JPH10323498A - 遠心脱水装置 - Google Patents

遠心脱水装置

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JPH10323498A
JPH10323498A JP9326922A JP32692297A JPH10323498A JP H10323498 A JPH10323498 A JP H10323498A JP 9326922 A JP9326922 A JP 9326922A JP 32692297 A JP32692297 A JP 32692297A JP H10323498 A JPH10323498 A JP H10323498A
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drum
laundry
eccentric load
water
rotation speed
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Tomoya Kawaguchi
智也 川口
Yozo Kawamura
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Kiyoyuki Suou
聖行 周防
Tetsuo Harada
哲夫 原田
Kunioki Honda
国興 本田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドラム内部の洗濯物の偏在に起因する偏心荷
重を迅速に解消して脱水運転に移行することにより、脱
水時の異常振動を防止すると共に脱水時間が長引くこと
を防止する。 【解決手段】 ドラム内周壁上での偏心位置とバランサ
に対向する位置との距離を偏心ずれ角度θとして算出し
(S5)、そのθを複数の角度範囲に分別して(S6〜
S8)それぞれ減速時の最低回転速度nを設定する(S
9〜S11)。ドラムを80rpmで回転していると
き、偏心位置がドラムの最低位置を通過した直後に最低
回転速度n迄減速し、その後回転速度を80rpmに戻
す。減速により洗濯物は回転後方に移動し、しかもnが
小さいほど移動量が大きくなるので、偏心ずれ角度θに
応じて移動量が変わり偏心位置がバランサの対向位置近
傍に収束し易くなる。偏心荷重がバランサの対向位置に
きたならば、偏心量に応じた量の水をバランサに注入し
てドラムのバランス調整を行なう(S20)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、籠状のドラムの内
部に洗濯物を収容し、該ドラムを水平軸を中心に高速で
回転させることによって洗濯物の脱水又は洗浄用溶剤の
脱液を実行する遠心脱水装置(ここでは、溶剤の遠心脱
液装置も含めて「遠心脱水装置」と呼ぶこととする)に
関する。なお当然のことながら、本発明は、洗濯から脱
水迄、更には乾燥迄を連続的に行なう洗濯機又は洗濯乾
燥機に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】ドラム式遠心脱水装置は、洗浄後の洗濯
物を籠状のドラム内部に収容し該ドラムを水平軸を中心
に高速で回転する構造となっている。この種の遠心脱水
装置における大きな問題点の一つは、洗濯物がドラム内
周壁面上で均等に分散していない状態でドラムを高速回
転させると、回転軸回りの質量分布のアンバランスによ
って異常振動や異常騒音が発生することである。このよ
うな遠心脱水装置を搭載した市販のドラム式洗濯乾燥機
では、上記異常振動を抑制するためにドラムを内装する
外槽の周囲に重錘を取り付けるようにしている。このた
め、従来のこの種の洗濯乾燥機は重量が非常に重くな
り、設置場所が限られると共に移動や運搬も困難であっ
た。
【0003】上記異常振動の問題を解決することを目的
としたドラム式遠心脱水装置は、従来より幾つか提案さ
れている。例えば特開平6−254294号公報記載の
遠心脱水装置では、ドラム高速回転による脱水運転を行
なう前に、ドラム低速回転によって洗濯物をドラム内周
壁上で均等に分散配置する方法が開示されている。より
詳しくは、まず極く短時間ドラムを低速で回転させ、次
いで該回転速度よりは若干速いが脱水運転時の回転速度
よりは充分に遅い回転速度でドラムを回転させる、とい
う二段階の回転制御の組合せにより洗濯物の分散を図っ
ている。
【0004】また上記従来技術では、ドラム内部の洗濯
物の偏在を検出する手段として装置の台座の部分に振動
監視センサを設置し、ドラムの回転速度を脱水運転を行
なうための高速回転速度迄上昇させたときに該振動監視
センサが異常振動を検知すると回転速度を落とすように
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術のようなドラムの回転制御方法を用いても、一回
のドラム低速回転によって確実に洗濯物が均等に分散さ
れるとは限らない。従って、ドラム低速回転により洗濯
物の分散を試みた後にドラムを高速回転させ、異常振動
が発生する場合には再びドラムの回転速度を落として洗
濯物の分散をやり直さなければならない。このようにし
てドラム低速回転による洗濯物の分散化とドラム高速回
転による偏心荷重の検出とを複数回繰り返すことになる
と、脱水時間が長引いてしまう。
【0006】更には、上述のようにドラム内周壁上で洗
濯物の均等分散を図るという方法では、ドラムに比較的
重量の重い(例えばジーンズ等)衣類が一枚のみ収容さ
れた場合に、均等分散が行なえず異常振動の抑制が不可
能になってしまう。
【0007】そこで、例えば特公平7−100095号
公報には、ドラムの内周壁の一部に重錘を付加してバラ
ンス調整を行なう遠心脱水装置が開示されている。この
