JPH10323071A - 2慣性共振系速度制御の2次直列補償器の係数決定方 法 - Google Patents

2慣性共振系速度制御の2次直列補償器の係数決定方 法

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JPH10323071A
JPH10323071A JP9140953A JP14095397A JPH10323071A JP H10323071 A JPH10323071 A JP H10323071A JP 9140953 A JP9140953 A JP 9140953A JP 14095397 A JP14095397 A JP 14095397A JP H10323071 A JPH10323071 A JP H10323071A
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coefficient
compensator
equation
inertia
resonance system
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JP9140953A
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Inventor
Masaru Go
優 呉
Atsushi Fujikawa
淳 藤川
Hirokazu Kobayashi
弘和 小林
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Toyo Electric Manufacturing Ltd
Original Assignee
Toyo Electric Manufacturing Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】外乱オブザーバを用いた共振比制御を用いる
と、軸トルクを高速に推定するために、外乱オブザーバ
の時定数を速くしなければならない等、種々の課題があ
る。 【解決手段】2慣性共振系の速度制御部2に2次直列補
償器を用いて、速度指令信号ω*に対して速度検出器に
より検出した電動機速度ωm を帰還して偏差信号Δωを
算出し、2次元直列補償器により偏差信号Δωを増幅し
て得られたトルク指令信号T*に従って2慣性共振系1
を制御する。負荷慣性と電動機慣性の慣性比KJ の値に
基づいて、補償器係数決定手段1、2、3により、2次
直列補償器の各係数を閉ループ系の極配置から求めて、
制御系に良好な減衰係数(√2/2≦ξ≦1)を持たせ
ることにより、2慣性共振系の軸ねじれ振動を効果的に
抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動機と負荷が弾
性軸で結合されているような2慣性共振系の速度制御方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】産業プラントや産業用ロボットなどにお
けるモータドライブシステムにおいては、電動機と負荷
が低剛性な弾性軸で結合されていると、共振系となり、
軸ねじれ振動が発生し問題となることがある。このよう
な2慣性共振系の速度制御には、従来はPI(比例−積
分)制御が用いられていたが、軸ねじれ振動は負荷慣性
JLと電動機慣性Jmの慣性比KJ(=JL/Jm)に
よってその状況が変化する。特に負荷慣性が電動機慣性
より小さい場合はより振動的となり、PIのみによる速
度制御はさらに困難なものになる。近年、現代制御理論
の発展及びディジタル技術の進歩に伴い、H∞制御、外
乱オブザーバ、共振比制御、状態フィードバック制御な
どが多数研究され、平成6年電気学会産業応用部門全国
大会、シンポジウムS.12;軸ねじれ系の最新制御技
術に掲載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】周波数応答の整形を目
的としたH∞制御理論を用いて、ロバスト安定性のよい
制御器を設計できるが、負荷慣性が電動機慣性より小さ
い場合、一般にH∞制御器の次元が高いので、高速、高
機能のCPUが必要であるが、コスト、ソフト面から実
機への適用は難しい。外乱オブザーバを用いた共振比制
御を用いると、負荷慣性が電動機慣性より小さい場合で
も、良好な振動抑制効果が得られるが、外乱オブザーバ
