JPH10317188A - 亜鉛系メッキ鋼板 - Google Patents

亜鉛系メッキ鋼板

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JPH10317188A
JPH10317188A JP13105297A JP13105297A JPH10317188A JP H10317188 A JPH10317188 A JP H10317188A JP 13105297 A JP13105297 A JP 13105297A JP 13105297 A JP13105297 A JP 13105297A JP H10317188 A JPH10317188 A JP H10317188A
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隆之 浦川
Satoru Hashimoto
哲 橋本
Shuji Nomura
修二 野村
Michitaka Sakurai
理孝 櫻井
Junichi Inagaki
淳一 稲垣
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 亜鉛系メッキ鋼板の表面に亜鉛系メッキ層よ
りも硬質、高融点で、且つ緻密で均一なリン酸塩結晶が
形成される皮膜を形成させる。 【解決手段】 Ni−Zn−O系皮膜であって、皮膜の
付着量が当該皮膜中のNiとZnとの合計量換算で10
〜2000mg/m2 、皮膜中のNi含有量(wt.%)と
Zn含有量(wt.%)との和に対するZn含有量(wt.%)
の比率が0.005〜0.6、且つ、皮膜の酸素含有量
が1〜40at.%であるものを形成させる。 【効果】 プレス成形性、スポット溶接性及び化成処理
性に優れた亜鉛系メッキ鋼板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、亜鉛系メッキ鋼
板の改良に関するものであり、特に、プレス成形性、ス
ポット溶接性および化成処理性に優れた亜鉛系メッキ鋼
板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系メッキ鋼板は種々の優れた特徴を
有するために、各種の防錆鋼板として広く使用されてい
る。この亜鉛系メッキ鋼板を自動車用防錆鋼板として使
用するためには、耐食性、塗装適合性等のほかに、車体
製造工程において要求される性能として、プレス成形
性、スポット溶接性および化成処理性に優れていること
が重要である。
【0003】しかし、亜鉛系メッキ鋼板は、一般に冷延
鋼板に比べてプレス成形性が劣るという欠点を有する。
これは亜鉛系メッキ鋼板とプレス金型との摺動抵抗が、
冷延鋼板の場合に比較して大きいことが原因である。即
ち、この摺動抵抗が大きいので、ビードと亜鉛系メッキ
鋼板との摺動抵抗が著しく大きい部分で、亜鉛系メッキ
鋼板がプレス金型に流入しにくくなり、鋼板の破断が起
こり易くなる。
【0004】亜鉛系メッキ鋼板のプレス成形性を向上さ
せる方法としては、一般に高粘度の潤滑油を塗布する方
法が広く用いられている。しかしこの方法では、潤滑油
の高粘性のために、塗装工程で脱脂不良による塗装欠陥
が発生したり、またプレス時の油切れにより、プレス性
能が不安定になる等の問題がある。従って、亜鉛系メッ
キ鋼板のプレス成形性が改善されることが強く要請され
ている。
【0005】一方、亜鉛系メッキ鋼板は、スポット溶接
時に電極である銅が溶融した亜鉛と反応して脆い合金層
を形成しやすいために、銅電極の損耗が激しく、その寿
命が短く、冷延鋼板に比べて連続打点性が劣るという問
題がある。
【0006】上述した問題を解決する方法として、特開
昭53-60332号公報および特開平2-190483号公報は、亜鉛
系メッキ鋼板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布酸化処
理、または加熱処理を施すことにより、ZnOを主体と
する酸化膜を形成させて溶接性、または加工性を向上さ
せる技術(以下、「先行技術1」という)を開示してい
る。
【0007】特開平3-249182号公報は、亜鉛系メッキ鋼
板表面にMn酸化物、リン酸およびその他酸化物からな
