JPH10309862A - 記録用シートおよびその製造方法 - Google Patents

記録用シートおよびその製造方法

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JPH10309862A
JPH10309862A JP9120584A JP12058497A JPH10309862A JP H10309862 A JPH10309862 A JP H10309862A JP 9120584 A JP9120584 A JP 9120584A JP 12058497 A JP12058497 A JP 12058497A JP H10309862 A JPH10309862 A JP H10309862A
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JP
Japan
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acid
recording sheet
group
weight
hydrophilic polymer
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JP9120584A
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English (en)
Inventor
Toyozo Hamada
豊三 浜田
Nobuyuki Nakatsuka
修志 中塚
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録用シートにおいて、インク吸収性および
耐水性の双方の特性を高いレベルで備えたインク吸収層
を形成する。 【解決手段】 ヒドロキシル基含有親水性高分子と、多
価カルボン酸又はその塩と、必要により周期表4A族元
素化合物(水溶性ジルコニウム化合物など)とを含む塗
布液を、支持体の少なくとも一方の表面に塗布してイン
ク吸収層を形成する。親水性高分子にはポリビニルアル
コールおよびその変性物などが含まれ、多価カルボン酸
には脂肪族,脂環族又は芳香族C2-10ポリカルボン酸
(特にC2-6脂肪族多価カルボン酸)などが含まれる。
親水性高分子100重量部に対する多価カルボン酸の割
合は、0.1〜30重量部、周期表4A族元素化合物の
割合は0.1〜30重量部程度である。このようなイン
ク吸収層を備えた記録用シートはインクジェット記録に
適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録用シートおよ
びその製造方法、さらに詳しくはインクの吸収性、耐水
性に優れ、インクジェット記録に有用な記録用シートお
よびその製造方法、並びに記録シート用樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、フルカラー
化が容易であり、低騒音で印字品質に優れていることか
ら、近年急速に普及しつつある。インクジェット記録用
のインクとしては、安全性、記録適性の点から主に水系
のものが使用され、ノズルから記録用シートにむけて小
滴で射出される。このため記録用シートは、速やかにイ
ンクを吸収することが要求される。すなわち、インク吸
収性の低い記録用シートでは、記録終了後もインクが記
録用シートの表面に長時間残り、装置の一部への接触、
取扱い者の接触や、記録シートの重ね合わせにより、記
録部分が汚れる。また、高密度画像部では、多量に供給
されたインクが吸収されないまま混合するとともに流れ
出し、不鮮明な画像となる。
【0003】特開昭62−140876号公報,特開昭
62−140877号公報には、ポリビニルピロリドン
などの塩基性ポリマーと、ロジン変性マレイン酸やスチ
レン−無水マレイン酸共重合体とのポリマーコンプレッ
クスでインク受容層を形成したインクジェット記録材が
開示されている。しかし、これらの記録材では、インク
受容層が本質的に水溶性ポリマーで構成されているた
め、耐水性を大幅に改善することが困難である。
【0004】特表平8−503903号公報には、低分
子量ゼラチン、ムコクロル酸、カルボキシメチルセルロ
ースを含むインク受理層を支持体上に形成したインクジ
ェット記録シートが提案され、特開昭60−23487
9号公報には、ポリビニルアルコールと、C2-4 オレフ
ィン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体若しく
はその塩(架橋剤)を含有する塗膜を、フィルム又はシ
ートの片面又は両面に形成したインクジェット記録用シ
ートが提案されている。しかし、これらの記録用シート
でも、インク吸収性を改善すると耐水性が低下し、双方
の特性を高いレベルで両立できない。
【0005】特開平6−286297号公報には、擬ベ
ーマイト又はシリカの多孔質インク受理層に、マロン
酸,マレイン酸などの鎖式多価カルボン酸を含有させた
記録シートが提案されている。この文献には、アルミナ
ゾルとポリビニルアルコールとを含むスラリーを、支持
体上に厚み30μmに塗布してインク受理層を形成した
後、浸漬により多価カルボン酸を含浸した例が記載され
ている。しかし、この文献に記載の方法は、アルミナゾ
ルの調製が煩雑であり、組成が複雑化するとともに、多
孔質インク層を形成する工程と、浸漬などによる多価カ
ルボン酸の含浸工程とを必要とし、生産性およびコスト
の点で難点がある。
【0006】さらに、特開昭58−94491号公報に
は、支持体表面の被覆層を、合成シリカ,水性接着剤
(ポリビニルアルコールなど),および二価金属の弱酸
塩又は酸化物(ケイ酸カルシウム,ケイ酸マグネシウ
ム,炭酸亜鉛,炭酸カルシウム,酸化マグネシウムな
ど)で構成したインクジェット記録用シートが提案され
ている。特開昭60−67190号公報には、イオン価
数2以上の水溶性金属塩とカチオン性有機物質(アルキ
ルアミン,4級アンモニウム塩,ポリアミン)とで構成
されたインク吸収層を備えたインクジェット記録媒体が
開示され、水溶性金属塩として、硫酸ジルコニウムが例
