JPH10317135A - スパッタ成膜用の膜厚補正機構 - Google Patents

スパッタ成膜用の膜厚補正機構

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JPH10317135A
JPH10317135A JP9143175A JP14317597A JPH10317135A JP H10317135 A JPH10317135 A JP H10317135A JP 9143175 A JP9143175 A JP 9143175A JP 14317597 A JP14317597 A JP 14317597A JP H10317135 A JPH10317135 A JP H10317135A
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斉 嘉村
Masaaki Yoshihara
雅章 葭原
Hajime Kamiya
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパッタ法で光学レンズ基材の表面に薄膜を
形成する場合に、表面での膜厚分布を均一にできる膜厚
補正機構を提供する。 【解決手段】 複数の光学レンズ基材11が、横置きされ
かつ回転状態にある円形平板の基板ホルダ26に横置き状
態で同心円位置で配置される。成膜装置はターゲット31
を備える。膜厚補正板51,52 は、ターゲットと基板ホル
ダの間に配置された膜厚差調整用マスク部材である。こ
の構成により、基板ホルダにおいて同心円位置に配置さ
れた多数の光学レンズ基材について、同心円間の光学レ
ンズ基材で膜厚差を小さくし、膜厚分布を均一にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスパッタ成膜用の膜
厚補正機構に関し、特に、眼鏡プラスチックレンズ等の
光学レンズ基材の表面にスパッタ法で成膜するとき、当
該表面での膜厚を均一にするスパッタ成膜用の膜厚補正
機構に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、眼鏡プラスチックレンズ等の光学
レンズでは、スパッタ法を利用してレンズ表面に反射防
止の目的で薄膜を成膜する技術が提案されている。半導
体技術の一つの成膜手法であるスパッタ法は、光学レン
ズの表面における薄膜形成の生産性向上およびレンズ性
能の向上を期待できる。スパッタ法による光学レンズの
成膜では、通常、複数の光学レンズ基材(ロット単位)
が円形平板のホルダ(基板ホルダまたはレンズトレイ)
にセットされ、ホルダを回転させながらロットごとに成
膜処理が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、スパッタ法よる
成膜は膜厚分布が良好であると考えられている。しかし
ながら、スパッタ法を光学レンズの薄膜形成に利用する
場合には、さらに精度の高い均一な膜厚分布が要求され
る。
【0004】また、スパッタ法を利用して光学レンズの
表面に反射防止膜を成膜する場合には、特に、膜厚に関
して厳密な均一性が要求される。レンズ表面における反
射防止膜の膜厚が不均一になると、反射色がばらつき、
光学レンズの装用感と商品価値を低下させることにな
る。
【0005】さらに光学レンズの表面では、一方の表面
が凹面、他方の表面が凸面になっており、それぞれ曲率
を有している。スパッタ法を利用した光学レンズの表面
に反射防止膜の成膜によれば、通常、ホルダに光学レン
ズを横置き状態で配置し、光学レンズの両面の各々に面
するように上側ターゲットと下側ターゲットを配置して
両面に対して同時にスパッタ成膜を行う。ところが、上
述のように光学レンズの両面は各々固有の曲率を有し、
そのため光学レンズの各表面に面するターゲットと当該
表面の各部の距離が異なるので、表面で膜厚を均一にな
るように成膜することが困難となる。
【0006】本発明の目的は、上記要求を満しかつ上記
