JPH10323936A - 耐水性及び耐湿性に優れたフッ素樹脂フィルム被覆鋼板 - Google Patents

耐水性及び耐湿性に優れたフッ素樹脂フィルム被覆鋼板

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JPH10323936A
JPH10323936A JP13496097A JP13496097A JPH10323936A JP H10323936 A JPH10323936 A JP H10323936A JP 13496097 A JP13496097 A JP 13496097A JP 13496097 A JP13496097 A JP 13496097A JP H10323936 A JPH10323936 A JP H10323936A
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film
steel sheet
polyvinyl chloride
resin
adhesive layer
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JP13496097A
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Koji Mori
浩治 森
Taketo Hara
丈人 原
Kenichi Okubo
謙一 大久保
Kenji Koshiishi
謙二 輿石
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性,耐湿性に優れたフッ素樹脂フィルム
被覆鋼板を得る。 【解決手段】 このフッ素樹脂フィルム被覆鋼板は、第
1の接着剤層,沸騰水に2時間浸漬したときの吸水率が
5重量%以下の可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルム,ポ
リエステル樹脂又はポリウレタン樹脂と3価以上の多価
イソシアネートからなる第2の接着剤層及び透明又は半
透明エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体フィル
ムが順次鋼板表面に積層されている。 【効果】 可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムの吸水率
と第2の接着剤の種類との特定された組合せにより、水
回り等の過酷な湿潤雰囲気においても長期間にわたりフ
ィルム剥離が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温多湿の雰囲気に曝
される内装材として使用され、耐水性及び耐湿性に優れ
たフッ素樹脂フィルム被覆鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】レンジフード,ガスコンロ等の厨房機器
は、油,油煙等で汚染される環境で使用されるため、非
粘着性,耐汚染性,耐薬品性に優れたエチレン−テトラ
フルオロエチレン共重合体(ETFE)フィルムを積層
した鋼板を厨房機器の構成材料として使用している。E
TFEフィルムの優れた非粘着性,耐汚染性,耐薬品性
は、厨房機器,厨房壁材等で高く評価されており、近年
の清潔指向に合致したものといえる。ETFEフィルム
は、この特性を活用して厨房回りだけではなく、ドア材
等の一般内装壁材にも展開される方向にある。たとえ
ば、清潔感のあるバス空間を実現するため、ユニットバ
スの壁材としての使用も検討されている。他方、キッチ
ンパネルでは、更に耐拭取り疵付き性等の特性が要求さ
れる。本発明者等は、この要求特性を満足するものとし
て、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルム及び透明ETF
Eフィルムの複合フィルムを積層したラミネート鋼板を
特開平6−262725号公報で紹介した。最表層のE
TFEフィルムは、優れた非粘着性,耐汚染性,耐薬品
性をラミネート鋼板に付与する。柔軟性のある可塑化ポ
リ塩化ビニル樹脂フィルムは、外圧を吸収緩和し、ラミ
ネート鋼板の変形を防止する。また、透明ETFEフィ
ルムを通してみられる可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィル
ムに由来する肉厚感に富む色調が得られる。このような
特徴を活用し、提案したラミネート鋼板は、キッチンパ
ネル材等として使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来から製造
されていた複合フィルムの構成では、ユニットバスの一
般的なスペックである沸騰水交番試験や耐湿性試験にお
いて、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムから透明ET
FEフィルムが剥離する欠点がある。なお、沸騰水交番
試験では、沸騰水6時間浸漬−室温16時間静置を20
サイクル繰り返し、フィルムの浮き,ハガレ,縮み等の
外観異常がないことを合格と判定している。また、耐湿
性試験では、50℃,98%RH以上の湿潤高温雰囲気
