JP4274452B2 - スパッタ源及び成膜装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパッタ源及び成膜装置に関し、被処理物の上に金属や絶縁物などからなる反射膜や透過膜などの薄膜を堆積するマグネトロンスパッタ方式のスパッタ源及び成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体装置や液晶ディスプレイあるいは光ディスクなど各種の製品の製造工程において被処理物例えば、ウェーハやガラス基板の上に各種の薄膜を堆積するスパッタリング型の成膜装置(以下、「スパッタ装置」と称する)が広く用いられている。
【0003】
スパッタ装置は、真空容器内に設けられた所定の堆積物のターゲットを陰極にバイアスしておき、これに対して、アルゴン(Ar)などの放電用ガスのイオンを衝突させることにより、ターゲットを構成する材料を原子状、分子状あるいはクラスタ状で叩き出して所定の基板上に薄膜として堆積させるものである。
【0004】
このようなスパッタ装置においては、ターゲットの表面近くの空間におけるグロー放電によるプラズマの密度を高めてスパッタリング速度を上げるために、いわゆる「マグネトロン方式」が広く用いられている。マグネトロン方式とは、ターゲットの裏面側に磁石を設け、その発生磁界によって荷電粒子をターゲットの表面近傍に閉じこめることにより高いプラズマ密度を得るものである。このようにしてプラズマ密度を高めることにより、高速なスパッタリングを行い、被処理物への堆積速度を増加することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなマグネトロン方式のスパッタ装置においては、ターゲット裏面の磁石を固定配置すると、発生磁場も固定されてこの部分にプラズマが集中してしまう。例えば、磁石を円形あるいは楕円形状に配置した場合、ターゲットから叩き出されるスパッタ粒子が最も多くなる位置も、円形あるいは楕円形状となる。すると、基板などの被処理物の上に堆積される薄膜の膜厚分布が不均一となり、同時にターゲットにおけるエロージョンも円形あるいは楕円形状となる。つまり、ターゲットの消耗が局所的に生ずるため、利用効率が低下するという問題が生ずる。
【0006】
これに対して、ターゲット裏面側の磁石を走査させるという方法も考えられる。例えば、特許第2646260号公報には、半月形状に環状配置された磁石を所定の回転軸の周りに回転させるスパッタ装置が開示されている。しかし、この装置の場合、一重の環状磁石が設けられ、その内側側面のN極と外側側面S極との間で発生する磁場によりプラズマが閉じこめられる。従って、プラズマが閉じこめられる範囲は一重の環状磁石の上部のみに限定されてしまう。このような狭い磁場を発生する一重の半月形状の磁石を回転させるだけでは、ターゲットの表面を走査できる範囲は限定されており、長期の使用に伴うターゲットのエロージョンの均一性については改善の余地があった。
【0007】
一方、特開平9−143713号公報においては、2重の環状磁石を用い、さらに、これら環状磁石のそれぞれとターゲットととの距離を適宜変えるスパッタリング装置のマグネトロンユニットが開示されている。しかし、この装置の場合、磁石を回転させるだけはなく、ターゲットに対して接近させあるいは引き離すための移動機構も必要とされるために構造が複雑になり、装置コストが上昇するとともに、信頼性やメンテナンス性が低下する虞がある。
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、簡略な構成でターゲットのエロージョンを一様に生じさせ、被処理物の上に堆積される薄膜の膜厚分布も均一にできるスパッタ源及び成膜装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のスパッタ源は、ターゲットに磁場を印加しつつ前記ターゲットのスパッタリングを実施可能としたスパッタ源であって、回転軸に対して鉛直な面上において環状に設けられた内磁と、前記面上において前記内磁の外側に環状に設けられた外磁と、を備え、前記内磁と外磁との間に形成される磁場トンネルの中心線は、円弧状の部分と、前記円弧状の部分に連結した扇状の略直線部と、を有する環状の線であり、前記外磁の少なくとも一部が、前記ターゲットの外縁よりも外側にはみ出して設けられ、前記回転軸の中心点が、前記内磁の扇状の略直線部の内縁と近接する内側の領域であって、前記磁場トンネルの外側に形成される磁界の広がる範囲に含まれるように設けられたことを特徴とする。