るMn系酸化物皮膜を被覆したプレス成形性及び化成処
理性を向上させる技術(以下、「先行技術2」という)
を開示している。
【0008】特開平3-191093号公報は、亜鉛系メッキ鋼
板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布処理、塗布酸化処
理または加熱処理により、Ni酸化物を生成させること
によりプレス成形性および化成処理性を向上させる技術
(以下、「先行技術3」という)を開示している。
【0009】特開平3-17282 号公報は、Fe、Ni及び
Coから選ばれた1種又は2種以上の金属を亜鉛系メッ
キ鋼板の表面に置換析出させる方法、特開昭58-67785号
公報は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に、例えば、電気メッ
キ又は化学メッキにより、Ni及びFe等の金属を生成
させて耐食性を向上させる技術(以下、「先行技術4」
という)を開示している。
【0010】特公昭58-15554号公報は、Znが40wt.%
以下からなるFe−Zn系連続被覆表面層、あるいはこ
の系に少量のNi等を含む表面層を設けることにより、
カチオン電着塗装性を向上させる技術(以下、「先行技
術5」という)を開示している。
【0011】特開昭61-207597 号公開公報は、合金化亜
鉛メッキ鋼板の上層としてNi:30wt.%以下を含有す
る電気Zn−Ni合金メッキ層を形成することにより、
加工性を向上させる技術(以下、「先行技術6」とい
う)を開示している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た先行技術には下記の問題がある。先行技術1は、上述
した各種処理により、メッキ層表面にZnOを主体とす
る酸化物を生成させる方法であるため、プレス金型とメ
ッキ鋼板との摺動抵抗の低減効果は少なく、プレス成形
性の改善効果は少ない。
【0013】先行技術2は、Mn酸化物およびP酸化物
を亜鉛系メッキ鋼板の表面に形成する方法であるため、
プレス成形性および化成処理性の改善効果は大きいが、
スポット溶接性は劣化するという問題を有する。先行技
術3は、Ni酸化物単相の皮膜を生成させる方法である
ため、耐食性は向上するが、一方、接着性が低下すると
いう問題がある。先行技術4〜6は、Fe、Zn及びN
i等の金属のみを形成させる方法であるため、皮膜の金
属的性質が強いためプレス成形性の改善効果が十分では
ない。
【0014】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決して、プレス成形性、スポット溶接性及び化成処
理性に優れた亜鉛系メッキ鋼板を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、亜鉛系メッ
キ鋼板のメッキ層の表面に、Ni−Zn−O系の適正な
皮膜を形成することによりプレス成形性、スポット溶接
性および化成処理性を改善できることを見出した。
【0016】即ち、従来の亜鉛系メッキ鋼板は、プレス
成形性において、冷延鋼板に比較して劣る。それは、亜
鉛系メッキ鋼板とプレス金型との摺動抵抗が大きいから
である。その原因は、高面圧下において、低融点の亜鉛
と金型が凝着現象を起こすためである。これを防ぐため
には、亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に、亜鉛また
は亜鉛合金メッキ層より硬質で、且つ高融点の皮膜を形
成することが有効である。この発明におけるNi−Zn
−O系皮膜は硬質かつ高融点であるから、亜鉛系メッキ
鋼板の表面に、Ni−Zn−O系皮膜を形成することに
より、プレス成形時におけるメッキ層表面とプレス金型
との摺動抵抗が低下し、亜鉛系メッキ鋼板がプレス金型
へ滑り込み易くなり、プレス成形性が向上する。
【0017】従来の亜鉛系メッキ鋼板は、スポット溶接
における連続打点性において、冷延鋼板に比較して劣
る。その原因は、溶接時に溶融した亜鉛が電極の銅に拡
散して脆弱な合金層を生成するために、合金層の剥離に
よる電極先端径の拡大を生じるためである。従って、亜
