JPH1029908A - 皮膚外用剤 - Google Patents

皮膚外用剤

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JPH1029908A JP20328496A JP20328496A JPH1029908A JP H1029908 A JPH1029908 A JP H1029908A JP 20328496 A JP20328496 A JP 20328496A JP 20328496 A JP20328496 A JP 20328496A JP H1029908 A JPH1029908 A JP H1029908A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】クロロゲン酸のエステルを配合することによ
り、美白効果及び老化防止効果を有するクロロゲン酸の
経皮及び細胞膜透過性を高めて、表皮基底層に有効に到
達させることを可能とし、皮膚の色黒,シミ,ソバカ
ス、或いは日焼けによる色素沈着を改善し、また抗酸化
作用を増強して酸化反応に基づく皮膚の老化を防止又は
予防し、かつ皮膚刺激性が低く、安全でさらに安定であ
る皮膚外用剤を提供する。 【構成】クロロゲン酸のエステル、リン脂質エステル、
スフィンゴシン及びその誘導体のエステル、糖脂質エス
テル、糖エステル、ステロールエステルから選ばれた1
種又は2種以上を有効成分として含有してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、クロロゲン酸をエス
テル化して配合することにより、活性酸素種生成抑制作
用、紫外線吸収作用、メラニン生成抑制作用及び皮膚保
湿作用を有し、かつ安定性及び経皮吸収の良好な皮膚外
用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】クロロゲン酸は、コーヒー豆より初めて
工業的に単離されたが、多くの双子葉類植物の果実,葉
にも含まれていることが確認されている。クロロゲン酸
を含有する植物としては、コーヒーの他に、タバコ葉,
ナシ葉,リンゴ果肉,サツマイモ,クワ,茶等が知られ
ている。
【0003】クロロゲン酸は活性酸素種生成抑制作用、
紫外線吸収作用、メラニン生成抑制作用を有し、これを
配合した化粧料が報告されている(特開平8−2696
7)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クロロ
ゲン酸は水溶性の性質を有しており、経皮吸収効率が低
く、前記効果を発揮させるためには多量に配合する必要
があった。さらに、クロロゲン酸の水溶液は空気中の酸
素と接触して酸化されやすく、色調の黒変が認められ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】従って本発明において
は、クロロゲン酸の経皮及び細胞膜透過性を高め、更に
酸化安定性を向上させるため、エステル化して用いるこ
とを試みた。その結果、クロロゲン酸のカルボン酸をエ
ステル化して配合することにより、これらの経皮透過性
は顕著に高まり、同一配合量における活性酸素種生成抑
制作用、紫外線吸収作用、メラニン生成抑制作用が驚く
ほど向上し、しかも経時安定性に優れることを見いだし
本発明を完成させるに至った。
【0006】クロロゲン酸のエステルとしては、細胞膜
親和性の高いものであれば特に限定されないが、リン脂
質エステル,スフィンゴシンエステル,糖脂質エステ
ル,糖エステル,ステロールエステル等が好ましいもの
として挙げられる。
【0007】クロロゲン酸のリン脂質エステルに用いら
れるリン脂質としては、ホスファチジン酸,リゾホスフ
ァチジン酸,ホスファチジルエタノールアミン,ホスフ
ァチジルセリン,ホスファチジルイノシトール,ホスフ
ァチジルグリセロール,ホスファチジルコリン等のグリ
セロリン脂質があげられる。これらグリセロリン脂質の
1位又は2位にクロロゲン酸をエステル交換反応により
導入する。クロロゲン酸は、ホスホリパーゼによるエス
テル交換反応により、効率よくリン脂質にエステル結合
させることができる。
【0008】さらに、リン脂質エステルに用いられるリ
ン脂質としては、スフィンゴミエリン,セラミドホスホ
エタノールアミン,セラミドホスホイノシトールのよう
なスフィンゴリン脂質を用いることもできる。
【0009】スフィンゴシン及びその誘導体のエステル
は次の一般式(1)で示される。
【化1】 (式中Xは、水酸基又はメトキシル基又はエトキシル基
を示し、Yは、クロロゲン酸残基を示す。またmとnの
和は12で、nは0〜3の整数である。)