に4,000時間放置した後、同様な外観異常がないこ
とを合格と判定している。そこで、試験経過に伴った透
明フィルムの剥離部位及び微細形態について調査したと
ころ、透明ETFEフィルムと可塑化ポリ塩化ビニル樹
脂フィルムとを接着する接着剤層が沸騰水交番試験や耐
湿性試験で加水分解することが原因であることが判っ
た。加水分解した接着剤層は凝集力が低下して凝集破壊
を起こし、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムから透明
ETFEフィルムが剥離する。
【0004】また、透明ETFEフィルムと可塑化ポリ
塩化ビニル樹脂フィルムとを接着する接着剤として一般
的に使用されているポリエステル樹脂及びポリエステル
ウレタン樹脂について、接着剤層の微細構造の経時変化
を調査した。その結果、ポリエステル樹脂では、骨格で
ある主鎖中のカルボン酸とアルコールとの(脱水)縮合
部であるエステル基が加水分解していた。ポリエステル
ウレタン樹脂では、ポリウレタン樹脂のポリオール成分
であるポリエステルポリオール中のカルボン酸とアルコ
ールとの(脱水)縮合部であるエステル基が加水分解し
ていた。そして、加水分解により分子鎖が切断され、マ
トリックスの分子量が低下した結果、接着剤層の凝集力
が低下したものと推察された。本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、透明又は半透明
ETFEフィルムと可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルム
とを接着する接着剤の樹脂種,硬化剤及び可塑化ポリ塩
化ビニル樹脂フィルムの材質を総合的に組み合わせるこ
とにより、耐水性及び耐湿性を改善したフッ素樹脂フィ
ルム被覆鋼板を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のフッ素樹脂フィ
ルム被覆鋼板は、その目的を達成するため、第1の接着
剤層,沸騰水に2時間浸漬したときの吸水率が5重量%
以下の可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルム,ポリエステ
ル樹脂又はポリウレタン樹脂と3価以上の多価イソシア
ネートからなる第2の接着剤層及び透明又は半透明エチ
レン−テトラフルオロエチレン共重合体フィルムが順次
鋼板表面に積層されていることを特徴とする。可塑化ポ
リ塩化ビニル樹脂フィルムと第2の接着剤層との間に
は、意匠性を高めるため印刷インキ層を設けることもで
きる。
【0006】
【実施の形態】本発明では、普通鋼鋼板,各種めっき鋼
板,ステンレス鋼板等を原板として使用する。原板に貼
り合わされるフィルムとしては、ポリ塩化ビニル樹脂フ
ィルムと透明又は半透明ETFEフィルムとを第2の接
着剤層で貼り合わせた複合フィルムを使用することが好
ましいが、これに拘束されることなくそれぞれのフィル
ムを順次貼り合わせることも可能である。原板にクロメ
ート処理,リン酸塩処理等の前処理を施した後、第1の
接着剤をロールコート法,カーテンコート法等で塗布
し、焼付け・乾燥することにより第1の接着剤層を形成
する。
【0007】第1の接着剤としては、可塑化ポリ塩化ビ
ニル樹脂と鋼板との接着に一般的に使用されている接着
剤が使用される。たとえば、アクリル樹脂,ポリエステ
ル樹脂,ポリウレタン樹脂等の1液型又は2液型の接着
剤がある。第1の接着剤には、必要に応じて防錆顔料,
体質顔料等を添加してもよい。より高い耐食性が要求さ
れる場合には、防錆顔料を配合したエポキシ樹脂,ポリ
エステル樹脂等のプライマー層をロールコート法,カー
テンコート法等で予め設けることができる。第1の接着
剤層が未だ溶融状態にあるとき、ポリ塩化ビニル樹脂フ
ィルムと透明又は半透明ETFEフィルムとを第2の接
着剤層で貼り合わせた複合フィルムが積層される。複合
フィルムは、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに必要
に応じてグラビア印刷法で印刷インキ層を設けた後、第
2の接着剤によって透明又は半透明ETFEフィルムを
貼り合わせることにより製造される。
【0008】可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムは、ポ
リ塩化ビニル樹脂に可塑剤,安定剤,着色顔料,体質顔
料,他の添加剤を配合した組成物をカレンダー成形法,
押出し成形法等でフィルム化することにより製造され、
膜厚50〜300μmのフィルムが好ましい。ポリ塩化
ビニル樹脂は、塩化ビニルホモポリマーの外に、酢酸ビ
ニル,エチレン等の塩化ビニルモノマーと共重合可能な
モノマーとの共重合体を含むことができる。本発明で使
用される可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムは、沸騰水
に2時間浸漬したとき5重量%以下の低い吸水率を示す
ことが必要である。吸水率は、主として可塑剤の種類及
び配合量に応じて変わるが、耐水性,耐湿性と耐熱性,
耐候性,成形加工性等の性能とのバランスで可塑剤の種
類が選択される。たとえば、可塑剤として汎用されてい
