JPH103167A - 水溶性感光性組成物 - Google Patents

水溶性感光性組成物

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JPH103167A
JPH103167A JP17568096A JP17568096A JPH103167A JP H103167 A JPH103167 A JP H103167A JP 17568096 A JP17568096 A JP 17568096A JP 17568096 A JP17568096 A JP 17568096A JP H103167 A JPH103167 A JP H103167A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水を用いて現像が可能であり、重クロム酸塩
を含まず、感光性に優れ、かつ解像度が高く、耐蝕性に
優れたレジスト、あるいは剥離時に容易に剥離すること
ができる水溶性感光性組成物を得る。 【解決手段】 ビニルアルコール系重合体成分に(メタ)
アクリル酸グリシジルを付加した(メタ)アクリル酸構
造単位を導入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明はエレクトロニクス製品等
のフォトレジストに使用される水溶性感光性組成物に関
する。さらに詳しくは、本発明は水を用いて現像が可能
で、かつ重クロム酸塩を含まない水溶性感光性組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体ICやLSIなどの集積回
路は集積度が一層高くなり、より微細な加工が必要とさ
れている。これに伴いその金属部品にも一段と微細な加
工が要求されている。これら通称フォトファブリケーシ
ョンにはカラーTV用シャドウマスク、撮像管用カラー
フィルター等の電子管用部品、カラー液晶用フィルター
等の表示デバイス部品、CCD用カラーフィルター、リ
ードフレーム、フォトマスクなどの半導体部品、その他
コンピューター関連部品、家電、カメラ部品等があり、
その用途は広い。
【0003】これらの加工には機械加工法と化学加工法
がある。化学加工法は必要金属に感光性レジストを塗布
し、これにキセノン灯、および高圧水銀灯によりフォト
マスクを通して画像を焼き付ける。ついで、レジストの
未露光部を溶出して金属の肌を露出させ、エッチング液
にて蝕刻を行い加工するもので、機械加工よりも精度は
格段に高い。
【0004】このような加工に用いられる感光性レジス
トとしては、有機溶剤可溶型と水可溶型がある。前者は
環化ゴム系、ノボラック系、桂皮酸系等があるが、有機
溶剤を用いるため労働環境および地球環境に好ましくな
い。他方後者の水溶性タイプにはPVA、カゼイン、フ
ィッシュグリュー系があるが、感光剤として重クロム酸
塩を用いるため六価クロムの廃液処理に多大の経費と労
力を必要とする。また、重クロム酸塩を用いるためにコ
ロイドが酸化を受け、感光液の解像性および保存性は悪
い。この点からも重クロム酸塩を用いずに、水溶性タイ
プで解像度が高く、しかも高感度で、耐蝕性に優れたレ
ジストが求められている。
【0005】
【発明の目的及び概要】本発明の目的は、水を用いて現
像が可能であり、重クロム酸塩を含まず、感光性に優
れ、かつ解像度が高く、耐蝕性に優れたレジスト、ある
いは剥離時に容易に剥離することができる水溶性感光性
組成物を提供することにある。
【0006】本発明者らは、前記課題を解決するために
鋭意検討した結果、ビニルアルコール系重合体成分に
(メタ)アクリル酸グリシジル付加物構造単位を導入する
ことにより、これらの課題を解決し得るとの知見を得て
本発明を完成するに至った。
【0007】本発明は、ビニルアルコール系重合体成
分、及び下式(I)
【化2】 (式中、R1及びR2は各々別個に水素又はメチル基を示
す)で表される構造単位を含むブロック共重合体、並び
にこれに感光剤を配合してなる水溶性感光性樹脂組成物
を提供するものである。また、この発明は、水溶液の形
態、あるいはフィルムの形態をした上記水溶性感光性組
成物を提供するものである。
【0008】本発明にて用いられるブロック共重合体
は、ビニルアルコール系重合体成分の主鎖末端に前記式
(I)で表される(メタ)アクリル酸系構造単位が付加され
たものである。ここで付加される構造単位としては式
(I)のほか、下式(II)で表される構造単位が含まれてい
てもよい。
【0009】
【化3】 (式中、R1は前記に同じ) なお、前記PVA系重合体は下式(IIIa)、(IIIb)
【化4】
【化5】 (式中、R2は水素又は炭素数1〜6のアルキル基、R3
は水素又は炭素数1〜20のアルキル基を意味する)で
表される構造単位を含み、主鎖の末端に−S−を有す
る。
【0010】したがって、本発明はメルカプト基を有す
