JPH1030065A - カーボンブラックの製造方法、並びにゴム組成物 - Google Patents

カーボンブラックの製造方法、並びにゴム組成物

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JPH1030065A
JPH1030065A JP9698797A JP9698797A JPH1030065A JP H1030065 A JPH1030065 A JP H1030065A JP 9698797 A JP9698797 A JP 9698797A JP 9698797 A JP9698797 A JP 9698797A JP H1030065 A JPH1030065 A JP H1030065A
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JP
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carbon black
silica
silane
bonded
rubber composition
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JP9698797A
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Kazusuke Sone
一祐 曽根
Masaki Ishida
昌己 石田
Hozumi Endo
穂積 遠藤
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリカ並の粘弾性特性(tanδの温度依存
性)を有し、且つシリカの難分散性、難加工性をカーボ
ンブラック並に改良した補強粒子、およびこれを配合し
てなるゴム組成物を提供すべく、カーボンブラック表面
にシリカを添着する方法を得る。 【解決手段】 カーボンブラックの製造に際して、全
ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及
び/又はポリシロキサンをカーボンブラックの原料油中
に添加することを特徴とするカーボンブラックの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリカ成分を含有
するカーボンブラック、詳しくはシラノール基を表面に
存在させたカーボンブラックの製造方法、及びこのカー
ボンブラックを配合したゴム組成物に関する。得られる
ゴム組成物はタイヤトレッドやベルトなどの製造に好適
に使用される。
【0002】
【従来技術】補強粒子を配合した加硫ゴム組成物が繰り
返し変形を受けた際の発熱性の指標にtanδがある。
例えばタイヤトレッドの転がり抵抗を減少させ低燃費に
するには50〜70℃のtanδを小さくすれば良いことが
知られている。一方、濡れた路面での制動特性などは0
℃付近のtanδが大きい方が良好となる。このtan
δの温度依存性を改良する、即ち50〜70℃のtanδを
小さく、かつ0℃付近のtanδを大きくする方法とし
て、充填剤としてシリカを配合することが試みられてい
る。例えば特開平3−252433号公報には溶液重合
法SBRにシリカとシランカップリング剤を配合するこ
とが記載されている。また特開平7−165991号公
報にはシランカップリング剤として特にシリカとゴムに
反応することができる2官能性のものが優れていると記
載されている。
【0003】これは、シラノール基を表面に有する粒
子、例えばシリカ粒子は、ビス(3−トリエトキシシリ
ルプロピル)−テトラスルファンなどのシランカップリ
ング剤と共にジエン系ゴムに練り込み、加硫した際に、
カップリング剤を介して粒子とゴムが化学的に結合する
ことが知られており、これにより粒子配合加硫ゴム組成
物の60℃付近のtanδが低くなり、また耐摩耗性が
向上するなどの物性の向上がみられるものと考えられ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリカ
を充填剤として配合した場合、tanδの温度依存性を
改良することはできるが、シリカ充填剤は自己凝集力が
強いためゴム中へ分散しづらく、加工性が劣るといった
問題がある。また高価なシランカップリング剤をシリカ
に対し通常5〜15%も添加する必要があるためコンパ
ウンドコストが上がるという問題もある。
【0005】また、カーボンブラックにシリカ充填剤を
配合することなく上記のような硫黄原子を有するシラン
カップリング剤を配合すると、粒子配合ゴム組成物の6
0℃付近のtanδがかなり低減されるケースがある。
しかし低温域(−10〜0℃)、低歪下(0.1〜1
%)での複素弾性率(E*)や動的弾性率(E’)が高
いため制動特性が低下するといった欠点がある。
【0006】一方、ゴム組成物に配合されるカーボンブ
