JPH10316807A - 水架橋性含浸樹脂およびこれを用いた水架橋成形物 - Google Patents

水架橋性含浸樹脂およびこれを用いた水架橋成形物

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JPH10316807A
JPH10316807A JP14595797A JP14595797A JPH10316807A JP H10316807 A JPH10316807 A JP H10316807A JP 14595797 A JP14595797 A JP 14595797A JP 14595797 A JP14595797 A JP 14595797A JP H10316807 A JPH10316807 A JP H10316807A
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JP
Japan
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water
crosslinkable
linear low
olefin copolymer
density ethylene
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JP14595797A
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English (en)
Inventor
Ariyoshi Oki
有美 大木
Koji Ishihara
康二 石原
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NUC Corp
Original Assignee
Nippon Unicar Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な方法で製造でき、しかも押出し成形の
際にはL/D比の比較的小さい一般汎用の押出機で押出
し成形できる、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン
共重合体を主体とする水架橋性含浸樹脂の製造方法、こ
の製造方法で製造された水架橋性含浸樹脂、この水架橋
性含浸樹脂を水架橋成形物に加工する製造方法、および
この製造方法で製造された高品質の水架橋成形物を提供
する。 【解決手段】 グラニュラー状の直鎖状低密度エチレン
−α−オレフィン共重合体を乾燥させ、不飽和アルコキ
シシラン、有機過酸化物、シラノール縮合触媒および酸
化防止剤よりなる水架橋用添加剤と混合し、加熱して含
浸させ、外気の水分が侵入しない容器等に充填すること
を特徴とする水架橋性含浸樹脂の製造方法、およびこの
製造方法で製造された水架橋性含浸樹脂。この水架橋性
含浸樹脂をL/D比が18以上の押出機でシラングラフ
ト反応をさせながら押出し、成形物としたのち、水分に
接触させることを特徴とする水架橋成形物の製造方法、
およびこの製造方法で製造された水架橋成形物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水架橋性含浸樹脂
およびその製造方法と、この水架橋性含浸樹脂を用いた
水架橋成形物およびその製造方法に関する。より詳しく
は、低価格ですぐれた特性を有する直鎖状低密度エチレ
ン−α−オレフィン共重合体を主原料とする高品質の水
架橋成形物を得るために、直鎖状低密度エチレン−α−
オレフィン共重合体に水架橋用添加剤を含浸させるとい
う簡単な方法で製造できる水架橋性含浸樹脂およびその
製造方法と、該水架橋性含浸樹脂を押出機によりシラン
グラフト反応をさせながら押出して成形物としたのち、
該成形物を水分に接触させて架橋した水架橋成形物およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、架橋ポリオレフィン系樹脂は、一
般に各種パイプ、ホース、電線ケーブル、シート、フィ
ルム、テープ、鋼管複合体、発泡体、各種成形品、電子
部品、機械部品、運動用具等として広範に使用されてい
る。従来、架橋ポリオレフィン系樹脂成形物を製造する
方法としては、ポリオレフィン系樹脂成形物に放射線を
照射して架橋させる方法と、有機過酸化物を配合した架
橋性ポリオレフィン系樹脂成形物を該有機過酸化物の分
解温度以上に加熱し架橋させる方法とが知られていた。
しかし前者の放射線照射による架橋方法の場合は、設備
費が高い上に厚物の架橋が困難であり、また一方、後者
の有機過酸化物による架橋方法の場合も設備費が高いと
いった如く、いずれの方法にも問題があり、このため、
設備費の安い新たなる架橋方法が求められていた。
【0003】このための1つの方法として、特公昭48
−1711号公報等に示す如く、ポリオレフィン系樹脂
に不飽和アルコキシシランをグラフトし、シラノール縮
合触媒の存在下で水分により架橋させる、いわゆる水架
橋方法が開発された。この方法は、1つの押出機中で不
飽和アルコキシシランをグラフトしたポリオレフィン系
樹脂(以下、単にシラン変性ポリオレフィン系樹脂とい
う)を製造する工程と、次に別の押出機中でこのシラン
変性ポリオレフィン系樹脂に酸化防止剤、カーボンブラ
ック、シラノール縮合触媒、顔料、滑剤等を均一に混練
したのち、ダイより押出して成形物とする工程との2工
程よりなる、いわゆる2工程Sioplas法と呼ばれ
るものである。しかしこの2工程Sioplas法の場
合は、2工程を要するため、コストアップとなるという
問題があり、このため、その後、全工程が1工程よりな
る方法が検討された。その結果、例えば、特公昭58−
25583号等に示す如く、いわゆる1工程Monos
il法が提案された。
【0004】この方法は、一つの押出機にポリオレフィ
ン系樹脂、不飽和アルコキシシラン、有機過酸化物、酸
化防止剤、シラノール縮合触媒、およびその他の添加剤