従来の遠心脱水装置では、重錘がドラムの最高位置に到
達したときに洗濯物は重力によりドラム回転軸に対して
重錘に対向する位置にあって両者がバランスしていると
判断し、ドラムを低速回転から高速脱水回転に移行する
ようにしている。しかしながら、このような方法によっ
ても重錘と洗濯物とが確実にバランスした状態で高速脱
水回転に移行できるとは限らず、脱水運転時に完全に異
常振動を防止することはできない。勿論、重錘の重量に
応じた所定重量の洗濯物をドラム内に収容する等の厳密
な条件を課せばバランスさせることも可能であろうが、
このようなことは実際の遠心脱水装置において現実的で
はない。
【0008】上記問題に鑑み、本願出願人は、特願平9
−249917号等において、ドラムのバッフルの一部
に水を一時的に保持可能なポケット状のバランサを形成
し、洗濯物の偏在による偏心荷重がドラム内周壁上で該
バランサに対向する位置の近傍に存在する場合には、そ
の偏心量に見合った適宜の量の水をバランサに注入する
ことによりドラム全体のバランス調整を行なう新規な構
成の遠心脱水装置を提案している。この遠心脱水装置で
は、洗濯物の偏在による偏心荷重がバランサの対向位置
近傍に存在しさえすれば、その偏心量に拘らず(但し所
定の範囲内で)バランス調整が可能である。従って、短
時間でバランス調整を終了して脱水運転に移行するため
には、洗濯物の偏在に起因する偏心荷重をドラム内周壁
上のバランサに対向する位置に迅速に移動させることが
必要である。
【0009】本発明はこのような課題を解決するために
上記新規な遠心脱水装置を更に改良したものであって、
その目的とするところは、脱水運転開始前のバランス調
整に要する時間を極力短く抑え、迅速に高速の脱水回転
に移行するようにしたことにより、脱水所要時間ひいて
は洗濯所要時間を短縮することができる遠心脱水装置を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明に係る第1の遠心脱水装置は、籠状の
ドラム内に洗濯物を収容し、該ドラムを水平軸を中心に
回転させることにより該洗濯物の脱水を行なう遠心脱水
装置において、 a)ドラム自体が偏心荷重を有するべく該ドラム壁面の一
部に設けた重錘部と、 b)洗濯物が収容された状態のドラムの偏心荷重の大きさ
及び位置を検知する偏心荷重検知手段と、 c)該偏心荷重検知手段により検知された偏心荷重と前記
重錘部との位置関係を調べる位置判別手段と、 d)前記偏心荷重検知手段により検知された偏心荷重の位
置がドラム内周壁上で前記重錘部に対向する箇所の近傍
でないとき、ドラム内の洗濯物の移動を促進するための
ドラムの回転制御方法を前記位置判別手段の結果に応じ
て決定する運転制御手段と、 e)運転該制御手段により決められた回転制御方法でドラ
ムが回転するように、該ドラムを回転駆動するモータを
制御する回転制御手段と、を備えることを特徴としてい
る。
【0011】また、本発明に係る第2の遠心脱水装置
は、上記第1の遠心脱水装置において、前記重錘部は、
ドラム壁面の一部に形成した中空体の水保持部と該水保
持部に水を注入する注水手段とから成り、前記位置判別
手段は、該水保持部に水が注入されていない状態で前記
偏心荷重検知手段により検知された偏心荷重と該水保持
部との位置関係を調べる構成とすることを特徴としてい
る。
【0012】また、本発明に係る第3の遠心脱水装置
は、上記第2の遠心脱水装置において、前記注水手段
は、前記水保持部に水が注入されていない状態で検知さ
れた偏心荷重の位置がドラム内周壁上で該水保持部に対
向する箇所の近傍であるとき、該水保持部に該偏心荷重
の大きさに応じた量の水を注入してドラムのバランス調
整を行なうことを特徴としている。
【0013】また、本発明に係る第4の遠心脱水装置
は、上記第1乃至第3のいずれかの遠心脱水装置におい
て、前記運転制御手段は、洗濯物に作用する遠心力が重
力に勝る略一定の回転速度でドラムを回転しているとき
に該遠心力が重力よりも小さくなるように短時間該ドラ
ムの回転速度を減速し、前記位置判別手段の結果に応じ
てその減速度合を変えることを特徴としている。
【0014】また、本発明に係る第5の遠心脱水装置
は、上記第4の遠心脱水装置において、前記運転制御手
段は、前記位置判別手段の結果に応じて最低回転速度を
決定し、偏心荷重がドラムの最低位置を通過した付近か
ら減速が始まって該最低回転速度に達する迄減速した後
に減速前の回転速度に戻るようにすることを特徴として
いる。
【0015】また、本発明に係る第6の遠心脱水装置
は、上記第4の遠心脱水装置において、前記運転制御手
段は、前記位置判別手段の結果に応じて決定した時間の
期間中、ドラムの回転速度を所定の減速回転速度に維持
することを特徴としている。
【0016】更に、本発明に係る第7の遠心脱水装置
は、上記第4乃至第6の遠心脱水装置において、前記運
転制御手段は、前記位置判別手段により得られる偏心荷
重と重錘部又は水保持部との距離よりも移動量が小さく
なる減速方法を選択し、複数回のドラム減速制御により
少しずつ洗濯物を回転後方に移動して所望位置に近付け
ることを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係る第1の遠心脱水装置
では、ドラム自体が偏心荷重を有するようにドラム壁面
の一部に重錘部が設けられる。従って、ドラムに洗濯物
が収容された状態では、ドラム内周壁上で該重錘部に対
向する位置に洗濯物が集まり、該洗濯物による偏心荷重
と重錘部との釣合によりドラム全体のバランスが良好で
あると、高速ドラム回転による脱水時にもドラムの首振
りが小さく、振動や騒音が抑えられる。
【0018】そこで、偏心荷重検知手段は、洗濯物が収
容されてドラムが適度な回転速度で回転されているとき
