JPH1025428A - 表面処理されたカーボンブラックの製造方法、並びにゴム組成物 - Google Patents

表面処理されたカーボンブラックの製造方法、並びにゴム組成物

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JPH1025428A
JPH1025428A JP8051697A JP8051697A JPH1025428A JP H1025428 A JPH1025428 A JP H1025428A JP 8051697 A JP8051697 A JP 8051697A JP 8051697 A JP8051697 A JP 8051697A JP H1025428 A JPH1025428 A JP H1025428A
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carbon black
silica
rubber composition
rubber
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JP8051697A
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Kazusuke Sone
一祐 曽根
Michiaki Ishiguro
道章 石黒
Nobutake Mise
信猛 見勢
Yutaka Fukuyama
裕 福山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリカ並の粘弾性特性(tanδの温度依存
性)を有し、且つシリカの難分散性、難加工性をカーボ
ンブラック並に改良した補強粒子、およびこれを配合し
てなるゴム組成物を提供すべく、カーボンブラック表面
にシリカを添着する方法を得る。 【解決手段】 カーボンブラックの製造工程において、
カーボンブラック反応炉内で、珪酸金属塩とカーボンブ
ラックとを接触させることを特徴とする表面処理された
カーボンブラックの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面処理されたカ
ーボンブラック、詳しくはシラノール基を表面に存在さ
せたカーボンブラックの製造方法、及びそのカーボンブ
ラックを配合したゴム組成物に関する。こうして得られ
るゴム組成物はタイヤトレッドやベルトなどの製造に好
適に使用される。
【0002】
【従来技術】補強粒子を配合した加硫ゴム組成物が繰り
返し変形を受けた際の発熱性の指標にtanδがある。
例えばタイヤトレッドの転がり抵抗を減少させ低燃費に
するには50〜70℃のtanδを小さくすれば良いことが
知られている。一方、濡れた路面での制動特性などは0
℃付近のtanδが大きい方が良好となる。このtan
δの温度依存性を改良する、即ち50〜70℃のtanδを
小さく、かつ0℃付近ののtanδを大きくする方法と
して、充填剤としてシリカを配合することが試みられて
いる。例えば特開平3−252433号公報には溶液重
合法SBRにシリカとシランカップリング剤を配合する
ことが記載されている。また特開平7−165991号
公報にはシランカップリング剤として特にシリカとゴム
に反応することができる2官能性のものが優れていると
記載されている。これは、シラノール基を表面に有する
粒子、例えばシリカ粒子は、ビス(3−トリエトキシシ
リルプロピル)−テトラスルファンなどのシランカップ
リング剤と共にジエン系ゴムに練り込み、加硫した際
に、カップリング剤を介して粒子とゴムが化学的に結合
することが知られており、これにより粒子配合加硫ゴム
組成物の60℃付近のtanδが低くなり、また耐摩耗
性が向上するなどの物性の向上がみられるものと考えら
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリカ
を充填剤として配合した場合、tanδの温度依存性を
改良することはできるが、シリカ充填剤は自己凝集力が
強いためゴム中へ分散しづらく、加工性が劣るといった
問題がある。また高価なシランカップリング剤をシリカ
に対し通常5〜15%も添加する必要があるためコンパ
ウンドコストが上がるという問題もある。また、カーボ
ンブラックにシリカ充填剤を配合することなく上記のよ
うな硫黄原子を有するシランカップリング剤を配合する
と、粒子配合ゴム組成物の60℃付近のtanδがかな
り低減されるケースがある。しかし低温域(−10〜0
℃)、低歪下(0.1〜1%)での複素弾性率(E*
や動的弾性率(E’)が高いため制動特性が低下すると
いった欠点がある。
【0004】一方、ゴム組成物に配合されるカーボンブ
ラックをシリカ、或はシランで表面処理することが提案
