JPH08144058A - マグネトロンスパッタリング方法および装置 - Google Patents

マグネトロンスパッタリング方法および装置

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JPH08144058A
JPH08144058A JP28088694A JP28088694A JPH08144058A JP H08144058 A JPH08144058 A JP H08144058A JP 28088694 A JP28088694 A JP 28088694A JP 28088694 A JP28088694 A JP 28088694A JP H08144058 A JPH08144058 A JP H08144058A
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substrate
cathode
magnet
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target
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JP28088694A
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English (en)
Inventor
Tsukasa Kobayashi
司 小林
Katsunori Itagaki
克則 板垣
Tomoo Uchiyama
智雄 内山
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ANERUBA KK
Original Assignee
ANERUBA KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 円形ターゲットを用いたマルチカソード方式
のマグネトロンスパッタリング装置において、膜厚分布
の均一性を容易に確保することが可能であるような、マ
グネトロンスパッタリング方法および装置を提供するこ
とを目的としている。 【構成】スパッタリング室5に、回転磁石を備えた円形
カソードが基板15と対向可能に設置され、円形カソー
ドに放電用電源21〜24が接続されているマグネトロ
ンスパッタリング装置において、前記円形カソードが4
基設置され、各円形カソード16〜19の回転磁石の回
転手段に、回転速度分布の調整手段が接続してある。ス
パッタリング中、各円形カソード16〜19の回転磁石
の回転速度分布を個別に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広い面積を有する基板
の表面に、均一の厚みでかつ均質な薄膜を作成できるよ
うにしたマグネトロンスパッタリング方法および装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、特に、液晶表示装置製造用とし
て、大面積の矩形基板上に均質で膜厚分布が均一な成膜
が要求されている。このためのスパッタリング装置とし
ては、従来矩形マグネトロンカソード電極を静止固定し
ておき、矩形基板を連続的に移動させながら、マグネト
ロンカソード電極前面を通過させて成膜を行なう方式が
とられていた。しかし、このような装置は、ロードロッ
ク室、加熱室、搬送用緩衝空間、スパッタ室などから構
成されるため、装置が巨大化する傾向があった。そのた
めに、成膜時には、基板および対向する電極を静止さ
せ、ターゲットの消耗領域を広範囲にしたスパッタ装置
が、最近検討され、使用され始めている。そのためのマ
グネトロンカソード電極においては、矩形基板よりもか
なり大きなサイズの矩形ターゲットが使用されている。
このマグネトロンカソード電極の構造としては、特開平
3-194298号及び特開平5-239640号において、複数の磁石
ユニットで構成される磁石組立体を、ターゲットに沿っ
て往復運動させて、膜厚分布の均一性確保とターゲット
表面のエッチング分布の均一性を改善した技術が開示さ
れている。また、特開平4-329874号、特開平5-9724号に
おいても単一の磁石ユニットを運動させる類似例が開示
されている。
【0003】一方、液晶表示装置製造用ではないが、基
板上の膜厚分布を均一化する観点から、小さい複数のマ
グネトロンカソード電極を単一の基板に対向して配置し
た方式(以後、マルチカソード方式と呼ぶ)が従来から
知られていた。このような技術は、例えば、特開昭60-1
31967 号(これには基板とターゲット面を平行ではなく
傾けて配置することが示されている)、特開昭63-11496
6 号、特開昭63-171878 号、特開昭62-33764号等に開示