るフタル酸ジ−2−エチルヘキシルを単独で使用する場
合、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対し40部程度
以下の可塑剤量が必要である。フタル酸ジイソノニル,
フタル酸ジイソデシル,フタル酸ジブチル,アジピン酸
ジオクチル,リン酸トリクレジル等を可塑剤として使用
することもできる。
【0009】ポリ塩化ビニル樹脂に配合される安定剤に
は、特に制約されるものではないが、有機錫系安定剤,
有機鉛系安定剤,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd
等の金属石鹸,エポキシ化合物等がある。着色剤や充填
剤としても、吸水率に悪影響を及ぼさない限り、その種
類に制約を受けるものではない。透明又は半透明ETF
Eフィルムは、押出し成形法でフィルム成形されたもの
であり、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムとの積層作
業性や外観,コスト等を考慮すると5〜40μmの膜厚
をもつフィルムが好ましい。透明又は半透明ETFEフ
ィルムのエチレンモノマー比組成は、特に制約されるも
のではないが、価格,透明性,非粘着性等から40〜6
0モル%の範囲にあるものが好ましい。
【0010】ETFEフィルムは、透明フィルムは勿
論、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルム又は印刷インキ
層の色調に大きな影響を及ぼすことがない外観を維持で
きる限り必ずしも透明である必要はない。たとえば、金
属粉末の配合によりメタリック調を付与したフィルム,
マイカ粉末,シリカ粉末等を配合して低光沢化すること
により落着き感を付与したフィルム等も使用可能であ
る。更に、外観に悪影響を及ぼさない範囲で、紫外線吸
収剤,抗菌剤,防カビ剤等を配合することもできる。ま
た、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂に対する接着性を改善す
るため、コロナ放電処理等をETFEフィルムの接着面
に施すことが好ましい。可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィ
ルムと透明又は半透明ETFEフィルムとを貼り合わせ
る第2の接着剤としては、ポリエステル樹脂又はポリウ
レタン樹脂を主樹脂とし、3価以上の多価イソシアネー
トを硬化剤とする接着剤が使用される。第2の接着剤層
は、必要とする接着力を得る上から乾燥膜厚が1〜10
μmとなるように設けることが好ましい。また、一部脂
肪酸を含むポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂も使
用可能である。しかし、エポキシ樹脂を主樹脂とするも
のでは、透明又は半透明ETFEフィルムとの接着性が
十分でない。
【0011】ポリエステル樹脂の多価塩基酸には、無水
フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,無水トリメリ
ット酸,アジピン酸,セパシン酸等がある。多価アルコ
ールとしては、エチレングリコール,プロピレングリコ
ール,ネオペンチルグリコール,4,6−ヘキサンジオ
ール,トリメチロールプロパン,ペンタエリトリット等
がある。ポリエステル樹脂骨格のマトリックスを強化す
る上では、三次元マトリックス化が促進されるように、
3価以上のトリメチロールプロパン,ペンタエリトリッ
ト等を多価アルコール量として1〜10モル%配合する
ことが好ましい。これにより、マトリックス全体の分子
量低下や凝集力低下が抑制される。しかし、3価以上の
多価アルコールを過剰に配合すると、ポリエステル樹脂
が重合しゲル化する傾向がみられる。
【0012】ポリウレタン樹脂のポリオール成分として
は、一般的なポリエステルポリオールが使用される。ポ
リエステルポリオールは、ポリエステル樹脂と同様な多
価塩基酸や多価アルコールを含む。しかし、エポキシ樹
脂のアニオン開環重合で得られるポリエーテルポリオー
ルは、エポキシ樹脂と同様に透明又は半透明ETFEフ
ィルムに対する接着力が十分でないことから好ましくな
い。ポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂の硬化剤に
は、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体,イソホロ
ンジイソシアネート3量体,ヘキサメチレンジイソシア
ネートアダクト体等の3価以上の多価イソシアネートが
使用される。ポリ塩化ビニル樹脂フィルムと透明又は半
透明ETFEフィルムとを貼り合わせる第2の接着剤
に、ポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂を主樹脂と
し、3価以上の多価イソシアネートを硬化剤とする接着
剤を使用しているので、マトリックス内の橋掛け頻度が
増加し、加水分解によって分子が切断されてもマトリッ
クス全体の分子量を低下させることなく凝集力が保持さ
れる。すなわち、本発明では、加水分解に対するマトリ
ックス全体の分子量の低下、ひいては凝集力の低下を抑