示され、好ましい水溶性金属塩としては、アルミニウ
ム、亜鉛、錫、カルシウム、マグネシウム、インジウム
の塩素化物などが記載されている。これらの記録用シー
トでは耐水性をある程度改善できるものの、未だ実用的
でない。
【0007】特開平4−263984号公報には、アミ
ノ基やアンモニウム塩基を有するポリビニルアルコール
と耐水化剤とを含むインク吸収層を備えたインクジェッ
ト記録用シートが開示されている。この文献には、耐水
化剤として、アルミニウム,鉄,銅,亜鉛,チタン,マ
グネシウム,クロム,ジルコニウムなどの金属の水溶性
塩が例示され、アルデヒド化合物、特にジアルデヒド化
合物が好ましいと記載されている。これらの記録用シー
トでは、耐水性をある程度改善できる。しかし、特殊な
変性ポリビニルアルコールを用いる必要があるととも
に、簡便かつ簡単な組成で、耐水性とインク吸収性とを
高いレベルに維持できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、インク吸収性および耐水性の双方の特性を高いレベ
ルで備えた記録用シートおよびその製造方法を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、簡単な組成であって
も、印字品質が良好で、インクジェットによる記録に適
したインク吸収層を備えた記録用シートおよびその製造
方法を提供することにある。本発明のさらに他の目的
は、透明性に優れる記録用シートおよびその製造方法を
提供することにある。本発明の別の目的は、前記の如き
優れた特性を有するインク吸収層を得る上で有用な樹脂
組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、ヒドロキシル基を有す
る親水性高分子、多価カルボン酸又はその塩、および必
要により周期表4A族元素化合物を含有する塗布液を、
支持体の表面に塗布してインク吸収層を形成すると、高
いレベルでインク吸収性と耐水性とを両立できることを
見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明の記録
用シートは、支持体と、インクに対して接触可能な形態
で前記支持体に形成されたインク吸収層とを備えている
記録用シートであって、前記インク吸収層が、少なくと
もヒドロキシル基を有する親水性高分子と、多価カルボ
ン酸又はその塩と、必要により周期表4A族元素化合物
とで構成されている。前記親水性高分子には、ポリビニ
ルアルコールおよびその変性物などが含まれ、周期表4
A族元素化合物には、水溶性ジルコニウム化合物などが
含まれる。本発明の方法では、前記インク吸収層を形成
するのに適した樹脂組成物(すなわち、前記親水性高分
子と、多価カルボン酸又はその塩と、必要により周期表
4A族元素化合物とを含有する樹脂組成物)で構成され
た塗布剤を、支持体の少なくとも一方の面に直接的又は
間接的に塗布することにより記録用シートを製造する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の記録用シートは、支持体
と、この支持体に形成されたインク吸収層とで構成され
ている。 [支持体]支持体(基材)は、用途に応じて不透明、半
透明や透明であってもよく、オーバーヘッドプロジェク
ター(OHP)用の支持体は、通常、透明である。支持
体の材質には特に制限はなく、支持体としては、例え
ば、紙、塗工紙、不織布、プラスチックフィルムが挙げ
られる。これらの支持体のうちプラスチックフィルムが
好ましい。プラスチックフィルムを構成するポリマーと
しては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの
ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ
塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリビニ
ルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、
酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリエステル
(ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタ
レートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポ
リアルキレンナフタレートなど)、ポリカーボネート、
ポリアミド(ポリアミド6,ポリアミド6/6,ポリア
ミド6/10,ポリアミド6/12など)、ポリエステ
ルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリエーテルエステルなどが挙げられ、さらに、こ
れらの共重合体、ブレンド物、架橋物を用いてもよい。
【0011】これらのフィルムのうち、通常、ポリオレ
フィン(特にポリプロピレン)、ポリエステル(特にポ
リエチレンテレフタレートなど)、ポリアミドなどが使
用され、特に、機械的強度、作業性などの点からポリエ
ステル(特にポリエチレンテレフタレート)が好まし
い。
【0012】支持体の厚みは、用途に応じて選択でき、
通常、5〜250μm、好ましくは10〜200μm程
度であり、OHP用フィルムの厚みは、例えば、50〜
200μm程度である。プラスチックフィルムには、必
要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑
剤、顔料などの慣用の添加剤を添加してもよい。また、
インク吸収層との接着性を向上させるため、コロナ放電
処理やアンダーコート処理などの表面処理を行ってもよ
い。
【0013】[インク吸収層]インク吸収層は、インク
に対して接触可能な形態で前記支持体に形成すればよ
く、支持体中に形成してもよく、支持体の表面に形成し
てもよい。インク吸収層は、通常、支持体の表面に対し
て直接的又は間接的に形成されている。インク吸収層
は、少なくともヒドロキシル基を有する親水性高分子お