鉛系メッキ鋼板の連続打点性を改善する方法としては、
メッキ表面に、高融点の皮膜を形成し、メッキ金属と銅
電極との反応を抑制することが有効である。本発明者ら
は亜鉛系メッキ鋼板のスポット溶接性を改善するため
に、各種の皮膜について検討した結果、Ni−Zn−O
系皮膜が特に有効であることを見出した。これは、Ni
−Zn−O系皮膜が非常に高融点であるため、亜鉛と銅
電極との反応が抑制されることによるものと推定され
る。
【0018】亜鉛系メッキ鋼板の化成処理においてリン
酸塩結晶を形成させるためには、化成処理液中に亜鉛が
溶出し、溶液中で水素が発生することが必要である。ま
た、緻密で均一なリン酸塩結晶を形成させるためには、
リン酸塩結晶中にNiを含有させることが有効である。
従って、亜鉛系メッキ鋼板上にNi系の皮膜を形成させ
れば、亜鉛系メッキ鋼板の化成処理性を向上させること
ができる可能性がある。しかし、Niが亜鉛系メッキ鋼
板表面を覆ってしまうと、化成処理液中への金属の溶出
が抑制され、亜鉛系メッキ鋼板の化成処理性が劣化して
しまうことがわかった。
【0019】そこで、本発明者らが更に検討を進めた結
果、亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に、Znを適正
量含有するNi−Zn−O系の皮膜を形成することによ
り、緻密で均一なリン酸塩の結晶が形成されることが判
明した。
【0020】上述したように、亜鉛系メッキ鋼板の表面
に、少なくとも、Ni及びZnの金属、並びに、Ni及
びZnの酸化物を含む混合皮膜(この明細書において、
Ni−Zn−O系皮膜という)が適正に形成されている
ことにより、亜鉛系メッキ鋼板は、プレス成形性、スポ
ット溶接性及び化成処理性において優れたものが得られ
ることを知見した。
【0021】この発明は、上述した知見に基づいてなさ
れたものであって、この発明の亜鉛系メッキ鋼板は、少
なくとも1方の面のメッキ層表面に、Ni−Zn−O系
皮膜が形成された亜鉛系メッキ鋼板であって、上記Ni
−Zn−O系皮膜の付着量は、Ni−Zn−O系皮膜中
のNiとZnとの合計量換算で、10〜2000mg/
2 の範囲内にあり、更に、Ni−Zn−O系皮膜中の
Ni含有量(wt.%)とZn含有量(wt.%)との和に対す
るZn含有量(wt.%)の比率は、0.005〜0.6の
範囲内にあり、且つ、Ni−Zn−O系皮膜の酸素含有
量は、1〜40at.%の範囲内にあることに特徴を有する
ものである。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、この発明の亜鉛系メッキ鋼
板のメッキ層の表面に形成すべきNi−Zn−O系皮膜
の付着量及び成分組成を上述したように限定した理由を
説明する。
【0023】〔Ni−Zn−O系皮膜の付着量〕前述し
たように、Ni−Zn−O系皮膜の形成によりプレス成
形性、スポット溶接性および化成処理性が向上する。し
かしながら、Ni−Zn−O系皮膜の付着量は、Niと
Znとの合計量換算で10mg/m2 未満では、プレス
成形性、スポット溶接性及び化成処理性の向上効果が得
られない。一方、Ni−Zn−O系皮膜中のZnの効果
により化成処理性が改善されてはいるものの、その付着
量がNiとZnとの合計量換算で2000mg/m2
超えると、リン酸塩結晶の生成が抑制されて化成処理性
が劣化する。従って、Ni−Zn−O系皮膜の付着量
は、NiとZnとの合計量換算で10〜2000mg/
2 の範囲内にすべきである。
【0024】〔Ni−Zn−O系皮膜中のNi含有量
(wt.%)とZn含有量(wt.%)との和に対するZn含有
量(wt.%)の比率〕Ni−Zn−O系皮膜に適正量のZ
nが含有されることにより、化成処理性が向上する。し
かしながら、Ni−Zn−O系皮膜中のNi含有量(w
t.%)とZn含有量(wt.%)との和に対するZn含有量
(wt.%)の比率、Zn/(Ni+Zn)が0.005未
満では、化成処理性の向上効果が得られない。一方、Z
n/(Ni+Zn)が0.6を超えると、プレス成形性
及びスポット溶接性の改善効果が得られない。従って、
Ni−Zn−O系皮膜中のNi含有量(wt.%)とZn含
有量(wt.%)との和に対するZn含有量(wt.%)の比