されている。このような方式を、基板及び対向カソード
電極を静止させた、液晶表示装置製造用のスパッタリン
グ装置に採用することは容易に考えられることである
が、実際に使用した例はまだ無い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】基板と矩形大型カソー
ド電極を静止対向させたスパッタリング装置でまず問題
になるのは、ターゲットの大きさである。液晶表示装置
製造のための基板の大きさは時代とともに大型化し、近
年では500mm ×600mm 程度にも達しようとしている。膜
厚分布の均一性( ±% 値) を、( 膜厚最大値- 膜厚最小
値)/( 膜厚最大値+ 膜厚最小値) ×100%で定義すると、
基板面内の膜厚分布の均一性が±5%程度の成膜を行う
ためには、この場合、基板面積の2 倍以上の大きさのタ
ーゲットが必要になる。このように大きなターゲットを
一体物として製作するには大型の設備が必要であり、そ
の設備投資に多大なコストが必要となる。そのため、タ
ーゲット自体も非常に高価なものとなってしまう。一
方、分割して作成した小さなターゲットを、裏板上でつ
なぎ合わせてボンディングし、大型ターゲットとして使
用する方法も考えられるが、このようなターゲットを長
時間使用すると、つなぎ目の部分からパーティクルが発
生して基板に付着するため、液晶表示装置に欠陥が生じ
るという問題が発生する。
【0005】一方、前記のマルチカソード方式であれ
ば、不必要な部分にはターゲットを配置せずに済むの
で、ターゲットの面積が矩形の一体のターゲットの場合
よりも小さくなることが期待される。特に、このカソー
ドとして円形のものを採用すると、ターゲット面積縮小
の効果に加えて、装置設計が容易におこなえることが期
待される。これは、円形のカソードではターゲットの背
後に設置した磁石の回転が可能であり、エロージョンの
分布をある程度調整することが可能であること、また、
ターゲット利用率を大きくするための技術等の経験がす
でに蓄積されているため、これを流用することが可能で
あること、等の理由による。
【0006】このような、磁石回転型の円形マグネトロ
ンカソードの原理を図8に示す。同図はその原理を説明
するためのもので、ターゲット、磁石、回転機構のみを
示し、カソードを構成するための他の部品の表示は省略
した。円形のターゲット901の背後には、ターゲット表
面上にトンネル状の磁束線を形成するためのループ状の
磁石902 が配置される。この磁石全体はモーター906 に
結合されており、ターゲットの中心軸904 の回りで回転
可能となっている。ターゲット901 の表面でこの磁石か
ら発生する磁束線のトンネルはループ状に閉じており、
スパッタリングの際には、これに沿って帯状のプラズマ
が形成される。このプラズマのループの中心は、磁石全
体の回転中心( ここではターゲットの中心と同じ) から
ずれている。しかも、ターゲットの中心がプラズマのル
ープの内側に位置するようになっているため、磁石回転
にともなうプラズマ回転により、ターゲット全面をイオ
ンのエッチングで削ることができるものである。
【0007】しかし、実際にこのような円形ターゲット
を用いたマルチカソード方式で、矩形の基板に成膜を行
う場合、膜厚分布の均一性を確保するのが難しいという
問題に突き当たる。これは基本的に、基板が矩形である
のに対し、カソードは円形であり、各ターゲットのエロ
ージョン形状もターゲットの中心に対し軸対称的な分布
になっていることに起因する。一例として、14インチ径
の円形マグネトロンカソードを4 基配置し、500mm ×60
0mm の基板上に成膜を行った場合、最良の場合でも±14
% 程度の膜厚分布均一性しか得られない。もちろん、基
板に比べて非常に小さなカソードを多数(9個程度) 配置
すれば膜厚分布の均一性を確保することは可能である
が、あまり多数のカソードを使用するのは、装置の複雑
さの増加、装置の保守性および操作性の低下等の点から
現実的でない。
【0008】本発明の目的は、前記円形ターゲットを用
いたマルチカソード方式のマグネトロンスパッタリング
装置において、膜厚分布の均一性を容易に確保すること
が可能であるような、マグネトロンスパッタリング方法
および装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成する本
発明は以下のとうりである。
【0010】請求項1の発明は、内部に回転磁石を備え
た円形カソードと基板を対向させて、基板表面に薄膜を
形成するマグネトロンスパッタリング方法において、前
記円形カソードは複数基として、夫々基板と対向させ、
スパッタリング中、各円形カソードの回転磁石の回転速
