、充填装置によ
り容器に充填し、固化する。この場合の手段は任意であ
り、常法によればよいが、充填処理に充填シリンダー内
のピストンを作動させることによって充填ノズルから処
理物を吐出する形態の充填装置(比較的高速で作動する
充填装置)を用いると、本発明の効果がより好適に達成
される。つまり、上記形態の充填装置では、原料の品温
55〜65℃程度で実施される場合に(固体脂の融点以
上で原料が溶融状態でないと充填できない)、油脂が分
離して、充填装置のピストン(ピストンリング)の部分
で固形原料が詰まりやすいという問題(以下「原料詰ま
り」という)が生じやすい。前記乳化剤を用いる本発明
の構成により、原料の物性を調節(滑らかに調節)して
原料詰まりを回避し、充填適性を向上させることができ
るのである。つまり、前記1.5〜8%の水分含量は通
常のルウのものに比べて相対的に高いものであり、水系
原料を多く含んで風味向上が図られる反面、前記の充填
時に原料詰まりを顕著に生じやすい。したがって、前記
のようにショ糖脂肪酸エステルを用いる構成により、上
記の背反する問題を回避して風味及び製造適性の両面に
優れたルウの製造方法が供されるのである。
【0017】原料中のショ糖脂肪酸エステルの含有量が
0.05%に満たない場合は、加熱攪拌処理した場合の
攪拌操作が容易に行えず、充填の際原料詰まりを生じや
すい。一方、0.5%を超えるとルウの香り立ちを抑
え、えぐ味がでて風味を損なうと共にテクスチャーも悪
くなり易い。したがって、前記含有量の範囲によって、
原料の粘度を調整して前記の攪拌、充填上の問題を解消
し、また製品の油浮きを良好に回避することができる。
尚、前記した充填シリンダー内のピストンを作動させる
ことによって充填ノズルから処理物を吐出する形態の充
填装置を用いると、原料詰まりを生じやすく、前記の態
様によりこれが好適に解消されるので、極めて有効であ
る。ショ糖脂肪酸エステルとしては、何れを用いてもよ
いが、特に灰分0.6%以下、好ましくは0.1〜0.
3%のものを用いれば、加熱攪拌処理及び充填処理の適
性を更に良好に改善できるので好ましい。
【0018】本発明は、基本的に以上の構成を踏まえて
行えばよく、各種に改変してバラエティーを組める。例
えば、風味組成物は、別途に2以上製造し、各々処理の
条件を変えて仕上げ加熱処理に供してもよく、仕上げ加
熱処理時に添加する時期も任意であり、2以上の風味組
成物を時期を違えて添加することもできる。
【0019】また、本発明においては、原料の全部又は
一部を少なくとも小麦粉ルウ及び風味原料を含む2以上
の組成物とし、これらを格別に加熱処理したものを混合
してルウを製造することも可能である。つまり、ルウの
基本配合である前記の原料を含む組成物を各々加熱処理
して、一旦別々に製造したルウを合わせて最終のルウを
製造することも適宜可能である。この場合、組成物を加
熱処理して一旦ルウを製造する場合の方法は、前記の方
法と同様であり、油脂及び小麦粉を加熱処理して作った
小麦粉ルウに、風味原料を混合して仕上げ加熱処理すれ
ばよい。また、各々適当な条件で仕上げ加熱処理した2
以上の組成物を混合した後、改めて最終的な仕上げ加熱
処理を施すこともできる。尚、上記の段階的に原料を組
成物として調製し、これからルウを製造する態様は、従
来の加熱装置を用いる場合にも同様に実施し得る。
【0020】各組成物を仕上げ加熱処理する場合の条件
は、配合に応じて適宜決定し得る。尚、融合型風味原料
と粉体原料を使い分けることによって、優れた風味のル
ウを製造することができる。即ち、融合型風味原料を含
む組成物を、融合型風味原料に応じた比較的低い温度域