よび多価カルボン酸又はその塩で構成されており、周期
表4A族元素化合物(以下、単に周期表4A族化合物と
いう場合がある)を含有していてもよい。
【0014】[親水性高分子]前記親水性高分子には、
水溶性高分子,水分散性高分子,水不溶性であって吸水
性を有する高分子が含まれ、親水性高分子は、少なくと
もヒドロキシル基を有している。親水性高分子には、例
えば、天然高分子又はその誘導体(澱粉、コーンスター
チ、アルギン酸又はそのナトリウム塩、アラビアゴム、
ゼラチン、カゼイン、デキストリンなど)、セルロース
誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、セルローススルフェ
ート、シアノエチルセルロースなど)、ポリアルキレン
オキサイド(ポリエチレンオキサイド,エチレンオキサ
イド−プロピレンオキサイド共重合体など)、ビニルア
ルコール系重合体(ポリビニルアルコール,変性ポリビ
ニルアルコールなど)、アクリル系重合体などが例示で
きる。これらのヒドロキシル基含有親水性高分子は単独
で又は二種以上組合せて使用できる。
【0015】好ましい親水性高分子には、セルロース誘
導体(特にヒドロキシエチルセルロースなど)、ビニル
アルコール系重合体(ポリビニルアルコール,変性ポリ
ビニルアルコール)、アクリル系重合体などが含まれ
る。
【0016】前記ヒドロキシル基含有親水性高分子のう
ち、ポリビニルアルコールのケン化度は特に制限され
ず、例えば、10〜100%程度の範囲から選択でき、
通常、70〜95%程度である。変性ポリビニルアルコ
ールとしては、例えば、酢酸ビニルと共重合性モノマー
との共重合体(酢酸ビニル系共重合体)の完全又は部分
ケン化物(例えば、ケン化度10〜98%、特に60〜
95%程度の部分ケン化物),アセトアセチル変性ポリ
ビニルアルコールなどが含まれる。アセトアセチル変性
ポリビニルアルコールのケン化度は、通常、60〜95
%程度である。アセトアセチル変性ポリビニルアルコー
ルは、例えば、日本合成化学工業(株)から商品名「Z
−320」として入手できる。
【0017】前記酢酸ビニル系共重合体を構成する共重
合性モノマーとしては、例えば、オレフィン類又はジエ
ン類(エチレン、プロピレン、ブタジエンなど)、マレ
イン酸ジアルキルエステル、(メタ)アクリル系単量体
[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリ
レート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レートなどのヒドロキシ含有(メタ)アクリレート、グ
リシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルなど
のシアン化ビニルなど]、アリル系単量体(アリルアル
コール,アリルイソシアネート,アリルグリシジルエー
テルなどのエポキシ基含有モノマーなど)、スルホン酸
基又はその塩を含有するモノマー(スチレンスルホン酸
およびそのナトリウム塩など)、カルボキシル基又はそ
の塩を含有するモノマー((メタ)アクリル酸、クロト
ン酸,マレイン酸モノアルキルエステルなどのカルボキ
シル基又はその塩など)、酸無水物基を含有するモノマ
ー(無水マレイン酸など)、ビニル系単量体(ビニルイ
ソシアネート、スチレンなどの芳香族ビニル単量体、ビ
ニルピロリドン、ビニルイミダゾールなどの複素環式ビ
ニルアミン類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエ
ーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテ
ル類、ビニルトリスアルコキシランなどの加水分解性シ
リル基含有モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど
のハロゲン含有ビニル単量体など)などが挙げられる。
これらの共重合性モノマーは単独で又は二種以上組み合
わせて使用できる。
【0018】好ましい酢酸ビニル系共重合体は、ヒドロ
キシル基とともに親水性基(例えば、カルボキシル基、
スルホン酸基やこれらの塩、エーテル基など)を有して
いる。特にエーテル基(なかでもオキシアルキレン単
位)を有するビニルモノマー、例えば、アルキレンオキ
サイドの単位(付加モル)数が1〜100、好ましくは
2〜80(例えば、5〜80)、さらに好ましくは5〜
70(例えば、10〜50)程度の(メタ)アクリル酸
エステルやアリルエーテルを共重合性モノマーとする共
重合体などが好ましい。オキシアルキレン単位を有する
ビニルモノマーには、例えば、ジエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メ
タ)アリルエーテル、トリエチレングリコールモノ(メ
タ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メ
タ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メ
タ)アリルエーテル、トリプロピレングリコールモノ
(メタ)アリルエーテル、ポリプロピレングリコールモ
ノ(メタ)アリルエーテルなどが含まれる。これらのビ
ニルモノマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用で
きる。好ましいモノマーには、オキシアルキレン単位が
オキシエチレン単位であるビニル単量体である(メタ)
アクリレート、特にポリオキシアルキレン(メタ)アリ
ルエーテル(なかでもポリオキシエチレンアリルエーテ
ル)が含まれる。
【0019】共重合性モノマーの割合は、画像の鮮明
性、耐水性などを損なわない範囲で選択でき、例えば、
モノマー全体の0.1〜50モル%、好ましくは1〜3
0モル%、さらに好ましくは2.5〜25モル%(例え
ば、3〜20モル%)程度である。変性ポリビニルアル
コールのうち、酢酸ビニルとポリオキシアルキレン単位
を有するビニル単量体との共重合体のケン化物(例え
ば、日本合成化学(株)から商品名「OKS−7158