による軸トルクを高速に推定するために、外乱オブザー
バの時定数を速くしなければならない。しかし、速い時
定数の外乱オブザーバを用いると、ノイズの影響で制御
系が不安定になる等の課題がある。
【0004】状態フィードバック制御を用いて、2慣性
共振系のすべての状態量をフィードバックすると、任意
の極配置が可能であり、軸ねじれ振動の原因である虚軸
近くにある極をより複素平面の左半面に移動(即ち、閉
ループ系に良好な減衰特性を持たせる)し、軸ねじれ振
動の抑制が可能となる。しかし、コスト、ハードの面か
ら、検出できる状態量は電動機の速度のみであるため、
負荷の回転速度および軸のねじれトルクは状態オブザー
バを用いて推定する必要があり、制御系の構造が複雑に
なる。また、前述した共振比制御と同様に、閉ループ系
が期待通りの性能を発揮するには状態オブザーバの応答
周波数を軸ねじれ振動周波数より十分高く設定する必要
がある。しかし、オブザーバの応答周波数を高くする
と、ノイズの影響が大きく、ロバスト安定性も低下する
という問題が生じ、実機への適用は困難となる。
【0005】本発明は前述のような従来技術の問題点に
鑑みなされたものであって、本発明の目的は、外乱オブ
ザーバを使用しなく、しかも次元の低い制御器を用いる
だけで、負荷慣性JLが電動機慣性Jmより小さいばあ
いでも、制御系に良好な減衰係数{√2/2≦ξ≦1}
を持たせるようにした2慣性共振系の速度制御を提供す
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】つまり、その目的を達成
するための手段は、弾性軸を介して、電動機から負荷へ
駆動トルクを伝達する2慣性共振系と、速度指令信号ω
*に対して速度検出器により検出した電動機速度ωmを
帰還して偏差信号Δωを演算し、次元の低い制御器とし
た2次直列補償器により、前記偏差信号Δωを増幅して
得られたトルク指令信号T*に従って、2慣性共振系を
制御するように構成された電動機速度制御系において、
後述する2次直列補償器係数決定手段1、2、3によっ
て、2次直列補償器Gd(s)の各係数(qi、pi)
を求め、制御系に良好な減衰係数{√2/2≦ξ≦1}
を持たせて軸ねじれ振動を抑制することを特徴とする2
慣性共振系速度制御の2次直列補償器の係数決定方法で
ある。
【0007】2次直列補償器係数決定法を説明するため
に、まず、2慣性共振系の構成および特性を説明する。
図3は2慣性共振系を示す図であり、1は電動機、2は
負荷、3は弾性軸を示す。図3の如き電動機1と負荷2
が低剛性の弾性軸3で結合されている場合、この機械系
は、軸ねじれ振動モードが存在するため、2慣性共振系
となる。図3の2慣性共振系をブロック線図で示すと、
図4になる。ただし、T*はトルク指令、Tsは軸ねじ
れトルク、TLは負荷側の外乱トルク、ωmは電動機速
度、ωLは負荷速度、θsは軸ねじれ角、Ksは軸のバ
ネ定数、Jmは電動機慣性、JLは負荷慣性である。機
械ダンピングはここでは無視するものとする。トルク指
令T*から電動機速度ωmまでの伝達関数は下記の
(1)式のように与えられる。
【0008】
【数1】
【0009】ただし、N(s)とD(s)は伝達関数G
m(s)の分子多項式と分母多項式であり、sはラプラ
ス演算子であり、ωpとωoは2慣性共振系の固有共振
周波数と反共振周波数であり、それぞれ下記の(2)式
と(3)式で表される。
【0010】
【数2】
【0011】
【数3】
【0012】(1)式の伝達関数Gm(s)から分かる
ように、2慣性共振系は虚軸にある二つの共役複素極を
持つため、持続する軸ねじれ振動が発生する。そこで、
軸ねじれ振動を抑制するために、振動の原因である虚軸
にある極を複素平面の左半面に移動させる補償器を設
け、2慣性共振系の速度制御系を構成することが必要で
ある。
【0013】速度制御ループに構造の簡単な補償器を用
いて軸ねじれ振動を抑制するために、後述する如き図1
に示すように、速度制御部2に2次直列補償器Gd
(s)を適用し、速度指令信号ω*と電動機速度ωmと
の偏差値Δωを、前記の2次直列補償器Gd(s)によ
り増幅して得られたトルク指令T*に従って、2慣性共
振系を制御することによって、2慣性共振系の速度制御
系を構成する。速度制御器とした2次直列補償器Gd
(s)の伝達関数表現の一般式は下記の(4)式のよう
に表わされる。
【0014】
