JPH10316798A - 油中ポリクロロビフェニルの分解処理方法 - Google Patents

油中ポリクロロビフェニルの分解処理方法

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JPH10316798A
JPH10316798A JP12835897A JP12835897A JPH10316798A JP H10316798 A JPH10316798 A JP H10316798A JP 12835897 A JP12835897 A JP 12835897A JP 12835897 A JP12835897 A JP 12835897A JP H10316798 A JPH10316798 A JP H10316798A
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urea
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  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線照射により油中のポリクロロビフェニ
ルの分解処理する際に、脱塩素化効率をできるだけ簡易
な手法によって高め、生成した塩素を絶縁油などの脂肪
族炭化水素油中から効率よく除去できる方法とすること
である。 【解決手段】 ポリクロロビフェニル(PCB)を含有
する脂肪族炭化水素油に、尿素、エチルアルコール、エ
チレングリコールおよび塩基性水酸化物を添加して混合
し、脂肪族炭化水素の尿素付加物を含有する混合物に紫
外線を照射してポリクロロビフェニルを脱塩素化して無
害化し、生成した塩素は、塩化ナトリウムなどの沈殿物
として除去可能である油中ポリクロロビフェニルの分解
処理方法とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ポリクロロビフ
ェニルによる環境汚染を防止するための分解処理方法に
関し、詳しくは油中ポリクロロビフェニルの分解処理方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ビフェニル(C6 5
6 5 )の塩素置換体であるポリクロロビフェニル(以
下、PCBと略記する。)は、多くの優れた特性を有す
るため、電気絶縁材、冷却油、熱媒体、作動油、潤滑
油、可塑剤、塗料、インク、感圧紙などに広い用途を有
する。
【0003】しかしながら、熱媒に使用されたPCBが
食用油に混入した油症事件をきっかに、PCBの生物に
対する有毒性や自然環境における難分解性が問題にな
り、近年厳しい規制の下に使用されるようになった。
【0004】因みに、PCBの自然環境での生物濃縮は
約10000倍と推定されており、水には殆ど溶けず、
僅かに懸濁するか、または浮遊物の表面に吸着されてい
る他、大部分は底質に堆積している。
【0005】このようなPCBを自然環境または工業材
料から回収する方法として、硫酸アルミニウムその他の
凝集剤や活性炭で処理し、懸濁物質として凝集沈澱処理
する方法、または活性炭に吸着させて除去する方法があ
る。
【0006】また、PCBを分解する方法として、特殊
な焼却炉または噴霧燃焼によって焼却処理する方法、お
よびアルカリ性プロパノールに溶かして60Cのγ線また
は紫外線を照射することによって脱塩素化して分解する
方法が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の紫外線照射によるPCBの分解処理方法は、特に油中
のPCBを分解する場合に分解効率が低く、またPCB
から分離された塩素を油中から効率よく除去できないと
いう問題点がある。
【0008】そこで、この発明の第1の課題は、上記し
た問題点を解決して、紫外線照射による油中PCBの分
解処理方法において、紫外線による脱塩素化効率をでき
るだけ簡易な手法によって高めて、比較的小型で簡易な
設備で分解処理できる方法とすることである。
【0009】また、この発明の第2の課題は、脱塩素化
処理で生成した塩素を絶縁油などの脂肪族炭化水素油中
から効率よく除去できるPCBの分解処理方法とするこ
とである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の第1および第2の
課題を解決するため、この発明においては、ポリクロロ
ビフェニルを含有する脂肪族炭化水素油に、尿素、エチ
ルアルコールおよび塩基性水酸化物を添加して混合し、
この混合物に紫外線を照射してポリクロロビフェニルを
脱塩素化することからなる油中ポリクロロビフェニルの
分解処理方法としたのである。
【0011】また、ポリクロロビフェニルを含有する脂
肪族炭化水素油に、尿素、エチルアルコール、エチレン
グリコールおよび塩基性水酸化物を添加して混合し、こ
の混合物に紫外線を照射してポリクロロビフェニルを脱
塩素化することからなる油中ポリクロロビフェニルの分