G」などとして入手できる)、カルボキシル基変性ポリ
ビニルアルコール(例えば、(株)クラレから入手でき
る)、エポキシ変性ポリビニルアルコールなどが好まし
い。なお、エポキシ変性ポリビニルアルコールは、
(1)酢酸ビニルとエポキシ基を有する単量体(アリル
グリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート
など)との共重合体のケン化、(2)エピクロルヒドリ
ンなどのエポキシ化剤によるポリビニルアルコールのエ
ポキシ化により得ることができる。エポキシ基を含有す
る単量体の使用量(含有量)やエポキシ基の導入量は、
0.01〜5モル%、好ましくは0.1〜3モル%(例
えば、0.2〜2.5モル%)、特に0.2〜2モル%
程度である。
【0020】ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル
系単量体を単量体成分とするアクリル系重合体は、ヒド
ロキシル基に加えてカルボキシル基を含有していてもよ
い。ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体
には、ヒドロキシC2-6 アルキル(メタ)アクリレート
[例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,3
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒド
ロキシC2-3 アルキル(メタ)アクリレートが含まれ
る。ヒドロキシル基含有アクリル系重合体としては、例
えば、ヒドロキシC2-6 アルキル(メタ)アクリレート
の単独又は共重合体、ヒドロキシC2-6 アルキル(メ
タ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体,ヒド
ロキシC2-6 アルキル(メタ)アクリレート−(メタ)
アクリル酸C1-12アルキルエステル−(メタ)アクリル
酸共重合体[例えば、メタクリル酸メチル−ヒドロキシ
2-6 アルキル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリ
ル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸C1-12
アルキルエステル−ヒドロキシC2-6 アルキル(メタ)
アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体など]、ヒ
ドロキシC2-6 アルキル(メタ)アクリレート−(メ
タ)アクリル酸C1-12アルキルエステル共重合体[例え
ば、メタクリル酸メチル−アクリル酸C1-12アルキルエ
ステル−ヒドロキシC2-6 アルキル(メタ)アクリレー
ト共重合体など]、スチレン−(メタ)アクリル酸C
1-12アルキルエステル−ヒドロキシC2-6 アルキル(メ
タ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチ
レン−(メタ)アクリル酸C1-12アルキルエステル−ヒ
ドロキシC2-6 アルキル(メタ)アクリレート共重合体
などが例示でき、カルボキシル基を有するアクリル系重
合体は、塩(アンモニウム塩,アミン塩,ナトリウムな
どのアルカリ金属塩)を形成してもよい。アクリル系重
合体は、必要であれば、前記酢酸ビニル系共重合体の項
で例示の共重合性モノマー[エポキシ基含有(メタ)ア
クリレート、シアン化ビニル、アリル系単量体、スルホ
ン酸基又はその塩を含有するモノマー、(メタ)アクリ
ル酸以外のカルボキシル基又はその塩を含有するモノマ
ー、酸無水物基を含有するモノマー、ビニル系単量体な
ど]のほか、アミノ基含有(メタ)アクリレート、アミ
ド基含有モノマーなどを共重合させた共重合体であって
もよい。
【0021】アクリル系重合体におけるヒドロキシル基
の含有量は、ヒドロキシエチルメタアクリレート換算
で、5〜100重量%、好ましくは5〜75重量%、さ
らに好ましく5〜50重量%程度の範囲から選択でき、
通常、10〜30重量%程度である。アクリル系重合体
におけるカルボキシル基の含有量は、通常、メタアクリ
ル酸換算で、5〜60重量%、好ましくは10〜50重
量%、さらに好ましくは15〜35重量%程度の範囲か
ら選択できる。
【0022】[多価カルボン酸]本発明において多価カ
ルボン酸又はその塩の機能は明確ではないものの、前記
ヒドロキシル基含有親水性高分子との間に架橋構造を形
成するものと推測される。そのためか、ヒドロキシル基
含有親水性高分子と多価カルボン酸又はその塩との組合
わせにより、インク吸収性、アンチブロッキング性、画
像の鮮明性(印字品質)および耐水性を向上させること
ができる。多価カルボン酸としては、分子中に2以上の
複数のカルボキシル基を有する化合物、例えば、脂肪族
ポリカルボン酸(シュウ酸,マロン酸,コハク酸,グル
タル酸,アジピン酸,ピメリン酸,スベリン酸,アゼラ
イン酸,セバシン酸などのC2-10脂肪族飽和ポリカルボ
ン酸など、フマル酸,マレイン酸,無水マレイン酸,シ
トラコン酸,メサコン酸,イタコン酸などのC4-6 脂肪
族不飽和ポリカルボン酸など)、脂環族ポリカルボン酸
(1,4−シクロヘキサンジカルボン酸,テトラヒドロ
フタル酸,ヘキサヒドロフタル酸,ハイミック酸などの
8-10脂環族ポリカルボン酸など)、芳香族ポリカルボ
ン酸(フタル酸,無水フタル酸,イソフタル酸,テレフ
タル酸,トリメリット酸,ピロメリット酸などのC8-12
芳香族ポリカルボン酸又はその酸無水物など)、オキシ
ポリカルボン酸(タルトロン酸,リンゴ酸,酒石酸,ク
エン酸などのC3-6 オキシ多価カルボン酸など)、窒
素,酸素および硫黄原子から選択された少なくとも一種
のヘテロ原子を有する複素環式多価カルボン酸(ピリジ
ンジカルボン酸,ピリジントリカルボン酸,ピリジンテ
トラカルボン酸,イソ糖酸,トロピン酸など)などが例
示できる。これらの多価カルボン酸は単独で又は二種以
上組み合わせて使用できる。
【0023】好ましい多価カルボン酸には、脂肪族,脂
環族又は芳香族C2-10ポリカルボン酸(特にC3-10ポリ