を含む全ての原料を投入し、これら全ての原料を押出機
の胴部の最初の部分で十分に混合し、この混合物を同一
押出機の胴部の次の部分で不飽和アルコキシシランがポ
リオレフィン系樹脂に十分にグラフト縮合するまで加熱
し、次いで得られたシラン変性ポリオレフィン系樹脂と
他の添加剤を同一押出機の胴部の最後の部分で均一に混
練し、ダイより押出して成形物とすることからなる。こ
の方法は、上記した如く、1工程であるため、大幅なコ
ストダウンが可能となり、現在では、この方法による水
架橋成形物が大量に製造されている。
【0005】水架橋成形物の主原料となるポリオレフィ
ン系樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度エチ
レン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリ
ブテン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−アクリル酸エチル共重合体、アイオノマー等の樹脂が
幅広く用いられているが、これらは、それぞれ機械的強
度、柔軟性、耐熱性等の面で異なるため、その有利な物
性をいかして、特定の用途分野に合った水架橋成形物と
して使用されている。しかしながら、これらのポリオレ
フィン系樹脂は、溶融温度がそれぞれ異なるため、全て
が同一の温度条件で不飽和アルコキシシランと反応しな
い。これらのうち、特に、ポリプロピレン、高密度ポリ
エチレン、および直鎖状低密度エチレン−α−オレフィ
ン共重合体の場合は、溶融温度がそれぞれ約160℃、
130℃、120℃と高いため、これらの原料形態であ
るペレット(通常は、直径3〜5mm、高さ3〜5mm
の円柱状体)に不飽和アルコキシシランを1〜5重量%
混合して、該樹脂の溶融温度以上の温度で押出機中で混
練してグラフト反応を進行させようとすると、不飽和ア
ルコキシシランは粘度の低い液体となり、それに伴いそ
の一部は気体となる。そのため、樹脂との混練は妨害さ
れ、均一なシラングラフト体が得られず、その結果、品
質の良好な水架橋物は製造できない。
【0006】直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共
重合体は、他のポリプロピレンや高密度ポリエチレンに
比較し、価格がやすい上に、柔軟性、耐衝撃性、低温特
性の面で優れているため、電線ケーブルの被覆材、絶縁
材、パイプ用の素材等として適しているものの、上記し
た製造上の制約があるため、これまで、これを用いた水
架橋成形物は工業的にはつくられていない。
【0007】こうした直鎖状低密度エチレン−α−オレ
フィン共重合体を用いた水架橋物の問題点を解消するた
め、これまで種々の試みがなされてきたが、これらは全
て満足のゆくものではなく、当業界では、工業的に容易
に製造できしかも品質の良好な直鎖状低密度エチレン−
α−オレフィン共重合体を用いた水架橋物の出現が強く
望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低価
格ですぐれた特性を有する直鎖状低密度エチレン−α−
オレフィン共重合体を主原料とする高品質の水架橋成形
物を簡単な方法で得るために、該直鎖状低密度エチレン
−α−オレフィン共重合体に特定の処理を施したのち、
特定の条件下で水架橋用添加剤を含浸させてなる水架橋
性含浸樹脂およびその製造方法と、該水架橋性含浸樹脂
を押出機によりシラングラフト反応をさせながら押出し
て成形物としたのち、該成形物を水分に接触させて架橋
した水架橋成形物およびその製造方法とを提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ペレット
状の直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体に
不飽和アルコキシシランをグラフトした場合、不飽和ア
ルコキシシランがペレットの滑剤として作用し、両者の
混練が均一に行われないことに着目し、種々の試みを行
ったところ、あらかじめ直鎖状低密度エチレン−α−オ
レフィン共重合体に不飽和アルコキシシランを含浸させ
ておけば良好な結果が得られることに想到し、さらに鋭
意検討を重ねた結果、含浸が容易なグラニュラー状の直
鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体に、あら
かじめ不飽和アルコキシシラン、有機過酸化物、シラノ
ール縮合触媒および酸化防止剤等の水架橋に必要な添加
剤を含浸させ、しかるのち該水架橋性含浸樹脂を押出機
に投入して押出し成形することにより、均一なシラング
ラフト体が得られ、上記課題が解決できるということを
見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成する
に至ったものである。
【0010】すなわち、本発明によれば、直鎖状低密度
エチレン−α−オレフィン共重合体を主原料とする高品
質の水架橋性含浸樹脂を製造する方法において、(A)
グラニュラー状の直鎖状低密度エチレン−α−オレフィ
ン共重合体を、40℃以上かつ該直鎖状低密度エチレン
−α−オレフィン共重合体の融点未満の温度で、該直鎖
状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体が実質的に
水分を含有しなくなるまでの間、加熱乾燥させること、
(B)加熱乾燥された直鎖状低密度エチレン−α−オレ
フィン共重合体に、不飽和アルコキシシラン、有機過酸
化物、シラノール縮合触媒および酸化防止剤を含む水架
橋用添加剤を添加配合すること、および(C)添加配合
された配合物を、40℃以上かつ該直鎖状低密度エチレ
ン−α−オレフィン共重合体の融点未満の温度で、該水
架橋用添加剤が該直鎖状低密度エチレン−α−オレフィ
ン共重合体に含浸するのに十分な間、加熱することによ
り、水架橋性含浸樹脂を調製すること、からなることを
