JPS6127498B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、繊維強化樹脂（FRP）の成形に
際して樹脂を強化するのに使用する繊維材料に関
する。

従来の技術 FRPの成形に際して樹脂を強化するのに使用
する繊維材料のひとつに、強化用繊維の織物があ
る。しかして、そのような織物は、所望の厚みの
FRPを得ることができるように、複数枚を積層
して用いるのが普通である。しかしながら、何枚
もの織物を、その経糸または緯糸が所望の方向を
向くように１枚づつ積層してゆく作業は大変やつ
かいであり、能率が悪い。また、FRPは、その
特性が強化用繊維の方向に大きく左右される、い
わゆる異方性の大きな材料であるから、積層の際
の経糸または緯糸の方向のばらつきがFRPの特
性のばらつきを生む。さらに、織物の層間は樹脂
のみであり、強化用繊維は存在しないから、積層
方向におけるFRPの強度、とりわけ引張強度
は、せいぜい樹脂の強度どまりである。また、層
間剪断強度も低い。さらにまた、織物はその経糸
および緯糸が大きく屈曲しながら交錯しているの
で、加わつた応力がその屈曲部に集中することに
なり、FRPは、経糸および緯糸を構成している
強化用繊維の特性を十分に利用しきれないまま屈
曲部から破壊してしまう。

発明が解決しようとする問題点 この発明の目的は、従来の材料の上記欠点を解
決し、成形時の作業能率がよく、また高い特性を
発現できるばかりか特性のばらつきが少ない
FRPを得ることができる樹脂強化用繊維材料を
提供するにある。

問題点を解決するための手段 上記目的を達成するためのこの発明は、樹脂の
強化に使用する繊維材料であつて、その繊維材料
は、 (イ) 実質的に屈曲を有しない真直ぐな炭素繊維か
らなり、かつその炭素繊維を互いに交差する２
方向にそれぞれ互いに平行かつシート状に引き
揃えてなる複数の糸条群を有し、 平行かつシート状に引き揃えられた、実質的に
屈曲を有しない真直ぐな炭素繊維からなる複数
の糸条群を有し、 (ロ) 複数の前記糸条群は層状に配置され、 (ハ) 前記各糸条群の炭素繊維は、その炭素繊維と
互いに交錯している複数の補助繊維によつて一
体に保持されており、 (ニ) 複数の前記糸条群は、互いに対向する一方の
糸条群の補助繊維と他方の糸条群の補助繊維と
が交錯することによつて一体に保持されてお
り、 (ホ) 前記補助繊維はガラス繊維またはポリアラミ
ド繊維である、 樹脂強化用繊維材料を特徴とするものである。も
つとも、この発明においては、複数の糸条群の一
体保持が、互いに対向する一方の糸条群の補助繊
維と、他方の糸条群の炭素繊維とが交錯すること
によつて行われてもよいものである。

実施例 この発明をその一実施例に基いてさらに詳細に
説明するに、第１図において、材料は、層状に配
置された、全く同一の構成をもつ２つの糸条群
１，２を有している。

すなわち、糸条群１は、一方向に互いに平行か
つシート状に引き揃えられた、実質的に屈曲を有
しない真直ぐな炭素繊維（マルチフイラメントま
たはモノフイラメント）３と、同様に、一方向に
互いに平行かつシート状に引き揃えられた、実質
的に屈曲を有しない真直ぐな炭素繊維（マルチフ
イラメントまたはモノフイラメント）４とを有
し、かつそれらの炭素繊維３，４を互いに直交す
るように配置し、さらにガラス繊維またはポリア
ラミド繊維からなる補助繊維（マルチフイラメン
トまたはモノフイラメント）５，６によつて一体
に保持してなる。補助繊維６は、炭素繊維３に対
して、炭素繊維４の反対側で、かつ相隣り合う炭
素繊維４の中間位置に配置され、この補助繊維６
と炭素繊維４に対して、相隣り合う炭素繊維３の
中間位置に配置された補助繊維５が交錯してい
る。糸条群２も、上記糸条群１と全く同様に、炭
素繊維７，８と、それら炭素繊維７，８を一体に
保持している。ガラス繊維またはポリアラミド繊
維からなる補助繊維９，１０から構成されてい
る。

上述した２つの糸条群１，２は、糸条群１の一
部の屈曲した補助繊維５と、糸条群２の一部の真
直ぐな補助繊維１０とが互いに交錯することによ
つて一体に保持されている。もつとも、かかる一
体保持は、糸条群１のすべての補助繊維５と、糸
条群２の一部またはすべての補助繊維１０とを互
いに交錯させることによつても行うことができ
る。

