JPH10317250A - 強化繊維織物およびその製造方法 - Google Patents
強化繊維織物およびその製造方法Info
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Abstract
したときの機械的特性に優れる強化繊維織物を提供す
る。 【解決手段】 強化繊維糸をたて糸およびよこ糸とする
織物であって、たて糸および/またはよこ糸に並行する
低熱収縮性の補助糸にポリマーが被覆され、このポリマ
ーによってたて糸とよこ糸が接着していることを特徴と
する強化繊維織物、または、強化繊維糸をたて糸または
よこ糸とし、よこ糸またはたて糸として低熱収縮性の補
助糸を用いた一方向性の織物であって、補助糸に被覆さ
れたポリマーで強化繊維糸と補助糸が接着していること
を特徴とする強化繊維織物、およびそれらの製造方法。
Description
ック(FPR)を形成するのに用いる強化繊維織物に関
する。
的特性の発現性の点から、織糸のクリンプの小さい、織
糸同士の拘束の緩い織物構造となっているため、成形の
際、含浸ローラによって簡単に織物の組織が崩れ、すな
わち目ずれして機械的特性が低下する。また織物を裁断
すると織物の織糸がほつれ、成形しずらいなどの問題が
ある。その対策として強化繊維糸とポリマー糸を引き揃
えたり、または強化繊維糸にポリマー糸をカバーリング
して織物中にポリマー糸を挿入したのち、ヒータでポリ
マー糸を加熱、溶融したて糸とよこ糸を接着する方法が
提案されている。
の挿入箇所などによって下記のようになり、均一な目ど
めを行うことは困難であり、一方、完全な目止めを行う
には多量のポリマーを使用することが必要となり、FR
Pの機械的特性が低下するという問題や、強化繊維糸の
拡がりが悪くなるという問題があった。
こ糸の幅方向端部に位置する箇所に挿入されていると、
ヒータでポリマー糸を加熱・溶融する際、ポリマー糸が
溶融切断されようとする箇所からポリマー糸が収縮し曲
ってポリマーの付着位置が定まらず、たて糸とよこ糸が
接着されない現象が多発する。
糸が位置している場合、ポリマー糸が加熱・溶融する
際、収縮して熱応力で大きな引張り張力が発生し強化繊
維の中に入り込んでしまう。したがって、たて糸とよこ
糸の交錯部にポリマーが存在しないことになりたて糸と
よこ糸を接着することが出来なくなる。
て、とくによこ方向に挿入すると、ポリマー糸を加熱・
溶融する際、ポリマー糸が収縮して強化繊維がこれによ
って僅かではあるが曲がり、ポリマーの位置と強化繊維
の位置がずれ、目どめされない。
グして織物中に挿入する方法は、カバーリングにより強
化繊維糸が集束された状態で織り組織することになるか
ら、ポリマー糸が溶融した後でも、強化繊維糸が拡がら
ず、繊維分散の悪い織物となる。
の技術における上述した問題点を解決し、繊維分散が均
一で、目どめが均一でFRPにしたときの機械的特性に
優れる強化繊維織物を提供することにある。また、本発
明の他の目的は、その製造方法を提供することにある。
に、本発明の強化繊維織物は、強化繊維糸をたて糸およ
びよこ糸とする織物であって、たて糸および/またはよ
こ糸に並行する低熱収縮性の補助糸にポリマーが被覆さ
れ、このポリマーによってたて糸とよこ糸が接着してい
ることを特徴とするものからなる。
繊維糸をたて糸またはよこ糸とし、よこ糸またはたて糸
として低熱収縮性の補助糸を用いた一方向性の織物であ
って、補助糸に被覆されたポリマーで強化繊維糸と補助
糸が接着していることを特徴とするものからなる。
法は、ポリマーによって被覆された補助糸を強化繊維糸
のたて糸および/またはよこ糸と引き揃えて織り込んだ
後、ポリマーの融点以上に加熱してポリマーを溶融し、
たて糸とよこ糸をポリマーによって接着することを特徴
とする方法からなる。
方法は、低融点ポリマーが鞘で高融点ポリマーが芯であ
る芯鞘型の補助糸を強化繊維糸のたて糸および/または
よこ糸と引き揃えて織り込んだ後、低融点ポリマーの融
点以上に高融点ポリマーの融点以下に加熱して低融点ポ
リマーを溶融し、たて糸とよこ糸を低融点ポリマーによ
って接着することを特徴とする方法からなる。
形態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明に
係る強化繊維織物1の一実施例を示している。強化繊維