【数4】
【0015】ただし、Q(s)とP(s)は2次直列補
償器伝達関数の分子多項式と分母多項式とし、sはラプ
ラス演算子である。qi(i=1,2,3)は前記の分
子多項式Q(s)の係数とし、pi(i=1,2)は前
記の分母多項式P(s)の係数とする。前記の2次直列
補償器伝達関数における分子、分母多項式の各係数(q
i、pi)の決定は、閉ループ系の極配置により行う。
【0016】(1)式から、2慣性共振系が3次(n=
3)で、可制御かつ可観測であるので、(4)式の2次
(n−1=2)の直列補償器Gd(s)を用いて、閉ル
ープ系の合計5個(2+3=5)の極が自由に配置でき
る。しかし、2慣性共振系の負荷にある外乱トルクTL
の定常影響を除去するため、2次直列補償器Gd(s)
に積分器の性質を持たせなければならない。そこで、
(4)式の分母多項式から定数項係数p1が下記の
(5)式となる。
【0017】
【数5】
【0018】このときの閉ループ系は5次(2+3=
5)となり、ω*からωmまでの伝達関数φ(s)は、
(1)式と(4)式とより下記の(6)式となる。
【0019】
【数6】
【0020】閉ループ系の特性方程式Δは、伝達函数φ
(s)の分母多項式として下記の(7)式で求められ
る。
【0021】
【数7】
【0022】制御系に良好な減衰係数ξを持たせ、軸ね
じれ振動を抑制するために、閉ループ系の極配置Δ1を
安定根と2重の共役根とし、下記の(8)式の如くに設
定しておく。
【0023】
【数8】
【0024】ここで、λ、ξとωNは閉ループ系の望ま
しい極の位置を決める極配置パラメータとする。そこ
で、2次直列補償器Gd(s)の各係数(qi、pi)
は、(7)式と(8)式との係数比較により下記の
(9)式となるが、極配置パラメータλ、ξとωNは、
(7)式と(8)式の1次項、3次項の係数比較から下
記の(10)式の関係がある。
【0025】
【数9】
【0026】
【数10】
【0027】閉ループ系の極の中に、虚軸より近い極は
軸ねじれ振動を起こす主成分であるので、“代表極”と
する。閉ループ系の時間応答は“代表極”により支配さ
れる。前記の(8)式の閉ループ系極配置に2重共役根
を“代表極”とするために、λは下記の(11)式が満
たされればよい。ただし、kはωNとωoの比とする。
【0028】
【数11】
【0029】このとき、“代表極”とした2重共役根の
極配置パラメータωNとξは、それぞれ閉ループ系の時
間応答の速応性と減衰特性を決める定数となるので、ω
Nとξはそれぞれ閉ループ系の“固有角周波数”と“減
衰係数”と呼ばれる。“代表極”とした2重共役根のみ
から見ると、閉ループ系は伝達関数がK/(s2+2ξ
ωNs+ωN2)2で表される2重2次遅れ系と類似
し、同様な特性を持つ。2次遅れ系の周波数応答にゲイ
ンのピーク値(共振点)が生じないために、ξ≧√2/
2が要求される。また、共役根を構成するために、ξ≦
1が要求されるので、極配置に減衰係数ξの値範囲は、
下記の不等式の(12)式で決まる。
【0030】
【数12】
【0031】以下、本発明の2次直列補償器係数決定方
法を具体的に説明する。図1は本発明を説明するための
ブロック線図であり、1は弾性軸を有する2慣性共振
系、2は2次直列補償器を適用した速度制御器、3は2
次直列補償器の係数決定方法のフローチャートである。
ここで、2慣性共振系1は電動機部1a、弾性軸部1b
及び負荷部1cから構成される。
【0032】前記の2慣性共振系1を2次直列補償器で
制御する場合、速度指令信号ω*と電動機速度ωmとの
偏差値Δωを、2次直列補償器を通してトルク指令信号
T*が得られる。このトルク指令信号T*を電動機に与
えることにより、電動機速度ωmとなる。上記電動機速
度ωmと負荷速度ωLとの偏差積分値が軸ねじれ角θs
となり、この軸ねじれ角θsが軸バネ定数Ks倍され
て、軸ねじれトルクTsとなる。上記軸ねじれトルクT
sと負荷の外乱トルクTLの偏差値を負荷に与えること
により、負荷速度ωLとなる。
【0033】前記構成の2慣性共振系の速度制御におい
て、2次直列補償器Gd(s)の各係数(qi、pi)
を閉ループ系の極配置から求めることができる。まず、
一例として、閉ループ系の周波数応答に2慣性共振系の
共振周波数ωpをカット(遮断)できるように、極配置
パラメータとした固有角周波数ωNをωN=ωo(<ω
p)(即ち、(11)式のk=1)とすると、(10)