【0010】糖脂質エステルに用いられる糖脂質として
は、グリセロ糖脂質,スフィンゴ糖脂質のいずれでも良
い。グリセロ糖脂質としては、モノアシルグリコシルグ
リセロール,ジアシルガラクトシルグリセロール,グル
コサミルホスファチジルグリセロール等が、また、スフ
ィンゴ糖脂質の例としては、セレブロシド類,スルファ
チド類,セラミドオリゴヒキソシド類,グロボシド類,
ガングリオシド類等が挙げられる。
【0011】糖エステルに用いられる糖としては、細胞
膜親和性の点から単糖類又は2糖類〜3糖類くらいのオ
リゴ糖が好ましい。本発明の目的には、エリスロース,
トレオース等のテトロース類、アラビノース,キシロー
ス,リボース等のペントース類、ガラクトース,グルコ
ース,マンノース,プシコース,フルクトース等のヘキ
ソース類、N-アセチルガラクトサミン,N-アセチルグル
コサミン,マンノサミン等のアミノ糖類、マルトース,
ラクトース,ショ糖,セロビオース等の2糖類、セロト
リオース等の3糖類などが例示される。
【0012】クロロゲン酸の糖エステルは、クロロゲン
酸をエステル化し、これと糖とを水酸化ナトリウム等の
アルカリ触媒存在下にて反応させ、エステル交換反応等
により合成することができる。なお、副生成物のアルコ
ールを系から除去すると、反応を効率よく進ませること
ができる。
【0013】ステロールエステルに用いられるステロー
ルとしては、動物起源のもの,植物起源のもの,及び合
成によるもののいずれを用いても良い。かかるステロー
ルとしては、コレステロール,ラノステロール,ジヒド
ロステロール及びこれらの混合物であるイソコレステロ
ール,フィトステロール,シトステロール,スチグマス
テロール,カンペステロール,デスモステロール,7-デ
ヒドロコレステロール,及びこれらステロールの還元物
等を挙げることができる。
【0014】クロロゲン酸のステロールエステルは、従
来公知のエステル化反応により行わせることができ、た
とえば無触媒又はパラトルエンスルホン酸,塩化スズ等
の触媒の存在下に、クロロゲン酸及びステロールの混合
物を約100〜250℃程度に加熱すればよい。この反
応の終点は、酸価を測定することにより知ることができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】上記のクロロゲン酸エステルを通
常の皮膚外用剤基剤中に配合して皮膚外用剤とする。配
合量は、製剤中の有効濃度や製剤の安定性等を考慮して
0.0001〜5重量%程度が適当であり、0.01〜
3重量%が更に好ましい。外用剤の形態としては、ロー
ション,乳剤,クリーム,軟膏等、種々の形態をとるこ
とができる。また、化粧水,美容液,乳液等の紫外線防
止用,老化防止用及び美白用化粧料としても提供するこ
とができる。
【0016】
【実施例】実施例に先立ち、ホスファチジルクロロゲン
酸及びクロロゲン酸コレステリルの製造例を示す。
【0017】製造例1:ホスファチジルクロロゲン酸の
調製 卵黄レシチン20gをジエチルエーテル100mlに溶
解し、これに塩化ナトリウム4.0g、クロロゲン酸4
0g、ホスホリパーゼD1,000単位を精製水100
mlに溶解して加え、30℃で24時間酵素反応を行わ
せた。反応終了後エーテル層を回収し、エーテルを除去
してホスファチジルクロロゲン酸を得た。
【0018】製造例2:クロロゲン酸コレステリル クロロゲン酸600gと、コレステロール300gに触
媒としてパラトルエンスルホン酸を添加して窒素ガス雰
囲気下、約150℃で反応させた。触媒を炭酸ナトリウ
ムで中和した後、活性白土で脱色後濾過し、水蒸気によ
り脱色及び未反応のコレステロールを除去し、クロロゲ
ン酸コレステリルを得た。
【0019】製造例1及び製造例2に示したクロロゲン
酸エステルのチロシナーゼ阻害率を以下に示す方法で測
定した。
【0020】クロロゲン酸エステルの95重量%エタノ
ール溶液をマウスB16メラノーマ細胞の懸濁液(細胞数
50,000程度)に添加し、3日間培養を行った後、
以下の方法により細胞中のチロシナーゼを測定した。す
なわち、1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8)2ml
に1.0重量%のドーパ水溶液0.5ml及び培養細胞液
0.5mlを混合し、37℃にて1時間インキュベート
した後、405nmにおける吸光度(As)を測定し
た。対照として溶媒の95重量%エタノール水溶液のみ
を同様に添加して培養し、同様に培養細胞液とドーパ水
溶液とをインキュベートして吸光度(Ab)を測定し、
数式1によりチロシナーゼ阻害率を求めた。
【数1】
【0021】クロロゲン酸エステルは、最終濃度が1.
