JP3959575B2 - シラン変性直鎖状ポリエチレンを被覆し、水架橋させてなる電力ケーブルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水架橋性を有する電力ケーブル被覆用のシラン変性直鎖状ポリエチレンおよびこのシラン変性直鎖状ポリエチレンを被覆した電力ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
シラン変成ポリエチレンに関して、特開平9−208637号で、耐圧クリープ特性および柔軟性の両者に優れた給湯、給水、床暖房およびロードヒーティング用等の架橋パイプを得ることを課題として、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体からなる直鎖状ポリエチレンのシラン変性物であって、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.02〜0.8g/10分の範囲であり、密度(d)が0.920〜0.940g/cm3の範囲であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との関係が、Mw/Mn≦3.0を満たすことを特徴とする架橋パイプ用シラン変性直鎖状ポリエチレンとこの成形体を架橋させてなる架橋パイプが開示されている。
【0003】
ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体を用いた電力ケーブル、絶縁体に関して、特開平7−312118号、特開平8−185712号、特開平9−25373号が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電力ケーブル、電線ケーブル被覆用に用いるポリエチレンからなる絶縁体は、その導体の事故などにより過大な電流が流れたときも、ケーブルとしての特性を失わない様に、耐熱性が重要な特性となる。JIS規格では120℃の変形率、IECでは200℃の変形率が規定されており、絶縁体は、その融点近くまたは、それ以上の温度において、ある一定以下の変形率を保持する必要がある。このため、通常、絶縁体は架橋により、その耐熱性を付与する手法が用いられ、架橋密度が高くなるに従い、耐熱性がより良好となる。
【0005】
ポリエチレンの架橋の手法としては、電子線照射による架橋、過酸化物による架橋、シラン化合物による水架橋(ポリオレフィン系樹脂に不飽和アルコキシシランをグラフトし、シラノール縮合触媒の存在下で水分により架橋させる架橋法)などが知られている。電子線照射や過酸化物による架橋は架橋のための設備費が高く、シラン架橋は、設備費が安く、生産性が高い。その反面、シラン化合物による水架橋は過酸化物などによる架橋に比べ、架橋密度が低くなる傾向がある。
【0006】
水架橋によるポリエチレンの架橋では、その耐熱性を向上させるために、高密度ポリエチレン(HDPE)の配合または、架橋成分であるビニルシランを多量に使用し架橋密度を向上させるなどの方法が行われてきた。ポリエチレンに高密度ポリエチレン(HDPE)を配合すると、ポリエチレンの硬度が上昇するため、このポリエチレンを被覆したケーブルでは取り扱いが悪くなる傾向があり、また、ビニルシランの増量は、製造コストが問題となり優れた方法ではない。
【0007】
本発明は、ポリエチレンのシラン架橋において、高密度ポリエチレンや多量のビニルシランを用いることなく、電力ケーブルの生産性や取り扱い性が優れ、電力ケーブルに必要な耐熱性を有する架橋密度を付与できるポリエチレン、このポリエチレンを水架橋した架橋ポリエチレン、および、この架橋ポリエチレンを被覆した電力ケーブルの製造方法を提供する。
【0008】
【問題を解決するための手段】
本発明は、エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなるメタロセン触媒を用いて製造した直鎖状ポリエチレンとシラン化合物とからなるシラン変性物であって、下記特性(A)および水架橋性を有する電力ケーブル被覆用のシラン変性直鎖状ポリエチレンを被覆し、水架橋させてなる電力ケーブルの製造方法。
(A):シラン変性直鎖状ポリエチレンの特性
(A−1)密度(d)が、0.900〜0.935(g/cm3)の範囲
(A−2)190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2.16)が、0.1〜20(g/10分)の範囲
【0009】
上記のシラン変性直鎖状ポリエチレンを被覆し、水架橋させてなる電力ケーブルに関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなるメタロセン触媒を用いて製造した直鎖状ポリエチレンとシラン化合物とからなるシラン変性物であって、下記特性(A)および水架橋性を有する電力ケーブル被覆用のシラン変性直鎖状ポリエチレンに関する。
(A):シラン変性直鎖状ポリエチレンの特性
(A−1)密度(d)が、下限値として0.900(g/cm3)、好ましくは0.902(g/cm3)、さらに好ましくは0.905(g/cm3)、特に好ましくは0.906(g/cm3)から上限値として0.935(g/cm3)、好ましくは0.930(g/cm3)、さらに好ましくは0.925(g/cm3 )、特に好ましくは0.924(g/cm3)の範囲
(A−2)190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2.16)が、下限値として0.1(g/10分)好ましくは0.5(g/10分)、さらに好ましくは1.0(g/10分)、特に好ましくは1.2(g/10分)から上限値として20(g/10分)、好ましくは15(g/10分)、さらに好ましくは10(g/10分)、特に好ましくは8.0(g/10分)の範囲
