JPH10324756A - プラズマを利用した容器体もしくは筒状体内面の処理方法 - Google Patents

プラズマを利用した容器体もしくは筒状体内面の処理方法

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JPH10324756A
JPH10324756A JP13664797A JP13664797A JPH10324756A JP H10324756 A JPH10324756 A JP H10324756A JP 13664797 A JP13664797 A JP 13664797A JP 13664797 A JP13664797 A JP 13664797A JP H10324756 A JPH10324756 A JP H10324756A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内面処理の際のガス雰囲気の種類を問わず、
大気圧近傍の圧力下で、均一で、安定した放電プラズマ
を発生させて、容器体もしくは筒状体の内面をプラズマ
処理する方法を提供する。 【解決手段】 大気圧近傍の圧力下で、対向する電極
3、4の間に、処理用気体が内部に供給されている容器
体もしくは筒状体5を配置し、当該電極間3、4にパル
ス化された電界を印加することによって放電プラズマを
発生させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気圧近傍の圧力
下に於いて、容器体もしくは筒状体の内面を放電プラズ
マによって処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、プラスチック瓶やガラス容器
などの成形体の内面を、親水化したり、疎水化したりす
る表面処理方法は、種々、提案されてきたが、これら
は、主として、シランカップリング剤とかシリコンなど
の溶液を用いて、表面をコートする方法が取られてきた
が、この方法は溶剤の乾燥によるコスト上昇や処理工程
でゴミが付着する欠陥があり、食品、医療容器には致命
的な損害に結びつくことが多かった。
【0003】上述のような欠陥を解消する方法として、
例えば、特開平5−269370号公報には、溶液を使
用しない乾式処理方法として、対向する電極間に、処理
される成形体を配置して、成形体内の気体をプラズマ励
起させて、これを成形体の内面に接触させて、成形体の
内面を表面処理する方法が開示されている。
【0004】しかし、上記方法では、成形体に導入する
気体が、ヘリウム又はケトン類を含有する気体組成物で
あって、特定されたガス雰囲気で実施されるものであ
る。そのため、ヘリウムガスは高価であり、ケトン類は
処理面に反応したり、不純物となって、製品自体を汚染
する場合が多く、工業的にはコストと品質面で大変不利
な方法であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な問題点を解決して、内面処理の際のガス雰囲気の種類
を問わず、大気圧近傍の圧力下で、均一で、安定した放
電プラズマを発生させて、容器体もしくは筒状体の内面
をプラズマ処理する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のプラズマを利用
した容器体もしくは筒状体内面の処理方法は、大気圧近
傍の圧力下で、対向する電極の間に、処理用気体が内部
に供給されている容器体もしくは筒状体を配置し、当該
電極間にパルス化された電界を印加することによって放
電プラズマを発生させることを特徴とする。
【0007】大気圧近傍の圧力下では、上記ヘリウム、
ケトン等の特定のガス以外は安定してプラズマ放電状態
が保持されずに瞬時にアーク放電状態に移行することが
知られているが、パルス化された電界を印加することに
より、アーク放電に移行する前に放電を止め、再び放電
を開始するというサイクルが実現されていると考えられ
る。
【0008】大気圧近傍の圧力下に於いては、本発明の
パルス化された電界を印加する方法によって、初めて、
ヘリウム、ケトン等のプラズマ放電状態からアーク放電
状態に至る時間が長い成分を含有しない雰囲気におい
て、安定して放電プラズマを発生させることが可能とな
る。
【0009】尚、本発明の方法によれば、空気中で放電