で処理して、融合型風味原料の風味の逸散分解を防ぎな
がら、風味の発現・融合を向上せしめ、かつ、粉体原料
を含む組成物を、比較的高い温度域(例えば103〜1
18℃)で加熱処理して、十分に風味を引き立たせる。
しかして、各風味原料の特性に応じて十分に風味を引き
出された、2以上の組成物(ルウ)を混合することによ
って、極めて風味の優れたルウを製造することができ
る。
【0021】尚、特に油脂、水系原料及び澱粉系粉体を
含む原料を仕上げ加熱混合処理する場合は、加熱混合処
理の間、原料の品温が80〜100℃程度の温度域にお
いて、特に原料の物性が硬化しやすい。本発明では、加
熱混合処理時の原料物性の硬化を回避するために、以下
の第1〜第4態様のように特定条件で加熱混合処理を行
うことができる。先ず、第1態様では、水系原料及び澱
粉系粉体をこの記載の順で添加する。原料を一括して加
熱混合処理する場合及び小麦粉ルウに他の原料を添加す
る場合の何れを問わず、加熱混合処理の際に水系原料及
び澱粉系粉体を記載の順で添加すればよい。原料が80
〜100℃程度(前記の原料物性が硬化しやすい温度
域)になる以前に上記添加を実施し、特に小麦粉ルウに
他の原料を添加する場合は、60〜80℃程度で水系原
料を加え、その5〜10分後(原料品温50〜60℃程
度)に澱粉系粉体を加えることが望ましい。これらによ
り、加熱混合処理時の原料物性の硬化が好適に回避さ
れ、混合攪拌等を良好に行うことができる。特に、水系
原料にルウ全体に対して3〜8%程度を占める水分が含
まれ、かつ澱粉系粉体が5〜40%程度である場合に、
水系原料の添加により予め水分を分散させて澱粉の反応
を抑制し、原料物性の改善効果を好適に達成することが
できる。また、加熱による水系原料の劣化を防ぐため
に、水系原料を加える際の原料の品温を60℃以下程度
とするか、加える水系原料の品温を50℃以下程度とす
ることにより、風味の優れたルウを調製することが可能
となる。
【0022】次に、第2態様では、水系原料を塩、糖
質、糖アルコールから選ばれる1乃至それ以上を含むも
のとする。要するに、水分(自由水)を閉じ込めた形で
水系原料を用いることにより、上記水分と澱粉との反応
を抑制して所望の物性改善効果を得ることができる。前
記した水系原料の水分量及び澱粉系粉体の添加量である
場合に、塩、糖質、糖アルコールを、単独、併用の何れ
を問わず、原料の水分活性(AW)が0.5以下、好ま
しくは0.3以下となる程度含むことが上記の作用を得
る上で好ましい。塩、糖質等は水系原料に加えて混合す
ればよく、このように調製した水系原料を任意にルウの
製造に用いればよい。尚、第2態様では、加熱混合後一
旦原料をストックしてから充填処理する場合には、スト
ックタンクで塩、糖質が沈降しやすいため、これを回避
するために加熱混合処理後直ちに充填処理するか、ある
いはストックタンクで原料を攪拌することが望ましい。
【0023】第3態様では、加熱混合処理を原料に剪断
力を与えて行う。例えば、加熱釜に片面乃至両面に複数
の衝撃ピンを取り付けた回転ディスク(ピンミルのディ
スクのような形態のもの)を設け、加熱釜内で該回転デ
ィスクを高速回転させることで第3態様の処理を達成す
ることができる。該衝撃ピンの形状は丸棒状、角柱状
(水平方向断面が台形状、逆台形状のものを含む)等の
何れでもよい。ここで、例えば加熱釜の容量が20〜5
0klの場合に、径10〜20cmの上記回転ディスク
を10〜100m/sec程度の速度で回転させればよ
い。以上の各構成により、加熱混合時に継続的に前記澱
粉に関わる反応を阻止して、原料物性の硬化を好適に回