率、Zn/(Ni+Zn)は、0.005〜0.6の範
囲内にすべきである。
【0025】〔Ni−Zn−O系皮膜の酸素含有量〕N
i−Zn−O系皮膜に適正量の酸素が含有されることに
より、プレス成形性が向上する。しかしながら、Ni−
Zn−O系皮膜中の酸素含有量が1at.%未満では、皮膜
の金属的性質が強くなるためプレス成形性の改善効果が
発揮されない。一方、その酸素含有量が40at.%を超え
ると、酸化物の量が多くなりすぎ、皮膜の電気抵抗が増
加するため、スポット溶接性が劣化する。また、リン酸
塩結晶の生成が抑制されて、化成処理性が劣化する。従
って、Ni−Zn−O系皮膜の酸素含有量は、1〜40
at.%の範囲内にすべきである。
【0026】なお、Ni−Zn−O系皮膜には、下層の
メッキ皮膜中に含まれるFe、Co、Mn、Mo、Al、Ti、Sn、
W 、Si、Pb、NbおよびTa等の元素が取り込まれた酸化
物、水酸化物または金属単体が含まれていても、上述し
た効果は奏される。
【0027】本発明において用いられる亜鉛系メッキ鋼
板とは、母材である鋼板上に溶融メッキ法、電気メッキ
法、気相メッキ法等の方法の1種以上の方法でメッキ層
を形成させた鋼板である。
【0028】亜鉛系メッキ層の化学成分組成は、純亜鉛
のほか、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、Al、Mo、Ti、Si、W 、S
n、Pb、NbおよびTa等の金属もしくは酸化物、水酸化
物、又は、有機物等の内、一種または二種以上を所定量
含有する単層または複層のメッキ層からなるものであれ
ばよい。また、前記メッキ層にSiO2 及びAl2 3
等の微粒子を含有してもよい。その他、亜鉛系メッキ鋼
板として、メッキ層の成分元素は同じであって組成の異
なる複数の層からなる複層メッキ鋼板や、メッキ層の構
成元素は同じであってメッキ層の厚さ方向に組成を連続
的に変化させた機能傾斜メッキ鋼板を使用することも可
能である。
【0029】また、本発明における、上層としてのNi
−Zn−O系皮膜は、その形成方法により特に限定され
るものではなく、置換メッキ、酸化剤含有の水溶液への
浸漬による方法、酸化剤含有の水溶液中での陰極または
陽極電解処理、所定の水溶液の吹き付け、ロール塗布法
等、レーザーCVD、光CVD、真空蒸着並びにスパッ
タ蒸着法等の気相メッキ法を採用することができる。
【0030】なお、この発明品は、Ni−Zn−O系皮
膜を必要に応じ、亜鉛系メッキ鋼板の一方の面のみに形
成したものでも、また、両面に形成したものでもよい。
【0031】
【実施例】次に、この発明を実施例により更に詳細に説
明する。本発明の範囲内の亜鉛系メッキ鋼板である実施
例、及び本発明の範囲外の亜鉛系メッキ鋼板である比較
例を、次に述べる方法で調製した。
【0032】先ず、Ni−Zn−O系皮膜を形成する前
の亜鉛系メッキ鋼板(以下、「原板」という)を調製し
た。調製された原板は、下記の3つのメッキ種からな
り、順にGA、GI及びEGの記号を付した。なお、メ
ッキ前の鋼板板厚は、何れも0.8mmである。
【0033】GA:10wt.%Fe、残部Znの合金化溶
融亜鉛メッキ層が形成され、その付着量は両面共に60
g/m2 である。 GI:溶融亜鉛メッキ層が形成され、その付着量は両面
共に90g/m2 である。
【0034】EG:電気亜鉛メッキ層が形成され、その
付着量は両面共に40g/m2 である。 このようにして調製された原板のメッキ層表面に、Ni
−Zn−O系皮膜を次の3種類の形成方法の何れかによ
り形成した。
【0035】「形成方法A」酸化剤を含有させた硫酸ニ
ッケルおよび硫酸亜鉛の混合溶液中で、原板を陰極電解
処理することにより、原板の表面に所定のNi−Zn−
O系皮膜を形成させた。ここで、硫酸ニッケル濃度は1
00g/lで一定とし、硫酸亜鉛濃度を種々の所定値に
変化させ、また、pHは2.5で一定、浴温は50℃で
一定、酸化剤として過酸化水素水を用い、その濃度を種
々の所定値に変化させて皮膜の酸素含有量を調整した。 「形成方法B」塩化ニッケル濃度120g/l、種々の
所定濃度の塩化亜鉛を含有する水溶液を原板に噴霧し、
空気とオゾンとの混合雰囲気中でNi−Zn−O系皮膜