ラックをシリカ、或はシランで表面処理することが提案
されている。例えば特開昭53−100190号公報や
特開昭61−291659号公報には、溶剤もしくは水
に溶解させたシリコンの有機化合物または有機金属化合
物をカーボンブラックに混合し乾燥させる方法が記載さ
れ、具体的にはシリコン化合物としてジメチルポリシロ
キサンやシリコンオイルが用いられている。また、特開
昭56−38357号公報には、環式アルキルポリシロ
キサン又はシリコン化合物で処理された表面を有する表
面疎水化したカーボンブラックが提案されている。特開
昭58−125249号公報には溶剤に溶解させたシラ
ンカップリング剤を表面に被覆したカーボンブラックが
記載されている。特開昭63−63755号公報にはカ
ーボンブラックを水中に分散させ、珪酸ナトリウムを硫
酸で中和させることにより、カーボンブラック表面に無
定形シリカを沈積させる方法が提案されている。しかし
これらの方法はいずれも溶剤の除去や回収、或は中和操
作などプロセス面、経済面から工業化に適していると言
い難い。また特開平4−233976号公報には特定の
有機ケイ素化合物(具体的には特定構造の硫黄含有シラ
ンカップリング剤)でカーボンブラックを化学的に変性
することが提案されている。しかしこの方法も抽出操作
や変性するための後処理などのプロセス的・経済的な問
題がある。しかも、これらカーボンブラックをシリカ、
シラン等の表面処理剤で処理する方法では、表面処理剤
が全てのカーボンブラック表面に十分に均一に付着しな
いことも予想される。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み、シリカ並の粘弾性特性(tanδの温度依存
性)を有し、且つシリカの難分散性、難加工性をカーボ
ンブラック並に改良した補強粒子、およびこれを配合し
てなるゴム組成物を提供すべく、カーボンブラック表面
にシラノール基を存在させる方法について鋭意検討し
た。その結果、特定の珪素含有化合物をカーボンブラッ
クの原料油に添加することにより、効率的かつ効果的に
シラノール基をカーボンブラック表面に存在させること
ができること、しかもこのようにして製造されたカーボ
ンブラックを配合したゴム組成物は、優れた特性を発揮
することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、カーボンブラックの
製造に際して、全ての有機基が酸素を介して珪素に結合
しているシラン及び/又はポリシロキサンをカーボンブ
ラックの原料油に添加することを特徴とするカーボンブ
ラックの製造方法、及び得られるカーボンブラックを配
合してなるゴム組成物に存する。かかる本発明により、
カーボンブラック表面にシラノール基を導入することが
できるので、シリカ粒子等シラノール基を有する粒子の
配合によって試みられていた、加硫ゴム組成物の60℃
付近のtanδの低下等の物性の向上を、シリカ等の粒
子を配合することなく達成することができる。
【0009】しかも、シリカを添加していない系で硫黄
原子を有するシランカップリング剤を配合した場合のよ
うな、低温域(−10〜0℃)、低歪下(0.1〜1
%)での複素弾性率(E*)や動的弾性率(E’)が高
いため制動特性が低下するといった欠点も解消すること
が可能である。しかも本発明で得られるカーボンブラッ
クによれば、シリカの欠点である難分散性、難加工性及
び低耐摩耗性が改善され、これらの特性をカーボンブラ
ック並に改良することが可能となる。従って、本発明に
より、シリカとカーボンブラックの長所を併せ持った補
強粒子、即ちシリカ並の粘弾性特性(tanδの温度依
存性)を有し、且つシリカの難分散性、難加工性、低耐
摩耗性をカーボンブラック並に改良した補強粒子と、そ
れを配合してなるゴム組成物を提供することが可能とな
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の方法が適用されるカーボンブラックは特
に限定されず、ゴムに配合する場合にはゴム工業におい
て用いることができるものとして公知である種々のタイ
プ、例えばファーネスブラック(ASTM D 176
5による分類)、チャンネルブラック、サーマルブラッ
ク、アセチレンブラック等が好適である。これらカーボ
ンブラックを製造するには、例えばファーネスブラック
の場合は高温ガス流中に原料油である高芳香族重質油を
導入し、この重質油の不完全燃焼又は熱分解により得る
ことができる。
【0011】ここでカーボンブラック用原料油としては
特に限定されず、一般にはコールタールの分留によって
得られる重質油(クレオソート油、アントラセン油)や
残さであるタールピッチ、またピッチコークスを製造す
る際に副生する重質油、ナフサ分解によって得られる残
さ油(エチレンボトム油)等の石炭系又は石油系の重質
油や残さが用いられる。本発明においては、カーボンブ
