JPH10308040A - 光ディスクスタンパ及びその製造方法 - Google Patents

光ディスクスタンパ及びその製造方法

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JPH10308040A
JPH10308040A JP13050997A JP13050997A JPH10308040A JP H10308040 A JPH10308040 A JP H10308040A JP 13050997 A JP13050997 A JP 13050997A JP 13050997 A JP13050997 A JP 13050997A JP H10308040 A JPH10308040 A JP H10308040A
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Japan
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stamper
optical disk
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oxide film
film
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JP13050997A
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Kiyoto Shibata
清人 柴田
Yasutomo Aman
康知 阿萬
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成型品との離型性が良好な光ディスク成型用
スタンパとその製造方法ならびに光ディスクを提供す
る。 【解決手段】 ガラス基板1上にフォトレジスト膜2を
塗布形成し、レーザ露光、現像等の工程を経てフォトレ
ジスト膜2上に凹凸パターンを有した光ディスク原盤3
を得、この原盤3の表面に酸化膜7とこれに隣接する金
属導体化膜4の少なくとも2層構造の導体化膜を形成
し、電鋳によって光ディスク成形用スタンパ6を得、原
盤3からスタンパ6を剥離後に、酸化膜7上に有機フッ
素化合物からなる離型層をシロキサン結合を介して形成
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報記録媒体の成
型用スタンパ及びその製造方法および情報記録媒体に関
し、とりわけ光ディスク成型用スタンパ及びその製造方
法および光ディスクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光ディスク成型用スタンパを製造
する方法としては、図5のように、ガラス基板1上にフ
ォトレジスト膜2を塗布形成し、レーザ露光、現像等の
工程を経て、フォトレジスト膜上に微細な凹凸パターン
を有した光ディスク原盤3を作成し、次にこの光ディス
ク原盤3の表面にNi(ニッケル)等の金属導体化膜4
を形成し、これを陰極として電鋳してNi電鋳膜5を形
成したものを原盤3から剥離することによりスタンパ6
1を製造する方法が一般的である。光ディスクは、この
ようにして得られたスタンパ61を射出成形金型に用い
て製造される。
【0003】上記従来法において、光ディスクの成型時
にスタンパから樹脂成型品が良好に離型できないトラブ
ルが発生していた。即ち、信号ピットや案内溝等の形状
が成型品に忠実に反転されなかったり、さらには信号ピ
ットや案内溝の形状が崩れたり、他の信号部分にゴース
ト状に重なって形成されたりして、正常に信号が読み書
きできない不良品が発生していた。この原因は、スタン
パ表面に信号ピット等の微細な凹凸形状が多数存在する
ため、樹脂がこの凹凸部に流れ込んだ時に一種の嵌合状
態となるためである。また、冷却によって成型品はスタ
ンパ以上に収縮するため、結果的にこのような嵌合部間
で圧縮応力が働き、離型抵抗として作用することにな
る。これらは主に物理的な作用によるものであるが、長
時間の成形によってスタンパ表面に樹脂の低分子組成物