カルボン酸)が含まれる。さらに、好ましい多価カルボ
ン酸は、水溶性又は水分散性である場合が多く、温度3
0℃において水100gに対して5g以上(好ましくは
10g以上、さらに好ましくは30g以上)溶解する水
溶性多価カルボン酸である。このような多価カルボン酸
には、C2-6 脂肪族多価カルボン酸(特にC3-5 脂肪族
多価カルボン酸)などが含まれる。
【0024】多価カルボン酸は塩としても使用でき、多
価カルボン酸のカルボキシル基の一部又は全部が塩基と
の塩を形成してもよい。多価カルボン酸塩には、無機塩
基(アンモニア、カリウム,ナトリウムなどのアルカリ
金属など)との塩、有機塩基(第3級アミンなど)との
塩が含まれる。
【0025】多価カルボン酸又はその塩の使用割合は、
インク吸収性および耐水性などの特性を損なわない範囲
で選択でき、例えば、多価カルボン酸換算で、親水性高
分子100重量部に対して0.1〜30重量部(好まし
くは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重
量部)程度である。
【0026】[周期表4A族化合物]インク吸収層の耐
水性をさらに向上させるためには、前記多価カルボン酸
又はその塩に加えて、周期表4A族化合物を使用するの
が有用である。このような周期表4A族化合物は、前記
親水性高分子や多価カルボン酸の官能基(ヒドロキシル
基,カルボキシル基,スルホン酸基など)に対して配位
性又は反応性を示すためか、周期表4A族化合物の使用
により、インク吸収性,耐ブロッキング性および画像品
質を損なうことなく、耐水性を大幅に向上できる。
【0027】周期表4A族元素には、チタニウムTi,
ジルコニウムZr,ハフニウムHfなどが含まれる。好
ましい周期表4A族元素はジルコニウムである。周期表
4A族化合物は、水に完全に溶解又はコロイド状に分散
可能な水溶性である。周期表4A族元素化合物のうち水
溶性化合物には、酸化物(複酸化物,酸素酸塩を含
む)、ハロゲン化物、有機酸塩、無機酸塩、錯体などが
含まれる。ジルコニウムなどの周期表4A族元素の原子
価は、特に制限されないが、通常、2価、3価、特に4
価である。これらの化合物は単独で又は二種以上組み合
わせて使用できる。
【0028】酸化物には、例えば、ZrO2 ,ZrO2
・xH2 O,ZrO3 ・xH2 O、ジルコン酸およびこ
れらに対応するチタン酸化物(TiO2 ,チタン酸な
ど),ハフニウム酸化物などが含まれ、複酸化物または
酸素酸塩としては、例えば、M 2 ZrO3 ,M4 ZrO
4 (Mはアルカリ金属など)、およびこれらに対応する
チタンやハフニウムの酸化物や酸素酸塩などが含まれ
る。ハロゲン化物としては、例えば、ZrCl2 、Zr
Br2 、ZrI2 、ZrCl3 、ZrBr3 、Zr
3 、ZrCl4 、ZrBr4 、ZrI4 、ハロゲン化
ジルコニル(ZrOCl2 、Zr2 3 Cl2 など)、
およびこれらに対応するチタンのハロゲン化物(TiC
3 ,TiCl4 ,TiOCl2 など)やハフニウムの
ハロゲン化物などが例示できる。
【0029】有機酸塩としては、例えば、酢酸ジルコニ
ウム、プロピオン酸ジルコニウム、ジルコニル酢酸、シ
ュウ酸ジルコニウム、酒石酸ジルコニウム、安息香酸ジ
ルコニウム、およびこれらに対応するチタンやハフニウ
ムの有機酸塩などが例示され、無機酸塩としては、例え
ば、硝酸ジルコニウム、ジルコニル硝酸、硫酸ジルコニ
ウム、ジルコニル硫酸、リン酸ジルコニウム、ジルコニ
ルリン酸、およびこれらに対応するチタンの無機酸塩
(硫酸チタン,オキシ硫酸チタンなど)やハフニウムの
無機酸塩などが挙げられる。
【0030】錯体は、配位子(OH、アルコキシ基、ア
シル基、アルコキシカルボニル基、有機酸、アセチルア
セトナト、ハロゲン原子、CO、CN、H2 O(ア
コ)、トリフェニルホスフィンなどのリン化合物、窒素
含有化合物など)を含む種々の錯体、例えば、オキサラ
ート錯体などであってもよい。錯体としては、例えば、
ジルコニウムアセチルアセトナト錯体(Zr(acac)4
など),ジルコニルアセチルアセトナト錯体(ZrO
(acac)2 など),チタンアセチルアセトナト錯体(T
i(acac)4 など),チタニルアセチルアセトナト錯体
(TiO(acac)2 など)などが例示できる。
【0031】周期表4A族化合物の使用量は、固形分換
算で、親水性高分子100重量部に対して0.1〜30
重量部、好ましくは0.3〜25重量部、さらに好まし
くは0.5〜20重量部程度であり、通常、0.5〜1
5重量部程度である。
【0032】[他の成分]本発明のインク吸収層には、
前記ヒドロキシル基含有親水性高分子に加えて、他の親
水性高分子を併用してもよい。他の親水性高分子として
は、例えば、カルボキシル基又はスルホン酸基を有する
重合体又はその塩[アクリル系重合体、ビニルエーテル
系重合体(イソブチルビニルエーテル−無水マレイン酸
共重合体,メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重
合体などのC1-6 アルキルビニルエーテル−無水マレイ
ン酸共重合体など)、スチレン系重合体(スチレン−無
水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸
共重合体、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムなど)、
ポリビニルスルホン酸ナトリウム、エチレン系重合体
(エチレン−無水マレイン酸共重合体,エチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体など)、ビニルエステル系重合
体(酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体,酢酸ビ
ニル−イタコン酸共重合体など)、これらの塩(アンモ
ニウム塩、アミン塩、ナトリウムなどのアルカリ金属
塩)]、酢酸ビニル系共重合体(酢酸ビニル−アクリル
酸メチル共重合体など)、ビニルエーテル系重合体(ポ
リビニルメチルエーテル,ポリビニルイソブチルエーテ