0μM〜100mMの範囲で段階的に変化するように添
加してドーズレスポンス曲線を作成し、50%阻害濃度
(ID50)を求めて、表1に示した。クロロゲン酸のチ
ロシナーゼ阻害作用を同時に測定し、比較例1とした。
【0022】表1において、クロロゲン酸エステルのチ
ロシナーゼ活性阻害作用についてのID50は、クロロゲ
ン酸単独の場合の約1/3〜1/6となり、クロロゲン
酸をエステル化することにより、同一濃度で添加した場
合、チロシナーゼ活性阻害作用は大幅に向上する。
【0023】
【表1】
【0024】クロロゲン酸エステルの活性酸素種による
細胞傷害防御作用を、培養ヒト線維芽細胞を用いて評価
した。培養したヒト線維芽細胞に、クロロゲン酸エステ
ルを作用させた後、洗浄し、ヒポキサンチン-キサンチ
ンオキシダーゼ系にて活性酸素種(スーパーオキシド及
びヒドロキシラジカル)を暴露した。暴露後の細胞生存
率をMTT還元法により測定した。
【0025】その結果、図1に示すように、細胞膜透過
性に優れるクロロゲン酸エステルで処理した場合は、7
0〜80%の良好な細胞生存率を示した。これに対し、
エステル化していないクロロゲン酸で処理した場合は、
細胞膜透過性が低いため、細胞生存率は40%弱と低か
った。
【0026】本発明に係るエッセンスオイルとして実施
例1〜3及び比較例2の処方を表2に示す。(1)〜(7)
の成分を70℃に加熱混合均一化後、室温まで冷却して
調製する。
【0027】
【表2】
【0028】本発明に係る美容液として実施例4〜6及
び比較3の処方を表3に示す。(4)〜(8)の成分を(1)
〜(3)の溶液に均一に溶解した後、(9)を加えて調製す
る。
【0029】
【表3】
【0030】本発明にかかる乳液として実施例7〜9及
び比較例4の処方を表4に示す。(1)〜(8)の油相成分
を混合し75℃に加熱して溶解,均一化する。一方(9)
〜(11)の水相成分を混合,溶解して75℃に加熱し、前
記の油相成分を添加して予備乳化する。(13)を添加した
後ホモミキサーにて均一に乳化し、(14)を加えてpHを
調整する。冷却後40℃で(15)及び(16)の成分を添加す
る。
【0031】
【表4】
【0032】本発明にかかるW/O乳化型クリームとし
て実施例10〜12及び比較例5の処方を表5に示す。
(1)〜(11)の油相成分を混合し75℃に加熱して溶解,
均一化する。一方(12)〜(15)の水相成分を混合,溶解し
て75℃に加熱し、前記の油相成分に添加してホモミキ
サーにて均一に乳化する。冷却後40℃にて、(16)を添
加,混合,均一化する。
【0033】
【表5】
【0034】本発明にかかるO/W型乳剤性軟膏として
実施例13〜15及び比較例6の処方を表6に示す。
(1)〜(6)の油相成分を混合し、75℃に加熱して溶
解,均一化する。(7)〜(9)の成分を75℃に加熱し、
油相成分を添加して乳化する。冷却後40℃にて、(10)
の成分を添加して混合,均一化する。
【0035】
【表6】
【0036】本発明の実施例について製剤の安定性を2
5℃恒温槽にて観察した。1カ月,3カ月,6カ月後の
状態は分離及び着色の有無で評価した。分離及び着色が
認められないものは○,分離及び着色が認められるもの
は×として結果を表7に示した。美容液及び乳剤である
比較例2及び3においては1ヶ月後にすでに着色が見ら
れ、比較例1,4及び5でも3カ月後には分離及び着色
が認められた。しかしながら、実施例においては、6カ
月を過ぎた段階でも分離及び着色しているサンプルはな
く、製剤の安定性が向上していることが明らかであっ
た。
【0037】
【表7】
【0038】本発明の実施例について、皮膚の老化防止
効果を皮膚のしわ発生防止効果を評価することにより検
討した。試験を行ったサンプルは、実施例1,2,3,
4,8,10,14及び比較例2〜6である。ヘアレス
マウス5匹を一群とし、各群について本発明の実施例及
び比較例をそれぞれ1日1回背部に塗布し、1J/平方
cm/週のUVAを50週間照射し、しわの発生状況を
経時的に肉眼観察により評価した。しわの発生状況は、
「発生せず;0点」,「微小なしわがわずかに発生;1