等が徐々に付着し、これらが成型品と強固に密着しあう
ためという化学的な作用も考えられている。
【0004】一方、昨今においては情報の記録密度を上
げるため光ディスクの信号ピットや案内溝等の寸法がさ
らに小さくなる傾向にある。例えば、大量のデジタル画
像を入出力するためのDVDの案内溝ピッチは0.76
μm(従来のCDでは1.2μm)である。このような
光ディスクでは、スタンパと樹脂基板の微小な嵌合部が
増加し、加えてスタンパと樹脂とが接する実質的な表面
積も増大するため、成型品に傷をつけないような良好な
離型がますます困難になりつつある。
【0005】そこで、前記のような離型不良を改善する
目的で、スタンパの表面に有機フッ素化合物等の分子膜
を離型層として形成する技術が開示されている。例え
ば、第一の改良技術として、特開平8−147769号
公報や特公平8−18336号公報には、フルオロアル
キルシランSiCln 3-n の化学吸着によって、表面
に−CF3 基を持つ単分子膜を配向させたプラスチック
成形金型が提案されている。
【0006】また、第二の改良技術として、主に離型層
である有機フッ素化合物をスタンパに強固に結合させる
目的で、スタンパ表面に酸化物を形成した後に、フルオ
ロアルキルシランを吸着させた金型が、特開平6−10
3617号公報で開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記第一の改良技術で
は、加水分解基にClを有するクロルシランはSiCl
n 3-n 、アルコキシシランSi(OCm 2m+1n
3-n よりも無機物表面との反応性が高く、より強固にか
つ高密度に分子膜を配向できるメリットがあるものの、
反応過程で塩酸HClを発生するため、一般の鉄系金型
には適応困難であるという問題があった。
【0008】一方、Niのような金属を主体とする金型
ではある程度の耐食性が期待できるが、スタンパの場
合、孔食によって信号ピットと同等サイズ以上の凹形状
が形成されても致命的な形状不良となってしまうため、
実際上スタンパへのクロルシランの適用は不可能であっ
た。
【0009】さらに、前記第二の改良技術では、スタン
パのピット形状を大きく変化させないために、成膜する
酸化物の厚さは数10nmが限界と考えられる。このよ
うな薄い酸化物の場合、膜は島状構造であるため力学的
には比較的脆く、成型時の射出圧力や溶融樹脂との接
触、それらに伴うスタンパの変形挙動等によって、スタ
ンパのNi面と酸化物との界面からその上部に形成され
たフッ素化合物離型層ごと剥離してしまうという不具合
があった。即ち、有機フッ素化合物離型層が形成された
酸化物層の密着強度が不十分であるという欠点があっ
た。
【0010】本発明は、前記のような従来技術における
問題点を解決するためなされたもので、成型品との離型
性が良好な光ディスク成型用スタンパとその製造方法な
らびに光ディスクを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本発明に係る光ディスクスタンパの製造方法は、ガラス
基板上にフォトレジスト膜を塗布形成し、レーザ露光、
現像等の工程を経てフォトレジスト膜上に微細な凹凸パ
ターンを有した光ディスク原盤を得て、次に該光ディス
ク原盤の表面に導体化膜を形成し、該導体化膜を陰極と
して電鋳することによって光ディスク成形用スタンパを
得るスタンパの製造方法において、前記導体化膜を酸化
膜とこれに隣接する金属導体化膜の少なくとも2層構造
とし、さらに前記原盤からスタンパを剥離した後に、該
酸化膜上に有機フッ素化合物からなる離型層をシロキサ
ン結合を介して形成することを特徴とする。
【0012】前記の構成によれば、アルコキシ基、クロ
ル基、シアノ基、イソシアナト基、アミノ基等の官能基
Yを有するシラン系化合物が高密度かつ強固に化学吸着
(共有結合)されて良好な離型層が形成される。しかも
酸化膜があらかじめ形成されているため、原盤のピット
形状に忠実な、良好な信号品質のスタンパの製造が可能
になる。
【0013】本発明に係る光ディスクスタンパの製造方
法は、前記導体化膜を構成する前記酸化膜の膜厚を少な