に該ドラムの偏心荷重の大きさと位置とを検知する。該
偏心荷重検知手段は、例えば、洗濯物に作用する遠心力
と重力とがほぼ釣り合うような回転速度(以下「均衡回
転速度」という)よりも高い回転速度でもってドラムが
回転されているときに、該ドラムを回転駆動するモータ
の駆動電流の変動を基に偏心荷重を検知する構成とする
ことができる。
【0019】位置判別手段は、その偏心荷重がドラム内
周壁上で重錘部に対してどのような位置に在るのかを調
べ、例えば、偏心荷重と重錘部との距離を回転角度とし
て求める。偏心荷重が重錘部に対向する位置近傍でない
場合には、洗濯物を該位置迄移動させる必要があるが、
偏心荷重の位置により移動すべき量(角度)が相違す
る。そこで運転制御手段は、位置判別手段の結果に応じ
てドラムの回転制御方法を変えることにより、ドラム内
部での洗濯物の移動量を変えて速やかに所望の位置迄洗
濯物を移すようにする。これにより、偏心荷重を重錘部
に対向する位置近傍迄移動するのに最も短時間で行ない
得る方法が選択されるので、洗濯物に起因する偏心荷重
と重錘部とによるバランス調整を迅速に終了して高速脱
水運転に移行することができる。
【0020】また第2及び第3の遠心脱水装置では、水
保持部に水が注入されていない状態ではドラム自体は偏
心荷重を有しておらず、注水手段により水保持部に水が
注入されると該水量に応じた偏心荷重をドラム自体が有
する。従って、洗濯物による偏心荷重がドラム内周壁上
で水保持部に対向する位置近傍に在りさえすれば、その
偏心荷重の大きさに応じた量の水を水保持部に注入する
ことによりドラム全体のバランスをとることが可能とな
る。
【0021】そこで、まず偏心荷重検知手段は、水保持
部に水が注入されていない状態つまり偏心荷重が収容さ
れた洗濯物の偏在のみに起因する状態のときに該偏心荷
重の大きさと位置とを検知する。そして、位置判別手段
は、偏心荷重がドラム内周壁上で水保持部に対してどの
ような位置に在るのかを調べ、偏心荷重が水保持部に対
向する位置近傍でない場合には、運転制御手段は、ドラ
ム内部での洗濯物の移動量が変わるように位置判別手段
の結果に応じてドラム回転制御方法を変える。
【0022】また、第4の遠心脱水装置では、均衡回転
速度よりも高い略一定の回転速度でドラムが回転されて
いるとき洗濯物はドラム内周壁面に張り付いてドラムと
共に回り、偏心荷重の原因となっている洗濯物の固まり
がドラムの上方に持ち上げられようとするときに遠心力
が重力よりも小さくなるように減速されると、その洗濯
物の固まりはドラム内周壁面から離れて回転後方に滑り
又は転がり落ちる。その直後にドラムの回転速度を即座
に戻すと、洗濯物は回転後方に移動した位置において再
びドラム内周壁面に張り付いて回転する。その減速速度
又は減速時間等の減速度合を変えることにより回転後方
への移動量を調整することができるので、偏心荷重と水
保持部との距離により適当に減速度合を変えれば、偏心
荷重を重錘部(又は水保持部)に対向する位置近傍迄移
動させることができる。
【0023】また、第5の遠心脱水装置では、運転制御
手段は、ドラム内周壁上で重錘部(又は水保持部)に対
向する位置に対し偏心荷重が回転前方に離れた位置に在
るほど最低回転速度を相対的に低く設定する。偏心荷重
がドラムの最低位置を通過する前後にドラムの減速が開
始されて上記最低回転速度に達する迄減速するように回
転が制御されると、その最低回転速度が低いほど、偏心
荷重がより高い位置に持ち上げられる時点迄減速が継続
する。すなわち、重錘部の対向位置に対して偏心荷重が
回転前方に離れているほど実質的に減速時間が長くなる
ので、回転後方への洗濯物の移動量が大きくなる。
【0024】また、第6の遠心脱水装置では、運転制御
手段は、減速後の回転速度である減速回転速度は偏心荷
重と重錘部(又は水保持部)との位置関係に拘らずに一
定とするが、その代わりに、減速後にその減速回転速度
を維持する時間をその偏心荷重と重錘部との位置関係に
応じて適宜に設定する。その維持時間が短いと回転後方
への洗濯物の移動量は小さく、維持時間を長くするほど
回転後方への洗濯物の移動量が大きくなる。なお、例え
ば洗濯物がドラムの最高位置を通過する手前でドラムが
減速されると、洗濯物がドラム内周壁面から離れて前下
方に投げ出されるように移動してしまう。このため、洗
濯物を確実に回転後方に移動させるには、偏心荷重がド
ラム一回転期間中の適正な範囲に存在するときにドラム
の減速が始まるようにすることが望ましい。
【0025】なお、ドラム内周壁上で重錘部又は水保持
部に対向する位置に対し偏心荷重が回転後方に近い位置
に在るときには、一回のドラム減速制御により洗濯物を
所望の位置迄移動させることは難しい。そこで、第7の
遠心脱水装置では、ドラム減速制御により洗濯物の固ま
りを少しずつ後方にずらしてゆき、複数回のドラム減速
制御をもってその洗濯物の固まりを所望の位置迄移動さ
せる。これにより、より確実に所望の移動が行なえる。
【0026】
【発明の効果】本発明に係る遠心脱水装置によれば、洗
濯物の偏在による偏心荷重が重錘部(又は水保持部)に
対向する位置近傍から外れた箇所に存在するとき、該偏
心荷重の位置に応じて洗濯物の移動量が相違するような
ドラム回転制御が行なわれる。これにより、洗濯物に起
因する偏心荷重が重錘部に対向する位置近傍に迅速に移
動されるため、該重錘部と洗濯物との釣合によってドラ
ムのバランスをとることができる。このため、ドラムの
バランス調整に要する時間が短時間で済み、脱水所要時
間ひいては洗濯所要時間が長引くことを防止できる。ま
た、高速ドラム回転による脱水運転時の振動や騒音を確
実に抑制することができる。
【0027】また、特に本発明に係る第2及び第3の遠