避することができる。
【0024】第4態様では、原料にポリグリセリン脂肪
酸エステルを添加する。この場合、HLBが10以上の
ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1〜1.0%添加
するのがよい。上記の構成により、加熱混合時の原料物
性の硬化が好適に回避され、またこれにより得られるル
ウは調理時に糊様の食感とならない。以上の第1〜4態
様により、加熱混合時の物性改善効果が達成されるが、
各態様を任意に併せて行えば物性改善効果が更に向上す
る。また、第1〜4態様は、何れも調製した小麦粉ルウ
に水系原料、澱粉系粉体を添加する態様において、特に
優れた物性改善効果を示す。尚、第1〜4態様により、
加熱混合処理時の原料の粘度を1000〜6000cp
程度にまで抑えることが可能となる。また、得られたル
ウは、喫食時に糊感のない滑らかな食感のものとなる。
更に、本発明では、油脂、水系原料及びポリグリセリン
脂肪酸エステルを含み、ルウを家庭等において調理する
際に加えてルウの風味を改善するための調味材を提供す
る。即ち、油脂、水系原料及びポリグリセリン脂肪酸エ
ステルを含むことを特徴とするルウの調理時に加えてル
ウの風味を改善するための調味材を提供する。油脂は調
味材中に20〜50%、水系原料は50〜80%添加す
るのが良く、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、HLB
が10以上のものを0.1〜1.0%添加するのが好ま
しく、他に香辛料、調味料等を任意に用い得る。特に、
上記油脂として、パーム油等の液体脂40〜80%と、
カレーパウダー、香辛料、牛・豚・鶏の肉骨、オニオ
ン、ガーリック等の香辛野菜等から選ばれた1乃至それ
以上20〜60%とを、110〜130℃で加熱処理し
た後残渣を除いて得た香味油を用いれば、優れた風味の
調味材が得られるので好ましい。調味材は、例えば上記
の原料を80〜90℃で加熱混合処理し、ホモゲナイズ
処理して製造すればよい。調味材は、固形状、フレーク
状、粉末状、顆粒状、ペースト状、液状等の形態で供し
得る。上記の構成からなる調味材は、香味油、水系原料
を多く含んで豊かな風味をもち、組織が安定で、しかも
これをルウの調理時に加えてもルウが糊的な食感になら
ないという優れた効果を有する。尚、以上の説明におい
て、温度は全て原料の品温を指す。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明で使用される加熱装置の基
本態様は次の構成からなる(図1)。加熱装置は、連絡
して設けられた2基のバッチ式加熱手段1及び2と、該
加熱手段の各々に複数の処理物を導入するための導入手
段3とを備えてなる。バッチ式加熱手段1及び2は、壁
面に熱媒ジャケット(図示せず)を備える等収容された
処理物を加熱するための適宜手段を備え、必要に応じて
処理物を攪拌するための攪拌手段13及び14を備え
る。加熱手段1及び/又は2は、処理物を冷却するため
の冷媒ジャケット等を備えることもできる。加熱手段1
及び2は、バルブ15を介して移送管で連絡され、要す
るに加熱手段1及び2の何れかから他方に、あるいは両
者間で処理物の移送を可能にするように連絡すればよ
い。図示した装置では、加熱手段1から加熱手段2に処
理物が移送され、加熱手段2の下流側には充填装置等が
適宜設けられる。
【0026】上記の加熱手段の各々に複数の処理物を導
入するための導入手段3は、例えば、処理物を収容する
ホッパー、計量機及び圧送ポンプ等の移送装置を順に移