特徴とする水架橋性含浸樹脂の製造方法が提供される。
【0011】また、本発明によれば、上記(A)〜
(C)の工程以外に、さらに(D)該水架橋性含浸樹脂
を、外気の水分が侵入しない容器または袋内に充填し、
使用されるまでの間、その状態で保管すること、からな
ることを特徴とする上記に記載の水架橋性含浸樹脂の製
造方法が提供される。
【0012】また、本発明によれば、上記のいずれかの
製造方法で製造された水架橋性含浸樹脂が提供される。
【0013】さらに、本発明によれば、上記の水架橋性
含浸樹脂を押出機によりシラングラフト反応をさせなが
ら押出して成形物としたのち、該成形物を水分に接触さ
せて架橋させることを特徴とする水架橋成形物の製造方
法が提供される。
【0014】さらにまた、本発明によれば、上記の製造
方法で製造された水架橋成形物が提供される。
【0015】本発明は、上述の如く、低価格ですぐれた
特性を有する直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共
重合体を主原料とする高品質の水架橋成形物を得ること
を目的とし、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共
重合体に水架橋用添加剤を含浸した水架橋性含浸樹脂お
よびその製造方法と、該水架橋性含浸樹脂を押出機によ
りシラングラフト反応をさせながら押出して成形物とし
たのち、該成形物を水分に接触させて架橋した水架橋成
形物およびその製造方法に係わるものであるが、その好
ましい態様としては、次のものが包含される。 (1) 直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合
体を主原料とする高品質の水架橋性含浸樹脂を製造する
方法において、(A)グラニュラー状の直鎖状低密度エ
チレン−α−オレフィン共重合体を、40℃以上かつ該
直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体の融点
未満の温度で、該直鎖状低密度エチレン−α−オレフィ
ン共重合体が実質的に水分を含有しなくなるまでの間、
加熱乾燥させること、(B)加熱乾燥された直鎖状低密
度エチレン−α−オレフィン共重合体に、不飽和アルコ
キシシラン、有機過酸化物、シラノール縮合触媒および
酸化防止剤を含む水架橋用添加剤を添加配合すること、
(C)添加配合された配合物を、40℃以上かつ該直鎖
状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体の融点未満
の温度で、該水架橋用添加剤が該直鎖状低密度エチレン
−α−オレフィン共重合体に含浸するのに十分な間、加
熱することにより、水架橋性含浸樹脂を調製すること、
および所望に応じて(D)該水架橋性含浸樹脂を、外気
の水分が侵入しない容器または袋内に充填し、使用され
るまでの間、その状態で保管すること、からなることを
特徴とする水架橋性含浸樹脂の製造方法。 (2)水架橋用添加剤は、直鎖状低密度エチレン−α−
オレフィン共重合体100重量部に対して、不飽和アル
コキシシラン0.1〜10重量部、有機過酸化物0.0
1〜0.75重量部、シラノール縮合触媒0.001〜
10重量部、および酸化防止剤0.001〜5重量部を
含むことを特徴とする前記(1)記載の水架橋性含浸樹
脂の製造方法。 (3)水架橋用添加剤は、直鎖状低密度エチレン−α−
オレフィン共重合体100重量部に対して、不飽和アル
コキシシラン0.5〜3重量部、有機過酸化物0.02
〜0.3重量部、シラノール縮合触媒0.01〜5重量
部、および酸化防止剤0.01〜1重量部を含むことを
特徴とする前記(2)記載の水架橋性含浸樹脂の製造方
法。 (4)直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体
は、密度が0.910〜0.935g/cm3、メルト
インデックスが0.1〜5g/10分、嵩密度が0.2
〜0.5g/ml、平均粒径が0.5〜1.5mmのも
のであることを特徴とする前記(1)〜(3)記載の水
架橋性含浸樹脂の製造方法。 (5)直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体
は、フィリップス系触媒を用いて製造されたものである
ことを特徴とする前記(4)記載の水架橋性含浸樹脂の
製造方法。 (6)前記(1)〜(5)記載の製造方法で製造するこ
とを特徴とする水架橋性含浸樹脂。 (7)前記(6)記載の水架橋性含浸樹脂を押出機によ
りシラングラフト反応をさせながら押出して水架橋性成
形物としたのち、該水架橋性成形物を水分に接触させて
架橋することを特徴とする水架橋成形物の製造方法。 (8)水架橋は、水架橋性成形物を常温〜200℃の温
度に保たれた水に10秒〜10日程度の間、接触させる
ことにより行われることを特徴とする前記(7)記載の
水架橋成形物の製造方法。 (9)水架橋は、水架橋性成形物を常温〜100℃の温
度に保たれた水に1分〜1日程度の間、接触させること
により行われることを特徴とする前記(8)記載の水架
橋成形物の製造方法。 (10)押出機は、18以上のL/D比を有するもので
あることを特徴とする前記(7)〜(9)記載の記載の
水架橋成形物の製造方法。 (11)前記(7)〜(10)記載の記載の製造方法で
製造することを特徴とする水架橋成形物。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0017】1.直鎖状低密度エチレン−α−オレフィ
ン共重合体 本発明で用いられる直鎖状低密度エチレン−α−オレフ
ィン共重合体は、エチレンと炭素数3〜12のα−オレ
フィンとを共重合させて得られる共重合体である。この
α−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、ブ
