JPH10313761A - 飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】取扱いや製造が容易な飛翔害虫捕獲粘着シ−ト
材を提供する。 【解決手段】プラスチック支持フィルム１１の片面また
は両面に粘着剤層１２を有する害虫捕獲粘着シ−ト１の
粘着剤層に剥離シ−ト２が貼着され、該剥離シ−トの上
端部に分断用線２０が設けられ、該分断用線よりも上側
において吊支具通し用の切れ目３が設けられている。分
断用線端に臨む剥離シ−ト部分を上記プラスチック支持
フィルム１１を露出させるように切欠き（ａ）、かつそ
の露出支持フィルム部分とその近傍部分を粘着剤不塗布
のプラスチック支持フィルム面のままにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は飛翔害虫誘引捕獲粘
着シ−ト材に関し、例えば、ハウス栽培において、飛翔
害虫の発生状況を察知し、農薬散布時期等を適確に把握
するために使用するものである。

【０００２】

【従来の技術】ハウス栽培によれば、野菜が不足する冬
期や栽培が難しい多雨期に品質の良い野菜を供給し得、
価格安定に寄与する有利性があり、トマト、キュウリ、
ナス、ネギ、玉ねぎ、キャベツ等の多種の作物の栽培に
ハウス栽培が使用されている。従来、ハウス内の飛翔害
虫を農薬を使用することなく粘着シ−トで捕殺すること
が知られている。しかしながら、かかる害虫駆除では、
多量の粘着シ−トを必要とし、ハウス内での粘着シ−ト
の設置作業も大がかりとなり、コストアツプが避けられ
ない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そこで、ハウス内での
飛翔害虫の発生状況を察知し、その発生状況に適合した
種類や量の農薬を散布するようにすれば、作業工数、農
薬量を最小限に抑え得、充分な低コスト化が期待でき
る。そして、ハウス内での飛翔害虫の発生状況を察知す
るための粘着シ−トであれば、完全捕獲駆除を目的とす
る場合に較べ、充分に小サイズにでき、ハウス内での設
置も容易になり、かかる面からも作業の容易化、簡易
化、低コスト化が期待できる。

【０００４】本発明の目的は、栽培ハウス内での飛翔害
虫の発生状況を害虫捕獲粘着シ−トを使用して察知し、
その発生状況に応じた適切な農薬散布のもとでハウス栽
培を行うことを前提とし、取扱いや製造が容易な飛翔害
虫捕獲粘着シ−ト材を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係る飛翔害虫捕
獲粘着シ−ト材は、支持基材の片面または両面に粘着剤
層を有する害虫捕獲粘着シ−トの粘着剤層に剥離シ−ト
が貼着され、該剥離シ−トの上端部に分断用線が設けら
れ、該分断用線よりも上側において吊支具通し用の切れ
目が設けられていることを特徴とする構成であり、分断
用線両端の少なくとも一方において、その分断用線端に
臨む剥離シ−ト部分を上記支持基材を露出させるように
切欠き、かつその露出支持基材部分とその近傍部分を粘
着剤不塗布の支持基材面のままにすることができる。本
発明に係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材の製造方法は、長
尺支持基材の片面または両面に粘着剤をその面の縁端部
を除いて塗布し、該粘着剤塗布支持基材の片面または両
面に長尺剥離シ−トを貼着し、更に上記縁端部に沿い所
定間隔ごとに折線部または屈曲線部を有する連続切断用
線を剥離シ−トに設け、この切断用線に沿い長尺剥離シ
−トの縁端部を連続的に除去し、更に定尺切断すること
により、剥離シ−トの上記折線部または屈曲線部での切
断部分を剥離用端部とする飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材を
得ることを特徴とする構成である。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態について説明する。図１の（イ）は本発明に
係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材の一例の正面図を、図１
の（ロ）及び図１の（ハ）は図１の（イ）におけるロ−
ロ断面図及びハ−ハ断面図をそれぞれ示している。図１
の（イ）乃至図１の（ハ）において、１は飛翔害虫捕獲
粘着シ−トを示し、支持基材、例えばプラスチック支持
フィルム１１の両面に両縁端部ｅ，ｅを除いて粘着剤層
１２を設けてある。２は飛翔害虫捕獲粘着シ−ト１の粘
着剤層１２に貼着した剥離シ−トであり、例えば長鎖ア
ルキル系剥離剤を塗布したクラフト紙が用いられる。２
０は剥離シ−ト２の上端部に設けた分断用線であり、完
全分離のものの他、ハ−フカット線、ミシン目等の使用
も可能である。この分断用線２０により剥離シ−ト２１
が上側の補強剥離シ−ト部２２と下側の剥離シ−ト主体
部２１とに分断されている。３は吊支具を通すために補
強剥離シ−ト部２２の中央部に設けた切り目であり、切
断屑の発生なく形成でき、且つ吊支具が安定に挿通され
るものであれば、適宜の形状のものを使用でき、図１の
＋形の外、例えば、図２の（イ）〜（ニ）に示す形状の
ものも使用できる。