くとも100nm以上とすることを特徴とする。前記の
構成によれば、膜厚が十分に厚いため、酸化膜構造が緻
密になるとともに密着性や機械的強度が改善され、さら
にシラン化合物の吸着活性点が高密度で形成される。
【0014】本発明に係る光ディスクスタンパの製造方
法は、前記導体化膜を形成する工程において、前記酸化
膜を構成する金属元素とこれに隣接する金属導体化膜の
金属元素とを同一の元素とし、さらに両者の界面を傾斜
組成とすることを特徴とする。前記の構成によれば、酸
化膜の密着力が高く、したがって境界部分からの脱落等
のない、耐久性が高いスタンパの製造が可能になる。
【0015】本発明に係る光ディスクスタンパの製造方
法は、前記導体化膜を形成する工程において、前記酸化
膜をCr2 3 、隣接する金属導体化膜をCrとNiの
2層構造とすることを特徴とする。前記の構成によれ
ば、2層構造のうちのCrが酸化膜Cr2 3 と良好な
密着性を保ち、Niがその下層のCrとの良好な密着性
を有し、かつ酸化膜が残りにくいため、電鋳層との密着
性が改善されて耐久性が高いスタンパの製造が可能にな
る。
【0016】本発明に係る光ディスクスタンパの製造方
法は、前記有機フッ素化合物からなる離型層を形成する
工程において、水のイオンビーム照射によって前記酸化
膜表面を活性化した後に、有機フッ素化合物を蒸着処理
することを特徴とする。前記の構成によれば、離型膜を
形成する際のシラン化合物の吸着活性点が高密度で形成
され、離型効果に優れ耐久性の高いスタンパが可能にな
る。
【0017】本発明に係る光ディスクスタンパの製造方
法は、前記導体化膜を構成する酸化膜がCr2 3 であ
って、前記酸化膜Cr2 3 の表面を加熱しながらUV
照射した後に、有機フッ素化合物を化学吸着処理するこ
とを特徴とする。前記の構成によれば、表面により緻密
なCr酸化膜の形成が可能になる。
【0018】本発明に係る光ディスクスタンパの製造方
法は、前記酸化膜Cr2 3 の表面を赤外線照射により
加熱することを特徴とする。前記の構成によれば、直接
加熱されるヒータ部分が無いゆえ、パーティクルの発生
によるスタンパの欠陥発生が排除される。
【0019】本発明に係る光ディスクスタンパの製造用
治具は、前記の光ディスクスタンパの製造方法の有機フ
ッ素化合物からなる離型層を形成する工程に用いる治具
であって、スタンパを裏面と表面の外周部とで支持し、
スタンパ表面と前記外周部支持治具とで形成される空間
に有機フッ素化合物吸着処理液を供給して、スタンパ表
面のみに該有機フッ素化合物処理を行うことを特徴とす
る。前記の構成によれば、酸を含む処理液にスタンパの
裏面をさらして腐食させることなく、スタンパ表面にの
み離型層を形成させることが可能になる。
【0020】本発明に係る光ディスク成型用スタンパ
は、前記製造方法により製造されたことを特徴とする。
前記の構成によれば、表面に配向された離型膜の−CF
3 基が他の物質の付着を妨げ、よって良好な離型性が実
現される。このようにして離型不良に伴う製品不良率が
減少し、かつ耐用寿命の長いスタンパが実現される。
【0021】本発明に係る光ディスクは、前記の光ディ
スク成型用スタンパを用いて製造されたことを特徴とす
る。前記の構成によれば、離型性の良好なスタンパで成
形されることにより、離型時の信号ピット形状の変形が
避けられ、原盤の信号ピット形状を忠実に転写した表面
形状の光ディスクが得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明では、前記のような従来法
の問題点を解決するために、電鋳の際の陰極となる導体
化膜を、その表面に有機フッ素化合物がシロキサン結合
によって強固にかつ高蜜度に結合されうるための酸化膜
と、これに隣接する金属導体化膜の少なくとも2層構造
とし、原盤からスタンパを剥離した後に、該酸化膜上に
前記有機フッ素化合物からなる離型層を形成することを
特徴とする。このような製造方法によれば、十分な厚さ
と機械的強度及び密着性を有する酸化膜の上に有機フッ
素化合物からなる離型層を形成でき、しかも原盤の信号