心脱水装置によれば、洗濯物に起因する偏心荷重を水保
持部に対向する位置に移動しさえすれば、偏心荷重の大
きさに拘らず水保持部に適当な量の水を注入してドラム
のバランスを調整することができる。このため、ドラム
のバランス調整は一層容易になり、短時間でバランス調
整を終了して高速脱水運転を立ち上げることができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明に係る遠心脱水装置の一実施例
を図面を参照して説明する。まず、図1及び図2に基づ
いて本実施例の遠心脱水装置を備えたドラム式洗濯機の
構成を説明する。図1はこのドラム式洗濯機の側面断面
図、図2はこのドラム式洗濯機の要部を示す背面透視図
である。
【0029】外箱1の内部には外槽2がバネ3及びダン
パ4に吊支され、外槽2内部には洗濯物を収容するため
のドラム5が主軸8に軸支されている。外箱1の前面に
は外槽2の前面開口を開閉するドア7が設けられ、洗濯
物はこのドア7を開放してドラム5内部へと収容され
る。ドラム5の周壁には多数の通水孔6が設けられてお
り、外槽2内に給水された水は通水孔6を通してドラム
5内へ流入し、また逆にドラム5内で洗濯物から脱水さ
れた水は通水孔6を通して外槽2へと飛散される。ドラ
ム5の内周には、回転に伴って洗濯物をかき上げるため
のバッフル9が回転角90°毎の位置に四個設けられて
いる。そのバッフル9の内の一個は、その内部に水を保
持するバランサ10を兼ねている。ドラム5の背面に
は、主軸8を中心とした円周の内周側に大きな注水開口
12を有する略円盤形状の水案内室11が設けられてい
る。水案内室11には、ドラム5側にバランサ10と連
通する注水孔13が形成され、主軸8に対し注水孔13
と略180°対向する外槽2側に排水孔14が形成され
ている。
【0030】主軸8は外槽2に装着された軸受15によ
り保持されており、その先端には主プーリ16が取り付
けられている。外槽2の下面にはモータ17が配置さ
れ、モータ17の回転駆動力はモータプーリ18、Vベ
ルト19を介して主プーリ16に伝達される。また、外
部の水道栓等から給水口20に供給された水は、給水バ
ルブ21を介して外槽2内へ注水されると共にバランス
用注水バルブ22を介して外槽2に設けられた注水ノズ
ル23から放出される。一方、外槽2底部に連結された
排水管24には排水ポンプ25が設けられ、外槽2内に
溜まった水は排水ポンプ25が駆動されることにより外
部に排出される。
【0031】主プーリ16のリング部には開口が円周上
に一箇所設けられており、該リング部を挟んで両側に発
光部261と受光部262とが配置されている。これに
より、ドラム5が一回転する期間に一回だけ発光部26
1から発した光が開口を通過して受光部262に到達す
る。後述の回転センサ26は、この受光信号に基づいて
ドラム5の回転に同期した検出信号(回転マーカ)を出
力する。
【0032】次に、上記バランサ10への注水及び排水
について図3を用いてより詳しく説明する。図3は、バ
ランサ10及び水案内室11の作動状態を示した概略断
面図である。ドラム5が所定の回転速度以上で回転して
いるときに注水ノズル23から水が放出されると、放出
された水は注水開口12を介して水案内室11に入り、
ドラム5の後壁面を伝わる等しつつ遠心力により外周側
へ移動する。そして、図3(a)に示すように、水は遠
心力により水案内室11外周壁内側に張り付いて保持さ
れる。なお、注水開口12は面積が広いため、水圧のば
らつき等により注水ノズル23から放出された水の落下
方向がばらついても、その大部分は確実に水案内室11
に飛び込む。
【0033】バランサ10は、主軸8に対し水案内室1
1よりも更に外周側に広がる中空体となっている。この
ため、水案内室11に注水された水は遠心力により注水
孔13を通ってバランサ10内部に入り込み、図3
(b)に示すようにバランサ10の外周壁側つまりドラ
ム5の内周壁面に張り付いて保持される。なお、水案内
室11の外周側には排水孔14も開口しており、この排
水孔14を通して水案内室11から水が逃げるが、その
排水量は水案内室11に注水される水の量に比較して極
めて少ない。
【0034】バランサ10に溜まった水を排出する際に
は、バランサ10を回転円周上の最高位置で停止させ保
持する。すると、バランサ10内の水に作用する遠心力
が失われるため、図3(c)に示すように、水は注水孔
13を通って水案内室11へ流れ出て、水案内室11の
底部に溜まった水はちょうど回転円周上の最低位置にな
っている排水孔14を通って外槽2へ流れ出る。注水孔
13や排水孔14の開口面積は小さいが、バランサ10
を上記位置に保って暫時経過すれば、バランサ10及び
水案内室11内の水は完全に外槽2へ排出される。
【0035】次に、上記洗濯機における遠心脱水の関連
部分の電気的構成及び動作を図4を参照して説明する。
マイクロコンピュータを中心に構成される制御部30
は、機能的に、中央制御部31、回転速度制御部32、
偏心荷重検知部33及び注水制御部34等から成る。中
央制御部31は脱水運転を進めるための運転プログラム
が予め記憶されたメモリを含み、偏心荷重検知部33か
ら偏心荷重の大きさ及び位置に関する情報を受け取り、
後述のように処理して所望のドラム回転速度に対応した
モータの目標回転速度を回転速度制御部32に指示す
る。
【0036】回転速度制御部32はモータ駆動部41と
共に、指示された回転速度にモータ17を保持するよう
に動作する。モータ17に誘導機モータ、整流子モータ
等、位相制御により回転速度が制御される電動機を使用
する場合、回転速度制御部32は指示された目標回転速
度とモータ17に付設された回転数検出器43から受け
取った現時点での回転速度の情報とに基づき位相制御角