るビニルアルコール系重合体の存在下に、(メタ)アクリ
ル酸をラジカル重合し、次いで(メタ)アクリル酸グリシ
ジルを付加してなるブロック共重合及び感光剤を配合し
た水溶性感光性組成物を提供するものである。
【0011】
【発明の詳細な開示】以下に本発明をさらに詳しく説明
する。
【0012】本発明の水溶性感光性組成物の第1の成分
であるブロック共重合体は、少なくともビニルアルコー
ル系重合体(以下、PVA系重合体という)成分および前
記式(I)で表される(メタ)アクリル酸グリシジル付加物
構造単位を含有する。かかるブロック共重合体は種々の
方法により製造することができるが、代表的には末端に
チオール酸エステル基を有するビニルエステル系重合体
をけん化することにより得られる、末端メルカプト基を
有するPVA系重合体(以下、PVA−SHという)の存
在下、アクリル酸及び/又はメタアクリル酸(以下、
(メタ)アクリル酸と表記する)をラジカル重合し、次い
で(メタ)アクリル酸グリシジルを反応して製造する方法
が最も好ましい。このようにPVA−SHは特公平6−
74304号公報に記載されており、M−ポリマー
((株)クラレ製))の商品名で入手することができる。
【0013】(末端メルカプト基を有するPVA系重合
体:PVA−SH)本発明で用いられるPVA−SH
は、チオール酸の存在下にビニルエステル類単量体を主
体とするビニル系単量体を重合して得たビニルエステル
系重合体を常法によりけん化して得られる。
【0014】かかるチオール酸としては−COSH基を
有する有機チオール酸が用いられる。例えば、チオール
酢酸、チオールプロピオン酸、チオール酪酸、チオール
吉草酸等が挙げられるが、中でもチオール酢酸が分解性
もよく最も好ましい。
【0015】またビニルエステル類単量体はラジカル重
合可能なものであればよい。例えば、ギ酸ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプ
リン酸ビニル、ウラリン酸ビニル、ステアリン酸ビニ
ル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサテ
ィック酸ビニル等が挙げられるが、PVA系重合体を得
る目的から特に酢酸ビニルが好ましい。
【0016】PVA−SHは、本発明の趣旨を損なわな
い範囲で、上記ビニルエステルと共重合可能な単量体を
共存させ、共重合することも可能である。このような単
量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブ
テン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロ
ピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、ア
クリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類、メタ
クリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピ
ル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチル
ヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタ
デシル等のメタクリル酸エステル類、メチルビニルエー
テル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニ
ルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビ
ニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビ
ニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の
ニトリル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニ
ル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、酢酸ア
リル、塩化アリル等のアリル化合物、フマール酸、マレ
イン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、
無水トリメリット酸または無水イタコン酸等のカルボキ
シル基含有化合物およびそのエステル、エチレンスルホ
ン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のス
ルホン酸基含有化合物、ビニルトリメトキシシラン等の
ビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニル、トリメチル
−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−ア