ピット形状等を極めて忠実に反転したスタンパを得るこ
とができる。以下、実施形態に基づいて本発明の詳細を
説明する。
【0023】実施例1 図1は、本発明によるスタンパの製造方法を説明する模
式断面図である。同図に示されるように、ガラス基板1
上にフォトレジスト膜2を塗布形成し、レーザ露光、現
像等の工程を経て、フォトレジスト膜2上に微細な凹凸
パターンを有した光ディスク原盤3を作成する。次にこ
の光ディスク原盤3の表面に、反応性スパッタ法により
Ni酸化物7(NiO)を100nm形成し、続いてN
iの金属導体化膜4を50nm形成した。このとき、酸
素ガスの分圧を徐々に減らしながら成膜を行い、Ni酸
化物7と金属導体化膜4とに明確な界面が存在しないよ
うにした。
【0024】次に、金属導体化膜4を陰極としてNi電
鋳を行い、さらにフォトレジスト膜2とNi酸化物7と
の界面からこれを剥離し、スタンパ6を得た。
【0025】次に、スタンパ6上にわずかに存在するフ
ォトレジスト膜2の残留成分を除去するために、図示し
ていないUVアッシャー装置によりスタンパ表面をオゾ
ンあるいは活性酸素下にさらし、表面の残留有機物を除
去した。
【0026】図2は、本発明によるスタンパの製造方法
を説明する全体構成図である。前記に続き、図2に示さ
れるように、スタンパ6を真空チャンバー11導入し、
真空引きした後に水のイオンビームを照射し、スタンパ
6表面を活性化した。このときのイオン照射条件は、イ
オン照射量1×1014ions/cm2 、加速電圧30
0vとした。水のイオンビーム照射により、スタンパの
酸化膜7の表面に、化学結合によって強固に結合した水
酸基即ち次工程における有機フッ素化合物の化学吸着活
性点を高密度に形成することができる。
【0027】次に、イオンビームの照射を止めて、真空
蒸着法により有機フッ素化合物の離型層を形成した。即
ち、無機物粉末やスチールウール等の金属魂にフルオロ
アルキルシランSiX(OR)3 (Xはフルオロアルキ
ル基、ORはアルコキシ基)を固着させた蒸着ソース8
を、真空チャンバー11内で電子ビーム加熱し、対向す
るスタンパ6にシランを蒸着した。より具体的には、フ
ルオロアルキルシランCF3 (CF2 7 CH2 CH2
Si(OCH3 3 を用いた。
【0028】その他に、CF3 (CF2 5 CH2 CH
2 Si(OCH3 3 、CF3 (CF2 3 CH2 CH
2 Si(OCH3 3 、CF3 (CF2 7 CH2 CH
2 Si(OC2 5 3 等のアルコキシシラン、クロル
基やシアノ基、イソシアナト基、アミノ基等の官能基Y
を有するフルオロアルキルシランSiXn 3-n 等を用
いることができる。これらのフルオロアルキルシラン
は、無機物表面の水酸基と化学反応を起こし、シロキサ
ン結合O−Si−Oにより強固に無機物表面に結合を形
成する。
【0029】以上のようにして得られたスタンパの断面
模式図を図3に示す。同図では、便宜上、離型層12の
部分を特に拡大して描いているが、実際の離型層12の
厚さは数nmのオーダーである。また、酸化膜7と金属
導体化膜4の界面は傾斜組成になっているが、図では簡
略して2層に描いてある。
【0030】本発明による光ディスクスタンパは、表面
に−CF3 基が配向した離型層12を有している。−C
3 基のようなフルオロカーボンは、フッ素の高い電気
陰性度のためC−F間の結合エネルギーが大きく、化学
的に極めて安定である。即ち、他の物質が化学結合的に
付着することがない。また、このような分子内の強い結
合に対して、分子間では極めて弱い相互作用しか持たな
いため、他の物質の物理的吸着や付着がなく、良好な潤
滑性を発現する。このような表面特性から、本発明によ
る光ディスクスタンパは、極めて良好な離型性を有す
る。
【0031】このスタンパを用いて光ディスクの射出成
形を行ったところ、およそ10万枚の成形まで問題とな
るような離型不良は発生しなかった(メタクリル樹脂、
シリンダ温度260℃、金型温度60℃)。
【0032】実施例2 実施例1において、光ディスク原盤の表面に、反応性ス
パッタ法によりCr酸化物(Cr2 3 )を100nm