されている。例えば特開昭53−100190号公報や
特開昭61−291659号公報には、溶剤もしくは水
に溶解させたシリコンの有機化合物または有機金属化合
物をカーボンブラックに混合し乾燥させる方法が記載さ
れ、具体的にはシリコン化合物としてジメチルポリシロ
キサンやシリコンオイルが用いられている。また、特開
昭56−38357号公報には、環式アルキルポリシロ
キサン又はシリコン化合物で処理された表面を有する表
面疎水化したカーボンブラックが提案されている。特開
昭58−125249号公報には溶剤に溶解させたシラ
ンカップリング剤を表面に被覆したカーボンブラックが
記載されている。特開昭63−63755号公報にはカ
ーボンブラックを水中に分散させ、珪酸ナトリウムを硫
酸で中和させることにより、カーボンブラック表面に無
定形シリカを沈積させる方法が提案されている。しかし
これらの方法はいずれも溶剤の除去や回収、或は中和操
作などプロセス面、経済面から工業化に適していると言
い難い。また特開平4−233976号公報には特定の
有機ケイ素化合物(具体的には特定構造の硫黄含有シラ
ンカップリング剤)でカーボンブラックを化学的に変性
することが提案されている。しかしこの方法も抽出操作
や変性するための後処理などのプロセス的・経済的な問
題がある。しかも、これらカーボンブラックをシリカ、
シラン等の表面処理剤で処理する方法では、表面処理剤
が全てのカーボンブラック表面に十分に均一に付着しな
いことも予想される。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み、シリカ並の粘弾性特性(tanδの温度依存
性)を有し、且つシリカの難分散性、難加工性をカーボ
ンブラック並に改良した補強粒子、およびこれを配合し
てなるゴム組成物を提供すべく、カーボンブラック表面
にシリカを添着する方法について鋭意検討した。その結
果、珪酸金属塩を特定の方法でカーボンブラックに接触
させることにより、効率的かつ効果的にシラノール基を
カーボンブラック表面に存在させることができること、
しかもこのようにして表面処理されたカーボンブラック
を配合したゴム組成物は、優れた特性を発揮することを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明はカーボンブラックの製
造工程において、カーボンブラック生成炉内で、珪酸金
属塩とカーボンブラックとを接触させることを特徴とす
る表面処理されたカーボンブラックの製造方法、並びに
得られた表面処理されたカーボンブラックを配合してな
るゴム組成物に存する。かかる本発明により、カーボン
ブラック表面にシラノール基を導入することができるの
で、シリカ粒子等シラノール基を有する粒子の配合によ
って試みられていた、加硫ゴム組成物の60℃付近のt
anδの低下等の物性の向上を、シリカ等の粒子を配合
することなく達成することができる。
【0007】しかも、シリカを添加しない系で硫黄原子
を有するシランカップリング剤を配合した場合のよう
な、低温域(−10〜0℃)、低歪下(0.1〜1%)
での複素弾性率(E*)や動的弾性率(E’)が高いた
め制動特性が低下するといった欠点も解消することが可
能である。更に、本発明で得られる表面処理カーボンブ
ラックによれば、シリカの欠点である難分散性、難加工
性及び低耐摩耗性をカーボンブラック並に改良すること
が可能となる。従って、本発明により、シリカとカーボ
ンブラックの長所を併せ持った補強粒子、即ちシリカ並
の粘弾性特性(tanδの温度依存性)を有し、且つシ
リカの難分散性、難加工性、低耐摩耗性をカーボンブラ
ック並に改良した補強粒子と、それを配合してなるゴム
組成物を提供することが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明で表面処理に供される原料としてのカーボ
ンブラックは特に限定されないが、ゴムに配合する場合
にはゴム工業において用いることができるものとして公
知である種々のタイプ、例えばファーネスブラック(A
STM D 1765による分類)、チャンネルブラッ
ク、サーマルブラック、アセチレンブラック等が好適で
ある。これら原料カーボンブラックを製造するには、例
えばファーネスブラックの場合は高温ガス流中に高芳香
族重質油を導入し、この重質油の不完全燃焼又は熱分解
により得ることができる。
【0009】本発明においては、カーボンブラックの生
成反応炉内でカーボンブラックを珪酸金属塩と接触させ
る。珪酸金属塩としては、いわゆる珪酸アルカリ金属
塩、及び珪酸アルカリ土類金属塩が好適に用いられる。
アルカリ金属としては例えばナトリウムやカリウムが、
またアルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウ
ム、バリウムなどが挙げられる。珪酸金属塩の使用量は
特に限定されないが、カーボンブラック100重量部に
対し通常0.1〜40重量部が用いられる。更に好まし
くは0.2〜30重量部である。この使用量が少なすぎ
るとtanδの温度依存性の改良効果が少なく、逆に多
すぎると混練中の分散加工性が悪化する。
【0010】この珪酸金属塩とカーボンブラックとの接
触は、上述のようにカーボンブラックの生成反応炉内で
行われる。即ちカーボンブラックの製造工程においてカ
ーボンブラックを反応炉で生成させながら及び/又は生
成させた直後にその反応炉内に珪酸金属塩を導入するこ
とにより、珪酸金属塩の中和操作等を必要とすることも
なく簡便にシラノール基をカーボンブラック表面に存在
させることができる。この場合、珪酸金属塩とカーボン
ブラックとの接触は800℃以上、特に800〜200
0℃であることが好ましい。さらに珪酸金属塩は珪酸ナ
トリウムであることが望ましい。これは800℃以上で
は珪酸ナトリウムがNa2O・nSiO2+Liquid
(液状)の状態で存在し、カーボンブラックとの接触が
よりミクロ的に均一になりまた液状で接触するため付着
力が向上するものと考えられる。
【0011】炉内への珪酸金属塩の導入方法は特に限定
されないが、例えばカーボンブラック生成反応の反応停
止水及び/又は冷却水中に珪酸金属塩を添加する方法を
採れば、プロセス上も好ましい。この場合も珪酸ナトリ
ウムのような水溶性塩が好適に用いられる。なお、カー
ボンブラックの生成反応自体は、公知の反応炉を用い、
公知技術により生成させればよい。本発明の方法により
得られる表面処理カーボンブラックは、特に限定されな
いが窒素比表面積が20〜300m2/g、DBPが5
0〜250cc/100gであることが好ましい。ゴム
への配合量は、通常ゴム成分100重量部に対して10
〜200重量部、好ましくは20〜150重量部であ
る。
【0012】本発明のゴム組成物に使用されるゴム成分
は、特に制限されないが架橋可能なゴムであることが好
ましい。更に好ましくは硫黄加硫可能なジエン系ゴムで
ある。ゴムは単独でも、また2種以上をブレンドして用
いてもよい。本発明のゴム組成物には、本発明の製造方
法により得られた表面処理カーボンブラックの他に、通
常のカーボンブラックやシリカを併用してもよい。しか
しその配合量は上記表面処理カーボンブラックの5倍を
超えないことが望ましい。
【0013】また本発明のゴム組成物には、シランカッ
プリング剤が配合されることが好ましい。シランカップ
リング剤としては従来用いられているものを任意に配合
できるが、特にシラノール基及びゴム系重合体と反応で
きる少なくとも2官能性のものが好ましい。具体的に
は、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−テトラ
サルファイドやメルカプトプロピルトリエトキシシラン
などが挙げられる。これは本発明により生成したカーボ
ンブラック表面のシラノール基が、混練時にシランカッ
プリング剤のアルコキシ部分と反応及び結合し、サルフ
ァイド部分は加硫反応においてゴム系重合体と反応する
からである。この場合、本発明により得られた表面処理
カーボンブラックを用いることにより、シランカップリ
ング剤の配合量は通常のシリカ配合に比べ少なくて済
む。即ち、通常のシリカ配合は高価なシランカップリン
グ剤を、シリカ100重量部に対し普通、5〜15重量
部添加する必要があるためコンパウンドコストが上がる
という問題があるが、本発明に従えば、シランカップリ
ング剤の配合量は、本発明により得られる表面処理カー
ボンブラックに対し、シリカ添着量にもよるが1〜10
重量部で十分である。これはカーボンブラック表面に存
在するシラノール基のトータル量が通常のシリカ粒子表
面のシラノール基よりも少ないことに起因しており、反
応するのに十分なシランカップリング剤量でよいことを
意味している。よって本発明によるとシリカを配合した
場合に比べ、コンパウンドコストも安価となるというメ
リットもある。
【0014】本発明で得られる表面処理カーボンブラッ
クを配合したゴム組成物はタイヤトレッド、アンダート
レッド、サイドトレッド等のタイヤ用途や防振ゴムやベ
ルト等の一般ゴム部材に好適に提供される。以下、実施
例によって本発明を説明するがこれに限定されるもので
はない。
【0015】(実施例1〜5)表面処理カーボンブラックの製造 概略を図1に示す、空気導入ダクトと燃焼バーナーを備
える内径500mm、長さ1400mmの燃焼域と、該
燃焼域に連結され、周辺から原料ノズルを貫設した内径
100mm、長さ410mmの狭径部からなる原料導入
域と、クエンチ(反応停止水及び冷却水)装置を備えた
内径100mm、長さ6000mmの後部反応域とを順