第２図に示すものは、糸条群１の一部の補助繊
維５と、糸条群２の一部の炭素繊維８とを交錯さ
せたものである。このように、糸条群の一体保持
は、互いに対向する一方の糸条群の一部の補助繊
維と、他方の糸条群の一部の炭素繊維とを交錯さ
せることによつて行うことができる。もつとも、
一体保持は、糸条群１のすべての補助繊維５を糸
条群２の一部またはすべての炭素繊維８と交錯さ
せることによつて行うこともできる。

上述した２つの実施例において、糸条群の数、
つまり層数は、２つの限らず、同様にして３層以
上することができる。

発明の効果 この発明は、層状に配置した複数の糸条群を補
助繊維によつて一体に保持しているからして、織
物を使用するときのように糸条群を１つづつ順次
積層するといつた作業を、全く行なわなくてもよ
いか、行うとしてもその回数を大幅に減らすこと
ができ、作業能率を大きく向上させることができ
るばかりか、積層の仕方によるFRPの特性のば
らつきを防止することができる。

また、各糸条群を構成している炭素繊維は実質
的に真直ぐであり、通常の織物のように、経糸と
緯糸とが互いに交錯することによる屈曲を有して
いない、つまり応力が集中するような屈曲を有し
ていないので、炭素繊維がもつ特性を余すところ
なく発現させることができ、それ自体高強度、高
弾性であることと相まつて、強度や弾性率などの
諸特性の優れたFRPを得ることができる。

さらに、各糸条群に使用している炭素繊維は熱
的安定性が極めて高く、相当高い熱が加わつても
収縮しないが、そのような炭素繊維に対して、補
助繊維として、FRPを成形する際に加わる程度
の熱では全く収縮しないガラス繊維またはポリア
ラミド繊維を使用しているから、成形時の熱で補
助繊維が収縮して炭素繊維を屈曲させたり、その
配列を乱すことなく、この面からも特性の優れた
FRPを得ることができる。

さらにまた、補助繊維として、炭素繊維にくら
べて破断伸度が十分に大きいガラス繊維またはポ
リアラミド繊維を使用しているので、大きく屈曲
している補助繊維のその屈曲部に応力が集中して
も、それが炭素繊維よりも先に破断するようなこ
とがなく、補助繊維の屈曲部がまず破壊してその
部分から材料の破壊が進行するのを防止すること
ができる。

また、補助繊維は、全体としてみると材料の厚
み方向に延びていて、その方向における樹脂の強
化効果が期待できるので、補助繊維が高強度、高
弾性繊維であるガラス繊維またはポリアラミド繊
維であることと相まつて、FRPの強度、特に厚
み方向の引張強度や、層間剪断強度を大きく向上
させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は、この発明のそれぞれ異
なる実施例の材料を示す概略側面図である。 １：糸条群、２：糸条群、３：炭素繊維、４：
炭素繊維、５：補助繊維、６：補助繊維、７：炭
素繊維、８：炭素繊維、９：補助繊維、１０：補
助繊維。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 樹脂の強化に使用する繊維材料であつて、そ
   の繊維材料は、 (イ) 実質的に屈曲を有しない真直ぐな炭素繊維か
   らなり、かつその炭素繊維を互いに交差する２
   方向にそれぞれ互いに平行かつシート状に引き
   揃えてなる複数の糸条群を有し、 (ロ) 複数の前記糸条群は層状に配置され、 (ハ) 前記各糸条群の炭素繊維は、その炭素繊維と
   互いに交錯している複数の補助繊維によつて一
   体に保持されており、 (ニ) 複数の前記糸条群は、互いに対向する一方の
   糸条群の補助繊維と他方の糸条群の補助繊維と
   が交錯することによつて一体に保持されてお
   り、 (ホ) 前記補助繊維はガラス繊維またはポリアラミ
   ド繊維である。 ことを特徴とする樹脂強化用繊維材料。 ２ 樹脂の強化に使用する繊維材料であつて、そ
   の繊維材料は、 (イ) 実質的に屈曲を有しない真直ぐな炭素繊維か
   らなり、かつその炭素繊維を互いに交差する２
   方向にそれぞれ互いに平行かつシート状に引き
   揃えてなる複数の糸条群を有し、 (ロ) 複数の前記糸条群は層状に配置され、 (ハ) 前記各糸条群の炭素繊維は、その炭素繊維と
   互いに交錯している複数の補助繊維によつて一
   体に保持されており、 (ニ) 複数の前記糸条群は、互いに対向する一方の
   糸条群の補助繊維と他方の糸条群の補助繊維と
   が交錯することによつて一体に保持されてお
   り、 (ホ) 前記補助繊維はガラス繊維またはポリアラミ
   ド繊維である。 ことを特徴とする樹脂強化用繊維材料。