を算出してモータ駆動部41に与える。モータ駆動部4
1は例えばインバータ制御回路を含み、与えられた位相
制御角に応じてトライアック等の電力スイッチング素子
をオン/オフして得た駆動電流をモータ17に供給す
る。
【0037】モータ電流検出部42は、モータ17に流
れる駆動電流を検出し電圧値に変換して偏心荷重検知部
33に与える。図5はモータ電流の時間変動の一例を示
す図である。図中、回転マーカMは、前述のような回転
センサ26により得られるドラム5の一回転周期を示す
信号に基づくマーカである。ドラム5に偏心荷重が存在
していると、図5に示すようにモータ電流はその偏心荷
重に応じた変動成分を有する。このモータ電流の変動は
モータ17の負荷トルクの変動に対応したものであり、
モータ電流の最大ピークはドラム5の一回転期間内で負
荷トルクが最大になるときに現われる。また、モータ電
流の変動振幅Lは偏心荷重の大きさ(偏心量)に対応し
ている。
【0038】図6は、変動振幅Lと偏心量との関係の一
例を示すグラフである。予めこのような関係を調べてメ
モリに記憶しておくことにより、変動振幅Lから偏心量
を取得することができる。なお、モータ電流の変動要因
は必ずしも偏心荷重だけではないため、偏心荷重に依る
変動成分を精度良く検知するためには、モータ電流の変
動成分からドラム5の回転速度近傍の周波数成分のみを
抜き出すフィルタ処理を行なうとよい。
【0039】偏心荷重検知部33は、図5に示すような
モータ電流の変動成分の信号が入力されると、回転マー
カMの間隔毎つまりドラム5の一回転期間毎に最大ピー
ク及び最小ピークを検出する。そして、その最大及び最
小ピークの差(変動振幅L)を算出し、メモリに記憶し
ている図6に示すような関係を参照して偏心量を得る。
また、最大ピークの出現するタイミング(例えば直前の
回転マーカMからの遅延時間)によりドラム5内周壁上
での偏心荷重の位置を検知する。
【0040】次に、上記構成のドラム式洗濯機における
脱水行程時の制御の手順を、図7〜図9のフローチャー
トに沿って説明する。以下の説明では、ドラム5の径を
470mmとしたときの数値を例に挙げているが、ドラ
ム径が相違する場合には各回転速度等の数値を適宜変更
することにより対応可能であることは明白である。
【0041】洗い行程が終了し脱水行程が開始されると
き、洗濯物はドラム5底部に重積した状態にある。この
ときバランサ10には全く水が入っておらず、ドラム5
自体は偏心荷重を有していない。
【0042】脱水行程の開始が指示されると、回転速度
制御部32はモータ17を起動してドラム5の回転速度
が80rpmに迄上昇するようにモータ駆動部41を制
御し(ステップS1)、中央制御部31はドラム5の回
転速度が80rpmに到達したか否かを繰り返し判定す
る(ステップS2)。このときのドラム5の回転速度
は、均衡回転速度(ここでは約60rpm)よりも高く
且つドラム5の共振点(ここでは約200rpm)より
も低い範囲で適宜に選ぶことができるが、後記の偏心荷
重の検知のためにはできるだけ低い方が好ましい。
【0043】ドラム5が80rpmで回転するとき、全
ての洗濯物は遠心力によりドラム5の内周壁面に押し付
けられた状態で回転する。このとき洗濯物がドラム5内
周壁上で偏在していると、図5に示したようなモータ電
流の変動が生じるので、偏心荷重検知部33は上述のよ
うにこの変動成分に基づき偏心量及び偏心位置を検知す
る(ステップS3)。
【0044】次いで、中央制御部31は検知された偏心
量が所定値a(例えば350g)以下であるか否かを判
定する(ステップS4)。ステップS4にて偏心量が所
定値a以下であると判定されたときには、その状態のま
ま高速脱水運転を実行しても振動や騒音が小さいと判断
できる。そこで、ステップS30に進み、回転速度制御
部32はドラム5の回転速度を1000rpm迄上昇す
るように制御する。これにより、洗濯物に浸透していた
水は遠心力により飛散して脱水される。この高速脱水運
転では、布傷みを生じ易い洗濯物を保護するために、ド
ラム5の回転速度を使用者によって指定された洗濯コー
ス(例えば毛布洗濯コース、ドライ専用衣類洗濯コース
等)に応じた1000rpm以下の上限値(例えば80
0rpm)に制限するようにしてもよい。
【0045】上記ステップS4にて偏心量が所定値aよ
り大きいと判定されると、中央制御部31は先に検知さ
れた偏心位置とバランサ10の取付位置とに基づき偏心
ずれ角度θを算出する(ステップS5)。この偏心ずれ
角度θは、図10に示すように、ドラム5内周壁上でバ
ランサ10に180°対向する位置を基準0°とし、ド
ラム5の回転方向に該基準0°からの偏心位置のずれ量
を回転角度として表わしたものである。
【0046】その後、以下のステップS6〜S8の各判
定処理により、該偏心ずれ角度θを四つの角度範囲に分
別する。すなわち、まず偏心ずれ角度θが−20°〜2
0°の角度範囲であるか否かを判定する(ステップS
6)。例えば、洗濯物が図11(a)に示す位置に在る
とき、偏心ずれ角度θが−20°〜20°の角度範囲に
収まっていると判定される。この場合、バランサ10に
適宜の量の水を注入することによりドラム5全体の偏心
量を減少させることができる。そこでステップS20へ
進み、後述のようなバランス注水運転を実行してドラム
5のバランスをとった後に高速脱水運転に移行する。
【0047】上記ステップS6にて偏心ずれ角度θが−
20°〜20°の角度範囲外であると判定されると、次
に偏心ずれ角度θが20°以上60°未満の角度範囲で
あるか否かを判定する(ステップS7)。偏心ずれ角度
θが20°以上60°未満の角度範囲であると判定され
ると、減速設定値nを50rpmに設定する(ステップ
S9)。上記ステップS7にて偏心ずれ角度θが20°