テン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オ
クテン−1、デセン−1、ドデセン−1等が挙げられ
る。この直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合
体を製造するのに用いられる触媒は、通常この分野で使
用されるものならば何でもよいが、このなかでも、チー
グラー系触媒、フィリップス系触媒、スタンダード系触
媒等が最も一般的である。チーグラー系触媒は、チタン
化合物やバナジウム化合物等の遷移金属化合物からなる
主触媒と、有機アルミニウム等の有機金属化合物からな
る助触媒と、ケイ素、チタン、マグネシウム等の酸化物
からなる触媒担体から構成されれるものであり、また、
フィリップス系触媒は、酸化クロムからなる主触媒と、
珪素、アルミニウム等の酸化物からなる触媒担体から構
成されれるものであり、さらに、スタンダード系触媒
は、酸化モリブデンからなる主触媒と、アルミニウムの
酸化物からなる触媒担体から構成されるものである。こ
れらの触媒のうち、フィリップス系触媒を用いて製造さ
れた直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体
は、他のチーグラー系触媒等で製造されたものに比べ
て、分子量分布が広く、押出し加工しやすいため、特に
望ましい。
【0018】重合は、通常この分野で行われている方法
ならばどんな方法でもよいが、溶液重合法、懸濁重合
法、スラリー重合法、気相重合法等が最も一般的であ
る。その場合、重合は、通常0〜250℃の温度下、高
圧(50MPa以上)、中圧(10〜50MPa)また
は低圧(常圧〜10MPa)のいずれかの圧力下で行わ
れる。
【0019】直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共
重合体の物性、性状、形状は、得られた水架橋成形物の
品質に重要な影響を及ぼす。まず、物性については、密
度が0.910〜0.935g/cm3、メルトインデ
ックスが0.1〜5g/10分のものが好ましい。密度
が0.910g/cm3未満であると、耐熱性が劣り、
一方、密度が0.935g/mlを越えると、柔軟性、
可撓性、低温特性が悪くなるので望ましくない。またメ
ルトインデックスが0.1g/10分未満であると、押
出し加工性が劣り、一方、メルトインデックスが5g/
10分を越えると、機械的特性が悪くなるので望ましく
ない。また、形状については、飽和アルコキシシラン等
の水架橋用添加剤を含浸させやすくするためにグラニュ
ラー状のもの好ましい。さらに性状についても、嵩密度
が0.2〜0.5g/ml、平均粒径が0.5〜1.5
mmのものが望ましい。嵩密度が0.2g/ml未満で
あると、押出機中でグラニュラー状物の混練効果が悪
く、生産性に劣り、一方、嵩密度が0.5g/mlを越
えると、グラニュラー状物の細孔部分が少なくなり、均
一に水架橋用添加剤が含浸されないので望ましくない。
また、平均粒径が0.5mm未満であると、水架橋用添
加剤の吸収がよすぎて、かえって均一な含浸が得られ
ず、一方、平均粒径が1.5mmを越えると、グラニュ
ラー状物の形状が不統一になり、均一な含浸が得られな
いので望ましくない。
【0020】上記した物性、性状を有するグラニュラー
状の直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体
は、例えば、特公昭50−32110号、同52−45
750号、同53−8666号、同56−18132
号、同56−22444号、同61−363号、同61
−26805号、同62−56166号公報等に記載さ
れたユニポール法と呼ばれる重合方法により製造され
る。この重合方法は、具体的には、例えば、表面積50
〜1000m2/g、平均粒径50〜200μm、細孔
直径50〜200Åの無機酸化物多孔体からなる担体に
重合触媒成分を担持させた重合触媒と、エチレン80〜
98重量部およびα−オレフィン20〜2重量部からな
るモノマー流体とを、気相流動床反応器中で、30〜1
05℃の温度、0.5〜7MPaの圧力、1.5〜10
Gmf(Gmfとは、流動化を達成するのに要求される
最小のガス流量を意味する略語)等の条件下で行われ
る。
【0021】2.不飽和アルコキシシラン 本発明で用いられる不飽和アルコキシシランは、一般式
RR′SiY2で表される化合物である。式中、R
は、ポリオレフィン系樹脂中に発生した遊離ラジカル部
位と反応性である脂肪族の不飽和炭化水素基またはハイ
ドロカーボンオキシ基である。これに該当する基として
は、例えば、ビニル基、アリル基、ブチニル基、シクロ
ヘキセニル基、シクロペンタジエニル基等が挙げられ
る。一方、Yは、例えば、メトキシ基、エトキシ基およ
びブトキシ基のようなアルコキシ基であり、また、R′
は、オレフィン性不飽和基を含まない一価の炭化水素
基、基Y又は水素原子である。
【0022】不飽和アルコキシシランの具体的な例とし
ては、γ−メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス−(2
−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリエ
トキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、ジアリ
ルジメトキシシラン、アリルフェニルジエトキシシラ
ン、メトキシビニルジフェニルシラン、ドデセニルジプ
ロポキシシラン、ジデセニルジメトキシシラン、ジドデ
セニルメトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシ
シラン、ヘキセニルヘキソキシジメトキシシラン、ビニ
ル−トリ−n−ブトキシシラン、ヘキセニル−トリ−n
−ブトキシシラン、ビニル−トリス(n−ブトキシ)シ
ラン、ビニル−トリス(n−ペントキシ)シラン、ビニ