問題を解決することにあり、スパッタ法で光学レンズ基
材の表面に薄膜を形成するときに、表面での膜厚分布を
均一にできるスパッタ成膜用の膜厚補正機構を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】本発明に係る
スパッタ成膜用の膜厚補正機構は、上記の目的を達成す
るために、次のように構成される。
【0008】第1のスパッタ成膜用の膜厚補正機構(請
求項1に対応)は、スパッタ法で光学レンズ基材の表面
に薄膜を形成する成膜装置に用いられるものであり、薄
膜の膜厚差を補正する膜厚補正板を備えてなる。
【0009】上記構成によれば、膜厚補正板が、ターゲ
ットと基板ホルダの間の好ましい位置に配置されること
により、スパッタ粒子の光学レンズ基材に対する直接的
な影響を和らげたり、分散させるように作用し、これに
よって基板ホルダ上の複数の光学レンズ基材に成膜され
る薄膜の膜厚差を小さくし、膜厚分布の均一性を高め
る。
【0010】第2のスパッタ成膜用の膜厚補正機構(請
求項2に対応)は、上記の第1の構成において、光学レ
ンズ基材の表面は曲率を有し、かつ複数の光学レンズ基
材が、横置きされかつ回転状態にある円形平板のホルダ
(基板ホルダ)に、横置き状態で同心円位置で配置さ
れ、成膜装置は光学レンズ基材の表面に面するターゲッ
トを備え、膜厚補正板は、ターゲットと基板ホルダの間
で基板ホルダの周縁部と中心部を結ぶ方向に配置された
膜厚差調整用マスク部材である。この構成により、基板
ホルダにおいて例えば3つの同心円位置に配置された多
数の光学レンズ基材について、同心円間の光学レンズ基
材で膜厚差を小さくすることができ、膜厚分布を均一に
することができる。なおマスク部材として機能する膜厚
補正板の取付け位置は、光学レンズ基材に対し上側と下
側のいずれか一方または両方の箇所である。
【0011】第3のスパッタ成膜用の膜厚補正機構(請
求項3に対応)は、好ましくは、上記の第2の構成にお
いて、ターゲットは光学レンズ基材の両面の各々に対向
する上側ターゲットと下側ターゲットからなり、上記の
マスク部材は、上側ターゲットと基板ホルダの間に配置
される凹面用マスク部材と、下側ターゲットと基板ホル
ダの間に配置される凸面用マスク部材からなるように構
成される。
【0012】第4のスパッタ成膜用の膜厚補正機構(請
求項4に対応)は、好ましくは、上記の第3の構成にお
いて、凹面用マスク部材では光学レンズ基材の存在箇所
に対応する部分で円周方向の寸法が他の部分の円周方向
の寸法よりも大きくなり、凸面用マスク部材では光学レ
ンズ基材間の境界箇所に対応する部分で円周方向の寸法
が他の部分の円周方向の寸法よりも大きくなるように構
成される。
【0013】第5のスパッタ成膜用の膜厚補正機構(請
求項5に対応)は、上記の第2から第4の構成におい
て、マスク部材は、ターゲットに形成された非エロージ
ョン部から飛散する微粒子を遮る作用も有している。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
を添付図面に基づいて説明する。
【0015】図1は本発明に係る膜厚補正機構が適用さ
れるスパッタ装置の一例を示す。図1を参照して、スパ
ッタ法を利用してプラスチック基材の両面に反射防止膜
を成膜する装置(以下スパッタ成膜装置という)の構成
と成膜プロセスを説明する。図1ではスパッタ成膜装置
の内部構造の要部を縦断面図で示している。このスパッ
タ成膜装置によれば、プラスチック基材11の両面に同
時に例えば多層膜構造を持つ反射防止膜が成膜される。
なお基材11の材質はプラスチックに限定されず、例え
ばガラス材であってもよい。
【0016】上記プラスチック基材11はメニスカス形
状の眼鏡プラスチックレンズの基材であり、プラスチッ
ク光学部品の一例である。プラスチック基材11の両面
には、眼鏡プラスチックレンズとして反射防止膜が施さ
れる必要がある。この反射防止膜は、例えば、高屈折率