以上60°未満の角度範囲外であると判定されると、次
に偏心ずれ角度θが60°以上120°未満の角度範囲
であるか否かを判定する(ステップS8)。偏心ずれ角
度θが60°以上120°未満の角度範囲であると判定
されると、減速設定値nを45rpmに設定する(ステ
ップS10)。上記ステップS8にて偏心ずれ角度θが
60°以上120°未満の角度範囲外であると判定され
たときには、偏心ずれ角度θは120°以上340°
(−20°)以下の角度範囲に在る筈であり、このとき
には減速設定値nを40rpmに設定する(ステップS
11)。
【0048】その後、回転速度制御部32は、ドラム5
が一乃至複数回転する間にモータ電流の最小ピークの値
とドラム一回転期間中での該最小ピークの出現位置とを
概略的に把握し、次のドラム一回転期間中において最小
ピークが出現したならば(ステップS12)、その直後
にドラム5の回転速度を80rpmから先の減速設定値
n迄低下させるように制御する(ステップS13)。そ
して、ドラム5の回転速度がその減速設定値n迄低下し
たならば(ステップS14)、速やかに再び回転速度を
80rpm迄上昇させる(ステップS15)。
【0049】上記減速による洗濯物の移動について、図
12、図13を参照して詳しく説明する。図12
(a)、(b)、(c)はそれぞれ偏心ずれ角度θが相
違する洗濯物の配置状態を示しており、図13(a)、
(b)、(c)はそれぞれ図12(a)、(b)、
(c)の洗濯物の配置に対するドラム5の減速パターン
を示している。
【0050】洗濯物が図12(a)に示すような位置に
在ると、上記ステップS7にて偏心ずれ角度θは20°
以上60°未満の角度範囲であると判定され、減速設定
値nは50rpmになる。減速前に80rpmでドラム
5が回転されているとき、洗濯物の固まりはドラム5内
周壁面に押し付けられて回転しており、該洗濯物の固ま
りがドラム5の最低位置の近傍に達したときにモータ1
7の負荷は最小となってモータ電流は最小ピークを示
す。この直後にドラム5の回転速度を50rpm迄落と
すように制御すると、ドラム5は図13(a)に示すよ
うに減速し、偏心位置がほぼ60°の回転位置付近に達
した時点で回転速度は50rpmとなる。これは均衡回
転速度よりも低く、洗濯物に作用する遠心力よりも重力
の方が大きいため、該洗濯物の固まりは60°の回転位
置に達する迄に回転後方(回転方向と反対側)へ少し滑
り落ちる(又は、バッフル9によって持ち上げられた後
に該バッフル9を乗り越えて転がり落ちる)。その後に
回転速度は急速に元の回転速度80rpm迄上昇され
る。これにより、洗濯物は、図12(a)に示す位置よ
りも回転後方に少し移動した位置で再びドラム5内周壁
面に張り付いて回転する。この結果、偏心位置が基準0
°近傍に移動するので、偏心ずれ角度θが−20°〜2
0°の角度範囲に収まる可能性が高くなる。
【0051】なお、この場合、減速終了位置が60°と
相対的にドラム5内で低い位置にあり、濡れてドラム5
の内周壁面に張り付いている洗濯物は減速のみでは移動
し難いが、減速の後に急速に元の回転速度に戻るように
加速することにより、洗濯物は回転後方に移動し易くな
る。
【0052】洗濯物が図12(b)に示すような位置に
在ると、上記ステップS9にて偏心ずれ角度θは60°
以上120°未満の角度範囲であると判定され、減速設
定値nは45rpmになる。上記と同様に洗濯物の固ま
りがドラム5の最低位置を通過した後に減速が開始さ
れ、図13(b)に示すように減速し、偏心位置が90
°の位置付近に達したときに回転速度は45rpmとな
る。すると、遠心力が弱まって洗濯物は回転後方へ滑り
又は転がり落ち、その後に回転速度は急速に元の回転速
度80rpm迄上昇される。これにより、洗濯物は、図
12(b)に示す位置よりも回転後方に90°程度移動
した位置で再びドラム5内周壁面に張り付いて回転す
る。この結果、偏心位置が基準0°近傍に移動するの
で、偏心ずれ角度θが−20°〜20°の角度範囲に収
まる可能性が高くなる。
【0053】洗濯物が図12(c)に示すような位置に
在ると、上記ステップS6、S7及びS8にて偏心ずれ
角度θは120°以上340°以下の角度範囲であると
判定され、減速設定値nは40rpmになる。上記説明
と同様に、洗濯物の固まりがドラム5の最低位置を通過
した直後に減速が開始され、図13(c)に示すように
減速し、偏心位置が120°の位置付近に達したときに
回転速度は40rpmとなる。すると、遠心力が弱まっ
て洗濯物は回転後方へ滑り又は転がり落ち、その後に回
転速度は急速に元の回転速度80rpm迄上昇される。
これにより、洗濯物は、図12(c)に示す位置よりも
回転後方に120°程度移動した位置で再びドラム5内
周壁面に張り付いて回転する。
【0054】このように偏心位置が回転後方に大きく離
れている場合、一回の減速のみでは偏心位置を基準0°
近傍に迄移動させることはできない。しかしながら、上
記減速動作を複数回繰り返すことにより少しずつ洗濯物
をずらしてゆき、偏心位置を基準0°の近傍に収束させ
ることができる。
【0055】上記の如き偏心荷重移動運転により洗濯物
をバランサ10に180°対向する位置近傍迄移動した
ならば、ステップS20のバランス注水運転によりドラ
ム5全体のバランスをとることが可能となる。
【0056】図9は上記ステップS20のバランス注水
運転の制御の一例を示すフローチャートである。バラン
ス注水運転では、まず、ドラム5の回転速度を130r
pm迄上昇させる(ステップS21)。このときの回転
速度は、ドラム5の共振点よりも低く、且つ水案内室1
1に注水された水がバランサ10内に移動するような適
度な遠心力を与えることが可能である範囲で適宜の回転