糸からなるたて糸2およびよこ糸3の2方向の糸のほぼ
中央部に、ポリマーからなる目どめ剤4が被覆された補
助糸5、6がたて糸2およびよこ糸3に並行し、たて糸
2とよこ糸3がその交錯部において目どめ剤で接着して
いる。
糸をたて糸またはよこ糸とし、よこ糸またはたて糸に補
助糸を用いた一方向性の織物であって、低熱収縮性の補
助糸に被覆しているポリマーで強化繊維糸と補助糸が接
着している強化繊維織物であってもよい。
糸幅が3〜20mmの範囲にあり、糸幅/糸厚み比が2
0以上の無撚の扁平な強化繊維糸からなり、糸幅全体が
ポリマーで接着、拘束されている強化繊維織物であって
もよい。
糸で薄い織物となり、たて糸とよこ糸による交錯点数が
少なくて、クリンプの小さな織物となるから、FRPに
した場合の機械的な特性には優れるが、一方織り組織に
よる拘束が甘く、糸幅が広いので、裁断の箇所によって
は、織糸全体がほつれたり、裁断された位置によっては
糸幅の途中から、たとえば半幅がほつれてしまう。ま
た、湿式プリプレグ加工の際、織目の小さな織物であっ
ても、溶剤で樹脂を希釈した溶液が乾燥する際、表面張
力によって織糸の扁平状態が潰れ、目空き状態となり、
補強繊維の分散状態が不均一となり好ましくない。
助糸に付着したポリマーで接着、拘束されているから、
裁断の際のほつれが無くなり、また湿式プリプレグ加工
で織糸の扁平状態が潰れるようなことはなく、補強繊維
が均一に分散し、FRPにしたときの性能に優れるプリ
プレグが得られる。
第5.4項に準じ、マイクロメータを用いて、そのスピ
ンドルを静かに回転させて、測定面が試料面に平行に軽
く接触し、ラチェットが3回音を立てたときの目盛りを
読み、N=10の平均値を糸の厚みとする。
繊維、ポリアラミド繊維、炭素繊維などの高強度・高弾
性率の強化繊維であり、なかでも、引張弾性率が200
GPa以上、引張強度が4,500MPa以上の炭素繊
維は高強度・高弾性率であるのみならず、耐衝撃性にも
優れ、また、樹脂がフェノール樹脂であると、炭素繊維
は燃焼しないので耐火性にも優れる。また、強化繊維糸
の太さとしては、とくに制限はないが、500デニール
から20,000デニールの範囲が好ましい。
ポリマーが被覆されている形態である。このような織物
は、補助糸にポリマーからなる繊維糸をカバーリング手
段によって巻回し、たとえば、強化繊維糸のたて糸やよ
こ糸と引き揃えて使用して織物を作製した後、ポリマー
糸の融点以上で補助糸の融点以下に加熱・溶融すること
によって、補助糸にポリマーが被覆された目どめ織物を
製造できる。
と接着するから、従来技術のようにポリマー糸がヒータ
でポリマー糸を加熱・溶融する際、ポリマー糸が溶融切
断箇所からポリマー糸が収縮し曲がってポリマーの付着
位置が定まらないという現象は発生せず、たて糸とよこ
糸は補助糸が位置する所定の箇所で接着される。
化繊維はほとんど熱収縮しないので、補助糸が熱収縮す
ると強化繊維糸が局部的に曲り、FRPにしたとき引張
強度や引張弾性率が低下するので、補助糸は低熱収縮性
のものであることが必要である。望ましくは、100℃
における乾熱収縮率が1.0%以下のもので、好ましく
は0.1%以下のものである。このような補助糸として
はガラス繊維糸やポリアラミド繊維糸などが好ましく、
補助糸の繊度は100デニール以上800デニール以下
と細い糸が好ましい。
%であってもよいが(つまり完全に被覆してもよい
が)、30〜70%程度にすると補助糸の繊維間にFR
Pのマトリックス樹脂が含浸されて、補助糸も樹脂で補
強されるので好ましい。
100〜160℃程度の共重合ナイロンであることが好
ましい。FRPにしたとき、共重合ナイロン、ナイロン
6と12の共重合ナイロン、ナイロン6、ナイロン66
および610の共重合ナイロン、ナイロン6、ナイロン
12、66および610の共重合ナイロンは、樹脂の接
着性がよいので好ましく、また融点が低いので目どめし
た織物の製造も容易である。なお、共重合ナイロンの融
点および溶剤による溶解性は、前記各種ナイロンポリマ
ーの組み合わせや混合割合により、共重合の際のナイロ
ンポリマーの結晶性の乱れの程度によって決まり、共重
合ナイロンの種類によってはメタノールなどのアルコー
ルに可溶なものと、非可溶なものとなる。
なる低融点ポリエステルであってもよい。なお、共重合
ポリエステルとは、アジピン酸、セバチン酸などの脂肪