ラックの原料油に特定珪素化合物を添加する。すなわ
ち、原料油に全ての有機基が酸素を介して珪素に結合し
ているシラン及び/又はポリシロキサンを添加すること
によりカーボンブラックの生成反応の際に、カーボンブ
ラックにシリカ成分を導入することができる。
【0012】ここで、全ての有機基が酸素を介して珪素
に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンとは、
SiにOを介して水素、アルキル基、ビニル基、フェニ
ル基又はその他の官能基が結合しているシラン、及び/
又は(Si−O)nを主鎖とし(主鎖は枝分かれした
り、環を形成していてもよい。)、SiにOを介して水
素、アルキル基、ビニル基、フェニル基又はその他の官
能基が結合しているポリシロキサンをいう。好ましく
は、SiにC1〜4のアルコキシ基が結合している、テ
トラアルコキシシラン及び/又はポリアルコキシポリシ
ロキサンが用いられる。後者は前者の低縮合物として容
易に得ることができる。後者として例えば、以下の一般
式(A)で表されるものが挙げられる。
【0013】
【化1】(RO)3−Si−O−[Si(OR)n−O(3-n)mR
【0014】ここでn=1又は2、mは0以上の整数、
Rは互いに相異なってもよいC1〜4のアルキル基であ
る。アルキル基が水素で置換されていてもよい。特にR
=CH3−のものとして、テトラメトキシシランの低縮
合物であるオリゴマーがあり、三菱化学(株)製「MK
CシリケートMS51」が、含有するモノマー(すなわ
ちテトラメトキシシラン)の量が1重量%以下と少な
く、このため品質安定性に優れ、しかもモノマーによる
毒性が少なく使用上安全であり原料油との相溶性も良
く、好ましい。本発明においては、これら全ての有機基
が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポ
リシロキサンをそのまま用いることもできるが、これに
水及び加水分解触媒等を添加して、加水分解したり、加
水分解したものを更に縮合した加水分解縮合物を用いて
も良い。
【0015】加水分解縮合物として、例えば上記テトラ
メトキシシランのオリゴマーをアルコール中で加水分解
縮合した「MKCシリケートMS51SG1」(三菱化
学(株)製)が挙げられる。このものは、加水分解によ
りシラノール基が多数生成しており、好ましく用いられ
る。これらテトラアルコキシシラン及び/又はポリアル
コキシポリシロキサンは、多数のアルコキシ基を有する
ため、シラノール基の生成に極めて優れ、得られるカー
ボンブラック及びこれを配合してなるゴム組成物の特性
を大きく向上していることが考えられる。
【0016】尚、これら全ての有機基が酸素を介して珪
素に結合しているシラン及び/又はポリシロキサンにシ
ランカップリング剤等他の有機成分を配合したものを、
カーボンブラックと接触させても構わない。この場合、
他の有機成分は、全ての有機基が酸素を介して珪素に結
合しているシラン及び/又はポリシロキサン100重量
部に対して50重量部以下、好ましくは20重量部以下
が望ましい。尚、これらの有機成分の特性を積極的に発
現させる場合は0.5重量%以上とすればよい。有機成
分としては、各種シランカップリング剤の他、各種樹脂
成分等が挙げられ、必要に応じて適宜選択して、上記シ
ラン及び/又はポリシロキサンに配合すればよい。
【0017】本発明においては、全ての有機基が酸素を
介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシロキ
サンをカーボンブラックの原料油中に添加し、あとは常
法に従ってカーボンブラックを製造すればよい。即ち、
カーボンブラックの生成反応自体は、公知の反応炉を用
い、公知技術により生成させればよい。例えばファーネ
スブラックの場合は高温ガス流中に原料油である高芳香
族重質油を導入し、この原料油の不完全燃焼又は熱分解
により得ることができる。本発明ではこの原料油に、全
ての有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及
び/又はポリシロキサンを添加するわけである。こうす
ることによりカーボンブラックの生成反応の際に、全て
の有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び
/又はポリシロキサン及び/又はその成分がカーボンブ
ラックに導入され、カーボンブラック表面にシラノール
基を存在せしめる。このシラノール基は、酸素を介して
珪素に結合した有機基の加水分解及び/又は熱分解によ
り生成したものである。
【0018】全ての有機基が酸素を介して珪素に結合し
ているシラン及び/又はポリシロキサンの使用量は特に
限定されないが、カーボンブラック100重量部に対し
通常0.1〜60重量部が用いられる。更に好ましくは