速度とすることができる。共振による振動を抑制するに
はこのとき回転速度はできるだけ低い方が好ましく、一
方注水を迅速に行なうには回転速度はできるだけ高い方
が好ましい。
【0057】ドラム5の回転速度が130rpmに達し
たならば(ステップS22)、注水制御部34はバラン
ス用注水バルブ22を開放する(ステップS23)。こ
れにより、前述のように注水ノズル23から水が放出さ
れてバランサ10に水が徐々に入ってゆき、遠心力によ
ってドラム5の内周壁面に張り付いた状態でバランサ1
0内に保持される。偏心荷重検知部33は、注水に伴い
徐々に変化する偏心量を連続的に検知し、中央制御部3
1はその検知された偏心量が所定値b(例えば350
g)以下であるか否かを判定する(ステップS24)。
【0058】ドラム5内の洗濯物は遠心力により完全に
その内周壁面に押し付けられた状態で回転し、一方バラ
ンサ10内部の水の量は徐々に増え重量が増加してゆく
から、図5に示したモータ電流の変動振幅Lは次第に小
さくなってゆく。上記ステップS24にて偏心量が所定
値b以下であると判定されると、注水制御部34はバラ
ンス用注水バルブ22を閉鎖する(ステップS25)。
これにより、バランサ10内部の水の増加は停止し、図
11(b)に示すように、洗濯物の偏在による偏心荷重
とバランサ10内の水との釣合によりドラム5全体の偏
心荷重は小さくなる。
【0059】以上のように、本実施例の洗濯機では、バ
ランサ10と洗濯物の偏在に起因する偏心荷重との相対
位置関係に応じて、該偏心荷重をバランサ10の対向位
置近傍に移動させるのに適当なドラムの減速制御が行な
われ、それにより、短時間のうちに注水によるバランス
調整に移行することができる。
【0060】次に、本発明に係る遠心脱水装置の他の実
施例を説明する。この実施例の遠心脱水装置では、上記
実施例のステップS6〜S15に関する洗濯物の移動の
ための制御が相違している。この制御の手順を、図14
及び図15のフローチャートに沿って説明する。
【0061】中央制御部31はステップS5にて偏心ず
れ角度θを算出した後、ステップS6〜S8にて偏心ず
れ角度θが−20°〜20°、20°〜60°、60°
〜120°及び120°〜340(−20)°のいずれ
の範囲に含まれるのか区分する。そして、減速時間t
を、20°≦θ<60°の場合に0秒、60°≦θ<1
20°の場合に1秒、120°≦θ<340°の場合に
3秒に設定する(ステップS40〜S42)。
【0062】その後、回転速度制御部32は、ドラム5
一回転期間中において最小ピークが出現したならば(ス
テップS43)、その直後にドラム5の回転速度が80
rpmから50rpm迄減速するように制御する(ステ
ップS44)。そして、ドラム5の回転速度が50rp
mに低下したならば(ステップS45)、先に設定され
た減速時間t秒間その回転速度を維持し(ステップS4
6)、その後に再びドラム5の回転速度を80rpm迄
急速に上昇させる(ステップS47)。
【0063】すなわち、この実施例では、減速時の最低
回転速度は50rpm一定であるが、偏心ずれ角度θに
よってその最低回転速度を維持する時間の長さが相違す
る。前述のように50rpmでドラム5が回転されると
き、洗濯物はドラム5の回転後方にばらけたり転がった
りする。このため、減速時間tが長いほど回転後方への
移動距離が大きくなる。
【0064】上記のように減速時間tを変えたときの、
洗濯物の固まりの回転後方への移動量の実測結果を表1
に示す。ここでは、負荷量を約1kgとして、各減速時
間tに対しそれぞれ20回の減速制御試験を行ない、そ
のときの移動量を角度として示している。
【表1】 洗濯物の移動の仕方は、例えば洗濯物の絡み具合等に大
きく依存するため、減速時間tと移動角度とは必ずしも
一義的に決まらないが、表1に示したように、減速時間
tを変えることによりかなり高い確率をもって所望の移
動量を得られることがわかる。従って、本実施例のよう
な回転制御方法によれば、偏心ずれ角度θが相違してい
てもバランサ10の対向位置近傍に洗濯物の固まりを迅
速に移動させることができる。
【0065】なお、上記図15に示すフローチャートで
は、ステップ45にてドラム5の回転速度が50rpm
に達した後にt秒間のカウントを開始するようにしてい
るが、回転速度が80rpmから50rpmに低下する
のに要する時間を予め考慮した減速時間t’を得て、5
0rpmへの減速を開始した時点からその減速時間t’
のカウントを開始するようにしてもよい。
【0066】また、本発明に係る遠心脱水装置における
洗濯物の移動方法では、ドラム5内に或る程度の空間が
存在し、洗濯物が比較的自由に移動可能な状態でないと
適正な移動は困難である。つまり、負荷量が比較的小さ
い場合に、このような移動方法が特に有効である。そこ
で、洗濯の開始時又は脱水行程の開始直前にドラム5内
に収容された洗濯物の負荷量を検出し、負荷量が所定値
以下である場合に上述のような減速による移動を実行
し、一方負荷量が所定値を越える場合には他の適当な方
法でバランス調整を試みる構成としてもよい。
【0067】なお、上記実施例は水を用いるドラム式洗
濯機について説明したが、本発明が石油系溶剤等を使用
したドライクリーナに適用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例による遠心脱水装置を備え
たドラム式洗濯機の側面断面図。
【図2】 図1のドラム式洗濯機の要部の背面透視図。
【図3】 本実施例の遠心脱水装置におけるバランサへ
の水の注入及び排出の動作を示す概略断面図。
【図4】 本実施例の遠心脱水装置の電気系ブロック構
成図。
【図5】 偏心荷重の影響によるモータ電流の変動の一
例を示す波形図。
【図6】 モータ電流の変動振幅と偏心量との関係の一