族ジカルボン酸類、フタル酸、イソフタル酸、ナフタリ
ンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類および/ま
たはヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタ
ル酸などの脂環族ジカルボン酸類と、ジエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、パラキシレングリコール
などの脂肪族や脂環族ジオール類とを所定量含有し、所
望に応じてパラヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類を
添加した共重合エステルであり、たとえばテレフタル酸
とエチレングリコールに、イソフタル酸および1,6−
ヘキサンジオールなどを添加共重合させたポリエステル
などがある。
低融点ポリエステルが好ましいが、上記以外にもポリエ
チレンやポリプロピレンなどの低融点ポリマーを使用す
ることができる。特に湿式プリプレグ加工の際の溶剤の
種類によって、アルコールに可溶なものを使用するか非
可溶なものにするかは、適宜選択することができる。
マーが鞘で目どめ剤となり、より融点の高いポリマーが
芯となって補助糸として役割を担う、いわゆる芯鞘型の
マルチフィラメント糸やモノフィラメント糸を、強化繊
維糸のたて糸やよこ糸と引き揃えて使用して織物を作製
した後、鞘の低融点ポリマーの融点以上で高融点の補助
糸としての芯の融点以下に加熱して鞘の低融点ポリマー
を溶融することによって、補助糸の回りの低融点ポリマ
ーが溶融し、たて糸とよこ糸が接着した目どめ織物を製
造できる。
ステル、ポリエチレンやポリプロピレンなどの低融点ポ
リマーを使用することができる。たとえば鞘が160℃
〜200℃程度の融点を有する低融点ポリエステルポリ
マーで芯が260℃程度の融点を有するポリエステルポ
リマーや、鞘が90℃〜150℃程度の融点を有するポ
リエチレンポリマーで芯が160℃〜175℃程度の融
点を有するポリプロピレンポリマーなどの芯鞘型のマル
チフィラメント糸やモノフィラメント糸とすることがで
きる。
収縮率が大きいので、低融点ポリマーを加熱して溶融さ
せる際、芯のポリマー糸が溶融せず繊維状に残って収縮
するので、織物幅が狭くなり、織糸が蛇行するという問
題が発生する。したがって、あらかじめ熱処理などで低
収縮化し、100℃における乾熱収縮率が1.0%以下
のもの、好ましくは0.1%以下にしたものを使うとよ
い。
に、低融点ポリマーを補助糸に巻回したカバーリング糸
を目どめ糸として位置させているから、加熱・溶融する
際、低融点ポリマー糸の収縮力は補助糸を締める方向に
は働くが、補助糸の長さ方向に働くことはないので強化
繊維の中に入り込んでしまうことはない。
糸の被覆糸として供給されるから、強化繊維糸と引き揃
えてよこ方向に挿入しても、ポリマー糸の収縮の方向は
補助糸を締める方向に働き、長さ方向には収縮しないの
で、加熱・溶融する際、ポリマー糸が収縮して強化繊維
糸が曲がるようなことはなく、すなわちポリマーと強化
繊維の位置がずれるようなことはなく、目どめが完全に
なる。
糸をカバーリングして織物中に挿入する必要はなく、ポ
リマー成分を強化繊維糸と引き揃えて挿入することがで
きるから、強化繊維糸の広がりが疎外されることはな
く、扁平状の強化繊維糸はそのままの状態で織物とする
ことができ、繊維分散のよい、性能に優れた織物とな
る。
ずしもたて糸とよこ糸の2方向である必要はなく、織糸
の太さや織密度などによる織物組織による織糸の拘束度
合いにもよるが、少なくともよこ糸に付着していると、
たて糸幅全体が目どめ剤で拘束されていることになるか
ら、縦型乾燥炉による湿式プリプレグ加工のときなどに
発生する、織物のたて糸方向に張力が働くことによる織
物構造の変化、すなわちクリンプ・インタージェンジに
よるたて糸幅の細幅化を防ぐことが出来る。
ことは必ずしも必要ではない。よこ糸糸幅の中心に対し
て左右にずれ、たとえば強化繊維糸のたて糸とたて糸と
の間やよこ糸とよこ糸の間に位置していてもよい。ま
た、たて糸とよこ糸をその交錯部で接着していると、交
錯点が接着し織物の形態は安定するが、その必要は必ず
しもなく、たて糸とたて糸との間やよこ糸とよこ糸の間
に位置し、たて糸とよこ糸を目どめ剤で接着させなくて