送管に繋げ(以下これらをパーツということがある)、
複数の処理物ごとに上記パーツを設けて構成される。
尚、上記パーツの複数を計量機の下流側で繋げ、これに
適宜混合装置等を設けてもよく、これらにより予め複数
の処理物を混合してから前記の加熱手段に送ることがで
きる。前記の各パーツは、下記する方法が達成できるよ
うに、処理物及び加熱手段との関係で適宜配設すること
ができる。本発明では、上記のように、連結して設けら
れた2基のバッチ式加熱手段(クッカー)からなる多段
加熱装置を基本構成として、これらを2以上連続して併
設することにより、原料配合の種類とその組合せ、製品
の性質、製造条件等に正確に適合させた製造ラインを設
定し、また、ライン毎に種々の態様で並行してルウを製
造することが可能となる。連続して併設した一例を図3
に示す。
【0027】本例において使用する装置を図3に基づい
て説明する。本例は、次の(1)〜(5)の手段を備え
ている装置を使用した例を示す。 (1)各原料を収納するホッパー1−1〜1−n、2−
1〜2−n、3−1〜3−n、各ホッパーから供給され
る各原料の一定量を計量して次工程に供給する計量手段
4−1〜4−nを備える。 (2)ホッパー3−1〜3−nあるいはその一部の下流
側に混合機8−及び計量手段9−を設置することもでき
る。 (3)ホッパー1−1〜1−nから原料を下記の各第1
クッカーに供給するための移送手段10−と、2−1〜
2−n及び3−1〜3−n(計量手段9−)から原料を
各第2クッカーに供給するための移送手段20−。 (4)連続して設けられた2基のバッチ式加熱手段(第
1クッカー及び第2クッカー)を備えた加熱装置、すな
わち、第1クッカー11−1〜11−n、その下流側に
各第1クッカーに連結して設置された第2クッカー12
−1〜12−n。尚、各第2クッカーの下流側にストッ
カー(図示せず)を設置することも可能である。 (5)充填装置14−
【0028】以下、前記図1の装置を使用してルウを製
造する方法の基本態様の一例を示す。 1.原料の仕込み (1)原料としてホッパー4に小麦粉を、ホッパー5に
流動状(液状)の油脂(ヘット及びラード)を、ホッパ
ー6に粉体の原料(食塩、砂糖、スターチ、各種香辛
料、その配合物であるカレーパウダー、オニオンパウダ
ー、ビーフエキスパウダー、アミノ酸(調味料)、粉末
醤油、乳化剤等)を収容した。 (2)先ず、ホッパー4から小麦粉の配合量を、ホッパ
ー5から油脂の配合量の一部を、おのおのバッチ式加熱
手段1に送り前記の条件で加熱攪拌処理して小麦粉ルウ
を得た。 (3)小麦粉ルウを加熱手段1より加熱手段2に移すと
共に、ホッパー5から油脂の配合量の残量を流動状とし
て加熱手段1に導入して攪拌し、該加熱手段1の内部の
処理物を流し取った。上記(2)、(3)で加熱手段1
及び2に振り分けて導入する油脂の量は、上記の加熱手
段1内部の処理物を流し取る作用が得られる範囲で適宜
決定すればよい。 (4)上記油脂を加熱手段1より加熱手段2に移し、ホ
ッパー6から風味原料の配合量を加熱手段2に加え、こ
れらによって、一旦加熱手段2内の処理物の品温を50
℃〜70℃に冷却し、 (5)他のホッパー(図示せず)から、乳製品、肉類・
魚介類・野菜・果実等の汁液、エキス、ブイヨン、香辛
料、カレーパウダー、調味料等の風味原料をバッチ式加
熱手段2に加え、 (6)加熱手段2内の処理物を品温を前記の条件範囲に
仕上げ加熱して、求めるルウ製品を得た。
【0029】以上の方法によると、加熱手段1内に小麦
粉を付着させることなく、歩留りがよく、配合を正確に
行い得ることがわかった(前記(a))。また、加熱手