膜(例えばZrO2 )と低屈折率膜(例えばSiO2
が交互に積層されてなる多層の膜である。
【0017】また上記プラスチック基材11は、眼鏡プ
ラスチックレンズであることから、その両面は曲率を有
している。具体的にプラスチック基材11の両面のうち
一方の面は凹面であり、他方の面は凸面となっている。
かかるプラスチック基材11は、その中心部を回転中心
として回転する円形平板でかつ横置き状態の基板ホルダ
(複数のプラスチック基材を載置するためのレンズトレ
イであるが、通称に従い「基板ホルダ」という)26に
おいて、横置き状態でセットされている。この状態で、
プラスチック基材11は、通常、その上面側が凹面、そ
の下面側が凸面となっている。
【0018】上記スパッタ成膜装置は、大きく分ける
と、処理対象物を搬入するための導入室21と、プラス
チック基材11の両面に高屈折率膜と低屈折率膜を交互
に成膜する真空処理室(スパッタ成膜室)22と、予備
処理室23から構成される。導入室21と真空処理室2
2と予備処理室23の各々の間はゲートバルブ24,2
5で仕切られている。ゲートバルブ24,25は、対象
物を出し入れするときに、適宜なタイミングで開閉され
る。
【0019】導入室21を経由してスパッタ成膜装置の
内部に搬入された基板ホルダ26は、ゲートバルブ24
を通って真空処理室22の内部にセットされる。図1に
おいて、基板ホルダ26を移送する搬入・搬出機構の図
示は省略されている。基板ホルダ26は、前述の通り円
形平板の形態を有する。基板ホルダ26には多数の基材
保持孔26aが形成されている。これらの孔26aの各
々には、前述のプラスチック基材11が配置されてい
る。基材保持孔26aは上側および下側に開口されてい
るので、基材保持孔26aに保持されたプラスチック基
材11の両面の各面は、基板ホルダ26の上側および下
側の空間に臨む。その結果プラスチック基材11の両面
に、スパッタ法によって前述の反射防止膜が成膜され
る。
【0020】真空処理室22おけるスパッタ成膜の工程
は、より詳しくは、金属系薄膜を形成するスパッタ工程
と、このスパッタ工程で堆積した金属系薄膜を酸化物薄
膜へ変換する変換工程とから構成される。そのため、真
空処理室22には、装置構成上、スパッタ工程領域22
Aと変換工程領域22Bが備えられている。
【0021】真空処理室22において、基板ホルダ26
は、その中心部を上側支持部材27と下側支持部材28
によって支持され、水平状態(横置き状態)で配置され
ている。上側支持部材27と下側支持部材28は、図示
しない油圧シリンダ等で上下に駆動され、かつ内蔵され
るモータ回転機構で回転自在である。プラスチック基材
11に反射防止膜を成膜するときには、上側支持部材2
7と下側支持部材28の回転動作によって、基板ホルダ
26は所要回転速度で回転状態に保たれる。従って、基
板ホルダ26に配置された多数のプラスチック基材11
は、スパッタ工程領域22Aと変換工程領域22Bを通
過し、その間に、プラスチック基材11は、スパッタ工
程領域22Aでスパッタ成膜処理を受け、変換工程領域
22Bで変換処理を受けることになる。
【0022】スパッタ工程領域22Aでは、基板ホルダ
26の上方と下方にスパッタ装置が配備されている。各
スパッタ装置は、ターゲット31と、スパッタ電極32
と、スパッタ電源33と、スパッタガスボンベ34と、
マスフロー35から構成される。基板ホルダ26が回転
し、プラスチック基材11が上下のターゲット31の間
にくると、スパッタ状態にあるターゲット31から発し
たターゲット物質がプラスチック基材11の両面に堆積
し、プラスチック基材11の両面にターゲット物質の薄
膜が形成される。このとき、マスフロー35を介してス
パッタガスボンベ34によりアルゴンガス等のスパッタ
ガスが導入されており、スパッタ雰囲気が調整される。
【0023】真空処理室22におけるスパッタ成膜で
は、前述した反射防止膜を作製するため、上記のスパッ