度分布を個別に調整することを特徴とするマグネトロン
スパッタリング方法である。
【0011】請求項2の発明は、各円形カソードに投入
する放電電力を個別に調整する請求項1記載のマグネト
ロンスパッタリング方法である。
【0012】請求項3の発明は、スパッタリング室に、
回転磁石を備えた円形カソードが基板と対向可能に設置
され、該円形カソードに放電用電源が接続されているマ
グネトロンスパッタリング装置において、前記円形カソ
ードが複数基とされ、各円形カソードの回転磁石の回転
手段に、回転速度分布の調整手段が接続してあることを
特徴とするマグネトロンスパッタリング装置である。
【0013】また請求項4の発明は、回転速度分布の調
整手段に、更に、放電用電源の出力調整手段を含んでい
る請求項3記載のマグネトロンスパッタリング装置であ
る。
【0014】
【作用】スパッタリングにより成膜を行う場合、ターゲ
ットのエロージョン分布と基板上の膜厚分布との間に
は、成膜時のガス圧力によって決まる一義的な関係が存
在すると考えてよい。ただしここでは、反応性スパッタ
リングのような反応種の輸送が膜厚・膜質分布に大きく
影響するようなものは対象とせず、単純な希ガス(Ar
等) のみによる単体のスパッタリングを考える。スパッ
タリングされたターゲット材の原子がターゲットから飛
び出すときの角度分布は、ほぼコサイン則に従うことが
知られている。あるエロージョン分布が実現されている
とき、基板をターゲットの近くまで近付ければ、すなわ
ちターゲット・基板間距離( 以後T/S 距離と呼ぶ) を小
さくすると、ターゲットのエロージョン分布がそのまま
反映されたような膜厚分布が得られる。一方、T/S 距離
を大きくしていくと、次第にターゲットのエロージョン
分布がコサイン則に従ってぼかされ、全体として幅の広
い山型の膜厚分布が得られる。このため、一般的に、あ
る程度のT/S 距離があり、ターゲットの大きさを基板の
大きさに比べて十分大きくとれない場合、基板全体に膜
厚が一定となるように成膜を行うためには、基板中央部
に対向する部分のエロージョン量を、基板周辺部に対向
する部分に比べて小さく設定する必要がある。このよう
な傾向・特徴を、発明者等は定量的・系統的に扱い、マ
ルチ円形カソード方式において矩形の基板上に均一な膜
厚分布を得るためには、どのようなエロージョン分布に
すれば良いかを検討した。一例として、500mm ×600mm
の大きさの基板に対向して、4 個の円形カソードをT/S
距離を180mm として配置した場合の結果を図1に示す。
同図は4 個の円形カソード上の各点で、エロージョンの
深さを円の面積で表示したエロージョン分布図である。
同図から、一見して分かるように、均一な膜厚分布を得
るためには、エロージョン分布形状はどうしても不均一
なものになってしまう。
【0015】円形カソードにおいて特定の不均一なエロ
ージョン分布を作るために、カソードの背後に設置した
磁石を利用することが考えられる。前記のとおり、図7
に示されるような従来のカソードにおいては、磁石を等
速度で回転させているため、磁石の回転周期よりも十分
長い時間、放電を持続させると、軸対称形状のエロージ
ョン分布が実現されていた。しかし、この回転を等速度
ではなく一周期内で速度分布を持ったような回転にすれ
ば、エロージョン形状は軸対称形状とはならず、膜厚分
布均一性を確保できるような適当な不均一エロージョン
分布を作り出すことが可能である。もちろん、磁石を回
転しないで静止させたままスパッタリングを行う方法で
も、ある特定の不均一エロージョン分布を作ることは不
可能ではない。しかし、その場合には、磁石の形状・配
置を最初から適当に設定する必要があり、これを実現す
るための磁石の設計・製作は容易なものではない。一
方、磁石を速度分布を持たせて回転させる方法では、一
周期中の回転速度分布を適切に変更することが可能なた
め、回転速度分布の変更により、エロージョン分布を調
整して、膜厚分布を改善することが可能である。
【0016】さらに、マルチカソード方式では、各カソ
ードに印加する電力を独立に制御することが可能であ
る。そのため、特定のカソードに印加する電力の増減に
よりプラズマ密度を変化させることができる。その結
果、カソードに対向した基板上の領域の膜厚の増減が可
能となる。
【0017】このように、本発明の構成によるスパッタ
リング装置では、磁石回転速度分布の調整、並びに各カ
ソードの放電電力調整という二重のエロージョン分布調
整機能を有しており、これらの調整機能を介して適当な
分布のエロージョンを設定でき、膜厚分布の均一性を容
易に確保することができる。
【0018】
【実施例1】図2は本発明によるスパッタリング装置の
一実施例である。このスパッタリング装置は、基板搬送