段2では風味原料を加え最終の仕上げ加熱処理だけが行
われ、加熱手段2にも原料の付着が少なく、正確な配合
が達成されることがわかった(前記(b))。更に、加
熱途中で無理なく処理物の品温を下げ得る特殊な加熱条
件が得られることから(前記(c))、この種の条件を
必要とする処理物の加熱処理に好適であることがわかっ
た。
【0030】上記ルウの製造工程における原料(処理
物)の品温カーブを図2に示す。図中、は、油脂を加
熱手段1に投入し、その内部を油脂で流し取り、油脂を
加熱手段1から加熱手段2に排出し、仕上げの加熱混合
を開始した時点を示す。−aは、加熱手段2に前記
(1)の粉体原料を投入した時点、−bは、加熱手段
2に前記(5)の風味原料を投入した時点を示す。更
に、−cは、仕上げの加熱処理工程で品温70℃以上
に達温させ仕上げ加熱を終了した時点を示す。
【0031】上記のように、本発明によれば、焙煎後の
高温の小麦粉ルウに、上記に用いられた油脂を投入す
ることで、小麦粉ルウの品温を一気に60℃位にまで低
下させることができ、この段階で、順次、粉体原料、風
味原料を加えて、(−a→−b)、再び加熱して品
温70℃以上にまで徐々に昇温できるので、各原料の特
性、とりわけ風味原料の風味特性を最大に発揮させて、
優れた風味のルウ製品を得ることができる。また、上記
品温低下により、冷却設備が不要であることから、エネ
ルギーロスの問題がない。また、従来の単一の加熱釜
(クッカー)では、加熱後、原料が加熱釜の壁面に付着
し、歩留りの低下等につながったが、本発明によれば、
上記で加熱手段の内部を油脂で流し取って、原料回収
をするため、歩留り低下の問題がなく、更に、加熱手段
1及び2が一対でバッチ対応するため、最適に原料配
合、及びその組合せを簡便に達成することができる。
【0032】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定される
ものではない。 実施例1 カレールウの製造例について図3の装置を使用する場合
に基づいて説明する。 1.原料の仕込み (1)小麦粉ルウ原料 油脂(ヘット及びラード)、小麦粉を各々ホッパー1−
1、1−2に収納した(薄〜強力粉、α化小麦粉等小麦
粉の種類を使い分ける場合等はホッパー1−3(図示せ
ず)以降を使用する)。 (2)水系原料 融合型風味原料(乳製品(チーズ、ヨーグルト等)、
肉、野菜、果実のエキス、ブイヨン、ジュース、各種香
辛料、その配合物であるカレーパウダー)を各々ホッパ
ー2−1〜2−nに収納する。 (3)粉体原料 単独型風味原料(食塩、砂糖、スターチ、各種香辛料、
その配合物であるカレーパウダー、オニオンパウダー、
ビーフエキスパウダー、アミノ酸(調味料)、粉末醤
油、乳化剤等)を各々ホッパー3−1〜3−nに収納し
た。
【0033】2. カレールウの製造 ホッパー1より油脂12部、小麦粉12部を各第1ク
ッカー11−1〜11−nに送り、撹拌しながら約50
分間かけて約120℃まで加熱して小麦粉ルウを製造し
た。 加熱後の小麦粉ルウを、第1クッカー11−1〜11
−nから各々に対応する第2クッカー12−1〜12−
nに送り、小麦粉ルウと入替えに、ホッパー1−より油
脂26部をあらかじめ約60℃に加熱溶融して各第1ク
ッカー11−1〜11−nに送り、約2分間撹拌して各
第1クッカーの内部の原料を油脂で流し取った。 上記第1クッカー内の油脂を、各々のクッカーに対応
する第2クッカー12−1〜12−nに送った。
【0034】油脂を投入完了して直後、ホッパー3よ
り移送手段20を介して食塩8部、砂糖8.5部、スタ
ーチ9部、カレーパウダー6部、グルタミン酸Na1.