ル−トリス(n−ヘキソキシ)シラン、ビニル−トリス
(n−ヘプトキシ)シラン、ビニル−トリス(n−オク
トキシ)シラン、ビニル−トリス(n−ドデシルオキ
ソ)シラン、ビニル−ビス(n−ブトキシ)メチルシラ
ン、ビニル−ビス(n−ペントキシ)メチルシラン、ビ
ニル−ビス(n−ヘキソキシ)メチルシラン、ビニル−
(n−ブトキシ)ジメチルシラン、ビニル−(n−ペン
トキシ)ジメチルシラン、アリルジペントキシシラン、
ブテニルジデコキシシラン、デセニルジデコキシシラ
ン、ドデセニルトリオクトキシシラン、ヘプテニルトリ
ヘプキシシラン、アリルトリプロポキシシラン、ジビニ
ルジエトキシシラン、ジアリル−ジ−n−ブトキシシラ
ン、ペンテニルトリプロポキシシラン、アリル−ジ−n
−ブトキシシラン、第二ブテニルトリエトキシシラン、
β−メタクリルオキシエチル−トリス(n−ブトキシ)
シラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(n−
ドデシル)シラン等が挙げられる。不飽和アルコキシシ
ランは、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合
体100重量部に対して、0.1〜10重量部、好まし
くは0.5〜3重量部配合される。
【0023】3.有機過酸化物 本発明で用いられる有機過酸化物としては、加熱反応条
件下でポリオレフィン系樹脂に遊離ラジカル部位を生成
することができ、かつその反応温度において6分より短
い半減期、好ましくは1分より短い半減期を有する化合
物であれば何でも使用できる。代表的なものとしては、
ジクミルパーオキサイド、ジ−第三ブチルパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジ−(ペルオ
キシベンゾエート)ヘキシン−3等が挙げられる。有機
過酸化物は、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共
重合体100重量部に対して、0.01〜0.75重量
部、好ましくは0.02〜0.3重量部配合される。
【0024】4.シラノール縮合触媒 本発明で用いられるシラノール縮合触媒としては、シリ
コーンのシラノール間の脱水縮合を促進する触媒であれ
ば何でも使用できる。代表的なものとしては、ジブチル
錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫
ジオリテート、酢酸第一錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸
コバルト、カプリル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、
チタン酸エステル、チタン酸テトラブチルエステル、チ
タン酸テトラノニルエステル、ビス(アセチルアセトニ
トリル)ジ−イソプロピルチタン−エチルアミン、ヘキ
シルアミン、ジブチルアミン、ピリジン等が挙げられ
る。シラノール縮合触媒は、直鎖状低密度エチレン−α
−オレフィン共重合体100重量部に対して、0.00
1〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部配合さ
れる。
【0025】5.酸化防止剤 本発明で用いられる酸化防止剤としては、製造、加工時
や成形後の熱安定性、酸化安定性を得るために通常使用
されるものであれば何でも使用できる。代表的なものと
しては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、
イオウ系酸化防止剤等が挙げられるが、これらは、単独
であるいは複数組み合わせて用いることができる。これ
らの酸化防止剤としては、次のものが該当する。
【0026】すなわち、フェノール系酸化防止剤として
は、例えば、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ
第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ第三
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジ
ブチルヒドロキシトルエン、ブチル酸3,3−ビス(3
−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチレンエス
テル、1,3,5−トリス(4−第三ブチル−3−ヒド
ロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、
3,9−ビス[2−{3−(3−第三ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−
1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラ
オキサスピロ[5・5]ウンデカン、2−第三ブチル−
6−(3−第三ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベ
ンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4′
−チオビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノー
ル)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−
ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]が挙げられる。また、リン系酸化防止剤としては、
例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスフ
ァイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)
−4,4′−ビフェニレンフォスフォナイト、ビス