【0010】
また、前記内磁の円弧状の部分の半径を73mm、前記外磁の円弧状の部分の半径を103mm、前記磁場トンネルの中心線の略直線部の交点と、前記円弧状の部分の中心点との距離を30mm、とした場合に、前記磁場トンネルの中心線の対称軸と前記略直線部とのなす角度θは、45°以上135°以下であるとすれば、円弧部と直線部とのバランスが好適となり、良好な膜厚均一性と均一なターゲットのエロージョンが得られる。
【0011】
ここで、前記角度θを、75°以上85°以下とすると、特に良好な膜厚均一性と均一なターゲットのエロージョンが得られる。
【0013】
前記構成によれば、ターゲットの外縁部まで磁場を印加することにより、ターゲットの全面に渡って磁場を走査して均一なエロージョンを進行させ、膜厚分布の均一性も改善することができる。
【0014】
ここで、前記内磁と外磁との間に形成される磁場トンネルの中心線は、前記ターゲットの外縁よりも外側にはみ出さないように設けられたものとすれば、ターゲットの外側でスパッタリングが生ずることも防げる。
【0016】
そして、上記したいずれかのスパッタ源において、前記内磁及び前記外磁の前記略直線部に対応する部分は、複数の磁石ブロックを階段状に配置してなるものとすることができる。
【0017】
または、前記内磁及び前記外磁の前記略直線部に対応する部分は、前記円弧状の部分に対応する部分から連続的に形成された曲線に形成されてなるものとすることができる。
【0018】
または、前記内磁及び前記外磁の前記略直線部に対応する部分は、前記対称軸に対して略垂直な複数の直線部を互いにずらして配置してなるものとすることができる。
【0019】
一方、前記回転軸は、前記円弧状の部分の中心点を通過するものとすれば、基板の中央部から周辺部にわたって極めて均一な膜厚分布が得られる。
【0020】
または、前記回転軸は、前記円弧状の部分の中心点を通過しないものとすれば、基板の中央部における膜厚を薄くすることができ、光ディスクの製造などに用いて好適である。
【0021】
上述したいずれかのスパッタ源を備え、被処理物の表面に薄膜を堆積可能とした成膜装置は、優れた膜厚均一性とターゲットの利用効率とを実現できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態にかかるスパッタ源の要部構成を例示する概念図である。すなわち、同図(a)は、ターゲット裏面に設けられる磁石の配置を表す平面図であり、同図(b)はそのA−A線断面図である。
【0024】
また、図2は、本発明の実施の形態にかかる成膜装置の要部構成を例示する断面図である。
【0025】
図1に例示したように、本発明のスパッタ源は、磁石取り付け板4の上に環状に設けられた内磁1と外磁2を有する。内磁1は、ターゲット15に向かって例えばN極を有し、外磁2はターゲット15に向かってS極を有する。但し、磁極の極性はこれと反対でもよい。そして、このように反対の極性を有する内磁と外磁とにより、ターゲット15の表面近傍に磁界を印加するための磁気回路が形成される。
【0026】
図2を参照しつつ、本発明の成膜装置の全体構成についてまず概説すると以下の如くである。
【0027】
本発明の成膜装置は、スパッタ源Sが取り付けられた真空チャンバ11を有する。真空チャンバ11は、真空排気系21により減圧雰囲気を維持可能され、その内部には、支持台20の上にウェーハなどの被処理物19が適宜配置される。また、真空チャンバ11は、スパッタリングガスを導入するためのガス導入口18を有する。
【0028】
スパッタ源Sは、バッキング・プレートBにとりつけられたターゲット15を有する。ターゲット15は、ターゲット抑え16により固定され、その裏面側には、冷却機構14を介して、磁石Mが設けられている。磁石Mは、ハウジング10に取り付けられた回転機構9によって回転軸8の周りに回転可能とされ、発生する磁場をターゲット15の表面近傍の空間に印加する。また、ターゲット15は、バイアス電圧を印加するため、絶縁リング13により絶縁され、また、Oリングなどのシール機構12を設けることにより真空チャンバ11の気密が維持されている。
【0029】
図2に例示した成膜装置の動作について説明すると、まず、所定の被処理物19を支持台20の上に載置し、真空チャンバ11を排気する。しかる後に、ガス導入口18からアルゴン(Ar)などの所定のスパッタリングガスを導入する。そして、回転機構9によって磁石Mを回転させながら、ターゲット15に所定の負電圧をバイアスする。すると、磁石Mにより形成される磁気トンネルによりターゲット15の表面近傍にプラズマが高い密度で発生し、そこで発生した荷電粒子が負電圧にバイアスされたターゲット15に衝突してターゲット15の材料を叩き出し、被処理物19の上に薄膜として堆積される。