5部及び灰分0.3%のショ糖脂肪酸エステル0.1部
(以上の粉体原料は、必要に応じて混合機8−で混合し
て第2クッカーに供給することも可能である)を各第2
クッカーに送って加熱撹拌を開始した。また、その15
分後にホッパー2より移送手段20を介してビーフブイ
ヨン0.5部、チーズ1部及び果実エキス1部を各第2
クッカーに送った。〜で、油脂投入前各第2クッカ
ー内の小麦粉ルウの品温は約120℃であり、その後、
原料の品温は油脂及び粉体原料の投入により約65℃ま
で低下し、第2クッカーの加熱によりこれを下限として
約60分間で約114℃まで上昇し、この時点で加熱を
止めてカレールウを製造した。 上記カレールウを、充填シリンダー内のピストンを作
動させることによって充填ノズルから処理物を吐出する
タイプの充填装置14−(四国化工機(株)製)を用い
て、容器に充填し、固化することによりルウ製品を得
た。
【0035】3.性能 上記のカレールウ(固形ルウ)を用いて、常法により、
水、具材と煮込んで調理したカレーは、カレーパウダー
の他にブイヨン、果実エキス、チーズ等の生の風味が活
かされたまろやかでコクのある優れた風味のものであっ
た。また、製造プロセスにおいて、仕上げ加熱及び充填
処理の際、ルウの粘度は適当に抑えられて、円滑に加熱
攪拌及び充填装置の作動が実施された。
【0036】実施例2 (第1の態様)実施例1と同様にして、各第2クッカー
において小麦粉ルウ及び油脂を投入完了して直後、これ
に、水系原料としてビーフエキス8部を加えて加熱攪拌
処理し、10分後(原料の品温約60℃)、小麦粉5
部、食塩8部、砂糖8部、カレーパウダー5部及び調味
料15部を一括して加えて加熱攪拌を続け、約15分間
かけて約84℃まで加熱し、カレールウを製造した。
尚、第2クッカーは通常の回転式の撹拌羽根を備えたも
のである。上記の加熱攪拌処理の間、原料の粘度は30
00〜6000cpで推移し、良好に混合攪拌処理を行
うことができた。また、得られたカレールウ(固形ル
ウ)を常法により調理して喫食したところ、糊感のない
滑らかな食感のものであった。
【0037】実施例3 (第2の態様)食塩及び砂糖を水系原料に混合して用
い、油脂を投入完了後上記水系原料と他の原料を一括し
て加える以外は、実施例2と同様にしてカレールウを製
造した。この場合、カレールウの加熱攪拌処理時及び調
理時の性能は実施例2と同等の良好のものであった。
【0038】実施例4 (第3の態様)各第2クッカーを下記の複合型攪拌混練
機とし、油脂を投入完了後実施例2と同様の原料を一括
してこれに加え、約50分間かけて約112℃まで加熱
攪拌処理してカレールウを製造した。上記の複合型攪拌
混練機は、斜軸の錨型ミキサーを取付け、こを挟んで、
両面に複数のピンを取り付けた回転ディスクを備えた高
速回転ミキサーを取付けたもので、混練処理中回転ディ
スクを50m/secの速度で回転させた。この場合、
上記の加熱攪拌処理の間、原料の粘度は1000〜30
00cpで推移し、良好に混合攪拌を行うことができ、
カレールウの調理時の性能は実施例2と同等の良好のも
のであった。尚、上記装置の構造を図4に示す。
【0039】実施例5 (第4の態様)油脂を投入完了後水系原料と他の原料と
更にポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB11)0.