【０００７】図１において、ａは分断用線２０の両端の
それぞれにおいて、その分断用線端に臨む剥離シ−ト部
分に設けた切欠部であり、その切欠部巾ｂはプラスチッ
ク支持フィルム１１の粘着剤不塗布の縁端部ｅの巾ｅ’
よりも小としてある。従って、この切欠部ａにより露出
されたプラスチック支持フィルム部分及びその近傍のプ
ラスチック支持フィルム部分はプラスチック支持フィル
ム面のままの、所謂ドライ面とされている。この剥離シ
−ト２の切欠部ａは、後述するように、上記の剥離シ−
ト主体部２１を剥離するときの剥離開始端（ドライエッ
ジ）とされ、図１の（イ）に示す形状のものに限定され
ず、例えば、図３の（イ）〜（ト）に示すような切欠部
の使用も可能である。上記実施例においては、プラスチ
ック支持フィルムの両面に粘着剤層を設けているが、片
面のみに粘着剤層を設けてもよい。

【０００８】上記において、プラスチック支持フィルム
１１には、例えば、ポリプロピレンフィルムを使用し、
その厚みは６０μｍ〜２ｍｍとし、上記剥離シ−ト２の
厚みはプラスチック支持フィルム１１の厚みにほぼ等し
くしてある。このプラスチック支持フィルム１１に代
え、使用後の焼却処理の容易化のために紙を使用するこ
ともできる。また、飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材の巾は５
０ｍｍ〜２００ｍｍとし、長さは２００ｍｍ〜３００ｍ
ｍとしてある。

【０００９】本発明に係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材
は、栽培ハウス内での飛翔害虫の粘着捕獲に使用され
る。本発明に係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材を使用する
にあたっては、吊支具通し用切れ目３に吊支具を通し、
補強剥離シ−ト部２２を残して剥離シ−ト主体部２１の
みを剥離する。而るに、本発明に係る飛翔害虫捕獲粘着
シ−ト材においては、剥離シ−トの分断用線端に切欠部
ａを設け、その切欠部の支持基材部分及びその近傍の支
持基材部分を粘着剤不塗布のドライ面としてあるので、
その切欠部ａを指先で擦ると、切欠部縁端を起立させ
得、この起立部を摘み代として剥離シ−ト主体部２１を
指先への粘着剤の付着なく容易に剥離できる。従って、
作業手袋を着用したままでも剥離シ−ト主体部２１を容
易に剥離できる。剥離シ−ト主体部を剥離すれば、図４
に示すように、吊支具５をハウス内支柱、例えばトマト
幹補強パイプの上端間の横棒６に掛支して、害虫捕獲粘
着シ−ト１を栽培ハウス内に設置する。この場合、厚み
６０μｍ前後の支持基材１１の耐変形剛性が小であって
も、吊支された害虫捕獲粘着シ−ト１の上端部の耐変形
剛性を、上端部に貼着したままの補強剥離シ−ト部２２
のために相当に大きくできるので、害虫捕獲粘着シ−ト
上端部の巾中央での一点吊りであっても、害虫捕獲粘着
シ−ト１を安定に吊支できる。また、支持基材１１の厚
みが６０μｍ前後と薄いために、使用済み後は、コンパ
クトに塊めて容易に廃棄できる。従って、本発明に係る
飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材によれば、剥離シ−トを良好
な作業性で剥離し、安定に吊支できる。