【0011】
本発明のシラン変性直鎖状ポリエチレンは、エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなるメタロセン触媒を用いて製造した直鎖状ポリエチレンを、ラジカル発生剤の存在下でシラン化合物を加熱グラフトさせて製造するシラン変性直鎖状ポリエチレンが好ましい。
【0012】
本発明のシラン変性直鎖状ポリエチレンの保存時のメルトフローレート(MFR2.16)の変化割合である保持率は、92%以上、さらに94%以上、特に96%以上が好ましい。
本発明のシラン変性直鎖状ポリエチレンは、保存時のメルトフローレート(MFR2.16)の変化が小さく保存安定性が優れている。
【0013】
本発明のシラン変性直鎖状ポリエチレンは、架橋成分であるシラン化合物をエチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなるメタロセン触媒を用いて製造した直鎖状ポリエチレン100重量部に対し0.003〜0.04モル、好ましくは、0.004〜0.03、特に好ましくは0.005〜0.025の範囲、または、架橋成分であるシラン化合物を水架橋用ポリエチレン100重量部に対し下限値として0.003モルから上限値として0.04モルの範囲で用いることが経済的で好ましい。
【0014】
エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなるメタロセン触媒を用いて製造した直鎖状ポリエチレンは、直鎖状のポリエチレンであり、炭素数3〜10のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1などを挙げることができる。エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなる直鎖状ポリエチレンは、また本発明の目的の範囲内であれば、直鎖状ポリエチレンを2種以上ブレンドしたものを用いることができる。
【0015】
エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなるメタロセン触媒を用いて製造した直鎖状ポリエチレンは、下記特性を有することが好ましい。
(B−1)密度(d)が、下限値0.900(g/cm3)、さらに0.902(g/cm3)、特に0.905(g/cm3)から上限値0.935(g/cm3)さらに0.930(g/cm3)、特に0.925(g/cm3)の範囲
(B−2)190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2.16)が、下限値0.1(g/10分)さらに1.0(g/10分)、特に3(g/10分)から上限値30(g/10分)、さらに25(g/10分)、特に20(g/10分)の範囲
【0016】
本発明のシラン変性直鎖状ポリエチレンは、エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなるメタロセン触媒を用いて製造した直鎖状ポリエチレンの溶融張力比(MTR)が、70以上を用いることが、シラン変性直鎖状ポリエチレンを水架橋した後のゲル分率が高く、加熱変形量が小さくなるため好ましい。
【0017】
エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなるメタロセン触媒を用いて製造した直鎖状ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体中のα−オレフィンから誘導される繰り返し単位が、通常、好ましくは10モル%以下の範囲、さらに好ましくは0.1〜5モル%の範囲で、特に好ましくは0.1〜4モル%の範囲で含まれている。α−オレフィンは、エチレン−α−オレフィン共重合体中に単独であっても、二種以上含まれていてもよい。
【0018】
エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなる直鎖状ポリエチレンは、メタロセン触媒を用いて製造することができるものが好ましい。エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなる直鎖状ポリエチレンの代表的な重合方法としては、スラリー法、気相法、溶液法等が好ましく、エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなる直鎖状ポリエチレンは、製造の際に使用する重合触媒や重合方法等により制約されるものではない。
【0019】
エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなるメタロセン触媒を用いて製造した直鎖状ポリエチレンには、本発明の目的の範囲内であれば、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを配合する事が出来る。
【0020】
シラン変性に使用するラジカル発生剤としては、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等の有機過酸化物があげられる。これらの中ではジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドが好ましい。
【0021】