プラズマを発生させることも可能である。公知の低圧条
件下におけるプラズマ処理は、特定のガスを含有させる
大気圧条件下におけるプラズマ処理に於いても、外気か
ら遮断された密閉容器内で処理を行うことが必須であ
り、処理を施す容器体もしくは筒状体そのものが入る大
きな密閉容器を使うか、容器体もしくは筒状体に気体を
充填させて密閉・閉栓するなど煩雑な工程を必要として
いたが、本発明の容器体もしくは筒状体内面の処理方法
によれば、容器体もしくは筒状体に気体を充填させた後
に、気体の自由な流出を防ぐ程度の簡便な仕切りを設け
ればよく、工程上非常に有利である。
【0010】更に、パルス化された電界を印加する方法
によれば、高密度のプラズマ状態を実現できるため、連
続処理等の工業プロセスを行う上で大きな意義を有す
る。
【0011】上記大気圧近傍の圧力下とは、100〜8
00Torrの圧力下を指す。圧力調整が容易で、装置
が簡便になる700〜780Torrの範囲が好まし
い。
【0012】本発明の容器体もしくは筒状体内面の処理
方法は、対向する電極の間に、処理を施す容器体を配置
する。この際、電極同士が直接対向しないように容器体
を配置することが好ましい。両電極が、容器体もしくは
筒状体を介することなく、直接対向する部分があると、
その部分にアーク放電が起こって、流れる電流密度が不
均一になり、均一な処理が困難になる。
【0013】処理される容器体もしくは筒状体が、電極
が直接対向しないように、即ち、両電極表面を完全に覆
う形で配置された場合に、高電圧を必要とせず、効果
的、且つ、経済的に内面処理ができる。又、処理の不均
一化を完全に避けたい場合は、上記電極の対向面の少な
くとも一方に固体誘電体が設置されていることが好まし
い。
【0014】プラズマが発生する部位は、容器体もしく
は筒状体内部の空間を含めた、両電極間の空間で起こ
り、電極の一方に固体誘電体を設置した場合は、固体誘
電体と電極の間、電極の双方に固体誘電体を設置した場
合は、固体誘電体同士の間の空間である。
【0015】上記電極としては、銅、アルミニウム等の
金属単体、ステンレス、真鍮等の合金、金属間化合物等
からなるものが挙げられる。上記対向電極は、電界集中
によるアーク放電の発生を避けるために、対向電極間の
距離が略一定となる構造であることが好ましい。この条
件を満たす電極構造としては、平行平板型、円筒対向平
板型、球対向平板型、双曲面対向平板型、同軸円筒型構
造等が挙げられる。
【0016】上記固体誘電体は、上記電極の対向面の一
方、又は、双方に設置する。この際、固体誘電体と設置
される側の電極が密着し、且つ、接する電極の対向面を
完全に覆うようにする。
【0017】上記固体誘電体としては、ポリテトラフル
オロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラス
チック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化
ジルコニウム、酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バ
リウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0018】上記固体誘電体の形状は、シート状でもフ
ィルム状でもよいが、厚みが0.05〜4mmであるこ
とが好ましい。厚すぎると放電プラズマを発生するのに
高電圧を要し、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こ
りアーク放電が発生するためである。
【0019】上記電極間の距離は、固体誘電体の厚さ、
印加電圧の大きさ、被処理体である容器体もしくは筒状
体の大きさによって決定されるが、1〜50mmである
ことが好ましい。電極間の距離が1mm未満では、電極
と内面処理される容器体もしくは筒状体との間隔が不充
分な距離となる。又、50mmを超えると、均一な放電
プラズマを発生させることが困難となる。
【0020】図1にパルス電圧波形の例を示す。波形
(A)、(B)はインパルス型、波形(C)は方形波
型、波形(D)は変調型の波形である。図1には電圧印
加が正負の繰り返しであるものを挙げたが、正又は負の
いずれかの極性側に電圧を印加するタイプのパルスを用