ルなどのポリビニルアルキルエーテルなど)、窒素含有
重合体(又はカチオン性ポリマー)又はその塩(ポリビ
ニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリ
ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級ア
ンモニウム塩、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート塩酸塩、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミ
ダゾール、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミ
ン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンな
ど)、水分散性高分子(例えば、アクリル系樹脂エマル
ジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、
酢酸ビニル系エマルジョン、スチレン−ブタジエン共重
合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン共重合体ラテックス、ポリエステルエマルジョンな
ど)などが挙げられる。これらの親水性高分子も単独で
又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0033】アクリル系重合体におけるカルボキシル基
の含有量は、通常、メタアクリル酸換算で、5〜100
重量%、好ましくは10〜100重量%、さらに好まし
くは15〜100重量%程度であり、水溶性アクリル系
重合体では、通常、10〜30重量%程度である。
【0034】さらに必要に応じて、前記インク吸収層に
は架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、例えば、
有機系架橋剤[アミノ樹脂(尿素樹脂、グアナミン樹
脂、メラミン樹脂など)、エポキシ系化合物、アミン化
合物(エチレンジアミン,ヘキサメチレンジアミン,ポ
リオキシアルキレン型ジアミン又はポリアミン(すなわ
ちポリエーテル型ジアミン又はポリアミン)などの脂肪
族,脂環族,芳香族ジアミン又はポリアミン)、ポリイ
ソシアネート、ブロック型ポリイソシアネートなど]、
無機系架橋剤[ホウ酸又はホウ酸塩(硼砂など)、アル
ミニウム化合物(例えば、トリメトキシアルミネートな
どのアルコキシドなど)、リン化合物(例えば、亜リン
酸エステル、ビスフェノールA変性ポリリン酸など)、
シランカップリング剤(アルコキシ基、グリシジル基な
どの反応性官能基を有するシリコーン化合物)など]な
どが例示できる。これらの架橋剤は単独で又は二種以上
使用できる。
【0035】また、インク吸収層には、粉粒体(顔料な
ど)、例えば、無機粉粒体[ホワイトカーボン、ケイ酸
カルシウム、ケイ酸マグネシウム、アミノケイ酸マグネ
シウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミ
ナ、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシ
ウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、ゼオライ
ト、焼成珪成土、タルク、カオリン、クレー、デラミカ
オリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイトな
ど]、有機粉粒体[ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂な
どの架橋又は非架橋有機微粒子、微小中空粒子などの有
機質粉粒体など]を添加してもよい。粉粒体は1種又は
2種以上適宜選択して併用可能である。粉粒体の使用量
は、例えば、前記親水性高分子の総量100重量部に対
して10〜100重量部、好ましくは20〜75重量
部、さらに好ましくは25〜50重量部程度である。
【0036】インク吸収層の厚みは、用途に応じて選択
でき、例えば、1〜50μm、好ましくは3〜30μ
m、さらに好ましくは3〜20μm(例えば、3〜15
μm)程度である。なお、本発明の記録用シートは、イ
ンク吸収層の厚みが3〜10μm程度であっても、高い
インク吸収性を備えている。なお、記録用シートにおい
て、インク吸収層上には、多孔質層を形成してもよく、
支持体とインク吸収層との間には多孔質層を介在させて
もよい。
【0037】[樹脂組成物および記録用シートの製造方
法]本発明の記録用シートは、前記支持体の少なくとも
片面に、インク吸収層を直接的又は間接的に形成するこ
とにより得ることができる。前記インク吸収層は、支持
体に直接形成してもよく、必要により他の層(例えば、
多孔質又は非多孔質のインク吸収性層やインク保持層な
ど)を介して支持体に間接的に形成してもよい。インク
吸収層は、本発明の樹脂組成物(すなわち、少なくとも
ヒドロキシル基を有する親水性高分子と、多価カルボン
酸又はその塩と、必要により周期表4A族化合物とで構
成された樹脂組成物)を支持体に適用することにより形
成でき、通常、前記樹脂組成物を含む塗布剤を支持体に
塗布し乾燥することにより形成できる。親水性高分子
は、水溶液、分散体(エマルジョンやラテックス)のい
ずれの形態であっても使用でき、前記親水性高分子と多
価カルボン酸又はその塩や周期表4A族化合物との割合
は、前記の通りである。なお、多価カルボン酸又はその
塩、周期表4A族化合物は、親水性高分子と必要により
溶媒を含む系に直接、又は水及び/又は親水性溶媒に溶
解又は分散して間接的に添加してもよい。
【0038】塗布剤は、前記ヒドロキシル基含有親水性
高分子以外の親水性高分子,架橋剤,粉粒体や後述する
添加剤などを含んでいてもよい。塗布剤の溶媒は、通
常、水、親水性又は水溶性溶媒(例えば、アルコール
類,ケトン類,エーテル類,セロソルブ類など)などで
構成できる。
【0039】さらに、塗布剤には、インク吸収層の特性