タ工程と後述する変換工程とに基づいて、第1層に高屈
折率膜である金属酸化物ZrO2 が成膜され、第2層に
低屈折率膜である金属酸化物SiO2 が成膜され、その
後、例えば第10層まで高屈折率膜ZrO2 、低屈折率
膜SiO2 が交互に成膜される。スパッタ工程領域22
Aでは、各金属酸化物の元となる金属が堆積される。第
1層の高屈折率膜を形成するための最初のスパッタ工程
では、ターゲット31には、ジルコニウムZrからなる
ターゲットが用意されて、プラスチック基材11の両面
にはZrが成膜される。次に、第2層の低屈折率膜を形
成するためのスパッタ工程では、シリコンSiからなる
他のターゲットに交換されて、スパッタが行われ、プラ
スチック基材11の両面にはSiが成膜される。このよ
うにターゲットを交互に高屈折率膜用物質または低屈折
率膜用物質に交換することにより、高屈折率膜と低屈折
率膜を交互に積層させて、反射防止膜を作製することが
できる。なお図1においてターゲットを交換する機構の
図示は省略されている。
【0024】変換工程領域22Bでは、基板ホルダ26
の上方と下方に誘導結合型プラズマ発生装置が配備され
ている。誘導結合型プラズマ発生装置は、高周波放電室
41と、高周波コイル42と、マッチングボックス43
と、高周波電源44と、反応性ガスボンベ45と、マス
フロー46から構成される。基板ホルダ26が回転し、
処理対象のプラスチック基材11が上下の誘導結合型プ
ラズマ発生装置の間にくると、反応性ガスボンベ45か
らマスフロー46を介して導入された酸素のプラズマに
プラスチック基材11が曝され、スパッタ工程で成膜さ
れた金属(ZrまたはSi)が酸化され、酸化物(Zr
2 またはSiO2 )に変換される。
【0025】上記のごとく、真空処理室22で、内部に
回転自在に置かれた基板ホルダ26上の多数のプラスチ
ック基材11の両面に対して、ターゲットを交換しなが
らスパッタ工程と変換工程を繰り返すことにより、プラ
スチック基材11の両面に、図1に示したZrO2 (高
屈折率膜)とSiO2 (低屈折率膜)からなる多層膜構
造を有する反射防止膜13が形成される。
【0026】なお真空処理室22の内部には、上記のス
パッタ工程領域22Aと変換工程領域22Bを分離する
ため遮蔽部材47が設けられている。
【0027】本実施形態に係る膜厚補正機構は上記スパ
ッタ成膜装置に付設される。膜厚補正機構は、スパッタ
工程領域22Aにおける上下のターゲット31の各々と
基板ホルダ26との間に配置される膜厚補正板51,5
2によって構成される。なお図1において、膜厚補正板
51,52を支持するための構造の図示は省略されてい
る。支持構造としては空いているスペースを利用して任
意の構造を採用することができる。上記の膜厚補正板5
1,52は、機能的には、基板ホルダ26の回転動作に
よりターゲット31の中央部に対向する位置に到来した
プラスチック基材11を、望ましい形態(被覆パター
ン)にて覆うマスク部材である。所望の被覆パターンを
有するマスク部材として機能する膜厚補正板でいくつか
のプラスチック基材11を覆うことにより、ターゲット
31からのスパッタ粒子を部分的に遮り、各プラスチッ
ク基材11の表面に堆積される薄膜の膜厚を補正し、当
該表面での膜厚を均一にすることが可能になる。
【0028】図2〜図4を参照して膜厚補正板について
詳述する。図2は、基板ホルダ26にセットされるプラ
スチック基材11の配置状態と上下のターゲット31と
膜厚補正板51,52の関係を拡大してより具体的に示
し、図3は膜厚補正板51の平面形状の一例を示し、図
4は膜厚補正板52の平面形状の一例を示す。
【0029】図2で、矢印53の方向が基板ホルダ26
の回転中心の方向とし、d1は基板ホルダ26と下側タ
ーゲット31との距離、d2はプラスチック基材11と
下側ターゲット31との距離である。基板ホルダ26の
形成された上記基材保持孔26aに、プラスチック基材
11が取付け具54を介して配置されている。図2で明