いてもよい。
【0021】本発明におけるパルス電圧波形は、ここで
挙げた波形に限定されないが、パルスの立ち上がり時間
及び立ち下がり時間が短いほどプラズマ発生の際のガス
の電離が効率よく行われる。
【0022】特に、パルスの立ち上がり時間及び立ち下
がり時間が40ns〜100μsであることが好まし
い。40ns未満では現実的でなく、100μsを超え
ると放電状態がアークに移行しやすく不安定なものとな
る。より好ましくは50ns〜5μsである。尚、ここ
でいう立ち上がり時間とは、電圧変化が連続して正であ
る時間、立ち下がり時間とは、電圧変化が連続して負で
ある時間を指すものとする。
【0023】更に、パルス波形、立ち上がり時間、周波
数の異なるパルスを用いて変調を行ってもよい。このよ
うな変調は高速連続表面処理を行うのに適している。
【0024】パルス電界の周波数は、0.5〜100k
Hzであることが好ましく、より好ましくは、1〜10
0kHzである。0.5kHz未満であると処理に時間
がかかりすぎ、100kHzを超えるとアーク放電が発
生しやすくなる。
【0025】又、ひとつのパルス電界が印加される時間
は、1μs〜1000μsであることが好ましい。1μ
s未満であると放電が不安定なものとなり、1000μ
sを超えるとアーク放電に移行しやすくなる。より好ま
しくは、3μs〜200μsである。ここで、上記ひと
つのパルス電界が印加される時間とは、図2中に例を示
してあるが、ON、OFFの繰り返しからなるパルス電
界における、ひとつのパルスの連続するON時間を言
う。
【0026】上記放電は電圧の印加によって行われる。
電圧の大きさは適宜決められるが、電極に印加した際に
電界強度が1〜100kV/cmとなる範囲にすること
が好ましい。1kV/cm未満であると処理に時間がか
かりすぎ、100kV/cmを超えるとアーク放電が発
生し易くなる。又、上記パルス電圧の印加において、直
流を重畳してもよい。
【0027】図3に、このようなパルス電界を印加する
際の電源のブロック図を示す。更に、図4に、電源の等
価回路図を示す。図4にSWと記されているのはスイッ
チとして機能する半導体素子である。上記スイッチとし
て500ns以下のターンオン時間及びターンオフ時間
を有する半導体素子を用いることにより、上記のような
電界強度が1〜100kV/cmであり、かつ、パルス
の立ち上がり時間及び立ち下がり時間が40ns〜10
0μsであるような高電圧かつ高速のパルス電界を実現
することができる。
【0028】以下、図4の等価回路図を参照して、電源
の原理を簡単に説明する。+Eは、正極性の直流電圧供
給部、−Eは、負極性の直流電圧供給部である。SW1
〜4は、上記のような高速半導体素子から構成されるス
イッチ素子である。D1〜4はダイオードを示してい
る。I1 〜I4 は電流の流れ方向を表している。
【0029】第一に、SW1がONにすると、正極性の
負荷が電流I1 の流れ方向に充電する。次に、SW1が
OFFになってから、SW2を瞬時にONにすることに
より、充電された電荷が、SW2とD4を通ってI3 の
方向に充電される。また次に、SW2がOFFになって
から、SW3をONにすると、負極性の負荷が電流I2
の流れ方向に充電する。次に、SW3がOFFになって
から、SW4を瞬時にONにすることにより、充電され
た電荷が、SW4とD2を通ってI4 の方向に充電され
る。上記一連の操作を繰り返し、図5の出力パルスを得
ることができる。表1にこの動作表を示す。
【0030】
【表1】
【0031】この回路の利点は、負荷のインピーダンス
が高い場合であっても、充電されている電荷をSW2と
D4又はSW4とD2を動作させることによって確実に
放電することができる点、及び、高速ターンオンのスイ
ッチ素子であるSW1、SW3を使って高速に充電を行
うことができる点にあり、このため、図2のように立ち
上がり時間、立ち下がり時間の非常に早いパルス信号を
得ることができる。
【0032】本発明の方法によって、内面処理される容
器体もしくは筒状体の形状としては、中空の通常の立体
容器体もしくは筒状体で、少なくとも1個の開口部を有
する形状であることが好ましく、例えば、瓶、試験管、
注射器外筒、プラスチックコップ等のように一方が開口
している容器体、ホース、チューブのように両側が開口