室1を中心として、その回りに、未処理基板をセットす
るための基板ロード室2、成膜済みの基板を取り出すた
めの基板アンロード室3、基板のガス出しを行うための
基板加熱室4、成膜を行うためのスパッタリング室5が
接続された構成となっており、各室はそれぞれ独立した
排気ポンプ(図示せず)を有している。基板搬送室1と
各室との間にはゲートバルブ6〜9が設けられており、
各室を完全に隔離している。そのため、各室はそれぞれ
独立に排気して真空状態に保持できる構成となってい
る。基板搬送室1、基板加熱室4、スパッタリング室5
は通常真空状態に保持・管理されている。基板ロード室
2、及び基板アンロード室3は、基板の導入時及び取り
出し時には、それぞれリークバルブ10、11を用いて
窒素ガスを内部に導入して室内を大気圧に戻したり、排
気ポンプにより真空状態にすることができる。基板搬送
室1内には基板搬送用のアームロボット13が設置され
ており、基板を基板加熱室4、スパッタリング室5、基
板ロード室2、及び基板アンロード室3に出し入れでき
る。基板加熱室4はスパッタリング前に基板自体を真空
中で高温に加熱、保持し、基板に吸着している水分や余
分なガスを放出させるためのものであり、その室内には
基板加熱用のランプヒーター14が設置されている。ス
パッタリング室5内には、矩形の基板15に対向するよ
うな配置で、4基の円形マグネトロンカソード16〜1
9が設置されている。また、スパッタリングを行うため
のArガス導入バルブ20が設置されており、マグネトロ
ン放電を維持するために必要な圧力が自動的に設定され
るようになっている。この4基のカソードにはそれぞれ
独立した電源21〜24が接続されていて、それぞのカ
ソードに負の電圧を印加することができる。それらの印
加電力はコンピューター25により制御可能となってい
る。
【0019】矩形の基板15と4基の円形マグネトロン
カソード16〜19との相対的な配置関係を図3に示し
た。図3(a)は基板と4基のカソードを表す平面図、
図3(b)は同じく俯瞰図である。この場合の基板の大
きさは横500mm ×縦600mm である。円形カソードは14
インチ径であり、その外形・構造は4基とも同一であ
る。また、基板表面とカソード表面は互いに平行ではな
く、各カソードは基板中心の鉛直軸50に向かって傾い
ている。この実施例では、基板中心の鉛直軸50とカソ
ード中心を通る鉛直軸51から構成される平面内で、カ
ソード面の法線52がカソード中心を通る鉛直軸51と
20度の角度をなすように各カソードを傾けている。こ
のようにカソード面を基板中心にむけて傾けることによ
り、スパッタリングによりカソード表面から飛び出す原
子を基板上に有効に堆積させることができる。
【0020】図4は本実施例で用いられている円形マグ
ネトロンカソード16〜19の構造を示したものであ
り、図4(a)は一つのカソードの断面図である。スパ
ッタリング室5を構成した真空チャンバーの一部の壁部
100に絶縁スペーサー101を介してカソードボディ
102が、またカソードボディの上部に裏板103が、
それぞれOリング104及びOリング105を介して気
密に取り付けられている。このカソードボディ102と
裏板103により、チャンバー壁の一部が構成され、大
気部と真空室内とが隔てられている。真空と大気とのシ
ールはOリング104、Oリング105により行なわれ
る。裏板103の表面には所定の材質のターゲット10
6がインジウム等の低融点ろう材により接着されてい
る。ターゲット106の周辺には、ターゲット以外の部
分がスパッタリングによってエッチングされるのを防止
するためのシールド107が設けられている。裏板10
3の大気側には裏板103とターゲット106を冷却す
るための水冷ジャケット108が設けられている。この
水冷ジャケット108の内部には裏板103全体を均一
に冷却するために、全域にわたって水路109が設けら
れていて、水導入パイプ110から冷却用水が導入さ
れ、水排出パイプ111から使用後の冷却用水が排出さ
れるようになっている。水冷ジャケット108の背後に
は、磁石112が配置され、この磁石は磁石ベース11
3の上に固定されている。さらに、この磁石ベース11
3はモーター114の回転軸に結合されていて、図4
(a)の矢印117の方向に、磁石112及び磁石ベー
ス113全体が回転できるようになっている。この場
合、モーターの回転軸はカソードの中心軸に一致してい
るが、磁石の中心からは大きくずれていることが特徴的
である。このモーター114は、カソード全体をおおっ
ているカソードカバー115に固定されている。このモ
ーターの回転のための電力はモーター電源116から供
給される。本スパッタリング装置ではカソードが4基搭
載され、各カソードにモーター114が設置されている