例を示すグラフ。
【図7】 本実施例における脱水運転時の制御動作を示
すフローチャート。
【図8】 本実施例における脱水運転時の制御動作を示
すフローチャート。
【図9】 本実施例における脱水運転時の制御動作を示
すフローチャート。
【図10】 本実施例における偏心ずれ角度を説明する
ための模式図。
【図11】 本実施例におけるバランス調整動作を説明
するための模式図。
【図12】 本実施例におけるバランス調整動作を説明
するための模式図。
【図13】 本実施例におけるドラムの減速パターンを
示すグラフ。
【図14】 本発明の他の実施例における脱水運転時の
制御動作を示すフローチャート。
【図15】 本発明の他の実施例における脱水運転時の
制御動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
5…ドラム 10…バランサ 11…水案内室 17…モータ 22…バランス用注水バルブ 23…注水ノズル 26…回転センサ 30…制御部 31…中央制御部 32…回転速度制御部 33…偏心荷重検知部 34…注水制御部 41…モータ駆動部 42…モータ電流検出
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 哲夫 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 本田 国興 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 籠状のドラム内に洗濯物を収容し、該ド
    ラムを水平軸を中心に回転させることにより該洗濯物の
    脱水を行なう遠心脱水装置において、 a)ドラム自体が偏心荷重を有するべく該ドラム壁面の一
    部に設けた重錘部と、 b)洗濯物が収容された状態のドラムの偏心荷重の大きさ
    及び位置を検知する偏心荷重検知手段と、 c)該偏心荷重検知手段により検知された偏心荷重と前記
    重錘部との位置関係を調べる位置判別手段と、 d)前記偏心荷重検知手段により検知された偏心荷重の位
    置がドラム内周壁上で前記重錘部に対向する箇所の近傍
    でないとき、ドラム内の洗濯物の移動を促進するための
    ドラムの回転制御方法を前記位置判別手段の結果に応じ
    て決定する運転制御手段と、 e)該運転制御手段により決められた回転制御方法でドラ
    ムが回転するように、該ドラムを回転駆動するモータを
    制御する回転制御手段と、 を備えることを特徴とする遠心脱水装置。
  2. 【請求項2】 前記重錘部は、ドラム壁面の一部に形成
    した中空体の水保持部と該水保持部に水を注入する注水
    手段とから成り、前記位置判別手段は、該水保持部に水
    が注入されていない状態で前記偏心荷重検知手段により
    検知された偏心荷重と該水保持部との位置関係を調べる
    ことを特徴とする請求項1に記載の遠心脱水装置。
  3. 【請求項3】 前記注水手段は、前記水保持部に水が注
    入されていない状態で検知された偏心荷重の位置がドラ
    ム内周壁上で該水保持部に対向する箇所の近傍であると
    き、該水保持部に偏心荷重の大きさに応じた量の水を注
    入してドラムのバランス調整を行なうことを特徴とする
    請求項2に記載の遠心脱水装置。
  4. 【請求項4】 前記運転制御手段は、洗濯物に作用する
    遠心力が重力に勝るような略一定の回転速度でドラムを
    回転しているときに該遠心力が重力よりも小さくなるよ
    うに短時間該ドラムの回転速度を減速し、前記位置判別
    手段の結果に応じてその減速度合を変えることを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれかに記載の遠心脱水装置。
  5. 【請求項5】 前記運転制御手段は、前記位置判別手段
    の結果に応じて最低回転速度を決定し、偏心荷重がドラ
    ムの最低位置を通過した付近から減速が始まって該最低
    回転速度に達する迄減速した後に減速前の回転速度に戻
    るようにすることを特徴とする請求項4に記載の遠心脱
    水装置。
  6. 【請求項6】 前記運転制御手段は、前記位置判別手段
    の結果に応じて決定した時間の期間中、ドラムの回転速
    度を所定の減速回転速度に維持することを特徴とする請
    求項4に記載の遠心脱水装置。
  7. 【請求項7】 前記運転制御手段は、前記位置判別手段
    により得られる偏心荷重と重錘部又は水保持部との距離
    よりも移動量が小さくなる減速方法を選択し、複数回の
    ドラム減速制御により少しずつ洗濯物を回転後方に移動
    して所望位置に移動させることを特徴とする請求項4乃
    至6に記載の遠心脱水装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11244594A (ja) * 1998-03-03 1999-09-14 Sanyo Electric Co Ltd ドラム式遠心脱水装置
JP2012223491A (ja) * 2011-04-22 2012-11-15 Toshiba Corp ドラム式洗濯機
JP2013034651A (ja) * 2011-08-08 2013-02-21 Toshiba Corp ドラム式洗濯機
JP2018102645A (ja) * 2016-12-27 2018-07-05 青島海爾洗衣机有限公司QingDao Haier Washing Machine Co.,Ltd. 洗濯機

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