している筒状体、ブロー成形したガソリンタンク、三口
フラスコ、医療用輸液容器等の複数の開口部を有する容
器体もしくは筒状体が挙げられる。
【0033】又、上記容器体もしくは筒状体の材質とし
ては、特に限定されるものではなく、通常のプラスチッ
ク、エンジニアリングプラスチック、無機物等が挙げら
れ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリフェニレンサルファイト、ポリテトラフルオロ
エチレン、アクリル樹脂等のプラスチック、ほうけい酸
ガラス、ソーダガラス、石英ガラスなどのガラス類、ア
ルミナ、ジルコニア等のセラミック類、アルミニウム、
銅、ステンレス等の金属類等の無機物が挙げられる。
【0034】本発明の処理される上記容器体もしくは筒
状体の肉厚は、0.05〜4mmであることが好まし
く、肉厚が4mmを超えると、放電プラズマを発生させ
るのに高電圧を要し、0.05mm未満の場合は、電圧
印加の時に、絶縁破壊が起こり、アーク放電が起こる場
合が多い。
【0035】本発明の容器体もしくは筒状体内面処理に
於いては、容器体もしくは筒状体内部の放電プラズマ発
生空間に存在する気体(以下、処理用気体という)の選
択によって、各種の機能を容器体もしくは筒状体の内面
に付与することができる。
【0036】上記処理用気体として、フッ素含有化合物
ガスを用いると、容器体もしくは筒状体内面にフッ素含
有基を形成させて、表面エネルギーを低くし、撥水性の
表面にすることができる。
【0037】フッ素含有化合物としては、例えば、4フ
ッ化炭素(CF4 )、6フッ化炭素(C2 6 )、6フ
ッ化プロピレン(CF3 CFCF2 )、8フッ化シクロ
ブタン(C4 8 )等のフッ素−炭素化合物、1塩化3
フッ化炭素(CClF3 )等のハロゲン−炭素化合物、
6フッ化硫黄(SF6 )等のフッ素−硫黄化合物等が挙
げられる。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水
素を生成しない4フッ化炭素、6フッ化炭素、6フッ化
プロピレン、8フッ化シクロブタンを用いることが好ま
しい。
【0038】又、処理用ガスとして、酸素含有化合物、
窒素含有化合物、硫黄含有化合物、酸素、酸素と水素と
の混合気体、オゾン、水蒸気、酸素と有機化合物との混
合気体を使用して、容器体もしくは筒状体内面に、カル
ボキシル基、カルボニル基、水酸基、アミノ基等の親水
基を形成させて、表面エネルギーを高くして、内面を親
水性にすることができる。
【0039】酸素含有化合物としては、例えば、酸素、
オゾン、水、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二
酸化窒素の他、メタノール、エタノール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタ
ナール、エタナール等のアルデヒド類等の酸素を含有す
る有機化合物等が挙げられ、これらの少なくとも1種が
使用できる。更に、酸素含有化合物とメタン、エタン等
の炭化水素化合物のガスとを混合して用いてもよい。
又、酸素含有化合物に50体積%以下でフッ素含有化合
物を添加することにより親水性が促進される。フッ素含
有化合物としては、上記例示と同様のものを用いればよ
い。
【0040】窒素含有化合物としては、例えば、窒素、
アンモニア等が挙げられ、窒素含有化合物と水素を混合
して用いてもよい。
【0041】硫黄含有化合物としては、例えば、二酸化
硫黄、三酸化硫黄、硫酸の気化体が挙げられ、これらの
単独、又は、2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】又、分子内に親水性基と重合性不飽和結合
を有するモノマーの雰囲気下で処理することにより、親
水性の高分子膜を積層させることもできる。親水性基と
しては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、1
級、2級、3級アミノ基、アミド基、4級アンモニウム
塩基、カルボキシル基、カルボン酸塩基等の親水基が挙
げられる。又、ポリエチレングリコール鎖を有するモノ
マーを用いても同様に親水性の高分子膜を積層させるこ
とができる。