【0030】
さて、以上説明した成膜装置において、磁石Mを図1に例示した如く形成すると、被処理物19に堆積される薄膜の膜厚分布を均一にして、同時にターゲット15のエロージョンも均一に発生させることが可能となる。
【0031】
以下、本発明における内磁1及び外磁2の形状的な特徴点について詳細に説明する。
【0032】
まず、本発明においては、磁石Mを2重の環状に設けられた内磁1と外磁2とにより形成する。このような独特の平面形状を有する磁石をその円弧部の中心点Oの周りに回転させ、あるいは後に詳述するように、中心点Oから所定距離だけ偏心させた軸の周りに回転させる。
【0033】
本発明によれば、このように内磁1と外磁2との間で磁気回路を形成することにより、ターゲット15の表面近傍に幅広い磁場を印加することができる。つまり、内磁1のN極と外磁2のS極との間で生ずる磁場の範囲は、内磁1と外磁2との間隔Dに応じて広げることができる。その結果として、ターゲット15の幅広い範囲をスパッタでき、堆積する薄膜の膜厚分布を均一化できるとともに、ターゲットのエロージョンも均一化することが可能となる。
【0034】
本発明者が独自に行った試作検討によれば、中心点Oから内磁1の外側側面までの半径をR1、中心点Oから外磁2の外側側面までの半径をR2、中心点Oからターゲット15の外縁までの半径をR3とした場合に、次の条件が満たされる範囲にすると優れた均一性が得られることが判明した。
【0035】
R1(内磁)<R3(ターゲット)<R2(外磁) (1)
【0036】
つまり、外磁2の外縁がターゲット15よりも外側にはみ出すように配置することが望ましい。この理由は、定性的には、上記(1)の条件においては、ターゲット15の外縁の端まで磁気が走査され、ターゲットの全面に渡ってエロージョンが均一に進むからである。
【0037】
図3は、内磁及び外磁とターゲットとの位置関係を説明するための断面図である。なお、同図において、中心点Oは、磁石の円弧部の中心点であると同時に円形のターゲットの中心でもある。
【0038】
同図に表したように、内磁1と外磁2との間には、扇形の磁力線からなる磁気トンネルTが形成される。プラズマは、磁気トンネルTの中心C1の近傍において最も高い密度で閉じこめられる。
【0039】
上記(1)に表したように、外磁2の外側側面がターゲット15よりも外側にはみ出すと、ターゲット15の外縁部まで磁気を走査することができる。
【0040】
但し、外磁2がターゲット15よりも外側に過度にはみ出すと、ターゲットよりも外側でスパッタリングが生ずる虞もある。従って、ターゲットの外側でのスパッタリングを防ぐためには、磁気トンネルTの中心C1がターゲット15からはみださないように配置することが望ましい。
【0041】
磁気トンネルTの中心C1の位置は、内磁1と外磁2との間隔の中心C2に近似できる。つまり、中心点Oから、内磁1と外磁2との間隔の中心C2までの距離をR4とした時に、次の条件が満たされることが望ましい。
【0042】
R4(内磁と外磁の中心までの距離)<R3(ターゲットの半径) (2)
【0043】
前述した(1)の条件に加えて上記(2)の条件が満たされれば、ターゲット15からはみ出すことなくその外縁まで全面に渡って磁気を走査し、エロージョンを均一に進ませることができる。
【0044】
次に、本発明における内磁1及び外磁2の形状の特徴点について説明する。
【0045】
本発明においては、図1に例示したように、2重の環状に設けられた内磁1と外磁2との間で形成される磁気トンネルTの中心線3が、中心点Oの周りに設けられた円弧部3Aと、この円弧部に連結された扇状の直線部3Bと、を有する。
【0046】
つまり、内磁1及び外磁2も、中心点Oの周りに設けられた円弧部1A及び2Aと、この円弧部に連結された扇状の直線部1B及び2Bと、を有する。
【0047】
本発明においては、このような独特の平面形状を有する磁石をその中心点Oの周りに回転させ、あるいは後に詳述するように、特定の用途においては、中心点Oから所定距離だけ偏心させた軸の周りに回転させる。
【0048】
環状の内磁1及び外磁2をそれぞれ円弧部1A及び2Aと、扇状の直線部1B及び2Bとにより構成することにより、ターゲット15の表面におけるプラズマの密度の分布を従来よりも均一化することができる。例えば、図1(a)に例示したような形状の磁石を中心点Oの周りに回転させた場合、略円形のターゲット15の中心付近は、内磁1と外磁2とにより生ずる磁場が直接的には印加されない。