(2,4−ジ第三ブチル)ペンタエリスリトールジフォ
スファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)
フォスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メ
チルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイ
ト、トリスノニルフェニルフォスファイト、2,2−メ
チレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチル
フォスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフ
ェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトが挙げ
られる。さらに、イオウ系酸化防止剤としては、例え
ば、ジラウリル3,3′−チオジプロピオネート、ジミ
リスチル3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリ
ル3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチ
ルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジ
トリデシル3,3′−チオジプロピオネート、2−メル
カプトベンズイミダゾールが挙げられる。酸化防止剤
は、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体1
00重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましく
は0.01〜1重量部配合される。
【0027】6.各種添加剤、補助資材等 グラニュラー状の直鎖状低密度エチレン−α−オレフィ
ン共重合体に不飽和アルコキシシラン、有機過酸化物、
シラノール縮合触媒および酸化防止剤よりなる水架橋用
添加剤を含浸させた水架橋性含浸樹脂には、得られる水
架橋成形物の物性、用途等に応じて、通常、樹脂配合用
に用いられる公知の各種添加剤や補助資材を配合するこ
とができる。これらの各種添加剤や補助資材としては、
紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、加工性改
良剤、充填剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、
気泡防止剤、着色剤、顔料、架橋剤、架橋助剤、カーボ
ンブラック等が挙げられる。また本発明では、本発明の
趣旨を逸脱しない範囲において、上記の各種添加剤、補
助資材等の場合と同様に、水架橋性含浸樹脂に他のポリ
オレフィン系樹脂を小量配合することができる。これら
のポリオレフィン系樹脂としては、高圧法低密度ポリエ
チレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリブテン−1、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アイ
オノマー等が挙げられる。
【0028】7.水架橋性含浸樹脂 本発明では、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共
重合体に水架橋用添加剤を含浸させた水架橋性含浸樹脂
は、以下の如く、製造される。まずグラニュラー状の直
鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体は、40
℃以上、かつ該直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン
共重合体の融点未満の温度、好ましくは40℃〜80℃
の温度で、該直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共
重合体が実質的に水分を含有しなくなるまでの間、通常
は1〜48時間、好ましくは4〜24時間加熱すること
により乾燥される。次に、この加熱乾燥された直鎖状低
密度エチレン−α−オレフィン共重合体に、予め40℃
〜60℃の温度に加熱した不飽和アルコキシシラン、有
機過酸化物、シラノール縮合触媒および酸化防止剤より
なる水架橋用添加剤がリボンブレンダー、ヘンシェルミ
キサー、タンブルミキサー等の混合機中で添加配合され
る。得られた配合物は、密閉された容器中で40℃以上
かつ直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体の
融点未満の温度、好ましくは40〜80℃の温度で、該
水架橋用添加剤が該直鎖状低密度エチレン−α−オレフ
ィン共重合体に含浸するのに十分な間、通常は0.1〜
24時間、好ましくは0.5〜10時間加熱される。そ
の結果、水架橋用添加剤は、直鎖状低密度エチレン−α
−オレフィン共重合体に十分に含浸し、目的とする水架
橋性含浸樹脂が調製される。この場合、加熱含浸時に用
いられる密閉容器は、先の混合機であっても、又は新し
い別のものであってもよい。
【0029】この水架橋性含浸樹脂は、その後、押出機
に入れられ、シラングラフト反応させながら水架橋性成
形物に成形され、さらに水架橋成形物に加工される。そ
の場合、高品質の水架橋成形物を得るためには、水架橋
性含浸樹脂と水分との接触を避ける必要がある。すなわ
ち、水架橋用添加剤を直鎖状低密度エチレン−α−オレ
フィン共重合体に含浸する前には、前記した如く、該共
重合体を充分乾燥する必要があり、また、水架橋性含浸
樹脂の製造後においては、外気水分との接触を避けるた
めに、外気水分が侵入しない容器等に水架橋性含浸樹脂
を充填し保管する必要がある。調製された水架橋性含浸
樹脂は、混合機より取り出したのち、そのまま引き続い
て押出機に入れ、水架橋性成形物の成形に用いることも