の酸素含有量を調整しながら乾燥することにより、原板
の表面に所定のNi−Zn−O系皮膜を形成させた。 「形成方法C」塩化ニッケル濃度120g/l、種々の
所定濃度の塩化亜鉛を含有し、pH=2.5〜3.5、
浴温が50℃の水溶液中に原板を浸漬処理した。浸漬時
間の調整により、Ni−Zn−O系皮膜のNi含有量お
よび亜鉛含有量を種々の所定値に変化させた。また、p
Hの調整により、Ni−Zn−O系皮膜の酸素含有量を
1々の所定値に変化させた。また、酸素含有量を調整す
るために、適宜水溶液中に所定の酸化剤を添加し、そし
て、所定の酸化雰囲気中で加熱処理する等の方法で、原
板の表面に所定のNi−Zn−O系皮膜を形成させた。
【0036】上述した形成方法により所定のNi−Zn
−O系皮膜を、所定の原板の表面に形成させることによ
り、実施例及び比較例の供試体を得た。次いで、各供試
体のNi−Zn−O系皮膜について、下記測定を行なっ
た。
【0037】〔皮膜中のNi含有量(wt.%)、Znの含
有量(wt.%)の測定〕下層のメッキ層中にはNi−Zn
−O系皮膜の成分元素の内のZnを含むので、ICP法
では、上層のNi−Zn−O系皮膜の成分元素と下層の
メッキ層中の成分元素とを完全に分離することは困難で
ある。そこで、ICP法により、下層のメッキ層中に含
まれていないNiのみを定量分析した。更に、Arイオ
ンスパッタした後、AES法によりNi−Zn−O系皮
膜中各元素の測定を表面から繰り返すことによって、N
i−Zn−O系皮膜の深さ方向に対する各元素の組成分
布を測定した。この測定方法においては、Ni濃度がN
i−Zn−O系皮膜中でNi最大濃度の半分となる深さ
と、表面との間隔を、Ni−Zn−O系皮膜の厚さとし
た。そして、ICP法の結果とXPS法の結果とから、
Ni−Zn−O系皮膜のNi含有量(wt.%)、及びNi
含有量(wt.%)に対するZn含有量(wt.%)の比率、Z
n/Niを算定した。次いで、皮膜中のNi含有量とZ
n含有量との合計値、Ni+Zn(wt.%)、及びNi含
有量(wt.%)とZn含有量(wt.%)との和に対するZn
含有量(wt.%)の比率、Zn/(Ni+Zn)を算定し
た。上記測定結果Ni+Zn(wt.%)の値を用いて、N
i−Zn−O系皮膜の付着量を、NiとZnとの合計量
換算値:Ni+Zn(mg/m2 )として求めた。
【0038】〔皮膜の酸素含有量の測定〕Ni−Zn−
O系皮膜の酸素含有量(at.%)は、オージェ電子分光法
(AES)の深さ方向分析結果から求めた。
【0039】こうして得られた本発明の範囲内の実施例
1〜24、及び比較例1〜11のNi−Zn−O系皮膜
の分析結果を表1〜3に示す。同表には、Ni−Zn−
O系皮膜の付着量のNi+Zn合計量換算値(mg/m
2 )、同皮膜中のZn/(Ni+Zn)のwt.%比率、及
び同皮膜の酸素含有量(at.%)の他に、原板の亜鉛系メ
ッキ種(GA、GI、EG)及び皮膜の形成方法(A、
B、C)を併記した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】実施例及び比較例の各供試体について、プ
レス成形性の評価を供試体とビードとの摩擦係数で、ス
ポット溶接性の評価を連続打点性試験における連続打点
数で、そして、化成処理性の評価をリン酸塩結晶の形成
状態で行った。各特性値の評価試験方法は下記の通りで
ある。
【0044】〔摩擦係数測定試験〕各供試体の摩擦係数
を次の通り測定した。図1は、摩擦係数測定装置を示す
概略正面図である。同図に示すように、供試体から採取
した摩擦係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料
台2は、水平移動可能なスライドテーブル3の上面に固
定されている。スライドテーブル3の下面には、これに
接したローラ4を有する上下動可能なスライドテーブル
支持台5が設けられ、これを押上げることにより、ビー
ド6による摩擦係数測定用試料1への押付荷重Nを測定
するための第1ロードセル7が、スライドテーブル支持
台5に取付けられている。上記押付力を作用させた状態
で、スライドテーブル3の水平移動方向の一方の端部に
は、スライドテーブル3を水平方向へ移動させるための