を損なわない範囲で慣用の添加剤、例えば、消泡剤、塗
布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤,紫外
線吸収剤、熱安定剤など)、帯電防止剤、着色剤、アン
チブロッキング剤などを添加してもよい。
【0040】塗布剤は、慣用の流延又は塗布方法、例え
ば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコ
ーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコータ
ー、グラビアコーター、シルクスクリーンコーター法な
どにより、支持体のうち少なくとも一方の面に流延又は
塗布される。塗布剤を塗布した後、乾燥(例えば、温度
30〜150℃、好ましくは50〜120℃程度での加
熱乾燥)することによりインク吸収層を形成できる。こ
のインク吸収層は、親水性高分子と多価カルボン酸又は
その塩との配位又は反応、さらには所望により添加され
る周期表4A族化合物(特に周期表4A族元素又は金
属)との配位又は反応により架橋又はゲル化しているよ
うである。そのため、本発明では、多価カルボン酸又は
その塩、および必要により周期表4A族化合物の添加
と、塗布剤の塗布という簡単な操作で、高いインク吸収
性を維持したまま耐水性を大幅に向上できる。
【0041】本発明の記録用シートは、オフセット印
刷、フレキソ印刷などの印刷用シート(特に水性インク
用シート)などとしても利用できるが、水性インクによ
る筆記又は記録用シート、特にインクの小滴を飛翔させ
て記録するインクジェット方式による記録用シートとし
て有用である。水性インクとしては、着色剤として染料
を含有する染料タイプ、顔料を含有する顔料タイプや染
料および顔料を含有する染顔料タイプのいずれも使用で
きる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、ヒドロキシル基含有親
水性高分子と、多価カルボン酸又はその塩と、必要によ
り周期表4A族化合物とを組み合わせてインク吸収層を
形成するので、インク吸収性および耐水性を高いレベル
で両立できる。また、アンチブロッキング性、画像の鮮
明性(印字品質)に優れ、インクジェットによる記録に適
したインク吸収層を簡単な組成で形成できる。さらに
は、透明性が高く、インクジェットによるOHP用記録
シートとして適している。本発明の方法では、ヒドロキ
シル基含有親水性高分子と、多価カルボン酸又はその塩
と、必要により周期表4A族水溶性化合物とを含む樹脂
組成物で構成された塗布剤を塗布するという簡単な操作
で、前記の如き記録用シートを得ることができる。
【0043】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例及び比較例で得られた記録用
シートの各種特性の評価法は次の通りである。
【0044】[インクジェット記録]インクジェットプ
リンター(ENCAD社製、NOVAJET. PRO)と顔料タイプ水
性インクとを使用し、得られた記録シートに、シアン、
イエロー、マゼンダ、ブラックの各々の色をベタで印字
し、記録画像を形成した。 [インク吸収性]印字した後、一定時間ごとに印字部上
にPPC用コピー用紙を載せ、コピー用紙の上から荷重
(250g/cm2 )を10秒間かけた後、コピー用紙
を剥し、インクの裏移りの程度を目視で判断し、裏移り
が認められなくなるまでの時間を基準にしてインク吸収
性を評価した。
【0045】[耐水性]印字部を30℃の水に1分間浸
漬した後、垂直に引き上げ、水を良く切り乾燥した。乾
燥後、印字部の耐水性を下記の基準で目視で評価した。 ◎:印字部が完全に残っている ○:印字部に若干滲みが認められる △:印字部にかなり滲みが認められる ×:印字部が残っていない [印字性]下記の基準で印字部の印刷状態を目視で評価
した。 ○:印字部が均一に印字されている △:印字部に若干のむら(歪み)が認められる ×:印字部に著しい滲みが認められる。
【0046】実施例1 変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)
製、OKS 7158G、けん化度88%)の20重量
%水溶液に、マレイン酸(和光純薬工業(株)製)を所
定量(固形分換算で、上記ポリビニルアルコール100
重量部に対して3重量部)添加し、温度30℃で振盪溶
解させて均一な水性組成物(塗布剤)を得た。得られた
塗布剤を、厚さ100μmの易接着処理済み透明ポリエ
チレンテレフタレートフィルム(ICIジャパン(株)
製)上に、コーターバーを用いて塗布し、80℃の乾燥
機内で、1時間乾燥することにより、厚さ4μmのイン
ク吸収層を有する透明なインクジェット用記録シートを
得た。
【0047】実施例2 実施例1で用いたポリビニルアルコールの20重量%水
溶液に、マロン酸(和光純薬工業(株)製)を所定量
(固形分換算で、前記ポリビニルアルコール100重量
部に対して3重量部)添加し、温度30℃で振盪溶解さ
せて均一な水性組成物(塗布剤)を得た。この塗布剤
を、実施例1と同様の方法にて塗布し、80℃で1時間
乾燥することにより、透明なインクジェット用記録シー
トを得た。 実施例3 実施例1で用いたポリビニルアルコールの20重量%水
溶液に、トリメリット酸(和光純薬工業(株)製)を所
定量(固形分換算で、前記ポリビニルアルコール100
重量部に対して3重量部)添加し、温度30℃で振盪溶
解させて均一な水性組成物(塗布剤)を得た。この塗布
剤を、実施例1と同様の方法にて塗布し、80℃で1時
間乾燥することにより、透明なインクジェット用記録シ
ートを得た。
【0048】実施例4 実施例1で用いたポリビニルアルコールの20重量%水
溶液に、実施例1で用いたマレイン酸を所定量(固形分
換算で、前記ポリビニルアルコール100重量部に対し
て12重量部)添加し、温度30℃で振盪溶解させて均
一な水性組成物(塗布剤)を得た。この塗布剤を、実施
例1と同様の方法にて塗布し、80℃で1時間乾燥する
ことにより、透明なインクジェット用記録シートを得
た。