【0043】上記モノマーとしては、例えば、アクリル
酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナト
リウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウ
ム、メタクリル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリ
ウム、アリルアルコール、アリルアミン、ポリエチレン
グリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリ
コールジアクリル酸エステル等が挙げられ、これらの少
なくとも1種が使用できる。
【0044】更に、Si、Ti、Sn等の金属の金属−
水素化合物、金属−ハロゲン化合物、金属アルコラート
等の処理用ガスを用いて、SiO2 、TiO2 、SnO
2 等の金属酸化物薄膜を形成させ、容器体もしくは筒状
体内面に電気的、光学的機能を与えることができる。
【0045】経済性、安全性の観点から、容器体もしく
は筒状体内部に供給する処理用気体は、以下の希釈ガス
で希釈した気体組成物を使用することが好ましい。希釈
ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン
等の希ガス、窒素気体等が挙げられ、これらの少なくと
も1種が使用できる。本発明の方法に於いては、希釈ガ
スとして、アルゴン及び/又は窒素を採用することが好
ましい。従来より大気圧近傍の圧力下に於いては、ヘリ
ウムの存在下での表面処理が行われてきたが、アルゴン
と窒素は、ヘリウムに比較して安価な気体であり、又、
ヘリウムより大きな分子量をもつため高密度プラズマ状
態を安定して実現できるので、工業生産の上で、大きな
優位性が発揮できる。
【0046】
【発明の実施の形態】図6、図7に、本発明の表面処理
を行う装置の一例を示す。これらの装置は、主として、
交流電源(高電圧パルス電源)1、処理用気体導入管
2、電極3、4、被処理体である容器体もしくは筒状体
5、容器体もしくは筒状体の支持体6、処理用気体排出
管7から構成される。上記の電極3、4は、必要に応じ
て、両者が対向する面の上に少なくとも一方の全面に固
体誘電体(図に記載されていない)が設置されていても
構わない。
【0047】図6の容器体(試験管)の内面処理の例に
於いて、内面が処理される容器体5は、電極3、4が直
接対向しないように、両電極の間に設置されている。容
器体5の開口部は、支持体6によって電極3、4の端部
の位置で正確に固定され、処理用気体の導入管2が支持
体6を貫通して設置される。支持体6は、容器体を保持
する為と処理気体に他の外気が侵入するのを抑える役割
があるが、容器体の内部を完全に密封するものではな
い。
【0048】処理用気体は、処理用気体供給タンク、流
量調節装置(両者とも、図に記載されていない)を通っ
て、処理用気体導入管2から、容器体5の内部が一定の
圧力の陽圧になるように供給される。余分の気体は、容
器体5の開口部と支持体6から少量ずつ排出される。し
かる後に、電極3、4に所定のパルス電界が印加され、
容器体の内部に放電プラズマが発生し、プラズマが接触
している領域が表面処理される。
【0049】図7は、筒状体の例であって、筒状体の両
端が支持体6で保持され、処理用気体導入管2と処理用
気体排出管7が接続されている。処理方法は、図6の容
器体と基本的に同じである。
【0050】上記表面処理を行う装置の材質は、樹脂、
ガラス等が挙げられるが、特に限定されない。電極と絶
縁が取れる構造になっていれば、ステンレス、アルミニ
ウム等の金属を用いることもできる。
【0051】本発明の内面処理は、容器体もしくは筒状
体を加熱、又は、冷却して行ってもよいが、室温下で充
分である。上記の表面処理に要する時間は、印加電圧、
処理用気体の種類、及び、混合気体組成等を考慮して、
適宜、決定される。
【0052】本発明の容器体もしくは筒状体内面の処理
方法を、更に理解し易くするために、実施例をもって、
以下に説明する。 実施例1 図6に示した装置に於いて、電極3と電極4に銅板(1
00×20mm、肉厚を20mm)を用い、容器体5
は、ポリエチレンテレフタレート製の採血管(積水化学
社製、真空採血管インセパック−N、外径:15mm、