6部とを一括して加える以外は、実施例2と同様にして
カレールウを製造した。この場合、カレールウの加熱攪
拌処理時及び調理時の性能は実施例2と同等の良好のも
のであった。
【0040】実施例6 (第5の態様)パーム油50部、カレーパウダー30部
及び香辛料20部を120℃で加熱処理した後残渣を除
いて得た香味油27部、チャツネペースト32部、乳製
品20部、調味料21部及びポリグリセリン脂肪酸エス
テル(HLB13)0.5部を加熱釜で約15分間かけ
て85℃まで加熱混合処理した後、ホモゲナイズ処理し
てペースト状の調味材を製造した。上記の調味材を、実
施例5で得たカレールウの調理時に適量添加して喫食し
たところ、調理されたカレーはコク味と辛味が更に好適
に付与され、同時に糊感のない非常に滑らかな食感のも
のであった。
【0041】以下、本発明者らが実施した比較実験の結
果を示す。 比較例1 油脂を投入完了後、水系原料と他の原料を一括して加え
る以外は、前記の実施例2と同様にしてカレールウを製
造した。実施例2〜5及び比較例1の加熱攪拌処理の間
におけるカレールウの品温と粘度の推移は、図5(実施
例2)、図6(実施例3)、図7(実施例4)、図8
(実施例5)、図9(比較例1)の各グラフに示す通り
である。尚、各図面で実線は品温の推移を、破線は粘度
の推移を示す。図5〜9に示されるように、本発明の実
施例2〜5(図5〜8)においては、カレールウの粘度
の上昇が確実に抑制されているのに対して、比較例1
(図9)においては、カレールウの粘度が著しく上昇し
ていることが分かる。以上詳述した本発明のルウの製造
方法における各態様は、必ずしも本発明の加熱装置を用
いる場合にしか実施できないものではなく、装置とは無
関係に一定の作用効果を奏し得るものであることを付言
しておく。つまり、従来の単一の加熱装置を用いる場合
にも応用することができる。
【0042】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ルウの製造工程において、焙煎後の高温の小麦粉ルウを
品温50℃〜70℃に冷却し、該冷却温度域において、
風味原料を加えて、仕上げ加熱をすることで、各原料の
風味特性を十分に引き立たせた高品質のルウ製品を製造
することができる。また、連絡して設けられた2基のバ
ッチ式加熱手段1及び2からなる多段加熱方式を採用す
ることにより、ルウの製造工程において、格別の冷却設
備を使用することなしに、焙煎後の高温の小麦粉ルウの
品温を一気に60℃前後にまで低下させることができ、
この段階で風味原料を加えて、仕上げ加熱を開始するこ
とで、風味原料の特性を十分に発揮せしめた高品質のル
ウ製品を得ることができる。更に、上記多段加熱を採用
することにより、各原料の好適な組合せ等、各原料の特
性に適合した好適な加熱、原料を用いた上記加熱手段1
の内部の洗浄等が可能であり、歩留りの低下がなく、正
確な原料配合、適正な条件設定による高品質を簡便に達
成することができる。
【0043】本発明の仕上げ加熱処理に関する第1の態
様によれば、水系原料及び澱粉系粉体を特定の順で添加
することにより、澱粉の膨潤による原料物性の硬化を抑
え、ルウの製造プロセスにおける加熱混合攪拌処理等を
良好に行うことができる。本発明の第2の態様によれ
ば、水系原料を塩、糖質、糖アルコールから選ばれる1
乃至それ以上を含むものとすることにより、水分(自由
水)を閉じ込めた状態で澱粉との反応を抑制して所望の
物性改善効果を得ることができる。本発明の第3の態様
によれば、加熱混合処理を原料に剪断力を与えて行うこ
とにより、加熱混合処理時に継続的に澱粉の反応を阻止
して、所望の物性改善効果を得ることができる。本発明
の第4の態様によれば、原料にポリグリセリン脂肪酸エ
ステルを添加することにより、加熱混合処理時の原料物
性の硬化を抑え、かつ調理したルウを糊感のない優れた
食感のものとすることができる。更に、本発明の第5の
態様によれば、油脂、水系原料及びポリグリセリン脂肪
酸エステルを含む構成の調味材により、これをルウの調
理時に加えて、ルウの物性に影響を与えずに風味を改善
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される多段加熱装置の一例を示
す。
【図2】本発明の多段加熱方式によるルウの品温カーブ
を示す。
【図3】本発明で使用される連続して併設した多段加熱
装置の一例を示す。
【図4】剪断装置の一例の説明図。
【図5】本発明の実施例2におけるカレールウの品温と