【0049】実施例5 実施例1で用いたポリビニルアルコールの20重量%水
溶液に、塩化ジルコニウム(MERCK-Schuchardt社製)を
所定量(固形分換算で、ポリビニルアルコール100重
量部に対して3重量部)添加するとともに、実施例1で
用いたマレイン酸を所定量(固形分換算で、ポリビニル
アルコール100重量部に対して3重量部)添加し、温
度30℃で振盪溶解させて均一な水性組成物(塗布剤)
を得た。この塗布剤を、実施例1と同様の方法にて塗布
し、80℃で、1時間乾燥することにより、透明なイン
クジェット用記録シートを得た。
【0050】実施例6 実施例1で用いたポリビニルアルコールの20重量%水
溶液に、塩化オキシジルコニウム・八水和物(塩化ジル
コニル,関東化学(株)製)を所定量(固形分換算で、
ポリビニルアルコール100重量部に対して3重量部)
添加するとともに、実施例1で用いたマレイン酸を所定
量(固形分換算で、ポリビニルアルコール100重量部
に対して3重量部)添加し、温度30℃で振盪溶解させ
て均一な水性組成物(塗布剤)を得た。この塗布剤を、
実施例1と同様の方法にて塗布し、80℃で、1時間乾
燥することにより、透明なインクジェット用記録シート
を得た。
【0051】実施例7 実施例1で用いたポリビニルアルコールの20重量%水
溶液に、実施例5で用いた塩化ジルコニウムを所定量
(ポリビニルアルコール100重量部に対して12重量
部)添加するとともに、実施例1で用いたマレイン酸を
所定量(固形分換算で、ポリビニルアルコール100重
量部に対して3重量部)添加し、温度30℃で振盪溶解
させて均一な水性組成物(塗布剤)を得た。この塗布剤
を、実施例1と同様の方法にて塗布し、80℃で、1時
間乾燥することにより、透明なインクジェット用記録シ
ートを得た。
【0052】実施例8 実施例1で用いたポリビニルアルコールの20重量%水
溶液に、実施例5で用いた塩化ジルコニウムを所定量
(ポリビニルアルコール100重量部に対して3重量
部)添加するとともに、実施例1で用いたマレイン酸を
所定量(ポリビニルアルコール100重量部に対して1
2重量部)添加し、温度30℃で振盪溶解させて均一な
水性組成物(塗布剤)を得た。この塗布剤を、実施例1
と同様の方法にて塗布し、80℃で、1時間乾燥するこ
とにより、透明なインクジェット用記録シートを得た。
【0053】実施例9 実施例1で用いたポリビニルアルコールの20重量%水
溶液に、実施例5で用いた塩化ジルコニウムを所定量
(ポリビニルアルコール100重量部に対して3重量
部)添加するとともに、実施例2で用いたマロン酸を所
定量(ポリビニルアルコール100重量部に対して3重
量部)添加し、温度30℃で振盪溶解させて均一な水性
組成物(塗布剤)を得た。この塗布剤を、実施例1と同
様の方法にて塗布し、80℃で、1時間乾燥することに
より、透明なインクジェット用記録シートを得た。
【0054】比較例1 実施例1で用いたポリビニルアルコールの20重量%水
溶液を、実施例1と同様の方法にて塗布し、80℃で、
1時間乾燥することにより、透明なインクジェット用記
録シートを得た。
【0055】比較例2 実施例1で用いたポリビニルアルコールの20重量%水
溶液に、安息香酸(和光純薬工業(株)製)を所定量
(ポリビニルアルコール100重量部に対して3重量
部)添加し、温度30℃で振盪溶解させて均一な水性組
成物(塗布剤)を得た。この塗布剤を、実施例1と同様
の方法にて塗布し、80℃で、1時間乾燥することによ
り、インクジェット用記録シートを得た。
【0056】そして、実施例および比較例で得られた記
録用シートの特性を調べたところ、表1に示す結果を得
た。
【0057】
【表1】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D21H 27/00 D21H 5/00 Z

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、インクに対して接触可能な形
    態で前記支持体に形成されたインク吸収層とを備えてい
    る記録用シートであって、前記インク吸収層が、少なく
    ともヒドロキシル基を有する親水性高分子と多価カルボ
    ン酸又はその塩とで構成されている記録用シート。
  2. 【請求項2】 親水性高分子が、ポリビニルアルコール
    又はその変性物である請求項1記載の記録用シート。
  3. 【請求項3】 多価カルボン酸が、脂肪族,脂環族又は
    芳香族C2-10ポリカルボン酸である請求項1記載の記録
    用シート。
  4. 【請求項4】 多価カルボン酸が、C2-6 脂肪族多価カ
    ルボン酸から選択され、かつ温度30℃において水10
    0gに対して5g以上溶解する水溶性多価カルボン酸で
    ある請求項1記載の記録用シート。
  5. 【請求項5】 多価カルボン酸又はその塩の割合が、多
    価カルボン酸換算で、親水性高分子100重量部に対し
    て0.1〜30重量部である請求項1記載の記録用シー
    ト。
  6. 【請求項6】 インク吸収層が、さらに、周期表4A族
    元素化合物を含む請求項1記載の記録用シート。
  7. 【請求項7】 周期表4A族元素化合物が、ジルコニウ
    ム化合物である請求項6記載の記録用シート。
  8. 【請求項8】 周期表4A族元素化合物の割合が、親水
    性高分子100重量部に対して0.1〜30重量部であ
    る請求項6記載の記録用シート。
  9. 【請求項9】 少なくともヒドロキシル基を有する親水
    性高分子と、多価カルボン酸又はその塩とを含有する塗
    布剤を、支持体の少なくとも一方の面に直接的又は間接
    的に塗布する記録用シートの製造方法。
  10. 【請求項10】 支持体にインク吸収層を形成するため
    の組成物であって、少なくともヒドロキシル基を有する
    親水性高分子と、多価カルボン酸又はその塩とで構成さ
    れている記録シート用樹脂組成物。
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