もよい。目どめ剤は扁平なたて糸やよこ糸の幅全体に線
状に配置していると、表面張力、熱風の通過やクリンプ
・インタージェンジによる糸幅の細幅化を防ぐことが出
来るのである。
ックス樹脂を形成するものではなく、使用する樹脂の種
類によっては、全く異質なものとなってしまうので、使
用量は極力少ない方がよく、0.5〜15g/m2 の範
囲が好ましい。0.5g/m2 未満であると扁平な織糸
の幅方向の拘束が弱くなり、湿式プリプレグ加工の際、
織糸の細幅化を防ぐことが出来ない。また、15g/m
2 を超えるとFRPの機械的特性を低下させることがあ
る。0.5〜15g/m2 の範囲であれば、織糸の細幅
化を防ぐことが出来るし、FRPの機械的特性もさほど
低下させることはない。
細幅化を防ぐことから、線状に配置する1本あたりのポ
リマーの量が重要となる。目どめ剤としてのポリマー量
は、強化繊維糸条に対して0.2重量%〜2重量%の範
囲程度が好ましい。
織物およびその製造方法によれば、扁平な強化繊維糸に
対しても、均一な繊維分散を確保しつつ、かつ、裁断等
の際のほつれを発生させることなく、均一な所望の目ど
めを行うことができ、FRPにしたときの機械的特性に
優れる強化繊維織物を提供できる。
面図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 強化繊維糸をたて糸およびよこ糸とする
織物であって、たて糸および/またはよこ糸に並行する
低熱収縮性の補助糸にポリマーが被覆され、このポリマ
ーによってたて糸とよこ糸が接着していることを特徴と
する強化繊維織物。 - 【請求項2】 強化繊維糸をたて糸またはよこ糸とし、
よこ糸またはたて糸として低熱収縮性の補助糸を用いた
一方向性の織物であって、補助糸に被覆されたポリマー
で強化繊維糸と補助糸が接着していることを特徴とする
強化繊維織物。 - 【請求項3】 糸幅が3〜20mmの範囲にあり、糸幅
/糸厚み比が20以上の無撚の扁平な強化繊維糸を有
し、その幅全体がポリマーで拘束されている、請求項1
または2の強化繊維織物。 - 【請求項4】 ポリマーが補助糸の回りに螺旋状に被覆
されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の強化
繊維織物。 - 【請求項5】 ポリマーが補助糸を完全に覆っている、
請求項1ないし3のいずれかに記載の強化繊維織物。 - 【請求項6】 前記ポリマーが低融点ポリマーからな
り、補助糸が該低融点ポリマーよりも40℃以上高い融
点を有する高融点ポリマーからなる、請求項1ないし5
のいずれかに記載の強化繊維織物。 - 【請求項7】 ポリマーが共重合ナイロンからなり、補
助糸がガラス繊維からなる、請求項6の強化繊維織物。 - 【請求項8】 補助糸に被覆されるポリマーの量が0.
5〜15g/m2 の範囲にある、請求項1ないし7のい
ずれかに記載の強化繊維織物。 - 【請求項9】 前記強化繊維糸が炭素繊維糸である、請
求項1ないし8のいずれかに記載の強化繊維織物。 - 【請求項10】 ポリマーによって被覆された補助糸を
強化繊維糸のたて糸および/またはよこ糸と引き揃えて
織り込んだ後、ポリマーの融点以上に加熱してポリマー
を溶融し、たて糸とよこ糸をポリマーによって接着する
ことを特徴とする、強化繊維織物の製造方法。 - 【請求項11】 低融点ポリマーが鞘で高融点ポリマー
が芯である芯鞘型の補助糸を強化繊維糸のたて糸および
/またはよこ糸と引き揃えて織り込んだ後、低融点ポリ
マーの融点以上に高融点ポリマーの融点以下に加熱して
低融点ポリマーを溶融し、たて糸とよこ糸を低融点ポリ
マーによって接着することを特徴とする、強化繊維織物
の製造方法。 - 【請求項12】 糸幅が3〜20mmの範囲にあり、糸
幅/糸厚み比が20以上の無撚の扁平な強化繊維糸を用
いて織物を織成し、該強化繊維糸の糸幅全体を補助糸に
被覆したポリマーで拘束する、請求項10または11の
強化繊維織物の製造方法。
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JP13933797A JP3862106B2 (ja) | 1997-05-13 | 1997-05-13 | 強化繊維織物およびその製造方法 |
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