制することにより、樹脂の耐加水分解性に依存する耐水
性や耐湿性を良好に維持している。
【0013】マトリックスのゲル化という観点からみる
と、単量体当り2か所の橋掛け点ができると重量平均分
子量が理論的に無限大になる。この点で、ポリエステル
樹脂を構成する塩基酸及びアルコールとして2価以上の
ものが有効である。そして、水酸基含有樹脂であるポリ
エステル樹脂又はポリウレタン樹脂に対して3価以上の
多価イソシアネートが作用し、マトリックスを二次元で
はなく各橋掛け点で三次元に成長させる。三次元橋掛け
がポリオールとイソシアネートとの各縮合点で繰り返さ
れ、耐分子鎖切断性に優れたマトリックスが形成され
る。因みに、2価のイソシアネートを硬化剤として使用
すると、加水分解による分子切断で2次元マトリックス
の分子量が半減して凝集力が低下し、第2の接着剤層が
凝集破壊する。その結果、ETFEフィルムが可塑化ポ
リ塩化ビニル樹脂フィルムから剥離する。
【0014】第2の接着剤層の加水分解による凝集破壊
は、吸水率及び透湿度が高い可塑化ポリ塩化ビニル樹脂
フィルムに吸水率及び透湿度が低いETFEフィルムが
隣接していることに起因する。吸水率及び透湿度が著し
く異なる異種フィルムを貼り合わせると、フィルム間に
蓄積された水分により接着剤層の加水分解が促進され
る。接着剤層の加水分解は、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂
フィルムの吸水率によって大きく影響される。本発明者
等の調査・研究によるとき、沸騰水に可塑化ポリ塩化ビ
ニル樹脂を2時間浸漬したときの吸水率が5重量%以下
であると、第2の接着剤層の凝集破壊を引き起こす加水
分解が大幅に低減されることが判った。他方、5重量%
を超える吸水率では、本発明で規定する条件を満足する
第2の接着剤であっても、マトリックスの凝集力低下を
抑制できず、ETFEフィルムが可塑化ポリ塩化ビニル
樹脂フィルムから剥離し易くなる。
【0015】本発明に従ったフッ素樹脂フィルム被覆鋼
板の色調は、ETFEフィルム及び第2の接着剤層を通
して見える可塑化ポリ塩化ビニル樹脂の色調によるもの
である。この点、透明性を損なう着色顔料,防錆顔料,
体質顔料等を第2の接着剤に添加できないが、透明性を
損なわない範囲で透明な顔料や金属粉末を初めとするメ
タリック顔料を配合することは可能である。豊かな意匠
性を得るため、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムの表
面に印刷インキ層を設けてもよい。印刷インキ層につい
ても、第2の接着剤層と同様に加水分解に起因する凝集
破壊が懸念されるが、その虞れは少ない。これは、印刷
インキ層が可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムと第2の
接着剤層を連続的に遮断した構造を採らないこと,印刷
インキ層が数μm程度の薄層であるため水の貯蔵層にな
りにくいこと等から、加水分解によって印刷インキ層が
凝集破壊し難くなるものと推察される。そのため、使用
する印刷インキに関する特段の制約はない。印刷インキ
には、アクリル系,ポリエステル系,ポリウレタン系等
のベース樹脂に種々の顔料,添加剤を配合したものが使
用される。なかでも、2液型ポリウレタン樹脂は、耐水
性に優れた印刷インキとして使用される。
【0016】
【実施例】板厚0.5mm,片面当りZn付着量150
g/m2 の溶融亜鉛めっき鋼板に塗布型クロメート処理
を施し、本発明例1〜3,比較例8ではポリエステル樹
脂系接着剤を乾燥膜厚で5μm塗布し、180℃×60
秒乾燥し、直ちに複合フィルムを貼り合わせた。また、
本発明例4,5,比較例6,7,9,10では、同様な
溶融亜鉛めっき鋼板を塗布型クロメート処理した後、ス
トロンチウムクロメート系防錆顔料25重量%を配合し
た熱硬化型エポキシ樹脂プライマーを乾燥膜厚が5μm
となるように塗布し、焼き付けた後、ポリウレタン樹脂
系接着剤を乾燥膜厚で5μm塗布し、150℃×60秒
乾燥し、直ちに複合フィルムを貼り合わせた。複合フィ
ルムを構成する可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムとし
ては、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対してフタル
酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤)を25,30,4
5重量部,エポキシ化合物を2重量部,酸化チタンを1
0重量部配合した組成物をカレンダー成形したフィルム
を使用した。可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムの吸水
率は可塑剤の配合量で変わり、可塑剤量が25重量部で
は吸水率が2重量%,可塑剤量が30重量部では吸水率
が3重量%,可塑剤量が45重量部では吸水率が8重量
%であった。なお、吸水率は、沸騰水に可塑化ポリ塩化
ビニル樹脂を2時間浸漬したときの重量増加率で求め
た。
【0017】可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに乾燥