ンモニウムクロライド、3−アクリルアミドプロピルト
リメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミ
ドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−
(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジメチ
ルアミンの4級アンモニウム塩、N−(4−アリルオキ
シ−3−ヒドロキシブチル)ジエチルアミンの4級アン
モニウム塩さらにはアクリルアミド、N−メチルアクリ
ルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メ
チロールアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチ
ルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N
−メチロールメタクリルアミド等の4級アンモニウム塩
等が挙げられる。上記単量体の使用量は前記ビニルエス
テル類単量体に対して5モル%以下が好ましい。
【0017】チオール酸の存在下に酢酸ビニルなどのビ
ニルエステル類を主体とするビニル系モノマーの重合を
行うには、ラジカル重合開始剤を使用して、塊状重合
法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などいずれの
方法を採用してもよい。これらのうちメタノールを溶媒
とする溶液重合法が工業的には最も有利である。
【0018】重合中に存在させるチオール酸の重合系へ
の添加量、添加方法については特に制限はなく、目的と
するビニルエステル系重合体の物性値によって適宜選択
してよい。重合方法としては、バッチ式、半連続式、連
続式などの公知の方法が採用できる。
【0019】ラジカル重合開始剤としては、例えば2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビ
ス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、過酸化ベンゾイル、過酸化カーボネートなどの公
知のラジカル重合開始剤がいずれも使用できる。また放
射線、電子線などを用いてもよい。
【0020】重合温度は目的とする変性PVAの物性に
より決定されるが、通常10〜90℃の範囲から選ばれ
る。その時に使用される開始剤は重合温度に応じて適宜
選択される。所定時間重合した後、未重合のビニルエス
テル類を公知の方法で除去することにより、末端にチオ
ール酸エステル基を有するビニルエステル系重合体が得
られる。
【0021】このようにして得られたビニルエステル系
重合体は、常法によりけん化することができ、通常アル
コール、とりわけメタノール中でけん化するのが好まし
い。アルコールは無水物のみならず少量の含水系のもの
も目的に応じて用いられ、また酢酸メチル、酢酸エチル
などの有機溶媒を必要に応じて併用してもよい。けん化
温度は通常10〜90℃の範囲から選ばれる。けん化触
媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、ナトリウムメチラート、カリウムメチラートなどの
アルカリ性触媒が好ましく、該触媒の使用量はけん化度
の大小および水分量などにより適宜決められるが、ビニ
ルエステル単位に対し、モル比で0.001以上、好ま
しくは0.002以上用いる。アルカリ量が多くなりす
ぎると残存アルカリをポリマー中より除去することが困
難となり、ポリマーが着色するなど好ましくなく、モル
比で0.2以下にするのが好ましい。なお、ビニルエス
テル系重合体中にカルボキシル基やそのエステル基など
のアルカリ触媒と反応し、アルカリを消費する成分が含
有されている場合、その消費量分を加えた量のアルカリ
触媒を使用する。
【0022】上記のけん化反応により、ビニルエステル
系重合体の末端チオール酸エステルおよび主鎖のビニル
エステル結合が共にけん化され、ポリマー末端はメルカ
プト基に、主鎖はビニルアルコールになる。主鎖のビニ
ルエステル単位のけん化度は使用目的に応じて適宜選択
してよい。けん化反応後析出した重合体は、例えばメタ
ノールなどで洗浄するなどの公知の方法で精製し、残存
アルカリ、酢酸のアルカリ金属塩などの不純物を除去し
て乾燥することにより通常白色粉末として得ることがで
きる。
【0023】このようにして得られたPVA−SHの粘
度平均重合度(以下、重合度という)は50〜8000
であり、100〜6000が好ましく、100〜500
0がより好ましい。PVA−SHの重合度は、JIS−
K6726に準じ、再けん化後精製した該重合体につい
て、水中、30℃で測定した極限粘度[η]から次式に
より求めた粘度重合度(P)で表したものである。P=