シラン化合物としては、末端ビニル基などのラジカル反応可能な有機基およびアルコキシ基などの加水分解可能な有機基とを有するシラン化合物であり、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニル−トリス(n−ブトキシ)シラン、ビニル−トリス(n−ペントキシ)シラン、ビニル−トリス(n−ヘキソキシ)シラン、ビニル−トリス(n−ヘプトキシ)シラン、ビニル−トリス(n−オクトキシ)シラン、ビニル−トリス(n−ドデシルオキソ)シラン、ビニル−ビス(n−ブトキシ)メチルシラン、ビニル−ビス(n−ペントキシ)メチルシラン、ビニル−ビス(n−ヘキソキシ)メチルシラン、ビニル−(n−ブトキシ)ジメチルシラン、ビニル−(n−ペントキシ)ジメチルシラン、β−メタクリルオキシエチル−トリス(n−ブトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(n−ドデシル)シラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス−(2−メトキシエトキシ)シラン等があげられる。これらの中ではビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好ましい。
【0022】
本発明のシラン変性直鎖状ポリエチレンは、水架橋後のゲル分率が、63%以上、さらに66%以上、特に68%以上では、電力ケーブルに必要な耐熱性を有するために好ましい。
【0023】
本発明のシラン変性直鎖状ポリエチレンは、水架橋後の加熱変形量が、20%以下、さらに19%以下、特に18%以下では、電力ケーブルに必要な耐熱性を有するために好ましい。
【0024】
本発明のシラン変性直鎖状ポリエチレンは、水架橋により架橋させることができる。水架橋は、シリコーンのシラノール間の脱水縮合を促進するシラノール縮合触媒を用いて行うことが好ましい。
【0025】
シラノール縮合触媒は、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオレエート、酢酸第一錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、カプリル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、チタン酸エステル、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステル、ビス(アセチルアセトニトリル)ジ−イソプロピルチタン、エチルアミン、ヘキシルアミン、ジブチルアミン、ピリジン等が好ましい。
【0026】
シラノール縮合触媒の割合はシラン変性直鎖状ポリエチレン 100重量部に対して下限値として0.001重量部、さらに0.005重量部、特に0.01重量部から上限値として5重量部、さらに2重量部、特に1重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0027】
シラノール縮合触媒は、予めポリエチレンと混練してマスターバッチを作成したものを用いることができる。
【0028】
さらに、本発明のシラン変性直鎖状ポリエチレンは、シラン変性直鎖状ポリエチレンを導体、ケーブルなどに押出などの方法で被覆し、水架橋させて電力ケーブルとして用いることができる。
【0029】
シラン変成直鎖状ポリエチレンとシラノール縮合触媒とを混練し、もしくは、直鎖状ポリエチレンとビニルシラン、パーオキサイド、シラノール触媒を混合したものを混練し、導体などのケーブルに押出被覆成形し、通常次のような方法により架橋される。すなわち、押出被覆した成形物を常温〜130℃程度、好ましくは常温〜100℃にて水中、水蒸気中または多湿雰囲気下で1分間〜1週間程度、好ましくは10分間〜1日間程度水分と接触させる。これにより、シラン化合物はシラノール縮合触媒によりシラン架橋反応が進行し、押出被覆成形された電力ケーブルが得られる。
本発明のシラン変成直鎖状ポリエチレンを被覆し架橋した電力ケーブルは、架橋方法、例えば水分との接触方法等により制約を受けるものではない。
【0030】
本発明では、シラン変性前の直鎖状ポリエチレン、シラン変性直鎖状ポリエチレンまたは押出被覆した電力ケーブルの製造のいずれの段階においても、本発明の目的を損なわない範囲内で、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、塩酸吸収剤、滑剤、有機系あるいは無機系顔料、カーボンブラック、目やに防止剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤等を配合することができる。
また、シラン変性前の直鎖状ポリエチレンまたは高圧法低密度ポリエチレンを配合することもでき、その配合量は70重量%以下、さらに50重量%以下、特に30重量%以下にするのが好ましい。
【0031】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
特性値は次のようにして測定した。
(A)直鎖状ポリエチレン、シラン変性直鎖状ポリエチレン及びその水架橋物の各特性の測定法
[1]密度: JIS K7112に準拠して、190℃での2.16Kg荷重におけるMFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したサンプルを密度勾配管を用いて測定した。
【0033】
[2]メルトフローレート(MFR2.16): JIS K7210に準拠して、メルトインデクサを用いて190℃における2.16Kg荷重での10分間にストランド状に押し出される樹脂の重量を測定することにより求めた。