形成し、続けてCr金属導体化膜を20nm、さらに続
けてNi金属導体化膜を30nm形成した。実施例1と
同様、Cr酸化膜とCr金属導体化膜の界面は傾斜組成
にしている。電鋳後、フォトレジスト膜とCr酸化膜の
界面からこれを剥離し、スタンパを得た。
【0033】次に、このスタンパをUVアッシャー装置
で清浄化する際、赤外線加熱により200℃に加熱しな
がら2時間の処理を行った。アッシャー工程でUVを照
射しながらスタンパを加熱することで、アニール効果と
オゾンあるいは活性酸素の酸化作用によって、表面によ
り緻密な酸化膜が形成される。緻密な酸化膜によって、
より高密度のフッ素化合物吸着活性点が得られ、同時に
次のクロルシラン湿式吸着処理工程で発生する塩酸に対
するスタンパの耐食性を問題ないレベルにまで改善する
ことができる。また、赤外線を用いた加熱方法は、ヒー
タのような直接加熱部を持たないのでパーティクルの発
生が無く、スタンパへの点欠陥等を招くことがない。
【0034】次に、有機フッ素化合物離型層の形成を図
4に示す治具を用いて行った。スタンパ6は、例えばテ
フロン製の処理治具(側治具15、押さえ板13)で裏
面より支持されており、信号ピットを有するスタンパ表
面側にシラン処理液16を保持するための液溜まり空間
を側治具15とで形成している。スタンパ6の裏面は電
鋳Niが露出しているため、シラン処理液16にさらさ
れることの無いようOリング14でシールがなされてい
る。
【0035】加熱UV照射下で、スタンパを図4のよう
な治具に取付けた後、窒素置換雰囲気でシラン処理液を
液溜まり空間に供給した。シラン処理液は、フルオロア
ルキルクロルシランCF3 (CF2 7 CH2 CH2
iCl3 、10mMをパーフルオロヘキサンに希釈した
ものを用いた。浸漬時間は室温で1時間とした。次に、
余分に物理吸着したシランを除去するために、パーフル
オロヘキサンでスタンパ6を洗浄し、さらに純水中で軽
く揺動洗浄した後に、窒素ブローで乾燥させた。このよ
うにして得られたスタンパは、実施例1と同様に良好な
離型性を有した。
【0036】本実施例ではクロルシランを用いたが、前
述のアルコキシシランを使用することもできる。この場
合、加水分解触媒として塩酸や酢酸等の酸を添加した処
理溶液を用い、乾燥後、150℃で1時間の焼成を行
う。このようなあらかじめ酸を含む処理プロセスに対し
ても、本方法によれば安定的に離型層を形成することが
できる。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の請求項1
に係る光ディスクスタンパの製造方法では、原盤から離
型したときのスタンパ表面に酸化膜が形成されているた
め、アルコキシ基、クロル基、シアノ基、イソシアナト
基、アミノ基等の官能基Yを有するフルオロアルキルシ
ランSiXn 3-n を高密度かつ強固に化学吸着(共有
結合)させて良好な離型層をスタンパ最表面に形成する
ことができる。しかも、該酸化膜はあらかじめ形成され
ているため、従来の原盤からスタンパを離型した後にこ
れらを成膜するものに比べ、原盤のピット形状をより忠
実に反転しており、信号品質の良好なスタンパをえるこ
とができた。本製造方法によるスタンパにより、離型不
良に伴う製品不良率を減らし、同時に樹脂付着物等によ
るスタンパの耐用寿命を大幅に延ばすことができた。
【0038】本発明の請求項2に係る光ディスクスタン
パの製造方法では、導体化膜を構成する酸化膜の膜厚が
100nm以上と十分に厚いため、酸化膜が緻密な膜構
造をとり、酸化膜自身の密着性や機械的強度に優れると
ともに、離型膜を形成する際のシラン化合物の吸着活性
点を高密度で与えることが可能になる。
【0039】本発明の請求項3に係る光ディスクスタン
パの製造方法では、該酸化膜を構成する金属元素とこれ
に隣接する金属導体化膜の金属元素とが同一元素であ
り、さらに両者の界面が傾斜組成となっているので、酸
化膜の密着力が高く、したがってこれらの境界部分から
の脱落等がなく、離型効果の耐久性が高いスタンパを得
ることができる。
【0040】本発明の請求項4に係る光ディスクスタン