が、このモーター電源116一つで4個のモーターの電
力をまかなっている。さらに、このモーター電源116
はコンピューター25と接続されていて、それぞれのカ
ソードに設置されたモーターの回転が、コンピューター
25で、夫々独立に制御できる構成となっている。コン
ピューター25は回転磁石の回転手段であるモーター1
14に対し、回転速度分布の調整手段を構成している。
また、このコンピュータ−25には前記のとうり、放電
用電源21、22、23、24の出力調整手段も含んで
いるものである。この構成により、各モーターの1周期
内の回転速度分布をコンピューター上でプログラムして
おけば、それに対応した各カソードの磁石回転速度分布
を得ることができる。設定された磁石回転速度分布によ
り、各カソードのターゲットのエロージョン分布が決定
される。また、マグネトロン放電を維持させるための電
力を供給する電源21も、各カソードごとに設置され、
その制御系統は一つのコンピューター25に集約されて
いる。すなわち、この一つのコンピューター25によ
り、4基のカソードの磁石回転速度と放電電力を制御し
ている。
【0021】図4(b)は上記カソード内の、ターゲッ
ト106と磁石112の形状・配置を示すための平面図
である。磁石112は縦断面が矩形の磁石を、楕円環状
に配置・構成したものである。磁石112の磁化方向は
楕円環の内側から外側へ向かう方向に設定している。磁
石の材質はNd-Fe-B 系のものを使用した。このような磁
石構成にすることにより、ターゲット106の表面上に
トンネル状の磁束線が形成され、これに沿って環状プラ
ズマが形成される。磁石112の中心はターゲット10
6の中心から大きくずれ、ターゲット周辺部に対向させ
て設置されている。前記モーター114の回転により、
磁石112はターゲット106の中心の回りを、前記コ
ンピューター上にプログラムされた通りの速度分布を持
って周回運動する。
【0022】ここで、磁石の回転速度分布は以下のよう
に設定している。基板の短辺方向をX軸方向、長辺方向
をY軸方向とし、ターゲットの中心と磁石中心を結ぶ線
がX軸とのなす角度をθとする。磁石回転速度はθの関
数として表現される。本実施例では、基板15の右上に
位置するカソード16(図3(a)参照)に対しては、
図5(a)に示すような回転速度分布に設定した。カソ
ード16と対角側のカソード18では、図5(a)の速
度分布に対して、ちょうど180度だけ位相が進んだよ
うな速度分布を設定した。また、基板の右下側に位置す
るカソード19では、図5(b)のような回転速度分布
に設定した。この分布は、図5(b)に示す速度分布
を、θに対して逆転した分布となっている。カソード1
7の磁石回転速度分布は、図5(b)の速度分布に対し
て、180度だけ位相が進んだような速度分布を設定し
た。4個のカソードに対して、以上述べたような磁石回
転速度分布を設定することにより、図1に示したよう
な、膜厚分布の均一性を確保するための理想的なエロー
ジョン分布に類似したエロージョン分布を実現すること
ができる。このエロージョン分布に対して得られる膜厚
分布は、理想的な場合から多少ずれているので、完全に
均一な膜厚分布が得られるわけではないが、それでも50
0mm ×600mm サイズの基板に対して±5%程度の膜厚分布
均一性が得られる。
【0023】以上のような構成・設定のスパッタリング
装置を用いて、実際に成膜する場合の手順を図2に従っ
て説明する。成膜を開始する前に、基板搬送室1、基板
ロード室2、基板アンロード室3、基板加熱室4、スパ
ッタリング室5の各室は高真空状態に排気される。ゲー
トバルブ6〜9はいずれも閉の状態にある。まず、基板
を基板ロード室2にセットするため、リークバルブ10
を開にして窒素ガスを導入し、基板ロード室2を大気圧
に戻す。基板15をセットした後、基板ロード室2内は
再び真空排気される。ゲートバルブ6が開き、アームロ
ボット13が基板15を基板ロード室2から基板搬送室
1へ搬送する。ゲートバルブ6が閉じた後、ゲートバル
ブ8が開き、基板15はアームロボット13により基板
加熱室4に移される。ゲートバルブ8が閉じ、ランプヒ
ーター14による基板の加熱が開始される。基板に吸着
していたガスが十分放出された後、ゲートバルブ8が開
き、アームロボット13が基板15を再び基板搬送室1
に戻す。次に、ゲートバルブ9が開き、基板15はスパ
ッタリング室5に移される。ゲートバルブ9が閉じた
後、Arガス導入バルブ20が開き、スパッタリング室5
内の圧力は約0.6Paに調節される。コンピューター
25からの指令により、各マグネトロンカソードの磁石
112がモーター114の動力を受けて回転を開始す
る。この回転は各カソード毎に前記のような速度分布を