全高:100mm)を使用した。上記の採血管を、図6
に示すように、電極3と電極4との間に挟むように配置
したが、電極間距離は15mmで、採血管の外径が15
mmであったから、事実上、採血管を電極に嵌込む状態
であった。
【0053】しかる後に、気体導入管2を通じて、窒素
ガス2000sccmを採血管内部に導入しながら、電
極3と電極4との間に周波数8kHz、波高値6kVの
パルス電界(ピーク−ピーク値12kV)の印加を5秒
間行った。採血管内部にプラズマによる均一な発光が観
察された。尚、印加したパルス電界の電圧波形図を図8
に示した。
【0054】処理後の採血管について、未処理の採血管
と共に、下記に示す測定方法に従って、接触角の測定と
血餅付着状況の評価を行った。 <接触角評価>処理後の採血管の内壁面に水滴2μlを
滴下し、接触角測定装置(協和界面科学社製、商品名:
CA−D)を用いて、静的接触角を測定した。未処理の
採血管が、65度であるのに対し、処理した採血管は、
10度であり、親水化されていることが確認できた。
【0055】<血餅付着状況の評価>うさぎの新鮮な血
液を、4〜5ml/本の割合で採血して、室温にて放置
し、完全に凝固した後に3000rpmで、5分間、遠
心分離した。その後、血清の分離状況と内壁面への血餅
成分の付着状況を目視で観察した。結果は、未処理品に
比べて、処理品では良好な血清分離状態を示し、血餅成
分の付着も遙に少なかった。
【0056】
【発明の効果】本発明の容器体もしくは筒状体内面の処
理方法は、上述のように構成されているので、処理の際
のガス雰囲気の種類を問わず、大気圧近傍の圧力下で実
施でき、被処理体である容器体もしくは筒状体自身が、
チャンバーの働きをするので、従来のようにプラズマを
発生させる空間のチャンバーを必要としない。従って、
プラズマ処理装置が簡便化され、消費される気体の量も
従来の方法より遙に少なくて済む。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】 パルス化された電界の例を示す電圧波形図で
ある。
【図2】 1つのパルス電界の形成時間の説明図であ
る。
【図3】 パルス化された電界を発生させる電源のブロ
ック図である。
【図4】 パルス化された電界を発生させる電源の等価
回路図である。
【図5】 パルス化された電界の動作表に対応する出力
パルス信号の図である。
【図6】 本発明の放電プラズマ処理装置の一例であ
る。
【図7】 本発明の放電プラズマ処理装置の他の例であ
る。
【図8】 実施例1に使用したパルス電界の波形であ
る。
【符号の説明】
1 パルス電源 2 気体導入管 3、4 電極 5 被処理体である容器体もしくは筒状体 6 支持体 7 処理用気体排出管

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧近傍の圧力下で、対向する電極の
    間に、処理用気体が内部に供給されている容器体もしく
    は筒状体を配置し、当該電極間にパルス化された電界を
    印加することによって放電プラズマを発生させることを
    特徴とするプラズマを利用した容器体もしくは筒状体内
    面の処理方法。
  2. 【請求項2】 パルス化された電界における、電圧立ち
    上がり時間及び/又は立ち下がり時間が40ns〜10
    0μs、電界強度が1〜100kV/cmとなされてい
    ることを特徴とする請求項1に記載のプラズマを利用し
    た容器体もしくは筒状体内面の処理方法。
  3. 【請求項3】 パルス化された電界における、ひとつの
    パルス電界が印加される時間が1μs〜1000μs、
    周波数が0.5kHz〜100kHzとなされているこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマを利用
    した容器体もしくは筒状体内面の処理方法。
  4. 【請求項4】 処理用気体が、アルゴン及び/又は窒素
    により希釈された気体組成物であることを特徴とする請
    求項1、2、3のいずれかに記載のプラズマを利用した
    容器体もしくは筒状体内面の処理方法。
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