膜厚が3μmとなるように第2の接着剤を塗布し、13
0℃に加熱して膜厚12μmの透明ETFEフィルムを
貼り合わせることにより複合フィルムを得た。貼合せに
際し、本発明例4,5,比較例9,10では、第2の接
着剤層を設ける前に、2液型ポリウレタン樹脂系インキ
を用いて大理石柄の印刷インキ層をグラビア印刷した。
得られた各フッ素樹脂フィルム被覆鋼板から80mm×
60mmの試験片を切り出し、切断端面部をシールする
ことなく、沸騰水6時間浸漬−室温16時間静置を20
サイクル繰り返す沸騰水交番試験に供した。また、同じ
フッ素樹脂フィルム被覆鋼板から150mm×65mm
の試験片を切り出し、切断端面部をシールすることな
く、50℃,98%RHの高温多湿雰囲気に4,000
時間保持する耐湿性試験に供した。何れの試験において
も、試験後のフィルムを観察し、浮き,ハガレ,縮み等
の外観異常を調査した。
【0018】表1の調査結果にみられるように、本発明
に従ったフッ素樹脂フィルム被覆鋼板では、何れもフィ
ルムに浮き,ハガレ,縮み等の外観異常が検出されず、
優れた耐水性及び耐湿性を示していることが判る。これ
に対し、比較例のフッ素樹脂フィルム被覆鋼板では、フ
ィルムに浮き,ハガレ,縮み等の外観異常が検出され、
第2の接着剤層の凝集破壊やETFEフィルム/接着剤
層の界面剥離が原因であることが判った。なお、表1に
おける第2の接着剤層に含まれる主樹脂及び硬化剤の種
類は、次の通りである。
【0019】主樹脂: A=1モル/1モルのイソフタル酸/アジピン酸を多塩
基酸成分とし、95モル/5モルのネオペンチルグリコ
ール/トリメチロールプロパンを多価アルコール成分と
するポリエステル樹脂 B=1モル/1モルのイソフタル酸/アジピン酸を多塩
基酸成分とし、50モル/45モル/5モルのネオペン
チルグリコール/1,6−ヘキサンジオール/トリメチ
ロールプロパンを多価アルコール成分とし、ヘキサメチ
レンジイソシアネートを含むポリウレタン樹脂 C=エポキシ樹脂当量3,000〜5,000及び分子
量5,500のビスフェノールA型エポキシ樹脂 硬化剤: a=ヘキサメチレンジイソシアネート3量体 b=ヘキサメチレンジイソシアネートアダクト体(日本
ポリウレタン株式会社製 コロネートL) c=イソホロンジイソシアネート3量体 d=ヘキサメチレンジイソシアネート e=2,4−トリレインジイソシアネート
【0020】
【0021】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のフッ素
樹脂フィルム被覆鋼板は、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フ
ィルムの吸水率を5重量%以下の可塑化ポリ塩化ビニル
樹脂フィルムを使用すると共に、可塑化ポリ塩化ビニル
樹脂フィルムとETFEフィルムとを貼り合わせる接着
剤としてポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂に硬化
剤として多価イソシアネートを含む接着剤を使用するこ
とにより、優れた耐水性及び耐湿性を発現させている。
この優れた特性を活用し、ユニットバス等の水回り壁
材,天井材,床材のように過酷な湿潤環境に曝される内
装材として使用される。更に、可塑化ポリ塩化ビニル樹
脂フィルムの色調や印刷インキ層によって意匠性が付与
され、最表層のETFEフィルムで非粘着性,耐汚染
性,耐薬品性が付与されるため、高品質の内装材とな
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 輿石 謙二 千葉県市川市高谷新町7番1号 日新製鋼 株式会社技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の接着剤層,沸騰水に2時間浸漬し
    たときの吸水率が5重量%以下の可塑化ポリ塩化ビニル
    樹脂フィルム,ポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂
    と3価以上の多価イソシアネートからなる第2の接着剤
    層及び透明又は半透明エチレン−テトラフルオロエチレ
    ン共重合体フィルムが順次鋼板表面に積層されているこ
    とを特徴とする耐水性及び耐湿性に優れたフッ素樹脂フ
    ィルム被覆鋼板。
  2. 【請求項2】 可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルムと第
    2の接着剤層との間に印刷インキ層を設けている請求項
    1記載の耐水性及び耐湿性に優れたフッ素樹脂フィルム
    被覆鋼板。
JP13496097A 1997-05-26 1997-05-26 耐水性及び耐湿性に優れたフッ素樹脂フィルム被覆鋼板 Withdrawn JPH10323936A (ja)

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Cited By (3)

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