らかなように、プラスチック基材11は、上面を凹面と
し、下面を凸面として配置されている。プラスチック基
材11の凸面の最下点が上下のターゲット31のほぼ中
央位置になるように配置位置が設定されており、これに
基づいて基板ホルダ26の位置も決められている。従っ
て、上記の距離d2は、下側ターゲット31とプラスチ
ック基材11の下面の最下点との間で設定されている。
また基板ホルダ26と下側ターゲット31の距離d1
は、基板ホルダ26と上側ターゲット31との距離より
も若干大きくなっている。
【0030】また基板ホルダ26において複数のプラス
チック基材11は、例えば図3に示されるように、同心
円55,56,57上の位置に配置されている。本実施
形態の場合には3つの同心円が利用されている。さらに
図3と図4から明らかなように、上下のターゲット31
の平面形状は、好ましくは、中心部側が短辺かつ周縁部
側が長辺となった台形形状となっている。
【0031】基板ホルダ26において上記のごとき配置
状態でセットされた複数のプラスチック基材11に対し
て、上側ターゲット31との間に、図3に示す平面形状
を有する前述の膜厚補正板51が配置される。膜厚補正
板51は、その長手方向が、基板ホルダ26の中心部と
周縁部を結ぶ直線の方向(径方向)に向くように配置さ
れる。膜厚補正板51では、好ましくは、同心円55〜
57に対応する部分(プラスチック基材の配置箇所また
は存在箇所)の円周方向の長さが他の部分の円周方向の
長さよりも長くなっており、さらに膜厚補正板51にお
ける同心円55〜57に対応する部分の長さが、周縁部
から中心部に向かうに従って次第に小さくなるように設
定されている。これにより、回転する基板ホルダ26
で、上側ターゲット31のほぼ中央部に対向する位置に
到来したプラスチック基材11の上面(凹面)は、膜厚
補正板51によって所定の範囲が被覆されることにな
る。その結果、膜厚補正板51のマスク作用で、プラス
チック基材11の上面(凹面)に堆積される薄膜の膜厚
は、その膜厚差が補正され、当該上面において均一にな
る。なお膜厚補正板51の平面形状は、図3に示された
ものに限定されない。
【0032】同様にして、基板ホルダ26における複数
のプラスチック基材11に対して、下側ターゲット31
との間に、図4に示す平面形状を有する前述の膜厚補正
板52が配置される。膜厚補正板52は、その長手方向
が、基板ホルダ26の中心部と周縁部を結ぶ直線の方向
に向くように配置され、好ましくは、同心円55〜57
の中間部(プラスチック基材の境界箇所)に対応する部
分の円周方向の長さが他の部分の円周方向の長さよりも
長くなっている。これにより、回転する基板ホルダ26
で、下側ターゲット31のほぼ中央部に対向する位置に
到来したプラスチック基材11の下面(凸面)は、膜厚
補正板52によって所定の範囲が被覆されることにな
る。その結果、膜厚補正板52のマスク作用で、プラス
チック基材11の下面(凸面)に堆積される薄膜の膜厚
は、その膜厚差が補正され、当該下面において均一にな
る。なお膜厚補正板52の平面形状は、図4に示された
ものに限定されない。
【0033】また上記の膜厚補正板51,52は、別の
観点から、次のような作用を有するマスク部材として機
能する。すなわち、図5に示すように、台形の形状を有
するターゲット31は、通常では固有のマグネット構造
(図示せず)を備え、スパッタリングに基づく成膜作用
によれば、ターゲット中心部に二等辺三角形の形状に類
似した非エロージョン部58が形成される。ターゲット
31にこのような非エロージョン部58が存在すると、
非エロージョン部58のターゲット表面に反応生成物が
堆積することに起因して異常放電が生じやすくなる。そ
の結果、反応生成物が微粒子として非エロージョン部5
8から飛散し、プラスチック基材11の表面に到達し、
付着する。しかし、上記スパッタ成膜装置では、前述の
ごとく膜厚補正板51,52を基板ホルダ26と上下の
ターゲット31の間に配置し、膜厚補正板がターゲット