([η]×103/8.29)(1/0.62) 重合度が50未満の場合には、フォトレジストの強度が
不足し、一方、重合度が8000を越えると、末端への
メルカプト基導入効率が低下し本発明の目的とするブロ
ック共重合体が得られない。本発明にて用いられるPV
A−SHのけん化度は、変性基の種類によっても異なり
一概にいえないが、水溶性およびフォトレジストの強度
および基板との密着性発現の点からは50〜99.99
モル%であることが好ましく、60〜99.7モル%が
より好ましく、70〜99.5モル%がさらに好まし
い。
【0024】(ブロック共重合体の製法)本発明組成物
に用いられるブロック共重合体を製造するには、前記P
VA−SHなどのPVA系重合体の存在下に、アクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン
酸、無水マレイン酸などのビニル系カルボン酸、これら
の塩及びエステルの少なくとも1種をラジカル重合す
る。これらのうち特にアクリル酸、メタクリル酸が好ま
しい。これらビニル系カルボン酸類の使用量は、PVA
系重合体100重量部に対して、10〜100重量部、
好ましくは30〜70重量部である。(メタ)アクリル酸
の使用量がこれより少ないとグリシジル(メタ)アクリレ
ートの付加量が少なく画像形成ができない。一方、これ
より多いとグリシジル(メタ)アクリレートの反応物によ
るタックが発生し好ましくない。
【0025】重合は従来公知の方法、例えば塊状重合、
溶液重合、懸濁重合および乳化重合などのより行うこと
ができるが、PVA系重合体を溶解し得る溶剤、たとえ
ば水やジメチルスルホキシドを主体とする溶媒中で重合
するのが好ましい。また重合プロセスとしてはバッチ
式、半連続式、連続式などの公知の方法をいずれも採用
することができる。
【0026】ラジカル重合反応は、通常のラジカル重合
開始剤、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピ
ルパーオキシカーボネイト、過硫酸カリウム、過硫酸ア
ンモニウム等の公知のラジカル重合開始剤の中から各重
合系に適したものを使用してよい。例えば水系での重合
の場合、PVA末端のメルカプト基と臭素酸カリウム、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、ク
メンハイドロパーオキサイド等の酸化剤によるレドック
ス開始も可能である。これら開始剤中でも臭素酸カリウ
ム、クメンハイドロパーオキサイドは、通常の重合条件
下、単独ではラジカルを発生せず、PVA末端のメルカ
プト基とのレドックス反応によってのみ分解し、ラジカ
ルを発生することから、PVA系重合体とのブロック共
重合体を有効に生成し、その結果フォトレジストの水溶
性が大きく向上し特に好ましい。また、重合開始時に臭
素酸カリウムあるいはクメンハイドロパーオキサイドを
用いた後、他の重合開始剤あるいは酸化剤、好ましくは
過酸化水素を追加添加してもよい。
【0027】これら重合開始剤の使用量は、PVA系重
合体100重量部に対して、0.5〜5重量部、好まし
くは1〜3重量部である。開始剤の使用量がこれより少
ないと重合が円滑に進行せず、これより多くても効果は
ない。
【0028】PVA系重合体の存在下にラジカル重合を
行うに際し、重合系が酸性であるのが好ましい。これは
塩基性下においてメルカプト基が、モノマーの二重結合
へイオン的に付加、消失する速度が大きくなり、重合効
率が著しく低下するためであり、水系の重合であれば、
すべての操作をpH6以下、好ましくはpH5以下で実
施することが好ましい。
【0029】アクリル酸、メタクリル酸などビニル系カ
ルボン酸を前記PVA系重合体の存在下に重合するにあ
たっては、本発明の効果を損なわない範囲で、アクリル
酸、メタクリル酸などと共重合可能な単量体を共存ある
いは後添加し、共重合あるいはブロック重合してもよ
い。このような単量体としては、例えば、エチレン、プ
ロピレン、イソブテン等のオレフィン酸、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の
ハロゲン化オレフィン類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸
ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イ
ソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブ
チル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘ
キシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル
等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリ
ル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリ
ル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル
酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタク
リル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類、アク
リルアミド、メタクリルアミド、ダイアセトンアクリル
アミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメ
チルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸およびそのナトリウム塩のアクリルアミ
ド系単量体類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル
等のニトリル類、酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化
合物、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレ
イン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸または無水
イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物およびそのエ
ステル、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタ
アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有化合物、ビニル
トリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢酸イソ
プロペニル、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−
ジメチルプロピル)−アンモニウムクロライド、3−ア
クリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニ
ウムクロライド、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロ
キシプロピル)ジメチルアミンの4級アンモニウム塩、
N−(4−アリルオキシ−3−ヒドロキシブチル)ジエ
チルアミンの4級アンモニウム塩さらにはアクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルア
ミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ダイアセトン
アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メタ
クリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチ
ルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド
等の4級アンモニウム塩、スチレン、α−メチルスチレ
ン、P−メチルスチレンスルホン酸およびそのナトリウ
ム、カリウム塩等のスチレン系単量体類その他N−ビニ
ルピロリドン等が挙げられる。これら共重合可能な単量
体の量は、ビニル系カルポン酸100重量部に対して1
00重量部以下が好ましく、80重量部以下がより好ま
しい。
【0030】(グリシジル(メタ)アクリレートの付加)
本発明にて用いるブロック共重合体は、このようにして
アクリル酸および/またはメタクリル酸などを含むPV
A系ブロック共重合体を得た後、触媒の存在下、これに
グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等
のグリシジルエステルを付加する。かかる反応における
グリシジルエステルの使用量は、前記の付加重合された
アクリル酸、メタクリル酸の1モルに対して0.6〜1.
5モル、好ましくは0.8〜1.2モルである。グリシジ
ルエステルの使用量がこれより少ないと得られるレジス
ト膜の光架橋性能が低く感度が悪い。
【0031】グリシジルエステルの付加反応に用いる触
媒としては、トリエチルベンジルアンモニウムクロライ
ド、トリフェニルベンゾニウムクロライド、テトラブチ
ルアンモニウムクロライド、トリエチルアミン、トリエ
チレンジアミン等の公知の触媒が挙げられる。付加反応
の条件は反応に用いる化合物および触媒等の種類により
異なるが、反応温度は50〜100℃、反応時間は0.
1〜24時間が好ましい。触媒の使用量はPVA系ブロ