摺動抵抗力Fを測定するための第2ロードセル8が、ス
ライドテーブル3の一方の端部に取付けられている。な
お、潤滑油として、日本パーカライジング社製ノックス
ラスト550HNを試料1の表面に塗布して試験を行っ
た。
【0045】供試体とビードとの間の摩擦係数μは、
式:μ=F/Nで算出した。但し、押付荷重N:400
kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水
平移動速度):100cm/minとした。
【0046】図2は、使用したビードの形状・寸法を示
す概略斜視図である。ビード6の下面が試料1の表面に
押しつけられた状態で摺動する。その下面形状は、幅1
0mm、摺動方向長さ3mmの平面を有し、その前後端
には、4.5mmRを持つ筒面の1/4部分が同図のよ
うに接して形成されている。
【0047】〔連続打点性試験〕各供試体について連続
打点数を次の通り測定した。同じ供試体を2枚重ね、そ
れを両面から1対の電極チップで挟み、加圧通電して電
流を集中させた抵抗溶接(スポット溶接)を、下記条件
で連続的に実施した。
【0048】 ・電極チップ:先端径6mmのドーム型 ・加圧力:250kgf ・溶接時間:0.2秒 ・溶接電流:11.0kA ・溶接速度:1点/sec. 連続打点性の評価としては、スポット溶接時に、2枚重
ねた溶接母材(供試体)の接合部に生じた溶融凝固した
金属部(ナゲット)の径が、4×t1/2 (t:1枚の板
厚、mm)未満になるまでに連続打点した打点数を用い
た。なお、上記打点数を以下、電極寿命という。
【0049】〔化成処理性試験〕化成処理性を評価する
ために、次の試験を行った。各供試体を、自動車塗装下
地用の浸漬型リン酸亜鉛処理液(日本パーカライジング
社製PBL3080)で通常の条件で処理し、その表面
にリン酸亜鉛皮膜を形成させた。このようにして形成さ
れたリン酸亜鉛皮膜の結晶状態を走査型電子顕微鏡(S
EM)により観察した。その結晶状態により3段階に区
分した。評価区分の符号とその内容は、次の通りであ
る。
【0050】 ○:リン酸亜鉛皮膜の結晶が緻密で小さい。 △:リン酸亜鉛皮膜の結晶がやや粗大で大きい。 ×:リン酸亜鉛皮膜の結晶が粗大であるか、生成しな
い。
【0051】上記各特性値の評価試験結果を、表1〜3
に併記した。同表から、下記事項が明らかである。 (1)Ni−Zn−O系皮膜が形成されていない場合
(比較例1、10及び11)は、原板のメッキ種がG
A、GI及びEGのいずれでも、本発明の範囲内の皮膜
が形成されている場合(実施例1〜22、23及び2
4)と比較して、プレス成形性、スポット溶接性及び化
成処理性の全てにおいて劣っている。
【0052】(2)Ni−Zn−O系皮膜が形成されて
いるが、その皮膜の付着量が本発明の範囲内よりも少な
い場合(比較例2)は、本発明の範囲内の皮膜が形成さ
れている場合(実施例1〜10)と比較して、プレス成
形性、スポット溶接性及び化成処理性の全てにおいて劣
っている。一方、上記付着量が本発明の範囲内よりも多
い場合(比較例3)は、本発明の範囲内の皮膜が形成さ
れている場合(実施例1〜10)と比較して、化成処理
性において劣っている。
【0053】(3)Ni−Zn−O系皮膜が形成されて
いるが、その皮膜中にZnが含まれていないか、又はそ
の皮膜中のZn/(Ni+Zn)のwt.%比率が本発明の
範囲内よりも小さい場合(比較例4又は5)は、本発明
の範囲内の皮膜が形成されている場合(実施例11〜1
6)と比較して、化成処理性において劣っている。一
方、上記Zn/(Ni+Zn)のwt.%比率が本発明の範
囲内よりも大きい場合(比較例6)は、本発明の範囲内
の皮膜が形成されている場合(実施例11〜16)と比
較して、プレス成形性及びスポット溶接性において劣っ
ている。
【0054】(4)Ni−Zn−O系皮膜が形成されて
いるが、その皮膜中に酸素が含まれていないか、又はそ
の皮膜の酸素含有量(at.%)が、本発明の範囲内よりも
少ない場合(比較例7又は8)は、本発明の範囲内の皮
膜が形成されている場合(実施例17〜22)と比較し
て、プレス成形性において劣っている。一方、上記酸素
含有量(at.%)が、本発明の範囲内よりも大きい場合