できるし、又は、その水架橋性含浸樹脂を外気の水分が
侵入しない容器または袋内に充填し、水架橋性成形物に
成形されるまでの間、その状態で保管することもでき
る。この際、外気の水分が侵入しない容器または袋とし
ては、金属製コンテナ、金属製タンク、金属製ビン、ヒ
ートシール可能なアルミ内層袋等が用いられる。
【0030】8.水架橋性成形物,水架橋成形物 本発明では、上記の如く調製された水架橋性含浸樹脂
は、その後、押出機に入れられ、シラングラフト反応さ
せながら水架橋性成形物に成形される。水架橋性成形物
の製造は、前述した2工程Sioplas法や、1工程
Monosil法に準じて行うことができる。すなわ
ち、この方法は、水架橋性含浸樹脂を押出機に投入し、
押出機の胴部の最初の部分で十分に混合し、混合が完了
したならば、この混合物を同一押出機の胴部の次の部分
で不飽和アルコキシシランが直鎖状低密度エチレン−α
−オレフィン共重合体に十分にグラフト縮合するまで加
熱し、次いで得られたシラン変性直鎖状低密度エチレン
−α−オレフィン共重合体と他の添加剤を同一押出機の
胴部の最後の部分で均一に混練し、ダイより押出して成
形物とすることにより行われる。
【0031】この製法の場合、上記シラングラフト直鎖
状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体は、直鎖状
低密度エチレン−α−オレフィン共重合体を融点以上
(グレードによって異なるが、通常は約117℃以上)
の温度に加熱し、有機過酸化物を用いて直鎖状低密度エ
チレン−α−オレフィン共重合体に遊離ラジカル部位を
発生させて、不飽和アルコキシシランを反応させること
により得られる。
【0032】この製法に用いられる押出機は、従来の1
工程Monosil法で用いられるL/D比が30以上
の押出機である必要がなく、それよりL/D比が小さな
もの、すなわち、L/D比が18以上、30未満の一般
汎用の押出機であってもよい。
【0033】本発明の水架橋成形物は、上記の製法によ
り所望の形状に成形された水架橋性成形物に水分を接触
させ、水架橋を行なうことにより製造される。この水架
橋は、水架橋性成形物を常温〜200℃、好ましくは常
温〜100℃の温度に保たれた水(液体または蒸気)に
10秒〜10日程度、好ましくは1分〜1日程度の間、
接触させることからなる。
【0034】本発明の水架橋成形物は、耐熱性、クリー
プ特性、耐衝撃性、耐ストレスクラッキング性、耐摩耗
性、低温特性、耐薬品性、耐水性、耐油性、収縮特性、
可撓性、機械的強度等の面ですぐれているため、温水用
パイプ、農業用パイプ、暖房用パイプ、ホース、電線ケ
ーブル、シート、フィルム、鋼管複合体、鋼板複合体、
発泡体、テープ、各種成形品、電子部品、機械部品、運
動用具等として好適に使用できる。
【0035】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるも
のではない。
【0036】実施例1 A.グラニュラー状の直鎖状低密度エチレン−α−オレ
フィン共重合体の製造 表面積が300m2/g、平均粒径が70μm、細孔直
径が100Åの多孔質シリカ担体に三酸化クロム、チタ
ン酸テトライソプロピル、(NH42SiF6等を担持
させた重合触媒を用いて、ユニポール法気相流動床中
で、90重量部のエチレン、10重量部のブテン−1か
らなるモノマー流体を流動床下方より上方に向けて流動
させ、温度90℃、圧力2.5MPa、Gmf5の条件
で重合させた。得られたエチレン−ブテン−1共重合体
は、表面積100cm2/g、嵩密度0.4g/ml、
平均粒径0.8mmのグラニュラー状物であり、密度は
0.920g/cm3、メルトインデックスは0.8g
/10分であった。
【0037】B.水架橋性含浸樹脂の製造 上記グラニュラー状の直鎖状低密度エチレン−ブテン−
1共重合体100重量部を容器に入れたのち、この容器
に温度60℃に加熱した乾燥空気を12時間吹き込むこ
とによりこの直鎖状低密度エチレン−ブテン−1共重合
体を乾燥させた。次に、ビニルトリメトキシシラン(日
本ユニカー製、商品名NUCシランカップリング剤Y−
9818)1.7重量部、ジクミルパーオキサイド(日
本油脂製、商品名パークミルD)0.06重量部、ジブ
チル錫ジラウレート0.05重量部およびテトラキス
[メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]メタン(日本チバガイ
ギー製、商品名イルガノックス1010)0.12重量
部からなる水架橋用添加剤を温度50℃に加熱し、前記
乾燥させた直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重
合体と、この加熱した水架橋用添加剤とをリボンブレン
ダーに投入し、温度60℃に加熱しながら30分間混合
した。次いで、得られた混合物をステンレス製の密閉容
器中で温度60℃に保持しながら3時間静置し、水架橋
用添加剤を直鎖状低密度エチレン−ブテン−1共重合体
に含浸させた。最後に、この含浸樹脂を、容器の内部を
窒素ガスで置換したアルミ製コンテナに充填し、水架橋
性含浸樹脂を得た。
【0038】C.水架橋成形物の製造 上記水架橋性含浸樹脂を先端部にダイを取り付けた65
mmφ、L/D比24の押出機に投入し、次の条件で、
外径5mmの銅導体上に厚さ2mmの被覆層を押出し被
覆した。 次いでこの被覆電線を80℃の温水中に12時間浸漬し
て、水架橋絶縁電線を得た。この水架橋絶縁電線は、ゲ
ル分率が63%、引張強さが19MPa、伸びが630
%、加熱変形率が12%、耐摩耗性が高圧法ポリエチレ
ンの2.3倍であり、電線絶縁層として良好な物性を示
した。また、外観も良好であった。
【0039】比較例1 実施例1と同様の物性をもつペレット状の直鎖状低密度
エチレン−ブテン−1共重合体を製造した。このペレッ
ト状の直鎖状低密度エチレン−ブテン−1共重合体を使