粘度の推移を示す説明図。
【図6】本発明の実施例3におけるカレールウの品温と
粘度の推移を示す説明図。
【図7】本発明の実施例4におけるカレールウの品温と
粘度の推移を示す説明図。
【図8】本発明の実施例5におけるカレールウの品温と
粘度の推移を示す説明図。
【図9】比較例1におけるカレールウの品温と粘度の推
移を示す説明図。
【符号の説明】
1 加熱手段 2 加熱手段 3 導入手段 4 ホッパー 5 ホッパー 6 ホッパー 7 計量機 8 計量機 9 計量機 10 移送装置 11 移送装置 12 移送装置 13 攪拌手段 14 攪拌手段 15 バルブ 1−1 ホッパー 1−2 ホッパー 1−n ホッパー 2−1 ホッパー 2−2 ホッパー 2−n ホッパー 3−1 ホッパー 3−2 ホッパー 3−n ホッパー 4−1 計量手段 4−2 計量手段 4−3 計量手段 4−4 計量手段 4−5 計量手段 4−6 計量手段 4−7 計量手段 4−8 計量手段 4−n 計量手段 8− 混合機 9− 計量手段 10− 移送手段 11−1 第1クッカー 11−2 第1クッカー 11−3 第1クッカー 11−n 第1クッカー 12−1 第2クッカー 12−2 第2クッカー 12−3 第2クッカー 12−n 第2クッカー 14− 充填装置 20− 移送手段 10 加熱釜 20 回転ディスク 30 衝撃ピン 40 鋳型ミキサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 園部 一憲 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品株式会社内 (72)発明者 橋本 康治 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品株式会社内 (72)発明者 酒井 善江 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品株式会社内 (72)発明者 土井 貴子 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品株式会社内 (72)発明者 中村 文美 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各原料の特性を十分に引き立たせた高品
    質のルウの製造方法であって、以下の工程; (1)連絡して設けられた2基のバッチ式加熱手段1及
    び2を用い、(2)油脂の一部と小麦粉を、一方のバッ
    チ式加熱手段1で品温100℃以上に加熱処理して小麦
    粉ルウを製造し、(3)該小麦粉ルウを、バッチ式加熱
    手段1よりバッチ式加熱手段2に移すと共に、残りの油
    脂を流動状にしてバッチ式加熱手段1に導入して該加熱
    手段1の内部の処理物を流し取り、(4)上記油脂をバ
    ッチ式加熱手段1よりバッチ式加熱手段2に移し、必要
    に応じて他の原料をバッチ式加熱手段2に加え、これら
    によって、加熱手段2内の小麦粉ルウを品温50℃〜7
    0℃に冷却し、(5)乳製品、肉類・魚介類・野菜・果
    実等の汁液、エキス、ブイヨン、香辛料、カレーパウダ
    ー、調味料等の風味原料をバッチ式加熱手段2に加え、
    (6)上記バッチ式加熱手段2内の小麦粉ルウに風味原
    料を加えた原料を品温70℃以上に加熱する、を含むこ
    とを特徴とする前記ルウの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記請求項1記載のルウの製造方法に用
    いるための加熱装置であって、(7)連絡して設けられ
    た2基のバッチ式加熱手段1及び2を2以上併設して備
    え、(8)該加熱手段の各々に適宜処理物を導入するた
    めの導入手段と、(9)上記加熱手段1の処理物を加熱
    手段2へ移送するための移送手段とを備えてなり、(1
    0)加熱手段1に油脂の一部と小麦粉を導入し、加熱処
    理して得た小麦粉ルウを加熱手段2に移し、加熱手段1
    に流動状の残りの油脂を導入して該加熱手段1の内部の
    処理物を流し取った後加熱手段2に移し、必要に応じて
    加熱手段2に他の原料を導入して原料の品温を下げた
    後、風味原料を加えて仕上加熱処理することを特徴とす
    る前記加熱装置。
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