【0049】
しかし、本発明者の独自の試作検討の結果、ターゲット15の表面において磁界が印加される範囲(例えば、内磁1と外磁2との間の範囲)と、スパッタリングによるエロージョンが生ずる範囲とは必ずしも厳密には一致しないことが分かった。つまり、ターゲットのエロージョンは、実際に磁界が印加される範囲よりも広がって生ずる場合が多いことが判明した。これは、磁界によるプラズマの「閉じこめ効果」や、その結果として生ずる「スパッタリング密度の分布」には、ある程度の広がりが生ずるからであると推測される。つまり、ターゲット15の表面におけるエロージョンは、内磁1と外磁2との間で生ずる磁界が走査される範囲の両側にある程度の「広がり」を加味して生ずる。
【0050】
つまり、ターゲット15の中心点付近の領域は、内磁1と外磁2との間で生ずる磁界は直接的には印加されないが、図1に例示した形状を有する磁石を中心点Oの周りに回転した場合には、扇状の直線部1B及び2Bの交差点付近からの影響を常に受けることとなる。その結果として、一定時間のスパッタリングの積分値は、ターゲットの中央部と周辺部とでほぼ同一にすることができる。
【0051】
さらに、本発明者は、扇状の直線部1B及び2Bが対称軸Yとなす角度θをした時に、角度θを様々に変化させて、得られた薄膜の膜厚分布やターゲットのエロージョンの分布について調べた。
【0052】
図4は、上記角度θと、その磁石を用いてスパッタ成膜した薄膜の膜厚分布との関係を表すグラフ図である。ここでは、被処理物として直径120mmの円形の基板を用い、基板上に堆積された薄膜の最も厚い部分と薄い部分との割合を図4の縦軸に表した。また、ターゲット15の半径R3は100mm、内磁1の半径R1は73mm、外磁2の半径R2は103mmとした。さらに、図1に表した扇形の中心ODと円弧部の中心Oとの距離は、30mmとした。
【0053】
図4から、角度θが次の範囲にある時、膜厚の分布は、概ね18パーセント以下となり、良好な均一性が得られていることが分かる。
【0054】
45°≦θ≦135° (3)
【0055】
これは、定性的に説明すれば、この角度θの範囲において、ターゲット15の表面におけるプラズマ密度の積分値が均一になるからであると考えられる。
【0056】
特に、角度θを次の範囲とした場合に、膜厚の分布は2パーセント以下となり、最も優れた膜厚均一性が得られていることが分かる。
【0057】
75°≦θ≦85° (4)
【0058】
図5は、角度θが45°、80°、135°における基板上での膜厚分布を定性的に表すグラフ図である。同図に表したように、角度θが45°の場合は、基板の中心から約30mmの位置に膜厚のピークがある。これに対して、角度θが80°の場合には膜厚の分布は非常に平坦となる。そして、角度θが135°になると、膜厚のピークは基板の外周部へずれる。
【0059】
図5に表した分布の変化を定性的に説明すると次の如くである。すなわち、角度θが小さくなると、図1に例示した形状における円弧部(1A、2A)の割合が小さくなる。その結果として、ターゲットの周辺部に印加される磁場の割合が減少し、膜厚のピークが中央に寄る。
【0060】
これに対して、角度θが大きくなると、図1に例示した形状における円弧部の割合が大きくなる。その結果として、ターゲットの周辺部に印加される磁場の割合が大きくなり、膜厚のピークが外側に移動する。
【0061】
そして、角度θが80°の場合には、図1に例示した形状における円弧部(1A、2A)と直線部(1B、2B)の割合が丁度良く、ターゲットの中央部と周辺部において均一に磁場が走査されるため、平坦な膜厚分布が得られる。この時に、ターゲットのエロージョンもほぼ均一に進行するため、ターゲットの利用効率も改善することができる。
【0062】
次に、本発明の変型例について説明する。
【0063】
図6乃至図8は、本発明における磁石Mの平面形状の変型例を表す概念図である。
【0064】
まず、図6に例示した磁石の場合、内磁1及び外磁2の直線部1B及び2Bが、それぞれ複数のブロックCによって階段状に形成されている。
【0065】
また、図7に例示した磁石の場合、内磁1及び外磁2の直線部1B及び2Bは、円弧部から連続的に連なる曲線状に変形されている。
【0066】
さらに、図8に例示した磁石の場合、内磁1及び外磁2の直線部1B及び2Bは、対称軸Yに対して略垂直な2つの直線部L1及びL2に変形されている。
【0067】