に対向することになるプラスチック基材11を被覆する
ようにしたため、非エロージョン部58から飛散した微
粒子を遮り、当該微粒子がプラスチック基材11の表面
へ到達するのを防ぐことができる。
【0034】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、スパッタ成膜装置にてスパッタ法を利用して光学
レンズ基材の両面または一方の面に薄膜を成膜する場合
に、基板ホルダとターゲットの間に膜厚補正板を配置す
ることによって膜厚補正機構を付設したため、光学レン
ズ基材の表面における薄膜の膜厚を均一にでき、良好な
膜厚分布を実現することができる。また膜厚補正板によ
れば、ターゲットの非エロージョン部から飛散する微粒
子も遮ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る膜厚補正機構が付設されるスパッ
タ成膜装置の要部の構成図である。
【図2】基板ホルダにおけるプラスチック基材の配置状
態と、基板ホルダとターゲットと膜厚補正板との位置関
係を示す縦断面図である。
【図3】上側の膜厚補正板の平面形状を示す平面図であ
る。
【図4】下側の膜厚補正板の平面形状を示す平面図であ
【図5】ターゲットにおける非エロージョン部を示す図
である。
【符号の説明】
11 プラスチック基材 26 基板ホルダ 31 ターゲット 32 スパッタ電極 51,52 膜厚補正板 55.56,57 同心円 58 非エロージョン部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スパッタ法で光学レンズ基材の表面に薄
    膜を形成する成膜装置に用いられ、前記薄膜の膜厚差を
    補正する膜厚補正板を備えることを特徴とするスパッタ
    成膜用の膜厚補正機構。
  2. 【請求項2】 前記光学レンズ基材の表面は曲率を有
    し、かつ複数の前記光学レンズ基材が、横置きされかつ
    回転状態にある円形平板のホルダに、横置き状態で同心
    円位置で配置され、 前記成膜装置は前記光学レンズ基材の表面に面するター
    ゲットを備え、 前記膜厚補正板は、前記ターゲットと前記ホルダの間で
    前記ホルダの周縁部と中心部を結ぶ方向に配置された膜
    厚差調整用マスク部材である、 ことを特徴とする請求項1記載のスパッタ成膜用の膜厚
    補正機構。
  3. 【請求項3】 前記ターゲットは前記光学レンズ基材の
    両面の各々に対向する上側ターゲットと下側ターゲット
    からなり、 前記マスク部材は、前記上側ターゲットと前記ホルダの
    間に配置される凹面用マスク部材と、前記下側ターゲッ
    トと前記ホルダの間に配置される凸面用マスク部材から
    なる、 ことを特徴とする請求項2記載のスパッタ成膜用の膜厚
    補正機構。
  4. 【請求項4】 前記凹面用マスク部材では前記光学レン
    ズ基材の存在箇所に対応する部分で円周方向の寸法が他
    の部分の円周方向の寸法よりも大きくなり、前記凸面用
    マスク部材では前記光学レンズ基材間の境界箇所に対応
    する部分で円周方向の寸法が他の部分の円周方向の寸法
    よりも大きくなることを特徴とする請求項3記載のスパ
    ッタ成膜用の膜厚補正機構。
  5. 【請求項5】 前記マスク部材は、前記ターゲットに形
    成された非エロージョン部から飛散する微粒子を遮るこ
    とを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のス
    パッタ成膜用の膜厚補正機構。
JP14317597A 1997-05-16 1997-05-16 スパッタ成膜用の膜厚補正機構 Expired - Fee Related JP4345869B2 (ja)

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