0.2〜30重量部である。この使用量が少なすぎると
tanδの温度依存性の改良効果が少なく、逆に多すぎ
ると混練中の分散加工性が悪化し、またコスト高にな
る。
【0019】本発明の方法により得られるカーボンブラ
ックは、特に限定されないが窒素比表面積が20〜30
0m2/g、DBPが50〜250cc/100gであ
ることが好ましい。ゴムへの配合量は、通常ゴム成分1
00重量部に対して10〜200重量部、好ましくは2
0〜150重量部である。
【0020】本発明のゴム組成物に使用されるゴム成分
は、特に制限されないが架橋可能なゴムであることが好
ましい。更に好ましくは硫黄加硫可能なジエン系ゴムで
ある。ゴムは単独でも、また2種以上をブレンドして用
いてもよい。本発明のゴム組成物には、本発明の製造方
法により得られたシリカ成分が導入されたカーボンブラ
ックの他に、通常のカーボンブラックやシリカを併用し
てもよい。しかしその配合量は上記シリカ成分が導入さ
れたカーボンブラックの5倍を超えないことが望まし
い。
【0021】また本発明のゴム組成物には、シランカッ
プリング剤が配合されることが好ましい。シランカップ
リング剤としては従来用いられているものを任意に配合
できるが、特にシラノール基及びゴム系重合体と反応で
きる少なくとも2官能性のものが好ましい。具体的に
は、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−テトラ
サルファイドやメルカプトプロピルトリエトキシシラン
などが挙げられる。これは本発明により生成したカーボ
ンブラック表面のシラノール基が、混練時にシランカッ
プリング剤のアルコキシ部分と反応及び結合し、サルフ
ァイド部分は加硫反応においてゴム系重合体と反応する
からである。この場合、本発明により得られたカーボン
ブラックを用いることにより、シランカップリング剤の
配合量は通常のシリカ配合に比べ少なくて済む。即ち、
通常のシリカ配合は高価なシランカップリング剤を、シ
リカ100重量部に対し普通、5〜15重量部添加する
必要があるためコンパウンドコストが上がるという問題
があるが、本発明に従えば、シランカップリング剤の配
合量は、本発明により得られるカーボンブラックに対
し、シリカ導入量にもよるが1〜10重量部で十分であ
る。これはカーボンブラック表面に存在するシラノール
基のトータル量が通常のシリカ粒子表面のシラノール基
よりも少ないことに起因しており、反応するのに十分な
シランカップリング剤量でよいことを意味している。よ
って本発明によるとシリカ系配合に比べ、コンパウンド
コストも安価となるというメリットもある。
【0022】本発明で得られるカーボンブラックを配合
したゴム組成物はタイヤトレッド、アンダートレッド、
サイドトレッド等のタイヤ用途や防振ゴムやベルト等の
一般ゴム部材に好適に提供される。以下、実施例によっ
て本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0023】(実施例1〜4)カーボンブラックの製造 概略を図1に示す、空気導入ダクトと燃焼バーナーを備
える内径500mm、長さ1400mmの燃焼域と、該
燃焼域に連結され、周辺から原料ノズルを貫設した内径
100mm、長さ410mmの狭径部からなる原料導入
域と、クエンチ(反応停止水及び冷却水)装置を備えた
内径100mm、長さ6000mmの後部反応域とを順
次結合した構造のカーボンブラック製造炉を用いた。図
1において、1は耐火物製炉、2は反応用空気導入ノズ
ル、3は燃料導入用ノズル、4は原料油導入用ノズル、
5は反応停止水導入用ノズル、6は冷却水導入用ノズ
ル、7はバーナー、10は温度計、Aは燃焼域、Bは反
応域、Cは反応停止域及び冷却域である。
【0024】カーボンブラックの原料油としてクレオソ
ート油を使用し、全ての有機基が酸素を介して珪素に結
合しているシラン及び/又はポリシロキサンとして、テ
トラメトキシシランの低縮合物であるオリゴマー(商品
名:「MKCシリケートMS51」三菱化学(株))の
所定量(表1に記載)を原料油導入用ノズルへつながる
エルボー配管へ添加しつつ所定量の原料油と配管混合し
ながら製造炉内へ噴霧した。燃料としてもクレオソート
油を用い、表1に示した各条件でISAFクラスのカー
ボンブラックを生成させた。こうして得られたカーボン
ブラックを造粒後、乾燥させ、実施例1〜3のカーボン
ブラックを得た。
【0025】次に、全ての有機基が酸素を介して珪素に
結合しているシラン及び/又はポリシロキサンとして、
「MKCシリケートMS51」をエタノール中で、MS
51のアルコキシ基に対し0.57モル倍量の水を添加
して加水分解した加水分解縮合物(商品名:「MKCシ
リケートMS51SG1」三菱化学(株))を用いて実
施例1〜3と同様な操作を行い、実施例4のカーボンブ
ラックを得た。