次結合した構造のカーボンブラック製造炉を用いた。図
1において、1は耐火物製炉、2は反応用空気導入ノズ
ル、3は燃料導入用ノズル、4は原料油導入用ノズル、
5は反応停止水導入用ノズル、6は冷却水導入用ノズ
ル、7はバーナー、10は温度計、Aは燃焼域、Bは反
応域、Cは反応停止域及び冷却域である。
【0016】燃料、及びカーボンブラックの原料油とし
てクレオソート油を使用し、表1に示す各条件でISA
Fクラスのカーボンブラックを生成させた。この際、珪
酸金属塩として珪酸ナトリウム水溶液の所定量(表1に
記載)を300kg/hの反応停止水と共にノズル5よ
り炉内に導入して、生成してきたカーボンブラックに噴
霧した。この噴霧直前の炉内温度は約1620℃、噴霧
直後の炉内温度は860℃であった。こうして得られた
表面処理カーボンブラックを造粒後、乾燥させ、実施例
1〜4のカーボンブラックを得た。次に珪酸ナトリウム
水溶液を、ノズル5から導入する代わりにノズル6の冷
却水(200kg/h)中に添加した以外は実施例1〜
4と同様な操作を行い、実施例5の表面処理カーボンブ
ラックを得た。この場合の噴霧直前の炉内温度は860
℃、噴霧直後の炉内温度250℃であった。なお実施例
5においてはノズル5からも反応停止水300kg/h
を噴霧した。
【0017】(比較例1〜3)一方、珪酸金属塩を加え
ない以外は実施例1と同様な操作を行い、比較例1の、
シリカが添着されていない通常のカーボンブラックを得
た。また、比較例2はシリカ単味(商品名:「Nips
il AQ」日本シリカ工業(株))、比較例3はカー
ボンブラックとシリカ(Nipsil AQ)の機械的
混合物(ブレンド物)である。
【0018】表面処理カーボンブラックのシリカ含有
量、及びコロイダル特性の測定 表面処理カーボンブラックをJIS K6221の灰分
測定法に準拠し750℃で灰化して灰分量を求めた。こ
の灰分量から、シリカが添着されていない比較例8のカ
ーボンブラック灰分量を差し引いた量をシリカ含有量と
みなした。結果はその他のコロイダル特性値と共に表1
に示した。なお、コロイダル特性値の測定法は以下の通
りである。 窒素比表面積 :ASTM D3037 CTAB比表面積:ASTM D3765 よう素吸着量 :JIS K6221「ゴム用カーボ
ンブラックの試験方法」 DBP吸油量 :JIS K6221「ゴム用カーボ
ンブラックの試験方法」
【0019】表面処理カーボンブラック含有ゴム組成物
の調製、及びゴム物性の測定 表2に示す各成分を、常法に従ってバンバリーミキサー
及びオープンロールミキサーで混合混練してゴム組成物
を調製した。これらのゴム組成物を160℃でプレス加
硫し加硫ゴム試験片を作成した。以下の試験方法で各種
試験を行い、その物性を測定した。 (1)E*、tanδ:動的粘弾性特性であるE*、ta
nδは、(株)レオロジ製「DVEレオスペクトラー」
を用い、次の条件で測定した。 E*:静的歪み10%、動的歪み(振幅)0.3%、周波
数20Hz、測定温度−10℃ tanδ:静的歪み10%、動的歪み(振幅)4%、周
波数20Hz、測定温度 0℃と60℃の2レベル
【0020】(2)耐摩耗性:ランボーン摩耗試験機を
用い、次の条件で測定した。 試験片:厚さ10mm、外径44mm、試験荷重4k
g、砥石と試験片のスリップ率45%、測定温度25℃ (3)ゴム中での補強粒子分散度(D%):カーボンブ
ラックの分散度測定法ASTM D2663−B法(凝
集塊カウント法)に準拠した。即ち、加硫ゴムをスレッ
ジ型ミクロトーム(Leitz社製)で薄膜にスライス
し、光学顕微鏡で配合物中の5μm以上の補強粒子(カ
ーボンブラック、或はシリカ)凝集塊の占める総断面積
を測り、配合物に加えた補強粒子の総断面積(計算値)
から5μm以下に分散している補強粒子のパーセントを
求め、分散度(D%)とした。 (1)〜(3)の得られた結果を表3に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】表1から、本発明の方法により、珪酸金属
塩でカーボンブラックを表面処理することにより、理論
量の91〜97%のSiO2がカーボンブラックに添着
されることがわかる。即ち表面処理カーボンブラックの
灰分量から表面処理していないカーボンブラック(比較
例1)の灰分量を差し引いた「みなしSiO2量」が珪
酸ナトリウム水溶液中のSiO2理論量の91〜97%
であり、比較的収率良く添着されていることを示してい
る。特に珪酸ナトリウムがLiquid状態にある80
0℃以上でカーボンブラックに接触させることが好まし
いことがわかる。
【0025】表2、表3から明らかなように、本発明に
より表面処理を行ったカーボンブラック(実施例1〜
5)を配合したゴム組成物は、表面処理していない通常