(比較例9)は、本発明の範囲内の皮膜が形成されてい
る場合(実施例17〜22)と比較して、スポット溶接
性において劣っている。
【0055】(5)本発明の範囲内のNi−Zn−O系
皮膜が表面に形成された実施例は、原板にメッキ種に依
らずプレス成形性、スポット溶接性及び化成処理性の全
てにおいて優れている(実施例1〜22、23及び2
4)。
【0056】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、亜
鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に形成されたNi−Z
n−O系皮膜が、亜鉛または亜鉛合金メッキ層に比べて
硬質、且つ、高融点であるために、亜鉛系メッキ鋼板の
プレス成形時におけるメッキ層表面とプレス金型との摺
動抵抗が低下し、亜鉛系メッキ鋼板がプレス金型へ滑り
込み易くなる。また、Ni−Zn−O系皮膜が非常に高
融点であるため、溶接時に亜鉛と銅電極との反応が抑制
されるので、電極の損耗が抑制され、スポット溶接にお
ける連続打点性が向上する。更に、化成処理皮膜は、N
i−Zn−O系皮膜中のNiがリン酸塩結晶中に取り込
まれるので、緻密で均一なリン酸塩結晶が形成される。
また、Ni−Zn−O系皮膜中の亜鉛の存在により、化
成処理での反応性の低下を防止することができる。
【0057】従って、本発明によれば、プレス成形性、
スポット溶接性及び化成処理性に優れた亜鉛系メッキ鋼
板を提供することができ、工業上極めて有用な効果がも
たらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。
【図2】図1中のビードの形状・寸法を示す概略斜視図
である。
【符号の説明】
1 摩擦係数測定用試料 2 試料台 3 スライドテーブル 4 ローラ 5 スライドテーブル支持台 6 ビード 7 第1ロードセル 8 第2ロードセル 9 レール N 押付荷重 F 摺動抵抗力
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 修二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 櫻井 理孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1方の面のメッキ層表面に、
    Ni−Zn−O系皮膜が形成された亜鉛系メッキ鋼板で
    あって、前記Ni−Zn−O系皮膜の付着量は、前記N
    i−Zn−O系皮膜中のNiとZnとの合計量換算で、
    10〜2000mg/m2 の範囲内にあり、更に、前記
    Ni−Zn−O系皮膜中のNi含有量(wt.%)とZn含
    有量(wt.%)との和に対する前記Zn含有量(wt.%)の
    比率は、0.005〜0.6の範囲内にあり、且つ、前
    記Ni−Zn−O系皮膜の酸素含有量は、1〜40at.%
    の範囲内にあることを特徴とする亜鉛系メッキ鋼板。
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US20090308498A1 (en) * 2007-01-09 2009-12-17 Kenichiro Matsumura Method of production and production facility of high strength cold rolled steel sheet excellent in chemical convertibility
US8834651B2 (en) * 2007-01-09 2014-09-16 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Method of production and production facility of high strength cold rolled steel sheet excellent in chemical convertibility

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