持ったもので、各カソード毎に個別に調整される。その
後、各電源21〜24から電力が各カソード16〜19
に供給され、マグネトロン放電を生じさせることによ
り、基板15上にターゲット材の原子が堆積し薄膜が形
成される。各カソードに導入される放電々力も個別に調
整されるが、ここでは各カソードに供給される電力の値
はすべて等しく設定している。薄膜の厚さが所定値に達
したら、電力の供給を停止することにより、放電を停止
させる。Arガス導入バルブ20を閉じることにより、ス
パッタリング室5内は再び高真空状態に排気される。こ
の後、ゲートバルブ9が開き、アームロボット13が基
板15をスパッタリング室5から基板搬送室1に移す。
ゲートバルブ9が閉じた後、今度はゲートバルブ7が開
き、基板がアンロード室3へ移される。ゲートバルブ7
が閉じ、リークバルブ11が開き窒素ガスが導入され、
アンロード室3内は大気圧に戻される。基板15がアン
ロード室3から取り出されて、一連の成膜工程が終了す
る。
【0024】以上の説明では、一工程中スパッタリング
装置内には基板15は一枚しか存在していなかった。し
かし、前記の通り、各室は完全に独立して排気可能なた
め、基板15が基板搬送室1以外の一室で処理されてい
る最中でも、次の処理用の基板15を他の室で処理する
ことが可能である。そのためこの装置は非常に高い生産
性を有している。ここで、本実施例におけるターゲット
106の大きさを、従来のスパッタリング装置で使用さ
れていた矩形のターゲットの大きさと比較してみる。従
来、矩形のターゲットを用いて矩形の基板上に均一な膜
厚分布を得るためには、基板面積の2倍以上のターゲッ
ト面積が必要であった。しかし、本実施例の場合には、
4個のターゲットの総面積は基板面積の約1.3倍にし
か達しない。このように、本発明によれば、必要なター
ゲット面積を大幅に減少させることができる。また、そ
の製造コストは大幅に低減される。
【0025】
【実施例2】本実施例の構成(図6)では、実施例1の
場合に比べて、カソードが5基に増えたため基板とカソ
ードの相対的な配置方法が異なる。しかし、他の構成は
実施例1と同様であるので、実施例1と大きく異なる点
のみを説明する。図6は、矩形の基板15と5基の円形
マグネトロンカソード201〜205との相対的な配置
関係を示したものである。基板15の中心に対向する位
置に、6インチ径のカソード201を、またそれを囲む
ように4基の12インチ径のカソード202〜205を
配置した。カソード202〜205の内部構成は、実施
例1の場合と同様であるが、中心にあるカソード201
の磁石は、図8に示した従来のものと類似した構造のも
のを使用した。そのため、カソード201はターゲット
全面がスパッタリングによってエロージョンされるタイ
プのものである。ただし、磁石の回転機構は、その回転
速度に分布を持たせることが出来るように構成してい
る。
【0026】実施例1では、成膜時の放電電力は4基の
カソードに等しく投入されていたが、本実施例では、中
心のカソード201に投入する電力と、周囲のカソード
202〜205に投入する電力が異なるように設定して
いる。ここでは、カソード202〜205にはそれぞれ
4Kw、カソード201には1.1Kwの電力を投入し
た。これらの電力がそれぞれ独立にコンピューターによ
り制御されることは実施例1と同様である。
【0027】ここで、磁石の回転速度分布は以下のよう
に設定している。実施例1と同様に、基板の短辺方向を
X軸方向、長辺方向をY軸方向とし、ターゲットの中心
と磁石中心を結ぶ線がX軸とのなす角度をθとする。磁
石回転速度はθの関数として表現される。本実施例で
は、基板の右上に位置するカソード202(第6図参
照)に対しては、図7(a)に示すような回転速度分布
に設定した。カソード202と対角側のカソード204
では、図7(a)の速度分布に対して、ちょうど180
度だけ位相が進んだような速度分布を設定した。また、
基板の右下側に位置するカソード205では、図7
(b)のような回転速度分布に設定した。この分布は、
図7(a)に示す速度分布を、θに対して逆転した分布
となっている。カソード203の磁石回転速度分布は、
図7(b)の速度分布に対して、180度だけ位相が進
んだような速度分布を設定した。さらに、中心に位置す
るカソード201に対しては、図7(c)に示すような
磁石回転速度分布に設定した。5個のカソードに対し
て、以上に述べたような磁石回転速度分布を個別に設定
することにより、500mm×600mmサイズの基板に対
して±5%程度の膜厚分布均一性が得られる。
【0028】以上の実施例では、スパッタリング室5に
設置するカソードの数は4個ないし5個であった。しか