図6乃至図8のに例示したいずれの変型例においても、図1に例示したものと同様の作用効果を得ることが可能である。すなわち、これらの変型例においても、扇状の直線部1B及び2Bを近似した場合に、上記(1)乃至(3)の関係が満足されれば、図1に関して前述したものと同様の効果を得ることができる。
【0068】
さらに、本発明においては、磁石Mを中心点Oから偏心させて回転することもできる。図9は、磁石Mを偏心させて回転させる成膜装置を例示する断面図である。同図については、図1乃至図8に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
図9に例示した成膜装置においては、磁石Mの回転軸8は、中心点Oに対して所定距離Fだけ偏心している。ここで、中心点Oは、内磁1と外磁2の円弧部1A及び2A(すなわち中心線3の円弧部3A)の中心である。このように中心点Oに対して偏心させて磁石Mを回転させることにより、ターゲット15の中央部と周辺部におけるエロージョンの分布や被処理物の膜厚分布をさらに微調節し最適化することが可能となる。
【0070】
このように磁石を中心点Oに対して偏心した軸の周りに回転させる方法は、例えば、光ディスクの製造などに応用して好適である。
【0071】
図10は、本発明を光ディスクの製造に用いるスパッタリング装置に適用した具体例を表す。同図については、図1乃至図9に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0072】
同図に例示した装置においては、被処理物としてCD(Compact Disk)やDVD(Digital Verstile Disk)などに用いるディスク基板19が使用されている。すなわち、このようなディスク基板19に、光反射膜や光透過膜あるいは記録層などをスパッタリング成膜する。しかし、このようなディスク基板の場合、基板の中央部には穴が設けられ、その付近にはこれらの膜を成膜しない。従って、基板19の中央部には、マスク50が設けられている。このような用途においては、基板の中央部において成膜を抑制するために、磁石Mをその中心点Oから偏心した軸の周りに回転させることが望ましい。
【0073】
具体的には、例えば、図1に例示した磁石Mにおいて、円弧部の中心点Oから直線部の方向へ所定の距離だけ偏心させた軸を回転軸とすると、ターゲットの中央部分に印加される磁場の割合が減少し、基板19の中心付近の膜厚を薄くすることができる。
【0074】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
例えば、図2あるいは図9、図10に例示した成膜装置の構成や各要素の詳細については、当業者が適宜設計変更して実施することが可能であり、本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0075】
具体的には、被処理物19とターゲット15との配置関係についても、被処理物19が上側に設けられてもよく、或いは、被処理物19とターゲット15とが鉛直軸に対して横向きに対向して設けられても良い。
【0076】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、被処理物に堆積される薄膜の膜厚分布を従来よりも均一にでき、同時に、ターゲットのエロージョンも均一にすることにより、ターゲットの利用効率を改善することが可能となり、産業上のメリットは多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかるスパッタ源の要部構成を例示する概念図であり、同図(a)はターゲット裏面に設けられる磁石の配置を表す平面図、同図(b)はそのA−A線断面図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる成膜装置の全体構成を例示する断面図である。
【図3】内磁及び外磁とターゲットとの位置関係を説明するための断面図である。
【図4】角度θと、その磁石を用いてスパッタ成膜した薄膜の膜厚分布との関係を表すグラフ図である。
【図5】角度θが45°、80°、135°における基板上での膜厚分布を定性的に表すグラフ図である。
【図6】本発明における磁石Mの平面形状の変型例を表す概念図である。
【図7】本発明における磁石Mの平面形状の変型例を表す概念図である。
【図8】本発明における磁石Mの平面形状の変型例を表す概念図であり、同図(a)はその平面図、同図(b)はその対称軸での断面図である。
【図9】磁石Mを偏心させて回転させる成膜装置を例示する断面図である。