式より、閉ループ系の減衰係数ξは下記の(13)式と
なる。
【0034】
【数13】
【0035】このとき、2次直列補償器Gd(s)の各
係数(qi、pi)は、(9)式の解として下記の(1
4)式となる。
【0036】
【数14】
【0037】ここで、閉ループ系極配置Δ1の安定根
(−λ)を虚軸より複素平面の左半面の無限遠(即ち、
λ→+∞)に設定すると、前記の(14)式より、2次
直列補償器Gd(s)は下記の(15)式のように低次
元化され、PI(比例−積分)制御器となる。
【0038】
【数15】
【0039】(13)式から分かるように、(15)式
のPI制御器を用いると、閉ループ系の減衰係数ξの値
は慣性比KJの値によって決まる。また、不等式の(1
2)式から考えると、(15)式のPI制御器の適用で
きる範囲は慣性比KJ=2〜4となる。そこで、補償器
係数決定手段1としては(図2の手段1)、2≦KJ≦
4のケースについて、極配置パラメータのk、ξ(減衰
係数)、λをk=1、ξ=√(KJ)/2、λ→+∞と
することにより、2次直列補償器Gd(s)を前記の
(15)式で低次元化し、PI(比例−積分)制御器と
して求めることである。
【0040】2≦KJ≦4の条件で、(15)式のPI
制御器を用いると、閉ループ系に妥当な減衰係数ξ=
(√2/2)〜1を持たせる極配置ができて、軸ねじれ
振動の抑制が可能となるが、慣性比KJ<2(即ち、ξ
<√2/2)またはKJ>4(即ち、ξ>1)の場合に
は、閉ループ系時間応答の減衰特性または速応性が悪く
なり、妥当な極配置ができない。従って、慣性比KJ<
2とKJ>4のケースの2次直列補償器Gd(s)の係
数決定には以下のように再検討をした。(10)式と
(11)式より、下記の不等式の(16)式を得る。
【0041】
【数16】
【0042】慣性比KJ<2とKJ>4の場合、閉ルー
プ系応答の減衰係数ξを、前述の2次遅れ系の周波数応
答に共振点が生じない“臨界値”ξ=√2/2に設定す
ると、不等式の(16)式は下記の不等式の(17)式
となる。また、安定な2次直列補償器Gd(s)を構成
するために、Gd(s)の分母多項式係数から、p2>
0が要求される。このことから、(9)式より下記の不
等式の(18)式のkに対する制約条件を導出すること
ができる。
【0043】
【数17】
【0044】
【数18】
【0045】まず、KJ<2の条件で、不等式の(1
7)式を解けば、kの値範囲は下記の不等式の(19)
式または不等式の(20)式で決めるが、(18)式の
制約条件を満たすために、特に慣性比KJが小さいと
き、下記の不等式の(19)式でkの値範囲を決めた方
がよい。
【0046】
【数19】
【0047】
【数20】
【0048】(19)式で決めたkの範囲に一つの値を
自由に選択した後、その選択されたkの値を(16)式
に代入すると、極配置パラメータλの値を決めることが
できる。前述のようにして決めた極配置パラメータのξ
=√2/2、k(その値は(19)式で決また範囲に自
由に選定できる)、及びλ((16)式で決まる)を、
(9)式の右辺に代入し(ここで、ωN=kωo)、
(9)式を解けば、閉ループ系に良好な減衰特性ξ=√
2/2を持たせる2次直列補償器Gd(s)の各係数
(qi、pi)を簡単に求めることができる。そこで、
補償器係数決定手段2としては(図2の手段2)、KJ
<2のケースについて、極配置パラメータのξをξ=√
2/2とし、kの値を(19)式の範囲で選択して決
め、λの値をξとkとの関数の(16)式から算出し、
これらの極配置パラメータξ、k、λの値により、2次
直列補償器Gd(s)の各係数(qi、pi)を前記の
(9)式で求めることができる。
【0049】次に、KJ>4の条件で、(17)式を解
けば、kの値範囲は下記の不等式の(21)式で決める
が、(18)式の制約条件を満たすために、kの値を1
に近く取れば問題にならないと考えられる。ここで、
(16)式のλ>ξkωo(=(√2/2)kωo)を
利用し、(18)式と下記の不等式の(21)式を連立
して求めると、安定な2次直列補償器とするための十分
条件は下記の不等式の(22)式で与えられる。
【0050】
【数21】
【0051】
【数22】
【0052】(22)式の範囲でkの一つの値を自由に
選んで(16)式に代入すると、λの値を決めることが
できる。また、前述のようにして決めた極配置パラメー