ック共重合体100重量部に対して0.01〜1重量
部、好ましくは0.1〜0.5重量部である。
【0032】したがって、前記のブロック共重合体中の
PVA系重合体成分(A)と上記の式(I)で表される(メ
タ)アクリル酸グリシジル付加物構造体単位を含有する
重合体成分(B)との重量比率は、0.2≦成分(A)/成
分(B)≦2であるのが好ましく、さらに好ましくは0.
3≦成分(A)/成分(B)≦1であり、最も好ましくは
0.5≦成分(A)/成分(B)≦0.9である。前記の比
率が0.2より小さいとこれから得られるレジスト膜に
タック性が大きくなる。一方、上記の範囲より大きいと
所望の感光性が得られない。
【0033】本発明の感光性組成物には、前記グリシジ
ルエステルが付加したブロック共重合体に加えて、さら
に通常のポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ゼラチン、フィッシュグリュー等を併用してもよ
い。
【0034】(感光剤)本発明組成物の第2の必須成分
である感光剤としては、前記PVA系ブロック共重合体
と共に使用した場合、光照射により感光性組成物を水に
対し不溶化することのできる化合物を用いることができ
る。
【0035】このような感光剤としては、ベンゾインの
アルキルエーテル類、例えばベンゾイン、ベンゾインメ
チルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン
イソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、ベンゾ
フェノン、ベンゾフェノンメチルエーテル、2,2−ジ
メトキシ−2−フェニルベンゾフェノン、アントラキノ
ン、1−クロルアントラキン、2−メチルアントラキ
ン、2−エチルアントラキノン、ω−ブロムアセトフェ
ノン、2,4−ジメチルチオキサントン、ジエチルチオ
キサントン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフ
ェノン、α−ブロムイソブチロフェノン、1,4−ナフ
トキノン等の光重合開始剤が挙げられる。かかる光重合
開始剤の感光性組成物中における配合量は、全固形分中
0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%であ
る。含有量が全固形分中0.01重量%未満であると光
硬化性に乏しく、一方、5重量%を越えるとコーティン
グ時に結晶の析出が見られ所望の水溶性感光性組成物が
得られない。
【0036】(その他の単量体)本発明の組成物には、
前記のブロック共重合体に加えてさらに光重合開始剤の
存在下で光重合するつぎの単量体を加えてもよい。この
ような単量体としては、1〜2個以上の水酸基を有する
低級アルカノールのアクリル酸またはメタクリル酸のエ
ステル、あるいは一方の側がエーテル化またはエステル
化されたポリエチレングリコールのアクリル酸またはメ
タクリル酸のエステル、あるいは分子内に少なくとも1
個の遊離水酸基を有し、かつ光重合可能な二重結合を有
するアクリルアミドまたはメタクリルアミドの誘導体、
例えばエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレン
グリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)
アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アク
リレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、β−オキシプロピル(メタ)アクリレート、N−β
−オキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−オキシメ
チル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ビス(β−オキ
シエチル)(メタ)アクリルアミド、N−α,α’−ジ
メチル−β−オキシエチル(メタ)アクリルアミド等が
挙げられる。
【0037】また前記単量体の一部を、本発明の効果を
損なわない範囲内で、従来かかる分野に公知の光重合性
単量体、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、m
−キシレンビスアクリルアミド、p−キシレンビスアク
リルアミド、m−フェニルビスアクリルアミド、エチレ
ンジアミンビスアクリルアミド、ヘキサメチレンジアミ
ンビスアクリルアミド等で置換してもよい。
【0038】このような単量体の配合量は、ブロック共
重合体100重量部に対して、0.01〜50重量部、
好ましくは0.05〜30重量部である。
【0039】(添加剤)本発明の感光性組成物には、ハ
イドロキノンおよびその誘導体等の光重合を妨げない重