し、本発明はスパッタリング室5に設置するカソード数
を限定するものではなく、これに関しては種々の変形が
考えられる。また、スパッタリング室5、基板加熱室4
等の処理室の数も増設可能であることはいうまでもな
い。更に、実施例では、放電電力を各カソード毎に調整
したが、放電電力は各カソードに一定値を印加する場合
も、本発明の技術範囲である。
【0029】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、円
形ターゲットを用いたマルチカソード方式のスパッタリ
ング装置においても、大型矩形基板上の膜厚分布の均一
性を確保することが可能である。これにより、ターゲッ
ト面積の大幅な縮小化が可能であり、ターゲット製造の
ためのコストが大幅に低減できる。また、装置の小型化
も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】4基のカソードを配置したマルチカソード方式
のスパッタリング装置において、500mm ×600mm サイズ
の基板全域に、膜厚分布の均一性を確保するための理想
的なエロージョン分布で、各点のエロージョン深さを円
の面積で表示した図である。
【図2】本発明の実施例1で用いたスパッタリング装置
の構成を表す図である。
【図3】図2のスパッタリング装置のスパッタリング室
に設置される4基のカソードと基板との相対的な配置を
表す図であり、(a)は平面図、(b)は俯瞰図であ
る。
【図4】図2のスパッタリング装置のカソードの構成を
表した図であり、(a)はカソードの断面図、(b)は
カソード内のターゲットと磁石の位置関係を表す平面図
である。
【図5】図4のカソードの磁石の、1周期中の回転速度
分布を表す図であり、(a)はカソード16の、(b)は
カソード19の磁石の回転速度分布図である。
【図6】本発明の実施例2で用いたスパッタリング装置
の、スパッタリング室に設置される5基のカソードと基
板との相対的な配置を表す平面図である。
【図7】図6のカソードの磁石の、1周期中の回転速度
分布を表す図であり、(a)はカソード202の、
(b)はカソード205の、(c)はカソード201の
磁石の回転速度分布図である。
【図8】従来のカソードを説明する図で、(a)はター
ゲットと磁石の位置関係を表す平面図、(b)は同じく
縦断面図である。
【符号の説明】
1 基板搬送室 2 基板ロード室 3 基板アンロード室 4 基板加熱室 5 スパッタリング室 6、7、8、9 ゲートバルブ 10、11 リークバルブ 13 アームロボット 14 ランプヒーター 15 基板 16、17、18、19 マグネトロンカソード 20 導入バルブ 21、22、23、24 電源 25 コンピューター 50、51 鉛直線 52 法線 100 壁部 101 絶縁スペーサー 102 カソードボディー 103 裏板 104、105 Oリング 106 ターゲット 107 シールド 108 ジャケット 109 水路 110 水導入パイプ 111 水排出パイプ 112 磁石 113 磁石ベース 114 モーター 115 カソードカバー 116 モーター電源 201、202、203、204、205 マグネト
ロンカソード
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年2月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に回転磁石を備えた円形カソード
    と基板を対向させて、基板表面に薄膜を形成するマグネ
    トロンスパッタリング方法において、前記円形カソード
    は複数基として、夫々基板と対向させ、スパッタリング
    中、各円形カソードの回転磁石の回転速度分布を個別に
    調整することを特徴とするマグネトロンスパッタリング
    方法。
  2. 【請求項2】 各円形カソードに投入する放電電力を
    個別に調整する請求項1記載のマグネトロンスパッタリ
    ング方法。
  3. 【請求項3】 スパッタリング室に、回転磁石を備え
    た円形カソードが基板と対向可能に設置され、該円形カ
    ソードに放電用電源が接続されているマグネトロンスパ
    ッタリング装置において、前記円形カソードが複数基と
    され、各円形カソードの回転磁石の回転手段に、回転速
    度分布の調整手段が接続してあることを特徴とするマグ
    ネトロンスパッタリング装置。
  4. 【請求項4】 回転速度分布の調整手段に、更に、放
    電用電源の出力調整手段を含んでいる請求項3記載のマ
    グネトロンスパッタリング装置。
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