解処理方法としたのである。
【0012】この発明の油中のPCBの分解処理方法
は、パラフィン系(メタン列炭化水素)またはオレフィ
ン系(エチレン列炭化水素)等の脂肪族炭化水素油と尿
素とエチルアルコールとが所定量混合された際に、六方
晶系尿素の中空六角管状の結晶性尿素付加物が生成さ
れ、この中に鎖状の脂肪族炭化水素が抱き込まれるの
で、その分だけ脂肪族炭化水素油の濃度が低下して被処
理油の粘性が低下し、紫外線照射処理時に紫外線が被処
理油の表面から深い距離まで到達するようになり、比較
的短時間の紫外線照射処理で充分に脱塩素化反応が起こ
る。
【0013】また、エチルアルコールおよびエチレング
リコールは、脱塩素化されたビフェニル分子に対して塩
素イオンよりも反応しやすいので、塩素がビフェニル分
子と再結合する反応が阻止されて、紫外線照射による脱
塩素化処理の効率が高まる。
【0014】また、水酸化ナトリウムなどの塩基性水酸
化物は、遊離した塩素イオンと化合して塩化物を形成
し、油中の塩素濃度を低減するので、系の脱塩素化反応
が促進される。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明に用いるポリクロロビフ
ェニル含有の脂肪族炭化水素油は、ポリクロロビフェニ
ルを任意濃度で含有し、主として直鎖状の合成または精
製されたパラフィン系またはオレフィン系の炭化水素油
からなる脂肪族炭化水素油である。
【0016】ポリクロロビフェニルは、ビフェニル(C
6 5 6 5 )の水素原子に対する塩素原子の置換度
が2〜8のものであり、すなわち塩素数2〜8のビフェ
ニルの塩素置換体のいずれかまたは複数種のクロロビフ
ェニルの混合物である。
【0017】この発明に用いる塩基性水酸化物は、ナト
リウムおよびカリウムなどから選ばれるアルカリ金属の
水酸化物であり、塩素と化合して脂肪族炭化水素油中に
沈澱物を形成可能なものである。具体例としては、水酸
化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。この
うち、水酸化ナトリウムは塩素と反応して有用な塩化ナ
トリウムを生成するため、特に好ましい塩基性水酸化物
である。
【0018】ポリクロロビフェニルを含有する脂肪族炭
化水素油に、エチルアルコール、尿素、エチレングリコ
ールおよび塩基性水酸化物を添加して混合する場合の各
成分の配合割合は、以下の通りである。
【0019】まず、脂肪族炭化水素油100重量部に対
するエチルアルコールの配合割合は、500〜2000
重量部であり、尿素(H2 NCONH2 )の配合割合
は、150〜300重量部であることが適当である。
【0020】エチルアルコールの配合割合が、上記所定
範囲未満では、絶縁油等の粘性が障害となって分解処理
効率が低下して好ましくなく、上記所定範囲を越える多
量では、処理溶剤のコストが上昇し経済面から実用性を
失することにもなるので好ましくない。
【0021】尿素の配合割合が、上記所定範囲未満では
ポリαオレフィン油等の脂肪族炭化水素油との結晶化が
進まず、粘稠性が残留して好ましくなく、上記所定範囲
を越える多量では結晶が過剰となり、紫外線照射の阻害
となって好ましくないからである。
【0022】その他の成分の処理溶剤100重量部に対
する配合割合は、エチレングリコール0.3〜3.0重
量部及び水酸化ナトリウム等の塩基性水酸化物0.3〜
2.0重量部である。
【0023】エチレングリコールの配合割合が、上記所
定範囲未満では被処理物との接触率が低下し、処理時間
が長くなって好ましくなく、上記所定範囲を越える多量
では処理溶剤のコスト上昇や紫外線照射の処理効率を阻
害することにもなるので好ましくない。
【0024】また、水酸化ナトリウムの配合割合が上記
所定範囲未満では、遊離した塩素イオンが化合しきれず
に残留して好ましくなく、上記所定範囲を越える多量で
は処理溶剤のコストが上昇したり、紫外線照射による処
理効率を阻害するので好ましくない。
【0025】紫外線を照射する場合の条件としては、い
わゆる紫外線と呼ばれる電磁波の波長1〜390nmの
範囲で効果的に好ましいものを選択的に採用すればよい
が、特に184.9nmの波長の紫外線が好ましく、こ
の紫外線は253.7nmの波長の紫外線に比べてPC
Bの分解効率が高いことが判明している。
【0026】紫外線の照射強度および照射時間について
は、照射強度12000〜20000μW/cm2 、照
射時間15分〜60分の範囲に設定することが、実用的
な分解処理を行なうためには好ましい。
【0027】
【実施例】エチレングリコールの有効性および紫外線の
照射時間による差異を調べるため、以下の参考実験を行
なった。
【0028】〔参考実験1〕シャーレ内にPCB濃度が
1.45mg/kgのトランス油原液(脂肪族炭化水素
油)を1.0g入れて、これに2−イソプロピルアルコ
ール(以下、IPAと略記する。)を0.5g添加して
5分間攪拌し、次いで水酸化ナトリウムを0.5g添加
して5分間攪拌し、シャーレの上端から上方5mmの距