【0026】(比較例1〜3)一方、全ての有機基が酸
素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリシ
ロキサンを原料油に混合添加しない以外は実施例1と同
様な操作を行い、比較例1の、通常のカーボンブラック
を得た。また、比較例2はシリカ単味(商品名:「Ni
psil AQ」日本シリカ工業(株))、比較例3は
カーボンブラックとシリカ(Nipsil AQ)の機
械的混合物(ブレンド物)である。
【0027】カーボンブラックのシリカ含有量、及びコ
ロイダル特性の測定 カーボンブラックをJIS K6221の灰分測定法に
準拠し750℃で灰化して灰分量を求めた。この灰分量
から、シリカが添着されていない比較例8のカーボンブ
ラック灰分量を差し引いた量をシリカ含有量とみなし
た。結果はその他のコロイダル特性値と共に表1に示し
た。なお、コロイダル特性値の測定法は以下の通りであ
る。
【0028】 窒素比表面積 :ASTM D3037 CTAB比表面積:ASTM D3765 よう素吸着量 :JIS K6221「ゴム用カーボ
ンブラックの試験方法」 DBP吸油量 :JIS K6221「ゴム用カーボ
ンブラックの試験方法」
【0029】カーボンブラック含有ゴム組成物の調製、
及びゴム物性の測定 表2に示す各成分を、常法に従ってバンバリーミキサー
及びオープンロールミキサーで混合混練してゴム組成物
を調製した。これらのゴム組成物を160℃でプレス加
硫し加硫ゴム試験片を作成した。以下の試験方法で各種
試験を行い、その物性を測定した。
【0030】(1)E*、tanδ:動的粘弾性特性で
あるE*、tanδは、(株)レオロジ製「DVEレオ
スペクトラー」を用い、次の条件で測定した。 E*:静的歪み10%、動的歪み(振幅)0.3%、周波
数20Hz、測定温度−10℃ tanδ:静的歪み10%、動的歪み(振幅)4%、周
波数20Hz、測定温度 0℃と60℃の2レベル
【0031】(2)耐摩耗性:ランボーン摩耗試験機を
用い、次の条件で測定した。 試験片:厚さ10mm、外径44mm、試験荷重4k
g、砥石と試験片のスリップ率45%、測定温度25℃
【0032】(3)ゴム中での補強粒子分散度(D
%):カーボンブラックの分散度測定法ASTM D2
663−B法(凝集塊カウント法)に準拠した。即ち、
加硫ゴムをスレッジ型ミクロトーム(Leitz社製)
で薄膜にスライスし、光学顕微鏡で配合物中の5μm以
上の補強粒子(カーボンブラック、或はシリカ)凝集塊
の占める総断面積を測り、配合物に加えた補強粒子の総
断面積(計算値)から5μm以下に分散している補強粒
子のパーセントを求め、分散度(D%)とした。(1)
〜(3)の得られた結果を表3に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】表1から、本発明により、全ての有機基が
酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/又はポリ
シロキサンを添加した原料油を用いカーボンブラックを
生成させることにより、理論量の52〜58%のSiO
2がカーボンブラックに含有されることがわかる。即ち
実施例1〜4のカーボンブラックの灰分量から、「MK
CシリケートMS51」或は「MKCシリケートMS5
1SG1」を添加していないカーボンブラック(比較例
1)の灰分量を差し引いた「みなしSiO2量」が、
「MKCシリケートMS51」或は「MKCシリケート
MS51SG1」から生じるSiO2分理論値の52〜
58%であり、比較的収率良く取り込まれていることを
示している。
【0037】表2、表3から明らかなように、本発明に
より製造したカーボンブラック(実施例1〜4)を配合
したゴム組成物は、通常の方法で製造したカーボンブラ
ックを配合したゴム組成物(比較例1−1)に比べ、低
温域(0℃)でのtanδを高く保ったまま高温域(6
0℃)でのtanδのみが低減されている。即ち、この
ゴム組成物をタイヤトレッド等に用いた場合、濡れた路
面での制動性等を犠牲にすることなく転がり抵抗性のみ
が低減されたタイヤとなる。また耐摩耗性も悪化してい
ない。
【0038】さらに通常、カーボンブラック系にはシラ
ンカップリングを添加しないが、Si69を5重量部添
加した比較例1−2は低温域と高温域のtanδバラン
スはかなりシリカ系に近づき、改善されている。しかし
ながら、低温、低歪下の複素弾性率E*が高いため特に
低摩擦係数路面などでの制動特性が劣る。一方、実施例
はこのE*が低く、改良されていることがわかる。
【0039】次に、通常のシリカを配合した比較例2と
比べてみると、実施例は低温域と高温域のtanδバラ
ンスは同等(シリカ並)であり、耐摩耗性及び補強粒子
分散性は優れている(通常のカーボンブラック並)。即
ち、実施例はシリカ並の粘弾性特性(低温域と高温域の