タのξ(=√2/2)、k(その値は(22)式で決ま
た範囲に自由に選定できる)、及びλ((16)式で決
まる)を、(9)式に代入する(ここで、ωN=kω
o)ことにより、閉ループ系に良好な減衰特性ξ=√2
/2を持たせる2次直列補償器Gd(s)の各係数(q
i、pi)は簡単に求められる。そこで、補償器係数決
定手段3としては(図2の手段3)、KJ>4のケース
について、極配置パラメータのξをξ=√2/2とし、
kの値を(22)式の範囲で選択して決め、λの値をξ
とkとの関数の(16)式から算出し、これらの極配置
パラメータξ、k、λの値により、2次直列補償器Gd
(s)の各係数(qi、pi)を前記の(9)式で求め
ることである。
【0053】以上のまとめとして、2慣性共振系速度制
御の2次直列補償器の係数決定方法は、図1に示すよう
に、まず、2慣性共振系の機械定数のノミナル値Jm、
JL、Ksを抽出し、該機械定数により慣性比KJ(=
JL/Jm)および共振周波数ωpと反共振周波数ωo
を算出し、算出した慣性比KJに基づいて慣性比KJの
値の範囲を判別する手段を備え、該慣性比範囲の判別手
段の出力により、慣性比KJの値を(1)2≦KJ≦
4、(2)KJ<2と(3)KJ>4の三つのケースに
分けて、これらの三つの慣性比ケースに基づいて閉ルー
プ系の極の位置が望ましい極配置になるように、補償器
係数決定手段1、2と3で各慣性比ケースの2次直列補
償器の係数を求めることである。また、実際の応用に慣
性比KJをオンライン同定し、各慣性比ケースの2次直
列補償器の係数をオンライン計算し、制御則を決める適
応制御もできる。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、数値例を挙げて、本発明の
実施の具体形態をさらに説明する。数値例としては、慣
性比KJの異なる機械共振系1、2、3の2次直列補償
器の係数決定を取りあげる。機械共振系1、2、3は同
じ電動機慣性Jm=0.095[Kgm2]と同じ軸バ
ネ定数Ks=130[Nm/rad]を持つが、それぞ
れの慣性比KJ(=JL/Jm)をKJ=3、KJ=1
/2、KJ=5とすると、機械共振系1、2、3はそれ
ぞれ本発明の慣性比ケース(1)、(2)、(3)にあ
たる。
【0055】機械共振系1(KJ=3)について、補償
器係数決定手段1を適用し、前記の(15)式より、2
次直列補償器Gd(s)は、低次元化され、PI制御器
となる。このPI制御器の各ゲインは、(15)式と
(3)式よりKp=7.029、Ki=43.333と
なる。このPI制御器を機械共振系1に適用すると、0
Sec時のランプ状な速度指令(加速時間0.5Se
c)と、1.5Sec時の定格の67%の外乱トルク
(20Nm)をかけた時間応答は図5に示すようにな
る。図5から明らかなように、慣性比ケース(1)につ
いて、本発明の補償器係数決定手段1より設計したPI
制御器のみで軸のねじれ振動のない2慣性共振系の速度
制御ができる。
【0056】機械共振系2(KJ=1/2)について、
補償器係数決定手段2を適用し、ξをξ=√2/2と
し、(19)式で決まった範囲(1<k<1.31)
に、一例としてkの値を1.2とする。ξ=√2/2と
k=1.2を(16)式に代入し、計算すれば、λの値
はλ=76.6となる。次に、これらのξ、k、λの値
を用いて(9)式で計算すると、2次直列補償器Gd
(s)の各係数(qi、pi)は、下記の(23)式で
与えられる。
【0057】
【数23】
【0058】(23)式で決まった2次直列補償器を機
械共振系2に適用すると、時間応答は図6に示すように
なり、軸のねじれ振動のない2慣性共振系の速度制御が
できることがわかる。
【0059】機械共振系3(KJ=5)について、補償
器係数決定手段3を適用し、ξをξ=√2/2とし、
(22)式が満たされるように、一例としてkの値を
0.95とする。ξ=√2/2とk=0.95を用いて
(16)式を計算すると、λの値はλ=197.9とな
る。次に、これらのξ、k、λの値を用いて(9)式で
計算すると、2次直列補償器Gd(s)の各係数(q
i、pi)は、下記の(24)式で与えられる。
【0060】
【数24】
【0061】(24)式で決まった2次直列補償器を機
械共振系3に適用すると、時間応答は図7に示すように
なり、軸のねじれ振動のない良好な応答特性を得ること