【図10】光ディスク基板上への堆積を行う成膜装置を例示する断面図である。
【符号の説明】
1 内磁
2 外磁
3 中心線
1A、2A、3A 円弧部
1B、2B、3B 直線部
4 取り付け板
10 ハウジング
11 チャンバ
12 シール
13 絶縁リング
14 冷却機構
15 ターゲット
16 ターゲット押さえ
18 ガス導入口
19 被処理物
20 支持台
21 真空排気系
50 マスク
C1 磁気トンネルの中心
C2 内磁と外磁の間隔の中心
M 磁石
O 円弧部の中心
OD 扇形部の中心(直線部と対称軸の交点)
S スパッタ源
T 磁気トンネル
Claims (13)
- ターゲットに磁場を印加しつつ前記ターゲットのスパッタリングを実施可能としたスパッタ源であって、
回転軸に対して鉛直な面上において環状に設けられた内磁と、前記面上において前記内磁の外側に環状に設けられた外磁と、
を備え、
前記内磁と外磁との間に形成される磁場トンネルの中心線は、円弧状の部分と、前記円弧状の部分に連結した扇状の略直線部と、を有する環状の線であり、
前記外磁の少なくとも一部が、前記ターゲットの外縁よりも外側にはみ出して設けられ、
前記回転軸の中心点が、前記内磁の扇状の略直線部の内縁と近接する内側の領域であって、前記磁場トンネルの外側に形成される磁界の広がる範囲に含まれるように設けられたことを特徴とするスパッタ源。 - 前記回転軸の中心点が、前記磁場トンネルの外側に形成される磁界の広がる範囲に含まれるように、
前記円弧状の部分に連結した扇形の中心点と、前記回転軸の中心点と、の間の距離が設定されていること、を特徴とする請求項1記載のスパッタ源。 - )
前記内磁の円弧状の部分の半径を73mm、前記外磁の円弧状の部分の半径を103mm、前記磁場トンネルの中心線の略直線部の交点と、前記円弧状の部分の中心点との距離を30mm、とした場合に、
前記磁場トンネルの中心線の対称軸と前記略直線部とのなす角度θは、45°以上135°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のスパッタ源。 - 前記角度θは、75°以上85°以下であることを特徴とする請求項3記載のスパッタ源。
- 前記内磁と外磁との間に形成される磁場トンネルの中心線は、前記ターゲットの外縁よりも外側にはみ出さないように設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のスパッタ源。
- 前記円弧状の部分の中心から内磁の外側側面までの半径R1と、前記円弧状の部分の中心から外磁の外側側面までの半径R2と、前記円弧状の部分の中心からターゲットの外縁までの半径R3と、が、以下の関係を満足すること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のスパッタ源。
R1<R3<R2 - 前記半径R3と、前記円弧状の部分の中心から内磁と外磁との間隔の中心までの距離R4と、が、以下の関係を満足すること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のスパッタ源。
R4<R3 - 前記内磁及び前記外磁の前記略直線部に対応する部分は、複数の磁石ブロックを階段状に配置してなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のスパッタ源。
- 前記内磁及び前記外磁の前記略直線部に対応する部分は、前記円弧状の部分に対応する部分から連続的に形成された曲線に形成されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のスパッタ源。
- 前記内磁及び前記外磁の前記略直線部に対応する部分は、前記対称軸に対して略垂直な複数の直線部を互いにずらして配置してなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のスパッタ源。
- 前記回転軸は、前記円弧状の部分の中心点を通過することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のスパッタ源。
- )
前記回転軸は、前記円弧状の部分の中心点を通過しないことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のスパッタ源。 - 請求項1〜12のいずれか1つに記載のスパッタ源を備え、被処理物の表面に薄膜を堆積可能としたことを特徴とする成膜装置。
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