tanδバランスや低温、低歪下のE*特性)と、カー
ボンブラック並の耐摩耗性及び粒子分散性を有している
ことがわかる。
【0040】比較例3は通常のカーボンブラックとシリ
カをブレンドしたものである。粒子中のトータルシリカ
含有量がほぼ同一の実施例3と比較すれば明らかなよう
に、本発明の効果は単なるカーボンブラックとシリカの
ブレンドでは得られず、本発明の方法により表面処理さ
れたカーボンブラックを用いてのみ発現していることが
わかる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明により、カー
ボンブラック表面にシラノール基を導入することができ
るので、シリカ粒子等シラノール基を有する粒子の配合
によって試みられていた、加硫ゴム組成物の60℃付近
のtanδの低下等の物性の向上を、シリカ等の粒子を
配合することなく達成することができる。また、シリカ
を添加していない系で硫黄原子を有するシランカップリ
ング剤を配合した場合のような、低温域(−10〜0
℃)、低歪下(0.1〜1%)での複素弾性率(E*
や動的弾性率(E’)が高いため制動特性が低下すると
いった欠点も解消することが可能である。更に本発明の
表面処理カーボンブラックによれば、シリカの欠点であ
る難分散性、難加工性をカーボンブラック並に改良する
ことが可能となる。従って、本発明により、シリカとカ
ーボンブラックの長所を併せ持った補強粒子、即ちシリ
カ並の粘弾性特性(tanδの温度依存性)を有し、且
つシリカの難分散性、難加工性をカーボンブラック並に
改良した補強粒子と、それを配合してなるゴム組成物を
提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いたカーボンブラック炉の概略を
示す図
【符号の説明】
1 耐火物製炉 2 反応用空気導入ノズル 3 燃料導入用ノズル 4 原料油導入用ノズル 5 反応停止水導入用ノズル 6 冷却水導入用ノズル 7 バーナー 10 温度計 A 燃焼域 B 反応域 C 反応停止域及び冷却域

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カーボンブラックの製造に際して、全ての
    有機基が酸素を介して珪素に結合しているシラン及び/
    又はポリシロキサンをカーボンブラックの原料油中に添
    加することを特徴とするカーボンブラックの製造方法。
  2. 【請求項2】全ての有機基が酸素を介して珪素に結合し
    ているシラン及び/又はポリシロキサンの珪素に結合し
    ている基がアルコキシ基である請求項1記載のカーボン
    ブラックの製造方法。
  3. 【請求項3】アルコキシ基がメトキシ基である請求項2
    記載のカーボンブラックの製造方法。
  4. 【請求項4】全ての有機基が酸素を介して珪素に結合し
    ているシラン及び/又はポリシロキサンが、テトラアル
    コキシシランの縮合物である請求項1〜3のいずれかに
    記載のカーボンブラックの製造方法。
  5. 【請求項5】テトラアルコキシシランがテトラメトキシ
    シランである請求項4に記載のカーボンブラックの製造
    方法。
  6. 【請求項6】全ての有機基が酸素を介して珪素に結合し
    ているシラン及び/又はポリシロキサンの使用量がカー
    ボンブラック100重量部に対して0.1〜60重量部であ
    る請求項1〜4のいずれかに記載のカーボンブラックの
    製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法
    で得られたカーボンブラックをゴム成分に配合してなる
    ゴム組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0799866A3 (de) * 1996-04-04 1999-05-06 Degussa Aktiengesellschaft Russ und Verfahren zu Seiner Herstellung
JP2001164053A (ja) * 1999-10-01 2001-06-19 Bridgestone Corp 変性カーボンブラック及びその製造方法、ゴム組成物並びにタイヤ
JP2005047956A (ja) * 2003-07-29 2005-02-24 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤトレッド用ゴム組成物
JP2017008223A (ja) * 2015-06-23 2017-01-12 株式会社ブリヂストン カーボンブラック、カーボンブラックの製造方法、ゴム組成物及びタイヤ

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