【００１０】而して、栽培ハウス内に発生した飛翔害虫
が害虫捕獲粘着シ−トに粘着捕獲され、その粘着捕獲状
態から飛翔害虫の発生状況を容易に把握でき、その発生
状況を分析して発生害虫の種類、発生量を察知し得、散
布すべき農薬の種類や散布量を適確に決めることができ
る。そして、かかる農薬散布のもとで飛翔害虫を駆除し
て、良品質の作物を高収穫率で収穫できる。

【００１１】上記において、害虫捕獲粘着シ−トにおけ
る光線投射面の裏面側での陰りを排除し、その裏面側で
も効果的な視覚誘引を発揮させ得るように、支持基材に
多数の光線通過孔を設けることもできる。上記におい
て、支持基材１１を着色し飛翔害虫を色で誘引して捕獲
効率を高めることもでき、その誘引色は、イエロ−また
はブル−とすることができる。イエロ−の場合は、トマ
ト、キュウリ、ナス、スイカ、メロン等のハウス栽培で
のアブラムシ類、コナジラミ類、マメハモグリハエ、タ
バココナジラミ等の捕獲、柑橘類のハウス栽培でのアブ
ラムシ類、チャノキイロアザミウマ、ミカンキイロアザ
ミウマ等の捕獲、ブドウのハウス栽培でのフタテンヒメ
ヨコバイ、ネギ、タマネギ等のハウス栽培でのネギハモ
グリハエの捕獲、キャベツ、チンゲンサイ、ストック等
のハウス栽培でのアブラムシ類、コナガ等の捕獲、キ
ク、カ−ベラ、宿根カスミソウ等のハウス栽培でのアブ
ラムシ類、マメハモグリハエ等の捕獲、畑作物一般に対
するタネバエの捕獲に有効である。また、ブル−の場合
は、トマト、キュウリ、ナス、スイカ、メロン等のハウ
ス栽培でのミナミキイロアザミウマの捕獲、柑橘類のハ
ウス栽培でのミカンキイロアザミウマの捕獲、ブドウの
ハウス栽培でのミナミキイロアザミウマの捕獲、キク、
カ−ベラ、宿根カスミソウ等のハウス栽培でのミナミキ
イロアザミウマの捕獲、畑作物一般に対するミナミキイ
ロアザミウマの捕獲に有効である。

【００１２】上記において、吊支具５に図５に示すよう
に、弾性力でチヤックできる針金製のものを使用すれ
ば、下側からの押し上げによりワンタッチで横棒６に掛
支でき、特に横棒位置が高い場合（２ｍ程度）に有利で
ある。また、図６の（イ）に示すように剥離シ−トの分
断用線２０の途中において、補強剥離シ−ト部２２に連
設のバンド部２３を剥離シ−ト主体部２１に切断用線２
０１により区画し、該バンド部２３に所定の間隔で長さ
調整切断用線（ハ−フカットまたはミシン目）２３１を
入れ、図６の（ロ）に示すように、調整切断用線の選択
で長さを調整したバンド部２３を吊支具５で吊り下げて
吊り下げ長さを調整することもできる。

【００１３】図７の（イ）乃至図７の（ハ）は本発明に
係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材の製造方法の作業手順を
示す図面である。本発明により飛翔害虫捕獲粘着シ−ト
材を製造するには、まず、最初の段階で、図７の（イ）
に示すように、走行中の長尺支持基材１１の片面または
両面にその面の縁端部ｅを残して粘着剤１２を塗布し、
その塗布面に長尺剥離シ−ト２を連続的に貼着して行
く。次ぎの段階で、ロ−ルカッタ−に通し、図７の
（ロ）に示すように、剥離シ−ト２に上記縁端部ｅに沿
い、一定間隔ごとに折線部または屈曲線部４１を有する
連続線状の切断用線４をハ−フカットし、更に、剥離シ
−ト縁端部２０ｅを引張りにより切断用線４に沿って切
断除去して行く。この切断用線の折線部または屈曲線部
４１の形状は、剥離シ−ト主体部に対する上記した剥離
開始摘み用の切欠部ａの形状に対応させてある。上記の
ようにして剥離シ−トの縁端部を除去すれば、その直後
の段階で図７の（ハ）での切断線Ｅにより、定尺切断し
て、飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材を得る。図７において、
２０は剥離シ−トに入れた分断用線であり、上記切断用
線で切断される縁端部を横断させることなく設けてあ
り、切断用線４を入れる上記のロ−ルでこの分断用線２
０もカットすることができる。