【0034】
[3]溶融張力比(MTR):
メルトテンションの測定は、JISK7199に規定されるキャピラリーレオメーター(東洋精機製作所製:キャピログラフ)を使用して行った。
メルトテンションの測定条件は、測定温度:190℃、ダイス:2.095mmΦ,60°テーパー付き,ランド長8.03mmで行った。
測定は、以下の手順で行った。
(1)測定温度に加温されたキャピラリーレオメーターにポリエチレン13gを充填した。
(2)充填後、5分間予熱したのちピストンを、10mm/minの速度で降下させメルトテンションの測定を開始した。
(3)メルトテンションの測定は、溶融樹脂の引取り速度を1m/分,2m/分,3m/分,5m/分,10m/分,15m/分,20m/分,25m/分,30m/分,50m/分,70m/分,100m/分,150m/分に変化させて行った。
上記の13個のメルトテンションの測定値のうち、メルトテンションの最低値を最低溶融張力(MTmin)とし、最高値を最大溶融張力(MTmax)とした。
溶融張力比(MTR)は、一般式(1)により算出した。
【数1】
【0035】
[4]保持率(%)
直鎖状ポリエチレン、シラン化合物およびラジカル発生剤とを加熱混練後、シラン変性直鎖状ポリエチレンを製造した。製造後、直ちにメルトフローレートを測定した。さらに、シラン変性直鎖状ポリエチレンをアルミ蒸着したポリエチレン袋に入れた後密封し、15〜25℃、相対湿度45〜65%の室内に80日放置した。80日後のシラン変性直鎖状ポリエチレンのメルトフローレートを測定した。保持率は、一般式(2)に従い、算出した。
【数2】
【0036】
[5]ゲル分率
測定は、JISC3005に準じて行った。
厚さ1mmの架橋シート約0.5gを精量し、110℃のキシレン300ml中に24時間浸漬し、架橋シートのキシレン未溶解物を取り出す。この未溶解物を100℃の真空乾燥機を用いて24時間乾燥させる。乾燥後の未溶解物の重量を精量する。ゲル分率は、一般式(3)に従い算出した。
【数3】
【0037】
[6]加熱変形量
測定は、厚さ約2mmの架橋シートを用い、JISC3005に準じて行った。
測定条件は、試験荷重を2Kgf、試験温度を120℃とした。
加熱変形量は、一般式(4)に従い算出した。
【数4】
【0038】
用いたエチレン−α−オレフィン共重合体および高圧法低密度ポリエチレンの特性を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
[実施例1〜8、比較例1〜3]
表2に示す配合量のポリエチレン、ビニルトリメトキシシランおよび、、ジクミルパーオキサイド(DCP)とを均一に混合した。混合物を窒素下、65mmφ単軸押出機(L/D=28、温度200℃)を用いて溶融混練し、ペレット状のシラン変性直鎖状ポリエチレンを製造した。シラン変性直鎖状ポリエチレンの製造後直ぐのメルトフローレートと密度を測定し、結果を表3に示した。さらに、80日保存後のメルトフローレートを測定し、保持率を算出し、結果を表3に示した。
【0041】
得られたシラン変性ポリエチレンと触媒MBとを、90:10の割合で均一混合し、窒素下、65mmφ単軸押出機(L/D=28、温度200℃)を用いて溶融混練しペレット状の水架橋コンパウンドを得た。ペレット製造後直ぐに、ペレットを加圧プレス機を用いて、温度165℃で厚さ約1mm、約2mmおよび約3mmのシートにそれぞれ加圧成形した。得られたシートは、80℃の温水中に12時間浸漬し、水架橋させた架橋シートを得た。架橋シートのゲル分率及び加熱変形量を測定し、結果を表3に示した。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】
本発明の水架橋用ポリエチレンは、電力ケーブルの被覆に用いることができ、特定条件下での水架橋において、多量のシラン化合物を用いることなく生産コストが優れ、高密度ポリエチレンやビニルシランを多量に用いることなく生産することができ、柔軟性などの取り扱い性が優れ、電力ケーブルなどの押出成形などの生産性が優れ、電力ケーブルに必要な耐熱性を有する架橋可能な水架橋用ポリエチレンである。
【0045】
本発明の架橋ポリエチレンは、多量のシラン化合物を用いることなく生産コストの優れた、高密度ポリエチレンを多量に用いることなく生産することができ、柔軟性などの取り扱い性が優れ、電力ケーブルなどの押出成形などの生産性が優れ、電力ケーブルの被覆に用いることができ、電力ケーブルに必要な耐熱性を有するものである。
【0046】
本発明の架橋ポリエチレンを被覆した電力ケーブルは、高価なビニルシランの量を低減でき、そのため生産コストが低く、適度な柔軟性を持ち取り扱い性が優れ、電力ケーブルとして押出成形時での生産性が優れ、電力ケーブルに必要な耐熱性を有している。
Claims (1)
- エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体からなるメタロセン触媒を用いて製造した直鎖状ポリエチレンとシラン化合物とからなるシラン変性物であって、下記特性(A)および水架橋性を有する電力ケーブル被覆用のシラン変性直鎖状ポリエチレンを被覆し、水架橋させてなる電力ケーブルの製造方法。
(A):シラン変性直鎖状ポリエチレンの特性
(A−1)密度(d)が、0.900〜0.935(g/cm3)の範囲
(A−2)190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2.16)が、0.1〜20(g/10分)の範囲
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