パの製造方法では、導体化膜を構成する酸化膜がCr2
3 なので、次のUVアッシャー工程でのオゾンあるい
は活性酸素の酸化作用によって、より緻密な表面酸化層
が形成されるため、シラン化合物を高密度かつ強固に形
成でき、離型効果とその耐久性の高いスタンパを提供す
ることができる。また、2層構造となっている金属導体
化膜のうち、Crは前記酸化膜Cr2 3 と良好な密着
性を有し、Niはその下層のCrとの良好な密着性を有
し、かつ電鋳の際の陰極として有害な酸化膜が残りにく
いため、電鋳層との良好な密着性を与える。したがっ
て、これらの境界部分からの脱落等がなく、よって離型
効果の耐久性が高いスタンパを得ることができる。
【0041】本発明の請求項5に係る光ディスクスタン
パの製造方法では、水のイオンビーム照射によって酸化
膜表面を活性化するため、離型膜を形成する際のシラン
化合物の吸着活性点を高密度で与えることができる。こ
れにより、離型効果に優れ耐久性の高いスタンパを提供
することができる。
【0042】本発明の請求項6に係る光ディスクスタン
パの製造方法では、導体化膜を構成する酸化膜がCr2
3 であって、該酸化膜上への有機フッ素化合物の化学
吸着処理にあたり、Cr2 3 の表面を加熱しながらU
V照射するため、表面により緻密な酸化膜が形成され
る。一般に、反応性スパッタ法に限らず、成膜したまま
の薄膜は多くの欠陥を含むため、そのままでは酸等に侵
されやすいが、本方法によれば、加熱によるアニール効
果とオゾンあるいは活性酸素による酸化作用によって、
スタンパ表面に非常に緻密なCr酸化物が形成される。
これにより、クロルシランのような反応過程で酸を発生
するようなシランや、アルコキシシランのようなあらか
じめ加水分解触媒として塩酸や酢酸等の酸を添加して用
いるシランに対して、真空成膜法に比べてより安価な湿
式プロセスが展開でき、しかも安定的に離型膜を形成す
ることができる。
【0043】本発明の請求項7に係る光ディスクスタン
パの製造方法では、導体化膜を構成する酸化膜Cr2
3 の加熱を赤外線照射により行うため、直接加熱される
ヒータ部分が無く、パーティクルの発生によるスタンパ
の欠陥発生を排除できる。また、ミラー等の光学系を用
いて、既存のUVアッシャー装置に外部から容易にエネ
ルギーを投入することができる。
【0044】本発明の請求項8に係る光ディスクスタン
パの製造治具は、スタンパを裏面と表面の外周部とで支
持し、スタンパ表面と該外周部支持治具とで形成される
空間にのみシラン吸着処理液を供給するため、酸を含む
処理液にスタンパの裏面をさらして腐食させることな
く、スタンパ表面にのみ離型層を形成させることができ
る。
【0045】本発明の請求項9に係る光ディスクスタン
パは、表面に−CF3 基が配向した離型膜を有している
から、他の物質が化学的及び物理的に強固に付着するこ
とがなく、極めて良好な離型性を実現できる。しかも、
従来の原盤からスタンパを離型した後にこれらを成膜し
たものに比べ、原盤のピット形状をより忠実に反転して
おり、良好な信号品質を有する。本発明によるスタンパ
により、離型不良に伴う製品不良率を減らし、同時に樹
脂等の付着物を排除することによってスタンパの耐用寿
命を大幅に延ばすことが可能になる。
【0046】本発明の請求項10に係る光ディスクは、
離型性の良好なスタンパにより成形されているため、離
型時に信号ピット形状等が変化することが無く、したが
って光ディスク原盤の信号ピット形状等を極めて忠実に
転写した表面形状が得られるため、従来には無い安定し
た再生信号品質を有する光ディスクが得られるという効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるスタンパの製造方法を説明する模
式断面図である。
【図2】本発明によるスタンパの製造方法を説明する全
体構成図である。
【図3】本発明によるスタンパの一実施形態の模式断面
図である。
【図4】本発明によるスタンパのシラン処理治具の一実
施形態の模式断面図である。
【図5】従来のスタンパの製造方法を説明する断面図で