【００１４】この製造方法においては、剥離シ−ト主体
部の剥離用ドライエッジを設けるための剥離シ−ト縁端
部の切断除去を連続的に行い得、定尺切断後に剥離シ−
ト縁端部の除去を個々の定尺切断品ごとに不連続的に行
う場合に較べ、高い生産性を確保できる。

【００１５】

【発明の効果】本発明に係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材
においては、作業手袋を着手した状態でも剥離シ−ト主
体部を容易に剥離でき、また、上端部に貼着したままの
補強剥離シ−ト部のために安定にハウス内に吊支できる
から、簡易な準備作業で栽培ハウス内での飛翔害虫の発
生状況を適確に察知し、その発生状況に応じて農薬散布
を適切に行うことが可能となる。また、吊支具を切り目
に通して吊支しており、吊支用孔とは異なり、切断屑の
発生を排除でき、また、本発明に係る製造方法によれ
ば、ドライエッジ形成のための剥離シ−トの縁端部の切
断除去を連続的に能率良く行い得るから、生産性に優れ
ている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材の一実
施例を示す図面である。

【図２】本発明に係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材の吊支
具通し用切れ目の異なる例を示す図面である。

【図３】本発明に係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材の剥離
シ−トの切欠部の異なる例を示す図面である。

【図４】本発明に係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材の使用
状態を示す図面である。

【図５】本発明に係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材に対す
る吊支具の一例を示す図面である。

【図６】本発明に係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材の他の
実施例とその吊支状態を示す図面である。

【図７】本発明に係る飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材の製造
方法を示す図面である。

【符号の説明】

１ 飛翔害虫捕獲粘着シ−ト本体 １１ 支持基材 １２ 粘着剤層 ｅ 粘着剤不塗布部分 ２ 剥離シ−ト ２０ 分断用線 ａ 剥離シ−トの切欠部 ３ 吊支具通し用切れ目 ４ 連続切断用線 ４１ 折線部または屈曲線部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】支持基材の片面または両面に粘着剤層を有
   する害虫捕獲粘着シ−トの粘着剤層に剥離シ−トが貼着
   され、該剥離シ−トの上端部に分断用線が設けられ、該
   分断用線よりも上側において吊支具通し用の切れ目が設
   けられていることを特徴とする飛翔害虫捕獲粘着シ−ト
   材。
2. 【請求項２】支持基材の片面または両面に粘着剤層を有
   する害虫捕獲粘着シ−トの粘着剤層に剥離シ−トが貼着
   され、該剥離シ−トの上端部に分断用線が設けられ、該
   分断用線両端の少なくとも一方において、その分断用線
   端に臨む剥離シ−ト部分が上記支持基材を露出させるよ
   うに切欠られ、かつその露出支持基材部分とその近傍部
   分が粘着剤不塗布の支持基材面のままにされていること
   を特徴とする飛翔害虫捕獲粘着シ−ト材。
3. 【請求項３】長尺支持基材の片面または両面に粘着剤を
   その面の縁端部を除いて塗布し、該粘着剤塗布支持基材
   の片面または両面に長尺剥離シ−トを貼着し、更に上記
   縁端部に沿い所定間隔ごとに折線部または屈曲線部を有
   する連続切断用線を剥離シ−トに設け、この切断用線に
   沿い長尺剥離シ−トの縁端部を連続的に除去し、更に定
   尺切断することにより、剥離シ−トの上記折線部または
   屈曲線部での切断部分を剥離用端部とする飛翔害虫捕獲
   粘着シ−ト材を得ることを特徴とする飛翔害虫捕獲粘着
   シ−ト材の製造方法。