点」,「軽微なしわが明確に発生;2点」,「中程度の
しわが発生;3点」,「深いしわが発生;4点」として
点数化し、各群の平均点を算出して、表8に示した。そ
の際、精製水を塗布した群を対照とした。
【0039】
【表8】
【0040】表8より、クロロゲン酸エステルを配合し
た実施例塗布群においては、いずれもしわの発生が顕著
に抑制されており、UVAを50週間照射した後におい
ても、各群とも微小なしわの発生を認めただけであっ
た。これに対してクロロゲン酸を配合した比較例1〜5
においては、対照に比べ若干のしわ発生抑制効果は認め
られるが、いずれにおいても明確なしわの形成が見ら
れ、形成されたしわはほぼ中程度の深さにまで達してい
た。
【0041】続いて、本発明の実施例及び比較例につい
て使用試験を行った。試験を行ったサンプルは、実施例
1,2,3,4,8,12,14及び比較例2〜6であ
る。皮膚の弾性の低下及びシミ,ソバカス,日焼け等の
色素沈着を主な症状として有するパネラー20名を一群
とし、各群にそれぞれ実施例及び比較例をブラインドに
て顔面及び手に使用させ、皮膚弾性及び色素沈着の変化
を観察し、評価した。使用期間は4月から10月の6カ
月間とした。皮膚弾性については、「上昇」,「やや上
昇」,「変化なし」,「低下」の4段階で、美白効果に
ついては、「改善」,「やや改善」,「変化なし」の3
段階にて評価をし、各評価を得たパネラー数にて表9に
示した。
【0042】
【表9】
【0043】表9より明らかなように、クロロゲン酸エ
ステルを配合した実施例を使用したパネラーは全員皮膚
弾性の上昇及び色素沈着の改善が認められている。これ
に対し、比較例1〜5を使用したパネラーは、弾性がや
や上昇したパネラーもいるが、明確に上昇の認められた
パネラーはおらず、美白効果に関してもはっきりと改善
が認められたパネラーはおらず、35〜50%のパネラ
ーで変化を認めなかった。以上の結果より、クロロゲン
酸をエステル化して配合することにより、クロロゲン酸
を配合した場合と比較して、老化防止効果及び美白効果
が飛躍的に向上していることがわかる。
【0044】なお、上記の使用期間において、いずれの
実施例を使用した群においても、痛み、痒み等の皮膚刺
激やアレルギー反応等の皮膚症状を訴えたパネラーはい
なかった。また、乳化状態の悪化や配合成分の沈降,変
質等も認められなかった。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、少
量のクロロゲン酸エステルを配合することにより、非常
に優れた美白効果及び老化防止効果を発揮する皮膚外用
剤を提供することができる。本発明に係る皮膚外用剤に
おいては、有効成分であるクロロゲン酸が良好に表皮,
真皮及び表皮基底層に到達でき、低濃度の配合で優れた
老化防止効果及び美白効果を示す。従って、皮膚刺激性
や感作性の発現するおそれがない。またクロロゲン酸を
エステル化することにより溶媒への溶解度が向上し、製
剤の安定性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるクロロゲン酸エステルと、クロ
ロゲン酸における活性酸素種による細胞傷害防御作用を
示す図である。
【符号の説明】
1.クロロゲン酸 2.ホスファチジルクロロゲン酸 3.クロロゲン酸コレステリル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロロゲン酸のエステルを含有する皮膚
    外用剤。
  2. 【請求項2】 クロロゲン酸のエステルが、リン脂質エ
    ステル、スフィンゴシン及びその誘導体のエステル、糖
    脂質エステル、糖エステル、ステロールエステルから選
    ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする、請求
    項1に記載の皮膚外用剤。
  3. 【請求項3】 皮膚外用剤が、化粧料であることを特徴
    とする請求項1及び請求項2に記載の皮膚外用剤。
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