離から波長253.7nmの紫外線を30分照射し、油
中ポリクロロビフェニルの分解処理を行なった。処理後
のPCB濃度をガスクロマトグラフ法(昭和46年環境
庁告示第50号付表5)で測定したところ、0.87p
pmであるとの結果が得られた。
【0029】〔参考実験2〕参考実験1において、紫外
線の照射時間を90分としたこと以外は全く同様にして
分解処理を行なった。処理後のPCB濃度を参考実験1
と同様に測定したところ、0.54ppmであるとの結
果が得られた。
【0030】〔参考実験3〕参考実験1において、IP
Aを0.5g添加することに代えてエチレングリコール
を0.5g添加したこと以外は全く同様にして、分解処
理を行なった。処理後のPCB濃度を参考実験1と同様
に測定したところ、0.58ppmであるとの結果が得
られた。
【0031】〔参考実験4〕参考実験3において、紫外
線の照射時間を90分としたこと以外は全く同様にして
分解処理を行なった。処理後のPCB濃度を参考実験1
と同様に測定したところ、0.54ppmであるとの結
果が得られた。
【0032】参考実験1〜4の結果から、紫外線分解促
進剤として採用したエチレングリコールは、IPAに比
べて格段に良好な分解効率を示すことが判る。また、エ
チレングリコールの経時的な分解効率は、処理時間が3
0分または90分において殆ど差異がなく、IPAに比
べて短時間にPCBを分解できることがわかる。
【0033】なお、上記した参考実験において、紫外線
波長を184.9nmとしたこと以外は、全く同様にし
て処理後の紫外線濃度を調べたところ、紫外線波長が1
84.9nmのほうが、波長253.7nmの紫外線処
理に比べて7%高い分解効果を示した。
【0034】〔実施例1〕シャーレ内にPCB濃度が
1.45mg/kgのトランス油原液(脂肪族炭化水素
油)を1.0をg入れて、これに尿素とエチルアルコー
ルの1:9混合物(重量比)を20gすると共に水酸化
ナトリウムを1g添加して15分間攪拌し、シャーレの
上端から上方5mmの距離から波長184.9nmの紫
外線を30分照射し、油中ポリクロロビフェニルの分解
処理を行なった。処理後のPCB濃度をガスクロマトグ
ラフ法(前記参考実験と同じ測定方法)で測定したとこ
ろ、0.01ppm未満であるとの結果が得られた。
【0035】〔実施例2〕シャーレ内にPCB濃度が
1.45mg/kgのトランス油原液(脂肪族炭化水素
油)を1.0g入れて、これに尿素とエチルアルコール
の1:9混合物(重量比)を20gすると共にエチレン
グリコール1gおよび水酸化ナトリウム1gを添加して
15分間攪拌し、シャーレの上端から上方5mmの距離
から波長184.9nmの紫外線を30分照射し、油中
ポリクロロビフェニルの分解処理を行なった。処理後の
PCB濃度をガスクロマトグラフ法(前記参考実験と同
じ測定方法)で測定したところ、0.01ppm未満で
あるとの結果が得られた。
【0036】
【発明の効果】この発明の油中ポリクロロビフェニルの
分解処理方法は、以上説明したように、被処理油に尿素
を添加することによって結晶性尿素付加物を生成して被
処理油の粘性が低下するので、紫外線照射処理効率が向
上し、また添加されたエチルアルコールおよびエチレン
グリコールによって、解離した塩素がビフェニル分子と
再結合しないので、紫外線照射による脱塩素化処理の効
率が高まり、また水酸化ナトリウムなどの塩基性水酸化
物が、遊離した塩素イオンと化合して脱塩素化反応を促
進する。
【0037】したがって、紫外線による脱塩素化効率が
簡易な手法によって高めることができ、比較的小型で簡
易な設備で分解処理できるようになる。また、脱塩素化
処理で生成した塩素は絶縁油などの脂肪族炭化水素油中
から効率よく除去できるPCBの分解処理方法となる利
点もある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリクロロビフェニルを含有する脂肪族
    炭化水素油に、尿素、エチルアルコールおよび塩基性水
    酸化物を添加して混合し、この混合物に紫外線を照射し
    てポリクロロビフェニルを脱塩素化することからなる油
    中ポリクロロビフェニルの分解処理方法。
  2. 【請求項2】 ポリクロロビフェニルを含有する脂肪族
    炭化水素油に、尿素、エチルアルコール、エチレングリ
    コールおよび塩基性水酸化物を添加して混合し、この混
    合物に紫外線を照射してポリクロロビフェニルを脱塩素
    化することからなる油中ポリクロロビフェニルの分解処
    理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101021690B1 (ko) * 2010-05-12 2011-03-22 (주)원창에너지 폴리염화비페닐을 함유하는 폐절연유의 처리 방법

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