合禁止剤、分散剤、可塑剤、消泡剤、染料および顔料等
の光重合を妨げない着色料等の添加剤を必要に応じて適
宜併用することができる。また貯蔵安定性を向上させる
目的で公知の熱重合防止剤あるいは貯蔵安定剤を含有し
てもよい。
【0040】(感光性組成物の調製)本発明の感光性組
成物は、前記の成分を混合することにより調製すること
ができる。組成物の形態としては水溶液であるのが好ま
しいが、エチルアルコール、多価アルコール等のアルコ
ール類と水との混合溶液に調製してもよい。
【0041】このような感光性組成物は、スピンコーテ
ィング、ディップコーティング、ロールコーティング、
バーコーティングなどの公知の方法を用いて、鉄合金、
銅合金、ガラス板などの各種基板上に塗布し乾燥して感
光層を形成する。また、プラスチックフィルムなどの表
面に塗布して乾燥することにより、いわゆるドライフィ
ルムレジストとしてもよい。
【0042】(露光−現像)本発明の感光性樹脂組成物
を用いて画像形成を行うには、形成した感光層上にフォ
トマスクを介して、例えばキセノンランプ、超高圧水銀
ランプ、ハロゲンランプ等の光照射を行って光重合を行
った後、水を用いて現像を行い画像を得る。このように
して得られたレジスト膜を硬膜液に漬浸処理し、水洗
後、ポストベークにより更に硬化させ耐久性に優れた硬
化物とする。
【0043】
【実施例】つぎに本発明を実施例にもとづきさらに具体
的に説明する。なお以下「部」および「%」は特に断ら
ない限り「重量部」および「重量%」をそれぞれ意味す
る。
【0044】[実施例1] (PVA系ブロック共重合体の調製)還流冷却器、滴下
ロート、温度計、窒素吹き込み口、撹拌機を備えた2リ
ットルガラス製容器に、末端にメルカプト基を有するP
VA(M−ポリマー、(株)クラレ製:重合度510、け
ん化度98.2モル%、[HS]=1.02×10-4eq
/g)100部及び蒸留水900部を仕込んだ。反応容
器の窒素吹き込み口より窒素を導入しながら煮沸溶解し
た後、窒素を導入したまま室温まで冷却し、1N−H2
SO4でpHを3に調整した。次いでアクリル酸モノマ
ー47部を加えて均一化し、さらに窒素置換を行った後
70℃に昇温し開始剤を加えて重合を行った。開始剤の
添加は、蒸留水35部に臭素酸カリウム2.3部を溶解
した水溶液を撹拌下70℃にて滴下ロートより3時間か
けて行った。ついで反応液を室温まで冷却し、PVA−
ポリ(アクリル酸)ブロック共重合体水溶液を得た。得ら
れたブロック共重合体の赤外吸収スペクトルを図1に示
す。測定は重合体をイソプロピルアルコールで充分に洗
浄し減圧乾燥した後、再度水溶液としフィルム状にして
行った。
【0045】(メタクリル酸グリシジルの付加)得られ
たブロック共重合体をpH4.0に調整し、メタクリル
酸グリシジル92部、反応触媒としてトリフェニルベン
ゾニウムクロライド1.5部、重合禁止剤として4−t
−ブチルピロカテコール5.7部を添加し、80℃で6
時間反応を行い、メタクリル酸グリシジルを付加したブ
ロック共重合体水溶液を得た。該ブロック共重合体水溶
液は淡黄色の透明液であり、pHは5.2、25℃にお
ける粘度は300mPa・sであった。前記と同様にして
得られた、このブロック共重合体の赤外吸収スペクトル
を図2に示す。
【0046】(感光レジスト膜の作製)つぎに、得られ
たブロック共重合体(15%水溶液)67部に、蒸留水1
6.4部、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノ
ン0.02部、ベンジル0.03部及びエチルアルコール
16.7部を加えて感光液を調製した。この感光液を脱
脂、防錆処理を施した42アロイ板(鉄−Ni合金)に
スピンコーターを用いて塗布し、70℃にて10分間乾
燥して感光板を得た。感光層の厚さは7μmであった。
【0047】(露光−現像)得られた感光板を真空圧着
の上、解像力テストマスク及び感度測定用マスク(富士
ステップガイドP、濃度域2.15〜0.15 15段
階)を用いて、メタルハライドランプにより30ミリジ
ュール/cm2の露光を行った。ついで、水道水を用い
15秒間のスプレー水現像を行い種々の評価に供した。
結果を表1に示す。
【0048】[実施例2〜5]PVA系ブロック共重合
体の製造及びこれに対するメタクリル酸グリシジルの付
加を後記表1に示す成分組成及び反応条件により行った
以外は、実施例1と同様にして、メタクリル酸グリシジ
ルを付加したPVA系ブロック共重合体を製造した。得
られた共重合体の水溶液の性状を表1に併せ示す。さら
に、このブロック共重合体を用いて実施例1と同様にし
て感光液を調製した後感光板を得、さらに現像を行って
種々の評価に供した。結果を表1に示す。
【0049】[比較例1]実施例1にて用いたブロック
共重合体をPVA−105((株)クラレ製、重合度50
0、けん化度98.5モル%)に変更して同様に感光レジ