ある。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 フォトレジスト 3 原盤 4 金属導体化膜 5 ニッケル電鋳膜 6 スタンパ 7 酸化膜

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板上にフォトレジスト膜を塗布
    形成し、レーザ露光、現像等の工程を経てフォトレジス
    ト膜上に微細な凹凸パターンを有した光ディスク原盤を
    得て、次に該光ディスク原盤の表面に導体化膜を形成
    し、該導体化膜を陰極として電鋳することによって光デ
    ィスク成形用スタンパを得るスタンパの製造方法におい
    て、 前記導体化膜を酸化膜とこれに隣接する金属導体化膜の
    少なくとも2層構造とし、さらに前記原盤からスタンパ
    を剥離した後に、該酸化膜上に有機フッ素化合物からな
    る離型層をシロキサン結合を介して形成することを特徴
    とする光ディスクスタンパの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記導体化膜を構成する前記酸化膜の膜
    厚を少なくとも100nm以上とすることを特徴とする
    請求項1記載の光ディスクスタンパの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記導体化膜を形成する工程において、
    前記酸化膜を構成する金属元素とこれに隣接する金属導
    体化膜の金属元素とを同一の元素とし、さらに両者の界
    面を傾斜組成とすることを特徴とする請求項1記載の光
    ディスクスタンパの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記導体化膜を形成する工程において、
    前記酸化膜をCr23 、隣接する金属導体化膜をCr
    とNiの2層構造とすることを特徴とする請求項1記載
    の光ディスクスタンパの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記有機フッ素化合物からなる離型層を
    形成する工程において、水のイオンビーム照射によって
    前記酸化膜表面を活性化した後に、有機フッ素化合物を
    蒸着処理することを特徴とする請求項1記載の光ディス
    クスタンパの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記導体化膜を構成する酸化膜がCr2
    3 であって、前記酸化膜Cr2 3 の表面を加熱しな
    がらUV照射した後に、有機フッ素化合物を化学吸着処
    理することを特徴とする請求項1記載の光ディスクスタ
    ンパの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記酸化膜Cr2 3 の表面を赤外線照
    射により加熱することを特徴とする請求項6記載の光デ
    ィスクスタンパの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の光ディスクスタンパの製
    造方法の有機フッ素化合物からなる離型層を形成する工
    程に用いる治具であって、スタンパを裏面と表面の外周
    部とで支持し、スタンパ表面と前記外周部支持治具とで
    形成される空間に有機フッ素化合物吸着処理液を供給し
    て、スタンパ表面のみに該有機フッ素化合物処理を行う
    光ディスクスタンパの製造用治具。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7記載の製造方法により製造
    されたことを特徴とする光ディスク成型用スタンパ。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の光ディスク成型用スタ
    ンパを用いて製造されたことを特徴とする光ディスク。
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