ができる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、2
慣性共振系速度制御の2次直列補償器の係数決定に際
し、2慣性共振系の慣性比KJに基づいて、速度制御系
に良好な減衰特性(√2/2≦ξ≦1)を持たせる2次
直列補償器の係数が簡単に決定できる。さらに、慣性比
の2≦KJ≦4の場合、2次直列補償器が低次元化さ
れ、PI制御器となる。このPI制御器のみで軸のねじ
れ振動抑制を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するためのブロック線図である。
【図2】2次直列補償器係数決定手段1、2、3を叙述
するためのフローチャート図である。
【図3】2慣性共振系を示す図である。
【図4】2慣性共振系のブロック線図である。
【図5】本発明の補償器係数決定手段1より求めたPI制
御器で制御された機械共振系1の時間応答を示す図であ
る。
【図6】本発明の補償器係数決定手段2より求めた2次
直列補償器で制御された機械共振系2の時間応答を示す
図である。
【図7】本発明の補償器係数決定手段3より求めた2次
直列補償器で制御された機械共振系3の時間応答を示す
図である。
【符号の説明】
1 弾性軸を有する2慣性共振系 2 2次直列補償器を適用した速度制御器 3 2次直列補償器の係数決定法 Jm 電動機慣性 JL 負荷慣性 KJ 慣性比 Ks 軸のバネ定数 T* トルク指令 Ts 軸ねじれトルク TL 負荷側の外乱トルク ω* 速度指令 ωm 電動機速度 ωL 負荷速度 Δω 速度指令と電動機速度との偏差値 θs 軸ねじれ角 Gd(s) 2次直列補償器の伝達関数 qi 2次直列補償器伝達関数Gd(s)の分子
多項式の係数 pi 2次直列補償器伝達関数Gd(s)の分母
多項式の係数 k 閉ループ系の極配置パラメータの一つ ξ 閉ループ系の極配置パラメータの一つ
(減衰係数) λ 閉ループ系の極配置パラメータの一つ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動機と負荷が弾性軸で結合されている
    2慣性共振系の速度制御を、低次元制御器により行う速
    度制御において、前記の低次元制御器を2次直列補償器
    Gd(s)で構成し、前記の2慣性共振系の機械定数の
    ノミナル値Jm、JL、Ksを抽出し、該機械定数によ
    り慣性比KJ(=JL/Jm)および共振周波数ωpと
    反共振周波数ωoを算出し、算出した慣性比KJに基づ
    いて慣性比KJの値の範囲を判別する手段を備え、該慣
    性比範囲の判別手段により、2慣性共振系の慣性比KJ
    の値は、(1)2≦KJ≦4、(2)KJ<2と(3)
    KJ>4の三つのケースのいずれに属するかを判別し、
    各々の慣性比ケースに基づいて閉ループ系の極の位置が
    望ましい極配置になるように、(1)2≦KJ≦4のケ
    ースについては、極配置パラメータのk、ξ(減衰係
    数)、λを、k=1、ξ=(√KJ)/2、λ→+∞と
    することにより、2次直列補償器Gd(s)を低次元化
    し、PI(比例−積分)制御器として求める補償器係数
    決定手段1と、(2)KJ<2のケースについては、極
    配置パラメータのξをξ=√2/2とし、kの値を1〜
    √{1+√((2−KJ)/3)}の範囲で選択して決
    め、λの値をξとkとの関数から算出し、これらの極配
    置パラメータξ、k、λの値により、2次直列補償器G
    d(s)の各係数(qi、pi)を求める補償器係数決
    定手段2と、(3)KJ>4のケースについては、極配
    置パラメータのξをξ=√2/ 2とし、kの値を√(4
    −√11)〜1の範囲で選択して決め、λの値をξとk
    との関数から算出し、これらの極配置パラメータξ、
    k、λの値により、2次直列補償器Gd(s)の各係数
    (qi、pi)を求める補償器係数決定手段3とによ
    り、前記の三つの慣性比のケースに対応するそれぞれの
    2次直列補償器Gd(s)の各係数を求めることを特徴
    とする2慣性共振系速度制御の2次直列補償器の係数決
    定方法。
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