スト膜の調製を試みたがレジストは得ることができなか
った。
【0050】[比較例2]PVA−205((株)クラレ
製、重合度500、けん化度88.0モル%)15部を蒸
留水85部に加温溶解しPVA溶液を調製した。次いで
冷却後、重クロム酸アンモン0.75部を調製PVA溶
液に添加し溶解した後濾過して感光液とした。42アロ
イ板(鉄−Ni合金)を実施例1と同様にして前処理を行
い感光液を塗布して乾燥した後、30ミリジュール/c
2の露光を行った。しかる後、15秒間水道水で現像
を行ったが、画像はできず全面流れた。
【0051】[比較例3]比較例2の露光を240ミリ
ジュール/cm2で行った以外は、同様にして感光レジ
スト膜を得た。また実施例と同様の評価を行った。結果
を表1に示す。
【0052】
【表1】 注)反応液の粘度:B型粘度計、25℃ なお、各実施例、比較例にて得られた感光性樹脂膜の評
価はつぎのようにして行った。
【0053】現像性 露光後の感光板に水シャワー(1kg/cm2)を用いて
非画部を洗い出し、金属基板が現れるまでの時間を測定
し下記の基準で現像性を評価した。
【0054】○;30秒以内、 △;30秒を越え12
0秒以内、×;120秒超感度 現像にあたり、段階的な半透明の濃度差をつけたマスク
を介して一定量の光を感光性樹脂膜に照射し、その何段
階の光で硬化したかを見るステップガイド法により感度
を評価した。この半透明のマスクは濃度0.15〜2.1
5であり、濃度0.15毎に15段階まで順次濃度差が
あり、1段の場合は0段より1.4倍、2段の場合は0
段より2.0倍の感度を示す。この段数が高いほど感度
は高く、通常2段以上がレジストとして実用に供し得
る。
【0055】硬膜時の接着性 感光板を現像し得られた画像を硬膜液(モリブデン酸ア
ンモン5%、リン酸5%および精製水90%、液温10
〜30℃)中、1分間のバット浸漬を行った。レジスト
膜が基板上より剥離しないかを目視観察し、その接着性
を評価した。
【0056】○;良、 △;一部剥離、 ×;剥離解像度 前記「硬膜時の接着性」評価の条件にて硬膜処理を行っ
た。ついで処理したレジスト画像を水洗し、乾燥を行っ
た。イメデジα−II型(東邦電子工業(株)製)を用いて
その画像の顕微鏡像(2000倍)をモニターに写し、
線幅を測定した。得られた値が小さいほど解像度が高
い。
【0057】レジストの耐食性 前記と同様の硬膜処理後、ポストベーク(90℃、5分
間)を行い、レジストが完全硬化したテスト板(42ア
ロイテスト板:鉄−ニッケル合金)を得た。これを48
Be’塩化鉄液専用エッチングマシンにて50℃、6分
間のエッチングを行い、レジストの耐食性等の感光液特
性を調べた。
【0058】○;良、 △;一部不良、 ×;不良 さらに、ステンレス304、銅合金MF202(三菱伸
鋼(株)製)、KLF125(神戸製鋼(株)製)の金属を用
いたレジストの耐食性試験も同様の結果であった。
【0059】前記のとおり、本発明の水溶性感光性組成
物は、合金やガラス基板等への密着性が高く、水を用い
て現像が可能であり、感光性に優れ良好な画像形成性を
示す感光レジストが提供される。感光性レジストの最大
解像度は4μであり満足できるものであった。
【0060】
【発明の効果】本発明の水溶性感光性組成物は、合金や
ガラス基盤等への密着性が高く、水を用いて現像が可能
であり、感光性に優れ良好な画像形成性を示し、機械的
強度にも優れているため、フォトレジストのみならず微
細な構造が必要とされる製品の材料および保護膜等とし
ても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1にて得られたPVA系ブロック共重
合体の赤外吸収スペクトルである。
【図2】 実施例1にて得られたメタクリル酸グリシジ
ルを付加したPVA系ブロック共重合体の赤外吸収スペ
クトルである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルアルコール系重合体成分、及び下
    式(I) 【化1】 (式中、R1及びR2は各々別個に水素又はメチル基を示
    す)で表される構造単位を含むブロック共重合体、並び
    に感光剤を配合してなる水溶性感光性組成物。
  2. 【請求項2】 水溶液の形態を有する請求項1の水溶性
    感光性組成物。
  3. 【請求項3】 フィルムの形態をなす請求項1の水溶性
    感光性組成物。
  4. 【請求項4】 末端メルカプト基を有するビニルアルコ
    ール系重合体の存在下にアクリル酸及び/又はメタアク
    リル酸をラジカル重合し、次いでアクリル酸グリシジル
    及び/又はメタアクリル酸グリシジルを付加してなるブ
    ロック共重合の製造法。
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