用した以外は、実施例1と同様に行い、水架橋性含浸樹
脂を製造した。この場合は、水架橋用添加剤がペレット
状の直鎖状低密度エチレン−ブテン−1共重合体に充分
含浸されず、良好な水架橋性含浸樹脂を得ることができ
なかった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、グラニュラー状の直鎖
状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体に不飽和ア
ルコキシシラン、有機過酸化物、シラノール縮合触媒お
よび酸化防止剤からなる水架橋用添加剤を含浸させて水
架橋性含浸樹脂を調製したのち、該水架橋性含浸樹脂を
L/D比の比較的小さい一般汎用の押出機でシラングラ
フト反応をさせながら押出し成形し、ついで水架橋する
ことにより、低コストで容易にしかも高品質の水架橋成
形物が得られる。 しかも本発明により製造された水架
橋の直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体被
覆電線は、耐熱性、可撓性、耐摩耗性、機械的強度を兼
ね備えており、従来の高圧法低密度ポリエチレン、高密
度ポリエチレン等を被覆した電線に比べて、外観および
品質が極めてすぐれている。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン
    共重合体を主原料とする高品質の水架橋性含浸樹脂を製
    造する方法において、(A)グラニュラー状の直鎖状低
    密度エチレン−α−オレフィン共重合体を、40℃以上
    かつ該直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体
    の融点未満の温度で、該直鎖状低密度エチレン−α−オ
    レフィン共重合体が実質的に水分を含有しなくなるまで
    の間、加熱乾燥させること、(B)加熱乾燥された直鎖
    状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体に、不飽和
    アルコキシシラン、有機過酸化物、シラノール縮合触媒
    および酸化防止剤を含む水架橋用添加剤を添加配合する
    こと、および(C)添加配合された配合物を、40℃以
    上かつ該直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合
    体の融点未満の温度で、該水架橋用添加剤が該直鎖状低
    密度エチレン−α−オレフィン共重合体に含浸するのに
    十分な間、加熱することにより、水架橋性含浸樹脂を調
    製すること、からなることを特徴とする水架橋性含浸樹
    脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記(A)〜(C)以外に、さらに
    (D)該水架橋性含浸樹脂を、外気の水分が侵入しない
    容器または袋内に充填し、使用されるまでの間、その状
    態で保管すること からなることを特徴とする請求項1
    記載の水架橋性含浸樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 該グラニュラー状の直鎖状低密度エチレ
    ン−α−オレフィン共重合体は、密度が0.910〜
    0.935g/cm3、メルトインデックスが0.1〜
    5g/10分の物性を有し、嵩密度が0.2〜0.5g
    /ml、平均粒径が0.5〜1.5mmの性状を有する
    ものであることを特徴とする請求項1または請求項2記
    載の水架橋性含浸樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれか1項に
    記載の製造方法で製造することを特徴とする水架橋性含
    浸樹脂。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の水架橋性含浸樹脂を押出
    機によりシラングラフト反応をさせながら押出して水架
    橋性成形物としたのち、該水架橋性成形物を水分に接触
    させて架橋することを特徴とする水架橋成形物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 該押出機は、18以上のL/D比を有す
    るものであることを特徴とする請求項5記載の水架橋成
    形物の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5または請求項6記載の製造方法
    で製造することを特徴とする水架橋成形物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102006059295A1 (de) * 2006-12-11 2008-06-26 Kometra Kunststoff-Modifikatoren Und -Additiv Gmbh Hydrolysierte silangepfropfte Olefinhomo- und(block)copolymere sowie Verfahren zu ihrer Herstellung
JP2008530273A (ja) * 2005-02-08 2008-08-07 モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク Voc低生成シラン架橋剤を含んでなる架橋重合体の製造方法、及びそれにより得られる架橋重合体
JP2018525454A (ja) * 2015-06-17 2018-09-06 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー リン含有酸化防止剤を含むケーブル絶縁材組成物

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