のカーボンブラックを配合したゴム組成物(比較例1−
1)に比べ、低温域(0℃)でのtanδを高く保った
まま高温域(60℃)でのtanδのみが低減されてい
る。即ち、このゴム組成物をタイヤトレッド等に用いた
場合、濡れた路面での制動性等を犠牲にすることなく転
がり抵抗性のみが低減されたタイヤとなる。また耐摩耗
性も悪化していない。また、シランカップリング剤「S
i69」を5重量部添加した比較例1−2では低温域と
高温域のtanδバランスはかなりシリカ系に近づき、
改善されているものの、低温、低歪下の複素弾性率E*
が高いため特に低摩擦係数路面などでの制動特性が劣
る。これに対し、各実施例ではこのE*が低く、改良さ
れていることがわかる。
【0026】次に、通常のシリカを配合した比較例2と
比べてみると、実施例は低温域と高温域のtanδバラ
ンスは同等(シリカ並)である。即ち、実施例はシリカ
並の粘弾性特性(低温域と高温域のtanδバランスや
低温、低歪下のE*特性)を有していることがわかる。
但し、「みなしSiO2量」の増加に伴いシリカの凝集
粒子が生成し、補強粒子分散性は低下し、耐磨耗性も低
下する。比較例3は通常のカーボンブラックとシリカを
ブレンドしたものである。粒子中のトータルシリカ含有
量がほぼ同一の実施例3と比較すれば明らかなように、
本発明の効果は単なるカーボンブラックとシリカのブレ
ンドでは得られず、本発明の方法により表面処理された
カーボンブラックを用いてのみ発現していることがわか
る。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明により、カー
ボンブラック表面にシラノール基を導入することができ
るので、シリカ粒子等シラノール基を有する粒子の配合
によって試みられていた、加硫ゴム組成物の60℃付近
のtanδの低下等の物性の向上を、シリカ等の粒子を
配合することなく達成することができる。また、シリカ
を添加していない系で硫黄原子を有するシランカップリ
ング剤を配合した場合のような、低温域(−10〜0
℃)、低歪下(0.1〜1%)での複素弾性率(E*
や動的弾性率(E’)が高いため制動特性が低下すると
いった欠点も解消することが可能である。更に本発明の
表面処理カーボンブラックによれば、シリカの欠点であ
る難分散性、難加工性をカーボンブラック並に改良する
ことが可能となる。従って、本発明により、シリカとカ
ーボンブラックの長所を併せ持った補強粒子、即ちシリ
カ並の粘弾性特性(tanδの温度依存性)を有し、且
つシリカの難分散性、難加工性をカーボンブラック並に
改良した補強粒子と、それを配合してなるゴム組成物を
提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で用いたカーボンブラック反応炉の
概略を示す図
【符号の説明】
1 耐火物製炉 2 反応用空気導入ノズル 3 燃料導入用ノズル 4 原料油導入用ノズル 5 反応停止水導入用ノズル 6 冷却水導入用ノズル 7 バーナー 10 温度計 A 燃焼域 B 反応域 C 反応停止域及び冷却域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福山 裕 北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱 化学株式会社黒崎事業所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カーボンブラックの製造工程において、カ
    ーボンブラック反応炉内で、珪酸金属塩とカーボンブラ
    ックとを接触させることを特徴とする表面処理されたカ
    ーボンブラックの製造方法。
  2. 【請求項2】珪酸金属塩とカーボンブラックとの接触が
    800℃以上で行われる請求項1記載の表面処理された
    カーボンブラックの製造方法。
  3. 【請求項3】珪酸金属塩が珪酸ナトリウムである請求項
    2に記載の表面処理されたカーボンブラックの製造方
    法。
  4. 【請求項4】珪酸金属塩の使用量がカーボンブラック1
    00重量部に対して0.1〜40重量部である請求項1〜
    3のいずれかに記載の表面処理されたカーボンブラック
    の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法
    で得られたカーボンブラックをゴム成分に配合してなる
    ゴム組成物。
JP8051697A 1996-05-10 1997-03-31 表面処理されたカーボンブラックの製造方法、並びにゴム組成物 Pending JPH1025428A (ja)

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